IS ダークライダークロニクル   作:金宮 来人

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連続投稿二話目でス。
一話前から読む事をお勧めします。

ではどうぞ。


09 謝罪と怒り 狭間に置かれる者

「このたびは申し訳ありませんでした。」

「私の監督の行き届きが至らず、このような事になり申し訳ありません。」

そう学園長が切り出し、生徒会長が共に頭を下げる。織斑教師がいるがそいつは頭を下げていない。関係ないと思っているんだろうが、そもそもお前の教育が悪いんだろうが。

「・・織斑先生、貴女はなぜ謝らないのですか?」

「私が謝ることなどないからです。そもそも、この愚かしい事になったのも元はと言えばコイツ自身が勝負を受けたりするからで・・」

そう言いながら俺を指さす。ふーん。そうくるのか。なるほど。

「チッ・・そうですか。では、失礼する事にしましょうか。」

そう言いながら席を立つ野上。つか、癖だろうけど舌打ちすんなや。

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

生徒会長が慌てて止める。

「織斑先生、事を起こしたのは貴女のクラスの生徒であり、事情を知って居ながらも止める事も監視する事もしなかった事。更に授業でISが危険である事を熟知させていましたか?」

「それは自己責任でしょう。私には関係な「無いと言うならやはりこれまでです。コレ以上バカバカしいやり取りに付き合う気はありません。」・・貴様・・。」

この馬鹿がそう言うと野上のこめかみが動いた。あ、キレた。

「貴様・・?そう言ったのか?なるほど、そちらの意見は分かりました。一企業に従う気はなく、ウチの企業代表パイロット兼、代表取締役補佐であり開発研究課総務・開発リーダーである世界的に重要な男子生徒の命を危険にさらし、こちらに謝罪する気もないと言う事で。この件は社に戻り代表取締役会にかけましょう。」

そう言って席を立ち、机に置いておいたレコーダーおよびカメラ付きペンを収めて席を立ち、部屋から出ていく。

「お、お待ちくださ・・」

「失礼、大変気分を害しました。この場に居たくないのでこれで。」

扉をバンと音を立てて閉める。

「さ、更識君、追いかけて。」

「は、はい・・。お待ちください!」

そう生徒会長が出ていく。

「まったく・・学園長もあんな一企業の相手をしているとなめられます。」

「唯の一企業ならそうします。ですが、相手は男子生徒を預かると言う事を認めてもらった先で、重要な生徒を危険にさらしたのです。怒りはもっともです。」

「しかし、あんな態度は・・」

「そもそも、貴女のクラスの生徒が脅す様に喧嘩を吹っかけたそうですね。転入して来たばかりの生徒にそのような事をすれば、普通は言う事を聞かざるをえません。ソレを分かっての発言ですか?」

「むっ・・そ、それにコイツは学園に提出していないISを所持していました。明らかに異常でしょう!即刻取り上げるべきで・・」

その言葉に、オレは顔をゆがめた。やっと口を開く。

「ほぉ・・そういう態度で謝罪も無しならやはり、当初の話はなかった事にしましょう。」

「ま、待ってください!!クロニクル君、謝ります。この責任は私が・・」

「そのような事は期待して居りません。学園長の責任などにはこちらとしては、初めに提出した書類の通りにして、謝罪されれば話はそこで終わりましたが・・先ほどの態度では全く話はされていないようで。はぁ・・それでは契約違反、いや契約放棄として私達はこの学園を去る事にしましょう。」

「どう言う事だ?勝手に学園から出ることなど許さん。」

「・・はぁ、何処まで愚かなのか・・。貴女にそのような権利はありません。学園長との編入契約時にした手続きに違反する行為が有ったのでソレを違反する行為が有った場合の手続きに基づき、行動を起こす。それだけですが?」

「愚かしいと・・この私を馬鹿にしたのか!?」

「えぇ。貴女より上の立場である学園長が頭を下げる意味も理解せず、ただ自分が責任を取りたくないからと相手を脅す。まったく、嘆かわしい。教師とはそういう物ではないでしょう。あぁ、ドイツに居たころに軍人であるラウラに訓練をしていたとか・・教師などやめて軍事教官でも目指したらどうでしょう。貴女に教師は向いていない・・教師失格です。」

「ふ、ふざけるな!!」

「まぁ、暴力を受けたとして貴女程度に負ける事もありませんが。・・さて、学園長。先の通り、手続きを行いますので書類を。後は退学手続きの準備を。こちらは損害賠償請求書類を用意して来ますので。」

