お久しぶりですナメクジ野郎でございやす
覚えていらっしゃいますか?
御託はいい?別に待ってない?
そんな冷たいことは仰らずに前回のお話から通してでのお話になります
大変お待たせ致しました。後編でございます。
とりあえずどぞ(っ´∀`)っ
地に沈む不快の極まった重たい感覚
自分の身体から自分が抜け堕ちていく感覚
欲に溺れてこの世全てを喰い殺そうとする感覚
全て投げ捨てた心に身を任せた憎悪の一撃を撃とうと構えてしまった
──────『まだ早い』
心の中で強く思い構えを解く
………今の言動で確信が持てた
大車ダイゴは転生者だ、俺以外にもこの世界には何人
前世の記憶がないだけで、そうでなければ主人公の1人であるアイツがここに存在するわけがない。
俺が新型に適合できるはずがない
……まぁそれは考えたところで意味がないか
アイツが俺の殺すべき敵、姉さん達の仇
大車ダイゴもとい『
名前こそ変えているが姿、在り方、喋り方
そしてなんと言ってもあのネットリとした視線は早々変えられるものではない。
見られる側としても中々忘れられるものじゃない気持ち悪くて。何がキモイって舐るようなジッと観察するような全身に虫が這いずり回っているような錯覚を起こす程見つめてくるのだ。男性女性関係なく
真っ当な生活が出来ていたら誰もアイツには近づかなかっただろう。
それでもカウンセラー、精神科医の真似事をするような人間だこんな世界じゃ切っても切れない存在だろう
だからこそ余計に腹が立つ
アイツもこの世界に降り立った俺と同じ転生者のクズだ。憑依と言った方が正しいのだろうが少なくともあのゲーム内の大車ダイゴとしては生きていない
それから現状アリサがどういった扱いを受けさせられているか知らないが何かしらされているだろう
でもまだ顔に生気がある、生きている
アイツに食われてしまえば段階的に壊れていく
最終的には人ですら無くなる、そういう奴だ、アレは
『俺』も相当だという自覚があるが『アレ』はそれより遥かにタチが悪い。
………あの音を聞いて誰もこの場に駆けつけないという事はアレのせいだろう。結界でも張ったか。はたまた見ていたものが幻想だったか
どちらにせよ面倒極まりないのは事実。手立てを考えるのも行動するにしてもだ
本音を言えばきるだけ早く片を付けたい。でも無駄に殺せばこちらが警戒される、なんとも食えない状況だ
アレを殺す事も大事だが今は同期と一緒に下に降りよう
無駄に心配させるわけにはいかない
エントランスにすぐに向かってすぐにコウタに声をかけられた
「おー、劍華遅かったじゃん申請に時間かかった?」
「まぁな、危険物を常時持ち歩き許可の下さいなんて素直に言えるわけがないからな。ゴッドイーターだから常時帯刀の許可だけでも時間かかったんだよ」
「そうか神機と同じなんて上の上が許可する訳がないからな」
これで良い。コイツらに無駄な心配かけさせるわけには行かないから
それにしても博士許可下ろすの早すぎやしなかったか?
