緑谷出久の中の人   作:アニメ勢

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誤字報告ありがとう! そろそろ心苦しくなってきました!
アカン、マジで頑張らんと……

今回、大きな設定改変がありますのでご注意ください
まぁかっちゃんTSしてるんで今更ですが


平和の象徴

「裏谷!」

 

 轟の叫びも虚しく緑髪の少年が吹き飛んでいく。水切りの石のように水面を跳ねていき、最後は派手に水飛沫を上げ姿を消した。

 

「はぁ~、やっと一匹かよ」

 

 学生1人を殺すのに時間をかけ過ぎだと言外に言ってはいるものの、その口は凄惨な笑みを浮かべている。

 斬られた腕を再生しながら脳無は轟を見る。2人がかりで何とか凌いでいた相手を轟は1人で戦わなければならなくなった。ぼろ雑巾みたいに飛んで行った裏谷を思い出し心臓が早鐘を打つ。

 いつでも迎撃できるよう身構えていた轟の耳に爆発音が聞こえてきた。影が一瞬かかったと思えば目の前に人が落ちてくる。クラスメイトの爆豪勝己だ。

 

「爆豪、お前」

「このクソ共が――」

 

 彼女の両腕からは幾つも砲身が生えている。忘れもしない、最初の戦闘訓練で見たあの超爆発を使うつもりだ。爆豪にほど近い場所にいた轟は、爆破の余波に巻き込まれないように一歩後退しようとするも爆豪が叫び声を上げた。

 

「――くたばれぇぇえええぇ!!」

 

 まずは熱、次いで衝撃が全身を打ち付ける。爆豪の最大火力は安全圏にいる轟にさえ軽微なダメージを負わせる程の苛烈なもので、正面にいたヴィランはひとたまりもないだろう。

 ヴィランが脳無で無ければ。

 爆破で生まれた煙幕が晴れる。そこには両腕を無くし全身を酷く焼かれた脳無がいた。しかし、その傷も逆再生しているかのように修復されていて、脳無の後ろにいる掌男は無傷でいる。脳無が咄嗟に庇ったのだろう。

 

「チッ! さっさと死ねやクソ共が!」

「おいおい、なんだこの口の悪いガキは。しかも手癖も悪いときた、最悪だな」

「んだとテメェ!」

 

 見てくれはいいんだけどなぁと呟きながら掌男、死柄木弔は首を掻きむしる。これは死柄木がイライラしている時に見せる癖で、次から次へと出てくる乱入者にキレかけているのだ。

 

「死柄木弔」

 

 そんな死柄木に声をかける人物が黒い霧を纏って現れた。プロヒーロー13号を倒し、今まで爆豪に拘束されていたヴィラン黒霧だ。

 

「黒霧、お前今まで何してたの」

「……すみません拘束されていました」

「はぁ? プロヒーローはヤったんだろ、何だガキ共に捕まってたのか?」

「面目ありません。それともう1つ、生徒1名に逃げられました。じきにプロヒーローが大挙して来るでしょう」

「…………はぁぁ」

 

 深い溜息を吐いた死柄木は再度首を掻きむしる。先ほどより勢いが増したそれは、首の皮を突き破って血を流す。

 

「お前がワープゲートじゃなきゃ殺してたぞ……。まぁいいや、ガキ共殺してさっさと帰るか。あの数のプロヒーロー相手は流石に分が悪い」

 

 そう言って視線を向けた先では既に話し合いが終わっていた。

 

「もう一度確認するけど、直に委員長が増援連れてくるって事でいいんだな」

「何回も言わせんな。オレが霧ヴィランを抑える前にUSJを脱出した。クソメガネならもう校舎に着いてる頃だろうよ」

 

 爆豪と轟の2人は油断することなくヴィランを注視し続けている。今まで爆豪は黒霧を抑えていたが、裏谷が吹き飛んだ事を察知すると轟の増援に飛んで来た。あのままでは轟が脳無に殺されると思ったのもあるが、他の打算もあっての事だった。

 

「相手も馬鹿じゃねぇ、教師陣が来れば形勢が逆転するのは分かってる。だが脱出口を抑えられてるとなりゃ、出口までクラスの奴らを殺しながら強行突破するかもしれねぇ」

「……それが最悪の結果なのは分かる。だから俺達にターゲットを絞らせて何とか凌ぐって事でいいんだな」

「あぁ。あと少し時間を稼げばオレ達の勝ちだ」

「一応言っとくけど、勝ち目はゼロに等しいぞ」

 

