だって、どうしても出したかったのが有ったから・・。
それじゃ、早速行ってみましょう。
本編へどうぞ。
織斑千冬は『ブラッドスターク・マドカ』と睨み合いながら対峙していた。
「結局、貴様は何者なんだ?」
「あぁ、私はお前のクローン。【だった】・・とでも言おうか。今はマドカ・クロニクル。クロノスの妹でただの女子学生だ。まぁ、今現在は専用のフォーム【スターク】の姿ではあるがなぁ。正直言うとテメェを元に創られた事が恥でしょうがないと叫びたいがな。あぁ、面倒だ。ちっ、本当にうぜぇ。おんなじ息を吸っているだけでも気持ち悪い。」
「貴様・・。」
武器を構えるが、ゆらゆらと体を揺らすだけ。
「本当に面倒な上にみっともないよな。弟を見捨てて称号を得たと言っても、ただのお飾りに過ぎなくて、実際には日本政府からも特別な家に住まわされるでもなく、自身で稼がなくてはならない。悠々自適な生活を夢見ていたが、実際は自堕落な性格のせいで、腐敗臭のする家に住む事に。結局行政から苦情で家を売ることになり、今じゃ学生寮の一室にしか住むところが無い、かわいそーな女。」
「黙れ!?それもこれも私の事を調べた記者を、消す事が出来なかった政府のせいだ!あんな記事さえ出なければ・・」
「そりゃそうさ。だって、政府の画策だし。」
「な、何だと!?」
「予想以上に力を行使する貴様が目障りになった。知名度を利用して情報を集めさせて、『弟を見捨てたひどい女、血も涙もない姉。この国の防衛を任せる事も恐ろしい。』そう書き連ねたんだからなぁ。あれ、そのまま政府の男共の言葉だが?どうだ?後はファントムタスクが呷っておいたんだよ。いずれ貴様の周りのコアをもらうために。そしたら結局クロノスに組織解体されて、ナノマシン除去されて、目を覚ましたら妹にされるし。まったく面白い人生だ。あぁ、お前はつまらん人生だったな?わるいわるい。自慢になっちまった。」
「ふん!・・だが、一夏が生きていようが消せば同じ事。もうあれは必要ない。代わりの男とラウラさえ押さえればこっちはまたいろいろと・・」
「男は潰したしラウラがお前の下に帰ることなど絶対にあり得ないがな。」
手を振って無い無いと現す。
「あいつは私の強さにあこがれて・・」
「今のあいつは愛に飢えてる。家族愛、異性愛、心愛、友愛、母性愛。人とつながる事で心を通わせたあいつはもう過去のラウラの様に強さだけを求めない。だからこそ、あいつはクロノスを兄と認めた。私達は家族と認めた。施設の子供たちは姉と慕った。部隊の部下は隊長と慕う。それこそが、あいつの求めた結果だ。」
「いや、力こそすべてだ!全てを手に入れる事が出来る!!」
「力で愛は得られない。それは愛と呼べないおぞましい物だ。だからこそ、ラウラは私達と共に居ることを望んだ。・・さて、そろそろ時間稼ぎはもういいだろう。」
そう言って織斑千冬の後ろに声をかける。
△
「そうだな、今さっき全てが終わったと連絡が来た。」
マドカが声をかけたのは俺、クロノスだ。
「きさま、三日月はどうした!?」
「おねんねしてるぜ?一発もくらわずにのしてやったよ。つまらん奴だ。」
「何だと!?あれでも私の一歩後ろになるくらいに強かったというのに・・」
「ならテメェは俺の足元にも及ばないし、今のラウラの力の前では無力に近いな。」
そう言って俺は手を振る。言っても無駄だという動作だ。
「何を言っているんだ?私があの小娘に負けると・・」
「そんなこと言ってるから負けるんじゃない?」
「小者臭がしてて、弱い犬って感じね。チョコ、あんなのは真似しちゃだめよ?」
「お姉ちゃんは私を何だと思っているのさ!?そこまで馬鹿じゃないよ!?」
「貴様ら!?オルコットはどうした?!」
チョコとバニラが変身を解いてフレームスタイルで歩いてきたのを見て驚いている。
「あぁ、あのイギリスの負け犬?ぶっとばしてきた。」
「何度も強制的に修理されて、そのたびにチョコと私に潰されてたわ。」
「あれ?生身状態のクロノスに傷付けたから怒ってボコにした事は言わないの?」「ちょっ!?その事は黙ってなさいよ、チョコ!?」