「じゃあ行くか!」
「よぉおし!しゅっぱーつ!」
「お、おー」
コウタが盛大に叫んだおかげで周りのゴッドイーター達に笑われた。
うんうん、こういうくだらない事で笑えてるのはいい事だ。
まだ心にゆとりある生活ができている証拠だ。
それが無ければもっと殺伐して誰も彼もが嫌な目をする
願わくばこの時間が永く続きますように
「ただいま、姉さ───イロハいるか?」
「あら、おかえりなさいレンカ今回は早かったのね」
「あぁ今回は同期と一緒に休みとったんだだから早い。それと次はちょっと先になる」
「そう。怪我、してないわよね?」
「ああ。問題ない。この通りピンピンしてるさ」
「よかった、おかえりなさいレンカ」
そう言って蓮華にギュッと抱きつくイロハさん
……ふむ、お熱いねぇ空木夫婦
まだ完全に慣れていないのだろう。レンカが名前呼びする事に躊躇いが見える。まぁそのうち気にしなくなるだろうからレンカのペースで呼んでいけるようになるだろう
それにしてもイロハさんレンカのこと好きすぎるよなぁ
ちょっと妬ける
「邪魔者は退散しとく?」
「そうするか」
「ま、待ってくれ!イロハ1回離れて」
「え〜?ダメ?」
「ダメじゃないけど………ってそうじゃ無くて俺の同期紹介するからくっ付くのやめてくれ」
(素が出たな)
(出たなレンカ)
前言に追加をレンカもイロハさん大好きだなこれ。
「しょうがないなぁ、では改めまして。空木レンカの妻イロハと申します出来の悪い子ですが何卒よろしくしてあげてください」
「いや、その紹介じゃ妻と言うよりオカンだよイロハさん。そしてお久しぶりです。怪我、もう大丈夫みたいですね」
「あ!!あの時の!ありがとうございましたおかげでこの子と離れ離れにならずに済みました」
「いえ、俺がやったのは手当と再生の手伝いくらいなもんですから大したことはしてないですよ。それと俺の名前は神喰 劍華です劍華とでも呼んでください」
「ええ、本当にお世話になりました。そうすると劍華さんもゴッドイーターなんですね、この子が───うちの主人が連れてきたって事は」
「ええまぁ、同期兼教官やってます」
イロハさんもやっぱりちょっとまだ恥ずかしいらしい。ちょっとモジモジしてる
「主人のことよろしくお願いしますね教官殿」
「当然、大切な仲間を死なせる訳にはいかないんで」
「はいはーい!じゃあ次俺の番。藤木コウタです右に同じく同期のゴッドイーターです!ついでに言うと空木家の横に住んでる藤木家の長男です!ご近所同士仲良くしてくれるとありがたいです!」
「ふふっ知ってるよコウタくんいつも元気だもんね」
マジかよ蓮華とコウタお隣さんどうしかよすげぇな、それにしても元気だなぁ
「あらやっぱりコウタだったのね?怪我、してない?体調崩してない?大丈夫なの?」
コウタが、元気よく挨拶をしていたためか声がかなり響いたのだろう、コウタのお母さんが出てきた。周囲の人達も遠巻きにだがコチラの様子を伺っているようにも見える
「あ、母ちゃんただいま。俺ちゃんとやれてるから心配しないでよ」
「何言ってるのよ親なんだから心配するのは当たり前じゃない。まぁでもその調子なら大丈夫そうだね。あら空木さんこんにちは」
「こんにちは藤木さん。この間はどうもありがとうございました助かりました」
「いいのよまた何時でもいらっしゃい。あの子も喜ぶから」
「はい、是非!」
「イロハお姉さん。こんにちは!レンカお兄さんもいる!お兄さんは初めて会った!初めまして藤木ノゾミですよろしくお願いします!」
「神喰 劍華だよよろしくねノゾミちゃん」
「うん!あっお兄ちゃんおかえり!」
「ただいま、のぞみ。ねぇ気のせいだと思うんだけど俺の事一瞬忘れてなかった?」
「そんなことないよ?おうち入ろ、またいーっぱいお話きかせて欲しいの!」
「おう、じゃ今回はどのことについて話そうかな〜」
コウタはノゾミちゃんに手を引かれ家へと向かって行った
「空木さん達もいらっしゃい。大したもてなしは出来ないけど」
「ありがとうございます。そうだ!うちからお茶持っていきますね」
「おじゃまします。それとお土産いっぱいあるんで是非」
「神喰くんもいらっしゃい。少し気になっていたのよ帰ってきたらいつも話に出てきていたから」
「是非、というかそうなんですか。コウタが俺の話を」
「ええ、自慢の同期で教官なんだぜ!って。貴方が教官のような事を始めてから負傷率がかなり減ったって話も聞いたの。外からの生きながらえてきた知識なのかな〜なんて言ってたけど」
「さあ?どうでしょうみんな後輩に遅れを取りたくないから頑張ってるだけかもしれませんよ」
「うふふ、レンカくんも負けてちゃ居られないわね」
「はい、コイツに追いつくのが今の目標なんでそれなりには頑張ってるつもりです」
「藤木さーんお茶持ってきましたよ!ってあれ?まだ外でお話してたんですか?またこの間みたいに興奮したコウタくんがうるさくて近所迷惑だー!って怒られちゃいますよ」
えっ、待ってコウタ何してるの?騒ぎすぎた?神機が無いからってゴッドイーターが暴れたらタダじゃすまないんだよ?
「それもそうね。中でゆっくり───」
その時だった。
───────────ッ!!!!
