平凡人間の転生守護獣日記   作:風邪太郎

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第6話 突撃!隣のBEST FRIEND(オトモダチ)

なんやかんやで数分後。

 

 

「わぁ〜、たっかーい!」

 

 

最初こそあんなにブルブルと震えていたサーバルも、いつの間にか恐怖心をどこかに投げ捨てていたようで、完全に空の旅を楽しんでいた。まあ、動物である以上空を飛ぶことはまずないしな。それにネコって高いとこ好きそうだし。

 

 

「そうだな、本当にザ・絶景って感じ」

「だよね!すごいよ!」

 

 

かくいう俺もかなり満喫していた。空を飛ぶっていうのは、まぁ飛行機になら乗ったことはあるが基本人間にはまずできないわけだし、何より風が当たったりして色々と新発見が多い。

 

ちたみに、今は広大な草原へと山の方から思いっきり滑空している。それでたまに普通に飛んでる鳥にも会うんだが、その度に自分が今地に足をつけていないことに気がつかされて、なんか楽しいんだよな。

 

 

「ところでさ、これどこに向かってるの?」

「向かってるとこ?……あー、思いつきで飛んだから特に決めてなかったな」

「あ、そっか。まぁ私はこうやって飛んでるだけっていうのもいいと思うけどねー」

「こらこら、そんなに暴れんなっての」

 

 

 

言われてみれば、サーバルの一言でとっさにしたことだから、全然後先考えてなかった。

ここってサバンナみたいなとこだから、あんまり長居はできないし、何か名所とかがあるってわけでもなさそうだしな。実際に歩いたからこそわかることだ。

 

 

「このまま戻ってもいい……んだが、せっかく散歩するって言ったしなぁ」

 

 

そうだ、サーバルに聞いてみるか?意外と面白そうなとこ知ってそうだし、さっき案内するって言ってたもんな。

 

 

「なぁサーバル、何かここら辺って……」

「何もないよー?」

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「……マジ?なんかこう、サバンナの魅力とかは?」

「ふっふーん、ないんだなぁそれが!」

「栃木県か!いやネタが微妙にわかりにくいな!」

 

 

いやうん、そもそもそんな自慢げにいうことでもないよね。つか、思い付かないならまだしも、なにもないってそれはそれでどうなんだよ……

 

 

「あ、今私のことガイド能力ゼロだって思ったでしょー!」

「自覚はあるんだな」

 

 

確かにサバンナだから草と木しかないけどさぁ。それは昨日でいやというほど味わったし。

 

 

「むぅー、それなら今から面白い場所探して見返してやるんだから!」

「おう、頼むぞー」

 

 

全力で地面を凝視し始めたサーバルをよそに姿勢を維持して飛び続ける。「探す」って言ってたけど、大丈夫だろうか。そんな簡単に見つか……

 

 

「あっ!」

「お、どうした、見つかったか!?」

「いや、あれ!」

 

 

サーバルが指した先は、草原に生えた単なる一本の木だった。正確には、サーバルがその木を指で示したのは、別のところ──その枝の上に見えるもの達に理由がある。

 

あんまり小さいからよくわからないが、あれは多分……

 

 

「……人影、だな」

「多分他のアニマルガールだよ、会いにいこ!」

 

 

なるほど、他のアニマルガールか。そういえば俺まだアニマルガールはサーバルと四神にしか会ってないんだよな。あれ、もしかしてアニマルガールって遭遇率低いのかな。

 

まぁなにはともあれ、何事も経験だ。

 

 

「うし、そっちに角度変えるぞ」

「レッツゴー!」

 

 

 

~数分後~

 

 

 

俺たちは目標の木に向かって進んでいた。少なくとも、今は鳥がいないくらいには低空を飛んでいる。一応あまり速度を出さないように注意して滑空しているんだが、意外と早く慣れたな、これ。

 

 

「あぁほら、見えてきたよ!もう少しだ!」

「んにゃ、だから暴れるなっての!落とすぞ!」

「ふみゃあっ!?わ、わかった、暴れないから!」

 

 

距離が短くなるにつれて、その容姿がだんだんとわかってくる。

 

オレンジとも赤とも言えない、俺たちに似たアイドルのようなひらひらの服を着て、やはり大きく先の別れたような耳、そして尻尾という動物の特徴を持った人影。

 

 

 

「おーい、おはよー──」

 

 

声をかけられ、橙色の髪が揺れる。

 

透き通る色白の顔がこちらを覗くと同時に──

 

 

 

 

 

「──カラカル!」

 

 

 

