IS ダークライダークロニクル   作:金宮 来人

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コメント欄に壇黎斗が多すぎて笑いました。
自称神の設定はありますが、ただのIS委員会会長で仮面ライダーになる予定はありません。

本作品のガシャットはクロノスの製作です。
壇黎斗は一切かかわっていませんし壇正宗も存在しません。


10 クロニクルの序章 動き出す歯車

「どうにか、お考え直しください。」

「くどい。」

俺は学園長室で机の上に足を置いて、偉そうな態度を取っている。まぁ、コレはわざとの態度だ。俺をどこまでたしなめれるか気になるが、・・これだと、それも無理そうだ。

「ですが・・アレはあの教師の暴走で・・」

「それを止めるのが学園長の仕事で責任だ。ソレを覆すと言うのか?」

タイミングを見てその態度を崩して元に座る。やはり、頭は代えるべきか・・。

「ごもっともです。ですが、せめて・・せめてISのコアだけで・・世界中から資金提供が止まると学園の経営も止まり、多くの生徒の未来が・・。確かに他からの資金はありますが、あなた達からの話があったと聞いたら、おそらくすべての資金提供が止まってしまう・・。」

「・・生徒の為・・か。保身の為ではないのだな?」

眼をしっかりと見据える。轡木十蔵も目は逸らさない。逸らせない事が分かっているようで、冷や汗をかいている。

「はい。それは誓えます。私はもう年です。次期学園長も考えて入るのですが誰もが保身と欲に目がくらむ物ばかりで・・ちゃんとした学園の経営が出来そうなものが居なくて・・。」

「・・ふむ、我が社の幹部クラス数人を教師として派遣する事も出来るが・・。ちなみに女性でISの関係もばっちりだ。」

「CIRSのですか?しかしそれでは学園はCIRSの傘下で運営という事に・・。」

「いや、教師経験が有ると言う事でもあるからだ。学園の方針はIS委員会の指示通りに従うし、私物化しない事を誓える者が数人いる。そもそも我がCIRSには女尊男卑の影響で捨てられた男子やその影響から親を失った子供、男女問わず受け入れて教育している。いずれ男女平等の世界になると信じてな。・・はっきり言おう。この提案を受け入れないならやはり話は元の通り契約通りに進める。こちらとしてもIS委員会を入れて大きくすると面倒なのは確かだ。特に壇黎斗委員会長。自称『神』は煩いし面倒だからな。」

「は、はぁ・・?えっと、その、・・教師の受け入れはしますが、その人物の見極めは任せてもらえるので?」

「当然。そもそも、確かに彼女達は教育免許を持って入るが、実務としてでは、公共の学校に教員として出れてはいないのだ。正直、少し性格に難が有るのが多い。学園長候補の仙石はめんどくさがりやで、口癖が『面倒くさい』だからな。能力はあるが自分から問題は抱え込まんし、下手な欲もない。その場合直属の部下で一緒に送るのがおそらく野上になるから、実質そちらの補佐で学校が回る様な物だろう。実に能力はある。キレやすいのと、舌打ちするから対人関係は最低だし、他人受けは悪い。対人で仙石、補佐兼運営が野上でセットなのがいつもだな。今回は、契約の事に一番詳しいと言う事で野上だけだったが。ほかも白騎士事件の際の被害者でもあったり、親が犯罪を犯したせいで不採用となったケースもあったからな。心の傷も癒えたし、彼女たちの誠実さは保障しよう。」

「ならば、条件を呑みます。」

「あとひとつ、俺達をクラス替えさせ、織斑千冬は関わらせないようにしろ。あのクラスでは全く持って授業に集中できない。それと、ついでに男子生徒も付きまとうようなら実力行使に出ると言っておく。コア一つの件で後はこっちの先の条件を通してもらえるならこれで話は終わる。ついでだが、今の研究成果をIS委員会を集めて発表しよう。面白い事になるぞ?・・更識楯無、生徒会長を呼んで貰えるか?」

「外に控えています。今呼びます。」

・・本気なの?

「えっと、それは本当ですか?」

「そうだ。君の妹、更識簪の機体データはあの男の機体・・赤色だったか?の為に流用された。すでに倉持技研は信用ならない。だがその中でも篝火ヒカルノ。彼女には利用価値が有る。彼女を引き抜き、引き続き我が社で新規機体の開発を続けようと思うのだが・・、簪さんに伝えることはできるか?」

「私が言っても反発されます。いま、私達は喧嘩をして他人同然に接されています。」

「・・ふむ、優秀な兄弟を持った下の扱いは何処でも一緒だな。うちの会社にもそう言う理由で捨てられた子がたくさんいる。優秀な遺伝子は残して、劣っている物は必要ないと・・まぁ、そう言う理由から捨てられた子はわが社が専門の施設で育てているよ。教師もいるし、幼い子には保育師もいる。社内で子供が出来て捨てられた女性や男性も、そこに預けて育てている人も多数いる。君の妹さんも我が社がバックアップして更に新たな機体を作ろうと思う。いま、最新型の機能が有るが・・ソレを組み込んでも良い。しかし、その場合企業代表になってもらう必要がある。まぁ、それはヒカルノをこちらに引き込んだ後の話だな。そう言う事で考えが有る事を覚えておいてほしい。」

私は当然疑問に思う。

「どうしてそこまで・・」

「ん?どうした?」

「どうしてそこまでしてもらえるのか聞いても良いかしら?」

そう、目の前に居るクロノス・クロニクルにはどこまで権限が有るのか・・そこも気になる所だが・・。それ以上に私の妹を引き入れてどうするつもりなのかしら?