「はっはっはっ。それは面白い事を聞いたな。チョコ、また今度クリスの料理たらふく食わせてやるよ。バニラ、今度服買いにデートでもするか?」
「ひやぁ!?ちょちょちょ、ちょっと、クロノス!?」
「やったー、クリスのご飯。めちゃくちゃおいしーもんね。」
「まぁ、それは置いておいて・・お前が機密裏に倉持に創らせていた機体、持ってきておいた。さぁ、使うがいいさ。」
手を上げて指を鳴らすと、空中からシャルロットが持ってきた機体を投下する。
「倉持の機体であり、篠ノ之束が一時期、一緒になって作った機体。暮桜の後継機、その機能を応用した機体、『白式』。その特徴は一次移行で【単一機能】が使えること。」
それを奴の目の前に落としたのだ。今まで量産機を使っていた織斑千冬はすぐさま機体に飛びつく。
「ソレは倉持からそのまま持ってきた。何もしていないから安心しろ。あぁ、一つだけさせてもらおう。マドカ、強制回復装置をつけろ。」
「あいよ。んじゃ、ちょっとだけ動くなよ、っと。」
初期移行中に近づいて腕にバングルを付ける。
「こ、コレは何だ!?」
「SE強制回復装置【リスタートバングル】だ。あぁ、それは装備も全てを再生させるし、まったくと言っていいほどデメリットは無い。ただし、操縦者の傷は治さないから、そこだけは注意したらいい。そいつを付けて連戦してもらうだけだ。」
「貴様何が狙いだ!?」
俺はそれを言われて組んでいた腕を解き、後ろを振り向きながら肘を腰のあたりに固定し手を広げて空へと向けて、何かを受け止めるようにして空を見上げて歩く。一つ一つを噛みしめるように。今までの事を思い出すように。
「お前の心を折る事。後悔し、懺悔し、自分の人生に絶望する事だ。」
そう言って手を上げる。そこには三機の機体が下りてくる。
その三人の顔を見て驚く。それは一人の男と二人の少女。三人の機体はフレームスタイルだが腰にベルトが付いていた。一人はマドカ、もう一人は織斑千冬は知らない顔だった。
男の姿は黒一色の服装だが、髪型が違い目つきは悪いものの、その顔が幼いころから成長したであろう【織斑一夏】だった。
「【織斑一夏】だと!?」
「こいつは【バグスター・アナザーイチカ】。俺の遺伝子から生まれた、ウィルスデータ的存在。しかし実態を持ち、心を持って能力を得た。しかし、悲しきかな俺の苦しい過去を取りこんで心を黒く染めてしまい、黒に染まったんだ。こいつには、織斑千冬に復讐するという執念があふれている。さぁ、我慢する雌伏の時は過ぎた。その手にカマを持ち、反逆の意思を掲げるがいい!男でも使えるコアの性能を見せる時だ!存分に振るえ!!」
黒いガシャットギアデュアルを手に構える。そしてベルトに挿すと背後に画面が現れる。
『デュアルガシャット!ザ・ストロンゲストフィスト!ワッツ・ザ・ネクストステージ?』「変身。」
『ガッチャーン!マザルアップ!悪の拳強さ、闇のパズル連鎖、悪しき闇の王座!パーフェクトノックアーウト!!』
「仮面ライダー・アナザ―パラドクス・・レベル99。」
そして手にはバグヴァイザーツヴァイを武器に持つ。
「織斑千冬・・貴様は俺の心の闇に巣くう悪。俺は悪を持って悪を制す。」
「は、ははっ。織斑一夏が基なら私にかなうはずもない!切り裂き、叩きつぶしてやる!」
そう言って剣を構える。相対する白と黒。そして、動いたのは黒だった。
「はぁ!」
手に持つバグヴァイザーツヴァイのチェーンソウを回転させて斬りかかる。
「ふん!」
それを受けるように織斑千冬はその剣を動かす。
【ギャギャギャリン】と音がしてその刀をはじく。それと同時に蹴りを放ち腹部に叩きこむアナザ―パラドクス。
「ぐぁ!?貴様ぁ!」
「この程度か。弱いな、世界最強と聞いていたが、これじゃあきれるほどに弱いな。」
肩をすくめてそう言うと怒りにまかせて剣を振ってくる。それを軽いステップでかわしながら、殴り、切り裂き、蹴りを入れる。
「がぁ?ぐぅ、がふぅ!?な、何故?何故私が押されているというのだ!?こんな奴ごときに!?」
「その程度だからだろう。つまらん。」
「私をぉ・・なめるなぁ!!」
【零落白夜発動】
