どうやらToLOVEるに転生したらしい。   作:雪餅

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更新速度遅くてすみません。許してくださいなんでもしますから。


03.朝チュン時々110番

梅雨が迫って来てるというのに晴れの日が続く今日この頃。

朝の目覚めがすこぶる悪い俺は、今日も今日とて不機嫌オーラを醸し出しながらリトの家に向かう。昨夜はリトからの電話に付き合ってしまったため、寝る時間は遅くなるわ5時前に目覚めちゃうわでかなり眠い。

 

リトの話によれば。昨夜は何も変わることはなく原作通りに行ったらしい。ザスティンに斬られそうになるし、ララに勘違いされるしで散々だったらしいが、予定通り進んでいるようでとりあえず一安心。

 

ララが編入するのは明日だろうか。転校初日から何かやらかすような気がするが、そんなに大きな出来事はなかったはず。最近不眠症の悪化が進んでいるような気がするし、保健室でサボっても大丈夫かな。ダメですよね、ハイ。

 

くだらないことを考えながらドアを開ける。

 

「おはよ。リトー?」

「あっ、ソラ。悪いんだけど、リト起こしてくれる?まだ部屋だから」

 

結城家に入ると、エプロン姿の美柑ちゃんが偶々通りかかった。しかし朝は忙しいため、俺に用件だけ伝えるとすぐに台所へ向かってしまった。ここで立っているのも邪魔なだけだし、靴を脱いで揃えておく。

 

美柑ちゃんのエプロン姿を見たのは久しぶりな気がする。あれは美柑ちゃんが小学校上がったばかりの頃かな。美柑ちゃんが料理を作ると言い出して、まずは形から入ろうと進言した時以来だろうか。あの時から随分成長したもので、毒舌に磨きがかかりすぎているような気がする。その毒舌を欲しがるようになりつつある俺はすぐに通報された方が良いかもしれない。

 

朝から自虐しながら、言われた通りにリトの部屋のドアに手をかける。

 

「起きろ未来のラキスケ…………」

 

 

 

顔を真っ赤にしている友人(パンツ+Tシャツ)

 

 

未だに眠そうにしている美少女(裸)

 

 

ポツンと座っている衣服用ロボット(存在が服)

 

 

 

「……………………」

「あっソラだ!おはよー」

「そ、ソラっ!?これは、ちがっ……」

 

そういえば。この日は美柑ちゃんがリトの部屋に来てこの光景を見るんだったっけ。その立場が俺に変わっているとは神様もひどいことをするものだ。

チラチラと視界に入ってくるララさんの四肢から目をそらし、くるりと回って一言。

 

 

 

「ごめん」

「待って違うから話を聞いてッ!!」

 

リトの悲痛な声を背に、俺は美柑ちゃんの味噌汁を飲みに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………てな訳で、俺は別に何もしてないからな。本当だからな!」

「あー、うんわかった。俺は何も見ていないぞー」

「話聞けよ」

「ララさんの四肢を眺めた気分は?」

「何も言い返せねぇ……」

 

友人の朝チュンを目撃してから数分後。リトの弁解を聞きながら通学路を歩いていく。こうして二人で登校するのもあと僅かか。明後日くらいにはララが加わり、来年くらいにはその妹のナナとモモが加わって賑やかな登校をすることだろう。

 

別に寂しくはない。俺はヒロインが増えて自分の立ち位置が無くなりそうで不機嫌になる幼馴染系ヒロインなんかじゃない。こうして二人で馬鹿な話で盛り上がるのも楽しいが、色んな人と話せた方が楽しいと理解している。俺は物分かりが良い方だ、すぐに慣れる。

 

「で、ララさんにプロポーズされたんだって?」

「されたっていうか、ララが俺の発言を変なふうに捉えたんだよ」

「感想は?」

「聞くなよ」

「嬉しいと」

「言ってない!」

 

