平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

29 / 53
※7月29日 主側のミスで話数がおかしくなっていました。申し訳ありません。





第27話 練習~The way to play~

 タッタッタッ……

 

 

「はっ、はっ……はむっ」

 

 

 俺、トツカの朝は早い。

 

 

「はむはむ……っはぁ、なんで、こう、なったかな、っと」

 

 

 殊に、バンド練習の朝は早い。

 

 

 練習2回目だった昨日決められた集合時刻のせいで、まだ午前8時だというのにすでに例の練習部屋へと集合しなければならないのだ。そのため、珍しく寝坊した俺はただ今まるで遅刻間際の学生のように肉まんを咥え走っている。

 

「はっ、んくっ、ついた」

 

 朝食を飲み込んで研究所に朝早くから滑り込み、そのまま勢い落とさず部屋へと直行する。

 たどり着いたドアのノブを回すと──

 

 ガチャン

 

「……よし、これでおっけー。やり方わかったかな」

「うん、ありがと、サーバルちゃん」

 

 そこには、サーバルとカラカル、アードウルフ、ミライさんが待機していた。

 

「はぁ、間に合った〜……」

「あ、もー遅いよトツカ!どうしたの?まさか寝坊とか」

「うぅ、うるさい!」

 

 いいだろ、なんかいい感じの寝床見つけて眠かったんだよ。二度寝しただけだし、そもそも集合時刻から1分も遅れてないんだからそんなに待たせてないはずだし、待ってたとしたらお前が勝手に早く来すぎただけだろ。結論俺は悪くない。

 

「で、練習とは言ったが、具体的には何を?」

 

 ガラクタをある程度片付け必要な楽器だけ引っ張ってきた。そんな多くないけど、ギター3つ、ドラムワンセットだ。ギターの種類とか違いがわからないんで解説しない、てかできない。

 ちなみにこの部屋一応ミライさんが数週間の期限付きで借りてきたらしい、数秒で決定したそうだ。流石空き部屋。

 

「じゃ、まずは基本から、ということで昨日もやりましたがチューニングです。チューナーを、こーやって」

 

 カチッ、と音がして四角い機械から伸びたコードがギターにつながる。

 

「なるほどなるほど、これをここだね……あれ、できないよ」

「ほら貸して、ここをここ、これに合わせて入れるの」

 

 カラカルがサーバルにひっついて教える。というかほぼあいつらだけマンツーマンじゃねぇか。まぁ俺は1人でできるから別に問題ないけどな……

 

「……ん、アードウルフ、できないのか?」

「あ、いや、その……恥ずかしいけど、そうなの。お願いできるかな」

「もちろん」

 

 カチッ。

 

「出来ましたか?じゃあステップツー、ピックで弦を鳴らして、チューナーの針の位置を確認するんです」

「えーっと、ピックってこれのことか。これで、ここを」

 

 ビロン。

 

「あ、針が動いたよ!すごいねこの機械、どうなってるんだろう?」

「そしたら、この上の方にあるペグっていうのを回して、針がゼロを指すようにするのよね」

「はい、左側を指したら弦をきつく締めて、反対に右側だったら緩めます」

 

 なるほど、こんな感じか……うーん、なかなかゼロにならない。サーバルはどうだ?

 

「あれれ、全然できない……私向いてないのかな」

「冗談言ってないで貸しなさい、ほら」

「あ、カラカル……ありがと」

 

 カラカルのおかげで問題ないみたいだな。俺は俺で問題だらけだけども。

 

「トツカさんたちも、困ってるなら手伝いましょうか?」

「いいんですか?」

「当たり前です!アニマルガールさんたちを助けるのはスタッフの役目ですから」

「だってよ、好意に甘えとけ」

 

 ちなみに俺たちもこの後8割方ミライさんにやってもらった。

 

 

 ~1週間後~

 

 

 なんやかんやで一週間が経過した。今日はミライさんが仕事でいないため4人での練習である。

 

「で、今日は一日中楽器の練習?演奏する曲は昨日決めたよね」

「そうね、じゃあ今日は今更だけど担当決めましょうか。基本的な楽器の使い方は昨日マスターしただろうし」

「えーっと、昨日決めた曲だと、役割は4つだったよね」

 

