紫翠です。ナメクジです、ゴッドイーターです!
今回はいざ実地訓練へ!
ということで張り切って
(っ´∀`)っどうぞ
────エントランス
神機使いになって四日目、昨日まで訓練場の方で基礎技能の反復練習、応用方法の模索。
神機との短時間リンクと長時間リンクとの差を比較。など
短時間でかなり内容の詰まったことをしていた。
時間は有限だから大事に使わないと、亡くなった人達の分も長く幸せに。それが生きている人の義務だと思っているから
少なくとも俺はそうしたい。
………にしても遅せぇな上官殿。もう、かれこれ30分間ここで立ちっぱなしなんですけど、本当に足が棒になり始めて来たんですけど!?
「よう。悪いな新入り、榊のおっさんの話が長くてな」
飄々とした態度で現れた。俺より見た目年上の男性。
茶色のコートを着て、ほんのりタバコの香りが漂って来るその男性は。
なるほど、“強い”と思わせる瞳を持っている。
数多くの修羅場をくぐり抜けて来たのであろう。しかし、それを感じさせない先程のあの態度はそうとう心が強いのか。それとも既に心が壊れているのか。はたまたこちらに不要な緊張をさせまいと配慮しての行動なのか。………こんなこと考えても正直どうしようもないんだよなぁ〜
でも遅れた理由が榊博士か、なるほど、うん。
「なるほど、そういう事ですか」
この人の言おうとしている事が何となくわかった。分かってしまった。もうヤダ、アレだけは嫌だ。本当に
「そうか、分かってくれるか───ってお前さん適合率してからまだそんなに経ってないのにあの長話に付き合わされたのか!?」
「えぇ、まぁ。あれは確か2時間ほど?でしたかね」
「よく耐えた。凄いぞ新入り」
「はい、ありがとうございます」
全くもって嬉しくないんですけど!
「さてさて、遅れてしまった訳だが。今日からお前さんの直接的な上官として着くことになった。雨宮リンドウだ。よろしくな」
「はい、神喰 劍華です。よろしくお願いします」
「おう、ていうか何か緊張してないか?………って。ああそうか、お前さん初の実地訓練だから緊張してんのか」
その慧眼には感服せざるを得ないと言うか何と言うか………。
「はい、本当は緊張するべきではないと思うんですけどね」
「どうしてそう思うんだ?」
俺の呟きに対して、思った通りの……いや、思った以上に淡白な質問が飛んできた
「俺は『外』で暮らしてきた人間です。アラガミには他の人より慣れがあると言っても過言ではないです。『外』にいた俺がアラガミを殺すことに緊張するなんて、本当は緊張しない方がいいんじゃないかなって思うんです」
恥ずかしい話、緊張しているのは事実だ。リンドウにも言ったが俺は『外』いたんだ。その上、アラガミを
だから、いまさら緊張するなんて方が、よっぽどおかしな話なんだ。
しかもほかの神機使い、オペレーターの人たちには気づかれないように。と極めて冷静に努めていたつもりだった。それなのにいとも簡単にこの
全く、俺もまだまだ未熟者だよなぁ。
「そういうことか、全く若いのに随分としっかりしてんじゃねえか」
お前の方が若ぇぞ。とか言ってみたいな~
「お前さんはずっと外で暮らしてたんだろ?ならその緊張は当然のもんだ。今まで見つからないように隠れ、逃げて来た相手に対して、これから面と向かってぶち当たるんだ。だからその緊張は当然のもんだ、そう思っておけそのほうが気が楽になるだろう?」
とどこか楽しそうに話す俺の上官は、間違いなく極東最強であると俺に再認識させた。
――――リンドウ
長い会話………この場合は一方的な説明だな。
何を説明されてるかって?
