平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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第43話 VOICE(我儘)を聞いて欲しい

それから、海老茶色の暖簾の奥にて。

 

 

「えっと……どう、かな」

 

 

カラカルの着ていた、純白な下地へ淡そかな灰色を散り散りに細いラインとして染めている掠れ縞模様の美しい浴衣。そんな雪を体現するかのような着物に、濃い黒を前髪に持って薄灰の髪色と透き通った肌を染み込ませる少女──つまり例のあの()を混ぜ込みわかめさせたらどうなるのか、と思い早速実験している最中である。

 

 

「ほれ見ろ。俺の言った通り浴衣似合ってんじゃん」

「ばーか、この娘は何着せても似合うのよ。私の第六感がそう言うんだから間違いない」

「あ、ありがと……てれちゃうね、えへへ」

 

 

ごめん、今のキミの照れ姿とか見たらお兄さん尊死してまうわ。

 

 

「……お、終わったみたいですね。待ってましたよ」

「んにゃ?って、スタッフさんか。ははは……いやぁ、いろいろあってねー」

 

 

おい、目が泳いでんぞカラカル。この娘が泣いちゃってたことがバレたらどうすんだ、恥ずかしさでこの娘の黒歴史になっちまうだろ。それはそれで可愛いけどな。

 

 

「あれ……目が赤くないですか?腫れてないです?」

「ふぇ?あ、えと、これはその……」

「はっ、まさかお風呂の中で誰も見ていないのをいいことに無理やり……」

「「してないですから!!」」

 

 

「冗談ですよぉ〜」とニヤニヤ笑うスタッフさん。ここの人達って何でこう個性的なんだろうなぁ、楽しいからいいけどいろいろと見透かされそうで怖い。

 

 

「それで、何か用かしら?」

「はい、いま少し職員の手が空いてまして、折角なので」

 

 

少女の方を向く。

 

 

「貴女が何のアニマルガールなのか、今のうちに照合して研究所に連絡しちゃおうかな、と」

「あ、そういやまだ何の動物か知らなかったな。てか、見つけてすぐに調べるんだな」

「その方が後々連絡入れないで済みますからねー。仕事効率化ってやつです」

 

 

なんか違くねそれ。

 

 

「てなわけで。ついてきてくれますか?」

「あ、あの……」

「大丈夫よ。さっきも問題なかったでしょ?すぐ会えるから」

「……うん!」

 

 

カラカルに頷き、てとてと歩いてスタッフさんの方へ向かう。浴衣だから歩きにくいのかもしれんな、歩き方が内気の中学生みたく幼く感じられる。

 

 

「いつの間にそんな仲良くなったんですかぁ、なんか羨ましい!」

「まぁまぁ、そう落ち込むなって。まだチャンスはあるんだからさ」

「そのフラれた人への慰めみたいな言い方やめてくださいよ……さ、もう行きますね」

 

 

がっくりと項垂れながらも、少女と手を繋げたことで若干だが元気を取り直せたようだ。めんどくさいことになる前に解決してよかったよほんと、この人がスタッフ恒例のケモナーだったらこれじゃ済まないからなぁ。

 

 

「あ、あの……またあとでね、ふたりとも」

「おうよ。また後でな」

「ちゃんと言われたこと守りなさいよー」

 

 

お前はあの娘の母親かとツッコミたくなる場面だったがそれは我慢して、お風呂場の通路を通る二人を見送っていく。

 

 

「……はぁ、今思い返すとなかなかに恥ずかしいこと言ってたわね私……」

「なんかライバルを説得する主人公的なポジションだったな。クライマックスの」

「なにそれ、下手な例え」

 

 

良いだろうが……さて、もうやることがないわけだが。このまま寝ても良いんだけどさっき寝たせいで微妙に眠くないしな、またゲームコーナーにでも行って暇を潰したりするのも一興か。いやでもそれだとカラカルにボコられる可能性が……

 

 

