平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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第34話 忍び寄るFEAR()

 

雪の中で、少女は目を醒ました。

 

 

 

 

 

 

──……ねてた、のかな──

 

 

 

意識の覚醒により、思考が巡り始める。

ここは危険、逃げるべきだと。

今すぐに、仲間の元へ。

 

 

 

──うごきたく、ない。──

 

 

それでも、身体は動くことを拒否する。

寂しさと恐怖が冷えた全身を包み、支配する。

 

 

いっそのこと──になってしまおうか。

 

 

 

──だめ。いきて、なきゃ……──

 

 

なんのためにソレから逃げてきたのだ。ここへ来て、諦めるわけには。

 

 

 

しかし。

 

 

 

──……やつが、きてる……!?──

 

 

ソレは赦さない。逃がすことはない。

それこそ、ちっぽけな決意など踏みにじるように──

 

 

 

 

──いやっ!に、にげ、なきゃ……っ!?──

 

 

 

そして気づいてしまった。

 

足を動かしたくなかったのではなく──

 

 

 

 

動かせない(・・・・・)ことに。

 

 

 

──そんなっ!?──

 

 

 

彼女は絶望した。

 

もう助からない未来に。

 

もう巻き戻せない過去に。

 

 

 

自らを導いた、運命そのものに。

 

 

 

 

 

 

 

──にたく、ない……っ!──

 

 

 

迫り来るソレを前に、彼女は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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夜。

 

 

 

外の雪景色も既に近くまでしか見えなくなって、遠くにはただ暗いだけでなにも見えない森が鬱蒼と広がっている。つむじ風が空を切り裂く音のみが闇夜に五月蝿く唸っていた。

 

 

その光景を、何かするでもなく、見つめていた。

 

 

 

「……あ、トツカったらこんなとこにいたのね。なに見てるの?」

 

 

暫くしてカラカルが来た。食堂で夕食を食べていたが、もう終わったらしい。

 

 

「ん、特になにも」

「ふーん、ならいいけど。あ、あの手紙の内容ってなんだったの?」

「それも特になんでもなかっ……あ、なんでもないよう(・・・・)、なんつってあだっ」

「ったくこのアホは……」

 

 

明るい休憩スペースで、暗い外の景色を見ながらそんな会話をする。

 

 

「ところで、ご飯はもういいのか?」

「ええ、カピバラも自分の部屋で寝る準備するって。にしてもほんっとに美味しかったわ、トツカももっと食べとけばいいのに」

「俺はいいんだよ」

 

 

談笑しつつ夜景を見つめる。相変わらず木々と降り積もった雪しか見えなかったが、ふと空を見上げて、月が出ていたことに気づいた。

 

 

「お、綺麗な満月。木が邪魔でよく見えないが……」

「ほんとね。山だから、かしら?星もよく見えるわ、きれいねー」

 

 

カラカルも夜空へと視線を動かす。が、どうやら俺ほど感動しているわけでもないらしい。本当にただ見つめてるだけ……?

 

 

「……あのさ、お風呂のときも言ったけどなんで私を見んのよ。ご飯粒でもついてるの?」

「いや、そうじゃなくて……まぁ、なんでもない。嫌ならやめるが」

「……別に、いやって訳じゃ、ないけど……」

 

 

確かに、よくよく考えてみれば満点の星空なんてサバンナではいつものことだったわ。なるほど、カラカルは多分こういうのはもう見慣れてるんだろうな。

 

 

「見慣れてる訳じゃないわよ、こっちの夜空だって新鮮だわ。あんたの方が、なんでサバンナであんなに見た星空を今更、って感じよ」

「おおう、ナチュラルに読心術が炸裂……だってほら、こう、綺麗じゃん。だからなんか、エモいというか、風情がどうたらで」

「……ほんっと、バカよね、あんた」

 

 

うっせえ、ほっとけ。

 

つか、俺が星空に見とれるのってやっぱ前世の感性が原因なのかねぇ。いかんせん、汚れた空気のなかで生きてきたからなぁ……

 

 

