緑谷出久の中の人   作:アニメ勢

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誤字報告ありがとやで!
大口叩いたからってわんさか送ってくれて感謝感謝!
めちゃ恥ずかしかったです

誤字報告はいつでも大歓迎!その方がこのSSも良くなるので!



雄英体育祭:決勝トーナメント 緑谷vs――

 眉間にしわを寄せ歯を食いしばりながら、彼は拳を振るってくる。威力の乗ったそれを僕は左腕を使っていなす。すると彼の腕の陰、僕から見て死角になっているそこから追撃を放ってきた。人の胴回りより太い()()を喰らえばダメージは必至。一度いなしている為、腕は使えない。

 それでもなお、僕には届かない。

 上半身を右に捻る。受け流すために使い後ろに流れていた左腕がそれに触れ、受け流す。そして捻ったため引いた形になった右腕を腰の回転を加え、彼の鳩尾に叩き込む。

 

()ッ!」

「っ!?」

 

 僕の攻撃をまともに喰らった彼は大きく吹き飛ぶ。しかし怯んだ様子を見せず、獰猛な笑みを浮かべながらこちらを見てくる。

 

「さ、すがだな。緑谷……!」

「そっちこそ。今のは少しヒヤッとしたよ、()()()

 

 決勝トーナメント準決勝第一試合。尾白君との試合は熾烈な近接戦闘となった。

 

 

 

 

 

『さあさあ! 盛り上がってきたぜ緑谷VS(バーサス)尾白!! なんか、2人とも達人って感じだな!』

『達人ってのは言い過ぎだ。確かにそこいらのプロよりは良いだろうが、まだまだ粗い部分がある』

『あん? あー、そういやお前も接近戦には一家言あるんだったな』

『俺は見る専門だがな。自分でやるのはからっきしだよ』

『んなもんどうでもいいっての! でだイレイザー、この試合どう思う?』

『……そうだな。正直、趨勢は歴然としている』

『マジか!?』

『あぁ。というか、それぐらい少し考えれば分かるだろ』

『分からん!』

『……はぁ』

 

 

 

 

 

 相澤先生の言う通り勝負は決まりつつある。尾白君は戦い方が上手で、強烈な尻尾攻撃がいつ飛んでくるかに気取られると確かな修練を積んだ拳が叩き込まれる。どっちも注意しなくちゃならないのは近接戦闘で大きな負担になる。

 

―――目の前に相手がいるってだけで圧迫感があるもんなぁ。それに加えて死角からの嫌らしい攻撃。神経すり減っても仕方ねえって

 

 僕たちは慣らされたから大丈夫でしょ? ともかく、尾白君は強敵だ。二回戦で当たった瀬呂君とはワケが違う。

 

―――瀬呂はなぁ……。俺との相性が絶望的に悪かったとしか…………

 

 テープをスパスパ斬りつつ近づいてそのままボコボコにしたもんね……。終わったあとのドンマイコールが凄かった…………。

 そんなことより尾白君だ。

 かなり手強い尾白君だけど、()()()()()()()()()()()()()()()()。授業では苦戦したけど、あの時とは状況が違う。あの時は室内で、尾白君は壁や天井を使って三次元的な動きで翻弄してきた。あのアクロバティックな攻撃に苦戦していたけど、この試合会場には壁も天井も存在しない。平地での戦闘を強いられる形になるのは僕にとってプラスになった。

 

―――尾白は戦況を作るのは上手いけど、技の練度は俺たちのが上。選択肢が少ないってのは読みやすいってことで

 

 尾白君の個性は尻尾。強靭な尻尾が生えているだけの個性。尻尾が生えているだけっていうのは動きが読みやすい。

 

―――尻尾があったら当然こう動くよなってのがあるからな。それを補うための手段も封じられてるし、俺たちが有利なのはまぁ当然の帰結って話だ

 

 うん。現に僕たちは無傷で、尾白君しかダメージを負ってない。大きいものは入ってないけど、小さいダメージが積み重なって結構なものになっている。けど、なぁ……。

 

―――あー、やっぱ出久も不安か

 

 だってねぇ…………。尾白君、人畜無害そうな顔してめちゃ頑固だし。この前の組手の時もピンチになってからが強かったし。てか目がイっちゃってたし。

 

―――今の尾白の目はあの時の目と同じだな

 

 だから怖いんだよ。

 さて、このまま受け流しつつチクチク攻撃すれば十中八九勝ちは拾えるけど……。

 

―――んじゃそうするか?

