仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME   作:ホシボシ

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突然ですがみなさん。こんな経験はないですか?
更新を待っていた作品が全く更新されなくなった。
そうですね、所謂『エター』でございます。

まあ二次創作と言うのは中々ね、難しいものです。
趣味であるがゆえ、いつ、どこで、永遠がやって来るか分かりません。

なのでですね、今回、ココにFOOLS,GAMEの『先行最終回』を掲載しておきます。
エピソードファイナルです。これを読めば、僕がいつエターナルに変身しても大丈夫なわけですね。

もちろん本編の最終回がこのお話になるワケではないです。
だから別に今このタイミングで、これを見ても別に大丈夫です。逆に見なくても大丈夫です。

もしもボクが消え失せ、FOOLS,GAMEが更新されなくなった時には、もう一度このお話を読んでください。
それでこの物語は終わりです。

あくまでも最終回のため、あたためてきた単語やら今後のごく軽いネタバレが入ってますが、そこはご了承くださいませ。

最後に


Q このお話、ふざけてますか?

A ボクは真面目にふざけました。


それでは本編。どうぞ



先行最終回
FOOLS,GAME End Number『12』


 

 

 

とある『少女』は、よく同じ夢を見る。

 

 

「思うんです。辛い事ばっかりだった」

 

 

同じ年齢――、少し上だろうか?

桃色の髪の毛をした女の子が泣いている。いつも血が出ていた。今日もまた彼女は傷ついている。

周りにはビルが崩れて、街は崩壊していて、その中で女の子は唇を噛んで泣いている。

 

 

「状況はどんどん悪くなって、連鎖的に悪い事が重なって……」

 

 

 

女の子を抱き起こす男の人がいた。その人も血だらけで、泣いている。

夢を見ていた『少女』はその男の人が好きだった。異性としての好きではない。

ただなんとなく、感謝と言うのか、尊敬と言うのか、憧れと言うのか。

まあ尤も、夢の登場人物にはかわりないのだが、『少女』はその男の人が泣いている顔をみるのが好きではなかった。

 

 

「だから――、少しくらい、夢見てもいいじゃないですか。良い事っばっかり、すんなり、起こる――、夢」

 

 

私もそう思う。血まみれになっている桃毛の女の子に、『少女』も同意した。

 

 

「いつか……、そんな世界が――、来ると……良い……な」

 

 

桃毛の女の子は目を閉じた。

もうその目は二度と開かれる事はない。男の人は、その女の子を抱いて泣いていた。

悲しい夢。死なないで。そう願うが、『少女』の想いは届かない。

 

 

「あ」

 

 

目が覚めた。『少女』はムクリと体を起こすと、小さくため息を。

 

 

「はぁ、朝から憂鬱だな」

 

 

とは言え、珍しい話じゃない。

お母さんが用意した熱々のコーンスープと、バターたっぷりのクロワッサンを食べれば忘れるだろう。

『少女』はベッドから降りると、リビングに向かうのだった。

 

 

「………」

 

 

それでもふと、足を止める。

 

 

「誰か、あの人たちを助けてほしいな」

 

 

――って、夢を相手に何を思っているのか。

『少女』は恥ずかしげに肩を竦めると、そそくさと階段を降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME End Number『12』

 

 

 

 

 

 

星の骸。

 

 

「………」

 

 

すべての絶望を統べる王座にて、ギアは肘掛に肘をついて気だるそうにモニタを見ていた。

するとそこへバズビーが姿を見せる。

 

 

「ギア様、例の物が完成したしました」

 

「……そうか。ご苦労だったな」

 

「ハッ!」

 

「それではこれより精錬に入る」

 

 

立ち上がり、マントを翻すギア。

言葉のトーンは変わらないが、その内心、喜びに震えている事を記述しておこう。

 

愚かな人間はまだ気づいていない。ギアの目的はゲームにより絶望を収集する事だが、それはあくまでも『恩恵』、『娯楽』でしかないのだ。

運営の果てにあるのはただ一つの野望だ。そしてそれはまもなく完成を向かえる。

参加者達はゲームを盛り上げるピエロでしかない。その裏にあるものこそ、ギアが本当に狙っている存在であった。

 

それは魔女。

正確に言えばグリーフシード生成のために箱庭(みたきはら)に配置される魔女軍団である。

魔女は技のデッキにも影響を与えるエネミーシステムだ。

円環の理に攻め入った際、ギアは参加者以外の魔法少女達もしっかりと管理下においた。

そして再び舞台に送り、魔女として覚醒させる。そうする事で箱庭にも影響を与え、そしてコアデータはダークオーブに封印する事で『管理』している。

 

ふむ、少し分かりにくいか。

簡単に言えば、無限の輪廻をくり返しているのは参加者達だけではない。

魔女として存在する魔法少女の仮には『箱庭』に存在していた事になる。

そう、魔法少女が存在するという事は――。

 

 

「当然、それだけのソウルジェムが生まれる事になる」

 

 

ギアが訪れた部屋はまるで宇宙。無数の魂の輝きを放つ宝石が浮遊しており、アンドロメダや天の川を形成している。

ギアたちはすべてをデータとして管理する事に成功し、その上でFOOLS,GAMEと言う一つのゲームを構築した。

参加者以外の魔法少女もデータ体として舞台に送られ、キュゥべえと契約する事で魔法少女となる。

 

が、しかし、舞台にはルールがある。参加者以外の魔法少女は存在してはならない。

ゆえに、いかなるループを辿ろうとも参加者以外は魔女になるのだ。最悪、魔獣たちが舞台に降り立ち、強制的に絶望させる手にもでる。

とは言え、使い魔からも魔女が生まれるシステムの中、なにも『円環の理から連れ去った魔法少女をすべて魔女に変える事はしなくてもいい』のだ。

円環の理はすべての魔法少女を管理する場所だ。魔法少女はそれだけの数がある。それをゲームが行われる見滝原のなかにすべて詰め込んでしまえば、辺りは魔女だらけではないか。

 

つまりだ。

ゲルトルートやエリーキルステン、ズライカやエルザマリア、ギーゼラなどゲームに参加している魔女もまた、選ばれた存在と言うことになる。

それでは他の魔法少女は? 正解は、一度契約させ、ソウルジェムを回収した後、ダークオーブを操作して存在を抹消している。

 

データの魔法少女に契約させてもソウルジェムは生まれる。

魔力は微妙ではあるが、問題は魂の輝きを持つ石を生み出す事。

それにどんなに小さなエネルギーでも積もれば宇宙を延命するものにはなる。

と言うことで、インキュベーター達も契約を行うことには文句は言わなかった。

 

 

ではもう一度結論を言おう。

 

魔獣の王、ギアが仕組んだFOOLS,GAMEの目的は参加者に無限の絶望を味合わせて快楽と力を得るためだ。

しかしその裏にある本当の目的は、ゲームを運営する力を手に入れたことにより行える『ソウルジェム』の無限精製である。

参加者の殺し合いが始まる前に、魔女を作るために参加者に選ばれなかった魔法少女達を契約させ、魔女にさせるぶん以外は星の骸に回収する。

 

こうして蓄積されている大量のソウルジェム。

既に肉体(がいねん)はダークオーブの中、精神が穢れることもなく、ソウルジェムは美しい輝きを保ったままだ。

そしてついに、目的が達成させるだけの量に達したと結論が出た。ギアは部屋の中央に立つと、空中に浮かび上がるソウルジェムへあるアイテムをかざす。

 

 

「エデンの果実……!」

 

 

かつてこの世界にイレギュラーが発生した際に手に入れた力の集合体。

これを一番活用するにはどうするか。生成だ。力を力で塗り固め、一つに変える。

 

 

「オォ! オォォオ!」

 

 

歓喜の声をあげるギア。

手に持った果実に、存在するすべてのソウルジェムが吸い込まれていく。

データの魔法少女が契約したため、所詮はレプリカ。

 

そして手に持った果実もまたレプリカ。しかし関係はない。

たとえレプリカであろうが、オリジナルに近い力を持っているのならばそれは絶大な武器となる。

大切なのは本物かニセモノかではなく、どれだけの力を持っているかだ。そういう事ならば、今から作り上げる『モノ』は極上であると自負している。

 

 

「ククク……! フフフフフフフフ!」

 

 

そしてその力の気配に気づいたか、額に汗を浮かべながらジュゥべえは舌打ちを漏らしていた。

 

 

『こりゃマジィな先輩!』

 

『ああ。裏で何かコソコソとやっているのは知っていたけれど、まさかこれほどの力を隠し持っていたとはね』

 

『どうすんだ先輩。むかっ腹が立つ話だけども、もうオイラたちじゃ抑えきれねぇぞ』

 

『確かに。ギアはボク達が立てたルールを突き破ってくるだろうね』

 

『ゲームを中止するか?』

 

『いいんじゃないかな続けても』

 

 

表情を変えず、キュゥべえは淡々と説明する。

もしも魔獣側がゲームのルールを突破しても、おそらくはまず最初に参加者を殺すはずだ。

当然真司も戦うだろう。それを確認し、魔獣が敗北すればオーケー。真司たちが死ねばとりあえずは撤退すればいい。

 

 

『宇宙は広いからね。魔獣たちが脅威になるなら、他のものを使って排除する事を考えればいいだけさ』

 

『ひょー。さすがは先輩だぜぃ!』

 

 

壁が壊れる音がした。今日この日、全てが終わり、全てが始まる。

FOOLS,GAME The・ANSWERは終わりを迎えるのだ。

そして、それを『外』から確認する者がいた。

 

 

「始まったか……! 頼んだぞ」

 

「ああ、俺に任せろ!」

 

 

男はアクセルグリップを捻り、爆音を上げてマシンを発信させる。

急加速するバイクは、そのまま灰色のオーロラを貫き、壁を壊していった。

 

 

 

 

 

 

13人の騎士と13人の魔法少女は己の望む答えを見出せないまま命を散らした。

世界は絶望に染まり、愚かなゲームに選ばれた参加者達は舞台を盛り上げる為に永遠の地獄と絶望を繰り返す。

しかし、その愚かな輪廻に待ったを掛けた男が一人。

 

その名は城戸真司。

 

彼は13人の魔法少女と13人の騎士全員の生存を賭けて運営、魔獣に戦いを挑んだ。

その熱意と情熱により、共感や協力を結んでくれる者は出てきた。

しかし、現実はそう甘くはいかなかった。

 

 

「うあぁあぁぁあ!」

 

「きゃあああぁあ!」

 

 

廃工場に爆発が巻き起こる。

衝撃に呑まれ、龍騎とまどかは叫び声をあげながら空中を舞う。

ビリビリとした衝撃に骨が軋む。そのまま龍騎とまどかは地面に墜落し、強く体を打った。

 

 

「まどかぁあああッ!」

 

 

憎悪に塗れた咆哮が聞こえる。

倒れたまどかが見たのは、獲物を狙うタカのような眼光を光らせたほむらであった。サバイバルナイフを逆手に持って走ってくる。

そして一方で空中を飛来してくるエビルダイバー。その上にはライアが立っており、さらにはブランウイングやボルキャンサーも姿を見せる。

 

 

「くっ! 美穂! 須藤さん! 手塚!」

 

 

龍騎が叫ぶ中、エビルダイバーが龍騎を弾き飛ばす。

 

 

「うがぁあ!」

 

「真司さん!」

 

 

真司を助けに走ろうとするまどかだが、その足にリボンが絡みつき、地面に倒される。

そこへ無数の銃弾が降ってきた。全身にめり込む弾丸、さらにそこで腹部が爆発した。

時間停止による爆弾設置。まどかは血を吐き出し、悲鳴を上げる。

 

 

「余所見している暇はないわよ、鹿目さん!」

 

 

空にマミの姿を見た。

いけない、龍騎は降り立つシザースやファムをタックルで弾き飛ばしてまどかのもとへ走る。

 

 

「逃がすか! お前はココで死ね!」

 

 

エビルウィップが龍騎の首に巻きつき、直後イルフラースを発動したサキが飛び蹴りを龍騎の腰に打ち込んだ。

帯電しながら吹き飛び地面を転がる龍騎。まどかにもまた大量の弾丸が打ち込まれ、爆発が巻き起こる。

 

 

「もう止めてくれ! 俺はみんなと戦いたくないんだ!」

 

 

龍騎の悲痛な叫びが空を刺した。

一方、そこに重なる笑い声。

 

 

「ホホホホッ! 素晴らしい絶望ですわ。龍騎ッ!」

 

 

今。シザース、マミ、ファム、サキ、ライア、ほむらが龍騎とまどかを殺そうとしている。しかしそれは仕組まれた事なのだ。

龍騎とまどかが睨むのは、笑い声を上げて歩いてくる魔獣、シルヴィス・ジェリー。

見た目は上品な淑女ではあるが、その裏にはどす黒い絶望が取り巻いている。

シルヴィスの能力は強力な『洗脳』である。幻術や直接的な干渉を行い、対象を意のままに操るのだ。

シルヴィスはその能力を使い、龍騎の仲間達を闇に落とした。

 

 

「信頼、絆、希望。ククク! それを踏みにじる事こそが我が最大の娯楽!」

 

「ッ、お前ぇえ!」

 

「希望を構成させる要因を一つずつ腐食させていくのは愉快極まりない! ほらどうした龍騎、愛するファムがお前に刃を向けるぞ!」

 

 

その言葉どおり、ブランバイザーが龍騎のわき腹を掠った。

装甲から火花が散り、龍騎は痛みに呻く。

止めてくれ、元に戻ってくれ。もはや100回は口にしたであろう言葉。尤も、今もまたそれは虚しく空に吸い込まれていくのだが。

 

 

「フフフ! 所詮人間などその程度なのです! お前達はどう足掻いても我々魔獣には勝てない!」

 

「違うッ! わたし達は絶対に勝ってみせるから!」

 

「黙れ鹿目まどか! もはや我々はゲームと言う狭い世界にすら立っていないのだ!」

 

 

空が割れ、激しいスパークが巻き起こる。

そして轟音。亀裂から青白い雷が姿を見せ、そのままシルヴィスに直撃した。

するとその姿が人間のものから化け物に変化する。電球のようなシルエット、体には電極が埋め込まれており、手にはスタンガン状のクローアームが。

クラゲをモチーフにしたモンスター、"ブロバジェル"こそがシルヴィスの正体であった。

 

 

「ふたりを捕らえよ!」

 

 

アームに雷光を纏わせ振るうと、それを合図にしてライアたちが龍騎を掴みあげる。

さらにマミが魔法で手足を拘束。龍騎とまどかは縛られたまま、まとめて地面に突き飛ばされる。

 

 

「うあぁ!」「きゃあ!」

 

 

抵抗しようにも、洗脳されているとは言えライアたちは本人にはかわりない。

仲間に攻撃をするというのはやはり抵抗があった。

もちろん、そんな事を言っている場合ではないのだが、やっと分かり合えた後だけに、割り切るのはなかなか難しい。

 

 

「さあ、最後はこの私が直々に息の根を止めてあげましょう!!」

 

 

アームにおびただしい電流が宿る。

そのままゆっくりと龍騎たちを目指すブロバジェル。

 

 

「感電死だ。苦しみながら死ね!」

 

「まどかちゃん!」

 

 

