IS ダークライダークロニクル   作:金宮 来人

10 / 40
今回、ISにライダー装備をつけて戦いますが、基本的には殆ど装甲の無い基本外装フレームに装備が付く事をイメージしてください。
飾りもなく黒い装甲が腕より一回り大きい感じで付いてるとか、そんな感じです。

では、本編へどうぞ。


08 その名は【ダーク・アームズ】

叫んだ後、更に驚愕する事になる。彼は本気を見せていなかったらしい。展開したISは大きさからして異様で、それ故に見ただけで気がついた。おそらくアレは彼の機体の一番基礎部分。彼の言っていた骨に当たる部分だけでできた機体だ。

「屑如きが・・よくも俺の気を昂らせやがったな・・。まぁいい、怪我は覚悟しろ。行くぞ、【ダーク・アームズ】・・ウルオウダーシステム。」『ステンバーイ・・』

彼(クロノス)は腕のソケットに緑色の目玉の様な物の横を押し込み、それをはめ込むと同時に横のボタンを押した。

『イエッサー・・ローディング・・』

ソレをはめた部分を捻る様に起こして上のボタンに手をかける。

「変身・・」

『テンガン・・ネクロム・・メガウルオウド』

機体が緑色の全身装甲へ変わる。そして、ソレを見た私は驚いた。

(ファントムトリガー!?)

見た眼があの巷の噂となっている復讐の執行人の姿にそっくりだった。細部は違ってもかなり近い印象が有る。コレは彼に問いだす必要がある。

「さぁ・・貴様に教えてやろう・・真の恐怖を。」

そう言って彼は一歩踏み出したと思いきや一瞬で三日月くんの前に居た。そのままの勢いでお腹に蹴りを入れて吹き飛ぶ所を彼の腕を掴み、引き寄せながらそのまま反対側に投げる。そして、地面に転がった所でよろよろと立ちあがり始めるが・・、

『デストロイ!!』

「終わりだ・・」

『ダイテンガン!・・オメガウルオウド』

腕を伸ばし起こした部分のボタンをもう一度押して、また一瞬で三日月くんの前に行って回し蹴りをくらわせた。

「せいやあぁぁああ!!」

「ぐあぁぁぁああああ!?」

三日月くんはその勢いのまま横に吹き飛び錐揉みしながら地面に転がる。そして、クロニクル君は機体を解除して、不機嫌そうに鼻を鳴らす動作をしてピットに戻った。そして、管制室に居た教師は慌てて三日月くんを保健室に運び、ピットに一度戻ったクロニクル君は着替えを済ませて管制室の私の元に来た。

 

ニコニコと笑ってはいるが・・その細めた中の眼はまったく笑っていない。

「すいませんね。コレは見た通りちゃんとした自己防衛ですから。過剰防衛には当たりませんよね?機体を解除した相手に武器を構えて攻撃して来た。普通なら逮捕ものですが、おそらく彼は反省文と自室謹慎ですむでしょうね。なんたって世界初の男性操縦者なんですから。まぁ、こちらとしては我が社『CIRS』を通して正式な抗議は致しますので・・そこら辺はまた後日。生徒会長、学園長とお話しする事になるでしょう。すでにクロエが会社に連絡したようで、先ほどから連絡がひっきりなしでした。まったく、勝手に喧嘩を売ってきて負けたら人のせいにして、インチキ呼ばわり。更にそこをはっきり無駄な時間だったと告げれば今度はキレて無防備な相手への傷害未遂。・・はっきり言いますが・・」

 

「只で済むと思うなよ?」

 

 

そう告げた彼の真顔は本当に怖く、辺りはひんやりとした空気を纏っていた。

「さて、俺を攻撃した事で三人がキレていそうなので、ソレを抑える為に失礼しますね。」

しかし途端にそう言いつつ爽やかな笑顔になり管制室を後にした。

誰も止める事も声をかける事も出来なかった。

「ぶっ殺すぞこの野郎が!!」

「マスターを侮辱するなんて許せない!!」

「落ちつけ二人とも。先ずはクロノスと会社の指示に従え。」

「マドカの言う通りだ!落ちつけ!!」

「二人とも止まってよー!」

保健室に向かう通路の途中で五人が騒ぎ、一人は静かに端末を見ていた。まぁ、端末を見ているのはクロエだから傍からは見ているようには見えないのだが。

「黙れ。」

『・・。』

一言で全員が静かになった。特に騒いでいた二人は冷や汗をかいて顔が青くなっている。

「・・今回の件はCIESの方から伝達が来る。それに従う事になっている。勝手は許さないし口応えも許可しない。わかったか?」

『はい。』

「ならば、レナとマキの二人は部屋に帰れ。それからマドカ、よく落ち着いていたな。成長したようで感心した。」

「・・ありがとう・・。(言えない・・二人を止めて自分が仕留めようと考えてたなんて)」

「それからラウラにシャルも、御苦労。狂犬を抑えるのは疲れたろう。しっかりと休んでくれ。クロエは、タナトスさんを通じて重役会の様子をこっちの端末に送ってくれるように。一応、下手な事になっていたら止める事にする。」