「ま、あとは寝る準備ね。部屋に戻るわよ、空だって部屋から見れるんだから。ほーらっ、はやくっ」

「わかったって、今行くよ」

 

 

カラカルがあんまりにも浴衣の裾を引っ張るので、渋々ついていくことに。別に「夜景満てたいー」とかそういう思いはないけど、なんかめんどくさいっていうか。

 

 

「さっさとしなさいよね。トツカってほっといたらすぐ寝ちゃうし、運ぶのめんどくさいし」

「あのなぁ、今は6時だからまだ寝ないし、最近は夜まで起きれるっての……」

 

 

適当に話ながら、俺たちは自分達の部屋へと向かった。

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

ブツン

 

 

 

「「うみゃあっ!?」」

 

 

 

突然、辺りが真っ暗になった。休憩スペースの電気どころか、辺りの部屋も廊下も真っ暗。とにかくありとあらゆる部屋の電気が落ちてしまっていた。

 

 

これって、もしかして……停電?

 

 

「なーんだ停電かぁ、停電しただけかー」

「雪山の中で停電、なにも問題はないわねー」

「「あっはっはっは」」

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

「うぉぉぉぉい!?何が起こったぁぁぁあああ!?」

「私だってわからないわよぉぉぉ!お、おおおおちつつつ落ち着いて……わっ!?」

「うおっ!?」

 

 

ドシーン!

 

 

「ちょちょちょちょ、なんでこういうときに転ぶんだよ!?俺下敷きになってんですけどぉ!?」

「前見えないんだからしょうがないじゃない!ってきゃっ、どこ触ってんのよこの変態!」

「あぁ!?んな知らねえよどこ触ってるかなんて!触ってきてんのはカラカルの方だろ!」

「はぁ!?私はなんも触ってないわよ!ただ覆い被さってるだけで……」

 

 

ピカッ

 

 

突然、俺たちの目の前に光があらわれ、俺たち二人を照らし出す。

 

 

「たしかトツカはこの辺に……っと、いたいた!あそこだ」

「あ、はい、見つけました!二人とも大丈夫で……あ」

「あって、どうかし……あ」

 

 

それと同時にカピバラとスタッフさん、およそ受付の人のものだったと思われる声が響く。

 

 

「あれ、もしかして誰かいるのか……って、カピバラか!」

「はい、そうなんですけど……」

「あ、スタッフさんにカピバラ!よかった、急に真っ暗になったからちょっとパニクっちゃって」

「えーっとですね、その……」

 

 

少し間が空き。

 

 

 

 

「「…………ごゆっくりどうぞ!」」

「「待ってそれどういう意味!?」」

 

 

 

ちなみにこのとき、俺たちは互いの尻尾と獣耳を掴みながらもみくちゃになっていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、取り敢えず今はスタッフ専用の事務室にお邪魔している。停電こそしているもののそこはやはり対策してあるようで、しっかりと予備電源が完備されており、一応この部屋にだけ電気が灯っている。

 

 

「しっかし不安ね。数十分程度で落ちるらしいから、持ってあと数分、かしら……」

「んー……やっぱその時は毛布とかにくるまって寝ることになんのかな」

 

 

が、その予備電源も完全に起動できたわけではなく、このペースで使い続けても数十分しか持たないらしい。そのためここから真北の方角の外に設置されている電源の起動装置をオンにしなおす必要があり、今は警備員含めたスタッフ総出でかかっている、とのこと。

 

 

「でも結構危ないわよね。警備の人たちだって、電気がないからにはままならないだろうし」

「まぁ、そればっかりは今頑張ってくれているスタッフさんたちを信じるしかありませんな。なにも手伝えないのが心苦しいですが……」

 

 

更に辛いことに、今日はスタッフの数も少ない。なんせ今日は平日、当たり前だが客がいることもこんなアクシデントが起こることも想定外のはずだ。それでも上手く指示を回せる辺り、流石といったところだが。

 

 

「んまぁ念のため、よいしょ、防寒着はいくつか持ってきましたよ。コートとかマフラーとか、それくらいですが」

「お、サンキュー。ちなみにこれは?」

「全部借り物です。今日来ていないスタッフさんのものを貸していただいたので」

 

