どうやらToLOVEるに転生したらしい。   作:雪餅

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皆様方のおかげでなんと、UA25000越え&お気に入り1000件越えをすることができました。自分の小説をここまでの人に見てもらっているなんて、本当に恐縮です。ありがとうございます。
これからも自分の小説を見てくださったら幸いです。それではどうぞ。


02.運ぶだけの簡単なお仕事ですっ

日直の朝は早い。それは高校生になったところで変わらない事実だった。

 

 

昨日の予想通り、今日は最高の天気だ。晴れてはいるが暑すぎず、ひんやりとした風が少し吹き抜けている。可愛らしいスズメの鳴き声を聞きながら、俺は一人で通学路を歩く。

 

 

どちらかといえば夜行性な俺にとって、早寝早起きという言葉は天敵とも言える。夜遅くまで起き、朝はゆっくりと二度寝をするのが日課だったが、日直という仕事は非常にも俺の日課を壊していくのだ。日直のバカっ!もう知らないっ!

 

 

だが嬉しいこともあった。早起きする事をユキに伝えておいたら、いつもより強めに俺のことを起こそうと試み、最終的にはデコピンで俺のことを起こしてくれた。久しぶりに妹のデコピンをくらい、成長しているんだなと感心しつつ、俺は気持ちのいい朝を迎えることができたのだ。

 

 

「うわ、リトからの不在着信多いな……」

 

 

昨日は色々と疲れる1日だった。バイトの方は11時くらいまで続き、帰って風呂入って寝る頃には12時を過ぎてしまっていた。そのため今日の睡眠時間は6時間にも満たない。抜けきっていない疲労感に苛まれながら、重い瞼をなんとか持ち上げている状態。

 

 

そして昨日、俺の知らないところで【ToLOVEる】が始まっていた。俺が見たのは、リトが住宅街の屋根の上を裸足で走っている姿だけだったが、家出姫を連れていたので間違いない。

 

 

そうなると、今日はリトが告白をする日だ。本人は西連寺にしたつもりだが、ララの乱入によりその告白をララが受けてしまう。これにより、ララはリトと結婚すると言い出し事態は急展開を迎える。言わば今日の朝は、原作のターニングポイントだろう。

 

 

しかし生憎と、俺は日直としての責務を全うしなければならない。正直面倒だし、サボっても良いかなと考えたが、軽い気持ちで自分の評価を落とすのは愚策だと思う。リトには悪いが、教室に来たら少しは慰め、もとい弄ってあげよう。

 

 

職員室の側にあるロッカーから日誌を取り、中にあった紙の束を両手に持って教室に向かう。鍵も持って行こうとしたが、なぜか既になかった。

この量の荷物を持って階段を登るのは少し苦だが、昔無駄に鍛えていたお陰でそれほど疲れることなく教室にたどり着けた。人生無駄なことはないっていうけど、その通りだと思うよ。

 

 

既に解錠されていたドアを開くと、中には俺以外にも早く学校に来た人がいた。

 

 

「なんだよ、猿かよ」

「なんだよとはひでぇなすけべ。日直か?」

「そうだよ。そっちは」

「へへっ、野暮用さ」

 

 

俺より早く来ていた猿山が鍵を開けたらしい。窓の方から手を上げてくる猿山に手を上げ返し、日誌の記入欄を適当に埋めていく。これはそれほど面倒ではないのだが、全員分の椅子を降ろし、机の上に手紙を並べるのがめちゃくちゃめんどくさい。正直、日直の仕事をそこまで増やすべきではないだろうに。

 

 

「んで猿山。こんな早く来て何してたの?」

「ふっ、まあこっちに来いって」

 

 

やけに上機嫌な猿山に不信感を抱きつつ、窓際に近づいていく。校門にはちらほらと生徒たちが歩いている姿が見られる。

特に変わったことはないが、猿山の右手に持っているそれを見てようやく理解する。やはり、こいつは中学の時と変わらない奴だ。

 

 

「彼女欲しいからって、朝から双眼鏡用意して待つか普通」

「俺は本気で彼女が欲しいんだ!行動しなきゃいつまでたっても出来ないんだぞ!」

「その性格じゃ当分無理そうだけどな。良い娘いた?」

「何人か可愛い人はいたけど、俺の好みじゃない」

「贅沢言うなよ」

「良いだろ、少しくらいは」

 