縛られながらもなんとか体を起こし、まどかの前に立つ龍騎。

もうダメか。絶体絶命のピンチ。龍騎もまどかもギュッと目を瞑り、襲い掛かる衝撃に供えた。

 

 

「そこまでだ! 魔獣ッ!」

 

 

しかしその時だった。激しいエンジン音が耳を貫いたのは。

 

 

「――ッ、なんだ?」

 

 

振り返るブロバジェル。

そこには一台のバイクに乗った男が見えた。まず目に飛び込んできたのはそのバイクの派手なカラーリング。

青をベースとして黄色のラインが目立つ。そしてなによりもその形状である。

顔だ。顔があった。バッタのような顔で、触角があり、赤くて丸い目がある。

バイクと言うよりは、まるで生き物だ。

 

そしてそこに跨る男。上下白い服装でまとめており、白のジャケットには所々黒いラインも。

何か嫌な予感がする。ブロバジェルは本能に従い、雷撃を男に向けて発射した。

だが既に男はシートを蹴っていたところ、空中に舞い上がった男は、一度手足を曲げて、直後思い切り突き出すように伸ばす。

屈伸に似た動き、すると男の腰にベルトが出現した。

 

そのベルトはVバックルではなく、『サンライザー』と言う。

 

 

「変――ッ! 身!」

 

 

黒い影がブロバジェルの頭部を踏みつける。

 

 

「ヌァァア!」

 

 

ブロバジェルを踏み台にして、黒い影は宙に舞い上がる。

老朽化によって崩れ、穴が開いた天井を抜け、影は屋根に着地する。

影は太陽と重なり、全身に太陽エネルギーを吸収。直後、有り余るエネルギーを発光と言う形で発散。

激しい光に、思わず目を覆う騎士やブロバジェル。

 

だがその中、龍騎とまどかは見る。

 

黒い――、勇者の姿を。

 

 

「バッドエンドギア、シルヴィス・ジェリー! 人の絆と想いを踏みにじろうとするお前を、俺は許さんッッ!!」

 

 

黒の勇者はビシッとブロバジェルを指差し、怒号を向ける。

その熱意、圧倒的な覇気に思わずブロバジェルは数歩後ろに下がった。

 

 

「な、なにもの! 騎士か!?」

 

「そう、正義! ブラックRXとは俺のことだ!」

 

「ブラックRXだとッ!?」

 

 

唸るブロバジェル。

そんな騎士のデータは聞いていない。

いや、魔獣の中でもナンバースリーと称されたシルヴィスがそれを知らぬわけが無いのだ。

では一体――?

 

 

「忌々しい! 我が配下たちよ! まずはアレを殺してしまえッ!!」

 

 

ブロバジェルの命令に頷くライアたち。

皆が一勢にカードや武器を構えるなか、突如現われたRXは拳を握り締め、ベルトにかざす。

 

 

「キングストーン! フラッシュッッ!!」

 

 

正義のスパークが放たれた。

赤い閃光が今まさに動き出そうとしたライア達を照らした。

 

 

「!!」

 

 

光が晴れる。

呻き、頭を抑えるライアたち。魔法少女達もしばらく呆気に取られた表情で固まっている。

 

 

「どうしたのお前達! 早くRXを殺しなさい!!」

 

「私は今まで何を……ッ?」

 

「なッ、もしや!」

 

 

ポツリと呟くほむら。

直後ハッとしたように表情を変え、盾から拳銃を引き抜くとブロバジェルの顔面に弾丸を容赦なく撃ち込んでみせる。

 

 

「ぐあぁあ!」

 

 

煙を上げて後退していくブロバジェル。

 

 

「いまだッ!」

 

 

それを好機と見たか。RXは地面を叩くと跳躍。バク宙をしながらも前に跳んでいき、そのまま両足を前に伸ばす。

 

 

「RXキック!」

 

 

ピポポポポポと特徴的な音が響き、RXの両足が赤く発光する。

そのまま大きなブロバジェルの頭部を蹴り飛ばすと、そこが爆発し、ブロバジェルは煙を巻き上げながら手足をバタつかせて飛んでいく。

 

 

「グゥウッ!」

 

 

ブロバジェルは工場の壁を突き破り、平地を転がっていく。

 

 

「おのれぇえッ! この私に傷を負わせるとは! 絶対に許さんぞ虫けらがァアア!」

 

「黙れ! お前達の企みは今日で終わりだ! リボルケイン!!」

 

 

RXサンライザーから発光する杖を引き抜く。

杖とは言うが映画に出てくるライトセイバーのようだ。RXはそのリボルケインを構え、平地へと降り立つ。

そこで後方からやって来るのはRXの相棒(マシン)、アクロバッター。

バイクでありながらも一つの意思を持っており、RXの呼び声無くとも自らが状況を把握して、シートにRXを乗せた。

 

 

「行くぞ、アクロバッター!」

 

 

リボルケインを構えたままバイクを走らせるRX。

しかしブロバジェルもまた拳を握り締めると後方へ跳躍。すると体から大量の触手が出現した。

触手の一つ一つにはスタンガンのようなアームが装備されており、一つ一つが高圧電流を纏わせた恐るべき凶器だ。

いかなる相手であったとしてもこのアームで貫き、電流を流せば黒こげだ。

 

 

「感電は良い! 苦しむさまを存分に見る事ができる! そして苦痛に呻く相手を焼き殺し、食らう事がどれほど愉悦なことか!」

 

「言いたい事はそれだけか!」

 

「なにッ!」

 

「覚悟しろ外道! それが貴様の遺言だ!!」

 

「ホホホ! 強がりを!」

 

 

前に出るブロバジェル。直後、その電球のような頭部が発光した。

するとRXに異変が起こる。まるで脳の中に手を入れられ、グチャグチャにかき回されたかのような感覚を覚えた。

 

 

「ヴァアァ!!」

 

「私の洗脳に抗える者はいない。さあ、お前も私の忠実な下僕となれ!」

 

「――ッッ!」

 

 

だが。その時だった。

不思議なことが起こった。

強力な洗脳波は確かにRXの脳内に届いた。しかし彼の中にあるエネルギーの源、キングストーンがその洗脳を打ち砕いたのだ。

偉大なるキングストーンの意思。いや、それだけではない。一番は洗脳に屈しないというRXの強靭な精神力であった。

 

 

「たとえ太陽が砕けようとも! この俺が邪悪な意思に屈する事だけはありえんッ!」

 

「なに!? わ、私の洗脳が利かない!? 何故だ!!」

 

「俺には正義の心があるからだ!」

 

「―――」

 

 

え? どゆこと? 沈黙し固まるブロバジェル。

しかしいけない、そうしている内にRXが迫ってくる。

ヒュンヒュンと音を立てて残像を見せる触手。

 

 

「この間を抜けるなど不可能! 黒焦げになれ! RX!!」

 

 

一勢に触手がRXに向かっていく。

 

 

「ダメ、危ない!」

 

 

思わず叫ぶまどか。

すぐに結界でRXを守ろうとするが――

 

 

「マクロアイ!!」

 

 

雨が降った。触手の雨、さらに触手から放たれる無数の雷撃。

次々と爆発が起こり、地面が割れ、火が吹き出る。

しかしその中をRXは全くスピードを落とさずに走り抜けていた。

馬鹿な、嘘だ、ありえない。ブロバジェルの言葉が早口に連呼される。

しかれどもRXは止まらない。いけない、このままでは――! ブロバジェルは触手のスピードを上げてRXを狙う。

が、しかし。

 

 

「ハッ! トゥア!」

 

 

存分にリボルケインを振るう。発光する杖が次々に触手を粉砕、切断していき、ブロバジェルは上ずった叫びを上げた。

 

 

「そんな事が! ありとあらゆる攻撃でも切断できぬと言われた私の触手が何故切れる!?」

 

「なぜか分かるかブロバジェル!」

 

「な、なぜだ!」

 

「俺の正義の心が、お前の悪しき刃に屈する事はないからだ!!」

 

「――ッ!」

 

 

………。

 

 

「?」

 

 

どゆこと?

ブロバジェルは冷静に考え『ん?』と首を捻る。

しかしそこで気づいた。RXが跳躍し、眼前に迫っていた事を。

 

 

「ぐあぁぁあぁぁああぁ!」

 

 

胴体に突き刺さるリボルケイン。

ブロバジェルの肉体を貫き、そこから火花をシュパーッと、シャワーのように噴かせた。

まるでロケット花火だ。RXは地面に着地すると同時に、より深くリボルケインを押し込み、ブロバジェルは後退しながら悲鳴を上げる。

 

 

「あ、ありえない! なんだこのパワーは!!」

 

「終わりだ! 魔獣ッ!」

 

「そ、それに何故ッ! なぜあれだけの攻撃を簡単にかわすことができたのだぁ!」

 

「マクロアイがお前の触手の軌道を俺に教えてくれたのさ!」

 

 

確かに触手は大量だ。

しかしそれらは自動でRXを狙うのではなく、ブロバジェルの意思により操作され動く。

いくらブロバジェルが猛者とは言え、触手を同時に動かし、猛スピードで移動するRXを狙おうとすると思考のプログラムに乱れが生じ、そこが僅かな隙となる。

 

 

「お前の触手同士が動く際に0.1秒ほど隙間ができた! 俺はそこをついたってワケだ!」

 

「なにぃ! そうか、私のミスで0.1秒の隙ができたのかぁ!」

 

 

………。

 

 

「え? どゆこと? それ隙って言わなくない?」

 

 

刹那、RXはリボルケインを引き抜き、ポーズを決める。

引き抜いた剣を大きく斜め上に振り上げ、そのまま両腕を旋回させ頭上であわせる。

その後、リボルケインを払うようにして右下へ。左腕は腹部の前に構える。

漢字で表すならば『一欠』に見えないことも無い。

 

 

「え? ずるくない? それッ、ズルくない!?」

 

 

一方で火花をシャワーのように噴き出しながら、ヨロヨロと後退していくブロバジェル。

体内にエネルギーが送られ、それが暴走する。

 

 

「ズルくなァアァァアァィイィィィィィイッッ!?」

 

 

両手を広げ倒れるプロバジェル。

直後大爆発が起き、魔獣は粉々に砕け散った。

 

 

「……す、すごい」

 

 

ポカンと口をあけているまどかと龍騎。

すると黒い騎士、ブラックRXは龍騎達のほうを見ながら変身を解除した。

 

 

「久しぶりだな。真司くん」

 

「え? あ、貴方は――ッ?」

 

「俺は(みなみ)光太郎(こうたろう)。かつて、キミと一緒に戦った事がある。何度もね」

 

 

そう言って光太郎は笑った。

龍騎も変身を解除し、曖昧な笑顔を返す。

なるほど、言われてみれば確かに真司は光太郎を見たとき、『なつかしい』人に会ったと思った。

しかし矛盾しているかもしれないが、真司は光太郎と会った記憶はない。

 

 

「事情は士くんから聞いたよ。大変だったね」

 

「は、はぁ……!」

 

 

不思議と頭が下がる。

頭をかきながら真司は照れくさそうに笑った。

 

 

「真司くん、まどかちゃん。少し話さないか」

 

「え? あ、でも」

 

 

振り返る真司。すると同じく変身を解除した手塚達が見えた。

 

 

「いい、行け城戸。俺達はもう大丈夫だ」

 

 

まだ少し頭がクラクラするのか、眉をひそめて手塚は真司を促す。

未知なる騎士との会合。確かに今は情報が欲しい。ここは真司とまどかが代表して光太郎の話を聞く事にした。

 

 

 

 

 

 

「どうぞ、食べてくれよ。戦った後だ、おなか空いてるだろ?」

 

「いいんですかぁ! 頂きます!」

 

「うわ、すっげぇ!」

 

 

話し合いの場所に選んだのは、ほむらの家だった。

今現在ほむらはマミと一緒に暮らしているため、ここには誰も住んでいない。

光太郎は話をする前にお近づきのしるしにと、料理を振舞ってくれる事に。テーブルの前には熱々の鉄板の上に置かれたステーキがある。

まどかは紙ナプキンをつけてナイフとフォークを装備。ニコニコと嬉しそうにしながら、ステーキを切っていた。

 

 

「おいしいかい、まどかちゃん」

 

「うん。おいひぃでふ!」

 

 

口いっぱいにステーキを詰め込んだまどかは笑顔で答えていた。

それを光太郎は嬉しそうに見ている。

 

 

「やっぱり子供は笑顔が一番だ。キミもそう思わないか? 真司くん」

 

「それは――、はいッ、もちろん」

 

 

強く頷く真司。そして光太郎を信用できる人物だと確信した。

一方で光太郎は自分が何者なのか。そしてなぜココに来たのかを少しずつ話し始めた。

 

 

「じゃあ、あなたは――」

 

 

全てを聞き終わったとき、鉄板の上に肉は無かった。

まどかは口を拭きながら、先程とは違い真剣な表情を浮べている。南光太郎は全てを話した。そしてその話は、心に重く響いている。

 

 

「俺は19歳の時にゴルゴムによってこの力を与えられた」

 

 

そしてゴルゴムを壊滅させた後、新たなる脅威、クライシス帝国との戦いの日々を迎えた。

それも終わり、クライシスは滅びた。だが、それでもまだ光太郎に終わりはない。

みなまでは説明することはなかったが、さすがの真司でも分かった。光太郎がゴルゴムによって誘拐されたのは19歳の誕生日だと言った。

そしてクライシス帝国との戦いが終わったのは20代。

 

だが今真司の前にいる光太郎は少なくとも40~50代に見える。

それだけの間、光太郎は戦い続けてきたのだろう。

 

 

「キミの世界はまどかちゃんの世界と融合したんだろう? それと同じように、俺達もまた何度も世界を超えて戦っている」

 

 

真司は忘却の魔女イツトリの力によってすべてを忘れている。

しかしそれでも、僅かな記憶は『思い出せた』。確かに、光太郎と遠いどこかで何度か一緒に戦った記憶がある。

真司は頭をかき、腕を組んで唸る。

 

 

「大ショッカー……。えぇっと、ヒーロー大戦。うーん!」

 

「俺が最後にキミと戦ったのは『創生の戦い』と呼ばれたものだよ」

 

 

時の列車に中で光太郎と真司は会合を果たした。

そして共に戦い、世界の平和を守ったのだ。

 

 

「だがまさかキミがこんな事になっていたとは……。驚いた」

 

「それは――。まあ、なんていうか、成り行きって言うか」

 

「後悔、しているのか?」

 

「え? 後悔?」

 

 

光太郎は達観したような表情を浮かべ、頷いた。

 

 

「巻き込まれなければ、良かったと」

 

「それは――」

 

 

そこで真司は息を呑む。

隣にいたまどかは、少し切なげな表情で真司を見る。申し訳ない、それが表情に浮かんでいる。

 

 

「………」

 

 

ループに巻き込まれ、途方の無い時間を戦った。傷つけあった。

もしかしたらそれは自分だけではないのかもしれない。世界を超越すれば時間の概念もまた狂う。

たった一日が一年と同じ長さになりうる可能性もある。それが世界と言うものだ。そして話を聞くに光太郎は世界を巡りながら戦いを続けてきた。

光太郎もまた、無限ともいえる戦いの中にいるのではないだろうか。

 