「「「分かりました。」」」

「では、各自戻れ。」

そう言って全員を解散させた。俺は自身の端末を開く。

「タナトスさん、繋いでくれてる?」

『はぁい、クロノス。どう?楽しめた?』

「まったくつまらなかったよ。良いから、映像をお願い。」

『面倒な事になってるわよ?はい。』

そう言って変わった映像を見る。

「はい、モルモットにしましょう。えぇ、それが一番いいです。」

「クリス・・落ちつけ。」

鯨瀬・クリスティナ・桜子が興奮している。食事の事以外で此処まで成るのは珍しい。

「そうだよクリス、落ちついて。・・私が変装して行って、ニンジャガンで撃ってくるから。」

そう言うムラサキの眼は光をともしていない。

「お前もだムラサキ。」

その声に野上が進行をかって出た。

「鯨瀬、狗駒。落ちつかないか。獅子ヶ谷、まともな意見はあるか?」

「私?うーん、まともな戦いにこんなやり方ってムカつくし、私嫌いなのよね。だから、死刑で良いんじゃない?銃殺刑にでもしてマキとレナの人うちの的にでもすれば有意義よ。遠射の人撃ちの練習にでもしても良いかもね。私、ほんとーにあぁ云う人間って大っっ嫌いだから。」

人差し指を立てて良い事を言ったみたいな顔している。

「獅子ヶ谷・・。」

野上は頭を押さえて呻く。駄目だ、SORDは無理だとつぶやいていた。

「あー・・ぶっちゃけ処分自体は学園に任せてオレ達は学園への謝罪と慰謝料の要求に済ませて居ればいいと思う。こういう事になるような教育は監督行き届きが出来て無いって事で、コアの要求とか。」

「コアまでは契約の件で無理でしょうけど、オータムの意見には賛成ね。相手がどこまで誠意を見せるか逆に試すのもありかもしれないわ。」

「オータムとスコールはまともな意見だな。アタシはそれでも良いと思う。あぁ、みんちゃん、珈琲おかわり。」

「だから、学生時代の呼び方はやめてください。」

そう言いながらもおかわりを入れてくれる。あぁ、くっそマズイ。

「さて、最終的に言えば、相手にどこまで応じるか、事をどこまで重要に見ているかの誠意を見極める方向で謝罪と賠償の請求だな。編入してすぐだが、世界に二人しかいない男性IS操縦者を片方が亡きものとしようとした、事が露見し世界に広まれば大事件だと騒ぎたてる事は分かるだろう。穏便に済ませるにはどこまで応じるかを見極め、IS学園自体を見極める。それで良いか?異議が有るなら言え。」

『・・・。』

「よし。ならば・・『少し待ってくれ。』・・クロノスか。またタナトスで覗いていたのか?」

そう言うと会議室のモニターが勝手についてそこにクロノスの顔が現れる。

『あえてコアを一つ要求するように仕向けよう。その状況で断ればIS委員会に日本政府、強いては世界中に広めると言ってな。』

「・・脅すという事か?何の意味が有る?」

『とりあえず、コアを一つ回収できる事。そして、重要な事は『男子生徒を何処まで重要な存在と見ているか』という事と『戦闘行為をどこまで軽んじているか』という事。コレ如何によっては、IS学園は必要ない。潰して新たな組織を作った方がましになる。』

そう言われ全員が考え込んだ。

「前者は分かる。だが、後者の【戦闘行為をどこまで軽んじているか】という事についてはどう言う事だ?」

『ISとはどういう存在か。篠ノ之束はどう言う思いで作ったか。ソレを意識しているかどうかだ。』

「・・なるほどね。分かった。それも含めて書類を制作する。後日正式に出向くのは野上が行くから。・・みんちゃんはその準備。スコールは謝罪請求および損害賠償請求の書類制作、オータムはもし応じなかった場合の書類作成及び戦闘時の映像をタナトスさんから貰っておいて。クリスとムラサキ、トーカは戻って良し。各自かかれ。」

『はい。』「チッ・・だから、みんちゃんと呼ばないでください。まぁ、・・分かりました。」

『では、野上さん。お越しになる際は一報連絡を。ではまた。』

画面からクロノスが消える。あの外向け的な表情と態度は気持ち悪い。

「・・奴が大画面に映ると無駄に威圧感が有るな。」

「本物の世界最強で最上最悪な存在ですから。」

そう言いつつ野上は出ていく。はぁ、まったく。編入しょっぱなから面倒な事だ。

「はぁ、面倒だ面倒だ。やってらんないっての。」

「いいから、仙石さんも動いてください。」

「あいよ。わかってる。」

はぁ・・。

 




今回、戦いはしましたが力の差が有り過ぎて、ただの虐め回でした。
まぁ、クズ主には良い薬かと。

今回はISで【ネクロム】を再現でした。メガウルオウダー、大好きなんですよねぇ・・。形や色がなかなかメカメカしいし・・。
・・アレ太ってても装備できるから、良いよね。

次回はほとんど会話文の予定です。・・もしも内容に変更が無ければね。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ・・。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。