今回の話で新たなオリキャラ登場。といっても主人公の親友ポジです。オリキャラではないけど、CHiSPAメンバーも軽く登場。わからない方、あまり覚えてない方はアニメバンドリ又はガルパのバンドストーリーでのポピパ0章をご覧ください。
ではお楽しみください。
今回のイベントの沙綾、ずるい(確信)
「なあ、
ホームルームが終了後の清掃時間。俺から拓海に声をかけた。
「紡から誘うなんて珍しいな。それに祭りときたもんだ。他に誰かいるの?女子とか」
「誰もいねーよ。誰もいないからお前を誘ったんだよ」
「ええ……男二人で祭り満喫とかちょ待てよ。祭りと言ったら浴衣女子だろー?」
「拓海。お前ってやつは……それに昼に行くから浴衣女子少ないと思うぞ」
「なぜだぁー!」
伊東拓海という男は、チャラいの一言で説明がつく。帰宅部だが運動大抵こなすし容姿も悪くない。モテないはずないのだがこの性格。ちょい残念系のイケメン
「尚更行く気減るな……でも夜までやってんじゃん。夜ならいるっしょ」
「んー、俺が見たいの昼の演目だけだしな」
先日沙綾の方からCHiSPAの初ライブを祭りでやるという話を聞いた。楽しみではあるがそれだけのために行くのも味気ないと思い、祭りも久しぶりに楽しもうと考えた。そしてこいつを誘っている最中である。
「演目?商店街の祭りだぞ?じっちゃんばあちゃんの素人のど自慢でも楽しむ趣味してたのか紡は……ちょい引いた」
「じいさんばあさんののど自慢貶しすぎだろ。別だよ別」
「別ゥ?他に何かあったっけ面白そうな演目」
「うん、ガールズバンドをね」
「あーガールズバンドいいね〜……は?!ガールズバンド!?紡が、ガールズバンド……」
拓海は後退りながらこちらを凝視し続ける。再三お前が?と問い続ける。
「悪いかよ……知り合いが出るんだ。ドラム担当でな。そのバンドの初ライブだってもんで冷やかしにいこうかなーって」
冷やかし。と言ったものの実際は応援。こいつに素直に言うのが恥ずかしい。素直になれない思春期の中学3年生なのである。
「お前にガールズバンドをやる知り合いがねえ、うちの中学?」
「いや女子校。俺がよく買ってるパン屋の娘でな、幼い頃からの付き合い」
「ふーん。ドラム担当って聞くとあれだな、筋肉使いそうだからイカついっていう偏見がある」
そんなことない、女の子らしい身体つき。なんて言ってしまえば側からみたら引かれるような内容だよな。
「それは拓海の目で確認すればいいよ」
「ふーん、どんな子か気になるし、行ってみるか」
計画通り。上手く餌に食いついてくれたようで何よりだ。
「そんで可愛ければアプローチだな」
……なんか誘うの急にやめたくなったな。
「行くとは言ったけど条件、夜まで俺に付き合え。お前の付き合いだけってのもな。それとあと当日なんか奢れ」
「んーたこ焼きで手をうってくれ」
「交渉成立」
互いの了承を得た証としての握手、ここだけ切り取ると青春のワンシーンのようだ。
その後に女子から掃除をしろと怒られたことも、青春のワンシーン……だと思う。
祭り当日。見立てた通りで祭りにしては年齢層が高め、若い層もいるが浴衣を着ている人はごく僅かだった。条件で夜まで付き合うことになっているから、拓海から文句を言われることもあるまい。
拓海とはCHiSPAの出番の少し前に待ち合わせすることになっている。
スマホで時刻を確認。すると待ち合わせの30分ほど前に着いてしまったようだ。デートかな?……あほくさ。紡は考えることをやめた。
今から屋台を楽しむにしても、予算は夜以降にも使われる。中学生のお懐事情なんて永久極寒。パンの誘惑に勝てない俺は人並みよりさらに厳しい。でもやめられない止まらない山吹ベーカリーのパン。
初めてのライブ、初めての演奏、初めての……演奏会。うっ、頭が。
小学生低学年の頃から始めたピアノ。ピアノの場合はライブ、というよりも演奏会。基本は有名なピアノ楽曲を演奏したりするものだが、稀に音ゲーやアニソンを演奏してた猛者がいたな。あの人は今でも出ているのだろうか。
演奏会ともなれば舞台は1人にピアノ1台。小さい子に緊張するなというのが無理な話で、気づけば自分の演奏は終わっていた。
……舞台裏にきっと初ライブ前で緊張しているであろう沙綾が想像できた。度胸あるやつだけど、こういうのには弱いだろうな……よし。
えーとどこにいるんだろう。
小さな頃の自分と今の沙綾の状況を照らし合わせ、励まそうと舞台裏へやってきた。
ギターにベースにドラム。目立つと思ってやってきたけどなかなか見つけるのも一苦労。他の参加者の小道具があり雑多としている。
やっばい!まじやっばい!どうしよう〜
近くから不安そうな声が聞こえる。同い年くらいの声だ。
「うう、すっごい緊張する〜」
「商店街のイベントでそんなに緊張しなくても平気だよナツ、マユ」
「だって初めてのライブなんだよ〜?!沙綾は余裕そうでいいよね」
「だって練習がんばったもん。フミカも大丈夫だよ」
「っ、だよね……!でも、挨拶飛ばしたりMC噛んだりしたらと思うと……」
「そこはほらナツ、沙綾がいるから大丈夫!