けたたましく鳴り響くサイレンの音
微かに聞こえる悲鳴とアラガミの声
……近いなここから
『外部居住区外壁部損傷、防衛班は直ちに───』
放送が入り当たりの人間にも何が起こったのか理解ができたのだろう。
周囲の人間が慌てふためき始めた
まずいなこのままだとパニックになる
「コウタ!家族を中心に避難場所に移動始めててくれ!蓮華、イロハさん!二人は避難誘導の手伝いを!」
「え、あぁ、うんわかった」
「了解、イロハ俺たちはあっちの方から声掛けてこう」
「わ、分かりました。蓮華コレも持って行くよ」
「俺はこのまま外壁の方に向かうからこっちの方は任せる。アナグラに向かえば他の職員と合流出来るだろうからそれまででいい、パニックと混乱から暴動にならないよう落ち着かせてくれ」
そう言いながら2本の刀をスーツケースから取り出す
「外壁に行くって……そっかそれあるならアラガミもなんとかなるか、わかった。こっちは任せてよ。ノゾミ、母ちゃんとりあえずアナグラの方に向かおう外壁近くは危ないから」
「おう、何かあれば雨宮三佐から伝令来るはずだから。じゃ足止め行ってくる」
言うだけ言って直ぐに外壁に向かって走った
────走りながら考える
今のコウタには考える余裕を与えるのはダメだ、不安で潰れる。
何よりも家族を大切にする男に近くで外壁が崩れたなんて言ったらどうなるかなんて想像に難くない
蓮華はこっちに連れてくるのも愚策
もし死体なんぞあればアイツは周辺の鉄骨でも拾って応戦するだろう。それでもし蓮華が死ぬなんて事になれば俺は自分を許せないし。何よりもイロハさんが悲しむ
姉として生きながら同時に愛する人としても蓮華を観ている。
愛に満ちた色、ピンクだ花だとか言いたい訳じゃないが、彼女の瞳はそんな色をしている
……全くどこの姉弟に似たのやら、恥ずかしくて堪らないね
まぁもっとも蓮華の方は俺が嗾けなければ自分の気持ちにすら気づかなかったようだが
っと───着いた
確かに外壁が崩れているそこそこの大きさ。サイズ間からして多分ヴァジュラだろう。周辺に少し焼け焦げたようなあとがあるものの目立つ炎は上がっていない。ヴァジュラの雷撃によるものだろうコンロが吹き飛んで引火からの大爆発とかにならなかっただけマシと言えばマシ
「さて、防衛班の到着まで少し間引いておくか」
黒刀、白刀を腰から抜き放つ同時に『リンク』も行う。
そしてポテチを貪るようにサクサクとオウガテイルやドレッドスパイクを薙いでいく。亜種も少し混じっている様だけど大差ない、軽く振り下ろした刀に首も角も胴体だろうと細切れる
『リンク』というのは俺が勝手に名付けただけでゴッドイーターなら誰もがやっている事だ。簡単に言えば神機と同調する際の現象を『リンク』と名付けて使用している
他の神機使い達と違うのは意図的に自分の意思で行えるという点
もう一つは神機〈〈以外〉〉との同調だ
前者は文字通り。俺が『リンク』しようと思えば何時どことでもどんな状況であろうと同調出来るということ
主に他の神機使い達は神機から伸びるあれが腕輪に入り込むことで同調を果たす。
俺はそれを腕輪なしに出来る、俺が触腕を延ばして強制同調出来るという事だ。
後者については……っとこんだけ集まれば充分か
死屍累々とは言わないものの近くにいたオウガテイルとドレッドスパイクはほぼ狩り尽くしたと言える。もう少し意図的に呼び集めても良かったんだが如何せん壁の中でアラガミ共に変な行動されるとちょっとばかり俺が困ってしまうので今回はしか無かった。大型の相手は今の刀じゃきついだろうし
「おーい!大丈夫か!?」
「わわっ凄い。神機も無しにどうやってこの数のアラガミを倒したんですか!?」
「…怪我はないか?」
タツミ、ごしゃ──カノン、ブレンダンの3人だ
「はい、大丈夫ですよタツミさん、ブレンダンさんもこの通りピンピンしてますから」
そう言いながら抜き身の刀を袈裟に振る
ひゅん
と小さく風を斬る音がする
