緑谷出久の中の人 作:アニメ勢
今回はメチャ確認したから誤字ってないはず……!
雄英体育祭決勝トーナメント一回戦も残すはあと2試合となった。
控室に備え付けてあるテレビを睨み付ける少女が1人。金髪に赤目、高校1年にしては発育した肢体。魅力的な体に劣らない整った美貌、目つきが悪いのが少々マイナスだが非常に絵になっている。まぁ口を開けばその全てを爆散させる罵詈雑言の嵐になるのだが。
決勝トーナメント出場者、爆豪勝己である。ちなみにとある人物にだけは嵐が止むともっぱらの噂。
爆豪が見るテレビでは第六試合が終わったところだった。対戦カードは常闇踏陰vs轟焦凍。開始早々ダークシャドウを突撃させる常闇、対する轟は会場の半分を覆う程の大規模攻撃を繰り出しダークシャドウごと常闇を冷凍し瞬殺。第六試合は僅か数秒で幕を下ろした。
「…………」
第七試合がダブルノックアウトしたのを見届け、爆豪は控室を出て試合会場に向かう。道中で考えることは2つ。
1つは轟焦凍のこと。あの大規模攻撃は誰から見ても過剰なもので、事実試合後常闇とダークシャドウに謝っている様子が中継されていた。実は第七試合が始まる直前、会場に向かう轟とばったり出くわしている。挑発じみた激励を受けてイライラしたことを思い出し舌打ちを溢す爆豪。あの場で会った時は普段通りの様子だったが、試合では見るからにキレていた。別れてから試合が始まるまでの僅かな時間で何かあったのだろう。
……いや、おそらく自分の父親が原因なのだろう。トーナメントが始まる前に轟と緑谷の会話を盗み聞きしてしまった爆豪はそう考える。事実そうだ。轟パパが息子のトラウマスイッチをONにしてしまい、轟ジュニアは見事プッツンしてしまったのだ。ちなみにトラウマスイッチとは轟パパの存在そのものであるともっぱらの噂。
もう1つはにっくきアンチクショウ緑谷出久のこと。あの舐めプ野郎は無事一回戦を突破した。自分がぶっ殺せるチャンスが摘まれなかったことに喜びと安堵の溜息を吐いた爆豪と、それをニヤニヤ見るA組女子陣の様子が見られたらしい。爆豪と緑谷は対戦表の両端にいる為、戦う舞台は決勝になる。そこに辿り着くには苦難が待ち受けているが、爆豪は緑谷と相まみえることを疑っていなかった。
―――何せデクは私が認めた男だ。アイツが決勝に進出することは間違いない。そして私は最強なので優勝が確定している。つまり決勝戦は私対デク……!
「やっとぶっ殺せるなぁ……!」
対人訓練で対戦することが無く、結構モヤモヤしていた爆豪は頬を赤く染めつつ壮絶に嗤う。
一回戦最後の試合、第八試合は麗日お茶子vs爆豪勝己。両者共に会場に上がっており、女子生徒同士の対決とあってか会場のボルテージは今日一番になっている。その圧に爆豪は舌打ちをし、麗日は苦笑いしつつ頬を掻いた。
プレゼントマイクによる選手紹介が続く中、麗日が爆豪に声をかける。
「ねぇ爆豪ちゃんちょっとええ?」
「あ? んだよ丸顔」
丸顔て……、とショックを受けた様子を見せる麗日は咳払いしてから質問した。
「爆豪ちゃんってデクくんと幼馴染なんやんな?」
「……そうだよ。それがどうした」
「…………2人ってめっちゃ仲良しやし、やっぱそういう関係なん?」
「―――…………は?」
たっぷりとポカンとした間抜け面を晒した爆豪は顔を真っ赤にして反論する。
「だっ誰と誰がどんな関係だってぇ!? つかそもそも仲良しでもねぇわ殺すぞ!?」
言葉は汚いが、普段の爆豪からは考えられないほど声の棘が丸くなっている。
微妙に早口になったその言葉に麗日はウンウンと1人頷き、こう言い放った。
「わかっとる、わかっとる。…………やから、余計に負けたくない」
「――――――――」
再度の間抜け面。
爆豪は思う。自身とこの女には歴然とした差がある。いたって冷静に考えて、この試合は勝ち試合だ。証拠に先ほどの道中、この試合について考えることはなかった。控室で充分なシミュレーションをしたから。
正直この女が何を言っているか分からない。分からないが取り敢えず―――――
「ぶっ殺す」
『第八試合、始め!!』
麗日が走る。触れたものを無重力状態にする個性を持つ麗日は接触する為にひたすらに走る。手の届かない距離から爆撃されるだろうが構わない、むしろそれも作戦の内である。