 

口だけではなく、ちゃんと行動に移せるのは素晴らしいことだと思うが、双眼鏡まで用意して良い娘を探している様子は、側から見たら即通報ものだろう。俺は心が広いから証拠撮るだけで許してあげる。

 

 

「おっ、あの娘美人だぞ!しかも巨乳だ!」

「結局胸目当てかよ。まぁ、あれは美人だわなぁ」

「黒髪ロングってのも良いよな!どこのクラスか気になるぅ!」

 

 

確かに美人だけど、猿山が近づいたらすぐに破廉恥な人と思われるだろうな。見た目というか、オーラから猿山は変態な感じがする。多分、生まれつきなんだろう。

 

 

「あっちの茶髪の娘も良いぞ!スポーティーな感じだな」

「あそこにいる娘良いぞ。足すらっとしてるし結構白い」

「この学校、女子の偏差値高いな!おぉ!あの先輩すげーデカイぞ!」

「どれどれ…………84、56、85だな」

「うわ気持ち悪っ」

「表出ろ猿」

「やってやんよ骨」

 

 

 

 

 

「お前ら」

 

 

 

お互いの胸ぐらを掴みながら振り返ると、そこには生徒指導の鳴岩先生が。

 

 

 

 

「今すぐ生徒指導室来い」

「「はい……」」

 

 

 

 

説教された。不幸だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁ…………」

「お疲れだなリト。俺もだ」

「ソラの場合は自業自得だろ。俺のなんか……はぁ」

 

 

13回目のため息を吐いてるリトの幸せはとっくに下限値を超えているだろう。周りからしたら、リトのラキスケは幸運の塊だと思うだろうが、本人からしたら不運でしかないのだから。

 

 

ずっと暗い顔をしているのはやはり、今朝の告白に失敗したからだ。失敗?あれ失敗って言うかな。一応婚約者ゲットできたんだし、少なくとも失敗では……当事者にしか分からないか。

西連寺には誤解されたのがよっぽど悲しいのか、登校して来てからずーっとこんな感じだ。暗い、暗すぎるよこの子。

 

 

「そんで、婚約者になったその姫さんはどちらに?」

「どっか行っちゃったよ。あと婚約者になってない」

「ふむ、じゃあこれから更衣室ワープか。よし分かった、早く飯食おう」

「お前、今小声で何呟いた?」

「告白する相手間違える奴がいるかよボケがって言った」

「ガハッ……!」

 

 

よし誤魔化せた。代わりにリトは情けなく机に突っ伏しているが気にせずに。

 

 

昼休みなのだから、ゆっくりお昼ご飯を食べることにしよう。妹の作ってくれた弁当に感謝の言葉を捧げ、一口一口味を噛み締めていく。

確かこの後、猿山がリト捜索中のララ姫がいることを伝えにくる。そこでララとの関係を男子生徒が聞くとララ姫が衝撃の花嫁宣言。嫉妬に溺れた男子生徒たちに追われたリトたちは、ララの発明品で脱出。制服をその場に残し、さらには女子更衣室内で裸のまま西連寺に誤解されるのがオチだ。

 

 

考えてみると可哀想な話だ。ララの発明品の所為もあるが、ララの花嫁宣言まともに受けて嫉妬に溺れる男子生徒たちが主な原因だ。高校生で盛んなのは分かるが、是非とも自重という文字を辞書で千回引いてほしい。常識でも可。

 

 

出汁の効いた卵焼きを頬張る。ふわっとしていて味もしっかり効いている。そのまま作り置きしといた混ぜご飯を食べるとなんとも素晴らしい。もしかしたらうちの妹は天才かもしれない。

 

 

「っかしーな……弁当がねェ」

「不運だね。でも大丈夫、いいことあるよ。多分、きっと、だと思う」

「曖昧すぎっ!はぁぁ……多分あの時だ……」

「煮干しいる?」

「無塩じゃん!てか友人に煮干しあげる奴初めて見た!」

「うちの子は好んで食べるのに……」

「なんで不満そうなんだよ!わかったから、食べるから!」

 

 

