平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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第33話 ゲームでHOT(マジ)にだけはなるな

「ふぁ~、さっぱりしたぁ〜」

「とっても気持ち良かったですね~」

 

 

その後も数分ほどカピバラと話をして、カコさんがそろそろ研究所に行かなきゃいけないってことであがることになった。んで、今は入り口近くの休憩スペース的なところでテレビを見ながら畳の上でごろごろしている。

 

 

「似合ってますね、それ。借りてきたんですか?」

「あぁ、これ?んまぁ、着替えはいらないんだけど、せっかくだしってことでな」

 

 

カピバラが指したのは、俺の着ていた白の浴衣。

 

 

「ってか、カピバラは着ないのか」

「私はちょっと。恥ずかしいんですけど、どうしても歩きづらいというか、なんというか。あまり慣れていなくて」

 

 

そうなのか……俺は歩きづらいって思ったことはなかったけど、形状が形状だししゃーないのか。カピバラの浴衣姿とか見てみたかったなぁ。

 

そんなことを考えていると、暖簾の反対側から2つの影が。

 

 

「……ふぅ、すっきりしたぁ~。あら、二人とも待っててくれたのね」

「およそ5分もな。そんなに時間かかるもんなのか」

「む、髪長いんだからしょうがないでしょ。あんたは短髪で羨ましいわよ……あら、髪伸びた?」

 

 

そう言いながらカラカルが俺の髪をくるくるといじる。言われてみれば、最近髪の毛が伸びたような気がする……まぁ、アニマルガールも成長するってことでしょ。

 

 

「あ、もうこんな時間……そろそろバスが出ちゃうので、行ってきますね」

「りょーかい。何時頃に戻ってくる?」

「あー……多分戻れない、かも。向こうで泊まるので、明日合流で、お願いします」

 

 

そう言って防寒用のコートを羽織ると、受付の人となにか会話し暖簾をくぐって歩いてゆく。

まだ温泉入っただけだしもう少しあとでも……と思ったが、雪山エリアの天候は変わりやすいらしいから、晴れている今のうちに行った方が良いのだろう。観測所までのバスだって何本も通るわけではないしな。

 

 

「あら、博士さん戻らないんだ。ってことは、トツカと私で二人部屋ってことかな」

「でもまぁ、そんなに大きい部屋じゃないし一人減っても多少広く布団が敷ける程度だからなぁ」

「そうよねー……あ、布団広いからって私の方にくっついたりしないでよね。あんた寝相悪いんだから添い寝とかしたくないし」

「はいはい、つかこれでも寝相はサーバルとどっこいどっこいだから。安心しろって、ちゃんとスペース空けるっての」

 

 

そもそもくっついたら浴衣とか絡まっちゃうし……あ、浴衣で思い出したけど、カコさんの浴衣姿も見てみたかったなぁ。

 

 

「いてっ!」

「まーたろくでもいこと考えてる顔して。どうせ博士さんの浴衣でも想像してたんでしょ?」

「うぅ……だからって髪の毛ひっぱる必要はないって」

 

 

浴衣つながりでちなみになんだが、カラカルが着ているのは俺と同じ白色の浴衣。多少柄は違うけど、どちらも似たような見た目である。

 

 

「……それはともかく、まだ夕食までには時間があるけど、これからどうする?」

「ここで適当にごろごろしてもいいけど、多分暇になるわよね……」

 

 

むぅ、困ったな。せっかく来ておいてやることがいつもと同じとかはさすがに……あ、「お前前世でもごろごろするだけの怠惰な生活しか送ってないだろ」というツッコミはなしな。

 

 

「カピバラは何かある?ほら、この温泉の施設とか」

「んー……あ、それなら」

 

 

と、突然手を挙げたカピバラ。

 

 

「この温泉、実はゲームコーナーがあるんですよ。私もまだ行ったことないんですが、良かったら一緒に行きませんか?」

 