「ねぇトツカ……さっき、言おうとしてたこと、なんだけどさ」

「ん、なんだっけそれ」

「ほら、スタッフさんにあの娘をお風呂にいれてって言われる前。ちょっと来て」

 

 

あぁ、そういやなんかそんなこともあったな、なんて思っていると、カラカルはさっと立ち上がり俺の手を取って歩いていく。細い通路を真っ直ぐ進んで、奥の突き当たりで角を曲がり、視界の左手に映り込んだその場所は、畳を敷き詰められた休憩スペースだった。

そこに俺を待たせて何処かへ行くと何やら小さいものを手に包み込んで戻ってくる。

 

 

「はい、これ」

「これって……」

 

 

流れる様に手渡されたそれは、おそらく竹か何かの樹皮で作られていた。表面に残る繊維の方向に細長く、片端は少し上を向く様に曲がり、もう片方は羽毛を丸めた様なフサフサの球体を持った肌触りの滑らかな一本の手のひらサイズの棒。即ち、これは極一般的に言われるところの──

 

 

「……何で耳かき棒?」

 

 

──耳かき棒である。

 

 

「何でも何も、耳かき棒っつったらやることは一つに決まってんじゃん。さっきトイレに行く時にそこのラウンジで見つけてね、取ってきたんだー」

「そうじゃなくてだな、俺の耳ってそんな汚れてるか?」

「はぁ?……あぁ、違う違う。私の耳、掃除して欲しいの」

 

 

思わず、今度は俺が「はぁ?」と言いそうになった。

 

 

「自分でやりゃ良くないかそれ」

「えぇー?連れないなーほんと。ねっ、一回だけでいいからさっ。てか、そもそもトツカは私にたっくさん借りがあるんだしー少しくらいはー返して欲しいよねー」

「ネチネチ言うなって、やらないとは言ってないだろ。わかったから」

 

 

取り敢えず畳の上に正座して、カラカルが横に座るのを待つ。にしても耳かき、耳かきねぇ……実は自分以外にしたことないなんて一言も言えない。ウチの猫に耳かきしたことはあるけど、あれは人間の耳かきとは全然違うし。

 

 

「よっ……と」

 

 

ぽすっ、と擬音がつくような雰囲気で、カラカルは寝転がった。なお、その身体は俺の右側にだらりと伸び、その頭は俺の太ももに乗っかっている。真上を見つめる瞳がこちらを向き、視線が合う。

 

 

「……うん?何故に膝枕なんです?」

「えっ……違った?フツーに正座だったから待ってるのかなって」

「出来れば横に……あ、やっぱそのままで。この方がやり易いかもしれんわ」

「そっか」

 

 

言われてみれば、正座して耳かきって膝枕のイメージが強い。どっちにしろ初めてだから構わないんだが……えーと、どれどれ……あ、そんなたまってないなこれ。まぁいいや、適当にすっか。

 

 

「それで、どっちからすれば良い?」

「あー……えっと、右耳から。お願いね」

「あいよ」

 

 

太ももの上でもぞもぞと動いて顔の右側が現れる。む、耳に髪の毛が重なって穴が見えない、どかして、っと……あ、勝手に触って大丈夫だったか?いや、怒られてないしセーフなのか。にしても滑らかだなこいつの髪、触ってて心地良い。あんま触ると怒られそうだけど。

 

 

「念のため確認するけどさ、獣耳の方は」

「入れたらぶっ殺すわよ」

「はい」

 

 

怖っ……何で急に殺意剥き出しなの?

