支える君の支えになりたい   作:まつりごと

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本当にお久しぶりです。2話時点の前書きを謝罪から入る人なんてそういないでしょうね……。
次話以降はなるべく早く投稿します。ない頭捻っても出るのはネガテイブ発言(白目)

今回はあの人が登場。やまぶきベーカリーにパン。さあ誰なんでしょうね。
そして今回はパロをいくつか挟んでます。ネタ要素多目


いきつけの店と期待

なんだか、腹が減ってきた。

中学生なんて成長期真っ盛り。

運動をしていても誰かと話していても何もさずただ堕落を貪ろうとも、時間が経てば空腹を覚える。

 

時間は……もう3時か、小腹空いたな。

 

中学生男子においては給食の時間とは戦争の時間。月曜から金曜の5日間を約40週、それをさらに3年間続ける。戦いの数など山ほどあるのだが、成長期の俺らは一戦一戦死に物狂いで獲物(おかわり)を求める。

 

そんな今日の戦果、なんの成果も……得られませんでした。あげパン2個目をかけた真剣勝負(じゃんけん)で敗北、挙げ句の果てにその隙に残っていた食べ物すでに他の人たちによって給食の配膳は実りのない荒野と化した。

 

まあ、こんな日もあるのさ!次はもう少しツイてますよう!だが、今日は寝坊してギリギリ遅刻回避の登校。もちろん朝ごはんを食べる余裕もなく授業中はお腹がならないよう神経をすり減らしていた……まあ何回もなりましたけどね、隣の女子がちょっと笑ってたし。腹減りすぎて無我の境地達しそう。

 

運動部に所属していなくてよかった帰宅部最高。こんな時に体育会系特有の低い声での声だしはその度に腹は空洞音を響かせながらら部活に勤しむことになっていた。

 

家に何か飯はあるのかな、昨日の残りでも残っていれば良いけど……いや。

 

 

 

 

 

俺は今何腹なんだ?

 

 

 

 

 

パン、だな。……いやそれはいつものことだった。

 

まあいいじゃないか、思い立ったが吉日と言う。掃除する友達を傍目に足早に教室を出る。一挙手一投足無駄無く早く効率良く、下駄箱へ到着しタイムロスを減らした華麗な一連の流れで靴を履き替えてた。たぶんこれが一番早いと思います。

 

早く、早く山吹ベーカリーへ……いや焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけだなんだ。パンは逃げない。足を生やして逃げない。俺が美味しく食すその瞬間を待ってくれているはずさ。

 

主婦の世間話に店主によるセールストーク、子供の僕らにとってはなぜか悲しみを感じさせるような夕方の曲など、群れと音によって活気に溢れる商店街。夕方に訪れる客層は今晩の食材を求める主婦が主であり、夕飯と同時に翌日の朝食も同時並行で進める。

 

朝食を求め行き着く最適解、パン。

 

謎理論を提唱し始めた俺はパンが全て売り切れるという最悪な末路を頭の中でふと浮かび上がる。カラカラになったエネルギーの身体に鞭を打ちながら進み続ける。ないものを絞り出しながら店へと向かった。

くだらない心配とわかっていながら走り抜け、少し息を乱しながら無事到着。

息を整えてからドアを開けると、真っ先に見えたものは沙綾の姿だった。たまに平日でも買いに来ることはあるが、この時間から店番とは珍しい。

 

「平日のこの時間から何やってんだよ沙綾。もしかしてサボりか?」

「もしかしなくてもサボる訳ないじゃん。早く学校終わったから店の手伝いしてるだけ、紡こそなんで制服のままウチ来てるの。怒られない?」

 

そういやウチ、寄り道厳禁だったな。やばいと思ったが、食欲が抑えられなかった。と軽くふざけた口調で答える。親に叱られるよりも、今は渇望に従う。悔いはないはず……はず。

 

「つか沙綾はさ、こんな時間に終わるならバンドの絶好の練習日和だろ。時間目一杯使えるし」

「それがねー、早く終わった理由って研究授業だからなの。その対象クラスにうちのバンドメンバーが居てね、今日はナシってこと」

 

研究授業の対象クラスになった瞬間の悲しさは計り知れないよな。特に授業が伸びるわけでもないが、自分らより早く帰る同学年を眺めていると、この瞬間は世界の誰よりも不幸なのは俺たちなのだと思う。逆は喜びに浸る。

 

「で、今日は何をお買い求めですかねーお客さん?あ、いらっしゃーい」

 

しまった。パンが食べたいってだけで飛び出して来たんだった。特になにも決めてない。

腹は既に限界を超え潤いを求めている。今すぐに食パンでもなんでもレジへ持って行きその場食べたい。

 

だが、まだ焦らない、まだ悩もう。

空腹は最高のスパイスだ。己の欲望としっかり向き合って……向き合って……

 

……

…………

………………

 

ヒャア我慢できねえ!

 

動物が目の前に餌で吊られてる気分がわかった気がする。俺はまるで犬だ。

 

さてさてさて、今日は何にしようか。

塩パンにあんパンにチョココロネにピザトーストにあげパン……っ!

