緑谷出久の中の人 作:アニメ勢
僕が無個性だとわかった次の日急に生えてきたのだ。初めは凄く、それはもう凄く喜んだ。無個性だと絶望してどん底にいたら個性が発現したんだから。
でも、彼曰く個性ではないらしい。無個性脱却を果たしたらすぐさま無個性に逆戻りするというジェットコースターを味わい、僕は泣き喚いてしまった。でもしょうがないじゃないか。突然体の中にまったくの別人格がニョキっとしてきたら誰でも個性だと思うに決まってる。
絶望で首吊る寸前だった僕と、なぜかとても荒れていた彼は三日三晩にわたり喧嘩した。
心の中で罵詈雑言の嵐が吹き荒れ、左腕が勝手に動いてタコ殴りにし、一人二役で喚き散らす。
それを見た母さんが発狂しながら止めに入ったことは今では三人の笑い種になっている。
そんなこんなで僕も彼も落ち着きを取り戻し話し合いを始めたんだ。憑依失敗やら特典がどうのと言って半分以上何を言っているのかわからなかったけどね。ともかく、彼は一体何なのかを聞いた後、僕の現状を彼に話したんだ。
そこで彼は言った。僕を変える一言を。
―――それで? お前はどうするんだ出久?
どうするって、何が。
―――ヒーローになるのを諦めるのかって聞いてんだよ
そ、それは……。
―――うーむ、諦めムードなのか出久ちゃん
だって、しょうがないじゃないか。僕は無個性で、何のとりえもない木偶の坊なんだから。
―――……ま、お前がそう思うんならそうなんだろうよ。でも俺はもったいないと思うぜ
もったいないってなんだよ……。
―――だって、お前はまだ何もしてないんだぜ? 始める前に諦めてちゃなるもんもならないだろうよ
……。
―――一つ聞くぜ、緑谷出久。お前が憧れたものは、憧れた人は、そう簡単に手放していいものなのか?
……。
―――なぁ出久、雄英高校って知ってるか?
え、うん。もちろん知ってるけど何でそんなこと知ってるの?
―――それは一先ず置いといて、だね。そこの校訓知ってるか?
知ってるけど……。プルスウルトラ、でしょ?
―――そう! そうなんだよ出久! プルスウルトラ、更に向こうへ!
―――今ここが! お前が超えるべき壁なんだ! ヒーローになりたいんだろう!? 諦めるには眩しすぎる背中なんだろう!? じゃあこんなところで、スタートラインに立つ前で足踏みしてる場合じゃないだろう!
―――
これが僕の、僕たちの始まり。僕たちのオリジンだ。
緑谷出久
この後通信拳法を始める。習う相手は元プロヒーローらしい。銀行がどうとか……。
彼
憑依失敗して強制二人羽織してる人(非物質)。体の一部を操れるし、その気になれば一時的に主人格にもなれる。