一つ、単騎でのウロボロス討伐の祝いの言葉
二つ、ここ極東支部に新人が入った事
三つ、その新入りが『新型』で絶対に失うことのできない存在であること
四つ、じゃあ優秀な君のことだ何が言いたいのかわかるだろう?というお話
最後に支部長から「君に一任する」というありがた~いお言葉をいただいて、軽く項垂れた気分でエントランスで待っているという新入りのところに向かっている←今ここ
さて、そろそろエントランスだ
「気を引き締めていきますかね」
小さく呟いた言葉は誰の耳にも届いていなかったが、呟いた者の態度が飄々としたものに変わったのは誰が見ても明らかだった。
ドアが開きエントランスに入る。
「へぇ~」
どいつが新入りだ?と視界を巡らせる必要がなかった。
受付カウンター、その付近に立っていた“悠然を演じている”人物に
そこにいたのは、今まで見たことのない人物で、考えるまでもなく。
「こいつが新入りだ」とそう知覚させられた。
その容姿は、俺より少しばかり低い身長。
肌の見えている部分からうっすらと見えている筋肉の起伏。
右に流すように、少し目にかかるように伸ばされた前髪、ほかの部分はおおよそ等しい長さに切りそろえられていて、清潔感も感じさせる。
対照的に目元は鋭く射抜くような瞳をしていて、怪我をしているであろうその右目には眼帯をしてる、どことなく眼帯に施されている『フェンリル』のマークと親近感を持たないようでもない、それくらい彼の持っている紅い左目がとてつもない野性味と掴みようのない
そして何よりも俺の目を引いたのは、その髪の色だ。
鮮やかに、視界で映えるその色は、燻った様な灰色を纏っているのにも関わらず、獣のような、アラガミのような。言いようのない力強さを持っていて、まるで“俺はここに居るぞ!”と月に向かって遠吠えをする狼のようで、幻想的な輝きの放つその髪の色は。
《銀》という一言で表すにはあまりに美しく、そして力強かった。
───贖罪の街
ここに来るのも何度目になんだろうなぁ。
幾度となくここでアラガミを狩ってきた、思えば初めて実地訓練をした時の場所は俺もここだった気がする。
あの時の姉上は怖かったなぁ。今でも覚えてる
さてさて、いい加減現実と向き合わないと。割と本気で怖かった
そして、チラッと後に指示を待ち大人しく待っている後輩の姿を見やる。さらに目が合う前にその視線を後輩から高速で外す。
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……………
某決戦兵器搭乗員の主人公のセリフが頭の中でゲシュタルト崩壊を起こしかけている。
おかしい。俺は
その筈だ、姉上から直接内容を聞いた時だって───オウガテイルか問題なさそうだな〜。早めに切り上げてビール飲もう。
と思っていたくらいだ。
なのに─────
何故全身から噴き出すような勢いで殺気をあたり一面に撒き散らしている奴の実地訓練に付いていかなければ行けないのだろうか。
ねぇ、君さっきまでガチガチに緊張してたよね?
俺とも少しぎこちない感じで話してたよね?
それがどうして現地についた瞬間に「オウガテイルか、はハッ喰い散らかしやんよ!」って。
怖ぇよ!姉上に引けを取らないくらい怖かったぞ。
豹変するゴッドイーターって流行ってんのか!?この前だって台場 カノンって子がこんな感じだって聞いたぞ。怖ぇどうすんだよこんな奴。
リンドウの胃がキリキリと痛み始めるのもそう遠い話では無かったのは別の話。
「さ、さて。そろそろ作戦時間だ。気を引き締めていけ」
「……了解」
殺気が増してないか?周囲がちゃんと見えてるのだろうか。
「命令は3つだ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良けりゃスキをついてぶっ殺せ。……ってこれじゃ4つか?」
「ふふ、そうですね」
「───!?」
新人がこの程度のことでウケたことにびっくりしたがそれ以上にさっきまでのおぞましい量の殺気が。今では止水の様にひっそりとなりを潜めている。その事実にものすごく安心した。
アレはアラガミに対しての憎悪だろうな。『外』で、多くの人を失って来たんだろう。それが全て出たらあんな風に………やっぱりしっかり見ていてやらねぇとな。
「兎に角、命令は以上だ。相手はオウガテイル三体、バックアップはしてやる。一人でやれるか?」
「ええ、大丈夫ですよ。行ってきます」
そう言うと劍華は振り返りもせずにオウガテイルに向かって行った。
さて、俺も行きますか
バッ!!と丘を飛び降り着地と同時に
ドチャァァアア!
真横にオウガテイルの
「んだよ、アレ。本当に同じゴッドイーターなのかよ!?」
飛び降りた先で見た光景は。
神機にまだ触れて間もない新入とは思えないほど鮮やかで、圧倒的で、悠然としていて、何より他の神機使いと比較するまでも無くアラガミを一方的に蹂躙している者が視界に映る。
首だけ残ったオウガテイルはまだ慣性によってその場に留まっているにも関わらず、横の一体のオウガテイルに対して迷わず『ロングブレード』の刀身を突き立てる。
もう一体のオウガテイルが劍華に向かって突進をしようとするが後回し蹴りが落下し始めたオウガテイルの首にクリティカルヒット。
意思を持っているかの様に突進して来たオウガテイルテイルの顔に『首』のキバが突き刺さる。
対して劍華は蹴った勢いそのままに『ブレード』を振り抜き、近くにいたオウガテイルの横腹に真一文字の傷を付ける
回転は止まることなく神機が切りつけたオウガテイル正面に向かって行ったかと思うと。────ズパッ!という肉を断ったと思えないほど軽快な音とともに
コア手前の辺りまでオウガテイルを一瞬で切り裂いた
────グォォォオオオオ!!!
もう一体のオウガテイルが突き刺さった首を振りほどいたらしい。
怒りに近い反応で劍華に突っ込んで行く。
さて、どうする?
今あいつはコアの捕食中だ。このまま気が付かなければ突進で吹き飛ぶか喰われて死ぬか。
気づいてなさそうだな………しょうがないサポート行きますか。
俺がフォローに回ろうと踏み出したその瞬間。
─────スパッ!
