仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME   作:ホシボシ

107 / 138
本編63話を読んだ後にご覧ください


Episode 6

 

 

 

 

 

 

Episode 6「イメージアップ」

 

 

 

 

『餌を与えないでください。噛みます』

 

「「………」」

 

 

芝浦とあやせは、その文字を見て『現物』に視線を移した。

芝浦はりんごを取り出すと、それをあやせに渡して顎で合図を行う。

 

 

「えぇ? だ、大丈夫かな?」

 

「………」

 

 

無言で頷く芝浦。

あやせは恐る恐るりんごを『彼女』に差し出していく。

すると――

 

 

「ガブゥウウウーッ!!」

 

「きゃぁあああああ!!」

 

 

佐倉杏子は、あやせの手ごとりんごを口に含んで租借する。

すぐに手を引いて杏子から離れるあやせ。

涙目になって芝浦にしがみつく。

 

 

「えぇぇん! やっぱり噛んだよ淳くぅうん!!」

 

「あ、ああ。しかももう一人の方を見てみろ」

 

 

あやせはチラリと芝浦が示した方に視線を向ける。

するとそこには激しい殺気を向けている浅倉威が。

あやせは腰を抜かして、再び涙を浮かべる。

 

 

「怖いよぉぉお淳くぅん!」

 

「ああ、きっとりんごを貰えなかった事で苛立ってるんだろうな」

 

 

恐ろしい話だぜ。

芝浦はゴクリと喉を鳴らして、もう一つりんごを取り出してあやせに差し出す。

一方で首を振るあやせ、「絶対噛むもん」と、頑なに芝浦の無言の命令を拒否していた。

すると向こうからマミが慌てた様子で走ってくる。

 

 

「双樹さん大丈夫!? 駄目じゃない食べ物をあげちゃ」

 

「うぅう、ごめんねマミちゃん。ちょっと気になっちゃって……」

 

 

マミはすぐに芝浦達を王蛇ペアから引き剥がす。

そして腕を組むと、猛獣たちの方へと視線を向ける。

 

 

「二人とも、ちゃんと反省した?」

 

「ガルルルルルルルル!!」

 

「おい、りんごまだかァ?」

 

「………」

 

 

頭を押さえるマミ。

マミの拘束魔法によって、王蛇はペアはココ来てからずっと縛り上げられている。リボンに吊るされミノムシの様になっている杏子と浅倉。

案の定と言うかこの二人は、ココに来てからも戦う気が消えていなかったので、こうしてお仕置き中だったと言う訳だ。

 

この空間では参加者が傷つけあう事はできない。

そして場所のモデルが『マミの家』と言う事だからか、強制力が強く、王蛇ペアといえどマミには逆らえずにこうなった訳である。

 

 

「佐倉さん、すっかり目つきが悪くなって……」

 

「うるせー! さっさとコレを解けー!!」

 

「はぁ、仕方ない子……」

 

 

マミが指を鳴らすとリボンが解け、二人は床に落ちる。

起き上がった杏子は早速槍を出現させマミを狙うが――

 

 

「このっ! こんのっ!!」

 

「………」

 

 

ポカポカとマミに槍がぶつかるが、スポンジで叩かれている様な感覚しかない。

全く効いていないマミを前にして、杏子は複雑そうに汗を浮かべながら立ち尽くす

 

 

「……本当にココでは参加者同士が傷つけあえない様になっているみたいだね:

 

「と言うか、死後の世界で殺し合いっておかしくない?」

 

 

杏子はばつが悪そうに目を逸らす。

 

 

「チッ! そ、そんなの関係ねー! お前もさっさと銃抜けよ!」

 

「そんなの無意味だわ。皆で楽しくやりましょうよ」

 

「知るか知るか! こねぇんならコッチから行くぞ! デカ乳!!」

 

「ティロフィナーレ」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアン! そんな轟音と共に辺りは煙で包まれる。

ヒィイと声を上げながら逃げていく芝浦とあやせ。

そんな中で、煙の中からは咳き込む声が。

 

 

「げほっ! がはっ! な、なんつー衝撃だ!」

 

「佐倉さん、私そろそろ怒るわよ」

 

「撃ってから言うなよ! って、なんだコレ!」

 

 

焦げ焦げのアフロになった杏子は、自分の姿を鏡で見ながら髪を直そうと必死だった。

 

 

「なんで毛量が明らかに増えてるんだよ!」

 

 

鼻を鳴らしながらマミは一蹴する。

そんな事はどうでもいいと!

