平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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バンド編
第26話 今こそBAND(結束)の時


「ねぇ、バンドやろうよ!」

 

 

 

 

サーバルのその一言で、作業をしていた手がピタッと止まり、一同全員がフリーズした。

 

 

 

 

「……おう」

 

 

 

 

そんな中、俺はなんとか開いて閉じない口を動かして言葉を返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのバンドアニメのテンプレみたいなのやめーや」

 

 

正直、アホらしすぎてそれ以外言葉を返せなかったってのもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てん……なんとか?ってのはわからないけど、私バンドやってみたくて。手伝ってよ」

「テンプレね、テンプレート。あとバンドなら1人でやってなさい、そして今はちゃんと掃除しなさい」

「カラカルちゃん、さすがにバンドを1人でやるのは無理が……」

 

 

俺、サーバル、アードウルフ、カラカルの四人は今、ミライさん含む一部のスタッフさんたちにお願いされて例のガラクタ置き……ゲフンゲフン、対物理衝撃用実験室の掃除をしていた。いやー、なんか久しぶりに来てみたがホントひどい量の機械だ。ジャイアントパンダとレッサーパンダのとき然り、このテレビだのなんだの、全部使えるんじゃね?

 

つか、ミライさん「この研究所の所長さんから頼まれた」って言ってたけど、俺たちに頼んでも大丈夫だったのだろうか。今頃怒られてたりしそうで怖い。

 

 

「どうせそこらへんで楽器でも見つけて、それでやりたくなったんでしょ?」

「みゃっ、なんでわかったの!?」

 

 

サーバルがカラカルの読心術にひっかかった。驚くサーバルの方を見ると、後ろにギター、多分エレキギターが落ちていた。ま、予測通りってとこだ。

 

 

「まぁ、サーバルちゃんなら考えそうなことだなーって」

「うぇっ、アードウルフまで!私トツカじゃないのに」

「おい待て、それどういう意味だ」

「ふん、バカの考えることなんてすぐにわかるわよ」

 

 

実際この件に関しては俺でも手に取るようにわかったし。こいつ馬鹿だからな。ん、じゃあ普段読まれてる俺も馬鹿ってことになるのか……?

 

 

「……まぁそれはあとにして。カラカルはなんかやりたくない理由でもあるのか?このあとの予定みたいなの」

「特にないけど、今読んでる本の続きが気になってるの。あと単純にめんどくさいし」

 

 

おおう……流石アニマルガール、自由気儘だな。

 

 

「そんなー、ちょっとくらい良いじゃない!」

「というかなんで私達なのよ、アードウルフもなんか言ってやって!」

「えぇっ?あっ、私?あ、私は……」

「あ、俺には振らないのね」

 

 

話を振られたアードウルフは驚き慌てつつも言葉を返す。いつも通りの挙動不審だが、そこが面白いやつだからな(ただし酔ったときは除く)。

 

 

「あっあの、その……い、いいんじゃないかな?私も、やってみたいし。それに、カラカルちゃん確か音楽やってたから、面白いと思うよ」

 

 

……え、カラカル楽器扱えるのか。なんか初めて聞いたんだけども。というかそんなことしそうな雰囲気ないしな。

 

 

「ほら、私は未経験だからカラカルちゃんに教えてほしいこと、たくさんあるから……めいわく、かな」

「そ、そんなことない、けど……」

 

 

カラカルを仲間に入れるためアードウルフは無意識のうちに畳み掛けていく。

 

 

「あのー……私がそう思うだけ、だけど。どう、かな……?」

「うぅ……」

 

 

おっ、カラカルが弱まってきたぞ!

 

 

 

「だめ……?(キラキラ)」

「ぐぅっ……!」

 

 

 

ひっさつ! あーどうるふの うわめづかい!こうかは ばつぐんだ ──

 

 

 

 

 

「……ああっ、もうっ!ちょっとトツカ!」

 

 

 

──そんなことはなかった!

 

 

「……はい?俺ぇ?」

「そうよあんたよ、他に誰がいんの!呼ばれたならシャキッと返事しなさい!」

「えー、めんど……あぁ冗談冗談!冗談だって!わ、わかりましたぁ!」

「あれ、なんかトツカが怒られてる……まぁいっか」

 

 

待って待って状況に追い付けない、頼むからおいてかないでくれ。まずなぜカラカルは俺を呼んだ?