 

おぉ、ゲームコーナーか。思えば最近はバンドだったりで全然ゲームとかしてなかったっけ。最後にやったのもたぶん病み上がりにサーバルとプレイしたやつだし。

 

 

「いいな、ゲームコーナー。ちょうど暇つぶしになりそうだし、早速行くか」

「了解です。さ、こっちですよ」

 

 

いやー、楽しみだ。いったいどんなゲームが……

 

 

 

「……カラカル、そろそろ髪くるくるするのをやめてほしいんだが」

「やだ」

「やだって、お前な……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、ただいまゲームコーナー。そこそこの大きさはあるが、どうもこういうとこはそれほど広いわけではないようだ。というか、そもそも温泉宿なんて行ったことないからよくわからんけど。

 

そして、今俺は。

 

 

「あーもうっ!なんなんだこの無理ゲー!?」

 

 

ゲーム開始から数分と経たずに堪忍袋の尾をプッツンさせていた。

 

 

「ほんっと意味わからん!難易度はベリーハード固定だわいきなり天井は落ちるわ地面から予告なく刺は出てくるわ雲に当たったら死ぬわ!そもそもなんで背景にある雲なのに当たったら死ぬんだよ!どうしてそこに当たり判定を付けたんだよクソがぁ!」

「まぁまぁ、そう怒らないで。たかがゲームに本気になったってしょうがないですし……」

 

 

詰まるところ、俺は初っ端から難易度激ムズで所見殺しだらけなうえに意味不明なレベルでの操縦技術を要求してくるまったくもって趣味の悪い無理ゲーを選んでしまったわけだ。

 

 

「カピバラの言う通りよ。ゲームにイライラするってのはわかるけど、怒ってもどうにもなんないわよ?」

「うぐ……そうは言ってもだな」

 

 

俺に変わって座席に座り、レバーをいじりながらカラカルが言う。確かにそうなんだが……しっかし誰が作ったんだこのゲーム。最高難易度とはいえここまで鬼畜だと一周回って賞賛したくなるレベルだぞ?しかも難易度選べないとか、製作者だってどうせこれくらい悪趣味に違いない。つか、前世でもこんなゲーム聞いたことないし。

 

 

「それなら別のゲームをしたらどうですか?ここはたくさんゲームがあります、いいゲームもありますよ」

「そそ、それがいいんじゃないかしら……あ、私もやってみよっかな」

「はぁ、だよなぁ……」

 

 

最初に見たときは面白そうだったんだがなぁ。まさかここまでひどいとは思わなかったし、やはり俺に足りないのは運なんじゃなかろうか。

 

 

「でも、他にどんなのがあるか知らなくてさ」

「そうね……ふむふむ、操作は簡単、と」

「それなら、受付の方に聞けばある程度わかると思います」

「へぇー……あ、クリア」

「そうなのか、ありがとなカピ……はぁ?」

 

 

辺りを見渡していた顔をぐるんとカラカルの方に戻す。

するとそこには、ぽかんとした顔のカラカルとクリア画面、そして愉快なBGMを流し続ける例のくそったれゲーム筐体。

 

 

「何よ、ちょっと動かしたらできるじゃない。これならゲーム苦手って言ってるバリーでもできるわよ」

「いや、いやいやいや、待て。待ってくれ。つまり今の俺が見ているのは全て夢、そういうことだよな?」

「現実ですよ、ちゃんとクリアって……あれ、なんか書いてある……もしかして」

 

 

嘘だろ……つかちょっと動かしただけでできたとか才能の塊みたいなもんじゃねぇか。数分やってできなかったやつだってここにいんだぞ、舐めてんのかゴラ。

 

 

「……で、でもそうね。私がやんなかったら、あんたずっとクリアできなかったんじゃない?」

 

 

……イラッ。

 

 

「なーんて、冗談よ冗談。ほら、トツカもやり直してみなよ、案外……」

「は、はは。お、俺だって本気出してなかっただけだし?本当は一瞬でクリアできますし?」

「いや、聞いてないわよ……あんたってどこか子どもよね」

 

 

くっそぉぉ、こいつ完全に舐めきってやがる……!俺は読心術使えないからわからないが絶対心の中で「うわこいつカッスwww」とか思ってる違いねぇ……!