 

 

「おい、俺は関係ないだろ。何してくれてる」

 

「関係あるわ浅倉さん。連帯責任よ連帯責任」

 

 

同じくアフロになった浅倉。

煙を上げながら二人はマミの前に正座させられ、現状を詳しく教えられる事に。

まあとにかくだ。杏子達も色々あるだろうが、ココはもう退場した『お疲れ様組み』が平和に過ごせる場所だ。

それは王蛇ペアも例外ではない。

 

 

「佐倉さんも、また昔みたいに紅茶を飲んでゆっくり過ごしましょう?」

 

「……チッ! くだらねぇ」

 

 

複雑そうに舌を鳴らす杏子。

戦い足りないって言うのが本音ではあるが、確かにこの空間では武器を振るっても意味がないと来た。確かに感じるイライラも少ない。と言うよりも苛立ちは感じない。

なにかこの空間が作り出す雰囲気なのか。

浅倉も気だるそうにはしているが、いつもの様なピリピリとした雰囲気は無かった。

 

 

「ただね。今見てて、やっぱり分かったわ」

 

「?」

 

「佐倉さん、やっぱりちょっと刺々しいのよね」

 

 

王蛇ペアはココにいる多くのペアと戦い、送り込んだ者たちまでいる。

そう言った面々がこれから仲良くやって行くには、今までのイメージを払拭させなければならないと。

触れたら切れるナイフ、そんなイメージが先行しすぎているのだ。

 

 

「そこで、今から緊急会議を開きます!」

 

「「……?」」

 

 

顔を見合わせる杏子と浅倉。

数分後、ここにいるすべてのペアに囲まれてクッションの上に座っていた。

悲しい話ではあるが、これよりも先にココに来るペアがいないとも限らない。

そのペア達が安心して暮らせるように、杏子達のイメージを変えなければならない。

 

 

「イメージアップよ佐倉さん、浅倉さん!」

 

「くっだらねぇ。んなモン必要ねぇよ。なぁ浅倉」

 

「ああ。馬鹿の考えそうな事だ。笑えるぜ」

 

「………」

 

 

ムカッとした表情のマミは、他の一同を見る。

すると王蛇ぺア以外は頷くと、席を立って杏子達から距離をとって行く。

 

 

「な、なんだなんだ?」

 

 

目を丸くしながら周りを見る杏子。

そんな二人の前には、いつの間にか変身したマミが。

 

 

「お、おい……」

 

「ティロ――」

 

「だぁあああ! 分かった分かった! 話だけは聞いてやる!」

 

 

と言う訳で、杏子は折れた。

浅倉も何も言う事は無かったが、とりあえず否定の言葉も口にはしなかったので、本題へ移る事へ。

とりあえず皆には、ペアごとにイメージを上げる作戦を考えてもらってきたから、それを実践してみようと。

 

 

「じゃあ須藤さん、まずは私達の意見をお願いします」

 

「はい、やっぱり佐倉さん達の印象がキツイのは言葉遣いが関係してるんじゃないでしょうか」

 

「言葉遣いだぁ? ナメんなよ蟹野郎。死ね」

 

「アァァ、ふざけた事を言うな。殺すぞ」

 

「そ、そう言う所ですよ!」

 

 

ホラもう怖い!