 

 

「それで、その……あ、あんたは!」

「お、俺は……?」

 

 

 

 

 

「……あんたは、やるつもり……なの?」

 

 

 

……あ、俺が参加するかどうかって話か。確かにまだ言ってはなかったな……いや話の流れ的に参加するんだけども。

 

 

「そりゃあ、そんなの言わなくたって──」

「うっさい!さっさと言えこの鈍足バカ!」

「やる!やります!やらせていただきますよ!」

 

 

そんなに急かさなくたっていいじゃんかぁ……身体は頑丈でもガラスなハートは前世からの引き継ぎなんだから割れ物注意で大切に扱ってくれよぉ……!

 

 

「うっうーサーバルぅ、カラカルがいじめるよぉ」

「はいはい、よしよーし。トツカは豆腐メンタルだもんねー」

「ぐふぉっ」

「サーバルちゃん、それトドメ……」

 

 

だから大切にしてって言ってるじゃんかよぉ……!でないとそろそろ本気で泣くぞ!泣くぞ!?

 

 

「ええっと。なんとなくトツカちゃんもやるとは思ってたけど、それがどうかしたの?」

「……なんでも、何でもないわよ。ま、アードウルフが言うなら、私も入ってあげる」

「やったー!カラカルありがとー!」

「こ、こら、あんまりはしゃがないでよ!てか抱きつかないで、もうっ!」

「感謝の極みだよーっ!」

 

 

……おほん、とりあえず一部始終は放っておいて。

 

とにもかくにも、カラカルも引き入れたことでメンバーは揃った。第一関門突破、つってもこっからが本題なわけだが。

 

 

「というかこれ、よいしょ、バンド用の機械類とか、全部揃ってるのね。チューナーにスタンド……んしょ、アンプもあるわ」

「わかるんだな。俺にはどれがどれかサッパリだけど」

「私もよくわかんないや」

「頼りないわね、かくいう私も少しできる程度だけどさ」

 

 

そう言いながらエレキギターやらなんやらをいじる。もしかしたら調整してんのかもしれんが、俺にはまったくわからん。

 

 

「それで、まず基本中の基本の質問なんだけど。あんたらギターとかって弾け」

「弾けないよー?」

「無理だぞ?」

「む、無理かな」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

 

あ。そうそう、沈黙が訪れた時たいていその後にはカラカルの頭グリグリが訪r

 

「あんのねぇ!(ゴンッ」

「「うみゃああああああ!」」

 

 

いってええええ!そんなそこまでやる必要なくない!?良い加減頭に跡残るよ!?手形が頭に残るとかどんなんだってなるからな!?

 

 

「2人とも同じ声なんだね……じゃなくて、大丈夫!?」

「あ、あぁ……だいじょうぶ……」

「もんだい、ないよ……」

「そ、そう……仲良いのね」

 

 

仲とかそれ以前に頭を直して欲しい、と思いながら頭を抱えつつ立ち上がる。

 

 

「でもどうするの?楽器弾けないんじゃバンドなんで夢のまた夢よ」

「そうだよね、私はともかく、トツカは不器用だし」

「失礼だな、最近は結構器用だぞ」

 

 

器用とは言ってもあの時のマッサージのお陰なんだがな。ホントあれのおかげで文字もある程度かけるようになったし、万々歳である。

 

 

「や、やっぱり難しいのかな」

「練習しかないわね。練習用の楽譜とかあると良いんだけど……」

 

 

 

「みなさーん、終わりましたかー?」

 

 

あ、ミライさん戻ってきた。そんな時間が経ってたのか、全然気がつかなかったな。

 

 

「わあ、さっきとは見違えるような違いです!本当にありがとうござ……あれ、それって楽器……ですか?」

「そうだ!ミライさんも手伝ってほしいんだけど、良いよね!」

「え、えぇ!?」

 

 

確かにミライさんに手伝ってもらえたらありがたいが、あんまり先走んな。もう少し我慢するってことを覚えろ。

 

「まあまあ、落ち着いてサーバルちゃん」

「ど、どういうことですか?私にできることなら良いんですけど……」

「じゃ、それに関しては俺から」

 

 

 

 

かくかくしかじか。

 

 

 

 

「なるほど……あ、私学生の時文化祭でギターとかドラムとかやったことありますよ!多分力になれます!」

「……え、ホント?ホントにホントなの?」

「ホントにホント、本当ですって!そんな不思議そうにしなくたっていいじゃないですかぁ……!」

 

 

ミライさんギター弾けんの?てっきり動物専門だと思ってたんだけども、てかミライさんが演奏してるとことか想像出来ないんだが……でもこれで問題解決に一歩は近づいたな。

 

 

「あっ、あわわ……えと、泣かないで、ください……?」

「ふぇぇ、ありがとうございますぅアードウルフさぁん……!」

「はいはい、アードウルフが困っちゃうからその辺にね」

「でもガイドさんって音楽できるたんだね。初めて知ったよ。じゃあ一緒に……」

「あっ、私はやりませんよ?」

 

 

……え?