おかしな光景を目に焼き付ける事になった。
まるで野菜でも切るかの様に自然な流れで、俺ですら剣筋を捉えきれない位の速さで『ロングブレード』を
先程まで捕食をしていたのにも関わらずにだ。
正直自分の目を疑った。
最初に飛んできたオウガテイルだってそうだ。
何故なら、
なら胴体は、と言うと。
空中、それも劍華の真上だ。
当の本人は真上からオウガテイルの胴体が降って来ていることに目もくれずに神機を
─────グググッ
至って普通の、と言いたくなるような『ロング』の捕食形態。
けれども「少し大きくねぇか?そのサイズ」俺らのよく知る捕食形態よりも一回りか二回り程大きくなった捕食形態。
十分に溜めきったのか神機を捕食形態のまま上に向けると───
─────バクン!!
オウガテイルの胴体を血の一滴も残さずに喰い尽くした。
しばらく呆ける様に劍華を見つめていたが、劍華がこちらに振り返った時に初めて気付いた。
何時浴びたのか劍華の右半身に返り血がベッタリと張り付いているのだ。それだけだったらまだ「シミになる前にふいとけとよ」で終わるのだろうが─────
「ミッションコンプリート、ご馳走様でした」
何故かこのセリフを聞いただけなのに、全身を虫に這いずり回られた様な凄まじい嫌悪感と寒気に襲われた。
ウロボロスと相対した時よりもビビってるなんて、俺もやきが回ったかね?
「終わりました。ってうん?どうしたんですか?顔色悪いですよリンドウさん」
「ああ、いや。何でもない、自分が初めての実地訓練に出た時の事を思い出してな?それと、ほれ」
「うおっと。タオル?ですか」
「そうだ。右側返り血で汚れてるからシミになる前に拭いとけよ」
「そうですね。ありがとうございます、リンドウさん」
そう言うとグシグシと顔を拭き始めた。
こうして見ると、ただの好青年何だけどなぁ。タバコを吹かしながらそんな事を思った。
そういや、コイツの履歴書……だったか?顔写真付いてなかったんだよなぁ。特技の欄に居合い、抜刀術、刀剣術って書いてあるのは伊達じゃないな。はて、苦手なものって何が書いあったんだけなぁ?
思い出そうとするとモヤが掛かったかのように隠れてしまった。
まぁいいか、後で帰って履歴書見れば。
「よーし、綺麗になったなそれじゃ帰るぞ」
「了解」
「帰り道は反省会だからな〜」
「反省会ですか?」
何ですか?それと言いたげな顔だねぇ
「上官の俺から客観的に見た目アドバイスだ。聞いておいて損はないだろう?」
「なるほど、お手柔らかにお願いします!」
「その意気だ、早く背中を預けられるくらいに強くなってくれよ?」
「はい!」
───帰路with劍華
軍用車両でアナグラへ向かって帰還中だ。
リンドウから言われたことは、簡潔にまとめてしまえば。
文句なしのゴッドイーターだそうだ。
新人とは思えない程戦闘慣れしていて、なおかつ初の実地訓練で三体のオウガテイルを一方的に蹂躙して終わるという結果を出せばそんなもんだ。と言われた。
ただ改善できるなら、なるべく返り血を浴びずに倒すようにとも言われた。
確かに返り血を浴びると視界が塞がれたり、服にシミが残ったりなど、余りいい事がない。そういう点ですごく納得がいった。
それとリンドウにバレていなければいいのだが。捕食欲求が抑えられなくて
顔を重点的に吹いたのは口元に肉がこびりついていた場合を考慮してだ。
とりあえず初の実地は成功に終わった。
帰ったらまた姉さんの絵を描こうそうすればこの
そんな事を考えながら俺は、俺たち二人+αは帰路に着いた。
余談だが、リンドウは終始俺が気になるのか。すごいチラチラ見てきた。アナグラが見えてきた所で、俺の戦闘スタイルやら豹変したような性格について質問してきた。
あなた今までそんなこと考えてたのか。と思うくらい簡単な質問ばかりだった。
前書きのハイテンションは気にしないで下さい。
深夜テンションなんです。
中々時間が取れずに何時も投稿日の間隔や文の長さもまちまちになってしまいがちですが色々な方に読んで頂いて、ナメクジ嬉しくて干からびそうです。
それとひとつご報告が。なんと、この作品の元として使っていたゴッドイーターリザレクションを紛失しました。
家が汚くてですね。掃除する時間もうまく取れていないのが現状で…………まぁ、仮に時間があってもしないんですけどね。
とまぁ下らないあとがきになってしまいましたが。
何時も読んで下さる読者の皆様に感謝を述べて締めたいと思います。
「ありがとうございます。また次回お会いしましょう」
( ´ ▽ ` )ノシ