 

なんにせよ、このまま黙っている訳にはいかない。こちらでも出来るだけのことはするつもりでいる。ただ問題は、どこまでできるのかってところだが……

 

 

「……それでもやっぱり、待つしかない、か……」

 

 

……状況は、あまり芳しくないな……

 

 

 

ブツッ

 

 

 

「んなっ……もうか」

 

 

その状況へさらに追い討ちをかけるように、予備電源が切れてしまう。スタッフさんたちの行動は、飽くまでも冷静にではあるが段々と忙しなくなっているのがわかる。

 

 

「取り敢えず懐中電灯点けるぞ」

「ええ……お願い」

 

 

このままでも猫目で見えなくもないが、懐中電灯があるならそれを点けた方が良いだろうと思い、早速取り出して電池をいれる。

 

 

「わかってはいたけど……やっぱり私、ダメね」

「……どうか、しましたか?顔色が優れませんよ」

「ん、ちょっとね……」

 

 

か細い声でカラカルが呟いたのが聞こえた。

 

見ると、隣で蹲りながら、ぎゅっとコートを握りしめていた。それこそ、まさに『怯えている』と形容出来るほどだ。

 

……あー、やっべぇ。励ましとかないとだめなやつだな、うん。

 

 

「……まぁほら、そんな落ち込むなって。多分どうにかなる──」

 

 

「聞こえてますか!?お願いです、応答してください!」

 

 

……あのね、ほんとにタイミングを考えているほしいんだけど。ここでそういう希望のない知らせは要らないから!お願い!

 

 

「どうした、何かあったのか?」

「あの……電源装置にいったスタッフから、通信が途切れてしまって……たぶん、設備周辺には着いているはずです」

「了解だ。まずは通信と他の電源の復旧を最優先、宿の通信設備なら多少は空けられるはずだ」

「りょ、了解です!」

「救助チームはこっちで設立する。おい、空いている救護班スタッフを呼んでくれ」

「わかりました、今いきます。連絡用の携帯は受付のものでいいですよね?」

「ああ、構わない」

 

 

しかしそんな悲しみに暮れる間にも、的確な指示と行動が飛び交う。いやはや、ホントにすげぇなジャパリパーク職員。

 

 

「……この状況でもどうにかなるって言うつもり?」

「いやほんとごめん。さすがに予想外過ぎた。だからそんな目で俺を睨むでない」

 

 

そんなジト目で見られたって困る。

 

 

「……あんたってさ、無計画で運がないわよね」

「ぐふっ」

「その上物理的にも精神的にも不器用だし」

「うがっ……いやあの、なんで突然」

「極めつけにバカなんだから救いようがないわよねー」

「うぐぁっ」

 

 

うん落ち着け、取り敢えずまずは俺の精神に毒舌を畳み掛けるのはやめてください死んでしまいます。何があったらこの中で俺をいじろうという発送が出てくるんだ全然わからん。

 

 

「はぁー。なんか、あんたのこといじったらすっきりしたわ。ありがとね」

「ははっ、まったくもって嬉しくない」

「なに落ち込んでんの。多分どうにかなるんでしょ?」

「毒舌に皮肉をトッピングしないで!?」

 

 

冗談よ、と言って笑うカラカル。それにつられたのかカピバラも笑いをこらえている。当人としてはそんなに笑えないんだけど……まぁいいや、これからどうするか──

 

 

 

「……あの、アニマルガールさん、ですよね」

 

 

 

──というったところで、突然声をかけられる。先程通信していたスタッフさんだ。

 

 

「ええ、そうだけど……どうかしたの?」

「いえ、あの……」

 

 

どこか不安気で、申し訳なさそうな声で喋っていたが、一度決心するように目を瞑って、もう一度俺たちを見据えた。

 

 

 

「……お願いです。救護チームに、参加してくれませんか?」

 

 

 

……はい?