 

 

「あ、向こうに対戦ゲームがいくつかあったからさ、それしない?」

 

 

……「対戦ゲーム」。

対戦、する。カラカル達と。

 

つまり……カラカルを、倒せる……!?

 

 

「……ふふ、ふははは。あぁやる、やるよ、やってやろうじゃねぇか!」

「トツカさん落ち着いてください、ここに『イージーモード』って書いてあ……あぁ、行っちゃった」

 

 

こうなったら絶対に勝ってやる!もう容赦はしねぇ……!

 

 

 

~シューティングゲーム~

 

 

 

「だぁ、このっ、とおっ……あれ、画面止まってね?フリーズした!?」

「やった、ボーナスステージってやつよねこれ!」

「あっ待てこら、それずるい……だぁぁぁ、動けってのぉぉぉ!」

「トツカさん落ち着いて!」

 

 

 

~格闘ゲーム~

 

 

 

「スピード、攻撃力、ともに最高値……あ、もしかしなくても最強キャラですね」

「待って、俺選ばれたのどっちも最低値なんだけど?多分最弱キャラなんだけど!?」

「これ、キャラクターはランダムで選ばれるのよね?カピバラ、運良すぎでしょ……」

 

 

 

~もぐらたたき~

 

 

 

「こんのぉ、なんで当たらないんだ、んもうっ!」

「落ち着いて打てば当たりますよ」

「落ち着いて叩けば当たるわよ」

「ざっけんなお前らぁぁぁ!」

 

 

 

~なんやかんやあって~

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

「……大丈夫ですか?休みます?」

「いいのよカピバラ、変に気合い入れる方が悪いの」

 

 

十戦ほどした結果、全ての試合において見事に俺の惨敗。こんなことがあっていいものか。

 

 

「くっ……まだだ、まだ終わらん!俺の実力はこんなもんじゃねぇ!」

「うーん、実力というよりは運が悪かっただけかと……」

「つか、対戦ゲーム自体もう残ってないんじゃないかしら」

 

 

……それなんだよなぁ。一応これでも数十分はかけて回ったから、大半のゲームはもう既にやり尽くしたような気がする。何より、普通のゲームより対戦の方が多いとは思えない。

 

 

「これまでやったやつ以外は見当たらないし、別のことを……あ、見つけた!」

「うみゃっ、マジで!?」

「マジもマジ、大マジよ!ほらあそこ!」

 

 

そう言って急かすようにカラカルが指した先には。

 

 

「……レースゲーム、だな」

「ええ、ちゃんと座席も二人分あります。対戦できますね」

 

 

赤く塗られた筐体に描かれたのはカートにのった様々なキャラクターたち。レースらしき背景にあわせて、戦うようにして火花を散らしていた。

 

 

「ほら、二人でもワンコインでいいみたいよ。ちょうどあと一枚しかないから、これやって終わりにしない?」

「……ふっ、いいじゃねぇか。早速やるか」

 

 

ふっふっふ……レースゲームなら前世でもいくらかやったことがある。確かに社会人になってからめっぽうやらなくなったから腕は鈍っているかもしれんが、まったくといっていいほど負ける気がしない。

 

座席に座ってレースカーを選ぶ。俺が青い車を選んだ数秒後にカラカルが赤い車に決め、レースのスタンバイが始まる。

 

 

「えーと、レースは2ラップで、車は10台です。カラカルさんが9位、トツカさんが10位でスタートですね」

「まじかよ……」

「あー、えーと……ドンマイ、トツカ」

 

 

……まぁいい。運の悪さは技術でカバーするもんだから。別に試合始まる前から負ける気がしたとかそんなんじゃないから。ほんとだから。

 

ロードが終わり、レースカーたちが並ぶ。

そして、表示されるカウントダウン。

 

 

『3』

 

 

「あほらしいけど、やるからには全力でいくわよ?」

 

 

『2』

 

 

「もっちろん、望むところだ」

 

 

『1』

 

 

今にみてろ……このゲームで、お前に引導を渡してやる!