いつもの感じは変わらないが、少しばかりリトも疲れているらしい。叫び声がいつものより迫力に欠ける。

 

俺がリトの部屋から出た後、ララはすぐにどこかへ行ってしまったらしい。まあ十中八九あの校長に直談判しに行くのだろうが、急なお願いを許可して大丈夫なのだろうか。制服とか体側服とか予備でもあれば良いんだけど、あの校長なら生徒が体育で汗をかいた後の体操服の方が好みそうなんだよなぁ……。校長の考えが予想できてしまう時点でもう手遅れかもしれない。

 

「そんなことより、裸の件はどうした」

「まだ謝ってない。はぁ……絶対、春菜ちゃんに嫌われてるよなぁ……」

「だろうね。裸の男女が女子更衣室のロッカーにいたんだ、誰だって誤解する」

「…………ちょっと待って、ロッカーの中にワープしたことなんで知ってんの?」

「ん?それは......うん。勘」

「勘かぁ……」

 

女子更衣室に裸の男女がいただけでアウトだろうに、あの学校には常識という概念が乏しいのかもしれない。実際乏しいね。校長が所構わず脱ぎ出すし。

 

しかしまぁ、落ち込みようが半端じゃないな。さっきからずーっと唸ってるし、どちらにせよ放課後には元に戻るだろうから今は放っておこう。

 

「どうすればいいかな……」

「さぁ。キリンを通常弾縛りで倒した話でもすれば?」

「お前ホントそれ好きだよな。てかガチ過ぎだろ」

「西連寺もきっと喜ぶ」

「急にモンハンの話振られて喜ぶ女の子は普通いないと思う」

「いるんだけどなぁ……」

 

実際、俺と西連寺が話すようになった理由はモンハンだ。モンハンは人を繋ぐって分かるんだね。

 

「大丈夫。最悪、お前が手違いで女子生徒を孕ませてもなんとかなる。きっと、多分、そんな気がする」

「曖昧だ……」

「あ、ユキに手ェ出したら容赦なくぶん殴って豚箱にぶち込む」

「真顔で言うなよこえーよ」

 

なにを言っているのだこの友人は。周りが引くくらい清々しい笑顔だというのに。

法律とか常識とかは乏しいクセに風紀を取り締まる人たちはいるんだ。母譲りの真っ白な柔肌に触れるものがいるならば容赦なく取り締まってもらうことにする。友人でも譲れない一線はあるのだ。

 

「てか、お前今日日直じゃなかった?」

「え、そうだっけ?」

「確かね。早めに行って日誌書いとけば?」

「それもそうだな。んじゃ」

 

リトが手を振りながら駆け足で走って行くのを見送る。今日の日直が西連寺と一緒だと教えそびれたが、まぁ別にいいだろ。教えたところで気まずくなるのは分かりきっていることだ。

 

「さて、と……」

いじり相手がいなくなってしまった俺は、携帯を取り出してメール作成画面を開く。件名はそうだな、【結城水】とでもしておこう。卑猥な香りがしそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。日直の仕事が残っているリトを教室に残し、俺は一人で帰路についていた。今ごろリトは教室で甘酸っぱい青春を味わってるのだろう。放課後の教室っていうのがまた少女マンガっぽいよな、あれこれって少年マンガよね?

 

特にやることがなかった俺は、久しぶりに晩御飯を作ることになり、スーパーまで買い物に行ってたところだ。

家のご飯を作るのはほとんど妹だ。料理が出来ないわけではないが、味を比べられると圧倒的に妹の方が上だ。昔から勉強熱心な妹と気が向いたときに行動してきた俺とでは一目瞭然な話だが。

しかし、今日は美柑ちゃんと一緒に勉強会をすると連絡がきたため、久方ぶりに俺が台所に立つ権利を頂いたわけだ。

 

