遊園地エリアの林内にて、3人のアニマルガールが歩いていた。そのうち、金髪で服がすごい透けてるザ・ビッチと頭から長い尻尾のでてるちょいナルシストなJKに肩を担がれながら歩いてるのが俺だ。どうしてここにいるのかというと……って、ハクなんでこっち見てんの?
「……お主、今わしらのこと思いっきりバカにせんかったか?」
ギクッ!
「い、いや、別にそんなこと微塵も思ってないぞ」
「そうか。まぁきっとわしの姿に見とれておったのだな!」
「ハクはナルシストだねー」
「なんじゃとー!」とハクがボーラーのからかいに食いついたことも繋がり、なんとか誤魔化せたようだ。あっぶねー、こいつらまで読心術使えるのか。てか、もしかしてだけど読心術流行ってんの?俺が流行乗り遅れてるだけ?
「にしても、勝手に出てきちゃって良かったのかなぁ。あの2人、トツカのことすごい探してたけど」
「いいんだよ、ああいう時は逃げないと死ぬ」
あの2人、とは言わずもがなリュウとカコさんである。話が戻ったから説明するが、リュウ達があの特訓()をもっとやってくれって言ってきたから、あの研究所から逃げてきたのだ。
「ただでさえそれまでのごちゃごちゃで疲れてるっつーのにやらせようとすっからなぁ」
「でもそこから逃げてくるために走って、また今疲れているということは本末転倒じゃな」
ほっとけ。
「だいたいお前はいっつもあんなのやってんのか?」
あの時「踊りませんか?」とか言ってたが、かっこよく誘っておきながら肝心のダンスがカンガルーダンスとか正直上最低だと思うんだけど。
「あんなのって言うな!それにダンスはダンスでちゃんとできるよ。あれは一応特訓」
「そうなのか?」
「ああ、それは信じて良いぞ。尤も、特訓の方の効果に関しては知っての通りだが」
あ、ハクも呆れてるレベルなのか。確かにあれやっても全然強くなった感覚ないし、疲れただけだし。
「ところで、ボーラーは俺の前任者だから守護範囲は時間だったんだよな?」
「そうだよー。まぁちょっとした理由で今は君に任せてるんだけどね」
やっぱり、守護けものは守護する場所が決まってんだな。だとすると、だ。
「じゃあハクってどこの守護けものなんだ?」
気になるのはこれである。
ハクもボーラーも、少なくとも俺は知らなかったアニマルガールだからな。一応ある程度は覚えてたつもりだったんだが、やっぱ知らないやつもいるわけだし、これからのためにも知っておく必要があるだろう。
「ハクは、確かパーク中央のほうだっけ?あの神社のあたりだよね」
「うむ、といってもそれほど広くはないがな。フジ山の山麓当たりのけものが主な担当じゃな」
ハクの担当は中央辺りなのか。フジ山の麓ってことは、パークセントラルの近く辺りに普段住んでいるんだろう。あれ、じゃあボーラーはどこに住んでんだ?
「てか、ジャパリパークって神社もあるのか?」
「一応私が知ってる限りだと、さっきのパーク中央にある『コクリュウ神社』かな。あとはホートクチホーにもう1つだったと思う」
へー、意外とそういうのもあるんだ。平原エリアにも確か日本の昔の城みたいなアトラクションがあるが、あれと似たようなもんなのかな。
「ホートクチホーにあるのは『イナリ神社』で、『オウカ』が担当しておる」
「オウカ?」
「あー、『オイナリサマ』っていうアニマルガールのことだからね」
オイナリサマ……?あ、なんか聞いたことあるわ。ゲームのストーリークエストの5章くらいに名前が出てたような気がするんだが、よく覚えてねぇな。
「わしは『
「ハクの呼び方が特殊なだけじゃないか?」
普通は稲荷神とか稲荷様とかだもんな。多分、うかのみ……なんちゃらっての、正式名称とかだろ?前世じゃ一回も聞いたことなかったが。
「む、そうじゃろうか。だが今更変えることもできんからのう」
「別に私はいいと思うよー?なんか変わってて面白いし」
「お主は言葉を選んだ方が良いぞ」
ははは、と笑うボーラーにハクが慣れたように言葉を返していく。基本はボーラーのボケに対してハクがツッコミを入れるだけなのだが……