そんな麗日の考えとは裏腹に爆豪は爆速ターボで急接近した。
「えっ!? 嘘!?」
「現実見ろやクソが!」
予想外の行動に反応できない麗日は至近距離で爆撃を受ける。大きく吹き飛ばされた麗日の耳にまたもや爆発音が聞こえてくる。転がる視界の中で空を飛びながら向かって来る爆豪が見えた。立ち上がれない振りをして充分に引きつけ確実に接触する作戦を思いつく。
作戦通りに爆豪が手の届く距離に来る。痛みでうずくまる振りをしていた麗日は素早く腕を前に突き出した。
「っ!」
「甘ぇわ!」
爆豪は下に向かって小さな爆発を起こす。その上で突き出された腕を左手で押さえる。勢いを殺さずそのまま右手で右ストレート。殴った反動で減速する爆豪と後ろによろめく麗日。
「死ねやぁ!」
爆豪は押さえていた左手で後方に、殴った右手で右方向に爆風を起こす。巧みな体捌きで進行方向を調節、麗日の左頬に爆豪の蹴りがクリーンヒットした。
「ゲホッ! 痛つつ……! 流石爆豪ちゃん容赦ないなぁ!」
蹴りで床を転がされた麗日は立ち上がりながらそうぼやく。
「何だ、手加減して欲しいのかよ」
「冗談やない! そっちのが屈辱や!」
「なら問題ねぇな」
軽口を叩く2人だが思考は先ほどの動きを反芻していた。
爆豪の容赦のなさは確かに厄介だが、それ以上に化け物染みた反射神経が脅威だ。タイミング的には確実に接触できたはずだった。それを
そんな麗日を見て爆豪は麗日の評価を上方修正する。重い一撃を見舞ったはずだが、相手は好戦的な笑みを浮かべている。ここまで打たれ強いとは予想外だった。
『負けたくない』
試合が始まる前の麗日の言葉がフラッシュバックする。原因不明のイライラを舌打ちという形で抑え込む爆豪。思わず突撃してしまったが、シミュレーションでは相手の間合いの外から一方的に攻撃する予定だった。爆豪は当初の予定通りに遠距離からの爆撃を始める。
回避できずに爆風に晒される麗日、その姿が煙で見えなくなるまで爆撃は続く。
爆豪は煙が辺り一面に広がったのを見て攻撃を止める。ダメージは与えただろうが、これで倒せたとは考えられない。警戒する爆豪の目に黒い人型が映る。
「はっ! 煙に紛れて奇襲ってかぁ!?」
急接近するその影を爆撃し吹き飛ばす。
「バレてちゃ奇襲の意味ねぇよクソが!」
「知っとる!!」
「っ!?」
煙が晴れ麗日が姿を現す。黒色のタンクトップ姿の彼女を見て、先ほどの影が個性で飛ばされた体操服だったことを察する。
「クソが!」
「届けぇぇええぇえ!!」
手を限界まで伸ばし触れようとする麗日。
麗日にとっての千載一遇のチャンスはしかし、爆豪に前腕を掴み取られることで潰える。
「っ!? これでも、届かんのか……!」
手を伸ばし過ぎて姿勢を崩していた麗日は一方的に殴られる。
顔へのパンチ、脛を強打されてからの鳩尾に突き刺さる前蹴り。後ずさり距離が開いたことで爆破。吹き飛ばされ麗日は無様に床を転がっていく。
「隙をついたとしても、素人の攻撃を受けるほどヤワな鍛え方してねぇよ」
麗日を見下ろす爆豪はそう言い放つ。
麗日は痛みで動けなかった。もとより実力差があることは理解していたが、ここまで有効打を与えることができず一方的な展開になっていることに精神的ダメージを負っている。
絶望的な状況。まるで走馬灯のように思い浮かべたのは少し前の場面だった。急襲したヴィラン相手に果敢に立ち向かい大けがを負ったクラスメイトとの会話。
『え、裏谷君に? もちろん良いよ。ちょっと待ってね』
『うし、お見舞いありがとお茶子ちゃん。んで、俺に用って一体なんだい?』
『何で脳無に立ち向かえたのか?』
『うーん……。初めに動いたのは出久だしなぁ……』
『戦ってる時怖くなかったのかって?』
『そりゃもちろん怖かったよ。できる事なら逃げ出したかったね』
『それでも戦った理由? …………正直よく分からないよ』
『そ、そんな目で見ないでください……』
『―――たぶん、たぶんだけど』
『痛いし怖いし逃げ出したかった、けど』
『それでも譲りたくないモノがあったから立ち向かったんだと思うよ』
「っ!」
―――そうだ、そうだった。私は、私も……!