 

 

「救護チームって……俺たちが、か?」

「ばーか、私たちに頼んでんだから当たり前よ。……まぁ受けるかどうかは置いといて、なんで私たちに?」

「はい……実は」

 

 

スタッフさんに聞いた話を要約するとこうだ。

 

先程言った通り今はスタッフが少ない。そのためなんとか集めたものの救護チームとして動けるのは二、三人程度で、もしも怪我などしていた場合の運搬が難しくなる。なので、先に通信の途絶えたスタッフたちの様子を見てくる、いわゆる先遣隊のようなものを作ることになった。

 

 

「……そこで、アニマルガールの力が必要、と」

「はい……無理はしなくても大丈夫です、元々私たちが対処すべきですし」

 

 

うーん……ただ強いて言うなら、多分俺が何も言わなくとも。

 

 

「もちろん、いくに決まってんじゃない。ね、トツカ」

「……そう来るとは思ってたよ。どうせ拒否権はないんだろ?」

「あら、よくわかってるじゃない」

 

 

あっても拒否したかどうかについてはわからないけどな。

 

 

「んで、カピバラはどうする?スタッフさんも言ったが、無理強いはしないけど」

「んー……すいません、私は待っています。少し体調が優れていなくて……申し訳ないです」

「別にいいのよ。むしろ、それならちゃんと自分の体に気を使ってね、カピバラ」

 

 

となると、ついていくのは俺とカラカルの二人か。人数も変に多いよりはこの辺が妥当だろうし、それに相方が一人なら多分飛んで連れてくってのも出来るだろうし……

 

そんなことを考えていた時。

 

 

「……ごめんなさい、皆さん」

 

 

辛そうな眼差しと共に、どこか苦しそうな謝罪の言葉が届いてきた。……スタッフさんのものだ。

 

 

「本来なら、こんなはずではなかった。あなたたちを巻き込んではいけないはずだったんです。なのに、結局私たちは、またあなたたちに……」

「あぁその、なんだ。取り敢えずは頭をあげてくれ。こうやって頼まれんのははじめてじゃないしさ」

 

 

思い返せば、サーバルが『ライブやろう』って言い出したときだってミライさんたちに頼まれて掃除してたわけだしな。今更でもないし、それを嫌と思ったことも一度だってない……ごめん嘘ついた、やっぱあんまりないにしてくれ。

 

 

「そうそう、私たちだってこのまま停電しっぱなしってのも気味悪いからね。気にしないで」

「ですが……」

 

 

スタッフさんは一度反論しようとしたが、一度口をつぐんでから、もう一度声を出した。

 

 

「それなら、約束してください──」

 

 

 

 

 

 

「──絶対に、無事で帰って来る、って」

 

 

 

 

 

「……約束するわ。あったり前じゃない」

「それなら、私の方からも約束してもらいましょうか、ちゃんと帰ってきてくださいね?」

「もちろんだ、カピバラ。つか、帰ってこなかったら普通に凍えるだけだしな」

「……はぁ、ほんと頼もしいですよ」

 

 

今度は一転して呆れ顔をされてしまった。まぁ、悲しい顔をされるよりかは、嬉しかったが。

 

スタッフさんに先導されて、まずは場所などの確認とブリーフィングを何人かの職員さんたちと。それが終わると、防寒着を着用し、通信用の電話や地図等を鞄にしまって肩に提げた。

 

 

「それじゃあ……いってらっしゃい。トツカさん、カラカルさん」

「いってきます、っと」

「ええ。いってきます、カピバラ、スタッフさんも」

 

 

んじゃ、気合いも入れ直しまして、早速扉を開いて──

 

 

 

 

 

 

「──(さっぶ)ぅっ!?さ、寒ぃ!?」

「……ほんっと締まらないわよね、あんたは……」

 

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

 

 

 

先遣隊として宿を出てから数分。初めこそ携帯の使用に慣れなかったりしたが、なんとか問題なく進んでいられている。

 

 

「なあ、あとどれくらいでつくと思う?」

「数分はかかるんじゃないかしら」

「長いな」

「トツカがもっと速く飛べばいい話でしょ」

 

 

んでもって、今は翼を発生させて飛びながら向かっている。歩くよりは速いんだが、それでも意外と遠いもんなんだなぁ。

 

 

「言うのは簡単だけどな、難しいんだぞ飛ぶの」

「知らないわよ。そんなとこに翼創るからじゃないの?」

「だから翼出すのも難しいんだって」

 

 

ちなみに、翼は頭にあったやつがでっかくなりました。飛べるっちゃ飛べるが、どう言うことなの……

 

 

「……ねぇ、トツカ」

「ん、なんだ?」

「くどいようだけどさ……ありがと」

 

 

……はぇ?