──『カラカル』。サーバルはその少女を、確かにその名で呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の  の  の  の  の  の  の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラカル──カラカルキャットのアニマルガール。その限りなく元の動物に近い姿、例えばしなやかな体と特徴的な耳などは、さすがアニマルガールの表現力、といったところか。

 

そして何より彼女、アプリ版「けものフレンズ」の主要キャラである。立ち位置とか性格とか完全に忘れてるけど、まさか転生から2日で主要キャラ達にぽんぽん会えるとは……あれ、これストーリーに巻き込まれる可能性大じゃない?うっわめんど……巻き込まれないことだけを祈ろう。

 

 

「えっ、サーバル──」

 

 

そんな無駄なことを考えている間にも、「美少女」という言葉がピッタリと当てはまる美しい顔がこちらを向き──

 

 

 

 

「──どこにいんのぉ!?」

 

 

 

──一瞬のうちに驚愕の顔へと変貌して、明後日の方向を向いた。

 

 

「待って待って、この声ってサーバルよね?どこにいるの、見えないんだけど!?」

「カラカル、こっちだよー!まったく、耳も目も悪いなぁ」

「えらく毒舌だなお前……」

「えっちょっ、誰ぇ!?」

 

 

んー、ちょっと混乱させすぎたな。いや大体サーバルのせいなんだけど。にしてもすごい取り乱してるし、ってか気をつけないと本が……

 

 

「って、見つけた……って浮いてるぅ!?っきゃっ、なあわわわっ!」

「あ、カラカルあぶな……」

 

 

ドシン!

 

 

……落ちたわ。

 

 

 

~閑話休題(それはそれとして)~

 

 

 

一旦地上に立ち直した俺たちは、カラカルにも降りてもらって本を(サーバルが)拾いつつ再度面会した。

 

 

「えと、トツカさん、だっけ。気付かなかったわ、まさか空だったなんて。あなたって見た感じネコ科だけど、飛べるのね」

「ちょっと違う、かもしれないけど、一応」

「すごいでしょー!」

 

 

おう、そしてなぜお前が自慢げなんだ、お前なんもしてねえだろ。俺に抱きかかえられてたうえに最初の方涙目だったくせしてよく言うわ。

 

 

「そんなこと言って、どうせサーバルは抱えられてる間は涙目だったんじゃないの?」

「んにゃっ!?そ、そんなことないよ」

「ほんとー?ねぇねぇ、この子飛んでるとき怖がってたわよね」

 

 

おおう、俺に聞きますかそれ……カラカルの質問、だいぶ的を射てるな。

 

 

「……まぁ、否定はしない、です」

「と、トツカぁ!?」

「ほら、当たりじゃない。やっぱ怖かったんでしょー」

「こ、怖くなかったもん!」

 

 

……たかが一回怖がっただけでここまでいじられるものだろうか。そのセンスは一体どこから来てるんだ。

 

 

「まぁいいけど。あんたはさっさと本を集めなさい」

「うぅー、いじられた挙げ句こんなぁ……謝ったから許してよぉ」

「いぃーやぁーよ。恨むなら自分のドジを恨みなさいよねー」

「ドジじゃな……うにゃっ!」

 

 

ドシン!

 

 

「あぁほら、また転んでさ。やっぱりドジじゃない」

「んもー!くそぅ、くそぅ!」

 

 

……あっちは放って話を戻すが、やっぱ滑空は飛ぶのとは違って位置エネルギーが必要だし、そこらへんやっぱり不便って感じだな。ないよかマシだが。

 

 

「……ん、これは……」

「あら、気になる?全部この前借りてきた本なんだけど。まぁあなたは生まれたばっかだから知らないか」

「あぁいや、ある程度は知ってますよ。……深くは聞かないでほしいけれど」

「ふーん……」

 

 

にしても、図書館なんてあるのか。字の扱いとかで寄ることになるかもな、特に俺。カラカルもついさっきまでずっと読書タイムだったってことか……なんか悪いことしたな。

 

 

「別にそんな、悪いことしたみたいな顔しなくていいわよ。この程度のアクシデントはサーバルで慣れっこだし」

「はぁ。じゃあ、取り敢えずは気にしませんが」

「ええ。あとそんな畏まらなくて大丈夫よ、口癖ってんならなにも言わないけど」

「そ、そう?あそっか。んじゃまぁ普段の口調で話すが……うん。よろしくな」

「そうね、こちらこそ。私も軽い感じで話すから覚悟しといてね」

 

 

んー、しまったなぁ。やっぱり敬語で話すのはアニマルガールとしては考えすぎなんだろうか……あ、雑な敬語の癖にとか言うツッコミはなしな。ただ、ここら辺は今後の課題とするしかないな。この初対面でのラフさは、前世からの性格故、慣れにくいかもしれんが。