杏子達は口を開けば、やれ潰すだ、やれ殺すだのと威圧的な言葉を使ってくる。

それではやはり人に良い印象を与えるとは言えないだろう。

当たり前の話ではあるが、綺麗な言葉遣いは人に良い印象を与える筈だ。

と言う訳で杏子達もそれを実践すれば、との考えである。

 

 

「できるでしょ?」

 

「馬鹿にするな! それくらい余裕だっての。行くぜ浅倉」

 

「チッ、仕方ない……」

 

 

二人は頷くと一同が見ている前で大きく息を吸う。

喋り方を変えるくらいどうって事あるか。そう二人は思っていたのだが――

 

 

「「………」」

 

「………」

 

「「………ッ」」

 

「?」

 

「「……ッッッ!!」」

 

「ど、どうしたの二人とも――」

 

「「―――」」

 

 

パタリ。

 

 

「……佐倉さん? 浅倉さん?」

 

 

返事は無い。

 

 

「あの、巴さん……」

 

「っ?」

 

 

須藤は白目をむいて倒れてる二人を見て汗を浮かべていた。

敬語で話そうとした杏子達だったが、呼吸が止まったように沈黙し――、と言うか本当に呼吸が止まった。

 

 

「気絶してますよ」

 

「………」

 

 

なんでよ。

マミは静かに、それも一人でずっこけていた。

 

 

 

 

 

 

二分後。

 

 

「「はッ!」」

 

「気づいたのね二人とも!」

 

 

飛び起きる杏子達。

マミは良かったと安堵の息を漏らす。

それにしても敬語を話そうとするだけで気絶するなんて、そんな馬鹿な。

呆れた様に汗を浮かべているマミ達を見て、杏子は険しい表情を浮かべる。

 

 

「なんだお前らジロジロと! 仕方ないだろ! 今まで敬語なんてほとんど使ったこと無いんだから!」

 

「だからって言葉が詰まって、そのまま喉まで詰まるとは……」

 

「ちょ、ちょっと慣れない事をしようとしたからだよ。なあ浅倉!」

 

「アァア、そもそも敬語って何だ?」

 

「お前マジか!? それはアタシでも分かるぞ!!」

 

 

見てろ。

杏子は舌打ちを一つ。

 

 

(こうなったら意地でもこいつ等にアタシの実力を見せてやる)

 

 

杏子は深呼吸を一度行うと、俯いて、ゆっくりと顔を上げながら一言。

 

 

「ブチ殺しますよ……ッッ!」

 

「「「………」」」

 

 

こ、こえぇええええ!!

たしかに言えたは言えたけど、ちゃんとですます調ではあるけど!!

なんでその言葉選んだんだ! 一同は顔を青くして、杏子達から距離を取る。

 

 

「フン!」

 

「いっで!!」

 

 

マミはマスケット銃を鈍器として杏子の頭に振り下ろす

 

 

「そうじゃないでしょ、そう言う事じゃないでしょ!!」

 

 

マミは呆れ顔で杏子に趣旨を今一度教え込んだ。

皆の印象上げる為なのに、マイナスエネルギー放出してどうするのか?

 

 

「とにかく、殺すとか潰すとか乱暴な言葉は無し!」

 

「そ、そんな……!」

 

「おい、それじゃあ俺達は何を話せばいいんだ?」

 

「嘘おっしゃい! 貴方たちの語彙はそれだけしかないの? 違うでしょう!!」

 

「でも……」

 

「ちょっと! なんでこの世の終わりみたいな表情をするの!」

 

 

マミは怒ったように頬を膨らませて杏子たちを諭す。

しかしマミ達からしてみれば簡単に思われる事も、杏子達には難しい事の様で。

 

 

「綺麗な言葉とか、ジンマシンが出るんだよ!」

 

「アァァ、俺達は俺達のやり方でやらせてもらうぜェ」

 

「もー、仕方ないわねーっ!」

 

 

確かに、いきなり言葉遣いを直せと言われても、結局行動をするのは本人なのだから、強制しても仕方ない。マミとしてもなるべくなら、気兼ね無く伸び伸びと暮らして欲しい所でもあるし。

とは言え、やはりちゃんとして欲しい所はちゃんとして欲しい。

 

