緑谷出久の中の人   作:アニメ勢

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物量が3倍になった課題にジェットストリームアタックしかけられてました
遅れてごめんなさい

誤字報告いつもお世話になっております。ありがと!

今回はご都合主義展開があります
苦手な方はブラウザバックを推奨致します




雄英体育祭:決勝トーナメント 緑谷vs心操

 雄英体育祭第二種目である騎馬戦は熾烈な争いだった…………。

 

―――みんな目ぇ血走らせながら襲ってきたもんね

 

 唯一の救いはねちっこく襲って来ると思っていたかっちゃんが、B組の人をロックオンして中々こっちに来なかったことぐらいか。

 

―――1人だったら即行でボコボコにできただろうに。何であんな時間かかったんだろうな

 

 あはは……。騎馬戦はほら、チーム戦だから。かっちゃんの個人技だけじゃ勝てなかったんだよ、チーム戦だから。

 

―――遠回しに協調性ないって言ってない?

 

 言ってない言ってない。そんなこと言ったら爆破されるから言ってない。

 さて、真面目なことを考えよう。じきに決勝トーナメント一回戦が始まるんだから。

 

―――しかも第一試合って大役だしな。緊張でヘマすんなよ?

 

 し、しないって……。

 そこで僕たちがいる控室のドアが開かれた。そこに立っているのはクラスの中でも仲のいい人物。

 

「あれ? どうしたの尾白君?」

 

 

 

 

 僕は今決勝トーナメントの舞台の上に立っている。プレゼントマイク先生が何か前口上をいって場を盛り上げているようだが耳には入ってこない。それほどに集中している自覚がある。

 

―――…………。なぁ、ホントにやるのか? 正直、分の悪い賭けだぜ

 

 百も承知さ。

 

―――だったら!

 

 でも、ごめん。

 

―――……はぁ。相変わらずのきかん坊で何より。まったく誰に似たんだか

 

 うん、ごめんね。それからありがとう。わがままに付き合ってくれて。

 

―――今更だっての。俺たちゃ一心同体一蓮托生だろうが

 

 

『第一試合、始め!!』

 

 開始の合図。まず僕がやったことは構えることでなく、足を動かして接近することでもなく、口を動かすことだった。

 

「心操君、君の個性について尾白君から聞いたよ。正に初見殺し、凄い個性だ」

「……ちっ、あの猿か。で? 俺の個性を知って尚、お喋りでもしてくれるのか?」

 

 心操君は舌打ちした後、皮肉気に顔を歪ませながら僕に問いかけてきた。

 心操君の個性は洗脳。彼の問い掛けに答えた者を操るという強烈な個性だ。

 だから、もう僕の答えは決まっている。

 

「もちろん、そのつもりだよ」

 

 瞬間、意識が遠のく。それに伴い、体と心が離れる感覚がする。体の自由が、利かなくなる。

 

「…………何だこいつ。真性の馬鹿か何かか? まあいい、楽な試合だったよ。……そのまま場外に出ろ」

 

 そう僕に命令する心操君。僕の体は―――

 

「断る!!」

 

 その命令を無視して一歩進む。先ほどまでの感覚はもうない。

 

「―――……は?」

 

 心操君はポカンとした表情をしている。気持ちは分からないでもない。

 

「っ!! 止まれ!!」

「 イ ヤ だ ! 」

 

 再度の感覚。しかし、それはほんの一瞬だけですぐに解ける。それを確認した僕はもう一歩踏み出す。

 

「!? な、何でだ!! 何で俺の個性が効かない!? どんな手を使ってやがる!!」

「そんなの決まってる!」

 

 半狂乱になって叫ぶ心操君。叫び返す僕に三度目のあの感覚は無かった。

 

 

「心の中での喧嘩は慣れてるから!」

 

 

 そう、つまりそういうことである。

 

―――いやどういうことだよ

 

 試合前に僕たちのところに来た尾白君は騎馬戦で心操君に洗脳されていたらしい。そんな尾白君が言うには、彼の個性である洗脳は対象人物の精神に作用するものらしい。根拠は騎馬戦の記憶が無いこと。もし体の主導権を奪うだけなら意識はあってもいいはずなのに、そうではなかった。意識が遠のき、フワフワした心地になったらしい。

 尾白君が言ってきたことは1つ、絶対に答えるなということだった。精神なんてあやふやなものを弄られては抗うすべがない、だから絶対問い掛けには答えるな。

 だが、こちとらそんなあやふやなモノで喧嘩したことなんて数えきれない程ある。何ならついこの間も、それ関係でビチビチしたばかりだ。あれは大騒ぎになったなぁ……。

 

