OrderMaid-オーダーメイド-   作:神野伊吹

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恋愛モノを書いたその指で絶望を描く。


Invader

【旧オーストリア領】

 

カイン=ハロルドがミーシャ=キルシュタインから伝えられた情報は全ての騎士に共有された。

その事実は多くの騎士に衝撃を与え、そして心を苛ませていた。

 

「ぁーぁー...人間かよ...」

 

ここ旧オーストリア領の守護をするジェームス=ホーキンスもその一人である。

多くのM.A.R.I.A.を破壊してきた彼であるが、有人機という可能性を考えなかったわけではない。

だが、考えたからといって攻撃を止められるはずがなかった。

愛機であるPalomidesを守るため、自身の背後にいる多くの人を護るため。

「クソが...戦争かよ...!」

そんなつもりではなかった。

戦争などクソ食らえと以前から考えていた自分が、気付いたら戦争をしていたなど笑い話にもならない。

では、もう戦うのを止めるのか。

答えは決まっていた。

多くの命を背負っている。

敵は容赦なく現れる。

護れるのは数少ない騎士だけだ。

「分かってるよ...やらなきゃいけないのはよ...」

多くの命の為に幾つかの命を犠牲にする。

それが敵であってもだ。

《テキエイヲカクニン》

Palomidesのメイドが反応する。

これがAIで無かったら苛立ちに任せて殴っていたかもしれない。

「くるんじゃねぇよ...!」

レーダーの示す先には重装型M.A.R.I.A.が2体。

(あぁ、この戦いを終わらせてくれ...)

神がいるなら祈るだろう。

話が通じるなら求めるだろう。

だが、そんなモノはいないし、話が通じる相手ではない。

「俺達に何の恨みがあるんだよぉ!!」

叫びは虚空に飲み込まれる。

 

 

『恨みなんてないさ』

 

 

はずだった。

「っ...!?」

『妙に進行率が悪いと思ったら...なんだ、お前らも戦闘用兵器持ってたのか』

重装型M.A.R.I.A.のすぐ上に天使のような"何か"が見える。

羽のようなものがあり、手には死神が持つ鎌のようなモノ。

そのアンバランスさが妙に恐ろしく感じる。

「なんだ...ありゃ...」

M.A.R.I.A.の後ろに降り立った"ソレ"はなんなのだろうか。

『さぁ、助けを乞え。お前達を救うかもしれないぞ?』

誰に言ったかは不明だった。

だが、反射的に回避行動をとったのは運が良かっただけだろう。

「く...うっ...!」

それでも相手は重装型。

至近弾でも装甲をもっていかれる。

「誰だテメェ...!」

体勢を立て直しながらも怒鳴り付ける。

だが返ってきた言葉は自身に対するものですら無かった。

『なんだ...独自の兵器かと思えばα‐100型...我々の試作機ではないか! ハハハハハ! この程度の文明だったか!』

滑稽だと言うように。

人間を人間として見てないように嘲笑うソレは余りにも恐ろしい存在に見えた。

勝てる相手ではない。

今の会話をデータとして記録し本部に送る。

きっと、自分は生き残れない。

そう感じたから。

 

『あぁ、失礼。私はイシュシス。君達が言うところの平行世界から来た。この世界は我々が貰う』

 

そうか、と。

名前は聞き取れなかったがそうなのかと納得した。

奴等にとって自分達は原住民でしかないのだと。




Palomides
旧オーストリア領を守る騎士。
旧オーストリアの国旗に合わせ、赤と白に塗装されている。
ガーディアンは既に破壊されており、シューレを二本持っている。

パイロットはジェームス=ホーキンス。
栗色の短髪の白人。
戦争自体を嫌っており、人を護るだけならと騎士になった。
メイドはAI型でパイロットの要望により様々な記録を解析出来るようにしてある特注。
今回、周囲の音を録音し、本部に送る際、自動で音質を上げ、聞き取れるようにしたものを送った。
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