両手に花、もといレジ袋を持ちながらマンションの自室に向かうと、ドアの前に誰かがいることに気付いた。緑色の髪に全身ガッチガチの鎧を纏ったひと目でわかる変人。しかし、見たことがあるような気がするのはなんでだろう.....?ていうかドア先にいるから入れないじゃないか。

 

「あのー……どちら様で?」

「ん?おぉ!貴方はあの時の!」

「……?……あ、どーも」

 

ザスティン。デビルーク星一の剣士の称号を持っている【ToLOVEる】内で数少ない男性の強い人だ。この少年マンガって女の子の方が圧倒的に強いんだよなぁ。一応、強い男性ならクロとかも出てくるけど、アレほぼ敵だからなぁ。なんとか仲間に出来ないかなぁ、無理だねうん。

 

「あの時は助かった。おかげですぐにララ様の元に向かうことが出来た」

「あぁ、うん。それじゃ」

「ああ待ってくれ!今日は折り入って頼みたいことがあるんだ!」

「ちょっ、首、締まってるって……ちょっ痛い、痛いっつーの!!服ビリっていきそうだったぞ!!」

 

ザスティンから手を離させ、荒くなった息を整えるため深呼吸を何度も繰り返す。

知っての通り、デビルーク星は地球人など比べ物にならない程の身体能力を持っている。限界以上に力を消費すると体が小さくなる制限付きだが、力を少し籠められるだけでこれだけの威力。もうヤダ宇宙人。みんな怪力すぎるんだもん。いつかポロっと逝っちゃいそうで怖い。

 

「で、何?しょーもないことだったらお前の上司に言いつけて慰謝料貰うかんな」

「す、すまない。それだけは勘弁してくれ」

 

流石のザスティンもギドさんには頭が上がらないらしい。そりゃそうか、怒っただけで星壊すくらいだもん。ギド目の前にして俺チビらないかな。戦闘能力とかずば抜けて強いし、お願いだから地球に来ないで。

ようやく息を整え終えると、ザスティンが改まったようにごほん、と咳払いをする。

 

 

 

 

「彩南高校の女子制服が欲しい」

 

 

 

 

 

ピ、ポ、パ、ポチ。

 

 

プルルルルル…………カチ。

 

 

 

「もしもし、警察ですか?」

「待て!?私の言い方が悪かった!!」

「ちっ。すみません、掛け直します」

 

ザスティンが真剣な表情をしたからなにかと思えば、とんだ変態だなこの野郎。特大ブーメラン乙。

 

「もう一回聞くぞ、要件は?」

「ララ様の制服が欲しい」

 

 

ピ、ポ、パ、ポチ。

 

 

プルルルルル…………カチ。

 

 

「度々すみません。変質者です。え、いや俺じゃないですよ?俺の目の前に……いや違いますから。俺じゃないって。目の前にいる鎧きたムキムキの人が……おい話聞けよ」

「どうして上手く伝わらんのだ……」

 

話が噛み合わない警察との電話を一方的に切る。こちらの理解力が乏しいのは知っているが、もしかしたらこの街の警察は意外とポンコツかもしれない。というかどうして俺の声だけで変質者と断定されるのだろうか。変質者はあの校長でしょ、え、違うの?

 

「すまない、きちんと説明する。ララ様から彩南高校の女子制服を用意して欲しいと頼まれたのだ」

「なんだよ、最初からそう言えよ……」

 

てっきりザスティンが自分の仕える姫たちに欲情する変態ロリコンクソ野郎かと勘違いするところだった。そうだよね、ザスティン君は普通だよね。このマンガ、殆どのヒロインが中々に濃いからザスティンはそのまま普通でいてお願いだから。

 

話が長くなりそうなため、とりあえず家 部屋の中にザスティンを通す。うちの中には誰もいないが、飼い猫のましろがザスティンにめちゃくちゃ警戒しながら出迎えてくれた。うちの猫は妹に似てお利口で優しいのだが、どうやらザスティンは動物に嫌われる体質らしい。