―――小さい頃は俺との喧嘩が絶えなかったからな。心の中でマウントとるのに慣れてんだろうよ

 

 とまぁ、そういうこと。

 裏谷君も言っていたが、分の悪い賭けだった。心操君の個性に対する考察が間違っていればアウトだったし、よしんば合っていたとしても洗脳に打ち勝てるかどうかは分からなかった。けどまあ結果打ち勝ったから問題ない。

 

「くそっ! ワケ分からないこと言いやがって!」

 

 僕の生い立ちを知らない心操君からすれば、僕は大層理不尽な輩だろう。自分の個性が効かないうえに、それが訳の分からない方法で破られたのだから。

 けど僕には好都合。彼には言いたいことが沢山あるのだ。これで憂いは無くなった! 

 僕は走って心操君に近づいていく。

 今の僕は拳を振り上げていて、今から殴るぞォ! と全身から言葉を発している。

 それを分かっている心操君はもちろんガードする。が、甘い。ガードには隙間が空いており、僕はそこに拳をねじ込み心操君をぶん殴る。

 顔にクリーンヒットを貰った心操君は派手に吹っ飛び、ゲホゲホとせき込む。

 僕はそんな心操君に声をかける。

 

「嫌味に聞こえると思うけど、僕は君を尊敬してるんだ」

「っ! 確かに、嫌味な野郎だ……!」

 

 憎らし気に僕を見る心操君。分かってたけどちょっとショック。この想いは紛れもない本心なんだ。届けこの想い!

 

―――気持ち悪いよ

 

 うるさいよ。

 

「ここまでの活躍見てたよ。良い個性じゃないか、俺のと違って……!」

 

 立ち上がりつつ心操君は言葉を吐き捨てた。

 

「良いよなぁ、お前は恵まれてて! 俺はこんな個性だからスタートから遅れちまったよ!」

 

 あぁ、心操君。その気持ちは―――

 

「分からないだろ! おあつらえ向きの個性を持ってて! 望む場所に行ける奴にはよ!」

「分かるよ」

「っ! どこまで馬鹿にすれば気が済むんだ! えぇ!?」

 

「分かるよ。僕は無個性だったから」

 

「―――……は?」

「中学3年の春に個性が発現したんだ」

「……いや、あり得ない。個性の有無はもっと幼い頃に―――」

「本当だよ。なんなら役所に行ってみる?」

 

 心操君は僕の言葉に呆然としている。まあ荒唐無稽な話だからむりもないかな。

 僕はさらに言葉を重ねる。彼にどうしても言いたいことがあるのだ。

 

「無個性だった頃からヒーローを目指していたんだ、もちろん本気で。……だから分かるよ、周りからお前には無理だって言われる辛さは」

 

 自分の掌を見る。そこには僕たちが積み上げてきたモノが傷という形で現れている。

 

「さっき君は僕の事を恵まれてるって言ったよね。そう、僕は恵まれた。ヒーロー向きの個性を授かったし。何より、僕の夢を後押ししてくれて一緒に歩んでくれている人がいる。……僕は本当に恵まれた」

 

 立ち直った僕を陰ながら支えてくれた母さん、僕の夢を理解して本気で鍛えてくれた師匠、僕には過ぎた(個性)を受け継がせてくれたオールマイト。そしてここまで二人三脚で、彼が言うところの二人羽織で頑張ってくれた裏谷君。

 

「だから、僕は君を尊敬するよ。この恵みがなかったら、たぶん僕はここにいないから」

 

 皆がいなかったら僕はどうなっていただろうか。ヒーローは目指してたと思うけど、心のどこかで諦めていたと思う。

 

「何度も挫折したはずなのに、普通科にいるのに、君は決勝トーナメント(ここ)にいる。諦めずにここまで来た! 僕は君を、君のその心の強さを尊敬してる!」

 

 皆がいなかったら僕はあそこまで努力できただろうか。もしかしたら、入試の仮想ヴィラン相手に足が竦んで動けなかったかもしれない。本当の僕は弱虫で泣き虫だから。

 

「だから君に見て欲しい。無個性だった僕の努力を、僕たちの研鑽を!」

「無個性だった? …………個性は使わないってか?」

「うん。僕が君と同じだった時の僕を見て欲しいんだ」

「……随分舐めたマネするじゃねえか」

「それでも勝つ自信があるからね。こう見えて僕、結構強いよ?」

「はっ! いいぜ見てやるよ。でもな、その隙に俺が勝つ!」

 