 確かに爆豪の爆炎なら脳無を焼けるだろう。緑谷と轟がやっていた戦法でいけばどうにかなるかもしれない。

 しかし相手は3人だ。死柄木の乱入で、薄氷の上にあった拮抗は容易く崩れた。そして今は黒霧までいる。時間を稼ぐにしても絶望的な状況だ。

 それでもなお爆豪勝己は笑う。

 

「はっ! 負け戦上等! ピンチを乗り越えてこそのヒーローだろうが!」

 

 爆豪の気炎に反応して爆破が起きる。彼女の名の通り勝気な笑みを浮かべているその様は大変頼もしい。

 轟もつられて口の端を吊り上げる。さっきまで苦虫を噛み潰した様な顔をしていたというのに、何故か自分たちならやれると思えてくる。この2人であれば、細い光を手繰り寄せられると。

 

 

「威勢がいいねぇ、そういうの好きじゃないぜ」

 

 

 目の前に闇が広がる。

 爆豪と轟は咄嗟に回避するも、闇から伸びる黒い腕に爆豪の脚が掴まれる。

 

「五月蠅いガキは大嫌いなんだ」

 

 脚の保護より相手にダメージを与える目的で着けているグリーブがひしゃげる。痛みに顔を顰める爆豪は脱出せんと黒い腕を爆破するも効果はない。

 

「だから、まずその口を利けなくしてやるよ」

 

 闇からもう1本の腕が生える。その握り拳は爆豪の顔に迫る。爆豪の反射神経なら防御は可能だが、それでも戦闘不能になるのは間違いない。

 

 オールマイトに比肩するパワーを秘めた拳は顔面まであと数cmのところで切り飛ばされた。

 

「っ!」

 

 脚を掴んでいた腕も切られ、拘束がなくなった爆豪は緊急離脱。腕を切断した人物を見て笑う。

 

「あぁそうとも。オレは信じてたぜ、テメェがくたばったはずがねぇってな!」

 

 死柄木も下手人を見る。ここに来てから溜息が多くなったと思いながら、今日一番の溜息を吐く。

 

「…………何回苛立たせれば気が済むんだよ」

 

「デク!」

「クソチビィ!」

 

「はぁ、…………ハァァ……! 声がデケぇっての…………傷に沁みるんだよ」

 

 両腕をボキボキに折られながら、内臓に甚大なダメージを負いながら、しかし諦めた様子はなく瞳には強い意志を宿した緑谷出久――いや、裏谷が現れた。

 

「流石に、……はぁ、今回は、死んだかと、……グッ、思ったぜ……!」

「じゃあそのまま死んどけよクソチビ」

 

 這う這うの体でありながら、足で旋風鉄斬拳を放ち脳無の両腕を斬った裏谷に死柄木は毒を吐く。それには心底死んでほしいという感情が表れている。

 それを聞いた裏谷は不敵に笑って言った。

 

「そりゃ聞けない、相談だね、ハァ……。まあ、出久が立ち上がる、ハァ、理由とは、グフッ…………違うけどな」

「喋るんじゃないよ聞き取りづらい、聞くに堪えない」

「そーかい、でもお前にも、分かる話だぞ」

「あぁ?」

「自分が、気に食わない、ハァ……、相手。アンタにとっちゃオールマイトかな? ハァ、そのオールマイトに、虫けらみたいに、ハァ、踏みつぶされたと、する」

 

 裏谷は時間稼ぎのつもりで話しかけている。それを理解している死柄木だが、鬼気迫る裏谷の様子に聞いてしまう。

 

「はぁ……! アンタは、踏みつぶされて、地面に這い蹲ってる。文字通り、虫けらみたいにな。それで、アンタは、アンタならどうするよ。そのまま、這い蹲ってるか? 俺には無、理だね。例え死にかけ、ハァ、だとしても、立ち上がるよな?」

 

「大っ嫌いな相手に見下されるって、ムカつくと思わないかい?」

 

「―――――…………ぷっ、あっははははははは!! 何だその理由!? あはははは! 確かにそりゃ立ち上がるわな! あっははははははは!!」

 

 呵々大笑。そんな様子の死柄木に、そんなに笑うことですかねぇと呟く裏谷は血を吐いた。

 

「ははははは! はぁああ…………。うん、面白かったぜ。笑わしてくれた礼だ。苦しまずに殺してやるよ」

 

