平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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ようやく本編の登場人物が出せて僕は満足です。


第2話 ENCOUNTER(はじめまして)はサバンナで

ある程度水を飲むと、だいぶ生き返るとともに改めて自分の置かれた状況を実感した。いや、「転生したら草原にいました」ってなかなかないけれど、やっぱ気づかないうちに疲れっていうか喉の渇きがすごくなってたのを知らされる。あれ、逆を言えばそれまで気づかなかったってことか……?

 

 

「ゴクッ、ゴクッ……っはぁ!さて、こんくらいでいいだろ」

 

 

あんまり飲みすぎると逆に体に負担かかるからな。体力も戻ったことだし、さっさと安住できそうな場所を探して……ん?

 

 

「あれは……」

 

 

俺は草原の中にある一本の木のそばに異様なものを見つけた。周囲の草原の色に紛れているが、あれは間違い無く自然に作られたものじゃない。ってか形状からある程度わかるが、あの四角い後ろ側を持つ黄色い物質。あれはおそらく……

 

 

「サファリパークとかの専用バスみたいなものか?」

 

 

だいたいあってると思うんだよな。露骨なくらい動物に似せた車体を見ても、あれ絶対動物園とかにある乗り物だろ。

 

そして、乗り物があるということはつまり、人がいるということだ!

 

 

「おっ、ちょうど人影がひとつ……2つ!よっしゃあ!」

 

 

それを見た俺は前だけを見て全力でダッシュした。絶対ないだろうと思っていた人間との遭遇!しかも丁寧に乗り物まで用意してあるときた。最初こそハードコアモードだと思ったが……

 

この人生、案外イージーモードかもしれんぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

「だいじょーぶー?」

 

 

今俺は先ほど見えた人影の主2人にバスに乗せてもらい、とあるところへ向かっていた。てか以外と距離あったんだよな、水場からこのバスまで……目で見えたんだからそこまで遠くもないだろうとタカをくくっていたわけだが、まあ、息切れの理由はわかっただろう。

 

 

「それにしても凄い早かったね!サバンナであんなに元気に走る子は初めて見たよ。今度競争してみない?」

「いや、やめとく……」

「えー?」

 

 

今隣に座って水筒を渡してくれている、こいつの名前はサーバル。俺と似たような服を着て、耳と尻尾を生やした自称「サーバルキャットのアニマルガール」であり──この物語の主人公だ。

 

 

まあピンとくるよな。この名前と容姿でようやくわかったのだが、ここは完全にアプリゲーム「けものフレンズ」の(またはそれに限りなく近い?)世界だ。……なんか完全にファンタジーな発言だな、今の。

 

ゲームに関してだが、多少はやったことあるから、多分これから生きる上でのアドバンテージになると思う。といっても時系列もわからないし、同じ世界であるかどうかもわからないしな。

 

そもそもここ(「サバンナエリア」と言うらしい)に関する情報も違う。ゲームでは確かアンイン……だったか?そこら辺が「森林エリア」のはずだが、ここではキョウシュウの中にあるとのこと。俺の記憶違いかもってのもあるけど。

 

 

「ふふっ、サーバルさんは元気ですね。あ、水筒もらっていいですか?」

「ん?あ、どうぞ。先に飲んじゃってすいません」

 

 

運転しながら前の席から話しかけている彼女はミライさん。まあ知ってると思うけど、ここ「ジャパリパーク」の新米ガイドだ。

 

 

「ありがとうございます。あとさっきも言いましたが、そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ。気軽に話しかけてくれれば」

「そうですか……じゃ、お言葉に甘えてそうさせてもらうか。改めてよろしく、ミライさん」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

ちなみにサーバルはミライさんのことを「ガイドさん」って呼んでるけど、名前知っているからにはそっちで読んだ方が呼びやすいし、名前呼びしようかなと思っている。

 

 

「とは言いつつ、最近は事務系の仕事多くて会えないかもしれないですが……サーバルさんの元気が羨ましいですよぉ」

「そう落ち込むなって、ほら。まぁ俺は、その元気で今疲れてるんだがな」

「え、えー!?私は何もしてないよ、無実だよ!」

「うそつけ、さっき質問攻めしまくった上に思いっきり倒れてきたの忘れてないからな。十分ギルティ」

 

 

いや、質問ならまだしも勢い余って倒れこんでくるってある種の才能だぞ。地味にめちゃ痛かったからな?