「・・ふふふ・・すでに政府は勝手に暴走しだした倉持技研よりも我が『CIRS』を重要視しだしている。彼女はそこから世界に出れれば自信がつくだろう。こういうと胡散臭くなるだろうが・・【私達は男女平等の世界を目指している。その為にはIS最強思想とそれに侵された愚かな者たちは邪魔だ!!私達の企業は世界をもう一度造りかえる。『インフィニット・ストラトス』の名の為に宇宙を目指す。地面に這いつくばって空を見上げるんじゃなく、宇宙その物をまっすぐに見据える。新たな時代を作る、それが我が名『クロニクル』に与えられた命題だ。】・・ふぅ。だからこそ、女尊男卑に染まっていない優秀な者は必要だ。君もロシア代表を辞めたくなればいつでも来てもらって構わないし、はっきり言うと学園長も来てもらっても良い。学園内にも数人、素質が有る者がいたのでその人たちにも声はいずれかけて行きますが・・手っ取り早く優秀な人を引き抜くのは鉄則。彼の魏の覇王曹操も優秀な人材を集める事はしていた。つまりは、古代から続く有効的かつ、効率的な手段という訳だ。その為に・・極秘ではあるが篠ノ之束博士ともつながりを持った。上手く行けば学園に赴任する事も可能だ。」

「・・篠ノ之博士・・ですって?」

「そ、それは本当に?」

「実現可能な話だ。こちらは宇宙を目指す為のプロジェクトを開始しようと思っている。それに乗るなら、篠ノ之博士も味方につけれるだろう。本人の意思次第ではあるが・・。おそらくは博士の妹とは相反する事となる。見た限り、篠ノ之箒、イギリス代表候補生セシリア・オルコットはあの男子生徒側だ。そして、織斑千冬もそちらに立つだろう。ならば邪魔者として敵対する時が有れば排除する。その可能性をどう踏むかが彼女次第だ。それ以外には大きな問題はなく、宇宙開発へ向けての夢実現という大きな彼女へのリターンは有利と言えるが・・そこも天災と言われる人の頭だ。我々凡人には見えない物が見えている可能性は否定できないがな。」

やれやれと言った風に首を振る。もし、篠ノ之博士がこちらにつくなら今はおとなしくなっている亡国機業のことも・・本拠地をつぶせるかも・・

「そうそう・・聞きましたか?例の『ファントムトリガー』と『ファントムタスク』が手を組んだと。」

「・・なんですって!?」

ヤバいなんてもんじゃない。本当にテロ組織が化け物を・・手にしたと言うの?!

「そして、・・ククッ・・ファントムトリガーはファントムタスクを解体し、企業を立てたそうです。」

「・・!!そう言うことですか。なるほど・・。今までの事もそれなら話がつながる!!」

学園長は何かを察したらしいが・・どう言う事か私には分からない。寧ろ混乱してきている。

「クロノスくん・・いえ・・『ファントムトリガー』・・。貴方が狙っていたのは確かに女尊男卑派の連中と違法研究者。そう言うことですね?」

「な!?」

クロノスくんが・・『ファントムトリガー』ですって!?確かにその可能性は薄うす気が付いていたけど・・。確実な証拠がない。だが、本当なら危険ではないのか?

「さて・・くくく・・どうだろうな。・・さて、話は変わるが・・もし、男でもISが使えるようになるならこの学園は男子を受け入れれるか?」

「な!?何を言って・・はっ!!もう、出来るのですか!?完成したのですか!?」

「まだだ。『その時』ではないからな。・・もし・・IFの話だ。」

「・・難しいですね。それこそ、女尊男卑の今の社会では難しいかと・・。」

「そうか・・。なら、しょうがないな。」

「ですがそれは実現できるのなら・・世界は変わるかもしれません。」

「そうだな・・では、変わるまで待つのではなく・・自ら作り変えようではないか。」

「できるの・・ですか?」

「方法は、ある。」

力強く頷く彼の眼を見てしまった。その眼は覚悟と執念が見えた。

「その為には先ずは、・・先に言った行動をうまく動かし、最終的にはその通りになるよう万全を尽くす。その足掛かりが、ヒカルノ博士と君の妹だ。・・上手く政府に取り込めれば国家代表候補もいけない事もないが、そもそも、技術公開の点から妹さんの機体性能を隠した方が守りやすい。その点も踏まえて考えていてくれ。」