 

「あぁ、でもッ、悪い事ばかりじゃなかった」

 

 

真司はそう口にする。

確かに、ループは多くの苦しみを齎し、想像を絶する苦痛を味わった。

しかしそれでも、全てがマイナスではない。味わった希望、そして今に至る希望、己の中にある希望。それは、大きな価値のあるものだと思ってる。

 

 

「だから俺は、後悔してないし。まどかちゃん達と出会えてよかったと思ってる」

 

「……! 真司さん!」

 

 

嬉しそうに微笑むまどか。真司も頷き、光太郎を見た。

 

 

「それに俺はまだ、まどかちゃん達を、俺達を救えてない」

 

 

魔獣を打ち倒し、戦いを終わらせる。

それが達成されるまで、真司は終わらない。止まらない。

 

 

「俺は、死なない」

 

 

投げ出すわけにはいかないのだ。

それを見て、光太郎も強く頷く。

 

 

「そうか。そうだな。すまなかった、試す様なマネをして」

 

「え? 試す?」

 

「ああ。どうやらキミは、俺が知っている城戸真司だったようだ」

 

 

光太郎は立ち上がると、手を伸ばした。

 

 

「真司くん。俺は、最高の後輩を持った」

 

「後輩――ッ!」

 

「ああ。俺達には同じ(しゅくめい)が流れてる」

 

 

そして南光太郎には城戸真司の想いがよく分かる。

既に何があったのかを知っていた光太郎。戦いが苦しみを生み、悲しみを生んだ。

 

 

「俺も長く続く戦いの中で、くじけそうになった事はある」

 

 

怪人だけじゃない。人もまた『化け物』に変わる。

その中で、光太郎は、『光太郎達』は分からなくなっただろう。何が正義で、何が悪なのか。それは真司達も同じだ。

 

 

「だが目を閉じて考えたとき、俺には、愛の光が見えた」

 

 

それこそが、命を賭けて守るべきものだと理解した時から、南光太郎は諦める事を止めた。悩む事を止めた。くじける事を止めた。

真司も同じだ。まどかも同じだった。苦しい世界だ。辛い世界だ。それでも諦めたくない『想い』がある。価値のある『存在』がある。

だから――、『炎』は消えない。

 

 

「俺は、正義のために戦い続ける」

 

 

知ってしまった以上、光太郎がこの問題から目を逸らす事は絶対にできない。

人を無限に閉じ込め、まだ中学生の少女達を殺し合いのゲームに巻き込む。

 

 

「そんな魔獣を、俺は絶対に許すわけにはいかない!」

 

「俺もです!」

 

 

頷く真司。まどかもしっかりと頷いた。

 

 

「やられっぱなしで終われるほど、わたしは優しくないから!」

 

 

三人は手を重ね、気合を入れる。

 

 

「今日で終わらせよう。この腐ったゲームを!」

 

「はいッ!」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

そして一時間後。真司とまどか、光太郎は見滝原の外れにある廃墟となった教会に足を運んでいた。

割れたステンドグラスの中にいる女神は、悲しげな表情で眼下にいる『参加者』たちを見ていた。

ボロボロとなった椅子に座っていた秋山蓮は、周りを見て思わず笑みをもらす。

 

 

「まさかこんな簡単に全員が集まるとはな」

 

 

椅子に座っている者。物に座っている者。床に座っている者。階段に座っている者。

立っている者。壁にもたれかかっている者と、いろいろいる。しかし、それはそうだろう。

それほど広くもない教会ホールに31人もの人間が揃っているのだから。

 

 

「………」

 

 

たまたまオルガンの前に座っていた織莉子は、沈黙を切裂くように鍵盤に指を触れる。

それはまるで吸い込まれるような指を動きだった。『神崎士郎』と言う曲が不思議とあたまの中に浮かんできた。

調律もされていないオルガンだが、美しい音を上げ始める。

その中で、南光太郎は立ち上がり、強く叫んだ。

 

 

「インキュベーターにキミ達を招集してもらったのは他でもない。俺の存在、それがゲームの破綻を意味している!」

 

 

ゲームのルールと言う壁に守られていた見滝原に光太郎が来れたのは、当然、その壁が破壊されたからに他ならない。

魔獣は既にルールを突破している。それに光太郎はこの世界に降り立ったとき、激しい力の脈動を感じた。

 

 

「魔獣がそれだけの力を手に入れたなら、俺達が協力しなければ希望は無いぞ!」

 

「……今の話は本当ですか? キュゥべえ、ジュゥべえ」

 

 

手を上げたのは香川だ。

天使の石造の上に立っていたキュゥべえは頷いてみせる。

 

 

『ボクらも調査中だよ。でも、おそらく南光太郎の言うことは本当だろうね』

 

「おいおい、じゃあゲームは中止か? 冗談じゃないよ」

 

 

前のめりになる北岡。

 

 

「落ち着け、いずれにせよ戦っている状況ではないだろう」

 

 

腕を組み、目を閉じている榊原。

 

 

「だが彼が嘘をついている可能性もある」

 

 

肘をつき、上条は光太郎を見た。

 

 

「壁を崩壊させたのもその『ブラックさん』ってヤツの可能性もあるしねー」

 

 

キリカはヘラヘラしながら光太郎を見る。

 

 

「僕は……、英雄になれればどっちでも……」

 

 

隣で体育座りをしていた東條は小さく呟いている。

 

 

「いずれにせよ嘘であれ本当であれ、魔獣の力が強まったことに関しては我々参加者すべての問題でしょう?」

 

「ええ。ココは光太郎さんを信じて協力するべきだわ」

 

 

シザースペアはそう言うが、協力しましょうで協力できるほど簡単に済む連中ではない。

 

 

「いやでーす!」

 

「ヤでーす☆」

 

 

なんで知らないオッサンの言う事を聞かなければならないのか。

芝浦とあやせは欠片も迷う事なく一蹴である。

 

 

「俺もゴメンだな。クソガキ共と共闘なんざ反吐が出る」

 

「ごめんなウチのジジイ。この歳でコミュ障だから」

 

 

舌打ち交じりに飛ばす拳。

しかし高見沢の拳はニコに届いたものの、そのニコはボワンと音を立ててぬいぐるみに変わる。

本物のニコは高見沢から遠く離れた場所に出現。高くつまれた椅子や机の上に寝転んでいた。

 

 

「ままま、まあまあ! みなさん落ち着きましょーよ! 戦いたいやつは戦って、そうじゃないヤツは逃げる。それでどうです?」

 

 

ヘラヘラとしながら佐野はそう言いはなった。

お前は逃げる気だな。そんな視線を感じたのか、佐野は無言で座りなおす。

するとそこで、キュゥべえが口を開いた。

 

 

『少し勘違いをしているようだ』

 

「え?」

 

『ボクらは、ゲームを中止するとは一言も言っていないよ』

 

「はぁあ!?」

 

『魔獣と戦いながらでもゲームは続けられるよね?』

 

「な、何言ってんだよお前は! どう考えてもそんな状況じゃないだろ!」

 

「そうですわ! ありえません! 魔獣側がゲームを放棄してきた以上、運営はしかるべき処置をお願いします」

 

「ですですっ! 運営はちゃんとしてください!」

 

 

中沢、仁美、なぎさの言葉もキュゥべえには届かない。

キュゥべえはまだゲームを続ける気であるのだ。

 

 

「何を考えているの? 頭がおかしくなったのかしら?」

 

「公平であるのがゲームマスターの役割だと思うが?」

 

『ゲームはキミ達に成長を促してきた』

 

 

ほむらと手塚の眼光を受けてもキュゥべえは淡々と説明を続ける。

 

 

『そしてなにより、戦いを糧にしている者がいると言う事さ』

 

「!」

 

 

椅子が跳んだ。蹴り飛ばしたのは蛇のような眼光で辺りを見回す浅倉だった。

 

 

「その通りだ。戦えばいいんだよ、俺達は。最後の一人になるまでな……!」

 

「コッチはその為にココに来てんだ! 楽しませておくれよ!」

 

 

たいやきを齧りながら杏子は首を回す。

どうやらココで始めようというらしい。

 

 

「チッ、嫌な予感ほど当たるな!」

 

「まあ、予想はできてたけどね」

 

「もう、戦うしかないって感じ?」

 

 

立ち上がり、後退するサキ、美穂、さやか。

ピリついた空気が走り、一同は一勢にデッキとソウルジェムを取り出す。

 

 

「ヒャハハハハ! いいねぇ、つうかさ、こっちはもうゲームとか関係なしにアンタら殺したいワケ!」

 

 

変身し、リベンジャーを構えるユウリ。

榊原の制止を振り切り、ユウリは銃口を一同に向ける。

 

 

「蓮さんッ」

 

「ああ。話が早くて助かる」

 

 

同じくデッキをとソウルジェムを構える蓮とかずみ。

それを見て真司は体を震わせて、首を振った。

 

 

「ああもう! どうして毎回こうなるんだよ! お前らちょっとは落ち着けよ!!」

 

「真司くんの言う通りだ! 俺達は争い合ってる場合じゃない! なぜそれが分からない!」

 

 

光が迸る。一勢に変身していく騎士と魔法少女。

その中で光太郎もまたRXとなり、騎士に吼える。

 

 

「どうして悲しみを生むと分かっていて争いを促す? 俺達はもういい大人だろ! 大人は子供を守る! それが分からないのか!」

 

「別に守って欲しいとか、思ってないしぃ!」

 

 

ユウリはリベンジャーを発砲。RXの胴体から火花が散る。

 

 

「グッ!」

 

「殺し、殺され、キル、キララ! それがこの世界のルール!」

 

「やめるんだユウリちゃん! 俺達は同じ人間だ。手を取り合い、魔獣を倒すんだ!」

 

 

RXは一同の周りに立ち、必死に訴えた。

 

 

「傷つけあう事よりも笑いあう事の方がずっとずっと幸せなんだ!」

 

 

するとRXの全身にオラクルが直撃する。そのまま宙に舞い上がり、ステンドグラスに叩きつけられた。

 

 

「いずれにせよ、私の意志は揺るがない」

 

 

演奏を止め、立ち上がった織莉子はまどかを睨みながらそう言った。

一方破片を纏いながら落下するRX。龍騎とまどかの叫び声が教会に響く。

 

 

「大丈夫ですかッ、光太郎さん!」

 

「みんな酷いよ!」

 

 

涙目になりRXをかばう様に立つまどか。

一方で聞こえてきたのは笑い声だった。

 

 

「酷いのはお前の脳みそだよ!」

 

 

一蹴。

 

 

「大丈夫だ、まどかちゃん」

 

 

しかしその中でRXはしっかりと立ち上がった。

そして、気づく。ステンドグラスの下にシーツがかけられたテーブルが転がっているのだが、その僅かな隙間に緑色の影があった。

 

 

「ッ!」

 

 

見る。気づく。

それは縮こまり、ブルブルと震えているゆまの背中だった。

 

 

「こわいよぉ……!」

 

 

涙が零れる。

 

 

「キミは、ゆまちゃんか!」

 

「うぅぅ?」

 

 

振り返るゆま。

RXは彼女を抱きかかえると、優しく頭を撫でる。

 

 

「怖がらなくて大丈夫だ。キミは、ボクが守るよ」

 

「だ、だれ……?」

 

「ボクはRX。正義の味方だ」

 

「あーるぅ、えっくすぅ?」

 

「ああ。ゆまちゃんが笑って楽しく暮らせるように、この世界にやって来たんだよ」

 

「ほんとう?」

 

「ああ、本当さ」

 

 

しかし衝撃を感じる。背後では飛び交う魔法や砲弾をまどかが結界で防いでいる途中だった。

RXはそれを無言で見つめ、直後、まどかの肩を叩く。

 

 

「まどかちゃん。龍騎。ゆまちゃんを安全な場所に頼めるか?」

 

「できますけどッ、そしたら――」

 

「俺は大丈夫だ。だから頼む!」

 

「……はい!」

 

 

頷き、龍騎はRXからゆまを受け取り、まどかと共に教会の外を目指す。

しかし皮肉にも一番初めに教会を出ることとなったのはRXであった。腹部に衝撃が走り、教会の壁を破壊して外を転がっていく。

煙を巻き上げながら地面に膝をつくRX。その視線の先に、ゾルダがギガランチャーを構えて立っていた。

 

 

「アンタみたいな面倒なのはさ、城戸一人で十分なんだよ」

 

「ゾルダ! やめるんだ! お前には分からないのか!」

 

「あん? なにがよ」

 

「あんなに小さな子供が震えていたんだぞ!」

 

 

RXは拳を握り締め、強く、強く、叫んだ。

 

 

「怖いと怯えていたんだぞ!」

 

 

可哀想に。辛かっただろう。苦しかっただろう。

両親から暴力を受け、信頼できる人がいてもゲームがあるから疑心暗鬼になってしまう。

 

 

「そんな苦しみ、あんな小さな背中に背負わせていい筈がないッ!」

 

「だったら、終わらせてやればいい」『ファイナルベント』

 

 

ゾルダの前方に出現するマグナギガ。

そこに銃をセットして、ゾルダはエネルギーをマグナギガに集中させる。

 

 

「生きるって事は、面倒を多く背負わなきゃいけない」

 

 

死にたいなら死ねば良い。

そして、それでも生きたいなら生きれば良い。

 

 

「俺は、全てを潰してでも生きてみせる」

 

「ゾルダ――ッ! ヴぁぁぁぁあぁあああ!!」

 

 

エンドオブワールドが発動され、大量の弾丸が発射。爆発の中にRXは消えていく。

 

 

「これでまず一人、目障りなのが消え――、ん?」

 

 

動きを止めるゾルダ。

なんだ? 爆煙のなかに一つ、影が見えた。

そして気づいた。煙の中――、しっかりと立っている光の戦士がいる事に。

 

 

「なにッ!」

 

「!!」

 

 

他の参加者もその光景を確認し、思わず足を止める。

ゾルダのファイナルベントは有名だ。周囲を粉々に破壊して見せる大技も大技。

しかしそれを受けて、目立った傷一つ付いていない戦士がそこにいたのだから。

 

 

「誰だお前は!」

 

 

ゾルダはエンドオブワールドをRXに向けて発射した。

しかし、爆煙から現われたのはRXではなかった。黒いカラーリングは同じだが、装甲の一部がオレンジ掛かった黄色になっている。

赤い複眼。そこからはまるで涙のようなラインが見えた。

 

 

「俺は悲しみの王子!」

 

 

右腕を左肩の前に構え、右下に振り払う。

 

 

「アールッ、エックス!」

 

 

左肘を曲げ、拳が天に向むける。そして腕を振るい、拳が左に向けられるように構えを取った。

 

 

「ロボライダー!」

 

 

光の戦士、輝く戦士がそこにいた。

燃えるような瞳に見つめられ、ゾルダは一歩後ろに下がる。

 

 

「チッ! なぜだ、俺のファイナルベントが!」

 

 

マグナバイザーの引き金をひき、銃弾を連射するゾルダ。

銃弾は問題なくロボライダーに届くのだが――。

 

 

「ゾルダ」

 

「!」

 

 

カンッ! カンッ! カンカンカンカン。

そんな音を立てロボライダーは銃弾を全身に受けていく。当然銃弾は装甲に弾かれ、ロボライダーはそのままカチャカチャと音を立てながら前進していく。

 

 

「そんな馬鹿な!」『シュートベント』

 

 

ギガキャノンを背負い、ゾルダはエネルギー弾を発射する。

それは一直線にロボライダーへ直撃する。

 

 

「やったか!」

 

「………」

 

 

ロボライダー、無言で前進。

 

 

「やってない! クソ! なんでだ!」

 

 

ゾルダは弾丸を連射。しかしカン、カン、バチュン、カン、ガキンッ。

そんな音。ロボライダー前進。

 

 

「おいおいおい冗談だろ!」『シュートベント』

 

 

ギガランチャーを呼び出し弾丸を発射する。

するとRXはまるで小バエを払うように手を振った。すると手の甲に弾丸が当たり、いとも簡単に弾かれる。

 

 

「――まじ?」

 

 

あまりの衝撃でゾルダは棒立ちになり、持っていたギガランチャーを落とした。

 

 

「悪人のフリは止めろ、北岡秀一」

 

「なに……!」

 

「燻るお前の心では、力の炎は燃え上がらないぞ!」

 

「……ッ」

 

 

息を呑むゾルダ。

一方でロボライダーの背後にヘラヘラと笑うガイが立つ。

 

 

「へえ、アンタ硬いんだね。おれ、そーゆーの見るとぶっ壊したくなるって言うか?」『ファイナルベント』

 

「うん! バキバキのグチャグチャにしようね♪ 淳くん!」『ユニオン』『ファイナルベント』

 

 

あやせはソウルジェムを二つ構えてフォームチェンジ。

アルカに変わると、炎の氷のサーベルを二刀流にして地面を蹴った。

同じくメタルゲラスの肩に足を置くガイ。アルカもメタルゲラスの肩に乗り、それぞれは武器を突き出す。

 

 

「「トリプルビークス!」」

 

 

猛スピードで走るメタルゲラス。

直後、ホーンが。剣が。ロボライダーの体に突き刺さる。

バキバキバキッ! ズガンッ! バリン!