俺が戻そうとした煮干しを奪い取り口に入れるリト。しかし塩味が効いてないため、微妙な顔をしながら煮干しを噛みしめている。その姿を側から見たら、飼い主がペットにおやつをあげている光景にでも見えるのではないだろうか。周りから『ソラ×リトか?』『主従関係逆転でリト×ソラもあり』などと言われているが、気にせずひじきの煮物を味わう。

 

 

「おいリトっ!スッゲー可愛い女の子がおめーのこと探してんぞ!」

 

 

リトは煮干しを、俺はひじきを味わっていると、猿山の嫉妬が混じった叫び声が教室内に響いてきた。その声を聞いた途端、リトは猿山と共に教室から走り去ってしまった。煮付け美味しい。

 

 

ご飯を噛みながら考える。この状況において、俺は何をすればいいのだろうか。リトと一緒に行くのは論外だった。行ったところでワープしたら俺まで被害に遭うし。

男子生徒たちを止める、これも無理かな。嫉妬に狂った男子ほど怖いものは存在しないのだから。

 

 

『結城ィィィィィ!!』

『よくも俺より先にそんな可愛い娘と!!』

『リア充は死すべし。死すべし』

 

 

ほら、あんなにも怖い発言をする男子たちを止めるなど俺には不可能。ていうか怖い。無理。

ワープ先は更衣室だったかな。しかも女子用の。まぁ西連寺の誤解はリトがなんとかするから大丈夫だろ。うん、問題ない。

となると、俺のやることは制服回収かな。女子更衣室に制服持ったまま堂々と入るのはさすがにやばいと思うが、リトが全裸のまま制服取りに帰るよりは幾分マシだ。

 

 

「おーっす柊〜。なんの騒ぎ?」

「名前を付けるなら、『美女と嫉妬』が一番良いかな」

「ゴメン、全然理解できない……」

 

 

さらっと近くに座ってきた籾岡にため息を吐かれるが、これが一番タイトルにぴったりだと思う。

残しておいた卵焼きを口の中に放り込み、俺はそろそろ置かれているであろう制服を回収しに行くことにした。

 

 

「籾岡、あとは頼んだ」

「え、ヤダ」

「プリン2」

「よし、任せな」

 

 

 

現金な奴め。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、それっ、えいやっ!って、全然当たらないよー!」

「初めてにしてはセンスあると思うよ。あとでダウン連教えるよ」

「だうんれん?教えて教えてー!」

「初心者にダウン連って、普通おかしいよね……」

 

 

楽しげに会話をしている中、俺は容赦なくアイクラでメテオを決めていく。負けてしまったが悔しがることなく「もう一回!」と言ってくれるのは、非常に向上心が高くすぐにでもダウン連くらいはマスター出来そうだ。

 

 

あの後、男子生徒たちがぞろぞろと教室に戻ってくることを見計らい、誰にもバレないように制服を女子更衣室に届けたつもりだったが、学校内では『堂々覗き』『勇敢なるむっつり』『女子でもイケるホモ野郎』などの噂が立っているようだが、一切気にせずに生きていこう。気にしたらあかんやつやん。

 

 

女子更衣室内という現実的に考えて有り得ない場所でララ姫と初めて対面したわけだが、彼女は特に気にすることなく、俺をリトの友人として受け入れてくれた。やはり地球と宇宙とでは常識が違うんだろう。身体的なものもあるけど、やっぱり宇宙人は心も大きくなくちゃね。

 

 

これから三年間はずっと関わっていくことになるのは分かっているため、とりあえず俺はゲームで仲を縮める作戦に出た。さすがに子供っぽい作戦かと思ったが、まぁ案の定というか知能指数が子供よりなのか。

 

 

それにしても、ララさんの器用さには驚かされた。つい数十分前にコントロールを教えたばかりだというのに、もうCPレベル7の相手を倒せるレベルにまで到達している。出鱈目な機械ばかり作っているため忘れがちだが、彼女は天才気質なのだ。ダウン連の次は投げ連教えてあげよ。

 

 

「やっぱり、地球の文化ってすごいよね!こんなゲーム初めてやったよー!」

「それは何より。地球の文化は色々あるけど、アニメとかも良いかもね」

「あにめ?なにそれ!」

「今度オススメの持ってくるよ。ひぐらしかanother、あとはBLOOD-Cかな。どれが良い?」

「絶対持ってくんな!!その三つは今でもトラウマだから!!」

 