―――あのチビを殺せ脳無

 

 指示に従い裏谷に襲い掛かる脳無。爆豪と轟が足止めを試みるも黒霧に阻まれてしまう。

 向かって来る脳無を見ながらも、裏谷は冷静だった。

 

「…………。アンタらにゃ分からないと思うけどよ、俺には、俺達には分かるんだ」

 

 裏谷に防ぐ手立てはない。ここで緑谷と変わっても腕がこの有様では受け流しは出来ない。

 

「聞こえるか、この音が。感じるか、この熱を。……お前達にはみえないか、正義の灯が」

 

 裏谷には恐怖は微塵も無い。確信しているからだ、この戦いに勝つ確信を。

 

「来るぜ、あの人が」

 

 轟音と共にUSJの入り口である扉が吹き飛んだ。

 扉は飛距離を伸ばしに伸ばし広場に、裏谷と脳無の間に突き刺さる。

 

「―――もう安心しなさい」

 

 裏谷の前に大きな背中が現れた。その人物は扉に手をかけ横に退ける。そうすることでヴィラン達にもその姿を見せた。

 

 

「私が来た」

 

 正義の象徴、オールマイトが到着した。

 

 

 

 

「ハァ、オールマイト…………、話さなきゃいけない事が……」

「ああ、勿論聞かせてもらうとも。その前に、っと」

 

 裏谷を小脇に抱えたオールマイトはヴィランの視界から姿を消した。慌てて探せば、少し離れたところに爆豪と轟、相澤も回収したオールマイトがいた。

 

「ははっ、んだその速さ。チートかってんだ」

 

 負傷している裏谷・相澤を爆豪と轟に渡し、オールマイトはヴィランのいる広場の中心に戻ろうとする。

 

「待って、くだざい……! オールマイト!」

「うん? その目尻は裏谷少年だね。言いたい事があるのは分かっているけど、先ずは傷の治療が先だぜ。話ならその後で沢山しよう!」

 

 そうサムズアップを残して再度向かおうとするオールマイトの服を血に濡れた手が掴む。

 

「聞いて、下さい!」

「……裏谷少年、あまり無理をするな」

「ヴィランの、情報を伝えたいんです!」

 

 裏谷の言葉に目を瞬かせる。

 

「その傷はあのヴィランに立ち向かったからなのか……。頑張ったね、それじゃあ聞かせて貰えるかな?」

 

 オールマイの笑顔に安心して気絶しそうになるが耐える。ヴィランの、特に脳無の情報は伝えなければならない。

 

「あの黒い霧はワームホール、掌は触れたものを壊す個性だと、思われます。そして、あの脳みそは複数の、ハァ、個性を持っています。オールマイトと同レベルの身体能力、打撃の吸収、再生能力、この3つです。ハァはぁ、打撃の吸収には、限度があります」

 

 そこまで言って血反吐を吐き膝をつく裏谷。爆豪が慌てて駆け寄ってくる。

 

「そうか、そこまで情報を引き出してくれたんだね。おかげで勝ちは確定したも同然だよ」

「…………オールマイト」

「うん? まだ何かあるのかい?」

 

「必ず、必ず勝ってください。出久、頑張りました。だから、アイツに、いいとこ見せてやって下さい」

 

 爆豪に背負われた裏谷が、最後に笑いながら言って気を失った。

 

「―――…………あぁ。勿論、約束しよう。爆豪少女、轟少年、彼らを頼んだよ」

 

 今度こそ戦場に戻っていく。その背中を見送りながら2人は入り口付近にいるクラスメイトと合流するべく走り出した。

 

 

 

「ようこそオールマイト、待ちくたびれて生徒と遊んでたよ。随分遅かったじゃないか」

「…………」

「だんまりかよ、つまんねぇな」

 

 何も答えないオールマイトをつまらなさそうに見やる死柄木。

 

「ま、いいか。オールマイト、今日はお前を殺すために馳せ参じたんだ。この脳無が、お前を殺す兵器だ」

「……ほぅ、私を殺せるのかい?」

 

 オールマイトの笑みが深まる。本来、笑顔は相手を威嚇する為の表情だという。今のオールマイトはまさに全ての者を委縮させる笑顔をしている。

 それでも死柄木の余裕は崩れない。オールマイトを殺せると確信がある為に。

 