「私も、裏谷君みたいに…………!」
震える脚を抑え込み立ち上がる。入試の時、彼に助けられた時から憧れていた。自分にはできないことをやってのける、あの姿に。
瞳に炎を宿した麗日は爆豪に向かい走り出す。
「馬鹿の一つ覚えかよ」
容赦なく麗日を爆撃する。あれだけボロボロならこれで充分、もう爆豪の勝利は揺るがないだろう。会場の誰しもがそう思った。
煙から走り出してきた麗日を見るまでは。
「なっ!?」
吹き飛ばされ地に伏してもおかしくはない一撃だった。しかし麗日は歩みを止めない。
「ならくたばるまで爆破してやるよ!」
再度の爆破。しかし麗日は止まらない。
痺れを切らした爆豪は連続して爆撃する。しかしそれでも、麗日を止めることはできなかった。
「クソっ! どうなってやがる!」
幾ら爆破しても止まらない麗日に爆豪は思わず叫ぶ。
もうすぐそこまで麗日は接近している。
今まで両腕で顔をガードしていた為に顔が見えなかったが、近づいたことで顔が見えた。
圧倒的な劣勢、絶望的な状況にあって尚、麗日は笑みを湛えていた。どこかの誰かの様に。
「プルス、ウルトラァァアアアァァア!!」
「さっさとくたばれえぇぇえええぇえ!!」
今試合一番の大爆発。会場の床が何枚も捲れ上がる。黒煙が立ち込め―――――
伸びてきた手が爆豪の腕を掴んだ。
「っ!?」
すぐさま振り払おうとするも異変に気づく。体が思い通りに動かない。体がフワフワする。空中にいる時の感覚とも違うそれに上手く体が動かないのだ。
混乱する爆豪の胸倉を掴む腕があった。良い笑顔をした、麗日お茶子だった。
麗日は爆豪を掴んだまま更に走る。
「ク、ソがぁあ!!」
走る走る、助走をつける様に麗日は走る。
「勝ぁぁぁあああっつ!!!」
目一杯助走をつけて爆豪を投げ飛ばす。無重力状態の爆豪は物凄い速さで場外へと飛んでいく。
足をもつらせ転ぶ麗日。しかしその顔は嬉しそうだ。格上相手に勝ったのだから。これで憧れの人に一歩でも近づけたから。
しかしそれでも。
BOOOOM!!
爆豪勝己は天才だった。
「―――え」
爆音、そして急に影が麗日を覆った。呆然と見上げる。
そこには両手を突き出した爆豪がいた。
「そ、んな―――」
視界に映る小さな爆発と破裂音。そして、油断なく麗日をみる爆豪。
「くたばれ」
大爆発、会場全体を黒煙が覆う。
爆豪は無重力状態から解放され会場に着地した。
―――危なかった
普段と違う無重力に慣れるのに中々苦労した。もう少し慣れるのが遅かったら、なすすべなく場外に出ていただろう。
黒煙が徐々に晴れていく。爆心地には倒れ伏す麗日の姿があった。
「…………」
構えて様子を窺う爆豪。何度も予想外の行動をした麗日に特大の警戒をする。事実、麗日は僅かに動いていた。爆豪に向かうように、這いずって。
「私も…………、私も、まだ…………っ!」
油断なく構える爆豪に手を伸ばす。痙攣して、フラフラしながらも確かに伸ばされたそれは、やがて力尽き地に落ちた。
『麗日さん行動不能! 爆豪さん二回戦進出!!』
かっちゃん浮かしても主導権握るのはかっちゃんなんじゃ?
こう思ったのは私だけじゃないはず、そうだと信じたい
かっちゃん
なかなか手強かった
色んな意味で麗日さんと向き合うことになる
それはそうとかっちゃんが出てくるとタイピングが速くなって凄い
麗日お茶子
この話では麗日さんは裏谷君に憧れています
理由は本文の独白通り
関西圏に住んでるのに関西弁(大阪)が難しくて諦めた
何かおかしい部分があったらゴメンなさい
【驚愕の事実】
今話で自分の気持ちに気づいている人が皆無
かっちゃん→ライバル(間違ってはない)
麗日お茶子→憧れの人(間違ってはない)