 

 冗談!

 地面を強く蹴り前進する。どうせ勝つなら気持ち良く勝ちたい。

 

―――自分の勝利を疑ってないのはいいけど、あんま油断すんなよ

 

 この試合で初めて自分から前に出る。虚を突かれた尾白君に一瞬の隙ができた。僕はその内に間合いを詰め終え拳を振るう。ギリギリでガードされるが、その腕を掴み引き寄せる。

 

「んなっ!」

「しゃああ!」

 

 姿勢を崩しがら空きになった胴へ一撃、怯んだところを逃さずに連撃を見舞う。最後に顔面に強烈な一撃を見舞う。よろめく尾白君だったが、鼻血を撒き散らしながら反撃して来る。

 

「流水岩砕拳の本領は―――」

 

 迫る左拳に合わせる様に右拳を振るう。尾白君より内側に振るわれたそれは左拳の軌道をずらしつつ相手に迫る。

 

「攻防一体にある!!」

 

 右拳が頬に入る。モロに喰らった尾白君は後ろに倒れこんだ。

 

『緑谷の強烈な一撃が決まったぁ~!! これは勝負あったか!?』

『いや』

―――まだ行けるってか

 

 かなりのダメージを蓄積してるはずなのに、尾白君は何事も無かったかのように立ち上がる。口の中を切ったらしく血を唾のように吐き出している。

 …………ちょっとカッコいいかも。

 少し気を抜いてしまったのがバレたのか尾白君が急接近してきた。そのまま手を振り上げたのでその軌道と着弾点を予測、さっきと同じように受け流しながら攻撃しようとし―――

 尾白君の姿が消える。

 

「!? しまったフェイント!」

 

 勘で下を向く。体を地面スレスレまでかがめた尾白君がそこにいた。

 両手足を地面に着いたその姿から次の手を予測する。上半身を起こしての拳か、蹴り上げてくるか、あるいは全身のバネを活かして跳びかかってくるか。

 そう無意識で予測している僕の視界に線が入り込む。

 

「――ッ」

 

 腕をクロスして防御。なんとか間に合うが腕の骨がみしみし悲鳴を上げている。

 

「重―――っ!」

 

 そのまま上空へ高く打ち上げられる。痛みに顔を顰める僕の耳にパンッと音が聞こえてきた。

 

―――出久!

 

 裏谷君が警告してくれるも時すでに遅く。僕は両腕を尾白君に捕まれ動ける状態になかった。

 

「くっ!」

「やっと、一発!!」

 

 体ごと前に回転させて尻尾を振るってきた。僕は歯を食いしばって衝撃に備える。顔面に衝撃、内臓が急降下する感覚がする。

 

「んがっ」

 

 後頭部を地面に強打してしまう。視界が揺れる。

 

「これで決める!」

―――後方に跳躍! 来るぞ!

 

 指示に従い飛び上がる。視界はまだ戻らない。

 連続して音が聞こえてくる。重い何かが地面を砕く音か……?

 

「冥躰――」

―――んだありゃ!? 地面に足を打ち込みながら……ってそうじゃねぇ! 水月右打ち上げ!

 

 

「――震虎拳!!!」

 

 

 ズンッっと一際大きい音が鳴り響く。視界が戻った僕の目に迫り来る右アッパーが映る。腕が裏谷君の指示に反応して動いている。しかし、どう見ても決め技なそれを片手で捌くのは不可能だ。

 尾白君のアッパーと僕の左手が重なり合いそして―――――尾白君の腕から血が噴き出した。

 

「ぐっ!?」

「ごめん尾白君」

―――そういうのは脳無戦で対策済みなんだよ!

 

 右腕を大きく引き絞る。

 脳無との戦いで反省した僕たちは1つ猛特訓したことがある。それがタイムラグの短縮だった。脳無戦の二の舞にはなるまいと訓練した今は切り替えにコンマ一秒以下まで縮んだ。今回、受け流せないと判断した僕は左腕だけ裏谷君に動かしてもらった。流れを逸らすのでなく、流れを殺す方向にシフトチェンジしたのだ。

 お返しにこれでもかと強く踏み込む。

 

「流水岩砕拳」

「舐めるなァ!!」

 

 尾白君が反撃する。一拍遅れて放たれたそれはちょうどカウンターのようになっている。

 

―――あ、やべ

 