「もちろん殺せるとも! あのチビから脳無の個性は聞いたみたいだけど、実はもう1つあるんだよ。…………脳無」

 

 すると脳無の巨体が更に膨張する。その体格はオールマイトをも超えている。そして体の色も変わっていく。黒一色だった肌が毒々しい紫に、体にライトグリーンの線が幾筋も奔っていく。

 

「これは怪物化の個性だ。本来はここまで異常な反応は見せないんだが、突然変異したみたいでね。これには先生達も驚いてたよ」

 

 怪物性を飛躍させた脳無が咆哮する。物理的な圧を伴ったソレは地面を砕く。

 

「はははは! スゲェなおい! これで確実にお前を殺せる!」

 

 これ以上嬉しいことはない、と言わんばかりに声を上げる死柄木。

 

「こうなった脳無は俺の命令も聞かない! 破壊衝動が収まるまで暴れ続ける! だいたい1週間かなぁ? ククッ、それまでに一体何人死ぬんだろうなぁ……」

 

「…………それにしても遅い、か。確かに、確かに今回は遅すぎるんじゃないか私……!」

 

 腰を落とし力を入れる。

 体中から紫電が迸り、彼の立っている場所が大きく陥没してゆく。

 オールマイトの普段は見えない眼が光を放つ。余りにも強いそれは残光を出しつつ尚強く輝く。

 

 

 

「さぁ殺せ脳無! 正義の篝火を消し飛ばせ!!」

「約束したからね。ちょっと本気、出してみるか!!」

 

 

 

 両者の姿が掻き消える。

 そして死柄木の真横を何かが通り過ぎて行った。

 生じる衝撃波に巻き込まれるもどうにかして着地する。

 吹き飛んでいった者を見れば紫の改人が倒れていた。

 

「は?」

 

 思っていたことと異なる結果に固まる死柄木。

 

「―――4」

 

 右腕を振りぬいた姿で残心するオールマイトが呟く。

 体の上に積もった瓦礫を吹き飛ばし、脳無が再びオールマイトに突進する。先程は右ストレートを屈んで躱され、鳩尾に一撃貰ってしまった。そのことを反省し、今度は両腕で攻撃する脳無。時間差で攻撃することで回避不可能になっている。

 脳無の攻撃を両腕で防ぐオールマイト。衝撃で辺り一面にひび割れが生じる。ダメージが見られないオールマイトは両手の指を立て振り下ろす。それは脳無の腕を容易く両断した。

 

「―――3」

 

 両腕を失った脳無は左脚をアンカーのように地面に突き刺し、右脚を限界まで振り上げる。裏谷を瀕死にまで追い込んだあの技だ。今の脳無はあの時の比ではない破壊力をその脚に秘めていて、オールマイトでもまともに喰らえばダメージは必至だ。

 オールマイトは向かって来る剛槍の如き蹴りを、膝を踏み抜く事で半ばから叩き折った。

 

「―――2」

 

 残る脚は地面深くに刺さり、他の四肢を失った脳無はアッパーカットでかち上げられる。

 

「―――1」

 

 無防備な脳無を前にオールマイトは右腕に力を入れた。

 腕の筋肉が膨張し、着ていたシャツが悲鳴を上げる。

 腕に溜まった膨大な熱量にシャツが敗北し弾け飛ぶ。

 そして、オールマイトは壮絶に笑った。

 

 

 

「―――――SMASH!!!!!

 

 

 

 脳無は遥か彼方に吹っ飛んでいった。

 

「5発か。私もやればできるじゃないか。全盛期と変わらない動きだったよ」

 

 




出久&裏谷
よく言えば頑張った、悪く言えば頑張り過ぎた
1―Aの中で唯一の負傷者にして重傷者

オールマイト
頑張った、超頑張った
頑張りすぎて残り火が減っちゃうくらいには頑張った

脳無
丁度そこにワンパンマン2巻があったから……

黒霧
飯田君に逃げられた後、ブチ切れてクラスの皆を殺そうとした
その隙を突かれてかっちゃんに拘束されました


遅くなってごめんなさい
カリギュラODが楽しみ過ぎてソワソワしてました
届いたので早速遊ぼうとしたらPS4を買ってなかった事を思い出したので投稿しました
でもCDだけで満足してたり
一番のお気に入りは「おんぼろ」
歌っていうより叫び声に近い気がしていたら歌詞からして叫びだったので納得 メチャ好き
皆、カリギュラOD買おう(ダイマ
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