 

 

「え、ガイドさんやらないってどういうこと?だって私達はそもそも弾けないし」

「あー、その……えと、私はみなさんに教える側になろうと思うんです」

 

 

……それはつまり、先生ってことだろうか。ま、どうせこれも楽器で遊ぶーってだけだし、ただ弾けるようになれればそれだけで構わないんだがな。

 

 

「だって考えてみてくださいよ!皆さんが演奏してるところって素敵そうじゃないですか!?尻尾とか耳とかぴょこぴょこしてそうで!」

「歌への期待が一切無し!?」

「な、なかなか独特な理論を持ってるのね……」

 

 

独特っつーか、特殊っつーか……あまり深くは触れないでおこう。

 

 

「……ま、いいわ。ささっと残りも片付けて、練習始めましょうか」

「私も手伝いますので、ちゃちゃっといきましょう!」

「おう」

「おー!」

「お、おぉー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みゃっ、みゃっ……うーん、難しいなぁ。カラカル教えてー」

「どれどれ……って、ここさっき教えたし、というか音程ちょっとずれてない?」

 

 

いろいろあって数十分後。今はミライさんが許可をとってきてくれてて暇なんで適当にギターを触っている。

 

というかサーバルとアードウルフの成長率が半端ない。俺がいまだに音合わせ?みたいなことしてんのに、既に楽譜を持ってきて弾いている。こいつら本当に末経験者かよ。

 

 

「カラカルちゃん、ここってどうやるの?リズムがつかめなくて」

「はいはい、今いくわよ。で、どこら辺?ああ、ここはもう少しリズム落として」

「あ、なぁカラカ──」

「うっさい」

「あい」

 

 

うん、明らか俺に対して当たり強くない?

ふん、別にいいよーだ、もう音合わせ終わったしー。俺一人でできたしー。楽譜の場所くらい自分で探すしー。えぐえぐ。

 

 

「じゃ、私も少しやってみますか」

「えぐえぐ」

「えー、まずは基本から……よし、これでいっか」

「えぐえぐ」

「私がさっきチューニングしたのは……確かこれね。あとトツカ、楽譜なら奥の棚だから嘘泣きやめて。うっさい」

「ナイス読心術」

「うっさい」

「えぐえぐ」

 

 

いやー、心が通じあうっていいな。一方的に読まれてるだけだが。えぐえぐ。

 

 

「はぁ……なぁサーバル、なんで俺こんな邪険に扱われんだろうな。俺なんかしたっけ」

「さぁ。カラカルの機嫌が悪いのは多分というかほぼトツカのせいじゃない?あ、私ここよく練習したいから一人にさせて」

「そんなー」

「はいはい後でね」

「えぐえぐ」

 

 

なんだよぉ、二人して扱いが雑すぎだろぉ……あぁ、ガラスの割れる音が聞こえる。この空間に女神はいないんだ、神は死ん──

 

 

「あー、えーと、その……トツカちゃん、私でよかったら教えよっか?」

 

 

──いやー、やっぱりアードウルフは女神だな!優しいし接しやすいし酒に酔ったとき……は、除く。

 

 

「お、マジ?助かる助かる!初めての相手(・・・・・・)がアードウルフで助かるよ」

 

「「「はっ、はじっ!?」」」

 

「未経験だからな。だからリードして(・・・・・)くれるとありがたいな」

「わっわわわ、私がリードするの!?」

「……そうだが、それがどうかし──」

 

ズンッ

 

「うみゃっ!?」

「トツカ、わからないところあれば言って。知識は私が一番あるし、経験も私が一番あるし」

「私も手伝っていいよね?カラカルに教えてもらって完璧だから手伝えるよね?てかもう手伝うね」

「どういう風の……まぁ助かるから構わんが」

 

「「いいよね?」」

「あっはい」

 

 

ダメだ。この二人めちゃくちゃ怖い。女神に助けを乞えばワンチャン……

 

