第1話「幸せのサチコさん」
友達が危険な目に合っていたら、絶対に助ける。
子供の頃はよくそんな事を謳っていたものである。
今はどうだろうか?果たして救えているのか?
友達が虐められているのを、見て見ぬ振りをしていないか?
まぁそんな事は、この世界からすれば些細な事である。
救おうが救うまいが、死からは免れないのだから。
貴方達はご存知だろうか。
かつて無惨な殺人事件が行われ、廃校になり取り壊されてしまった呪いの小学校…"天神小学校"の存在を。
いつの間にか人々の記憶から忘れ去られた学校は、別次元に今もなお、呪いの力を蓄えて生きている。
"幸せのサチコさん"
紙人形を爪で持ち、人数+サチコさんを合わせた回数分、心の中で「サチコさんお願いします」と唱え、紙人形を一斉に引きちぎる事で
、遠く離れる事になる友達と、いつまでも絆が切れる事なく繋がっていられるというおまじない。
しかし、実はこれが幸せなんかでは無く「死逢わせ」である事を、おまじないをした者たちは知る由も無い。
それが後世に語られる事も無い。
契った者は、一生戻って来れなくなるとされている。
"天神小学校"の、果てなき呪縛によって。
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季節は夏真っ盛り。
「あっつ…はぁ…私いつになったら満足に生きられるのかしら。参拝客は無し、お賽銭もなし。…あんたん所とはまるで大違いね」
「そうですかぁ?最近は私達の所も信仰が少なくなってきたので、一緒だと思いますよ?」
ここは平和でのどかな幻想郷。
様々な種族の生命がここに暮らし、皆々楽しく過ごしている。
言わば"楽園"と言った所だろうか。
そんな楽園の東に位置する博麗神社で、自分の神社に参拝客が来ない事を愚痴る紅白の巫女、博麗霊夢。
そしてたまたま遊びに来ていた東風谷早苗も、自身の神社の信仰の少なさに溜息をついていた。
「いや、あんたは少なくなったんでしょ?私なんか永遠に0よ0。れー!」
親指と人差し指をくっつけて0の形を作り、早苗にぐいと近寄る。
「わ、分かりました、分かりましたって!…霊夢さんもたまには信仰の為の演説ぐらいしたらどうですか?人里辺りで」
「嫌」
早苗が言い終わるよりも早いぐらいに、霊夢は即決で却下した。
その言葉を何となく予想してたのか、苦笑いする早苗。
この博麗の巫女は、努力や修行が大嫌いなのである。
その為、そう言った演説も一切やろうとはしない。
「楽してたら稼げた」みたいな、自分から何もせずに良い結果に転べば良いと思っている。
だからいつまで経っても信仰や参拝客、お賽銭は来ない。
一応これでも、幾度となく"異変"を解決した実力者なのだが。
「…あ!そういえば霊夢さん、こういうのあるんですよ!おまじない程度ですが」
いきなり何かを思いついた早苗は、ポケットからゴソゴソと何かを取り出し、霊夢に見せつけた。
「じゃーん!紙人形〜!…随分くしゃくしゃですけど」
「は?あんた何言ってんの。そんなのと私の今後に何が関係あるのよ。その紙切れを紙幣と思えっていうの?私そこまで馬鹿じゃ無いわよ」
その紙人形を訝しげに見つめ、ブツブツと文句を言う霊夢。
しかし…
「…ん?でもこれ、僅かながらに妖気を宿してる…一体何なのこれ」
その紙人形は、普通の様であって普通でなかった。
本来なら物には無いはずの妖気を宿している、不気味な紙人形。
霊夢の顔は、ますます眉をひそめていた。
「今日これ持ってきてたのすっかり忘れてました…これはですね。
契った人の願いを叶えてくれると噂になっている「幸せのサチコさん」に使う紙人形なんです!これで私も霊夢さんもウハウハ気分で幻想郷にいられます!」
早苗が鼻息荒く、目を輝かせながら説明する。
「へぇ…そんなんで何が…って思ったけど、妖気宿してるし、もしかしたら本当に叶うかもしれないわね…よし!早苗!私達だけで大金持ちになるのよ!」
「はい!霊夢さん!」
二人は意気投合、ガッチリと腕を組み合い、もう叶ったのかの様に嬉しそうに笑う二人。
「………それでこれ、どうやるの?」
「ですよねー。えっと、まずは…」
「待って。…来やがった」
やり方を説明しようとした時、霊夢が静止してあからさまに嫌な顔をしだす。
早苗もその顔で、誰が来たのか察した様だ。
「おーっす霊夢!暇だから遊びに来たぜ!…おぉ、早苗か!久しぶりだな!」
「ご無沙汰ですね!あ、魔理沙さんもどうです?幸せのサ」
「駄目よ!こいつすぐ自分だけ願いを持っていこうとするんだから!いないふりいないふり!」
「えぇ!?何か知らんが酷過ぎるぜ霊夢!私とお前の仲だろ!?そんな事言うなよ!」
いきなり雑な扱いを受けた魔理沙は、ショックを受けながら霊夢に抗議した。
「いつから私とあんたの仲が良くなった設定なのよ!あんたが勝手に来てるだけでしょ?」