内心で怯えつつも顔には出ない様に耳、というか耳たぶを触る。押さえ込む様に上からそっと手を当てると、気持ち良さそうに目を閉じた。顔だけ見れば最高なのになぁ、こんな可愛い顔から「ぶっ殺す」発言が出るんだもんなぁ……

 

 

「……じゃ、入れるからな」

「んっ…………」

 

 

棒の上の方を持って、そーっと中に入れていく。まずは浅い部分を撫でるように、壁を優しく擦り付けながらくるくる回す。皮膚に当たると、時々じめっとした感覚が耳かき棒越しに伝わってくる。

 

 

「若干、湿ってんな……あと耳があったかい」

「そりゃ温泉にっ、入った後だかっ、りゃね……」

 

 

話を適当に聞き流して、手は休めずに動かす。耳垢のところまで来たら一旦止めて、今度は掬うように……うし、そんで取れたら落ちないように上へ持ち上げて……

 

 

「んぅ、あっ……んぁ……」

「こらこら、暴れんなって。俺だってまだまだ不器用なんだから下手すりゃ刺さるぞ」

「わかってるけど、ん、なんかくすぐったくてぇ……ちょっとしたら慣れるからっ、あぅ……」

 

 

呆れながら聞いていたがどうも本当だったようで、しばらくは所々あたる度にくすぐったくしていたが、段々と回数も減り落ち着いてきていた。とは言うものの、浅い部分にはもう耳垢もないし、もうちょいしたら奥の方を掃除するか。

 

先端で壁をそーっとなぞる。それに呼応するように、身体が少しだけ、震えたりくねったりと様々な動きを見せる。こういうとこはやっぱり猫なんだなと、普段感じない分しみじみ思う。

 

 

「奥に入れるから、あんまり動くなよー」

「あ、それなら耳の壁が痒いんだよね、やってくんない?」

「お前なぁ……わかったよ、乗り掛かった船だしな」

「ふふっ、ありがと」

 

 

傷付けないよう配慮して、穴の奥へ……と行きたかったがなんか怖いので、だいたい入り口から1センチくらいの場所まで耳かき棒を滑り込ませる。暗くて中の様子がわかりにくいが、そこら辺はもう『感覚頼りに』としか言い様がない……おっ?なんかひっかかった感触がする、微量だけどはみ出してるなんかがある気がする。となればそこを集中的に攻撃するのみだ。つついたり、引っ掻くように動かしたりして、っと。

 

 

「かり、かり…………あ、取れた。ふへへ」

「……何言ってんだか」

「あぇ、どした?」

「何でもないわよ……」

 

 

なんだったんだ……?まぁいいや、続きを……

 

……む、細かいのが邪魔で奥が見にくい。何回擦り付けても掬い上げるとすぐぼろぼろ落ちて、なかなか取れない……それだけならまだしも、放って置くと先端が見えなくて邪魔だ。何ともめんどくさいヤツだな……うぅ〜、取れなくて歯痒いぃ〜……!あぁ、もうっ!

 

 

「カラカル、ちっちゃいの飛ばすから息入れるけどいいよな」

「えっ?息入れるって、それは流石に……」

「あーはいはい、小言は後で聞くから」

 

 

ふうっ、と息を吹き込む。吐息が皮膚に触れると、太ももの上で顔が微かにビクンと跳ねた。よく耳を澄ますと「んぅ〜……」と声になってない声が聞こえる。……やり過ぎたか。

 

 

「……あんた、覚えといてよね」

「ははは、中が良く見えるなー、なんて……」

 

 

無視して耳かき棒を再突入させてカリカリとかき回してやると気持ちよかったのか、俺を睨んでいた目を別方向に向けて押し黙る。それを一旦の休戦と捉えて、そのままお望み通りに擦り続ける。まぁ、小さいのを飛ばして見てみたらもう無かったから、本当に擦ってるだけなんだが。

 

ん……これで十分かな。あんまりやっても炎症になりそうだし。てな訳で次は……あ。

 

 

「……梵天、する?」

「えーと……うん」

「りょーかい」

 

 

そう言えばこの耳かき棒、端に梵天が付いていた。耳かきなんて初めてだし、された記憶もあるにはあるが相当昔だからなぁ。そもそもこれの名前『梵天』であってたっけ。

 