 昨日決めた曲は4人組のもので、ボーカル兼ギターに1人、別のギターに1人、ベースに1人、ドラムに1人、といった塩梅に分けるという。

 正直なところ、俺はなんでもいいんだよな。一応念のためとベースのパワーコードも覚えてるし。あ、でもドラムの練習はまだしたことないな……

 

「まぁ俺は余り物でいいぞ」

「あ、それならボーカルはトツカがいいと思うよ!この前私が風邪ひいたとき子守唄歌ってくれたことあったんだけどそれがすごい上手くてね」

 

 あ、俺ボーカル決定なのか。

 

 ……ん、子守唄?

 

「ってお前、その話は言わない約束だっつったろ!なんでしれっと言ってんだ!」

「あっ、そっか。ごめんね」

「おせぇよ!」

 

 というか一番聞かれたくない相手の前でなんで堂々と言うんだよ!あの時「特にカラカルには」って言ったのお前なのになんで今度は忘れるんだ……しかもなんかわざとなのか素で間違えただけなのかわからない反応だから余計ムカつくし……

 

「へぇー、あのトツカが子守唄なんかに興味あったのね、あのトツカが」

「興味があるわけじゃないし、あ、あれはしょうがないから歌っただけで」

「でも可愛くていい趣味だと思うよ、トツカちゃん」

「トツカって女の子な趣味あったんだね、普段そんな感じしないのに」

 

 だあああああ!うるせえええええ!

 

「はぁ……もういいだろ、それより役決めだ役決め」

「はは、トツカは恥ずかしがり屋だねー」

「でも子守唄知ってるならボーカル適任なんじゃないかな」

「そうよね。余り物でって言ってたし、別にボーカルでも構わないんでしょ?」

 

 ぐぅ、反論しづらい。特に嫌って思ってないのも合わさって、なんか負けたような気分……

 

「……ま、いいよボーカルで。他の3つはどうするんだ?」

「あ、私ベースがいい、な」

「アードウルフがベースね。じゃあ私ドラムやっていい?ギターは触ったことあるから、今度はドラムやってみたいの」

「てことは、私がギターだね。よーし、張り切っていくぞー!」

 

 おうおう、威勢だけはいいな。

 

 

~もう1週間後~

 

 

 今日も遅れてカラカルに怒られたが、まぁ気にしない方針で。

 

「あれ、ミライさんは……あ、今日も仕事か」

 

 最近はミライさんのいない日が多い。とは言っても時間を縫って手伝ってくれてるわけだし、いつもいるってわけではないのか。あんま頼るわけにも……

 

……いや、あの人のことだし仕事と称してそこら辺歩いてる可能性もあるぞ。なんか一気に頼りがいなくなってきた。

 

「そ、またガイドだって。今回は真面目に来れないらしいわ」

「今回『は』って……なんかもう、なんだかなぁ」

「あ、それと」

 

 途中で、カラカルが胸ポケットから何かを取り出す。

 

「ガイドさんから練習に使ってってことで、これ預かってるわ」

 

 徐にカラカルが取り出したのは、まぁ一般的なスマートフォンだ。なぜかカバーに獣耳とかついていることを除いて。

 で、こいつで練習しろと。どうしようか……そうだな、適当に動画サイトとかで探せば見つかるか。前世で嫌という程使ってきたから、やり方は大体わかるし。

 

「あ、この前なんとか診断で使った研究員さんのやつと同じ形だ。どうやって練習に使うのかな、これ」

「ネットとかで調べてくれってことだろ、ほれ」

 

 慣れた手つきでロック画面を解除し、そのままネットに接続。えー、キーワードは「エレキギター 練習用」っと……あ、バンドだからドラムも追加で検索しとくか。「ドラム 練習用」だな、よし。

 

「……お、出たわね。こっちがギターの練習動画かしら、どれどれ……って、30分もあるじゃないこれ」

「はぁ!?んな長いわけ……あ、マジだ」

 

 エレキギターの練習講座で30分て……いや、俺は素人だし何も言えないけど……なんつーか、良く言えば「奥が深い」って感じだな。

 

 悪く言ったら?そんなん長いの一言に決まってんだろ。




長くなったので分割しました。次回に続きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。