どうやらToLOVEるに転生したらしい。   作:雪餅

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小説情報見たらUAが1500を超えてたことに驚きがちな雪餅です。

改めまして、UA1500、お気に入り45件。本当にありがとうございます。自分の趣味でこんなにも見てくださり、更にお気に入りまでされるととても嬉しいものです。

中学校編もそろそろ終わりに近づき、少しずつモチベーションを上げていきたいと思います。


03.ゲームを始めた受験生が落ちる確率は?

受験の日まで一週間を切った。

 

 

この時期は自由登校期間な為、半分以上の人が家や塾で最期の追い詰めでもしているだろう。

俺も二週間ほど前なら、図書館や家で机に張り付いていたが、参考書のストックが切れてしまった為、この寒い中仕方なく外に出向いている。今日の気温は5度前後だと。

 

 

風は吹いていないものの、凍えるような寒さに体を震わせ、真っ白な息を吐き出す。真っ白な息が出ると言うことは空気が汚い証拠だ。あんまり考えないでおこう。

 

 

「リートーさーむーいー」

「言うなよ、俺も寒いんだから……」

「ドバイって寒くてもクーラーつけるんだって」

「話題変換が激しすぎる」

「地軸あたりは出るぞー。覚えとけ受験生」

 

 

自分から話しておいてなんだが、こう言う話は嫌になる。休養は大事だと思っているが、どうしても心配になってしまう気持ちからこういったことは起きるのだろう。

勉強に飽きた為、気晴らしにリトと本を買いに来たが、やっぱりいつも通りのテンションになれない。今更中学の勉強などと余裕をかましていたが、思った以上に社会が難しくて躓きそうだ。

 

 

「出かけてまで勉強するって、受験生は悲しいよなぁ」

「お前から話してきたんだろうが……」

「でも合格したいだろ?受かれば西連寺と同じ高校だもんな。上手くいけば付き合ってあんなことやこんなこと出来るしな」

「あ、あんなことやこんなこと……」

「落ちたら一気に地獄行きだけどね」

「急に現実突きつけるのやめてくれないかなぁ!?」

 

 

受験前で緊張してるのか、テンションが低かったリトも少し煽ればすぐ元どおり。本番でも上手い具合に煽ってあげよう。

リトのいつも通りの点数ならば、彩南を合格するのには申し分ない。去年までの平均合格点を2〜30点くらい上回っていたため、結構安心できるだろう。数学を除けば、の話だが。

 

 

リトが数学を苦手としていることは周知の事実。正直、受験での数学の点数がリトの合格を左右すると言っても過言ではないだろう。

そのため、今日はこれからリトの家に行って数学の勉強会を開くことになった。教えるの苦手だし断ろうと思ったが、万が一落ちたら美柑ちゃんに悪いし、何よりToLOVEるが始まらない。そうなってしまったら俺の存在意味がほぼなくなる。それは流石にゴメンだ。

 

 

「せっかく気分転換で来たのに、これじゃあテンションだだ下がりだよ……」

「超簡単にテンション上げる方法教えよっか?」

「ものすごく不安だけど…………どんなの」

「好きな娘の裸体を思い浮かべる」

「えっ……なっ!?ちょっ、バッ!何言ってんだ!!」

「ほら上がった」

「し、してない!!」

 

 

顔を真っ赤にさせながら言われても全然説得力がない。

 

 

 

「リトが好きな娘の裸体を想像して興奮してたって西連寺に伝えとこ」

「ちょっ!?それだけは本当に勘弁してくれ!!」

「え〜どうしよっかなぁ〜」

 

 

 

 

 

 

 

雪でも降りそうな空模様の下、原作開始の合図が近づいて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………で、その部分を素因数分解して√内の数を合わせる。そしたら同類項を纏めて次数が高いものから並べていく」

「ううっ、ややこしい……」

 

 

答えを片手、ペンを片手に参考書の問題を答え通りに教えていく。しかし理解が追いつかないのか、リトは頭を抱えて唸っていた。

答え通りに教えてはいるが、やはり勉強を教えるのは苦手だ。そもそも数学が好きなわけでもないし、教えられるほどすごい勉強をしているわけでもない。ただ昔に勉強した記憶があるだけだ。そのお陰で学年上位10位をキープ出来てるから素直に喜ぼう。

 

 

「てかこんなの勉強した?これどこの範囲?」

「高一」

「予習じゃねぇか!意味ないじゃん!」

 

 

ペンを投げ出して大声を張り、そのまま大きくため息を吐いているリト。まぁ怒られるのも仕方ない。

だが正直の話、リトが彩南に行くのはほぼ確定している。だからリトが高校で赤字を取らないように予習しておいてあげようと思った俺の気持ちを理解してほしい。

 

 

「ああもう、なんかやる気が……」

「気分変えるか。何やる」

「マリカー……はクリアしたか」

「大乱やろ」

「は?スマ乱だろ」

「あ?」

 

 

視線が交差し、互いに『何を言ってんだコイツ』と思いながら睨み合う。

 

 

「なんだスマ乱って。スマートランニングみたいで変だろ」

「大乱の方が変だろ。ただの殴り合いに聞こえるじゃん」

「スマートランニングなんて誰も知らねーよ」

「大乱なんて略し方普通しねーよ」

「「…………」」

 

 

昔からそうだが、どうも俺とリトはどうでもいいことでムキになるらしい。今回のような喧嘩は今まで何度したことか。

リビングのドアを開け、テレビをつけてコントローラーを握りしめる。すぐにキャラ選択の画面が現れ、俺たちは何も言わず操作していく。

 

 

「ルールは」

「ストック2個。アイテム無し」

「場所は」

「言わずとも」

 

 