 

 

『0』

 

『START!』

 

 

カウントが0になり、NPC含めた10台の車が一斉に走り出す。

 

 

「うぉらっ!」

「わっ、ちょっ!?」

 

 

それと同時に俺はタイミング良くペダルを踏み込み、思いっきりスタートダッシュをかました。

 

 

「うそ、あんたいつの間にそんなのできるようになったのよ!」

「へっへーん、これが経験の差ってやつだ!」

 

 

経験がどうのこうのと言っておきながら内心失敗すると思っていたんだが、案外体は覚えているようだ。これなら行ける!

 

スタートダッシュの勢いに乗りながらカーブのインを曲がって数体のNPCたちを抜かしていき、あっという間にカラカルを突き放した。

 

 

「うわっ、このゲーム難しっ……やばっ、曲がって……えいっ!」

「あわわっ、危なっ……おぉ、すごいです、上手く曲がってます!」

 

 

が、カラカルもカラカルで上手く操縦し、次々と順位を追い上げてくる。最初につけていたはずの差も、いつの間にかおよそ半分ほどになっている。……あれ、ちらっと画面みたけどカラカルの車のほうが俺のより性能良くね?

 

 

「……だが、問題ない。依然として問題はなしだ」

 

 

確信をもって一人呟く。

左下のマップによれば、ここから先には数回にわたって連続しているカーブがある。さっき見た感じではカラカルがノーミスで通るのは無理があるはずだ。

 

そこのカーブ地点で一度引き離してから2ラップ目を安全重視で走って、最後の一本道で加速ニトロを使い、勝負をつける。

 

 

これこそ、俺の勝利への道(ウィニングロード)

 

 

「っと、カーブは乗りきった!おらぁ、ここでブーストすれば!」

「ちょっ、何でそんなに速いのよ!ってかここカーブ多くて、曲がり切れない……きゃあっ!」

 

 

目論見通り、後方でカラカルがスピン。これ以上の好機はねぇ、一気に畳み掛ける!

 

カーブ後の一直線でニトロを半分使って加速して先頭集団を抜かす。

 

 

「上手く通れば……!」

 

 

NPCの車たちの間を針を縫うようにすり抜けていく。

それに連動して、順位表が一つ、また一つとあがり、ついに──

 

 

『1st』

 

「っしゃあ!」

 

 

堂々の一位に成り上がって、2ラップ目に突入する。

 

よし、一位さえとることができりゃあ安泰だ。NPCたちも決して強くはないがある程度の強さはある、そう易々と上がることはできまい。

 

 

「さーて、再び距離もあけたし、ここからは安全運転っと。ところでカラカルはいまどこら辺に……」

「あんたの後ろよ」

 

 

……え?

 

突然カラカルの声が響いてきて、驚いて右隣へ視線を向ける。

 

は、マジ?いやいや、そんなはずないだろう、さっき思いっきり距離を開けてたはずじゃ……

 

恐る恐る後方視点に切り替える。

 

すると、そこには。

 

 

「……うぇぇ!?」

 

 

車体全体を深紅に塗り染められたスポーツカー──カラカルの使っている車があった。

 

 

「は、はぁ!?なんで!?だってお前、さっき確かに曲がりきれずコースアウトしてたじゃんか!追っかけてきてるならまだしもなんで真後ろにいんの!?」

「わ、私だって知らないわよ!道外れたーって思ったら急にコースじゃないとこ走り出して、戻ったらここだったのよ!?わかるわけないじゃないこのバカ!」

 

 

待てよ、だとすればつまり偶然ショートカットを見つけたってこと?コースアウトした状態で?はぁー、もうマジなんなんだよその強運はぁ!