硬いものが砕ける音が聞こえる。もうダメだ! それを確認したまどかは目を覆い――。

 

 

「あれ?」

 

 

二度見。

着地するガイとアルカ。ふたりは目を見開き、粉々になった自分の武器を見ていた。

 

 

「あれ? 淳くん? あれれ?」

 

「芝浦淳! いい加減に目を覚ませ!」

 

「や、やばいッ!」

 

 

後ろに下がるガイ。アルカも追従し、追跡を阻むために掌から強力な火炎放射を発射する。

 

 

「黒焦げになっちゃえ!」

 

 

視界を覆いつくす紅。ロボライダーに逃げ場はない。

すぐにその全身を業炎が包み込んだ。

 

 

「おまけをやるよッ、オッサンンン!!」

 

 

炎に包まれるロボライダーを中心にして三角形の魔法陣が展開する。

ユウリは舌なめずりを行いながら、魔法陣に魔力を込めていく。

 

 

「脳みそブチまけろォオ! イル・トリアンゴロッ!」

 

 

魔法陣が大爆発を起こす。

衝撃、轟音。爆煙。

そしてその中から綺麗なロボライダーが。

 

 

「はぁああああぁああぁあッ!?」

 

「えぇえぇえええええええッ!?」

 

 

驚きで目が飛び出すユウリとアルカ。

確実に黒こげとなり、木っ端微塵になったはずだが、ロボライダーは攻撃を受ける前と何らかわりない状態だった。

それもその筈である。なぜならばロボライダーには別の称号がある。

 

それは『炎の王子』だ。

その言葉どおり、ロボライダーは自身に降りかかる寝るエネルギーに強力な耐性を持っており、さらには『吸収機能』まである。

 

 

「ボルティックシューター!」

 

 

ロボライダーが腿の部分に手をかざすと、そこに光線銃が出現。

銃口を天に向けて、ロボライダーは吸収した熱エネルギーをすべて放出する。

 

 

「サンシャインシュート!」

 

 

文字通り、太陽が発射された。

大きな大きな太陽。視界を埋め尽くすオレンジ。

ユウリは鼻水を噴き出し、アルカはだらしなく口を開けて立ち尽くしている。

 

 

「ひえぇえ!」

 

 

インペラーは腰を抜かし、ガイもまた無言で後退していくのみ。

おかしい。何かが違う。純粋なパワーだけじゃなく。なにか、こう。

しかし気にならないものもいる。むしろ今の威嚇射撃で火がついた男がいたようだ。

まず一人。ベルデだ。クリアーベントで透明になると、気配を殺しながらロボライダーの背後に移動。そしてファイナルベントのカードを発動する。

 

 

「甘ちゃん野郎が。後悔させてやる」

 

 

木の上にバイオグリーザが出現、舌を伸ばし、同時にベルデは地面を蹴る。

 

 

「ハァアアアアアアアアアア!!」

 

 

舌がベルデの足に巻きつき、振り子のように勢いをつける。

猛スピードで空中を疾走し、ベルデはロボライダーに掴みかかる。

 

 

「へし折ってやるぜ、そのく――」

 

 

想定外その1。

ベルデはロボライダーを持ち上げられる自信があったが、そんなものはただの気のせいだった。

掴んだはいいが、重い、硬い、持ち上げられない。

 

想定外その2。

勢いが強く、持ち上げられなかったから――。

要するに『人間が地面に生えている電柱に向かって頭を地面に向けて突っ込んだ』と言うわけの分からない状況を想像してもらえば分かりやすいか。

自分から鋼鉄の棒に突っ込んだらどうなるか。

 

 

「あべちッッ!!」

 

 

ガンッと音がしてベルデはロボライダーに弾き飛ばされ地面を転がった。

高見沢氏の名誉のために言っておくが今の間抜けな言葉は出したくて出したわけじゃない。

あまりの衝撃と全身を強打した痛みから勝手に漏れたのである。

 

 

「?」

 

 

ロボライダーからしてみれば、なんか勝手に透明なヤツが飛んできてぶつかって弾かれて実体化して地面を転がってきたのだ。

なんのこっちゃである。

 

 

(だっせぇ……)

 

 

教会の屋上で寝転び、静観を決めていたニコは自らのパートナーの醜態を見てため息を漏らす。

ベルデは転がったまま動かなくなったが、もう一人、敵意をむき出しにしている男が。

 

 

「アァ……! なかなか良いぜお前ェ。壊したくなってきた」『ソードベント』

 

「お前はッ、浅倉威か!」

 

「名前なんてどうだって良い。大切なのは、戦う気があるか無いかだろ?」

 

 

ベノサーベルを構え、王蛇は気だるそうにロボライダーの前に出る。

直後肩を大きく揺らし、地面を蹴った。

 

 

「ハァアア!」

 

 

思い切りサーベルを振り上げ、直後、存分に振るう。

ロボライダーに直撃するサーベル。直後、バキンと音を立ててベノサーベルは砕け散る。

 

 

「オォ……! 良いぜェ、そうでなくちゃつまらんからなァ!」『ストライクベント』

 

 

ベノサーベルの残骸を投げ捨て、メタルホーンを構える王蛇。

思い切り武器を突き出し、角でロボライダーの首を狙う。

しかし首もまたロボ。メタルホーンの角は粉々に砕け散り、無効化される。

 

 

「アァア……!」『スイングベント』

 

 

エビルウィップを振るい、首を絡め取る王蛇。

ロボライダーは鞭を掴むと、直後簡単に引きちぎった。

 

 

「あの、なんか、俺もちょっと傷つくなアレ」

 

 

そんな簡単に千切れるものじゃないんだけどな。

結構頑丈なんだけどな。ライアは寂しげな視線で戦闘の光景を見ていた。

そこで赤い影が飛び出す。杏子だ。蛇のような眼光でロボライダーを見ながら大量の槍を投げ飛ばしていく。

 

 

「浅倉ァ! アタシも混ぜろよ!」

 

 

迫る赤い閃光。

次々にロボライダーに命中していき、次々と破壊されていく。

 

 

「ああムカツク! 消すぞアレ!」『ユニオン』『ファイナルベント』

 

「アァァ、消えろ……!」『ファイナルベント』

 

 

ベノスネーカーと槍が融合し、巨大な棍棒に変わる。

杏子はそれを思い切り振るい、ロボライダーに直撃する。

バキンッ! と音がして、棍棒が砕け散った。

 

 

「まじかよ」

 

 

素。杏子はポカンと口をあけて呟いた。

融合が解除され、砕けた槍と白目をむいているベノスネーカーが転がっているのが見えた。

 

 

「いい加減にしろ! 俺達で戦ってどうする! 今こうしている間にも魔獣は俺達をみて笑っているかもしれないんだ!」

 

 

正解である。

星の骸のホールでは巨大なモニタにてその光景を閲覧し、魔獣は楽しげに笑っていた。

 

 

「愚かな人間共め、この状況でまだ争いあうとは」

 

 

イグゼシブの言葉に賛同の声が上がる。

 

 

「所詮サルの進化系だろォ? 当然だぜ、馬鹿は一生なおらねぇってなぁ!」

 

 

首をカクカクと動かしながらゼノバイターは笑っている。

 

 

「無限を繰り返し、無限に死んでいく。お似合いだとは思いませんか? フフフハハ!」

 

 

バズビーが笑う。

一方でロボライダーは叫んでいた。吼えていた。

すべては未来を手に入れるために。

 

ロボライダーがこれだけの実力を手に入れたのは、それだけの想いがあったからだ。なにもはじめから『こうだった』ワケじゃない。

ロボライダーになれたのは、大切な人を目の前で失ったからだ。それは偽りではあったものの、あの時に感じた感情は本物だった。

だからこそRXはその力を手に入れた。二度と、あんな悲しみをくり返さないようにだ。だからこそ悲しみを超える力を授かったのだ。そしてそれを使い続けることの意味。

 

 

「お前達には見えないのか! ゆまちゃんが流した涙が!」

 

「………」

 

 

教会の影で見ていたナイトはジッと、ロボライダーを見ている。

 

 

「こんなに小さな子供が泣いているんだぞ! お前達は本当に何も感じないのか!!」

 

 

ロボライダーは吼えた。叫んだ。

 

 

「大人が子供を守れなくてどうする! 子供の未来を守れずになにが大人だ!」

 

 

悲しいとゆまは泣いていた。

 

 

「手を差し伸べられなくて、何が大人だ!」

 

「!」

 

「いい加減に目を覚ませ! 彼女達のピンチを誰が救うと思っている!」

 

 

ロボライダーはベルトに手を添えた。

 

 

「キングストーンフラッシュ!!」

 

 

激しい光が巻き起こった。それは、誰もが確認しただろう。

赤い光が辺りを包む。

 

そのとき、不思議なことが起こった。

 

浅倉や芝浦の心に、熱い何かが流れ込んでくる。

分かるだろうか? 南光太郎の熱い想いが伝わっただろうか。

正義を尊び、平和を願う男の炎が燃え移っただろうか。

 

 

「目を覚ませ!」

 

 

お前達は――『      』だろう。

ロボライダーの『想い』が、参加者の胸を貫いた。

 

 

「ボランティアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

両手と両足を思い切り伸ばして立ち上がった王蛇。

目を丸くして固まる杏子。その肩にそっと、優しく手をおいた。

 

 

「あ?」

 

「アァ、佐倉杏子。おなかが空いていないか?」

 

「は? え? いやッ、今は別に」

 

「たい焼きを召し上がると良い。食うかい? 食うか? 食え」

 

「もが」

 

 

鎧の隙間からたい焼きを取り出すと、王蛇は杏子のお口へスロットイン。

 

 

「おいしいかァ? ンンン、まだあるぞ。もっと食べるといい」

 

「いやッ、だからモガっ! ちょ、モガガッ! いやだからさ、もがががが!」

 

 

数分後、たい焼きを過剰摂取し、バランスボールのようにまん丸になった杏子はコロコロと地面を転がっていった。

 

 

「おなかがいっぱいになると嬉しいな。アァア、ボランティアァァ……」

 

「だれあれ」

 

 

アルカがガイの肩を揺する。

すると――。

 

 

「ボランティアーーーッッ!!」

 

「きゃあ!」

 

「みんな、今すぐ戦いを止めよう! だっておれ達は――!」

 

 

頷きあうガイと王蛇。

 

 

「愛と!」

 

「平和と」

 

「自由を守る! 騎士なんだから!」

 

「先生ッ!? アンタもかよ!」

 

 

王蛇、ガイ、ゾルダは集まって肩を組むとサムズアップを一つ。

おかしい、こんなミラクルな連中だったろうか?

一部の人間が訝しげな視線を向ける中、ニコは立ち上がり、倒れているベルデのもとへ。

 

 

「おい起きろ。いつまで寝てるの?」

 

「ありがとう。優しさをありがとう」

 

「……は?」

 

 

ニコの手を取り立ち上がったベルデ。

なんだかキラキラしているのは気のせいだろうか。

 

 

「俺の心に感謝が湧きあがってるんだ。ありがとうニコ。ありがとう世界。ありがとう俺。マジ感謝」

 

(こいつこんなんだったかな……)

 

 

まあいいか。ニコは特に気にすることなく周りを見てみる。

 

 

「ボランティアー」

 

 

ユウリ。

 

 

「ボランティアー」

 

 

キリカ。

 

 

「エーユー」

 

 

東條。

 

 

「なんか鳴き声みたいになってっけど大丈夫か……?」

 

 

あの光はヤベェ光だったんじゃないかと一瞬思う。

 

が、しかし、そこで携帯が震える。

レジーナアイがキングストーンフラッシュの分析を終了させたのだ。

そこで気づいた。その役割は『活性化』である。

 

人と魔獣の違いが何か分かるだろうか。それは誰もが内包する感情が『黒』だけではないという事だ。

たとえ99.9%が悪意に塗れている浅倉だったとしても、誰かに食事を差し出せるだけの『優しさ』は持ち合わせている。

それが人間だ。それが人間の証明だ。それこそが人間の宿命である。

 

人は機械にはなれない。

獣に近づけても、獣ではない。人として生まれた以上、心を持つことからは逃げられない。

そこにある善意を、キングストーンフラッシュは刺激したのである。

 

 

「!」

 

 

だが、そこでロボライダーの身にオラクルが命中する。

カン、と音を立ててオラクルは弾かれ、粉々に砕ける。

美国織莉子はそれを見て、表情を歪めた。

 

 

「私は、納得いかない――ッ! 協力はできない!」

 

「ッ」

 

「そこにいるのはいずれ全てを飲み込む絶望の魔女! 私は来るべき災悪を阻止するべき使命がある!」

 

 

織莉子はまどかを指さした。

複雑そうな表情をして、まどかはうつむく。

 

 

「ダメだよ織莉子ちゃん。友達が争いあっちゃ。ほら、たいやきを食べて落ち着こう」

 

「おれたちは皆友達じゃないか」

 

「エターナルフレンドフォーエバー。マジ感謝」

 

「お前らは少し黙ってろ! 今あっちは真面目な話をしてんだよ!」

 

 

ニコは王蛇とガイとベルデをバールで叩くと気絶させて引きずっていく。

一方でロボライダーは頷き、諭すような声色で織莉子と対話を行う。

 

 

「そんな事はさせない。それに、キミがやろうとしている事は間違っている」

 

「なにを――ッ!」

 

「大義名分を立てても、傷つけあって得る平和には必ず悲しみが残る。そんな想いを背負う必要はない」

 

 

それはロボライダーの切なる願いであった。

 

 

「キミ達は、ただ日々を笑って過ごせばいい。悩むのはテストの事だとか、恋の事。友達と寄ったファストフード店でメニューを決める時で良いんだ」

 

 

殺し合いの苦しみ。絶望に食われる痛み。戦う事の哀しみ。

 

 

「それを知るのは――、背負うのは、俺だけでいい」

 

「……ッ」

 

「安心してくれ。光がある限り俺は不死身だ。この星を、世界を、悪の手から守って見せる!」

 

 

ロボライダーはRXにフォームチェンジ。

そして再び、キングストーンフラッシュを空に向けて放った。

 

その時、不思議なことが起こった。

 

RXの悪を憎む正義の心が、次元の壁を破壊し、見滝原と星の骸を繋いだのだ。

 

 

「は?」

 

 

目を丸くする魔獣一同。

 

 

「見つけたぞ! 魔獣! お前達はこの俺が許さんッッ!!」

 

 

RXは強く地面を叩くと、跳躍。

前宙であけた穴に飛び込むと、星の骸ホールに足を踏み入れた。

 

 

「ばばばばば馬鹿なァアア!!」

 

 

ざわつくホール。

当然だ。つい先程までモニタで参加者を嘲笑していたのに、なんか画面から変な黒いのが飛び込んできたのだから。

しかしすぐに戦闘態勢になり殺意を解放する魔獣たち。考えてもみればコレは大きなチャンスでは?