そう言って彼は端末を手に取りながら出て行った。

「・・彼は悪いようにはしないでしょう。考えていた方が良いと思います。」

「えぇ、私も簪ちゃんの未来は明るい方が良いもの。今のままでは危険なのは見えてる。だから、・・嫌われてでも相談しに行きます。」

そう言って私も廊下に出た。虚ちゃんに連絡して本音と簪ちゃんを生徒会室に呼びだす。

もし拒否しても、私が乗り込む。私は覚悟を決めた。

 

(嫌われても良い。簪ちゃんが無事に幸せで有ってくれさえすれば。それで満足よ。)

 

それから私は簪ちゃんを呼び出した。それは生徒会室。防諜用に作ってあるから話が漏れる事は無い。簪ちゃんが入ってきた。本音ちゃんが付き添いで居るが、簪ちゃんは嫌そうな顔ですぐに帰れるように入り口で止まる。私は席から立って近づく。

「・・何の用?いまさら話す事なんて・・」

「大事な話よ。聞いてほしいの。お願い。」

そう真剣に声をかけると、何かを感じてくれたのか私の正面まで来てくれる。

「大事な話?一体、何?」

「・・先ずは貴女にひどい事を言った事、謝りたいの。ごめんなさい。」

そう言って私は頭を下げる。簪ちゃんは目を見張った。

「正直に言うわ。私は貴女に危険な目に合ってほしくなかった。だから遠ざけようとあんな事を言ったわ。それで貴女が傷ついた。だから謝る。ごめんなさい、許してほしいなんて言わない。恨まれても仕方ない。でも、貴女が嫌いじゃないのだけ分かって欲しかった。」

「・・卑怯。そんなふうに言われたら、恨めない。」

「いえ、貴女は恨んでくれていい。貴女があれからどんな扱いを受けたかは聞いた。本音ちゃんに、簪ちゃんと会いたい事を相談した時に。泣いて訴えられたわ。知らなかったじゃ済まされない事も分かってる。でも、頭首とはそういう立場になる事だから。でも、傷付けた事には謝りたかった。コレは私のけじめでもあるから。」

「・・分かった。でもなんで急に?」

私は頭を上げる。簪ちゃんの目はうるんでいたし、睨んではいなかった。

「それは、少し長くなるわ。席に座って話しましょう。虚ちゃん、飲み物お願い。」

「はい、紅茶でよろしいですね?」

「あ、はい。お願いします。」「お姉ちゃん、私も紅茶で。」

「はい、では座ってお話の続きを。」

そう言って席を示す。私は先に座る。簪ちゃんが対面に座り、その隣に本音ちゃんが座った。

「先ずは、クロノス・クロニクル君からの話。簪ちゃんの機体技術が倉持で男性パイロットに流されている事は知っている?」

「はぁ!?なんで!?あの機体のせいで凍結されたのに!?」

「その事は日本政府の高官が勝手に指示した事らしいんだけど、さっきこっちでも裏が取れたわ。もう、倉持は信用できる企業じゃない。」

「そんな・・」

茫然とした簪ちゃん。その手を必死に本音ちゃんが握る。

「でも、篝火所長は承諾していなかった。そして、おそらく近いうちに別の企業に移るわ。簪ちゃんにはそっちの企業に移って欲しいの。」

「別の、企業?」

「『CIRS』って分かる?」

「え?クロノス・クロニクル君が所属するって言う?・・まさか!?」

「えぇ、クロノス君直々の誘いよ。そして、それを相談させて仲直りをしてほしいと言ったのもクロノス君。」

「そんな・・、今一番すごい企業がなんで私なんかを?」

「貴女の事を彼はすごい評価しているわ。私も、自慢の妹がそう言われて嬉しかった。あと、コレは内密な話だけど、彼の企業は篠ノ之博士と手を組むらしいの。そして、その新型のパイロットとして、更に技術の向上にも貴女がほしいと言われたわ。更識としても倉持は信用できないから、彼の企業と手を組もうとも考えているわ。」

「そ、それってすごい事じゃ?」

「そう。でも、貴女に相談せず勝手に決めていい事じゃない。私は貴女に決めてほしいの。」

手を握って真剣にまっすぐ見つめる。

「・・すこし、考えさせて。わたしは彼の事知らないから。」

「もちろん。期限は言われていないわ。しっかり決めてほしい。私は貴女の事からもう逃げない。貴女を否定しない。もし間違っていても、受け入れて私の言葉で私の考えを伝える。私の大事な妹だから。」

「・・うん。ありがとう、『お姉ちゃん』。」

そう言ってしっかりと手を握り返してきてくれた。それからみんなでお茶を飲んだ。昔みたいな、幸せな感じに戻れた事だけでも、彼に感謝したくなった。

 




前書きでいいながらも、壇黎斗の名前が登場してしまいました。
そうなったのは私の責任だ。だが私は謝らない。

ネタ枠ですので物語には直接かかわらないのでご安心を。
自称神ですが、処理能力が神がかっているだけで宇宙とコミットはしません。

簪ちゃんと更識は手中に収めました。これも世界をまわす歯車の一つとなる。刻を綴る、時計の針は、一刻一刻と刻み続ける。

では、まだ次回。
シーユーネクストステージ。

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