「ちょ、ちょっと待ってくださいって。織斑先生、貴女は出て行って下さい。話が悪くなる一方だ。」

「学園長が頭を下げる相手ではないでしょう。良いから、あのISを渡せと言っている。」

そう言って俺の胸ぐらをつかもうと手を伸ばす。

「・・何をするんですか?」

ソレを学園長が手を掴んで止めた。

「貴女こそ何をしているか分かっているのか、織斑千冬!?貴女の発言のせいで今学園はとてつもない損害を払わなくてはならなくなってきているのです。ソレを何とか収めようとしているのに・・「もう、止まりませんよ。事態は契約書類禁止事項第四項まで進みました。もう、話を聞く気もありませんし、履行しない場合には全て白日の下にさらし、正式な手続きと共に学園を訴える。」・・どうにか気を静めてはくれませんか?」

「無理ですね。この手・・掴んでこそ居ませんが、第四項【暴力による脅しでの機体の要求は認めない。これを行った場合、または行う恐れが有った場合、上記の通り損害賠償を請求することを認める】・・上記記述【契約時以降に下記の違反が有った場合、その度合いによっては損害賠償の請求として多額の金額、及びISのコアの使用停止及びIS委員会を通しての譲渡を認める事】。契約書にあった事は熟読した貴方は分かっている事だ。学園長、・・いや、IS学園にはがっかりだ。気を害したので失礼する。・・精々、ウチの護衛から襲撃を受けないように・・。」

そう言って俺は席を立ち学園長室から出た。

「あぁ・・コレは・・大変な事に・・・。」

「学園長!どう言うことです!?コアの譲渡などおかしいでしょう!!」

「それもこれも貴女のせいだ!・・あぁ、コレはマズイ・・。」

そう言いながら私は頭を抱える。

「だから、あんな奴の言う事など無視して、逆にアイツのISを・・」

「黙っていろ愚か者!!コレは学園にとっても大きな利益のある事だった。クロエ・クロニクルくんの使用しているIS応用医療技術の結果を入学する事によってソレを元に医療技術の転用を学園と共に研究、それによっての出来た技術は使用して良しな上、学会にも共同研究者として名を連ねる事の出来る事で、医療分野での発展も担う事による学園の箔付け、及び世界的な知名度の貢献、クロノス・クロニクル君の新規開発ISの実験によって成功すれば他の男性でも乗れるISの作成、及びコアの製造方法の研究。その他もろもろの利益が発生する前に全てが水の泡だ!!」

「それは・・それこそ奴のISを奪い研究すれば・・」

「正式な取り決めで、IS委員会の委員を通して行った契約です。奪えば、学園自体の存在が消える事になりかねない。」

「なぜそのような契約を行ったのですか!?相手は一企業。つけ上がらせるだけで・・」

「そもそもIS委員会が入ってきたのも、彼の実験が重要な事を把握しての事。それこそ、コアの製造技術など喉から手が出るほど彼等が欲しがっている物。ソレを成功するかもしれないほどの天才なのですよ、彼は!!そうすれば、入学しているこの学園は大量のISを手に入れる事が出来たはずだった!それが逆にコアを失う事になった!!大損害だ!!」

「そ・・そんな・・」

「それこそ一人目の男性IS操縦者よりもよっぽど重要度が違う。そんな彼をさっきの条件で預かる事になったのに・・彼は学園を去るでしょう。事を公にしながら。そうなれば学園の信用は落ち資金を出している企業、親族、政府からは資金の打ち切り、世界中からはバッシングを受け・・入学生は減るでしょう。いくらISを学べると言っても危険な所には通わせる事は出来ないと言われたらおしまいです。」

肩を落とし、机のソファに深く沈みこみ頭を抱える。

「そ、そのような事・・もみ消せば・・」

「だから、先に言った通り、IS委員会としては学園よりも彼の所属する企業を擁護する。誰がもみ消すのですか?誰がどうやってもみ消すと・・。出来るのなら貴女がやってみなさい!!」

「た、束に連絡して・・」

「出来るならしてくださいよ!!聞きましたが貴女は昔に縁を切られたと愚痴を言っていた事が有ると聞きました。出来るんですか?今のあなたが、篠ノ之博士に連絡してこの騒ぎを鎮める事が、出来ると言うのですか!!ならして見せてください!」