と言う事で、次の案を引っ張ってくることに。

前に出たのはニコ達だ。彼女は顎に手を当てながら、杏子と浅倉をジロジロと観察する。

 

 

「ふーむ。やっぱりな」

 

「な、なんだよ……」

 

「やっぱお前らアレだよ。目つきが悪いんだ」

 

 

見るからに人殺してますって目をしてやがる。

ニコの言葉にフムと高見沢も唸る。

 

 

「面接では見た目を重要とする会社も珍しくはねぇな」

 

「そうそう、人間見た目が9割だぞ」

 

 

特に第一印象ってのは何よりも大切だ。むしろそれが全てと言っても良い。

そんな中でこの王蛇ペアの刺し殺す様な目つきは、他人に良いイメージを与える訳が無い。

 

 

「そこで私はあるアイテムをお前たちに授けたいと思う」

 

「アイテムだぁ?」

 

「ああ、これならお前らの意思関係なく目つきの問題が解決される」

 

 

言葉遣いは本人が気張らないと出来なかったが、これならば意思関係なくできるのだと。

 

 

「まあ百聞は一見にだ。とにかく試せ」

 

「お、おい……!」

 

 

 

十秒後。

 

 

 

「「………」」

 

「ぶはははははははは! に、似合ってるよ杏子たん! ふひっ! ふひひひ!」

 

「だははははは! こりゃあいい、これで目つきは解決だな」

 

 

腹を押さえて笑うニコと高見沢の前には、コントで使う様な鼻眼鏡を装着した杏子と浅倉が。

牛乳瓶の底の様なレンズ、作り物の大きな鼻から生える髭。

確かに表情は隠れたが――、十秒後、たんこぶを作って転がっている高見沢とニコの姿が。

 

 

「もう、ふざけないでって言ったのに!」

 

 

鼻を鳴らすマミ。

一方で殺気を解放しつつある杏子達。

 

 

「お前ら……、アタシらで遊んでるだろ」

 

「アァァ、今すぐ全員消してもいいぜェ」

 

「は、鼻眼鏡つけながら言われても……」

 

 

取ればいいのに。

マミは少し引いた様にそう言った。

とは言え、杏子達が怒っているのがひしひしと伝わってくる。

ここらで一つまともな意見が欲しい所だが……?

 

 

「はいはーい♪」

 

「……ゆまちゃんは何か無いかしら?」

 

「ちょっとマミちゃん! どうして無視するの!!」

 

 

あやせから目を逸らすマミ。

だって、どう考えてもまともな意見が飛び出して来るとは思えないっていうか。

そもそも芝浦のイメージが良いとは言えな――、ごほんごほん。

 

 

「いや――ッ、うん、ごめんなさい。何かしら双樹さん」

 

 

まあもしかしたらと言う事もある。

それに確かに無視は良くない。マミは頷くと、あやせに答えを求める事に。

大丈夫かコイツ? そんな芝浦の視線を感じながらも、あやせはウキウキとした表情で自分の考えを口にする。

 

 

「見た目の話で思ったんだけどぉ」

 

 

パッと見た印象で一番最初に飛び込んでくるのは何なんだろう?

それは顔はもちろんだが、何よりも服装ではないかと。

身なりをちゃんとしている人は、当然それだけ良い印象を与えられる筈だ。

 

 

「なるほど、確かにそうだわ」

 

「でしょでしょ♪ だからね、わたしのお洋服をかしてあげる!」

 

 

いつもはルカと好みが一致する服装を選ぶのだが、あやせは自分個人の趣味を全開にした服も多数持っている。

色々なフリルがついた物だったり、リボンがついたものだったりと。

 

 

「とっても可愛いんだよ☆ それを着れば怖いイメージなんて無くなっちゃうから♪」

 

「まあ、それは良い考えね! グッドアイディアよ双樹さん!」

 

「お、おい! アタシは着ねぇからな!!」

 

「レガーレ!」

 

「うぉい!!」

 

 

拘束魔法を発動させて杏子を縛り上げるマミ。

マミとあやせはムフフと笑い合うと、ジリジリと杏子へ詰め寄っていく。

 