あげパン!今日既に一個食べてるとはいえ、また食べたい。2個食べれなかった。その分をここで補うとしようじゃないか。

 

「あげパンをー……?」

 

取ろうとした瞬間、他の角度から腕が現れあげパンを取られてしまった。残り一個となっていたパンを取られたことに強いデジャヴを感じる。

腕が伸びて来た先に視線を向ける。さっきまでは姿は見ていなかったけど、沙綾が挨拶していたであろう客の制服を着ていた女子がそこにはいた。

 

がーんだな……出鼻をくじかれた。

ま、まあ仕方ない。他のものを食べよう。

次に選ぶならチョココロネかな、ここのチョココロネは美味しいとよく聞く。実際美味しい。中のチョコレートクリームを活かすための適度なパン生地の薄さがこれまた絶妙。たまにチョココロネだけ売り切れてる現象が起きるけど犯人は誰なんだろう。

 

「3時のおやつには丁度いい……!?」

 

おかしい、今さっきまで残り2個だったはずなのに……既に消えてるだと。

横に居る人の気配に気づき振り向けば、あげパンを掻っ攫った少女がその場にいた。

 

またこの人か……!なぜこの人は俺の食べたくなったものを都合よく奪っていく。

くそっ、今度こそ。三度目の正直がある。

 

今度はー……メロンパンかな。定番の味でリーズナブル。お財布にも優しい一品。

メロンパンは残り一個。……今度は取られないよな?三度目の正直だよな?

左右後方確認する。あの女子は他のパンを選んでいる。

 

「……いざ参らn」

 

三度目の正直と言ったな?あれは嘘だ。二度あることは三度ある。

 

なぜだ、なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ。

 

ちくしょう!だいなしにしやがった!おまえはいつもそうだ。この瞬間はおまえの人生そのものだ。お前はいろんなものを取ろうとしたがひとつだって取れていない。 誰もお前を愛さない。

 

パンを攫う怪盗を凝視、一体何者なんだ。

見た目からして年は同い年で、髪は短く身長は俺より10センチほど小さし、女子としたら平均程度。これは俺の直感だ。かなりマイペースそうな気がする、主に雰囲気。

 

「なになにどうしたのー見つめて。もしかして、モカちゃんに一目惚れかな〜?」

 

ムフーと小さく声に出してドヤ顔をする女子。

 

「なにを言ってんだ」

 

口から零れるように言葉が出た。

 

「えー違うの?」

「違う違う。よく初めて見た人に惚れたー?とかよく聞けるね」

「……んー?」

 

俺の発言がおかしかったのだろうか。ゆっくりと首をかしげる。

 

「何度か見てるよ、初対面だけどねー。だってきみここの常連さんでしょ?」

 

その発言を聞いてから、頭の奥に潜む記憶を引っ張り出す。確かにこんな人をちょいちょい見かけた……?でも制服着てた人とかあんまり見てないような。

 

「彼女はねー、青葉モカ。うちの常連で羽丘女子学園の生徒なの」

「今日はいち早くパンが食べたくなってねー?寄り道厳禁なんだけど来ちゃった」

 

レジの向こう側から沙綾が俺に向けて説明をしてくれた。ふむつまり俺と同類のパン好き。

羽丘女子っていえば、この地域にあるもう1つの女子校。知り合いにいなかったから制服から判明はできなかった。

 

「やほー沙綾。今日はこれよろしく」

「毎度あり。ところで紡はまだ何もパン取ってないの?」

「……」

「何かもの言いたげって感じ?」

「その……青葉さん?に取ろうとしたパンをことごとく取られてな」

「ふっふっふっー」

「あららー今ちょうどパン追加するところだったから。少し待ってくれれば店に並べるから」

 

捨てる神あれば拾う神ありとはまさにこのこと、全て報われたような気がした。無事パンを購入。

 

「よかった……買えた」

「よかったねー」

「いや、大概青葉さんのせいなんだけどね?」

「あたしのせいじゃなくなくなーい?それと呼び方名前呼びでいいよ。苗字呼びなんて先生くらいだし」

「ふーん、おっけーモカ。俺のことも紡って呼んでくれ」

「紡……つむぐ……うん、よろしく〜ツムツム」

「つむつ……え?」

「じゃああたしは先帰るねー。じゃあねーさあや〜ツムツム〜」

 

……呆気にとられて何もツッコミすら入れられなかった。なんていうネーミングセンス

 

「つむつむ……ふふっ」

「笑わんでくれ。まあ、何はともあれ買えたし俺も帰るよ」

「あーちょっと待って、話があるの」

「なんだ?話って」

「前に今度話すって言ってたこと覚えてる?まだ秘密だって言ってたこと」

 

そういやそんなことあったな、忘れかけてた。それを悟られぬように覚えてるとだけ返事。

 

「今度ある商店街のお祭りで、私たちのバンドが初ライブするんだ!最近まで悩んでたからまだ他の人に言えなくってさー」

「おおーすごいじゃん初ライブ。俺行ってもいいの?」

「もちろん。そのために今話したんだし、観客多いほうが燃える!」

 

女の子らしい細い腕で力こぶを作るそぶりをしながらニッと笑う。この腕でどんな音を奏でてくれるのだろうか、俺の心の中で興味と期待が湧いてきた。

 

「絶対行く、楽しみにしてるからな」

「うん楽しみにしててよねー。あっ、サインいる?」

「まだライブしてない奴が言うセリフかよ」

「大物になるよ〜?なってからじゃあげないもんね」

「ふーん、後悔させてみろよ」

 

沙綾のテンションにつられて少し昂ぶらせながら言葉を交える。ウキウキしている沙綾を見るのも珍しい。

 

はやくお祭り当日にならないかな。

 

こんなこと、彼女に直にいうことはない。はずかしいし。

自分のことのように楽しみで待ち遠しい気持ちと焼きたて特有の魅惑の匂いが詰まった紙袋を持ち帰る。




チョココロネ娘ではなく、マイペースなパン大好き娘でした〜モカちゃんと誕生日おめでとう。

次回は1週間以内にあげる……あげる。゚(゚´ω`゚)゚。
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ではまた次回
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