なにせ龍騎たちが戸惑っている間に穴は塞がっていく。となると、ここにはRXが一人だけ。

一方で周りには大量のバッドエンドギアや従者達。

 

 

「ハハハ! 自ら敵陣に飛び込んでくるとは馬鹿なヤツ!」

 

 

バズビーは体を震わせ、バズスティンガーブルームへと。

他の魔獣達も次々に怪人体となり、RXを囲んでいく。

 

 

「絶望に溺れ死ね!」

 

 

バズスティンガーたちは一勢に矢を放ち、それらは空中を切裂いて次々にRXに突き刺さっていく。

 

 

「ヴァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ははははは! 終わりだ!」

 

 

咆哮を上げるRX。

しかし魔獣たちは一つ勘違いをしていた。今のは苦痛に叫ぶ断末魔ではない。

怒りを乗せた、気合の咆哮なのだ。

 

 

「!?」

 

 

その時――、不思議なことが起こった。

矢で全身を刺し貫かれたRXの体が『溶けた』のだ。

青い液体となったRXはそのまま空中を疾走して辺りを駆け回る。

 

 

「ぐあぁあ!」

 

「うぁああぁ!」

 

「がぁぁあ!」

 

「ぎゃああ!」

 

 

魔獣達の悲鳴のオーケストラ。

水色のゲルはバキンバキンと突進で魔獣たちに衝突しながらダメージを与えていく。

上層部にいる魔獣もまとめてなぎ払い。ゲルはそこで一つの人型に実体化する。

 

 

「だ、誰だ貴様は!」

 

 

蝉堂が吼える。

すると戦士は魔獣達のほうを見る。青いボディに赤い目、赤いライン。

マスクをつけてサングラスをかけた、『殺し屋』のような仮面だった。

 

 

「俺は怒りの王子!」

 

 

戦士は両手を開いて左右に広げる。

 

 

「アール! エックス!」

 

 

そして右手を左肩の上から右斜めに払い、左手は肘を曲げて拳が天を向くように払った。

 

 

「バイオ!」

 

 

握っていた拳を再び開き、腕をふるって右腕を前方に突き出し、左手は肩の上に。

 

 

「ライダー!」

 

 

そして指を振るい、手を広げて爪を立てる。その時、カチャリと音が鳴った。

さあ、バトルOhアールエックス。バイオライダーは再びゲルになるとウヨンウヨンウヨンと音を立てながらホールを駆け巡る。

 

 

「撃ち落とせ! ヤツを串刺しにしてやる」

 

 

バズスティンガーや従者はありったけの矢とレーザーを放ち、ゲル状になったバイオライダーを狙う。

 

 

命中! しかし液体なので、すり抜ける。

 

再び命中! しかし液体なので無効化!

 

三度命中! しかし液体なので特に意味はない!

 

四度と命中! しかし(略

 

 

「「「「「弾 が す べ て ヤ ツ の 体 を す り 抜 け て し ま う ぞ !」」」」」

 

 

「切ってみればどうか!」

 

 

ウヨンウヨンウヨンウヨンウヨン

 

 

「があああああああああああ!」

 

 

無効化!

 

 

「叩け! 粉砕するのだ!」

 

 

ウヨンウヨンウヨンウヨンウヨン

 

 

「ぐああああああああああああ!」

 

 

無効化!

 

 

「俺様のエネルギーで蒸発させてやるぜい!!」

 

 

ウヨンウヨンウヨンウヨンウヨン

 

 

「ダメだァアアアアアアアア!!」

 

 

無効化!

 

 

「切り札を使う! 魔獣をエネルギーを集合させて存在ごと消し去ってやる!」

 

 

ウヨンウヨンウヨンウヨンウヨン

 

 

「すり抜けチャッタァアアアアアアアア!」

 

 

無効化!

 

 

「液体を微粒子レベルで分散させればあるいは――」

 

 

ウヨンウヨンウヨンウヨンウヨン

 

 

「ヤメテェエエエエエエエエエエエエエ!!」

 

 

無効化!

さらにゲルは魔獣達からめとり、一箇所に集めると実体化。

バイオライダーが手を腰にかざすと、つばの無い日本刀のようなブレードが出現した。

 

 

「バイオッ! ブレード!」

 

 

さらに続いてバイオブレードが青白く発光。

必殺エネルギーが纏った。スパークカッター。

そのままバイオライダーは怯んでいる魔獣達をバッタバッタと切り伏せていく。

 

 

「勝てるかこんなモンンンンンンンンンン!!」

 

 

誰かの断末魔が聞こえた。

エネルギーをまとって倒れる魔獣たち。

一方でバイオライダーは両手を広げ、地面に膝をついて構えを取った。

大爆発。

 

 

「ぐあぁああ!」

 

 

爆風に揉まれ転がるバズビー。

気づけばホールにはバズビー、イグゼシブ、ゼノバイター以外の魔獣が爆散していた。

 

 

「ひ、ひぃぃい! なんだアレは! 魔獣が一瞬で!!」

 

「や、ヤツは化け物か!!」

 

「ざけんじゃねぇ! 俺ァ逃げさせてもらうぜ!」

 

 

ゼノバイターは踵を返して走り出した。

 

 

「に゛がさ゛ん゛!」

 

 

濁点交じりの咆哮でバイオライダーはゲル化。

高速でゼノバイターのもとへ辿りつくとゲルで縛って、バズビーとイグゼシブのところまで持っていく。

 

 

「は、はなしやがれぇえ!」

 

「悪は俺が許さんッ! 断じて許さん!!」

 

 

さらにそのままゲルのロープとなりて三人を縛り、一直線に並べた。

そこで再び実体化。しかれども現われたのはバイオライダーではなくリボルケインを構えたRXだった。

どうやら高速でフォームチェンジを行えるらしい。

RXはそのまま、並んだ三人にリボルケインを突き入れる。

 

 

「ぎゃああああああ!」

 

「ぐああぁぁあぁあ!」

 

「うわぁあああああ!」

 

 

イグゼシブの腹部から突き入ったリボルケインはそのまま背を貫いてバズビーに命中、そして貫通するとゼノバイターをもしっかりと貫いてみせる。

団子のように重なった魔獣たちからは激しい火花が噴き出した。一方でRXは地面を踏み込み、よりリボルケインが体内に入るように押し込んでいく。

 

 

「外道たちよ! お前達の企みはこのブラックRXが阻止する!」

 

「なん――ッ! ズァアァアァアァァアッッ!」

 

「地獄に堕ちろ!」

 

 

リボルケインを引き抜くと、RXはゆっくりと構えを取る。

一方で花火のように火花を噴き出しながら倒れた三体の魔獣。

そして大爆発。崩壊していく星の骸の中で、RXはアクロバッターに乗り込み、再び次元の壁を破壊する。空が割れ、世界の破片と共に着地するRX。

 

 

「す、すごい! 魔獣をぜんぶ倒しちゃった!」

 

「あ、ああ! すげぇ! 凄すぎる!」

 

 

拳を握り締め、頬を上気させるまどかと龍騎。

 

 

「なにあれ、強すぎてメチャクチャなんだけど。ふざけてるのアイツ」

 

「………」(魔獣裏切っといてマジで良かった……!)

 

 

隅の方で、体育座りをしながら小巻と下宮は肩を並べながら汗を浮かべていた。

 

 

「あ、あれが――ッ!」

 

 

そこで龍騎は言葉を止める。

今、頭の中に何かが浮かんで――。

 

 

「やったなRX!」

 

「これで世界に平和が戻ったぞ!」

 

「俺達の勝ちだァ」

 

「だから誰だよおめーらは!!」

 

 

駆け寄る王者達にニコは叫ぶ。

だがその時だった。白い光線が王蛇やガイを貫いたのは。

 

 

「!?」

 

「ぐあああぁ!」

 

 

光が王蛇を包むと、瞬時、一枚のカードに変わる。

そして光線は次々に飛来していき、的確に参加者達を捉えていく。

 

 

「な、なんだこ――」

 

 

ニコはレジーナアイを起動させようとするが、その前に光線が命中してしまう。

 

 

「――ヵ」

 

 

光線が当たった瞬間意識が遠のき、気づけばニコは一枚のカードになっていた。

カードの中にニコが閉じ込められる形になる。それが無数に空中に浮遊していた。

逃れたのは計5人。龍騎、まどか、ナイト、かずみ、そしてバイオライダーである。

 

 

「な、何が起こって――ッ!?」

 

「くっ! 大丈夫かかずみ!」

 

「うんッ、わたしは大丈夫だけど……!」

 

「一箇所に集まるんだ!」

 

 

集合する一同。

すると空間が割れ、一人の男が姿を見せた。

 

 

「お前はッ! ギア!!」

 

 

魔獣を統べる頂点の存在、歯車を王冠にした化け物はゆっくりと龍騎達のほうへと歩いていった。

 

 

「ブラックRX。お前の存在は記憶している。ゆえに、お前がココに来たのか」

 

「ッ、なにを言って――」

 

「無限の輪廻が無数のソウルジェムを生み出し、私はそれに果実を加えた」

 

 

しかしそれだけでは力は完成しない。

一つ、大きな外的要因を加えなければならない。

 

 

「我々の世界と、城戸真司の世界が融合した際、ある欠片が入ってきた」

 

 

そこに、すべては記憶されていた。

 

 

「創生の戦い。RX、お前は覚えているはずだ」

 

「まさかッ!」

 

「その通りだ。城戸真司の中に創生王と戦ったデータが入っていた」

 

 

素晴らしい力だ。ギアはそれを見たとき、歓喜した。

世界にはこれほどまでに多種多様なる力があるものかと。そしてそれを使えばより多くの絶望を収集することができる。

なによりも、すべての世界を絶望で染める事も可能なのではないか。

 

 

「魔獣は人の負より生み出た存在だ。成長の種は人がいる限り存在することになる」

 

 

世界は無数に存在している。

今もまた世界が世界を生み出し、宇宙のように広がっていく。

 

 

「やがては全てを生み出す"神なる世界"をも手に入れ、私は神の存在へと至るのだ」

 

 

ギアが大量のソウルジェムと果実を使い作ったのは、『キングストーン』である。

龍騎の記憶の中にシャドームーンと言う戦士と戦ったデータがあった。それを解析、独自に判断し、ギアはレプリカを作り上げたのだ。

月のキングストーン。太陽のキングストーン。そして、それを真似しは冥王のキングストーン。ギアはそれを使い、変身を行う。

 

 

「!」

 

 

黄金の鎧には無数の歯車が見える。

そして仮面はRXの記憶の中にある『ブラック』や『シャドームーン』に酷似している。

黄金をベースにし、白い複眼。黒いクラッシャー。

凄まじい力が溢れ、RXたちは後ろに下がる。

 

 

「我が名は、ダークプルート。これより世界の支配を開始する」

 

「ダークプルートだと!」

 

「そう。まずは手始めに龍騎、貴様らの力の根源であるカードを頂こう」

 

 

拳を握り力を込める。

するとカードにされた参加者たちが一勢にダークプルートに吸い込まれていった。

 

 

「みんなッ!」

 

 

手を伸ばす龍騎だが、もう遅い。

一同はダークプルートの中に吸い込まれ、力の一部となる。

 

 

「フム。まだ抵抗するか」

 

 

しかしスパークが巻き起こる。

カードになっても個々の力の主張が強い。完全な融合までにはまだ時間が掛かるようだ。

 

 

「だがいずれヤツらは私の力として消え去る。お前たちもすぐに取り込んでやろう」

 

 

凄まじい力を感じる。力を取り込んだ直後だ。暴走しているのだろう。

ましてやRXはマクロアイを使用。ギアの背後に、大きな力を視た。

 

 

「いかんッ! ライドロン!!」

 

 

どこからともなく高速で現われたのはRXのビークルマシン、ライドロン。

赤いカラーリングのマシンは龍騎たちを光に変えて中に乗せると、そのまま猛スピードで走り去った。

 

 

「ほう、気づいたか。まあいい」

 

 

マントを翻すダークプルート。

いずれにせよ真司の性格を察するに激突は近いうちにやって来る事を察していた。

 

 

「次に会ったときがお前達の最期だ。フフフ……!」

 

 

 

 

 

 

 

もう使われていない線路があった。

そこにライドロンは停車している。

 

 

「………」

 

 

まどかとかずみは体育座りで、パチパチと燃える焚き火を見ていた。

先程までは30人全員がいたはずなのに、まさか5人まで減ってしまうとは。

一方で真司と蓮、光太郎は少し離れたところで今後の事を話し合っている。

 

 

「とにかくッ、みんなを助けないと!」

 

 

落ち着きなくウロウロと歩き回っている真司。

一方で蓮は地面に座り、鼻を鳴らした。

 

 

「どうして助けに行く必要がある」

 

「はぁ? な、なんでってお前ッ、美穂も手塚も! マミちゃん達だって捕まったんだぞ!」

 

「あのまま放っておけば、ライバルが消える。違うか?」

 

「お前ッ! 本気で言ってんのかよ」

 

「キュゥべえ!」

 

 

蓮の言葉に反応して、ライドロンの上に二つの影が見えた。

 

 

『その通りだよ秋山蓮。まだゲームは続いている。参加者が消えれば、それは死とみなされる』

 

『だがお前も知っているとおり、ギアのヤローは力を手に入れた。メンドクセー事にそれはインキュベーターの力を超えるかもしれない』

 

 

つまり『ギアを消したい』と願っても、消せるかどうかは分からない。

 

 

『尤も、それはヤツがもっと力を手に入れてから。つまり取り込んだ参加者共の魂を力の養分にした時だ』

 