暗くてあまりはっきりとは見えないけれど、この梵天は羽毛が多いようで耳の中で壁に当たると柔らかくバウンドする様な心地が手から伝わってくる。それを押したり引いたり、時に回したりして耳をくすぐる。ここまでくると敏感なところはだいたい把握できたので、そこを重点的に刺激。カラカルも慣れたとは言えど何回か心地よさそうな声を漏らしていた。ただ唯一の欠点なんだが、カラカルの吐息が脚に当たってすごいくすぐったい。

 

 

「はーい、梵天終わり。顔、こっちに向けて」

「んぅ、うにゃっ……と」

 

 

ぐるりと顔が半回転し、俺の腹部とカラカルの顔が向かい合う。その表情はなんとなく赤みが増している様に見えるが、眠そうかというとそうでもなさそうだ。

 

 

「はい、あとは左だけだから。ささっと終わらせてね、少なくとも私が寝る前に」

「なんだよ、別にここで寝ても俺は構わないぞ」

「膝枕で寝るお子様はあんたとサーバルだけで十分よ、ばーか」

 

 

うっ、それを言われるとなぁ。膝枕で寝たのも事実、しかもその枕になった張本人が目の前にいるわけだし。何よりサーバルもかよ。

 

悲しみを感じつつ浅いところへ先端を当てていく。こちらも普通にきれいだが、できるだけ多くの面積に当たるように大きく撫でて……いや、弱く押し当てる感じか。カラカルの表情を見るにその方が良さそうだ。

 

 

「ねぇ」

「おう」

 

 

数分経って、カラカルが口を開いた。それまでもなんか変な声を出してはいたがそれらとは違う、普通に『話しかけられた』と感じられるようなトーンだ。集中はしていたが周囲が静かだったおかげもあり自然に反応できた。

 

 

「あの娘……うまく、やってけるのかな。私、助けられたかな」

 

 

ただまぁ、話の内容には少し驚いたけど。

 

 

「なに弱音吐いてんだ、悔しいけど十分カッコよかったぞ」

「そうじゃなくて。……怖いんだ。あの娘のこと、ちゃんとわかってないかもしれなくてさ」

 

 

浅い部分の掃除を終え、いざ深い所へというときにだった。話の趣旨が掴めず、一瞬だけ耳かき棒を止めた。一応何事もないように先を続けたけど、頭の中ではまだ混乱している。怖い?どういうことだ?

 

 

「大口叩いたくせに、実はなにも出来ないんじゃないかって。あの娘が最初に、仲間のことを話した時……なにも、できなかったから。見ているしかなかったから」

 

 

そして、ゆっくりと語った。短い話だが、なんでも俺が眠っているとき、あのかまくらの中であの娘がちょっと暴れたらしい。なるほどだからかまくらが壊れ俺は雪に埋まっていたわけだが、その理由は先ほど温泉で彼女が語った通りだ。そしてカラカルは、その時の彼女の気持ちをわかっていなかった、と。

 

 

「けど、今はわかってるんだろ」

「わかってるから怖いの。なにか……なにか、入り込んじゃいけないところまで、来ちゃった気がして。あんたは……トツカは、どうなの?」

「俺か?」

 

 

いや、どうと言われても。

 

 

「そう、だな……確かにあの娘はちょっと特殊だけど、問題無いんじゃないかな」

「特殊かしら……私は、違う気がする。私もあの娘と、同じ、なのかもいれない」

 

 

段々と、声量が小さくなっていた。あの時の威勢は跡形もなくて、今だけはか弱く打ちひしがれた一人の少女だった。

 

 

「今日1日、とくにさっきのドタバタで、ホントに怖い思いを何回もした。だけど……一人になった時が、一番怖かった。それこそ、あんたを置いてった時にだって足が竦んじゃってさ。今に思うとバカみたいだよね、いつもは気がつかないのにこういう時ばっかりって。でも……」

 

 

言うべきことばが見つからない。何を言っても逆効果になりそうで、口が回らない。もっといい性格したかったなぁ。

 