奴が選んだのはスマブラの闇と言われたアイクラ。どうやらガチで勝ちにきてるようだ。

一方こちらは迷いなく青い鳥を選んでいく。相手がガチできている以上、容赦なく勝たせてもらおう。

 

 

場所は何も言わずに終点。とりあえず一回目だ。

 

 

「ああっ!!おまっ、それズルくね!?あっ、ちょっ、逃げんなっ」

「どうした、もう50いったぞ」

「っと!あっ、よし当たりっ」

「舐めんな」

 

 

すっかり手に馴染んだコントローラーを動かし、リトの攻撃を次々に回避する。距離を置いてはブラスターで牽制、近づいたらジャンプと回避で華麗にかわしていく。煽りプレイは御手の物だ。

 

 

「あっ、くっ、つかまえっ」

「ほい」

「えっ、ちょっ!」

 

 

アイクラお得意の投げ連を繰り出されそうだったが、弱攻撃でキャンセル、逆にこちらが掴んで下投げ連を決めてやる。慈悲も容赦もなく端まで追い詰め、最後はメテオで終了。リトがあり得ないと言わんばかりの顔をしている。

 

 

「はっ、最強キャラ使ってその程度とはなっ!」

「ぐぬぬぬぬっ!」

「いいぞいいぞ、もっと自棄になれ」

 

 

こうなったらもうこっちの独擅場だ。自棄になった相手は赤子よりも簡単にあやせる。歴の差を見せつけてやろう。

相手の攻撃をかわしてはダウン連を重ね、%が赤になったところでスマッシュ。青い鳥の勝利だ。

 

 

「はははははっ!PSが違うんだよっ!」

「くっそ、もう一回だっ!!」

「良いだろう、何度やっても同じことだけどな!」

 

 

息抜きのつもりで始めたはずだが、俺たちは何も迷うことなくコントローラーを操作していく。次はメタ騎士様でボコボコにしてやるとしよう。

 

 

「何してんの、あんたたち」

 

 

開いていたドアから聞こえてきた冷たい声に、俺とリトはビクッと肩を震わせた。

ドアの前に立っていたのはこの家の最高権力者であるリトの妹、結城美柑ちゃんです。冷ややかな視線をこちらに送り、まるでバカを見るかのような呆れた表情でため息を吐いている。昔とは違い、刃物のような鋭い視線にゾクゾクしてしまう。

 

 

「受験まで一週間ないのに、随分と呑気なんだね。余裕なんだ」

「いやいやいや!そそ、そんなことはっ!!」

「俺はともかく、リトくんはめちゃくちゃ余裕ないんですハイ」

「そそ、それはそうだけど……でも!ゲームやろうっていったのはコイツで!!」

「息抜きって言ったんだ!そっちがゲームの案を出してきたんだろうが!」

「でもノリノリだっだじゃん!」

「いいや全然!」

「二人ともうるさい。近所迷惑考えて」

「「あ、ハイ」」

 

 

罪のなすり付け合いも、美柑ちゃんの一喝ですぐに終わってしまう。この家ではリト母以外、誰一人として美柑ちゃんには敵わないのだ。俺は論外。

 

 

「息抜きも大事だけどさ、それで落ちたらダサいから」

「うっ、は、はい……」

「ソラもさ、人のばっか見てると足元掬われるよ?」

「それはまぁ……うん、はい」

 

 

いつからだろうか。美柑ちゃんがまるで母親のように俺たちを怒るようになったのは。

考えられるとしたら、俺の反抗期が終わった頃だっただろうか。あれ以来、リトとよく騒いだりバカやったりしては美柑ちゃんに怒られていた。うん、俺が悪いですね、ハイ。

 

 

「はぁ……勉強するからって言うから気を遣って二階行ってたのに、戻ってきたらゲームされてた私の気持ち、分かる?」

「すんません、本当にすんません」

「ご、ごめん、美柑」

「反省して。もし本当に落ちたらダサいとかで済まないから」

 

 

知っている。美柑ちゃんが怒るときは毎回、俺たちの事を思って叱ってくれているのだ。

今もこうして俺たちを叱っているが、恐らく俺たちの事を心配してくれているのだろう。落ちて悲しむのは、自分たちだと分かっているから。ほんとこの小学生、精神年齢何歳なんだよ。

 

 

「ふぅ、もう良いや。ご飯にしよ」

「えっ、あ、もうそんな時間か」

「時間経つの早いんだよなぁ。あ、ユキから連絡来てる」

「食べてけば?ユキも呼んで」

「あー……そうさせて貰おうかな」

 

 

先ほどまでの空気はどこにやら。リトは正座を崩し、美柑ちゃんは鋭い視線を解き、台所の方へ向かって行ってしまった。俺も立ち上がろうとしているのだが、足が痺れてしまって身動きが取れないのだ。

 

 

「彩南に落ちたら、春菜ちゃんと離れちゃうし、美柑にも悪いよな」

「……今更気づいたか」

「なんだかんだ言って、美柑には迷惑かけてるし、これ以上迷惑かけるわけにもいかないよな」

「そうだな。頑張れ受験生」

「よしっ!そうなったらソラ!座るのやめて勉強教えてくれ!」

「ちょっ、タンマ!!今動かされると痺れてるから!!痺れてるから慎重にっ!?」

 

 

 

美柑ちゃんの優しさを改めて知った俺は、痺れた足を引きずりながらリトの勉強に付き合うことになった。が、今はとりあえず足の痺れを何とかしてほしかった。

 

 

 

 

 

 

「結局、略し方は大乱だよなぁ」

「何言ってんだよ、スマ乱だろうが」

「「あ?」」

 

 

結局、もう三戦やることになって、美柑ちゃんに怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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