「つまりそれまでに決着をつければ、ゲームは終わるわけか」

 

『ああ、幸運な事に、残り二組の状況だぜぇ?』

 

「――城戸」

 

「蓮! 俺は戦わないからな!」

 

「それはお前が決める事じゃない。俺が決める事だ」

 

 

デッキを構える蓮。その表情からは焦りが見て取れる。

当然だろう。蓮は苦しい状況に立っている。一刻も早く願いを叶えなければならない状態にあるのだ。

だが、しかし。

 

 

「ダメだ。戦っちゃいけない」

 

「!」

 

「俺の前で傷つけあう事は、見逃せないな」

 

 

真司を庇うように立った光太郎。

蓮は舌打ちを交え、光太郎を睨む。

 

 

「どけッ!」

 

「友達なんだろう? 真司君とは」

 

「だからどうした。俺は――、戦わなければならないんだ」

 

「やめておけ。後悔するぞ、一生な」

 

 

蓮の肩を叩く光太郎。

 

 

「経験者からの忠告だ」

 

「………」

 

 

表情をゆがめ、頭を抑える。

蓮の中にも記憶があった。光太郎が銀色の戦士に向かって手を伸ばしている。

 

 

「――そうか、俺も、あそこにいたな」

 

 

創生の戦い。

そこに蓮、ナイトも参加していたのだ。

 

 

「信彦と戦う時ほど辛い時間はない」

 

 

親友だった。兄弟だった。

なのに――、なぜ、なぜ、ああ。

 

 

「今もまだ張り付いている」

 

 

信彦と拳を交えたときの苦しみ。

信彦の胴を蹴ったときの苦しみ。

傷つき、失い、それでもまだ――、終わりはこない。

 

 

「俺は信彦に勝った。そしてそれが、世界に事実を与えてしまった」

 

「……ッ?」

 

「今でもたまに思う。俺は、あの時、信彦に殺さるべきだったのかもしれない」

 

 

ブラックの世界をあそこで終わらせれば、ブラックの物語が続く事はなかった。

RXになる事はなく、歴史に名を残す事もなかった。

光太郎は拳を握り締め、遠くを見つめる。

その目には、大きな哀しみがあった。

 

 

「俺は今も、信彦と戦い続けている」

 

「それは、どういう――」

 

 

いや、分かる。察する。

世界だ。数多にある世界がそれだけの奇跡と物語を生み出す。

そうか、無限なのだ。光太郎は勝ってしまった。だから無限に戦わなければならないのだ。終わりはない。

 

 

「慣れる事はない。ずっと、胸が引き裂かれそうだ」

 

 

永遠だ。それは光と闇の果てしない戦い。

 

 

「だから俺の様な想いは絶対にするな。それに、真司君を殺せば、キミの心も壊れる」

 

「………」

 

「恋人の話は聞いている。気持ちは分かるが、彼女のためにも、苦しみは背負うな」

 

 

殺す可能性よりも、生かす可能性を考えろ。

 

 

「彼女の前で、本当の笑顔を浮かべることが、キミの役目だろ」

 

 

たとえ死が来ようとも終わりじゃない。それは苦痛だが、希望でもある。

 

 

「だから、諦めるな。絶対に」

 

 

それに――、と、光太郎はかずみを指差した。

 

 

「蓮。キミは、彼女の希望になれ」

 

「かずみ――」

 

 

そこで気づいたのか、かずみは蓮の方を見て笑みを浮かべた。

 

 

「かずみちゃん。蓮に戦って欲しくないだろう?」

 

「それは――」

 

 

言葉を詰まらせる。

しかし直後、かずみは笑った。

 

 

「蓮さんが戦うなら、わたしは蓮さんを助けるよ」

 

 

悲しげな目で、笑っていたのだ。

 

 

「………」

 

 

蓮はうつむき、拳を握り締める。

そして、辛そうではあるが、何度も頷いていた。

 

 

「分かりやすいな。お前は」

 

「………」

 

 

かずみは唇を噛んで下を向く。

 

 

「お父さんに似たって言われてるよ……!」

 

「………」

 

 

蓮は目を閉じた。

そして、もう一度だけ頷くと、光太郎を見る。

 

 

「俺は、どうすればいい?」

 

「力を貸してくれ。この世界は、俺が必ず救う」

 

「……分かった」

 

 

蓮は光太郎の肩を叩くと、距離をとる。

一方で真司は笑顔を浮かべ、『少し悔しげな』表情で光太郎の前に。

 

 

「凄いなぁ、光太郎さん……! 俺がずっと頑張ってきてできなかった事を、たった一日でやっちゃうんだもんなぁ!」

 

「……いや、それは違うよ」

 

「え?」

 

「俺は、そんなにできた男じゃない」

 

 

光太郎は切なげに笑い、地面に座る。

隣に座る真司。光太郎の目には、やはり哀しみが浮かんだままだった。

 

 

「大切な人を守れなかった。お世話になっていた叔父さんと叔母さんがいたんだけど、死なせてしまったんだ」

 

「あ……」

 

「信彦の事だって、もっと良い方法があったのかもしれないと、今でも思う」

 

 

光太郎は自分の両手を見る。

真司には見習うべき点が山ほどある。救うために戦う事は、なによりも難しい。

 

 

「だが、だからこそ思う。誰かが俺と同じ悲しみを背負わないように、俺ならば止められるかもしれないと」

 

 

そして気づいた。自分は一人ではない。

たとえ悲しくとも、苦しくとも、支えてくれる人はいた。

そして自分には力がある。悩み、涙を流している間に、同じように悩んでいる人に手を差し伸べられるかもしれない。

泣いている人を助けて上げられるかもしれない。

 

 

「だから俺は、死なない」

 

 

死なない。諦めないと言う絶対の意思だ。

 

 

「そして、ある日、ある人に言われた」

 

「ある人?」

 

「ああ。人間にはたとえ勝ち目がなくても戦わなければならない時がある――」

 

 

真司の脳裏にゲームでの攻撃が浮かんできた。

勝てる見込みは無かった。しかしそれでも立ち上がったのは――

 

 

「大切なものを取り戻すために――」

 

 

そうだ、あったのだ、そうまでして戦う理由(わけ)が。

 

 

「それは1人では無理かもしれない」

 

 

多くの死の記憶がフラッシュバックする。

 

 

「だからこそ、助け合い、一緒に支えあう相手が必要なんだと」

 

 

まどかを見た。

まどかは笑い返してくれた。

 

 

「世間ではそれを――、仲間と言うらしい」

 

「仲間……!」

 

「ああ、俺とキミの事だ。いや、俺達のことだ」

 

 

光太郎は真司、まどか、蓮、かずみを見て笑う。

 

 

「行くんだろう? 真司くん」

 

「はいッ、もちろん! だってこのままじゃ美穂達が死んじまう」

 

 

魔法少女と騎士、全員の生存を願った真司にとって、これほど屈辱的な事はない。

なによりも――、あの時、何のために拳を握り締めたのか。

 

 

「ギアの野郎をぶっ飛ばさないと、絶対に気がすまないッ!」

 

「死ぬかもしれないぞ」

 

「俺が死ぬのは、俺の希望(ねがい)を諦めた時だ!」

 

 

諦めた時に死ぬ。それまでは、たとえ命が尽きようとも死ぬ事はない。

 

 

「たとえ苦しくても、俺は、"仲間のために戦い続ける"!」

 

「………」

 

 

光太郎は笑みを浮かび、頷いた。

そして周りを見る。

 

 

「わたしも行きます。この世界の問題から、わたしは絶対に目を背けちゃいけないと思うから」

 

 

まどかは頷き、立ち上がる。

 

 

「わたしも行くよ。やっぱり、わたし、みんなと一緒にいたい! みんなとお友達になりたいから……!」

 

 

自らの意思を口にして、かずみは立ち上がった。

 

 

「いずれにせよ、戦わなければ生き残れない」

 

 

蓮はそう言った。

光太郎はもう一度頷き、空を見あげる。

 

 

「戦い続けるのは、いつか全てが救われると信じているからだ。そして同じように戦う男達を知っているからだ」

 

 

目を見開く真司と蓮。

その時、脳の中に一人の男が浮かび上がった。

 

 

『人々が助けを求める限り、俺が戦いから退く事はない!』

 

 

その男は今もどこかで戦っているのだろう。

はるかなる愛と平和。そして人々の自由を守るために戦っている。

たとえ孤独でも、独りでも。一人でも守るために。たった一つの命ある限り戦う。

 

 

『ライダァアアア……ッ! 変身ッ!』

 

 

風を纏う英雄の背を、真司は見た。蓮は見たぞ。

 

 

「1971年4月3日。あの日から受け継がれてきた正義の心。俺は、その正義の系譜を信じている!」

 

 

そこに騎士も魔法少女も関係はない。

たとえ普通の人間であろうとも、その正義の系譜を信じ、困っている人に手を差し伸べる勇気があるのなら、なれるはずだ。

光太郎は前に出ると拳を構えた。

 

 

「俺に続け、騎士よ、魔法少女よ! これより、世界を救う戦いに出る!」

 

「おお!」「はい!」「おう!」「うんッ!」

 

 

 

 

 

 

「……来たか」

 

 

周りを石や砂利で囲まれた採石場にダークプルートは立っていた。

取り込んだカードが融合を果たすまでにはまだ時間が掛かる。ゆえにこのタイミングで向こうがやって来る事は分かっていた。

五人だ。五人の参加者がダークプルートに向かってきているのが見えた。

 

騎士ナイト。黒いボディ。ライドシューターを走らせる。

騎士龍騎。真っ赤な目。ライドシューターを走らせる。

 

そしてその二つを持ったRXがアクロバッターに乗り込んでいた。

龍騎の隣には光の翼を生やして飛んでいるまどか。ナイトの隣には黒い翼を生やして飛んでいるかずみがいる。

右からまどか、龍騎、RX、ナイト、かずみが並び、採石場を走る。

 

 

「決着をつけるぞ! 魔獣!」

 

「いいだろう龍騎。我が絶望に食われろ!」

 

 

両手を広げマントを翻すダークプルート。

すると大量の従者型の魔獣が出現し、一勢にレーザーを放った。

バリアを張るまどかとかずみ。一方でライドシューターのキャノピーがレーザーを弾き、RXはそのまま構わずレーザーの中を突っ込んでいった。

永遠のために、キミのために。

 

 

「ロボライダー!」

 

 

フォームチェンジ。鋼鉄の装甲が無数のレーザーをすべて受けきり、熱エネルギーとして吸収していく。

さらにロボライダーになった事で、アクロバッターにも変化が訪れた。

 

その姿が変わり、『ロボイザー』にフォームチェンジする。

装甲が強化され、レーザーが当たってもなんのその。

さらに後方にはキャノン砲が装備されており、ロボライダーがスイッチを押すとキャノン砲をぶっ放し、魔獣達を消し飛ばしていく。

 

 

「ボルティックシューター!」

 

 

ロボライダーもまたバイクを操りながら必殺技、ハードショットを撃ちまくり魔獣たちをごっそりと消滅させていく。

さらにそこでフォームチェンジ。バイオライダーになるとロボイザーもフォームチェンジ、小回りがきく『マックジャバー』になる。

マックジャバーも当然液状化能力をもっており、レーザーをすべてすり抜けてバイオブレードを振るっていく。

さらにマックジャバーが地面に沈んだ。地中を海のように潜水する事も可能であり、地中を高速で泳ぎながらバイオライダーは剣で魔獣達を切り抜いていく。

 

 

『グォォオオオオ!』

 

 

このままでは勝ち目がないと悟ったのか、魔獣たちは一箇所に集まり、融合。

座禅を組み、手には炎の槍を持つ『シュゲン』に変わる。

掌から大量の剣を発射してバイオライダーを狙う。とは言え、それらはバイオライダーを貫いたが、効果はなし。

一方でゲル化したバイオライダーは空中に上昇するとゲル化を解除。すでにRXに戻っており、両足を突き出した。

 

 

「RXキック!」

 

 

爆発が起こり、後方へ吹き飛ぶシュゲンと、反動で後ろに跳ねるRX。

しかしそこへ自動操縦のアクロバッターが駆けつける。RXをシートに乗せると、そのままシュゲンのもとへと距離を詰めた。

 

 

「助かるアクロバッター! リボルケイン!」

 

 

RXは、そのまま怯んでいるシュゲンの胴体にリボルケインを突き刺した。

シュゲンと共に地面に落ちるRX。激しい爆発が起こり、爆煙の中をRXは駆け抜ける。

 

「ハァアアア!」

 

キャノピーが展開し、そこからナイトが飛び上がる。

ダークバイザーとウイングランサーを構え、魔獣を次々に切り抜いていく。

さらにレーザーが今まさに発射されるという所で空中からダークウイングが飛来、超音波で魔獣達を怯ませると、ナイトと融合。

マントとなり飛行能力を与え、ナイトは空中を疾走しながら魔獣を切りまくっていく。

 

しかし一方で魔獣たちは集合。

上半身以外はブロックと三角形のエネルギー体で構成された『サトリ』に変身する。

サトリは無数のブロックを浮遊させ、空中を飛びまわるナイトへ向かわせ、攻撃を仕掛ける。

一方地面を駆けるかずみ。マントを翻しながら十字架を構え魔法を発動する。

 

 

「コネクト!」

 

 

仁美の魔法をコピー。各地に出現するのは四つの魔法陣だった。

かずみのコネクトは呼び出した魔法少女達の耐久は低いが、四人まで呼び出すことができる。尤も、特定の四人しか呼びさせないが。

 

 

「相変わらず、とんでもない状況で呼んでくれること……」

 

 

まずはじめに実体化したのは美咲海香。額に汗を浮かべ、メガネを整える。

 

 

「ごめん海香! 協力して!」

 

「ま。出た以上は働かせてもらうわよ」

 

 

本を構え、そこから光弾を発射する。

光弾を魔獣を破壊しながら突き進み、次の魔法陣へと向かう。

 

 

「任せろかずみ! あたしがゴールを決めてやるッ!」

 

 

牧カオルは出現と同時に大地を踏みしめ、思い切り脚を振るう。

するとそこにぶつかる光球。カオルはキックで光球に魔力と勢いを乗せて弾丸に変えた。

光球はカオルの魔力を受けて大きくなり、より多くの魔獣を巻き込み蹴散らす。

そして次の魔法陣へと向かうわけだが、既に出現した魔法少女が大剣を振るっていた。

 

 

「みらい様ッ、参上――ッ!」

 

 

大量のテディベアが魔獣達に噛み付いている。それを操るのは若葉みらい。

ドレスの前部分がざっくり開いており、そこから下着が見えると言うとんでもない格好の魔法少女である。

みらいは大剣を豪快に振るい腹の部分で光球を弾きとばす。

 

 

「どう、かずみ! 抜群の狙いでしょ!」

 

「全然だよー! どこ狙ってるのみらい!」

 

 

光球は最後の魔法陣を大きく外れて飛んでいく。

 

 

「なによ! だったら里美があっちいけばいいじゃん!」

 

 

頬を膨らませて魔法を発動させるみらい。

巨大なテディベアが全速力で走り、魔法陣から現われたクセ毛の少女、宇佐木(うさぎ)里美(さとみ)を掴んで光球のほうへと投げる。

 