 

「……あの娘の話を聞いて、少し、考えた。みんなが……サーバルやアフリカゾウ達が、仲間が私の前からいなくなったら……私はどうなっちゃうのか」

 

 

どこか悲しそうに、でも無気力とも取れる様な表情で言い放った。後悔を言葉に変えて放たれる言葉はただただ苦しさだけを持っていた。

 

 

「それで、あの娘が体験してたこと、あの娘が感じた怖さ……孤独、って言うのかな。それを本当にわかってた訳じゃ、なかったのかもしれない。そう感じて……私、ホントに、なんでこんな……」

 

 

言葉が途切れた。何と言おうとしたのかはわからない。そもそも俺はこういった雰囲気が苦手である。漫画の主人公みたくカッコいい台詞を言えるわけでもなければ寧ろ場の空気に流されて閉口するモブキャラポジションにいるような性格の俺に、一体何を求めてるんだこいつ。

 

 

「……ごめん。私らしくもないよね、こんなの。だけど、あの娘の話を聞いてたら……いつかは言わなきゃって思って」

 

 

その言葉を最後に、カラカルは黙ってしまう。急に静かになってなんだか息苦しく、気を紛らわせようと一旦抜いて梵天に変えた。

 

 

「その……なんだ。そういう難しい話は、これから考えていけば良いと思う。力になれるかは知らんが」

「良いわよ。もとよりあんたの力なんて信用してないし」

「うぐっ」

 

 

シリアスだったのにいきなり雰囲気戻ったな……

 

 

「だから……約束、して」

「約束?」

「うん。サーバルにもしたんだから、私にも」

 

 

 

「絶対……私から、消えないで」

 

 

 

緩いペースで動いていた腕を、はたと止める。数秒の間を置いて、ゆっくりと気づかれないように優しく外へ引き抜いた。

 

そして──

 

 

 

「ふぅーっ!」

「ひゃあっ!?」

 

 

 

──思いっきり、耳に息を吹き込んでやった。

 

 

「わわっ、こっ、このバカ!いきなりなにすんのよ!?」

「そっちこそいきなり暴れんなって。ったく刺さったらどうするつもりだ危なっかしい」

 

 

あらかじめ抜いておいたから良かったものを……

 

 

「……んで、答えはイエスだ。だいたいさぁ、そんなの言わなくたってわかんだろ?ばーか」

 

 

怒りぎみに俺を睨む可愛らしいおでこに向かって、ぱちん、と弱くデコピンする。まぁ、根本的な解決には至ってないんだろうけど……今は、これで良いかな。

 

 

「あいだっ」

「さて、これで耳かきも終わりだ。時間もちょうどいいし」

「んむぅー、なんかうやむやにされたしぃ~……」

 

 

珍しく膨れっ面になった相方は置いといて、壁に掛けられた時計の針をみる。自分ではそんな気は全くしていなかったが、時計が正しけりゃ既に三十分弱耳かきをしていたようだ。

 

 

「ま、そうね。今何してるか見に行ってみましょっか」

「普通に検査って言ってたけど、変なこと吹き込まれてたりしないよな……」

 

 

洗脳とかされてなければ良いが……と思っていると、カラカルは上体を起こしながらぱっと耳かき棒を俺から奪い、自分の胸ポケットに入れて立ち上がった。別にそれくらい俺が返すが、と思ったが、めんどくさいので放置して服を正しておく。あ、今気づいたけどずっと正座だったのか、よく耐えたな。これも猫の柔軟性のおかげか。

 

 

「……トツカ」

「猫ってすご……ん、なんだ?」

「あ……ううん」

 

 

こちらを見ることなく話しかけてきたカラカル。どこかずっと遠くを見つめながら、目を瞑って微笑を浮かべた。

 

 

 

「約束守らないと、怒るからね」

「……おお、こわいこわい」

 

 

 

……ほんっと悪い笑顔してるよ、お前ら。




※3月25日 18:58
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