机をたたいてそう告げる。すると・・

『バンッ』と音がしてドアが勢いよく開く。

「・・織斑千冬はここに居るな?」

「・・そこに居るよ。マキ(・・)マドカ(・・・)。」

「マスターを脅したそうだな・・教師風情が・・」

三人のクロノス君の護衛が飛び込んで来た。

「なんだ貴様等・・教師風情だと・・!?」

そう言って近付こうと一歩前に出た・・が、

『ドゴォ』『ガンッ』『ドゴシャァ』

下から殴りあげられ、正面から殴られて壁に叩きつけられ、ふらついた所を踵落としで地面に叩きつけられてそのまま気を失う。・・仮にも世界最強が手も足も出なかった。

「ふー、ふー」

「そこらで抑えろレナ。殺してしまう。」

「死ねばいい、マスターの敵は全部殺してしまおう。」

「同意見と言いたいが・・姉さん、此処はマスターに迷惑がかかる。世間の意見が有ればファントムトリガーが動くかもしれないから、今はほっておこう。」

「・・わかったよ。」

「まぁ、アタシも一撃入れておくが・・なっ。」

そう言って倒れている織斑先生の鳩尾に蹴りを入れた。

「がふぅ・・」

そう呻き声をあげて転がる。そして、一度気絶していたのが痛みで気を取り戻したようだ。

「き・・きさ・・ま・・ら・・、こんなこと・・して・・どうな・るか・・わかって・・るな・・?」

そう言う織斑先生の頭を踏みつけてマドカ・クロニクル君が睨みながら告げる。

「どうなるか・・だと?笑わせる・・世界最強だと?私から言えば最強は兄さんだ。まぁ、精々ファントムトリガーの標的にならないように怯えて暮らすが良いさ。二人のマスターである兄さんに対して脅しをかけたそうだな。【タナトス】さんから聞いたよ。殺そうとしていたのを抑えたんだから、感謝してくれよ?世界最強(笑)。」

そう言って彼女は横腹を蹴って部屋から去る。ファントムトリガーが動く!?とんでもないことですよ?!

・・彼女達は何かしっているのでしょうか?そもそもファントムトリガーがどうして動くかはネットへの書き込みのみ。その際の標的の理由は判明していない。つまり、何を根拠に彼女たちが【織斑先生をファントムトリガーが標的とするか】を知っていないとその発言は出てこないはず・・。

・・何か関わりが有るなら・・更識君に聞く事が出来ましたね。調べてもらいましょう。

 

CIRS企業代表【クロノス・クロニクル】 

IS学園入学許可書および、入学にあたっての契約事項。

 

◎上記記述

【契約時以降に下記の違反が有った場合、その度合いによっては損害賠償の請求として多額の金額、及びISのコアの使用停止及びIS委員会を通しての譲渡を認める事】

 

下記、違反行為・注意事項

第一項【男子生徒である以上、過度なプライバシーの侵害は禁止する。】

 

第二項【企業代表であることから、IS学園だけでのデータ保持は認めない。

また、データ採集を行う際は【CIRS】及び【IS委員会特別顧問】の許可を得ること。】

 

第三項【戦闘行為、模擬戦闘などは職員幹部の許可が有る場合のみ有効とする。授業などの行為で教師が命令して勝手な模擬戦闘などを行う場合は上記の処罰を行う場合が有る】

 

第四項【暴力による脅しでの機体の要求は認めない。これを行った場合、または行う恐れが有った場合、上記の通り損害賠償を請求することを認める】

 

この書類は正式な物として保管しておくこと。

文章を変換、または複製した場合はその者に対し処罰を行う事。

 

書類制作者

CIRS代表幹部 ・仙石  ・野上  ・オータム  ・スコール

IS委員会特別顧問  赤坂  チューカイ・ヤ  壇 黎斗

 

IS学園側代表者二名の署名を下記の線上に記す

 

学園長 轡木十蔵        生徒会会長 更識楯無

 




今回は、前々回の騒ぎの収拾回です。
クロノスとCIRSへの対応をどうするか考えて書いていたんですが、
行き成り日時が飛んだ感じがしたので、間の話を作りました。
後は、ダリルとフォルテの出番が無かった事に気が付いたのもですが。
個人的には好きですよあの二人の関係。

それはそうと、クソ教師はやはり変わっていません。過去からそのままです。それが原因で束にも縁切りされたのに、この千冬は頭が悪いですね。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ。

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