 

「みんなはちょっと後ろ向いててね」

 

「すぐに終わるから」

 

「おい! おいって! や、止めろ! やめっ! アアアアアアアアアアアア!」

 

 

杏子の悲痛な叫びがマミの部屋には良く響く。

そして、再び目を開けた一同の前には、フリフリのロリータファッションに身を包む杏子の姿が。

 

 

「かわいい! 素敵だよ杏子ちゃん!」

 

「へぇ、印象かわるもんだなー!」

 

「う、うるせぇ! こっち見んな!!」

 

 

まどかや佐野の声でより恥ずかしくなったのか、杏子は腕で体を隠しながら後ろを向く。

 

 

「照れた所もポイント高いぞ!」

 

 

ニコの声で杏子はどうしていいか分からずに、ただ赤面するだけだった。

 

 

「ん?」

 

 

ふと、杏子の隣に視線を移したニコ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、同じくゴスロリファッションに身を包んだ浅倉が立っていた。

 

 

「ぶぅううう!!」

 

「何でだ! 何で着せた! 何でアイツまでフリフリなんだ!?」

 

 

青ざめ後ろへ下がっていくニコや佐野。なんだ、なんなんだこの異常な光景は!

 

 

「えー、だって杏子ちゃんだけじゃ可哀想じゃない」

 

「いやいやだからって何で同じ服なんだよ! 女物じゃねぇか! おかげでめっちゃパツンパツンだぞ!」

 

「だってわたし女の子だもん、それしか持ってないもん」

 

「だったら着せなくても――って、浅倉めっちゃコッチ見てる。滅茶苦茶睨まれてる!」

 

「こわッ! ゴスロリの大男とか何の冗談だよ! ってかお前も断れよ!!」

 

 

汗を浮かべて浅倉達から距離をあける一同。

そして杏子も自分が着ている服の可愛さが分かっているのか、汗を浮かべて頭をかきむしる。

どうやら限界が来てしまったらしい。

 

 

「だぁあああ! 無理ッ! もう無理だ無理! 体中がムズムズしやがる!!」

 

「きゃああ! だ、駄目よ佐倉さん皆の前で脱ぎ始めちゃ!」

 

「みんな目をふさいでー!」

 

 

てんやわんやでパニックになる一同。

なんとか落ちついた頃には、もう誰もが呼吸を荒げて疲労しきっている様子だった。

結局この案は失敗と言う事に終わってしまう。

と言うより本人達にその気が無いのが、うまくいかない一番の理由の気がする。

ココを何とかしたい所である。

 

 

「もっと何か簡単な方法があればいいんだけど」

 

「じゃあ恩人、こう言うのはどうかな?」

 

「あら、呉さん」

 

 

東條と相談して決めた事が一つあると。

要は無害ですよと言う印象を与えればいい訳だ。

となれば――

 

 

「語尾なんてどうかな」

 

「語尾?」

 

「そうそう、キャラ付けさぁ」

 

 

かわいい語尾をつけるようになれば皆も安心できると。

 

 

「語尾……、ってなんだ?」

 

「言葉の最後につける言葉みたいな物かしら? 面白そうね、やってみましょう」

 

 

ベタに『にゃん』にしてみるかとキリカ。

 

 

「いいわね、じゃあ言葉の最後に今の言葉をつけてみて」

 

「なんだよそれ……にゃん」

 

「うーん、ちょっと違うのよね」

 

「な、何がだよ……!」

 

「猫語を交えてって感じかしら」

 

 

たとえば――、マミは手を猫の手の様にしてウインクを一つ。

 

 

「こんにゃ感じかにゃん☆」

 

「あははは! 何やってんだよバーカ!」

 

「………」

 

 

爆発が起こった。

再びアフロとなった杏子はススだらけで汗を浮かべる。

 

 

「にゃにするんだよ……!」

 

「ティロフィニャーレよ」

 

「そう言う事じゃなくて……、いや、まあいいや。アタシが悪かった」

 