剣が割れて中からエネルギーの剣がアナザ―パラドを斬り裂こうとするが、
「剣の手元は御留守だ。」
手元、剣のつばを蹴りあげる。驚いた表情で万歳状態の織斑千冬。そこに一度ベルトのハンドルを閉じて開いたアナザ―パラドが踏む込む。
『ガッチョーン・ウラワザ!ガッチャーン!!パーフェクトノックアウトクリティカルボンバー!!』
「潰れるのは貴様だ。」
そう言い放ち、足に黒いエネルギーがたまった状態で蹴りを放った。
「がぁあああああ!?」
白式の装甲は砕けて吹き飛び、そのまま織斑千冬はアリーナの壁に叩きつけられる。SEも切れて、ショートしているが、それに背中を向けてクロノスの隣に戻り、変身を解く。
『ガッシューン!』
「気は晴れた。これからはまた、美浜学園での戦闘訓練を頼む。あれは心が躍る。」
「了解だ。後は休め。」
「あぁ、またな。」
そう言うとバグスターイチカはオレンジ色のジラジラしたモザイク状になり、アリーナ外へのどこかへと消えた。
次に前へ出たのは織斑千冬が知らない少女。
「・・何処にでも、私はいるし、何処にも私はいないんだよ?ロシアンニンジャ、参上。」
その少女の名前は狗駒邑沙季(イコマムラサキ)。
クロノスが好きな少女の一人で、自称ロシアンニンジャ。IS学園の制服に着替えている上に変装をしているので、クロノス以外は誰にもその姿がムラサキだとは分からなかった。
「・・いままでクロノスを・・一夏を苦しめてきた事、後悔させる。」
そう言って構えたのは俺が使っていたバグヴァイザーツヴァイ。そして、ガシャットはギリギリチャンバラ。そのバグヴァイザーツヴァイを腰につけて、Aボタンを押す。待機音が流れ始める。
『ギリギリチャンバラ!』
ガシャットのボタンも押して構える。・・と手を放した。するとガシャットは勝手にそのスロットへと入る。
「変身。」
バグヴァイザーツヴァイのトリガーボタンを押す。
『ガッチャーン!・・ガシャット!バグルアップ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!(Wow!)チャンバラ!(Wow!)!!』
青くメタリックに光る鎧姿の【仮面ライダーレーザーX・ギリギリチャンバラフォーム】レベルX。通常のギリギリチャンバラだとレベル3だが、ソレを超える力を得たそれは俺が使っていたバグヴァイザーツヴァイだ。ダークライダーの力も含めて強化されている。
「・・ニンジャが使うなんて・・どうかと思うけどね。それじゃ、一発かまそうか。」
『ガッチョーン・・ガッチャーン!』
そう言ってムラサキはその手にガシャコンスパローとバグヴァイザーツヴァイを構えて突っ込む。
「ひゃっはー・・!切り裂いて突き刺して、ギリギリまで殺してやるぜー・・」
高速で動きながらスパローでエネルギーの矢を打ちまくる。ソレを見て焦った織斑千冬はすぐさま零落白夜を起動して切り落とす。更に連続して放たれるバグヴァイザーツヴァイのエネルギー弾を慌てて切り払い、避けようとするが連戦で思うように動けない体に歯噛みをする。
「貴様、こんな手で・・卑怯な!」
「お前が言うんじゃない・・。今まで、散々に人を苦しめてきた、お前が・・。」
『キメワザ!クリティカルジャッジメント!』
反対に付いているバグヴァイザーツヴァイで巨大なエネルギーを打ちだす。
「ぐぅ!?」
避けるが背後に着弾しその余波で吹き飛んで、地面に転がる。
「当たらなかった・・銃と違って難しいな・・。」
スパローを半分に分けて鎌状態にして両手でソレを振り、切り裂いて行く。
「がぁ、ぐぅあ。ぐはぁ!?」
途中持ちなおそうと剣を構えるが、剣が鎌に引かれて隙が出来た所で切り裂かれる。そしてスパローを合体させて腰につけて、バグヴァイザーツヴァイを構え直す。
『ガッチョーン・・ガッチャーン!』
今度は反対向きにつけてチェーンソウを前にして一気に近接によると、
「これなら外さない・・。」
『キメワザ!クリティカルサクリファイス!!』
押し当ててキメワザを発動させて体に巨大なエネルギーの鋸で引き裂かれる織斑千冬は流石に叫びをあげた。
「ぐぎ、がぁ、ぎゃあああぁぁぁぁああああああ!?あがぁぁあああああ!?」