「その調子なら大丈夫そうだな。にしてもそれ。さっき使ってた刀剣型神機だろ?よく持ち出せたなそれ」
「ええまぁ、〈〈刀剣〉〉の常時帯刀許可の申請しただけなんで大丈夫ですよ」
「………すまん、俺は何も聞かなかった事にするわ」
「あはははは、そんな事言わずにもう知ってしまったんだから共犯ですよタツミさん」
「明日に響かないか?」
「それは大丈夫だと思います。雨宮三佐から軽く折檻は受けるとは思います。少なくとも博士が許可くれたのは確認したんでそんなにガミガミ怒られないんじゃないですかね?」
事実俺は本当に刀剣の帯刀許可申請しか出てない。博士やリッカも態々あんな物をフェンリル本部に伝えたりしないだろうし
博士から研究の一環としての許可も降りているからまぁなんとかなるんじゃなかろうか
「そういうものか」
「あの、刀剣型神機ってなんの事です?みなさんばかり盛り上がってるところ申し訳ないんですけど」
ガンナー組も何人か見に来てたのは確認してはいたけどそういやこの人見てないんだよな俺のアレ。訓練場のモニタールームに気配がなかった。
「えっとですね俺が持ってるこの刀なんですけどね───」
1人だけ話に着いていけないと言うのも可哀想なので午前中に俺が訓練場で刀を使った型や演舞をした事を軽く説明した。
「なるほどーそんなことがあったんですね!私も見に行けば良かったですね」
「もし良かったら明日刀剣教室みたいな事やるんで来てみて下さい」
「え?いいんですか?」
「もちろん」
「でも私第1世代のブラスト持ちのゴッドイーターですよ?」
「問題ないですよ。寧ろ近接動きが分かるようになると思うんでどう撃てばいいとかどのタイミングなら確実に合わせられるとか連携にも活かせるようになると思うので体験するのはいい事だと思いますよ」
「なるほど!そういう事なら是非お願いします!教官!」
「あ、いやカノンさんの方が先輩ですんで教官はちょっと」
「そうですか?じゃーいつも通り劍華さんで。よろしくお願いしますね」
「はい、よろしくお願いします」
会話を終えて振り返るとタツミとブレンダンがなんだか崇めるような瞳でコチラを見ていた。
「あれ?お二人共どうしたんですか?そんな顔して」
「劍華〜さっきの話ってカノンが頑張れば誤射が減るかもしれないって事だろ?」
「ええっと、はいカノンさんの頑張りによるとは思いますけど………」
正直に言うとむ───
「そうなんですね!じゃあ私一生懸命頑張りますね!」
「アッハイ」
そんな爛々と輝いた瞳でコチラを見ないでくれ。と言うか察したコレは無理だぁ
「感謝する」
ブレンダンの期待が重い、やるだけやってダメだったら……後は知らないからな
3人がこちらにきたので俺の仕事は終わったと判断して2人の家に戻った。
本音を言うなら誤射されるのはもう勘弁願いたい。
俺の対処が比較的早かったからかすぐに戻って来ていたらしくコウタや蓮華達と合流して話を聞いた。
アナグラ方面に向かう道がフェンリルによって狭められていたらしい。1部暴動になりかけていた人たちもいるようだけど蓮華が鎮圧。
その後警報が鳴り止んで戻ってきたとのこと。
防衛班が到着した事を報告した時はあからさまにコウタの表情が和らいだ。本当に家族を大事に思っているんだなコウタは
その日は帰るまでの少しの間だけだったけど非番を楽しんだ。
────
「今日は楽しかったよ姉さん」
いつものように筆を進める
「懐かしいっていうのが1番近いんだろうね、苦しい環境でも家族みんなで楽しく生活して。日常って感じがしたよ」
今日は姉さん以外にも父さん、母さんも久々に描くことにした
「コウタのお母さん優しそうだったんだ。母さんよりも大人しい感じの人だったけどコウタを見る目は愛に溢れてたんだ」
だからだろうか
「蓮華の方もさイロハさんも壁の内側に連れてこれてとても幸せそうだったんだよ。3人にも見せてあげたかったなぁ」
こんなにも
「寂しいよ……復讐に生きるのも愛する人たちがいないのも」