会話的にCHiSPAのギターボーカルの"海野夏希"とベースの"森 文華"、キーボードの"川端 真結"、それにドラムの山吹沙綾の4人が話してるようだ。沙綾からCHiSPAメンバーの話は聞いてたり写真は見たことあるけど、顔あわせはいまだにしたことがない。
……ここで初対面の人間と顔あわせさせるのは余計ダメそう。ここは悪霊退散悪霊退散っと……いつっ!?
カーンと低い鐘の音が鳴る。後ろ向きに歩いてたせいでチューブラーベルに足をぶつけてしまったようだ。くそおのど自慢め、恨んでやる。お前に罪はないけどな。
「……紡?そこで何してるの」
あ、バレちった。
「沙綾やCHiSPAの人たちが初ライブで緊張してるんじゃないかな〜と思ってね」
「別に緊張なんかー……って、今のタイミングなら会話聞こえてたか」
お手上げと言わんばかりに両手を軽くあげている。
「誰でも初めては緊張するんだし、変に隠すことないでしょ」
「うん、だよね。紡も初演奏会緊張してたもんね」
ん?初演奏会?!アイエエ!エンソウカイ!?エンソウカイナンデ!
「え?!なんで知ってるの!来ないでってあの時言ったでしょ!」
「行ってないよ〜。でも見ないでなんて言ってなかったから、紡のお母さんにこっそりと演奏会のビデオ見せてもらったんだ。右手と右足が一緒に出てたよね」
「待ってくれ。ビデオの存在を俺はそもそも知らないんだが、そして俺そんなことしてたのか……」
「あー……でもほら。誰でも初めては緊張するんだし、ね?」
励ましに来たらいつの間にか励まされる側になってるんですがそれは。帰ったら親に問い詰めよう。
「お二人だけの世界に入ってるところ悪いんだけど」
沙綾の身体越しから声が聞こえた。
「沙綾の知り合い?どんな関係?」
「あーごめん紹介するね。こっちは川崎紡。関係としては小さい頃からの家族付き合い」
「で、兼山吹ベーカリーの常連客。海野さん……であってるかな?それで奥にいるのが川端さんと森さんで合ってるかな?」
「私たちのこと知ってんの!?」
「沙綾から少しCHiSPAに関して話は聞いてたんだ。それで今日来たって訳」
「嘘っ、なんか恥ずかしいんだけど。それに加えてさっきの会話聞こえてたと思うとさらに恥ずかしいんだけど」
いけない。ほかのCHiSPAメンバーを緊張させてしまうだろうか。ここに来たのは総合的にマイナスだったかもしれない。話をうまくまとめて早く帰ろうか。
立ち去ろうかと思った瞬間、あるものが目に映り込む。
「海野さんたちが身につけてるものって……シュシュ?」
「おっ、川崎くんあったり〜。これはライブすること決めてからみんなで買ったの。いわばお守りってやつね」
「みんなとても仲がいいんだね」
「うん!だから、今日の初ライブは絶対に成功させたいの。いま以上にもっと絆が深まると思うんだ」
「それなら絶対に成功するよ、楽しみにしてる」
「ありがとう川崎くん」
海野さんと握手を交わし、その後残りのCHiSPAメンバー全員とも握手を交わしてその場を去った。
きっと今の雰囲気だったら成功する、おれは全力で彼女らを応援しよう。
「あー来た来た。おせーぞ紡〜」
「わりーわりー、舞台裏にちょっとな。CHiSPAのメンバーに挨拶行ってた」
「なんなら俺も連れてってくれればよかったのに、山吹さんの姿見たかった」
「あともうちょっとしたらカッコイイ姿見れるから待っとけって」
「へいへい」
と、言いつつも少しこっちが緊張してきた。
商店街のイベントといえど、やはり人は居る。こういう場で演奏するのって度胸と慣れが必要だよな。演奏会の雰囲気に慣れるまでに時間がかかったものだ。
そんなこと考えている間にCHiSPAの出番。
「さあ、いよいよおでましだな。好きなバンドのライブは見にいくけど、ガールズバンド見るのって初めて。紡は?」
「俺はバンドのライブすら。今回が初めてだよ」
期待に不安が混じりつつも、その不安は今や興奮によって掻き消されようとしている。一刻も早く見てみたい。その一心だった。
その光景を見るまでは、その一心だったのだ。
舞台上に存在するのは3人。ギターボーカル、ベース、キーボードの3人。その場に、3人を見守るように位置するはずのドラムを担当する人物は居なかった。
俺の目の前に、山吹沙綾はいなかった。
すこーし話が動きました。まあCHiSPAの初ライブと聞いたら察していた方も多くいらっしゃると思います。
あとこの話商店街のお祭りの演目として初ライブしてますけど、0章では商店街のイベント、としか書いてないんですよね。
次回も早く投稿します。
そして同日別SS投稿します。いやお前こっち専念しろよって話()
感想お待ちしてます。
ツイッターアカウントは@p_maturigoto_v