 

だがとにかくと、杏子は首を振る。

語尾も語尾だ。可愛らしい事をするとザワザワして気持ちが悪い。

とは言え、そこらへんに耐性を持ってもらわなければ困ると言う所でもある。

 

 

「浅倉さんも――」

 

 

ふと沈黙するマミ。

浅倉が猫語……

 

 

『アァァ、ブチ殺すにゃん』

 

「……いえ、やっぱりなんでも無いです」

 

「?」

 

 

駄目だ、考えただけで色々アウトだった。

マミは喉までこみ上げた言葉を飲み込んで次に行く事に。

佐野たちのアイディアもまた見た目に関わる事だ。

ゆまが大切にしているぬいぐるみを持たせてはどうかと。

二人の怖さを、ぬいぐるみのキュートさで中和しようと言うのだが――

 

 

「これ持つだけでいいのか?」

 

「何なんださっきから、まどろっこしいぜ」

 

 

ゆまが持っているクマさんを、それぞれ杏子と浅倉は持つのだが――

 

 

(持ち方……)

 

 

ゆまの様に抱く訳でもなく、浅倉は完全に顔面を鷲掴みにして乱雑に。

杏子は首元を掴んでこれまた雑に持っている。

どうみても獲物を狩り終わった後の光景にしか見えない。

心なしか指が食い込んでいるぬいぐるみの表情が切なげに見える。

 

 

「も、もっと可愛げに抱いてみない?」

 

「冗談、興味ないっての」

 

 

杏子は鼻を鳴らして、クマのぬいぐるみをゆまへと投げ返す。

一方でジッとクマのぬいぐるみを見つめている浅倉。

意外とこう言うのに興味あるのか? ギャップ萌えを狙えるかもしれない!

マミは一筋の希望を見出すが――

 

 

「中々うまそうだ」

 

「………」

 

 

え? 何? 何言ってんの? 怖い、怖い怖い怖い!

永遠に分かり合えない香りをほのかに感じて、マミは再び言葉を喉で飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、中々いい案がないのね……」

 

 

マミの前では、お菓子をバリボリと貪っている杏子と浅倉が。

最後はまどかになる訳だが――

 

 

「わたし、思ったんですけど……」

 

 

まどかは笑顔で口を開く。

 

 

「杏子ちゃん達は、そのままでいいんじゃないかなって!」

 

「え?」

 

 

確かに尖った面はあるが、それも含めて杏子達の魅力ではないかと、まどかは説く。

そりゃあ怖いと思うところも少しはあるが、杏子達は杏子たち。

それを受け入れるのも、まどか達の役割ではないか。

 

 

「皆がありのままで仲良く出来たら、とっても素敵な事じゃないですか!」

 

「そ、そうね……」

 

「お、アンタ良い事言うじゃんか」

 

 

まどかの肩を抱いて笑う杏子を見て、マミもフムと唸る。

確かに一見すれば近寄りがたいのが杏子達だが、ここにはいくらでも時間はある。

ゆっくり仲良くなっていけばいいのか。

 

 

「………」

 

 

まどかは一瞬悲しげな表情でマミを見るが、すぐに杏子に話しかけられて笑みをそちらに向けていた。永遠の時間? いや、それは――

 

 

「まどかの言う通りだよ。マミは固いんだよな」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「無駄にデカい胸くらい柔らかくなれよ」

 

「………」

 

 

杏子はガシっとマミの胸を掴むと二、三回強く揉んで大きくため息を一つ。

 

 

「ハッ、胸に知能が吸い込まれてんじゃねーの?」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どわああああああ!! マミちゃんがキレたぁあああ!」

 

「おい! 浅倉の野郎がぶっ飛んだぞ! 大丈夫かアレ!」

 

「流れ弾がコッチに――ッ! ぎゃあああああああ!!」

 

 

衝撃と轟音が響く中、焦げ焦げでアフロになったまどかは、涙をダバーっと流しながら思う。

杏子達と平和に過ごすのは、まだまだ先になりそうだ。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。