 

「きゃあああああああああ! か、かずみちゃん!」

 

 

里美は涙目になりながらも杖で光球を弾くと、そこに魔力を乗せてかずみのもとへ届ける。

そこで時間が来たのか消え去る魔法少女たち。

 

 

「蓮さんッ!」

 

 

かずみは彼女達の魔力が宿った光球をナイトへと送る。

ブロックを交わしながら光球をダークバイザーで受け止めるナイト。カラフルな光が剣の刃を光らせる。

 

 

「かずみ! 決めるぞ!」

 

「うん!」

 

 

しかしサトリは後退すると浮遊するブロックをすべて自分の方に鎧を集め、壁を作る。

無数のブロックが連結し、要塞のように変わるサトリ。

だがかずみは真っ直ぐにサトリを睨み、杖を振るう。

 

 

「フォムホームホムフォーム!」

 

 

かずみの隣に魔法陣が出現する。

そこから現われたのは『かずみ』だ。しかし髪が本体のかずみよりも短く、頭には大きな魔女帽子を被っている。

 

 

「力を貸して。ミチル」

 

「………」

 

 

並行世界のかずみ。和紗(かずさ)ミチルは、ニコリと笑みを浮かべた。

 

 

「もちろん。もう一息だよ、かずみ」

 

 

二人は十字架を重ね合わせる。

すると力が交じり合い、黒い刃を持つ剣に変わった。

 

 

「蓮さんッ! コッチはオーケーだよ!」『ユニオン』『ファイナルベント』

 

「ああ。これで終わりだ!」『ファイナルベント』

 

 

かずみとミチルは二人で剣を持ち、思い切り真横に振るう。

 

 

「「疾風!!」」

 

 

すると黒い斬撃が発射され、サトリの要塞を完全に断ち切った。

斬撃はサトリの肉体に進入して停止。そしてナイトが咆哮を上げて、剣を上から下へ振り下ろす。

 

 

「十字星ェエエッッ!!」

 

 

カラフルな残痕が黒の残痕と重なり、巨大な十字架を作る。

光は剣のリーチを拡大させたか。巨大な十字架はそのまま前方に進み、サトリの肉体を四分割にしてみせる。

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

爆散。

爆風の衝撃が周囲の魔獣を巻き込んで消滅させる。

 

 

「その瞳に映せしは破壊、我が誇りが選ぶのは勝利! 万物を滅する力の矢となり我を照らしたまえ!」

 

 

一方まどかは弓を引き絞り、魔法を解き放つ。

 

 

「吼えろ、獅子! スターライトアロー!」

 

 

翼の生えたライオンが発射され、地に降り立つ。

そして咆哮。音が衝撃となり、周囲の従者が粉々に粉砕されていく。

さらにそこで爆発が起きた。飛行するドラグレッダーが炎を発射したのだ。その背に乗る龍騎は、複眼を光らせ、地面に着地する。

 

 

「ッシャア!」『ガードベント』

 

 

龍騎はドラグシールドを両手に構えて突進していく。

 

 

「ウォオオオオオオオオオ!」

 

 

次々と迫るレーザーはすべてシールドで防ぎ、龍騎はそのまま次々に従者を弾き飛ばしていく。

そして前方に魔獣がいなくなると振り返りながらシールドを投げ捨てる。同時にデッキからカードを抜き、バイザーに装填した。

 

 

「ハァァアア……!」『ストライクベント』

 

 

腰を落とし、ドラグクローを構える龍騎。

龍騎を中心にドラグレッダーが旋回。口を光らせ、直後、龍騎はドラグクローを思い切り突き出した。

 

 

「ヤァアアアアアアア!!」

 

 

昇竜突破。巨大な炎塊が三方向に分かれて突き進んでいく。

炎は次々に魔獣達を焼き尽くし、爆散させていく。

 

さらに龍騎はもう一度ドラグクローに炎を纏わせ地面を殴る。

すると炎が地面を伝って、四方向へ分かれた。その先にあったのは地面に突き刺さったドラグアローの矢である。

 

実は先程ドラグレッダーの背に乗っているとき、龍騎はドラグアローを呼び出し、矢を発射していた。

さらにコールベント、エンゼルオーダーを発動。呼び出したのは龍騎と同じ武器を使う事ができるレガーメアナウエルだ。

天使に別方向に矢を刺してもらい、さらにまどかにユニオンで全く同じ事をしてもらった。

 

こうして四角形を構成するように刺さったアロー。

その中央で龍騎は炎を拡散する。すると四つの矢に炎が伝導し、超爆発が起こった。

業炎に巻き込まれ消し飛んでいく魔獣たち。

しかしそこで爆炎が消し飛んだ。姿を現したのは星型になった魔獣、『ゲダツ』だ。

強力な冷気を操り、全てを凍てつかせる絶望の化身。

 

 

『フォロロロロロ!』

 

 

ゲダツは鳴き声を上げて龍騎に冷気を発射した。

強力なブリザードが龍騎を包み込み、さらには周囲に氷柱を生やす。いくら騎士の装甲があろうとも、強力な冷気で龍騎は絶命するはずだ。

しかし刹那、氷柱が弾け飛ぶ。

身構えるゲダツ。氷に覆われながらもその輝きを失わぬ盾が見えた。

 

 

「サンキューまどかちゃん!」

 

「うんっ! 守るよ! 真司さん!」

 

 

龍騎の前に降り立ったまどかが盾で冷気を防いだのだ。

さらに二人はファイナルベントを使用。まどかが翼を広げながらバックステップしながら上昇。

そこに追従するドラグレッダー。まどかの周りを飛びまわり、その身で氷柱を破壊していく。

 

 

「フッ! ハァアアア!」

 

 

龍騎は両腕を突き出し、大きく旋回させる。

一方でゲダツは力を集中させているようだ。体が青白く発光していき、同時に龍騎が飛び上がった。

 

 

「ハァアアア!」

 

「ダアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

炎の矢が龍騎と融合。

凄まじい勢いで龍騎が飛び蹴りを仕掛ける。マギアドラグーン。

そこでゲダツも力を解放。青いレーザーが放たれる。

しかし決着は一瞬だった。龍騎がレーザーをかき消しながら突き進み、まさに一瞬でゲダツを貫いて後方へ着地する。

穴が開いたゲダツは地面に墜落し、大爆発。その衝撃で魔獣も消し飛び、採石場に従者の姿は消え去った。

 

 

「あとはお前だけだ! ダークプルート!」

 

「フム。その様だな」

 

 

五人を前にしてもダークプルートは冷静だった。

それもそうだ、なぜならばダークプルートは既に終わりを視ているのだから。

 

 

「だが、ココで終わりだ」

 

「!」

 

 

指を鳴らすダークプルート。

すると背後の空間が割れ飛び、亀裂の中から巨大な脳みそが姿を見せた。

 

 

「イツトリ!!」

 

 

忘却の魔女イツトリ。どうやら彼女こそが『RXが感じた力』だったようだ。

まどかよりも先に概念に到達した魔女であり、絶大なパワーを持った存在である。そしてその力が今、まどか達に向けて発射された。

その力は忘却。全ての魔法少女を忘れ去るために得た復讐の力。

 

 

「忘れろ」

 

「!」

 

 

忘。

 

 

「歴史と共に、消えうせろ」

 

「―――」

 

 

龍騎達の体が粒子化を始める。

だって彼らを『覚えている』存在がない。

 

忘れなさい。

 

忘れなさい。

 

思い出せないものは無いものと同じだから。

 

記憶になければあなたは『いない』から。

 

全て、忘れなさい。

 

全部、忘れてしまいなさい。

 

 

わたしは『(ハテナ)』。

 

世界は『(ハテナ)』。

 

 

 

FOOLS,GAME

  登場人物紹介

  プロローグ

  第1話 デッキ キッデ 話1第

  第2話 鹿目まどか かどま目鹿 話2第

  第3話 変身! !身変 話3第

  第4話 騎士と魔法少女 女少法魔と士騎 話4第

  第5話 焼肉定食 食定肉焼 話5第

  第6話 正義 義正 話6第

  第7話 七人目 目人七 話7第

  第8話 夢の終わり りわ終の夢 話8第

  第9話 本当の正義 (前編)

  第10話 (編後)義正の当本

  第11話 GAME・START TRATS・EMAG 話11第

  第12話 参加者達 達者加参 話21第

  第13話 赤い魔法少女 女少法魔い赤 話31第

  第14話 黒い魔法少女 女少法魔い黒 話41第

  第15話 白紙の絆 絆の紙白 話51第

  第16話 前夜 夜前 話61第

  第17話 人魚姫 姫魚人 話71第

  第18話 エントロピー ーピロトンエ 話81第

  第19話 狂う歯車 車歯う狂 話91第

  第20話 決着と始まり りま始と着決 話02第

  第21話 赤い記憶 憶記い赤 話12第

  第22話 友達 達友 話22第

  第23話 オセロ ロセオ 話32第

  第24話 金色の未来 来未の色金 話42第

  第25話 ケーキ (前編)

  第26話 (編後)キーケ

  第27話 芝浦淳 淳浦芝 話72第

  第28話 学校侵食 食侵校学 話82第

  第29話 ユウリ様参上 上参様リウユ 話92第

  第30話 人間 間人 話03第

  第31話 双樹あやせ カル樹双 話13第

  第32話 双樹アルカ カルア樹双 話23第

  第33話 十字星 星字十 話33第

  第34話 恋慕の君へ へ君の慕恋 話43第

  第35話 望む解放 放解む望 話53第

  第36話 リーベエリス スリエベーリ 話63第

  第37話 暴徒 徒暴 話73第

  第38話 最凶VS最狂 狂最SV凶最 話83第

  第39話 理想と現実 実現と想理 話93第

  第40話 進入の園 園の入進 話04第

  第41話 メランコリック クッリコンラメ 話14第

  第42話 種 種 話24第

  第43話 姉妹愛 愛妹姉 話34第

  第44話 大好きな貴女へ へ女貴なき好大 話44第

  第45話 白と黒 黒と白 話54第

  第46話 過去の鎖 鎖の去過 話64第

  第47話 決別 別決 話74第

  第48話 生きる るき生 話84第

  第49話 杏里の呪い い呪の里杏 話94第

  第50話 境界線 線界境 話05第

  第51話 四日目 目日四 話15第

  第52話 分かれ道 分かれ道 話25第

  第53話 友情の定義 義定の情友 話35第

  第54話 甘い人 人い甘 話45第

  第55話 彼が望んだ道 道だん望が彼 話55第

  第56話 青の疾走 走疾の青 話65第

  第57話 現実の弓 弓の実現 話75第

  第58話 幻想の夜 夜の想幻 話85第

  第59話 告白 白告 話95第

  第60話 死に至る答え え答る至に死 話06第

  第61話 最終日 日終最 話16第

  第62話 強欲な男 男な欲強 話26第

  第63話 人間の放棄 棄放の間人 話36第

  第64話 戦う理由 由理う戦 話46第

  第65話 ワルプルギス スギルプルワ 話56第

  第66話 A『諦める』

  第67話 B『戦いを続ける』

  第68話 C『戦いを止める』

  第69話 エピローグ グーロピエ 話96第

 

FOOLS,GAME The・ANSWER

  登場人物紹介 The・ANSWER偏 超全集

  第70話 絶対に生き残る

  第71話 人類は試されているのさ

  第72話 他人を愛するには

  第73話 ど真ん中ストレート

  第74話 覚えてしまうんですよ

  第75話 人を傷つける才能

  第76話 俺達は誰もがその黒を抱えている

  第77話 状況と環境

  第78話 どうして信じてくれないの?

  第79話 どうか私を許してください

  第80話 いつまでも、謎の騎士ではいられない

  第81話 魔法少女と騎士の物語

  第82話 地獄だな

  第83話 胡蝶の夢

  第84話 いっぱい笑ったほうが一等賞なんです

  第85話 積み上げてきた事を誇りに思え

  第86話 手始めに見せてやる。変わる運命をな

  第87話 恋愛だぁ

  第88話 この曲が好きなんだ

  第89話 私の世界には要らないわ

 

Tea Party

  Episode 1

  Episode 2

  Episode 3

  Episode 4

  Episode 5

  Episode 6

  Episode 7

  Episode 8

  Episode 9

  Episode 10

  Episode 11

  Episode 12

  EPISODE・FINAL

 

番外編

  FOOLS,GAME LIAR・HEARTS(前編)

  FOOLS,GAME LIAR・HEARTS(後編)

  第45.5話 ポイエルの証明

  次の10年

  価値はそこに

  FOOLS,GAME XRD・Prompt

 

 

 

辛いなら、怖いなら、悲しいなら、忘れてしまえばいい

 

 

 

F?O?S,G?ME

  登?人??介

  プ?ローグ

  第?話 ??キ キ?デ 話1?

  第2? 鹿??ど? かどま?鹿 話??

  ??話 ??! !身変 ??第

  第?話 騎士??法少女 ???魔と?騎 話4?

  ??? 焼??食 食定肉焼 話5第

  第6? ?義 ?正 ??第

  第7話 ??? ??? 話7第

  ?8? ?の?わり り??の夢 話?第

  第9話 本当の?? (??)

  第?? (編後)義正???

  ??? G??E・ST?RT T?A?S・E?A? 話?第

  第?話 参??達 達?加? 話21第

  ?13? 赤?魔??女 ?少法魔い? 話31第

  第?? ??魔法少女 女少??い? 話?第

  第?話 ??の絆 ???? ??第

  第?? ?? 夜前 話?第

  第17? ??? ??? 話71第

  第?話 エ??ロ?ー ーピ??ン? 話81?

  ?19話 狂??車 車??狂 話?第

  ??話 決着と?ま? り???着決 話?第

  ??話 ??記憶 憶?い赤 ???

  第?話 友? ?? 話22?

  第23? オ?ロ ??? 話?第

  第?? ??の未来 ??の?金 話42?

  第?話 ケ?キ (?編)

  ?26話 (編?)キ?ケ

  第?? 芝?淳 淳?? 話?第

  第28? 学??食 食?校? 話82?

  第?話 ユ?リ?参? 上??リウ? 話92第

  第?話 ?間 間人 話??

  ?31話 双?あ?せ ??樹双 話?第

  第?話 双?ア?カ カ??樹? 話?第

  第33? ??星 ??十 話?第

  第34? ??の君へ へ?の慕恋 話?第

  第35話 ???? ???? 話53第

  ??? リー?エ?? スリ?ベー? 話63?

 ??? 暴徒 徒暴 ???

  ??? 最?VS最狂 狂最??凶? 話83第

  第?話 理想??実 実?と?理 話?第

  ??話 進入の園 園の?? 話04?

  第41話 メ?ン?リッ? クッ??ンラ? 話?第

  ??話 種 ? 話?第

  第?話 ?妹愛 ??姉 話?第

  第44? ??きな貴女へ へ女貴なき?? 話?第

  第45話 ?と? 黒?白 話?第

  ??? 過?の鎖 ??去過 話?第

  第47? ?? ?決 話74?

  第48話 ??る る?生 話?第

  第?話 ??の呪い い呪の?? 話?第

  ??話 ??線 線?境 話05?

  第?話 ?日目 目?? 話15第

  第52話 分かれ道 ???? ???

