暑くなってきましたね。
大雨で災害にあった地域もありますが、皆さまご無事でしょうか。
熱中症も多発しているようなので運動して汗をかいた後は、
しっかりを体を休め、適度な水分を摂りましょう。
さて、お話は変わりますが、感想欄まで見て行ってくださっている方は
ご存じでしょう。そう、ファンアートについてです。
何年か小説投稿をして、感想や評価を多々頂けるようになりました。
なので今後の目標に『ファンアートを描いていただく』というのを掲げたいと思うのです。
ファンアートを頂けたら、お返しに描いてくださった方の好きなキャラで
短編を書く。という活動を始めたいと思います。
詳しい事は活動報告欄の所やTwitterでご連絡したいと思うので
ぜひご覧ください。
それでは前置きが長くなりましたが、
『こよみウォーズ 其ノ捌』お楽しみください!
008
『怪異譚・阿良々木暦』
扇ちゃんは言った。
最強をイメージしろ、と。
僕の中の最強は今でも変わらず、
春休みに出会ったあの伝説の吸血鬼のままだ。
今でも変わらない。
でも、これからどうなるかはわからない。
僕の中の最強が変わるかもしれない。
それならば僕の中でくらい、
僕の語る怪異譚の中でくらい、
僕が最強の怪異でもいいじゃないか。
ヒーローに憧れた。
テレビの中の誰かではなく、ヒーローそのものに
憧れた。
あの頃に戻ったつもりで、この物語の初まりは
こう語るとしよう――
「変……身っ!!!」
『キィッキィッキィッ!!』
僕の体が沢山の細かいコウモリへと変化し、
再構成される。
瞳は紅く、牙はより鋭く。
闇に溶け込み、日の光を遮る為の黒いマントを身にまとった、
怪異の王を名乗るにふさわしい恰好に変身する。
「変身バンク中には攻撃しない。中々わかってますね、文さん」
「はっ!しまった、シャッターチャンスが突然やってきたものだから体が勝手に……!」
「あの……ちなみにその写真、何に使うんですか?何か最近、人里で
『写真集凄く良かったです!次も楽しみにしてます!』とか言われるんですけど……」
まぁ可愛い女の子に話しかけられるのは嬉しいので問題はないのだが。
「企業秘密です♪」
「写真集を本人に無断で出版してその詳細を企業秘密とかぬかしやがったこの人!」
「さて、いい素材も手に入ったことですし、始めますか」
「とうとうごまかさなくもなりましたね……」
文さんが臨戦態勢に入ったことで、場の空気が緊張する。
それに対する形で僕も動き出しやすい姿勢をとった。
「それでは、不肖私が『始め』の合図を」
僕と文さんの間に扇ちゃんが見せ場を逃すまいと割って入る。
主審的なポジションに立ち、萌え袖の右手を上げた。
「3、2、1――」
カウントをされるとついついフライングしたくなる僕だが、
流石にこの状況で不意打ちを仕掛けるほど卑怯者ではない。
それに、文さんならばたとえ僕が不意打ちで攻撃したとしても
普通に対処されてしまうだろう。
「始め!!」
『旋符・紅葉扇風』
「う、おわぁぁぁぁああ!!!?」
開幕のスペルカード発動により巻き起こった竜巻に上空高くへと打ち上げられる。
「フィールドを作っておいてなんですが、私が得意とするのは空中戦でして」
「っい、言ってくれれば自分で飛びますよ……」
竜巻に身体中をねじられ、関節が変な方向に曲がってしまっている。
吸血鬼じゃなかったら治ったとしても一生後遺症が残る規模の怪我だ。
「そうでしたか」
そう笑う文さんの手には既に次のスペルカードが発動を待っていた。
「しまっ――」
『突風・猿田彦の先導』
再び吹き荒れる突風に、僕はカエルのような恰好で地面に叩き落される。
「がっ……」
「では、今度は自分で上がってきてください」
「い、言ってくれるなぁ……!」
文さん相手に空中戦は不利だ。
それなら……
『怪異・おもし蟹』
「うわっ」
「まずは地面に引きずり降ろす!」
「なるほど、地上ならなんとかなるという作戦ですか。
確かに空中よりは機動力は落ちます。……ですが、」
文さんが翼に風を纏い、羽ばたかせる。
普通なら重みで膝をついていてもおかしくないはずなのに、
たったそれだけで、おもし蟹を吹き飛ばしてしまう。
「化物かよ……!」
「お互い様ですよ!」
『塞符・天上天下の照國』!!
「げっ」
今までの直接的な風の攻撃ではなく、今度は弾幕が展開される。
文さんを中心に四方八方に広がる弾幕に、徐々に体を削られていく。
正直大きな一撃を喰らうより、こうやって永続的にダメージを受ける方が
回復しにくいし、何より精神的にクるので苦手だ。
「くそっ!」
一旦霧で無効化を……!
『扇符――
「させません!!」
『幻想風靡』
スペルカードを唱え終える前に、文さんがラストスペルを発動させる。
今度は翼だけでなく、全身に風を纏った文さんが僕に突進。
天狗の本気の突進を喰らった僕は、跡形もなく霧散した――
――という夢を見ていたのだった」
「……!?なっ、……え!?」
霧散する。
僕だけでなく弾幕や風の檻、戦闘の影響で崩れた地形など、周囲の全てが霧散し
再構築されていく。
『怪異・狐火』
蝙蝠に狐火を紛れ込ませて幻覚を見せるという、
裏暦が鴉でやっていたテクニックを真似してみた。
「今までのは、幻覚……?」
「文さんってこういう搦め手に弱いですよね」
「ぐ、否定はしませんが……」
とにかく、幻覚のお陰で文さんのスペルは5枚の内、4枚が割れた。
どんなに威力の高いスペルだろうと、内容がわかっていれば対処のしようがある。
「私、幻覚って大っ嫌いです……」
心底嫌そうな顔で文さんが僕を見る。
『扇符・愚か者には相応なる修正を』
「さて、じゃあ始めましょうか。ここからが本番ですよ、文さん」
先ほど途中で止められたスペルを発動させ、扇子を出しておく。
「相手を拘束するスペル、問答無用に幻覚をみせるスペル、弾幕を無効化するスペルですか。
暦さんのスペルは受け身に置いては反則級ですね……」
他にも、相手の能力を無効化する『睡鵬』とかもあるけど黙っておこう。
「攻撃面だって、有能ですよ僕は!」
ショット『殺意ある文具』
殺傷能力の高い文具達が、文さんに襲い掛かる。
さぁ、第2ラウンドだ!