 

「私がリード、なら私が上でトツカちゃんが下……?いっそ逆でも……はぅ〜!」

「……何言ってんの?」

「きゃっ!?や、やっぱりダメだよトツカちゃん!焦っちゃだめぇ!」

 

 

うん、ダメって何が?君の方が現状危ない思考してそうだよね。何考えてるかわからないのが余計怖い、女神要素が簡単に打ち消された。頼むからミライさん早く帰ってきて……

 

 

ガチャッ

 

 

「……あぁもう、なんで私ったら……」

「あ、ガイドさんお帰り。どうだった?」

「……んぇ、ミライさん帰って来たん?」

「来たに決まってんでしょバカ」

 

 

すげぇ、願ったらホントに帰って来た!俺もしかしてそういう能力の才能があったりする?

……ねぇな。悲しいけど。

 

 

「えと、許可ってでましたか?」

「はぁ……一応、許可自体は出たんですけど」

「……けど?」

 

 

落ち着いて聞いてください、と前置いて、ミライさんは憂鬱そうに話始めた。

 

 

 

~事務室にて~

 

 

 

 

 

『所長さーん、掃除終わりましたー。あと楽器とかあったんですけど持ち出していいですか?』

 

『まったく、テレビの次は楽器って、あなたはどうしてウチの備品を……今度は何に使うの?』

 

『あぁ、アニマルガールからの要望です。一応、第13条には引っ掛かんないと思いますけど……』

 

Realy(マジ)?アニマルガールが演奏するの!?ライブかい!?』

 

『動物たちの動物たちによる動物たちのためのライブ……хорошо(ハラショー)!こいつは最高だぜぇ!』

 

『あっ、確かにライブ見たいかも……って、アレックスさんにイーゴリさん!?研究員の方は今日休みのはずじゃ……』

 

『あー、僕がたまたま来たらみんなついてきちゃって。はっはっは』

 

『リュウさんなにしてんですかぁー!』

 

 

ガチャッ

 

 

『アニマルガールがライブすると聞いて!』

 

『うぉぉぉ!祭りだぁぁぁ!いくわよミライぃぃぃ!』

 

『先輩方もどこから!いや、確かに演奏とは言いましたがライブするとは』

 

『『『おk、後は俺らに任せろ』』』

 

『ちょっ、企画部のみなさんまでぇ!?』

 

『ん、そうそう。今度の休業日に職員たちの息抜きとして……あん?行きたいだぁ?寝言は寝て言えこのクソ運営!』

 

『しょ、所長……?えと、許可は……』

 

『もちろんOK』

 

『あっはい』

 

 

 

 

~現在~

 

 

 

 

「って感じでして……」

「それは、なんというか……災難だったな」

「あぅぅ……」

 

 

なんだそりゃ、てかこの話題に企画部までノってくるとか……ここの職員カオスすぎだろ。

 

 

「で、でもライブかぁ……確かに、バンドっていったらライブ、だよね」

「そもそもライブなんて私もしたこと無いわよ。トツカたちのこともあるし、成功させるなら結構時間がほしいけど」

 

 

確かに、時間があってもできるかは謎だが可能性はあるな。

少なくとも俺たち全員が弾けるようになるまで、もしくは弾けるやつを集められるまで、の時間が。もっとも、後者に関しては……

 

「うーん、でも私たちで成功させたいよね!どうせやるなら最後まで、おもいっきりどーん!って感じにしたいよ」

 

 

……そうだな。やっぱり後者は無しだ。俺たち四人で、完璧にギター弾けるようになって、華々しく終わってやるか。

 

 

「擬音多過ぎで意味不明、なんなのよどーんって……まっ、私もそれで賛成。二人は?」

「うん。賛成だよ、頑張ろう」

「たりめーよ。時間ありゃ、今からでも間に合うしな」

 

 

とは言いつつも、多分どんな結果だろうがこいつらは楽しめるんだろうな。俺も、こいつらにはそうであってほしいし。

 

 

「で、ライブはいつなんだ?数ヶ月後?」

「あ、えっと……非常に言いにくいんですが……」

 

 

 

 

 

 

 

「……三週間後、です。ここで」

 

 

 

……ほうほう、三週間後か。なるほどなるほど……

 

 

 

 

 

 

……え。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「えええええええええぇぇぇぇ!!!!????」」」」

 

 




今回からバンド編、スタートです。3話ほどを予定しています。
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