 

……いや、まだだ。今から最後の一直線までノーミスで行ければ、まだワンチャン残っている!これに賭けるっきゃない!

 

 

「……そろそろカーブ地点のはず、もう一度差をつけてやる!」

「ふん、やれるもんならやってみろっての!」

 

 

最前線を走る2台の車は、ついに先ほどのカーブ地点に再度たどり着く。

 

大丈夫だ、ミスさえしなければカラカルがおおよそ引っ掛かるはず。そう考え、若干スピードを落として上手くインコースをついていく。これなら上手く引き剥がせるはず……

 

 

「こんのっ、そう簡単にやられるもんかっ!」

 

 

しかし、今度の目論見はきれいに外れてしまう。

カラカルは俺の予想とはそれこそ180度逆に。

 

 

「んなっ、普通についてきてるし!」

「あったりまえよ!」

 

 

俺の後ろにぴったりとついてきたのだ。

 

 

「いつの間にそこまで上達したんだよ!まだ二回目なのに着いてこれるとかおかしいって!」

「あんたの後ろを上手くついていって真似すればおちないからねー。どうよ、この戦法は!」

「……正直、もう一回ショートカットした方が良かったんじゃないか?」

「うっ、うっさい!どこでやったのかわからないのよ!」

 

 

会話からは余裕があるように聞こえるやも知れないが、実際はめちゃくちゃ焦っている。まずい、さすがにこれは抜かされるかもしれない……ここまで来たならせめてカラカルには勝ちたい!

 

 

「斯くなる上は、最後のニトロに賭けるしかねぇ!」

「ニトロなら私も持ってる、絶対に負けない!」

 

 

最後の直線の距離的に、ニトロの残量は関係ないだろう。

となれば、残りのカーブを曲がりきった後にどちらが先にニトロを出せたかで勝負が決まる!

 

 

「もう少し……もう少しだ……!」

 

 

コースアウトしないよう、そして最短距離を行けるようにカーブにきを配りつつゆっくりとタイミングを見計らう。

 

そして、カーブの終わりが近づき──

 

 

「「──いまっ!」」

 

 

 

ほぼ同時とも言えるタイミングで叫び。

 

ほぼ同時とも言えるタイミングでニトロのボタンが押され。

 

 

2台の車はゴールラインへと加速していき。

 

 

 

「「うおおおぉぉぉぉ!!」」

 

 

 

そして──

 

 

 

 

 

~結果~

 

 

 

 

 

「負けたぁぁぁ!」

 

 

俺の敗北で勝負は終わった。

結局あの後、ほぼ同時にゴールしたもののほんの僅かな差で判定負けしたのだった。

 

 

「かなりぎりぎりだったわねー。コンマ単位の差だったしかなりいい勝負だったんじゃない?」

「そうだけど、俺一度も勝ててないんだよ……意味ねぇんだよぉ……!」

 

 

一番悔しいのは何で負けたかさっぱりってことなんだよなぁ。実力とかならまだしも、今回は単純に運が来てなかったというか、理不尽に見回れたというか……負け惜しみって訳ではないんだが。

 

 

「でもまぁ、ちょうどいい感じに暇も潰せましたし結果オーライですよ。なによりトツカさんもカラカルさんも、なんだかんだ言って楽しんでたじゃないですか」

 

 

……それもそうだな。そもそもゲームコーナーに来たのだって暇を潰すためだったわけだし、いろいろあったが良い思い出にはなったんだから。あーあ、カコさんも()りゃよかったのに。

 

 