 

 

「あ、これこの前借りたやつの続きだ!読んでいい?」

「自分で借りて……って普段なら言ってるけど、今日は特別に、読み終わったから読んでいいわよ」

「わーい、ありがとカラカルー!それじゃ遠慮なく読ませてもらいますよーっと」

 

 

一人で考え込んでいる間に、サーバルがその辺においてあったいくつかの本のうち一冊を手に取った。「この前借りた」っていうことは、サーバルも本を読んでいたってことか?読書は動物はできないし、そう考えるとそこもアニマルガール化の恩恵だよな。

 

 

「今更だけど字、読めるんだな」

「うん、ガイドさんとかに教えてもらってね」

「日本語ならある程度って感じかしら」

 

 

サーバルも言ってたが、最初から読めたり書けたりじゃないのか。だがそうなると疑問なのはどれくらいかけて書けるようになったのか、だよな。一応元人間だし、読むのはともかく書くのはなんとかしないと。

 

 

「まぁ私たちばっかり読んでてもあれだし。あなた……トツカも、なんかテキトーに取って読んでていいわよ」

「ん、ありがとな。えーと、どれに……」

「あ、私の分取ってなかった。ごめん、私も選んでいい?」

「俺が借りたもんでもないからな。別に構わないぞ」

 

 

しっかし、読んでていいとは言われたものの、本なんざ最近は読まなかったから、何を選べばいいのやら……お、これは。

 

 

「……詩集、か。いいかもな」

「え、詩集?」

 

 

突然、隣で本を選んでいたカラカルに声をかけられる。

 

 

「あぁ、多分詩集だな、これ。なんかおかしいことでも?」

「いや、詩集は借りた覚えがなくて……あ、この前返し忘れたのかも」

 

 

返し忘れた?……あぁ、そういや図書館から借りてるんだっけ。

 

 

「そういえば、んみゃっ、この前カラカルそれ借りてたよね。返し忘れたんじゃない?」

 

 

と、今度は枝に乗っかって本を読んでいたサーバルの声。

 

 

「あーマジかー。めんどくさいわねー……たまにはサーバルが返してきてよ」

「えー、借りたのはカラカルじゃん、カラカルが返さないとダメだよ!」

「カードさえ持ってけば本人じゃなくても返せ……あ、あんたカードなくすからやっぱなしで」

「えぇ!?返さなくていいのは良かったけど、なんか負けた気分……」

「負けてんのよ」

「うぅー!」

 

 

……まぁいいや。とにかく俺はこの本を……

 

 

ズリッ

 

 

……しまった。手先が不器用すぎてページを開けん。くっそぉ、これは計算外過ぎるぞ……

 

 

「なにしてんの?」

「あぁ、えーと、まぁいろいろあって」

「……開けないのね」

「……恥ずかしながら」

 

 

口ではあれだが内心恥ずかしさでいっぱいである。そりゃあたかだか「本を開く」だけという行為にこんなに苦戦してるわけだからなぁ、恥ずかしくないわけがない。あーあ、今どんな顔してんだろ、俺。ものすごく見たくない。

 

 

「まぁ気にしなくていいわよ、私たちも最初はそんな感じだったから。んしょ、っと」

 

 

そう言うと、今度は草原の上で俺の隣に座る。

 

 

「とりあえず今は、私がページを捲ってあげるから」

「んぇ、いいのか?のそれはそれで迷惑かけてるような」

「いいのいいの。私も同じ本読んでるって考えればさ」

「あ、それなら私も混ざりたーい!えいっ」

「あっ、こらっ」

 

 

そして、サーバルも半ば乱入するような形で俺の隣に座った。

 

 

「もう、急に飛び出してきて。本は片付けときなさいよ」

「だいじょぶだいじょぶ。ちゃんとそこに、重ねてあるでしょ?」

「あら、本当だ。ならいいけど、へんに暴れないでよね。ほら、端のほう持って」

「んふふ、りょうかいりょうかーい!」

 

 

サーバルにも見えるように本を持つ位置を変えながらカラカルが言う。ここまで見た感じ、サーバルに対して結構辛辣なんだな……お陰というとあれだが、なんとなくどういうキャラだったかは思い出せてきた。

 

 

「じゃ、1ページ目、行くわよー」

「どんな内容かわくわくするね!」

「いや、詩集なんだけどな」

 

 

 

 

その後、空腹になってジャパまんを貰いに行くまで、結局読書に没頭していた俺たち3人なのであった。




ミライ「あれ、なんか私の筆記用具入れが散乱して……ってなにこのビリビリに破れた紙!?」

※12月18日 書き直し
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