「これで・・終わらせる。」
『ガッチョーン・・ガッチャーン!キメワザ!クリティカルクルセイド!』
バグヴァイザーツヴァイを腰につけ直し、後ろを向いたと思うとボタンを押してキメワザを起動し、足元にエネルギーを集束させると、その場で飛び上がり空中から飛び蹴りを決める。
「せいやぁああああ!!」
「ぎやぁああああああ!?」
くらった織斑千冬はバウンドしてアリーナの壁に叩きつけられる。
「・・ゲーム、クリア。こういうのは私のノリじゃないね・・。それじゃ、クロノス。後は任せるよ。先に帰ってるから。」
「あぁ、報告頼んだ。」
「・・ん。りょうかい。」
眠そうな顔をしてその場から足早に帰って行くムラサキを見送ると、回復した織斑千冬が剣を杖がわりに立ちあがっている。だが、ソレはボロボロの状態だ。機体は綺麗だが、操縦者のダメージは凄まじい物だろう。
だが、そこに立ちはだかるように前に出たのは・・
「貴様・・マドカ・クロニクル・・。」
「さて、貴様との真の決着はこういう物で行こうじゃないか。」
手に持つのは赤と青そして金色のバックル。そして、二つのボトル。
「それじゃ、私も・・私に使える最強の力で行かせてもらおうじゃぁ・・ないか!」
『エボルドライバー!!』
「さて・・これからが、お楽しみだぁ。」
『コブラ!』『ライダーシステム!』『エボリューション!!』
ハンドルを握り、ソレをまわすと二つのボトルが上下に動き、体の周りに天体を思わせる模様と、マドカを取り囲む様な金の円盤が幾重にも包み、大きく多方向へと回る。
『アーユーレディ?』
「エボルアップ!」
『コブラ!コブラ!エボルコブラ!フッハハハハハハハハハハハ!』
青と赤と金色のライダー。『エボルコブラ』へと変身した。
「それじゃ、一発かまそうか。ふん!」
そう言ってマドカはその手にエネルギー体を作り、ソレを投げる様に打ち出した。
「ぐあぁあああ!?」
いきなり飛んできたソレをくらって悲鳴を上げる織斑千冬。そこへ飛び込み、蹴りを放つマドカ。
「ぐぁああ!?」
飛んで行った先に、走って回り込む。そして、飛んできた背中に拳を叩きこむ。
「ぐほぉぅ!?」
さらに逆に飛んだ織斑千冬の頭に踵落としを決める。
「がぶぅっ・・!?」
「あららぁ、綺麗な顔やおべべが汚れちまったなぁ?くははは!!」
地面に顔を埋められて途中からうめき声も出せない。その頭を踏みつけたまま、マドカは織斑千冬に声をかける。
「そんじゃ、そろそろ・・終わらせるか。」
そう言ってマドカは織斑千冬を持ちあげて空へと投げ上げる。
『コブラ!』『ライダーシステム!』『クリエーション!!』
自由落下して落ちて来る白式に合わせて構える。
『レディ・ゴー!コブラ!フィニッシュ!チャオ!!』
「せいやぁああああ!!」
「ぎやぁああああああ!?」
くらった織斑千冬はバウンドしてアリーナの壁に叩きつけられる。
マドカは変身を解く。
「ふぅ、あまりに面白くて、思いっきりやっちまった。そんじゃ、最後の仕上げ・・と行く前に・・。くひひ・・。」
笑ったマドカは織斑千冬に近づき銃型の針の付いた注射を当ててトリガーを引き中身を打ちこむ。
「ぐぁ!?きさま、・・な、何をした!?私の体に何を!?」
「一回限りのナノマシン。回復効果以外にはない。そんじゃ、最後の勝負の前に休憩して体休めて置けよ。お前の人生、最後の勝負だからな。精々苦しめ。一定時間だけ回復してくれるからなぁ。」
そう言って去っていくマドカ。体中を強制的に直されて少しの痛みとむず痒さを感じながら本当に回復して行く体を見てどう言うつもりなのかを必死で考えた。
その回復しても追い付かない強さを手に入れた相手が心を折りに来るための下準備とは思いもよらなかった。
「くくく・・最後は、ヤベーイのが来るからなぁ・・」
今回は、仮面ライダーエグゼイドVシネ・トリロジーからの演出です。
そして最新の『エボルコブラ』。スタークをマドカが使っていたから、急遽書き直しましたよ。
いやぁ、満足。
それでは次回、終章 決戦『過去の最強と己を超えた兎達』
シーユーネクストステージ!