弱々しく情けない声が出てくるのは
「俺さアイツら絶対に守るから、護るからさ。力貸してくれよなもうみんなみたいな目に合わせないって誓うから、だから───」
不意にコンコンと扉を叩く音が聞こえた。
リンドウじゃないのは確かだな。あいつ、ついもノック無しで入って来やがるから……
「………開いてますよ」
「失礼します、本当に絵を描かれているんですね」
アリサか
こんなに散らかして。と悪態をつくようにしながら絵を拾って来るアリサ
「いやぁごめんねアリサちゃん。片付けてもらっちゃって」
「別にいいです。それよりもコレ、被写体は本当にあなたのお姉さんなんですね?」
怪訝そうに疑うようにジトーっとした目でコチラを見る
あぁ、なるほどそういう事か。手元にある絵姉さんの絵だ
「うん、そうだよ幾つかアリサちゃんがモデルになってる物もあるけど。それはアリサちゃんがと言うより。第1部隊のみんながモデルって感じだからね。俺さ好きなんだよ絵を描くの俺が見たものを。俺が見るものを。忘れないように遺しておけるから」
「……そうですか。それにしても私は貴方のお姉さんによく似ているようですね」
「冷たいなぁ〜。でもそうだね君と彼女、姿形はよく似てるよ」
性格は全然違うけどね。と少しおどけたように言う
「瞳の色くらいですか?大きく違うのは」
「うん」
「あの、貴方のお姉さんはもしかして」
「気遣わなくていいよ。もうとっくに死んでる」
自分だって余裕ないだろうになんでこんな奴に構うかね?
「それよりも何か用事があったんじゃないの?じゃなきゃ態々俺の部屋なんか来ないでしょアリサちゃん」
「そうでした。ツバキさんがお冠です。あの刀剣型神機についての件で。その報告と明日件よろしくお願いします。私は今よりもっともっと強くなってアイツを……ピターを倒さなくちゃ行けないので」
後ろ向きに前向きだね君は
復讐なんてやったところで残る物は仇が死んだ喪失感だけ。
かけた時間も思いも仇と共に全て流れて消えてしまうから俺はやっぱり復讐は嫌いだよ
「アリサちゃん」
「なんです?」
「雨宮三佐には博士が全部悪いって伝えといて!」
先程の微妙な空気感になってしまった分をここで挽回しよう
嫌な事なんて笑い飛ばせるくらいに
「なんで私がそんな事しなくちゃ行けないんですか!」
「いいじゃん俺のところまで態々報告しに来てくれたんだから。ちょっと戻って一言伝えるだけだから、ね?」
「何がね?ですかイヤですよ。だいたい今日だって貴方に捕まって仕事が滞ったのが三佐にバレてとばっちり受けたんですから!」
大方同行した神機使いとのトラブルだろうなぁ、まだ俺のところに話回って来てないからいーやって思ってたけどバッチリトラブってるよね。うん
「そいつは失敬。でも着いてきたのはアリサちゃんだからね、俺別に強制してないもーん」
「何がもーんですか、ドン引きです!だいたいアレは貴方が私を煽るようなことを言うのが行けないんじゃないですか」
「おや、おやおや成績優秀なアリサさんでも僕の戦闘スタイル気になっちゃいますか。コレは明日張り切って頑張らなきゃね!」
「あんな動き見せつけられて何も思わない方がおかしいです、旧型の人達はともかく空木さんがあそこまで異常な速さで成長してるのは貴方が戦闘訓練をしているからじゃないんですか?」
「新型同士仲良くするのはいい事だからね。アリサちゃんもどう?蓮華の吸収率すげーぜ。あと俺銃の扱いあんまり上手くないから蓮華に教えてやってよ」
「なにがあんまり上手くない。ですかブラストで超長距離射撃行うじゃないですか」
「適性的にはちょうどいいんだけどね?やってる事が違いすぎて教えられないんだよ俺。ほらカノン先輩が教えるって考えると色々があれじゃん?」
「カノンって誰です?」
「え?ウソそこから?」
「大方旧型のブラスト使いなのは分かりました。でも何が問題なんです?」
カノンを知らんて、マジかコミュ障極めてないか?