 

 

「え、それって──」

「あー、何も言わないで。その……こっから私が話すのは、恥ずかしい独り言ってことにしといていいから」

 

 

 

そう前置きして、カラカルは話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのさ……トツカもわかってたと思うけど。私、目に見えて怖がってたわよね?……やっぱり恥ずかしいわね、こういうの。

 

この体……アニマルガールの体になってからは、森とかサバンナとかで怖いものはない、って思ってた。

だけどやっぱり、怖いものは怖いのよね。それは変わらない。

でもさ、時々例外?みたいな、そういうときもある。例えばそうね、あんたバカだから覚えてないと思うけど……あぁこら、暴れないの!私あんたに抱えられてんだから……まったく。

 

それであの時ってのは……あれよ、あれ。……セルリアンに、襲われたとき。

結構顔にでないようにしてたけどさ、ちょっと怖かったのよ。まぁ仮にも怪我までしたわけだから、当たり前かもしれないけど。でもそのあとはあんまり怖くなかったって言うか、問題ないって思ったって言うか。だからその、あの……

 

 

……あぁ、もうっ!率直に言うわよ、あんたに助けてもらって安心したの!それで今回も、あんたのお陰で安心したっ!だからありがとってそれだけよっ、このバカっ!

 

 

……はぁ。暴れないでって言ったそばから暴れちゃってごめんなさい。まぁとにかく、私が言いたかったのはそれだけだから……ってトツカ、あれ!違うって、さっきまでの話は終わりよ、そうじゃなくてあそこ見て!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこ?あそこってどこだよ」

「あーもう、あの長い木の辺り!よく見なさい!」

 

 

あぁ!?木の辺りって言われたって、ここ木しかないんだからわかるわけな……あれ?

 

なんかが地面の上に……(ちげ)ぇ!あれは『何か』じゃなくて……

 

 

「……人影、だな」

「だなじゃないわよ、倒れてんのが見えないわけ!?てかもっとよく見なさい!」

 

 

カラカルに急かされ、より注意深くその近くを見渡す。そして見つけて──驚愕した。

 

 

そこには、雪山とは似ても似つかない濃い紫に染まって結晶のように輝く、巨大なひとつ目の球体──

 

 

 

「──っ!セルリアンか!」

 

 

ぐっ、これはマズい。なにがマズいって、この近くにはおそらく起動装置を探してるスタッフさんがいること。スタッフさんたちの安全はもちろん、装置に関しても危険だ。最悪壊されて直らない可能性もある。なんせあの巨体だ、踏み潰すのはおそらく容易だろう。

 

 

なによりも、目の前で倒れてるあの人影に近づいてるってのが一番ヤバい!

 

 

「カラカル!」

「わかってるわよ、野生解放してるわ!」

「了解、急降下する!」

 

 

カラカルが攻撃体制に入ったのを確認し、セルリアンに向かって急降下する。

セルリアンはまったくと言って良いほどこちらに気づかない。このままなら、不意打ちで十分倒せる!

 

 

「さん、にぃ……今だ!突っ込む!」

「言われなくともぉ!」

 

 

距離が狭まり、ついにカラカルの射程にはいる。セルリアンも気づいたが、もう遅い!

 

 

「喰らいなさい──」

 

 

 

カラカルの手が虹色に輝き──

 

 

 

 

 

 

 

「──『エリアルループクロー』!」

 

 

 

真っ直ぐに、ソレへと振り下ろされた。

 

 

 

 




明日のクリスマス、間に合いますかね……?
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