「確かにそうね。私も熱が入っちゃって、ちょっぴり大人げなかったけど、楽しかったわ。今度からサーバルともやってみよっかな」

「サーバルか?そうだな、あいつもゲームはよくやるほうだし、今度誘ってみたらどうだ?多分アードウルフがセットでついてくるぞ」

「どうだって、何で他人事みたいに言うのよ。あんたも一緒にやんなさい、どうせ暇なんでしょ」

「いや、暇なのはアニマルガール全般に言えることだろ」

「はいはいうっさい、とにかくもう決定だからね」

 

 

……なんか流れるように予定決められたんだが。別に困りはしないけどさ。

 

 

「ふふっ、お二人ともやっぱり仲が良いんですねー。見ていて楽しいですよ」

「そう言われても、喜べば良いのか良くわからないのだけれど……そういえば、カピバラは誰かと一緒じゃないの?」

「あぁいえ、私は今は一人旅をしているので。旅先でいろんな人やアニマルガールとは会いますが、誰かと一緒ではないですかな」

 

 

ほーん、一人旅ねぇ。俺は多分、前世も含めても旅なんぞしたこと無いなぁ……あ、旅と言えばジャイアントペンギンも……いや、あいつは俺に会いに来ただけだったな。それを言えば大分前に来たあの守護けもの二人組もそうか、あいつらも旅してたんだっけ。

 

 

「……って、もう5時過ぎてるわね。夕食、食べに行きましょっか」

 

 

過去の出来事に思いを馳せていると、カラカルが夕食の時間ごろ担ったことに気づく。もうそんな時間か、意外にやりこんでたんだな。

 

 

「おっけー、早速行くか──」

「あの、トツカさん」

「ん」

 

 

夕食を食べに行こうと足を動かすと、突然カピバラに声をかけられる。なにか軽い用事か、と思って振り返る。

 

 

「カピバラ、どうした?」

「すいません、完全にやり忘れていたことがあって」

 

 

……やりわすれていたこと?

 

失礼します、と言ってから、カピバラは受付の方へ走っていき、なにやら小さな紙のようなものを受け取って戻ってきた。

 

良く見てみると、それは──

 

 

「……手紙?」

「はい」

 

 

手のひらサイズの、真っ白な手紙。

 

 

「これは、ジャイアントペンギンさんから受け取った手紙で、こう頼まれているんです」

「頼まれてって、ジャイアントペンギンから?伝言はあれだけじゃなかったってことか」

「はい。この手紙は──」

 

 

カピバラが、こちらに向きなおす。

 

 

 

 

 

 

「──"トツカさんにだけ"読んでほしい、と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

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──────────────────

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………はぁ………」

 

 

 

 

にげ、なきゃ……

 

 

はやく、ここ、から………

 

 

にげない、と……

 

 

 

 

 

「……っ、いたいっ……!」

 

 

 

 

 

…そんなっ、ころんだ、の………?

 

……だめっ、あしが……

 

 

うごいて、おねがい……!

 

 

なんで、うごかないの?

 

なんで、とべないの?

 

 

 

わたし、つかまる、の?

 

 

わたし───

 

 

 

 

 

 

 

──ころされる、の?

 

 

 

 

 

 

「いやっ!」

 

 

 

 

 

 

いやだ、にたくない!

 

 

まだ、いきて、いたい!

 

 

 

 

「いや……こない、で………!」

 

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 

………きて、ない……?

 

 

……たす、かった………

 

 

 

 

 

…みんな……どこ、いったんだろう。

 

 

みんなに、あいたい。

 

 

 

ひとりは………こわい。

 

 

こわい……

 

 

…そっか………わたし、こわいんだ。

 

 

ひとりも、しぬのも、こわい……

 

 

 

 

……こわい、こわいよぉ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………じめんって、こんなに、つめたいんだ。

 

きっと、わたしも、こうなるんだ。

 

 

あぁ、とっても───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───さむい、な。

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