K66提督です。
今年の初め頃に完結した幻物語、
そちらの続編というか、番外編でございます。
今までは1話4章を原則として投稿していたのですが、
1話が完成するまでに2ヶ月が経過してしまうということも多々あったので、
今作は区切りがつくごとに小出しにしてみようかと思います。
話数がとんでもないことになりそうですが、
お付き合いくださると幸いです。
それでは、続幻物語『こよみウォーズ』第1章
お楽しみください!
001
幻想郷暦、6月。
梅雨である。
今日も窓の外はどんよりとした
鉛色の空が広がっている。
「4日連続の雨……何が水無月だよ」
無いどころかめちゃくちゃ豊富じゃん。
飽和状態じゃん。
「何よ、あんた雨嫌いなの?」
本日も足下の悪いなか、わざわざご来訪してくださった紅白巫女様が高級煎餅を囓りながら問いかけてくる。
……ちょっと待て、それ隠しておいた
とっておきなのになんで食べてるんだ
「こんな湿気なんだから早く食べないとカビちゃうじゃない。なかなか美味しいわよ、これ。」
「はぁぁぁぁ、そうですかそうですか。
それはなによりですよ………僕にも頂戴」
この小娘には何を言っても無駄なので諦めて
僕もご相伴に預からせていただくことにした。
うん、美味しい。
「んで?暦はなんで雨が嫌いなんだよ」
僕が食べている煎餅を奪いさった
白黒魔女が霊夢の座っているソファーに腰かける。
「あれっ魔理沙、居たのか」
「居たよ!!霊夢より先に来てただろ!!」
ふわふわの金髪を揺らして怒る魔理沙。
子犬みたいで今日も可愛い。
「……別に嫌いってわけじゃないけどさ、ほら。
吸血鬼って流水が苦手だろ?雨も流水カウントなんだよ」
「あー、なんかフランも同じような事言ってたなぁ。雨の日は外に出られないから嫌いだって」
「雨の日は気配を消す手間が省けるから私は好きだけどね」
「「殺し屋かなんかかお前は」」
僕と魔理沙のツッコミがハモる。
「あー、なんか面白いこと起きないかなぁ。
あ、そうだ暦、お前異変起こせよ」
「嫌だよ!それ僕がボコボコにされるオチだろ絶対!」
『バァン!!』
「面白い事をご所望と聞いて!!」
「うおわぁ!!?」
突然吹き飛んだ扉には、ずぶ濡れの
早苗ちゃんが仁王立ちしていた。
「さ、早苗ちゃん……?何してんの……?」
「体を張った渾身のダイブです。面白かったですか?」
「いや、ビックリはしたけど……とにかくほら、
これで拭いて」
タオルを手渡して早苗ちゃんを中へ招き入れる。
今日はお客さんが多いな……
というか誰1人まともに入ってきてくれないのは
なぜだろう
「暦さんからラブコメの波動がして飛んできてみれば、なるほどなるほど。
やはり私のライバルは多いようですね。
魔理沙さんはともかく霊夢さんまでとは。
あ、タオルありがとうございます」
「ら、ラブ……っ!!?」
「は?」
前者が魔理沙、後者が霊夢の返答である。
霊夢さーん、めっちゃ顔不機嫌ですよー。
「しかしそうは問屋が卸しません!
幻想郷で再び暦さんと出会うことができた、
これはつまり運命!いえ、私的に言えば奇跡です!」
「は、はぁ……」
「お友達のお二人には悪いですが、暦さんを譲る気はありませんよ!」
「な、なぁ!!?そんなこと言ったら、わ、私だって……こ、暦の事……」
「私は別に煎餅食いに来てるだけなんだけど」
「煎餅食いに来るな。来てもいいけど買ってこい」
「その会話!その距離感のなさがラブコメ、
むしろ通り越して夫婦漫才みたいになっているんです!」
華麗に無視される魔理沙。
可愛、もとい可哀想に……
「別にどうでもいいわよ私は」
「ぐぬぬ、認めないというのならいいでしょう。
私は実力で、力ずくで暦さんを奪います。」
「……え?」
「力こそパワー、弾幕を制するものは恋愛を制す!」
待って待って、なんか早苗ちゃん暴走してない?
「弾幕はパワーだぜ!」
「おい待て、それは私のセリフだ!」
「霊夢さん!魔理沙さん!次にこの雨が晴れた時、貴女達に暦さんを賭けた決闘を申し込みます!」
そう宣言した早苗ちゃんの眼は窓から入ってくる夕焼けのように燃えていた
……?あれ、今僕が賭けられなかった?
「上等じゃない、暦とかどうでもいいけど
売られた勝負は買うしかないわね」
「わ、私も暦とかどうでもいいけどな!
暇だったし勝負してやるぜ!暦はどうでもいいけど!」
「ふっふっふ……今から楽しみですよ、ついに暦さんが私の……フフフフ」
「ねぇ、早苗盛り上がってる所悪いんだけど」
「何ですか霊夢さん。今さら逃げたりしないですよね?」
何故か得意げな顔をする早苗ちゃんに霊夢が
呆れた顔で外を指す。
「雨、止んだけど」
「え、あ、ホントだ……えーっと……
じゃ、じゃあ来週の日曜で……」
なんとも情けない決闘の申し込みだった。