「まぁまぁ…魔理沙さんはそんな事しないと思いますよ?一緒にやりましょうよ、霊夢さん!」
宥めつつ、魔理沙の参加を認める様に頼む早苗。
「…分かった、分かったわよ!ただし魔理沙!あんたの願いは5割以下しか叶えないからね!」
「イマイチ話についていけないが…分かったぜ。それで、何をするつもり…」
「霊夢さーん!新聞ですよー!文々。新聞号外ですよー!」
空からそんな声がした途端、霊夢はまた面倒そうに溜息をついた。
「文じゃんか。何しに来たんだ?」
文と呼ばれた少女は、生えた翼を折り畳み、綺麗に地へと足を置いた。
「魔理沙さんに早苗さんじゃないですか!今日はここで何してるんですか?…あ、霊夢さん、今日の新聞は号外ですよー。真夏の怪談とくしゅ」
「いらん!」
バシッと差し出された新聞をはたく霊夢。
始める度に来客者が来るので、中々話が進まなくて苛立ちを覚えていた。
「あぁー…酷いですよ霊夢さん。この暑い夏に、ヒヤッとする怖い怪談話を用意したのに」
「何で妖怪鬼亡霊が普通にいるこの世界で怪談話を載せようと思うのよ…というかつい最近完全憑依とかしてたのに」
はたかれて落ちた新聞を拾いあげる文に対して、呆れている霊夢。
「それがまた良いんですよ!こういう怪談話も、何処と無く懐かしさを感じて良いですよ?特におすすめは…」
ペラペラと新聞をめくる文。
それが気になり、魔理沙と早苗、そして何だかんだ言いながらも霊夢も記事を見ていた。
「…あ、そうそうこれですよ!『幸せのサチコさん』!とあるおまじないをすると、別の世界に飛ばされてしまうんだとか!やり方も載ってるんで…ってあやや?どうしたんですか霊夢さん、早苗さんをそんなに睨んで。何かついてるんですか?」
「…別に。ねぇ早苗」
「そ、そう…ですね。お、おまじないですもんねー…」
睨むのも無理は無いだろう。このまま知らずにやっていたら、あわよくば別の世界に飛ばされていたかもしれなかったのだ。
そんな事あるわけないとも思えたが、生憎この紙人形には妖気が宿っている。あり得なくも無いのだ。
「で、でも!私は風の噂で、このおまじないをすると願いが叶うって聞きました!確かに聞きました!もしかしたら文さんがいつものように天狗になってデタラメ書いてるかもしれませんし!」
「なにおう!この社会派ルポライター射命丸文、新聞を嘘偽りの記事で載せたり私利私欲の為に使った事なんて少ししかありませんよ!失礼な!」
「少しはあるんじゃないか…で、結局の所どうなんだ?私的には文は信じられんが…霊夢はどう思う?」
魔理沙が霊夢に尋ねる。
まぁどちらが信用できると言ったら…
「そりゃ勿論早苗でしょ。こんなデタラメであんまり売れてない新聞書く落ちこぼれ天狗の言う事、真面目に聞いた方がおかしいし。…ただ嘘を言っている様にも思えないのよね。今回は!」
「『今回』の部分を強調しないでくださいよ〜!本当ですって!私もちゃんと取材して、ほぼ都市伝説化したこの噂を耳にしたんですから!」
文は嘘だと思われたのが嫌だったのか、珍しく訴えかけている。
しかし、霊夢には思う事があった。
「…でも、変よね。私や魔理沙もたまーに人里に下りるけど、一回もそんな話聞いた事ないわよ?」
「割と新しい話なんじゃないか?私も知らんからどうとも言えんが」
四人は考える仕草をして、この微妙に不気味な謎を解き明かそうとしていた。
そして…
「ま、いっか!叶ったら叶ったで私達は幸せを手に入れる。別の世界に行ったらそれまで、その時はさっさと帰れば良いわ」
考えるだけ無駄だと考えた霊夢は、もうその時の自分に任せる事にした。
「それじゃあ決まりですね!…では、やり方を説明します。一回しか言わないので、よぉぉく聞いといてくださいね」
早苗がしわくちゃの紙人形を伸ばしながら、説明に入る。
文の新聞にもやり方が書いてあったが、口で言った方が早いと思ったため、文自身も何も言わなかった。
現人神説明中…
「はぇ〜、そんな簡単に出来るんだな!そんなんで願いが叶っちまって良いのか?」
「良いのよ良いのよ。あるものには縋っておけば。…それに、まだ願いが叶うとも決まったわけじゃないし。危険な賭けね」
そう言う霊夢の顔は、心無しか嬉しそうだった。
未知なる地へ向かえる可能性に、少しワクワクしている様だった。
やがて早苗に説明された通りに、皆で紙人形を、親指と人差し指で掴む。
「さぁやりましょう!私達は四人なので…五回『サチコさんお願いします』って心の中で唱えてください!唱えたら教えてくださいね。
…いきます!」
その掛け声に合わせて、四人は目を瞑り、言葉を思い浮かべ心の中で唱えた。
「…出来たわ」
「…私もだ」
「…私も完了しました」
「…よし、私も出来ました!…それでは、この紙人形を一斉に引っ張って、ちぎってください!せーのっ!」
ビリビリビリッ!