 

 

「あ、あれは不可抗力だよ!」

「お前のドジが発動しただけじゃないのか?」

「ドジじゃないもん!」

「確かにサーバルさんはドジですしねぇ……」

「ガイドさんまでー!」

 

 

うん、やっぱり間違いない。話しててわかるが、アプリの性格とほぼ一緒だ。特にドジっぷりとか実際身をもって体験したからな、身をもって。

 

 

「2人は、あそこで何を?」

「さっきの木陰におっきい部屋にあったソファーとかを運んでて。あそこは普段よくいきますしあった方がいいかなー、と」

「そうそう、いつもあそこでお話ししてるんだー。あとテレビとかもほしいよね!」

「えー、テレビですかー?一応は相談しますけど……」

 

 

ああ、ミライさん今休暇中ってことか。でもいいのか?特に用もないのに、こう施設っつーかパーク内を自由に歩いたりして。周り見た感じだと多分動物>アニマルガールって感じだし、危険なんじゃなかろうか。

 

 

「なぁ、でもこんなサバンナのなかに居て大丈夫なのか?ほら、俺たち以外の動物とか来たらさ」

「んー……確かに、さすがに一人はマズいですが、基本は観察するくらいですし。それに普段はサーバルさんが来てくれますから」

「ガイドさんいっつも見てるだけだもんねー。私もつられちゃうけど、楽しいの?」

「楽しいですよ?サバンナエリアはいろんな動物さんがいてまさに可愛さの宝庫……あっ、あれはもしかしてイン……!」

「ちょっ、ミライさん前!前見て!木にぶつかる!」

「ふぇ……あっ、やばっ!」

 

 

ミライさんが眼を離したすきにハンドルが傾き道がそれ、バスは進行方向に木を残して一直線に進んで行く。

 

あー、こりゃ事故るな。事故って転生してまた事故とかたまったもんじゃないぞオイ。次の転生先どこだろ。

 

 

「みゃあっ!」

 

 

そんな悲観にくれる俺とは裏腹にサーバルが大声で叫ぶ。と、同時に──

 

 

キュイイイン!

 

 

バスが大きくカーブし、木を避けて停止した。

 

 

まったく、危うくホントに転生から初日で死ぬところだった。最速死亡RTAやって一位とれるレベル。それにしたってミライさん、意外と運転雑だな……

 

 

「はぁ、危なかったぁ~。ガイドさん危ないよぉ、ちゃんと運転して!」

「うぅ、申し訳ない……あれ、サーバルさんの尻尾がハンドルに?」

「ふっふーん、こんなこともあろうかとすぐに尻尾でハンドルを切れるように……ってガイドさんモフらないで!あっ、あんまりさわられるとくすぐったい!」

「ふぁぁ、モフモフ……毛先が細く滑らかで柔らかいです!」

「感想は聞いてない!」

 

 

バスのなかでまた暴れ始める。元気無いとか言ってたわりに、ミライさん元気だな。

 

 

「……あ、そろそろお腹すきましたね。目的地まではまだ距離がありますけど、さきに少しだけ食べちゃいましょうか」

「あ、モフったことはノーコメント……まぁいいや、とにかく遅めのおやつってわけだね!」

「それにしちゃ遅すぎだけどな」

 

 

多分、太陽の位置的に今は少なくとも午後だと思うが……うん、深く考えないでおこ。

サーバルがミライさんから受け取ったのは、自分の手のひらより少し大きめの袋だった。

 

 

「それは?」

「みゃ、ふぉふぇ?んくっ、はい、ジャパリまんじゅうっていうんだ。おいしいよ」

 

 

……じゃぱりまんじゅう?

 

 

「さっきサーバルさんの言った通り、おやつみたいなものですよ」

「おいしいから、食べてみなって」

「あ、あぁ……」

 

 

ジャパリまんじゅうって、これただの饅頭じゃ……あれ、これってそんな名前だっけ?まぁいいやとりあえずミライさんから袋を受け取って、中身を……

 

 

ビリッ

 

 

「あれ、何か破ける音が」

「な、なんでもないぞ?」

 

 

なんでもないぞ。中に入ってた、このピザまん?みたいなのがちょっと包み袋ごと真っ二つになってるだけだから。なんでもない。いいね?

 

 

 

~完食~

 

 

 

いやぁ、なかなかに美味しかった。サーバルは別の色のやつ持ってたし、バリエーションとかあんのかな。今度探してみよ。

 

 

「それで、今どこへ向かってるんだ?」

「今は、ここキョウシュウチホーの中心部にある研究所に向かってます。あなたは初めて見るアニマルガールなので、ある程度データが欲しいんです」

 

 

 

……あぁ、なるほど。

 

言われてみればそうだな。てか知ってるなら初めて自分の姿見た時ある程度気づくはずだし。ってことは、俺の容姿って、既存のアニマルガールに当てはまらないってことだよな……

 

 

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