「ええっとアリサちゃん一応確認なんだけど。第1部隊以外の人とコミュニケーションとってる?」
「なんでですか?」
「なんでってそりゃ同じ極東支部で戦ってる仲間だし、もしかしたら協力を要請する場合もあるかもしれないし」
「必要ありますか?」
えぇ、コミュ障って言うか会話ゼロやんこの子、この先心配になってきたなぁ
「えっとじゃあ逆に会話する人教えてくれる?リンドウさんとか」
「嫌いです」
まぁ何となく分かるかな……
「サクヤさんは?」
「口うるさいです」
世話焼きだもんねサクヤさん
「こ、コウタは?」
「ウザイです」
ごめんフォローできないよコウタ。頑張れ
「ソーマは?」
「……喋ったことないです」
ああああああああぁぁぁコミュ障同士ですもんね!絶対会話とか無理だろうね!聞いた俺がバカだったね!
「三佐は?」
「怖いです」
……うんそれは俺も分かる
「博士は?」
「長く喋らせたくないです」
うん、大いに分かる
「蓮華は?」
「頑張りやさん。ですかねあの人いつも訓練所にいて訓練ばかりしてますから。私にもよく聞いてきますしブレードの扱い方とか」
……まさかの高評価、凄い凄いぞ蓮華お前は
「あ、俺はどんな感じ?」
「あなたは、私のもく───って言うわけないじゃないですか!ドン引きですです!最低最悪の人ですね。大嫌いです!」
過去最低のご評価頂きました。畜生泣いてやる
でも暗い感じは無くなったから良しとするか。
「さて、アリサちゃんもう夜も更けるそろそろ自室にお帰り。俺もこの絵仕上げたいし。完成まで残ってもいいけど本当に夜になっちゃうからね」
「この絵ご家族ですか?」
「ああ、優しくてアグレッシブな上に強い母さんと博識で病弱だけど心の熱い父さんと2人のいいとこ取りな上に美人な姉さん」
「貴方の絵がありませんよ?」
「さっき言った通り俺が見たものを描いているからね。そこに俺はいないさ」
「それでみんなの絵ばかりなんですね」
「でも、直接見ながら書いてる訳じゃないからどうしたって精度が落ちるんだよね」
「こんなに上手なのにですか?」
「うん、モデルにその場にいてもらった方が上手く描けるよ」
「そうですか。じゃあいつか見せて下さいそのモデルで描いた絵を」
「期待して待っててよ」
いつか君をモデルに描き上げるからとは流石にキモくて言えないなぁ
「じゃあ私はコレで」
「うん、アリサちゃん」
「なんですか?まだ何かあるんですか?」
「おやすみ、明日頑張ろうね」
「おやすみなさい。それとよろしくお願いします」
パタンと扉が締められる
少し動悸がする。アリサの匂いが残っているからだろうか
「どうよ?めちゃめちゃ似てなかった?」
心を落ち着けながらいつものように筆を進める、語りかけることも辞めない
「姉さんに瓜二つって言うか殆どそのまんまなんだよな彼女」
性格はキツイけどと続ける
「彼女を直接姉さんに合わせてあげたいな……もう無理なんだろうけどさ。夢唄どう思う?どうしたらいいかな」
筆を置く
「完成かな」
出来上がったのはロケットの中にある写真と同じ3人が写った絵ただそれぞれが優しく微笑みコチラを見ている絵。
絵をそのままに窓へ近づく。
窓枠に腰を乗せ、温くなったビールを開ける
カシュッとこぎみいい音と少し泡が溢れる
「うん、不味いな。ビールは冷えてねぇと上手くねぇ」
前世からの習慣と言うか癖だろうか。
窓際で月を、星を、空を見上げるリラックスしたいんだろうか物思いに耽るわけでも無くただボーッと空を見上げる
今日は半月か
早いところ満月にでもならないかね。
別に変身するわけじゃないけど満月の夜は体の調子がすこぶるいい
肉体をアラガミ化しても意識を完全に保っていられる貴重な時間。理由は分かってないけど何故かそうなる。
まぁ明日もあるし早く寝るか
翌朝、過去最大の折檻を喰らうことを俺はまだ知らない。
楽しんで頂けましたでしょうか
内容が二転三転とした感じはありますがこれが私の作品です
話が飛びます。急な展開があります
コレぞナメクジクオリティ
それも含めて楽しんで頂ければ幸いです
考えはあるのに上手く言語化が出来ないせいでペースが上がらないのが現状です。
なのでゆるりゆるりとお待ち下さい。
それではまた次回お会いしましょう〜