 叫んだ心操君が走る。彼は勢いそのまま僕の顔面に殴りかかってくる。

 僕はその様子を見て、()()()()()()()()

 当然のようにクリーンヒットする拳。鼻血が出たのか口元にぬめり気を感じる。でもそれだけ。よろめくことも、のけ反ることもしない。

 

「な、んで。効いてない……?」

 

 そう言って心操君は数歩後ずさる。そんな彼を見て僕は言う。

 

「なんでってそりゃ―――」

 

 今度は僕から距離を詰める。

 

「腰が入ってなかったからね!」

 

 クリーンヒット。彼は勢いよく後頭部を地面に打ち付けた。

 

「HEYHEY! なんだ今のテレフォンパンチ、やる気あんの!?」

「ぐ、っそ! 舐めやがってぇ!」

 

 突進して拳を繰り出してくる。詳細は分からないが、多少は鍛えているらしい。でも逆に言えばその程度。文字通り死にかけながら鍛えてきた僕なら余裕で避けられる。

 現に彼の攻撃は一切当たっていない。

 

「くそっ! 当たりやがれ!」

「それは出来ない相談だね!」

 

 大ぶりの攻撃を外し隙ができる。

 

「だから腰が入ってないって!」

 

 心操君の脇腹をぶん殴る。リバーブロー気味になったそれに、彼は呻きながらフラフラよろめく。

 

「攻撃の時に腰を腰を回して! 肩から先を内側にねじりこむように殴るんだ!」

「う、るせぇよ!」

 

 再度の拳。余裕をもって避ける。耳の近くを通過したそれは風を切る音を残した。思わず口の端がつり上がる。

 

「何笑ってやがる!」

「さぁ! 何でか、な!」

「ぐふっ!?」

 

 僕の拳が鳩尾に突き刺さる。

 しかし彼は踏みとどまり僕の腕をつかみ取った。

 

「なっ!?」

「お望み通り―――」

 

 腕を引っ張られ体勢を崩してしまう。心操君の拳は強く握りしめられていた。

 

「―――腰入れて殴ってやるよ!!」

 

 今までで一番重い拳が迫る。

 

「流水」

 

 僕はそれに手を添える。力の向き、力の流れを僅かに外にずらす。

 心操君の渾身の一撃は僕の頬を掠めていく。

 

「岩」

 

 左腕を後ろに引く。

 

「砕」

 

 僕の強みであるしなやかさ。多少無理な体勢でも十全に技を放てる。

 心操君の顔を見る。彼の眼はまだ諦めていなかった。

 あぁ、やっぱり君は凄いなぁ……。

 

「拳!!」

 

 攻撃と同時に踏み込む。

 踏み込みの強さで技の重さは増す。僕の踏み込みは地面に罅を入れている。その重さが増した拳は、増強型の個性ではない心操君にはキツいものだろう。

 

「ご、っ! がはっ……」

 

 膝をガクガク震わせながら、今にも倒れそうになりながら、彼はまだ諦めていない。

 

「おれは、まだ……っ!」

 

 しかし、体はもう限界だったのだろう。気を失い倒れた。

 

『心操君気絶! よってこの試合、緑谷君の勝利!』

 

 

 

 

 

『いや~! 1回戦から熱い戦いだったなぁ!!』

『あぁ、そうだな。……しかし心操人使、か』

『あん? どうした?』

『いや、ただ―――』

 

 

 

 

 

―――お疲れ出久

 

 うん、お疲れ様。

 

―――最初の一撃避けろよなぁ……

 

 あはは、ごめんね。ちょっとカッコつけすぎたかな?

 …………ねぇ裏谷君、気づいた?

 

―――気づいたって何が?

 

 心操君の攻撃のこと。

 

―――あぁ、それね。もちろん気づいてるよ。段々と重く、鋭くなってたな

 

 うん、そうなんだ。

 僕は退場する足を止め、担架で運ばれていく心操君を見る。

 

―――何笑ってるんだよ出久

 

 え?

 

―――え? ってお前、嬉しそうに笑ってるだろ。試合中にもニヤけてたし。

 

 ………そうだね、ただ―――

 

 

 

 

『―――あいつは強くなる。それこそヒーロー科の連中を脅かすぐらいにはな』

「―――うかうかしてたら追い抜かれそうだから。頑張らなきゃって思ってね」




アニメのvs心操はぐっとくる話で好き

緑谷出久
わがまま言った方
勝てなかった場合は考えていなかった

裏谷
わがまま言われた方
勝てなかった場合は師匠+そのお兄ちゃんの2人でボコボコにしてもらう予定だった

心操人使
好き!
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