 このままではカウンターをもらってしまう。

 すると右手の指がひとりでに動き出した。風を切る音を立てながら動くそれは旋風を起こす。その風が尾白君の腕と顔に這いずり、そして血を噴き出させた。

 怯んで動きを止めてしまう尾白君。僕はこのチャンスを逃すことなく拳を振りぬく。

 骨を砕く感触。尾白君は吹き飛び地面を転がっていき―――場外に出たところで動きを止めた。

 審判であるミッドナイト先生が駆け寄っていく。尾白君の容態を確認した先生は腕を上げ高らかに宣言した。

 

『尾白くん戦闘不能! 緑谷くんの勝利!』

 

 歓声に包まれる中でミッドナイト先生は担架を呼んでいる。最後の一撃は骨を砕く会心の一撃だった。

 でも、それよりも出血が酷い。

 

 裏谷君の旋風鉄斬拳は威力が高すぎて人に向かって使えない。手加減すればなんとか使えるが本気には程遠い。

 それに今回は咄嗟に使った為に加減ができなかった。結果、尾白君は血濡れになっている。

 

「あ、あのミッドナイト先生! 付き添ってもいいですか!」

「えぇもちろんよ」

 

 クラスメイトを血の海に沈めてしまった。その事実が重くのしかかる。何かできないかと考えた結果、思いついたのが付き添うことだった。

 尾白君が目を覚ましたら謝れるように。

 

「緑谷君」

 

 ミッドナイト先生に呼び止められる。振り向くと先生は優しい顔をしていた。

 

「あんまり気にしちゃダメよ?」

「……はい」

 

 

 

 

 

「うっ、ぐ……! …………ここは」

「尾白君! よかった目が覚めたんだね!」

 

 医務室に運ばれてすぐ尾白君は目を覚ました。

 

「緑谷? てことはここは……医務室、か」

「そうだよ。尾白君試合中、派手に出血して、それで―――」

 

 言って気分が沈んでしまう。

 

「? どうした緑谷」

「……ごめん、尾白君。大事はなかったけど、結構なケガだった」

「…………」

 

 リカバリーガールのお陰で尾白君には傷1つない。でもケガを負わせたことを無かった事にはできない。

 

「はぁ、緑谷」

「えっ。ど、どうしたの」

 

 ちょいちょいと手招きする尾白君に従い顔を寄せる。

 

「ふんっ!」

「あいたぁ!?」

 

 思いっきり殴られた。グーで、顔面を。

 

「何するの!?」

「うおおぉおぉ…………」

「しかも痛がってる!? ちょ、大丈夫!?」

 

 治ったのは切り傷だけで打撲や骨折はまだ癒えていない。そんな状態で動いたから痛みでうずくまっている。

 

「あ痛たた」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫、だいじょーぶ。そんなことより緑谷!」

「はっはい」

「お前は気にしすぎ。俺は大丈夫だよ」

「……そうは言っても」

「あのな、アレくらいの怪我なんて何度も経験してる」

「え!? あんな出血を何度も!?」

「詳しくは覚えてないからアレだけどそんなに出血したことはない。あっても吐血ぐらい」

 

 思わず半目になってしまう。

 

―――ぶははははは! さっきから言ってること滅茶苦茶じゃねーか! こいつこんなキャラだっけ!?

 

 微妙な顔をしている僕を見た尾白君は苦笑いしながら言葉をつづけた。

 

「ごめんごめん。でもちょっとは気が楽になったろ?」

「そりゃあ、まぁ」

「あんまり思い詰めないでくれると俺としてはありがたい。……それに、手加減できなかったってことは、それだけ追い詰めたってことだろ?」

「それはもちろん! もしカウンター貰ってたら結果は違ったかもしれないよ!」

「だろ? じゃあ悔しさこそあれど、恨みなんてないよ」

「尾白君……」

 

 尾白君が拳を突き出した。

 

「次は勝つぞ緑谷」

「……いや、次勝つのも僕だよ」

 

 そう言って僕の拳を尾白君の拳に合わせた。

 その時の尾白君は眩しいくらいの笑顔だった。




前期試験が始まるので更新速度落ちます(落ちてる)

緑谷出久
原作で足主体になりそうでビビッてる
ここでは拳法使いなのでそんな未来はない

裏谷
表に出ていない時はオペレーター的なことをしている
表は体と魂が強く結びついている為に体がダメージを負うと意識が朦朧とするが、裏ではそうでもないので勝手に防御したりしなかったり

尾白猿夫
きがついたらめいていつかいになってた
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