第1話
僕はよく夢を見る。
ひどく怖く、悲しい夢だ。
誰かはわからない夢の人が夢の中で死んでゆく。
たくさんの人が死んでゆく。
とても怖いんだ。
でもその夢は一度きりじゃない。
同じようなことが繰り返される。
いつもいつも。
そして僕は最後に殺される。
それも惨たらしく。
もうたくさんだ。
こんな夢もう見たくない。
でもどうすれば?
何も思い浮かばない。
僕には何もできない。
朝が来た。久しぶりにあの夢を見た。今日も僕も死んでしまった。やけに鮮明に覚えている。血の色も匂いも鮮明に覚えている。凄惨な地獄であったその場所でさえ写真のようにはっきりと。
未来の暗示なのか、警告なのか。そんなことわかりはしない。
死とはなんだろうか。そんなことを考えても一向に答えは出ない。
死の先に何もありはしない。
考えつくのはそれくらいだ。しかしこれもまた間違いなのだろう。
だから僕は考えようとした。死を克服する方法を。でもそんなものはきっと無いだろう。魔法でも無い限りは。
そんなことを物心ついた頃から繰り返し繰り返し考えてきた。でも!ついに解決の糸口が見えてきた。僕は知ったんだ。魔法という存在を。おとぎ話の実在を。死でさえも克服できるかもしれない無限の可能性を。
魔法を知ったのはつい先週のことだ。ボグワーツなるところに僕は通えることになった。ダンブルドアという人が勧誘に来た。当然最初は全く信じなかったさ。でも彼は小さななんの変哲も無い杖を使って机を浮かせたんだ!衝撃だったよ。まさに天啓だった!しかし同時に寂しくも思った。なぜかって?彼は死とは恐れるものでは無いとのたまったからさ。僕とは違う。いや、僕は違う。彼は味わったことがないだろう。夢とはいえ3桁に及ぶ死の体験を。
そう言うと彼はひどく悲しそうな表情をしていた。何故なのかは聞かなかった。僕の関わるべき問題でないのは自明だ。
入学が楽しみだ。これほどまでに心踊ることはそう無いだろう。一昨日はダイアゴン横丁に行った。最高に最高だった。学業に必要なものは全て買い終わった。杖も買った。これは紀元前から開いてる店で買ったものだ。本当に紀元前から開いているのかはわかりはしないのだが。
どうやら僕の杖は強力な魔術に異常に高い適性があるらしい。だがその反面、とてつもなく繊細な制御を要求されるらしい。だが好都合だ。なぜなら僕は死を克服しないといけないから。怖いことではあるが。
僕がダイアゴン横丁を歩いている時ハリーポッターという子がいたらしい。彼は魔法界の英雄らしい。何をしたのかきくと聞くと彼はどうやら死の呪文を跳ね除けたらしい。案内役のスネイプという教授が教えてくれたんだ。とても悲しそうな、悔しそうな、そういった表情とともに。僕はそれに引っかかりはしたがそれ以上に死の呪文というものが存在することに戦慄していた。だが跳ね除けたと言うことは対処法はあると言うことだ。回避できる死を必要以上に恐れる必要はない。しかしその方法を早くものにせねばと危機感も持った。当然だ。
死の呪文を跳ね除けたのはその子が生後間もない頃だったらしい。恐らくその子の親の魔法によるものだろう。なぜ彼が英雄と呼ばれているのかだけは理解できなかった。
さて、そろそろ出発の時間だ。駅に行かなくては入学できなくなってしまうかもしれない。見送りはいない。当然だ。親もいないし、悪夢によくうなされる僕を孤児院のみんなは怖がって近づいてこない。院の大人でさえもだ。
列車の出発する時間になった。汽笛がなり、動き出す。駅のホームには大勢の人が押し合いながら我が子に向かって懸命に手を伸ばしている。それに答えるように列車の中から無数の手が出ている。列車はどんどん速くなり、駅が小さくなっていく。
新しい世界に入っていくような、そんな錯覚を覚える。事実そうであることに間違いはないだろう。僕はここで死を克服する術を確立する。それこそが僕の人生における至上の命題だ。
しかしなぜここには他の生徒がいないのだろうか。そう思っている時に、個室の扉が開いた。上級生のようだ。
僕はどうやら勘違いしていたらしい。ここは監督生用の個室らしい。残念に思いながら別の列車に向かう。1番最初に目についた個室に入らせてもらった。男の子3人の部屋だ。マルフォイというリーダー格とその付き人のような感じが見て取れる。彼の家は相当な権力を持っているらしい。彼とは友好を結びたいと思ったんだ。でも僕はダメらしい。純血ではないからだそうだ。それならば仕方がない。諦めよう。僕には僕だけの信念があるように、彼には彼なりの信念があるのだから。
読みにくいと感じる方がいれば是非感想欄にて。
なるべく改善しようとは思います。