四人は一斉に紙人形を引っ張り、引きちぎった。
「…っ…?」
その瞬間、霊夢は何だか無視できない寒気を覚えた。
…タスケテ。
シニタクナイ…
ココカラダシテ…
そんな幻聴が聞こえた気もした。
「…?霊夢さん、どうかしましたか?」
「い、いや…何か…」
早苗に声をかけられハッとした霊夢だったが、やはりその寒気は拭えない。
「んで?どうやったら願いが叶うんだ?もしかして今言ったら願いがかな…」
ゴゴゴゴゴゴ…
「な、何だっ!?地震か!?」
魔理沙が話した途端、大きな揺れが神社全体を襲う。
「あやや!?もしかして新たな異変ですかっ!?」
「み、みみなさん取り敢えず落ち着きましょう!私達は飛べます!飛べばいいんですよ!」
そう言いつつ一番慌てている早苗が、飛んでここを出ようと呼びかける。
しかし…
「ぐうっ!?…から、だが…重いぃ!重力が凄まじい事になってるぜ…!?」
「くっう…私も飛べません…っ!」
文と魔理沙が飛ぼうとするが、謎の重力の重みにより、地から足が離れる事さえ無かった。
「…っ。一体どうなって…ひっ!?」
霊夢は先程の寒気、それに加えて凄まじい霊力の気配を覚えた。
体から冷や汗が止まらなくなっている。
そして…
ズガァン!!ズガガガッ!
「きゃあぁぁぁ!?ゆ、床がぁぁぁ!?」
「あやややや…多分これ私の言った通りですね…だから言ったのに…」
「っぐぅ!なんっだよこれ!お、落ちるっ!霊夢!」
「ま、魔理沙っ!!」
床に大きな穴が空き、霊夢が落ちそうになった魔理沙の腕を掴む。
ズガガガァン!!
しかしその努力も虚しく穴は更に広がり、やがて全員を飲み込む程の大きさになる。
四人は叫びながら落ちていく。
「っ!?きゃあぁぁぁぁ!?」
「あやややや…もう終わりですね…」
「何だと!?うわぁぁぁぁ!!」
「…っ!?そんなっ…!!紫ぃぃぃぃ!どうにかしてぇぇぇ…」
そんな霊夢の必死の願いも、あの妖怪賢者には届かなかった。
「!?…今の寒気と、凄まじい気配は何…?風邪でも引いたかしら…」
「紫様、どういたしましたか?」
「い、いえ…何でもありませんわ。……後で霊夢の所に寄ってみましょう、何だかとてつも無く嫌な予感がするわ…」
幻想少女達が天神小入り…
現在の幻想少女…4人
死亡した幻想少女…0人
どうも初めまして、ハゲ男と申します。
今回が初投稿なので、自分の文章力の無さに慄きながら、これを読んで頂いた方からの罵倒に怯えながら書きました(笑)
さて、今回は東方project×コープスパーティー2次創作クロスオーバー小説に挑戦しました。
あまりこの組み合わせは聞いた事が無いので、ならば自分が!と息巻いて書いてみたのですが…世界観の違いが難しいので、能力とか、幻想少女達の力についてはどうしようかと悩んでいるところです。
後女の子しか出ないので、若干そういう要素もあるかも…?と思ったのでタグ付けしときました。無かったらごめんね!
なお、コープスパーティー本編とは別の次元の話なので、本編のキャラは出ません。
最後の方にカウント表示しているやつは、話が進むに連れて進んでいきます。
霊夢達を追いかけて向かった者、遊びでおまじないをしてしまった者など…色々な人が来ます。
それと…入ってくる人がいれば、あんな目やこんな目にあう方もいるわけでして。
もし「自分の好きなキャラが色々なっちゃうのは嫌だ!」
「何だこのクソ小説!俺の好きな奴殺しやがって!作者が天神小入りしろ!」
という事があると思いますが、ご了承ください。私もあんな世界絶対に行きたく無いです。ごめんなさい。
…さて、長くなってしまいましたが、これから地道にコツコツと書いていきたいと思います。
次の話から色々と設定をしていきたいと思うので、乞うご期待(?)。
それでは!