 

「すぐ出せるのはアイスティーかほうじ茶しかないけど、どっちが良い?」

「いや、そこまでしてもらう訳には……こ、こら引っ掻こうとするなっ」

 

まぁいいや。簡単にほうじ茶で済ませよう。

うちの母親はお茶をこよなく愛しており、棚の中には数十種類もの茶葉が置いてある。母親からお茶の淹れ方などを教えてもらったことはあるが、今でも茶葉に関しては分からないものが多い。俺は緑茶よりかはほうじ茶の方が好きなため、昔からよく淹れて飲んだことがある。ちなみに妹は玄米茶派だ。健康に気を使っているらしい。

 

「ほい。んで、ララの制服がなんだって?」

「かたじけない。実は……」

 

ほうじ茶を啜りながら聞いていたが、まとめるとこうだ。

 

本日、ララさんは校長に直談判し彩南高校の生徒として転入することを許可された。しかし体操服は校長が持っているが、制服は予備の物がないと。てかなんで体操服持ってんだよあの校長。校長だから?それで片付けられるんだよなぁ……。

それに困ったララさんがなぜか俺を頼りに。なんで俺が、と思ったのはザスティンも同じで聞いたところ、

 

『リトに内緒にしたいのもあるけどね。リトが言ってたの!ソラは基本やる気ないし興味ないととことん何にもやらないし人の不幸を腹抱えて笑う奴だけど、時と場合によっては頼りになる奴だって!だからソラに頼ってみるの!』

 

だそうだ。ララさんからの過度な信頼を寄せられているのはとても光栄です。リトには今度ボールペンでも渡そう。すごくビリビリするやつ。

 

「といっても、彩南の女子制服なんて……」

「そこをなんとか……む、これは美味い」

「どーも。良ければ茶葉持ってく?淹れ方も教えるよ」

「おぉ、それはありがたい。ぜひいただきたい」

 

いつの間にかお茶仲間が増えたことを嬉しく思いつつ、肝心の制服の件について思案する。

当然のことだが、俺が彩南の女子制服など持ってるはずがない。え、持ってないのとか思わないでね、俺そこまでヤバい人じゃないから。

 

彩南町の仕立て屋に頼むという手もあるが、流石にザスティンたちが確認しただろう。在庫は無しか、それとも今すぐには準備できないか。どちらにしたって無いものはしょうがない。

 

「まぁ、あてがない訳じゃないんだけどなぁ……」

 

正直、あんまりあてにしたくない。頼ったら多分『え〜どうしよっかなぁ?そこまでお願いするなら考えるけど、やっぱり対価は必要だよね〜?』とか言って来そうだから極力協力を仰ぎたくない。

 

しかし今回は非常事態だ。ここで制服が手に入らなければララは高校に編入出来ず、俺はララが高校に入れない理由を作ってしまった後悔を抱きながらこの先生きていくんだろう。

 

俺のちょっとした意地と、これから起きるハプニングの喪失。天秤にかける前からどちらを取るかなど決まっている。

 

「わかった。ちょっと頼んでみるよ」

「本当か!?かたじけない。この恩はいつか必ず返させてもらう」

「あ、ああ……楽しみにしとく」

 

そこまで大それたことをするわけでも無いのに、そこまで感謝されるとどうも変な気分だ。変な空気にならないうちに俺は電話帳からある人の電話番号を探す。あの人のことだ、きっと明日までに制服を送ってくれるに違いない。代償として俺の休日と体を差し出さなければいけなくなるが、この際仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもしもし、柊ですけど。彩南の女子制服ってありません?」

『ついに下切る覚悟が出来たの?』

「違うから話聞こう?」

『まっかせて。いいとこ紹介してあげるから』

「……お願いだから話聞いてください」

 

 

 

 

 

 

 

ソラは制服を手に入れた!

 

ちっとも嬉しくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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