「お前ら、仲いいな」
こういった普段の掛け合いみたいなのを見てると、そう思うのだ。
「うん、私たちはとっても仲がいいからね!よく一緒にいるし」
「仲が良いと言いたいのならこちらの負担を考えてはくれぬか?いつも神社に用もなく寄りよって、わしとて暇じゃないのじゃぞ」
ハクは苦労人だな。ってか、ボーラーは普段ハクの神社に住んでるのか。確かに「時間」を担当する以上別にどこにいなけりゃいけないって制約もないし、仲のいい相手といたいってのはアニマルガールとしては当たり前だろうし。
「暇じゃない、てことはやっぱり守護けものとしての仕事があるってことか」
「森にいるけものたちを見守ったり本堂の清掃を手伝うくらいじゃがな」
掃除って巫女さんのやることちゃうんか。あ、手伝うって言ってたし、多分スタッフとかがいるってことなのか。
「えーっと、私の仕事?私はハクと神社で一緒にお昼寝したりー、ハクに耳かきしてもらったりー」
「それは仕事って言わないからなー」
むしろそれは休憩時にやるもんだろ、仕事とは真逆の行為だからな。つーかお前らやってることが若いカップルみたいなんだが。見せつけてんのか?ああそうだよどうせ俺は彼女いない歴=年齢だよコンチクショウ。
「まぁ確かに仕事とは言えんが、ある意味では日課となっとるな」
日課……つまり、ほぼ毎日やってるってことなんだな。……やっぱカップルじゃねぇか!
「私が行ったら言っても言わなくても必ずしてくれるんだ」
「時間があるうちに仕方なくやっておったらいつの間にかそうなっていただけじゃ」
ツンと返してるけど、仕方なく、とは言いつつも日課となってるってことは、別に嫌がってるわけではないみたいだな。
「結構長い付き合いみたいだが、いつ頃出会ったんだ?」
「え、私たちがあった時?」
そうそう……ってあれ?ボーラーが何か大分考え込んでいるように喋らないんだが。興味本位で聞いた質問に過ぎないし、そんなに難しい質問したつもりはないんだがけど、それとも何か言えない理由があるのか?
「わしらが初めて会った時は5年ほど前の春じゃろ。なんじゃ、まさか忘れたのか?」
「ふぇ!?い、いや別に忘れたなんて」
……こいつ、ただ単に忘れただけなのかよ。いや、忘れちゃいけないだろそういう大事なことは!
「そう、あれは桜が満開で、日差しの暖かかったうららかな春のある日──」
「なーに言っとるんじゃ、うららかも何も雪溶けきってなかったじゃろうに」
「言ってることと事実が全然違うし」
幾ら何でも脚色が濃すぎるだろ。実はなんも覚えてねぇんじゃないのか?
~数分後~
「さて、わしらはこのままロッジの方へバスに乗って行くが、お主はどうする?」
「んー、帰ってもミライさんが面倒くさそうだし俺も行こうかな」
「あ、でもまだバスこないよ。せっかく来たんだし、遊園地で遊んでこうよ!おっさきー!」
「だーかーらー、またどこかへ勝手に行くなー!」
大変だな、というかもう閉園時間だろ……そう言おうとした時。
「トツカさーーーーん!!!」
俺の声は、例の悪魔によって遮られた。
「げっ、ミライさん!?なんで……あ、ガイドの報告にもどっできたのk」
ギュー!
いいいいだだだだだだ!!!なんで俺!?サーバルは……あ、なんか大事なものを奪われたような顔して床に這いつくばってる。カラカル笑ってないで助けてやれば……
って人の心配してられる状態じゃなかった!
「くくく、そのようではわしらについてはこれぬな。堪忍して捕まっておれ」
「じゃあ、今度縁があったらその時に、またよろしくね?」
「先に助けてくれませんかねぇ!?」
おれの悲痛な願いも届かず、彼女達は観覧車の方へ行ってしまった。ほんっとお前らカップルしてんな!爆ぜろ!
……はぁ。
これじゃ研究所から逃げてきた意味がなんもねぇじゃんか……
やべぇよ……1日終わらせんのに10話も使っちまってる……やべぇよやべぇよ……
※6月15日 ストーリー上間違えていた部分を修正
「ハクリュウ神社」→「コクリュウ神社」