 

俺の提案に全力否定してくるリト。確かにこの三作品は結構ヤバめなシーンがたくさんあるし、アニメを知りたい人に見せるものではないと理解している。ちょっとしたジョークだったが、ララさんがどれにしようか悩み始めたため、ジョークは控えるようにしよう。

 

 

「ララさんは確か、お見合いが嫌で地球に逃げてきたんだよね?」

「そーなの!パパったらずーっとお見合いばっかさせるんだよ!しかもほとんど私の知らない人だし、うんざりしちゃって」

「そして逃げてる途中のワープ先がリトの家だったと。運いいなリト」

「良くないよっ!今日だってあの機械のせいで春菜ちゃんに……あぁ」

「急にテンション下げるなよ……美柑ちゃん、これどこ運ぶ?」

「放っとけば治るんじゃない?そこでいいよ」

 

 

今日の不運を思い出したのか、リトは何事かを呟きながらため息を吐いている。同情したいけど、一般的な男子から見たら不運っぽい幸運だからいまいちフォローし辛い。あくまでも常識的な考えを持っていると自負しているため、自分の立場をわきまえた上で発言し、行動する。さすがに今回ばかりは、友人として同情するが。

 

 

『それにしても、よくララ様が宇宙人だと言われて受け入れましたね。大抵の方は驚くと思ったのですが……』

「俺から言わせれば、尻尾生えてる人より喋る機械の方が気になるんだよね。ころばしやとかない?」

『何ですかそれは。はぁ、こんな方が地球にはたくさんいるのですか』

「いや、感性おかしいのそいつだけ」

 

 

万能コスチュームロボットの意見は至極当然のことだが、男の子ってロボットって聞くと興奮しない?近未来っぽくて俺は結構好きなんだけど。

 

 

大抵の一般人は、ララさんの尻尾を見てもコスプレの装飾品だと思うし、髪の毛の色とかも海外から来たってことにしとけば通じてしまう世の中だ。宇宙人ですって言われてもそこまで騒がないのがこの世界の常識。これくらいのことで驚いていたら、この先驚きの連続で心臓止まっちゃう。

 

 

「おっと、もうこんな時間か。悪い、買い物に行かなくちゃ」

「てっきりうちで食べるかと思ったけど、違かったか」

「いつもお世話になってるし、今日はね」

 

日は暮れ始めたとはいえ、リトの一日はまだ終わらないのだ。この後ララと外で話をしているところ、付き人の乱入により事態は急変。襲いかかってくる付き人をなんとかしたり、リトが愛の叫びをしたりと色々盛り沢山なのだ。その場にいてもただ見ていることしか出来ないし、俺は素直に帰宅することに。今日の晩ご飯は親子丼と野菜スープで良いかな。

 

 

「そっかー、ソラ帰っちゃうのかー」

「ダウン連は今度教えるよ。あと、健全なアニメもいくつか持ってくるから」

「うん!楽しみにしてる!」

「そんじゃリト。頑張れ」

「なにを頑張るかは分からんけど、また明日」

 

 

身体的にも精神的にも疲れるであろうリトに激励の言葉をかけ、俺はそそくさと退散していく。

何事も一番最初が肝心だ。運動するときには運動前の準備運動、料理するときは料理する前の手洗いなど、一番初めの行為を怠ると、のちに大変な目にあうことが多々ある。

 

 

本心では、積極的に原作と関わって少しずつ変わっていくストーリーを楽しみたい欲求もあるが、どうしてもシリアス多めなダークネスを考えると、迂闊に動けなくなる。あれね、下手すると本当に危ない目に遭うから、いざとなったら家の中に引っ込んでおこう。

 

 

確かスーパーで卵の特売やってたなーなどと考えながら。俺は一人でスーパーへと向かっていった。途中、変な人に道を聞かれたため、とりあえず交番までの道を教えておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




猿山と絡ませるといつもあんな感じに。男友達とバカやってる感じは個人的に気に入ってるんですけど、やっぱり別のやつも考えた方が良いですよねぇ。


評価をしてくださった沢山の方々、本当にありがとうございます。お陰で色が付きました。感想での指摘も本当に助かっています。本当、感謝感謝です。


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