  第?話 ??の定義 ?定の?? 話35?

  第54話 ??人 ??甘 話??

  第?話 彼?望??道 道??望?彼 話55第

  第56話 ??疾走 ??の青 話65第

  第57話 現実?弓 弓の?? 話?第

  第58話 ??の夜 夜の?幻 話??

  第59話 ?白 白告 話?第

  第?話 死に至?答え ????に死 話06第

  第61話 ??日 日?最 話16?

  第?話 ??な男 ?な欲? 話?第

  ??? 人間??棄 棄???人 話?第

  第64? 戦?理? ???戦 話?第

  第?話 ワ??ルギス ス???ルワ 話?第

  第66話 ?『諦?る』

  第?話 B『戦??続?る』

  第68話 C『?いを?める』

  第?? エ??ーグ グ??ピエ 話?第

 

FO??S,GA?? T?e・AN?W?R

  登場??紹? The・?N??ER偏 ?全集

  第?話 絶対??き?る

  ?71話 人類は試???いる?さ

  第?話 他人を??る?は

  第73? ???中ス?レ?ト

  ??? 覚?て?ま?ん??よ

  第?? 人を?つ??才能

  ?76話 俺達は??がそ?黒を?えている

  第?? 状??環?

  第?話 ど?し?信じ?く??いの?

  第79話 ???私??し??だ?い

  第?? いつ???、?の?士で??られない

  第?話 ????と??の物語

  第?? 地獄??

  ??話 胡?の?

  第?話 いっ?い?ったほうが???なんです

  ??? 積み上げてきた事を??に思え

  第?話 手始めに?せてやる。変わる??をな

  ?87話 ??だぁ

  第?? この?が????だ

  第?話 ??世界???らないわ

 

T?a Pa?ty

  E??sode 1

  Episo?e ?

  Ep???de 3

  ??isode ?

  Epi?o?e 5

  Ep?s?d? 6

  Episode ?

  Ep?so?? 8

  E?isod? ?

  ?p??ode ?

  Ep???de 11

  Episode ?

  E?I??DE・F?N??

 

番??

  F??L?,G??E LI?R・??AR?S(?編)

  F????,GAME ?IAR・H??RTS(??)

  第45.?? ポイ??の?明

  次??年

  価??そこに

  ????S,G?ME X??・Pr?m??

 

 

 

 

辿ってきた道なんて無かった。

 

 

あなたたちは初めからゼロ。無いものからは何も生まれない。

 

 

苦痛も、哀しみも、希望も、絶望も。すべて貴女達は夢を視ていた。なにもない物が夢を見ていた。

 

 

でも考えてみて、無いものは、何も視れないでしょう?

 

 

あなたはだぁれ?

 

 

分かるよ、分かるわ。答えられないね。

 

 

「まどかちゃん!」

 

「真司さんッ! 体が――、消えちゃう!」

 

 

大丈夫、その恐怖ももうすぐ忘れるから。

 

あなたごと。

 

 

 

 

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「???」

 

「!?」

 

「?ッ――? ???! ???!? ?!」

 

「??????!」

 

「??! ??! ?????!!」

 

 

言葉も忘れたね。

 

声も忘れたよ。

 

喉も忘れた。

 

喋るって、なぁに?

 

文字も、分からない。

 

忘れた。

 

忘れちゃった。忘れました。

 

 

 

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???、????。???。?????、??。

?????、?????、??――、???。

 

 

「???! ???」

 

「???……、???」

 

 

???。

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「????、?????!」

 

「????」

 

 

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????、?????、????。

 

 

「……??」

 

「??! ???!!」

 

「???、????……!」

 

 

??。???。????。??、????。

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「?」

 

 

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「?????????、????」

 

 

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「?????! ??ッ、?????――! ???」

 

 

すべて、忘れていく。

 

 

 

絶対の、『?』

 

 

「終わりだ。参加者達よ。忘却の果てに消えよ」

 

 

ゼロになる。

全て消え去った。龍騎も、ナイトも、まどかも、かずみも、RXもだれもいない。

なにもない。あるのはただ、ダークプルートとイツトリのみ。

参加者は敗北する。しかしそれさえも嘘なのかもしれない。

だって、はじめから何も無かった。

なにも、思い出せないから。

 

 

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『諦めるな』

 

 

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『俺か? 俺はただの通りすがりだ』

 

 

カメラをぶら下げた男は額に汗を浮かべながらも、偉そうに笑った。

そしてそれは彼だけではない。信じるものが、望むものが。

世界にはキミが必要だ。

 

 

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『まだ終わるな。まだ終われないだろ』

 

 

無理だ。

 

もう終わりだ。

 

そもそも、何も無かった。

 

 

『俺は覚えてる』

 

 

お前は無理だ。

 

お前は『壊れてる』、『無』を与えし破壊者。有にはなれない。

 

存在を証明するには記憶が必要だ。想いが必要だ。

 

お前が覚えていても、世界がお前を忘れようとしているのだから何も出来ない。

 

 

『――世界は、広い』

 

 

だからなんだ。

 

 

『奴らは、世界を生きていた。きっとどこかの世界が、あいつ等の活躍を知っている者たちが遠いどこかに必ずいる』

 

 

………。

 

 

『あいつ等の行動を知っているなら――、きっと、その人間達は望むはずだ』

 

 

………。

 

 

『まだ、終わらないでくれと』

 

 

ありえない。

忘れましょう。それも、忘れなさい。

 

 

『忘れたくても、忘れられない憧れがある。なあ、そうだろ?』

 

 

誰に話しているの?

 

 

『世界を超えた、者達へ』

 

 

???????

 

 

【まけないで】

 

 

!?

 

 

【消えないで、諦めないで】

 

 

なんだこれは。

 

 

【わたしは、あなた達を覚えているから】

 

 

誰だ。やめろ。忘れなさい。

 

忘却は絶対だ。抗うのはやめて。

 

 

『記憶が人を作る。世界の可能性は無限だ』

 

「イツトリ! 何をしてる! 早く完全に消滅させろッ!!」

 

 

消えなさい。消えろ。

 

いなくなれ。

 

忘れろ。

 

思い出すな。

 

覚えるな。

 

 

『いつか、ある男の事を謳った言葉がある』

 

 

消えろ、キエロキエロキエロキエロ。

 

 

『誰かが貴方(キミ)を――、愛していると』

 

【まけないで】

 

 

少女の声が聞こえた。

遠くの星に生きる少女の声が聞こえた。誰かが貴方を、探している。

 

 

【死なないで】

 

 

誰かが貴方を、求めてる。

 

 

【あなたは生きて】

 

 

誰かが貴方を、信じてる。

 

 

【お願いだから、立ち上がって】

 

 

誰か一人でも死んじゃえば、もうハッピーエンドにはならないよね。

 

私はそんなの、嫌だよ。

 

あなたも嫌だったんでしょ?

 

だから何度も立ち上がったんだよね?

 

血を吐いても、傷ついても、それでもその先にあるキラキラした未来が見たかったら戦ったんだよね。

 

私も、視たいよ。だからお願い、諦めないで!

 

辛いよね、苦しいよね。

 

でもそれでもあなたは守るために戦ってくれた。私は全部知ってるよ。

 

 

全部知ってるから知ってるよ、あなたが、あなた達が自分自身の意思で立ち上がって、傷ついて、それでも守ろうとした事を。

 

 

だからお願い、諦めないで。まけないで。

 

あともう少しだよ。全ての苦しみがもうすぐ終わるんだよ。だから負けないで。お願いだから立ち上がって。

 

 

「な、なんだコレは! なんだこの声は! イツトリ!!」

 

 

やめろ。声を出さないで。

 

忘れて、全部、違う。これは、全部、嘘。

 

じゃない。嘘も嘘。

 

ない。

 

全て。

 

忘れる。

 

 

ゼロは違う。

 

ゼロもない。

全て、夢。無。ム。白でもない、それは究極の無色。

 

透明の世界。忘れて。手を伸ばさないで。

 

 

【忘れないよ。忘れたくないから忘れないよ】

 

 

まけないで。勝って。頑張って得た力と技を私に見せて。

 

 

【勝って魔法少女さん】

 

 

正義が見たいの。

 

誰も死なない、皆が笑っていられる世界がほしいの。

 

それが私の、夢だから。

 

覚えてるよ。全部知っているよ。

 

頑張ったことも、泣いたことも、笑ったことも。全部知ってるから、私は忘れないから。

 

あなた達は平和のために戦った。

 

戦ってくれた。だから応援するの。だから負けないでって私は祈るの。

 

忘れたくないから。ずっと心にいて欲しいから。

 

だから。ねえ。まだでしょ? まだ終わらないよね。まだ終わりじゃないよね?

 

 

【覚えてますか? 騎士さん。あなたの事を考えると、今でも涙が出てきます】

 

 

全部夢の中の話なのに、そんな気がしなくて。

怖かった。私はただ車の陰に隠れて震えてるだけだった。

お母さんがいなくて、お父さんもいなくて、怖くて。でもそしたら貴方が私に声をかけてくれました。

 

 

『大丈夫!?』

 

 

嬉しかった。

あなたは私を抱きかかえてくれました。

 

でも――。

 

 

『逃げて! はやくッ! 逃げて――ッ!』

 

 

私は、逃げた。

 

今でもその事がずっと引っかかってます。

 

私のせいで――、きっと、貴方は……。

 

 

【――だから】

 

 

声が震えていた。少女は、きっと、泣いていた。

 

 

【だから私は祈ります。祈り続けます。生きて、お願い、勝って、これが嘘じゃないって証明して、お願い】

 

 

祈るから。

 

どんなに苦しくても信じるから。

 

あなたのように、生きるから。

 

 

【だから、見せてください。お願いだから絶望なんかに負けないで。お願い、貴方はみんなのために立って。立ち上がって!】

 

「イツトリィイ! 忘却の力を教えてやれッッ!!」

 

【??????!】

 

 

言葉が忘却にかき消される。

おしまい。少女の声は忘れました。

 

さようなら。

 

終わり。

 

おしまい。

 

 

ばいばい。

 

 

 

 

 

 

―――ちがう

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前が信じるものだよ』

 

フラッシュバック。

 

「そうだ、今――ッ、全部ッ、思い出した!!」

 

「な、なにッ!? その声は――!」

 

 

その時、不思議な事がおこった。

 

いや、違う。なに一つおかしい事はない。

人を愛し、守りたいと思う純粋な想いが、人を傷つけたいという想いに負けるはずは無い。

 

 

「ありがとう。わたしは――ッ、まけないよ!」

 

「お、お前までも!」

 

 

友達を助けたい、誰かのために戦いたい。

 

あなたを、守りたい。

 

その果てにある優しさが、憎悪に負けるはずがなかった。

 

悪などに屈するはずがなかった。

 

だから、そのとき――、不思議ではない事がおこった!

 

 

「そうだ! 俺は――ッ!」

 

【??ラ???!】

 

 

あの時、真司は命を守り、そして命を散らした。全てを失った。

 

 

【??ラ?ダ?!】

 

 

しかしそれを思い出した今でも、神に誓える。

 

 

【??ライダ?!】

 

 

俺は、なにひとつ間違ってなどいなかったと!

 

 

【??ライダー!】

 

 

「俺は、俺はァアア!!」

 

【負けないでッッ!!】

 

「ォオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

男は吼えた。その中にある十字架が激しい炎を放つ。

 

 

「必ず勝つ! 必ず救って見せるッ!」

 

 

龍の咆哮が聞こえた。

城戸真司は目を開き、地面を蹴った。

 

 

「俺は、仮面ライダー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

世界が色を取り戻す。

その存在を思いだす。

そして丘の上、五人の戦士が並んでいた。

 

まずはじめに白いジャケットの男が腕を構え、xを描くように振るいながらそのまま右腕を太陽を掴むように真上に伸ばした。

太陽に重なる右手。男は手首を捻り右手を真下にゆっくりと下ろす。そして水平に左へ腕を持っていき、右下へ振るう。さらに右手を追うようにして左手を右に伸ばす。

 

 

「変――ッ」

 

 

右腰の位置に落とした右手を握り締めながら、左腕を左に返すように振るう。

肘を曲げ、握り締めた拳は天をむくように。

 

 

「――身ッ!」

 

 

南光太郎の瞳に激しいスパークが巻き起こる。

サンライザーが光を放ち、光太郎の体がRXへと変身を果たした。

 

 

「グォオオ……ッ!」

 

 

RXの体から激しい光が巻き起こる。

目を覆うダークプルート。さらにそのフラッシュで、イツトリが悲鳴を上げて引っ込んでいった。

 

 

「待てイツトリ! グッ! おのれ!!」

 

 

ダークプルートが再びRXに視線を移す。

するとRXはまず右手を前に。そして握りこぶしを作りながら顔の横まで引き、左手の指を伸ばして腕を伸ばし、クロスを作る。

 

 

「俺は太陽の子! 仮面ライダーッ!」

 

 

左手を引き、右手で空を切裂くように振るった。

そしてすぐに右手を返し、右上に伸ばす。

 

 

「ブラァア゛ッッ!」

 

 

伸ばした右手を振るい、次は左上に挙げる。

 

 

「ア゛ーッル!」

 

 

右下へ『R』を描くように振るう。

 

 

「エ゛ェックスッ!!」

 

 

両腕を振るい小文字のxを描くように。

右手は腰のところで握り、左手は肘を曲げて拳は天を突くように。

濁点交じりの咆哮を上げて、南光太郎は仮面ライダーブラックRXへの変身を果たした。

 

 

「へんしん!」

 

 

鹿目まどかはソウルジェムを自分の胸に押し当てる。

すると輝くソウルジェム。まどかは指でハートを作るようにしながら、人さし指と親指でソウルジェムをかざしてみせる。

 

直後、ソウルジェムがまどかの頭に乗った。

 

腕を後ろにくみ、まどかはその場を少し歩く。

そして指で周囲を指し示すと、右足をまげて左足を伸ばす。

そして次は左足をまげて右足を伸ばし、ポーズを決めた。そして飛び上がると、光に包まれ、衣装が魔法少女の物に変わる。

 

自分の前に結界を張ると、左手を前に出し、それを砕く。

そして人さし指を交差させ、中指と薬指を真っ直ぐに伸ばし、できた隙間から目を覗かせる。

そして両手を広げると、一回転して決めポーズ。右手は腰の横で握り締め、左手を真っ直ぐに上へ伸ばす。

 

 

「魔法少女! まどか☆マギカ!」

 

 

するとハートのオーラが弾け飛び、魔法少女への変身を完了させた。

 

 

「変身」

 

 

耳にある鈴型のソウルジェム(ピアス)を弾くかずみ。

チリンと音が鳴り、かずみは一瞬で現われたマントで体を覆い隠す。

そしてマントを広げ、翻すと、一瞬で魔法少女の衣装へ。

 

 

「魔法少女! かずみ★マギカ!」

 

 

そして空中に浮かび上がった十字架をつかみ取ると、魔力が解放され、黒いオーラーがキラキラと星のように瞬く。

 

 

「――ッ!」

 

 

左手でデッキを突き出す蓮。するとVバックルが腰に装備された。

右手で握り拳を作ると、肘ごと左側へ移動させる。

 

 

「変身ッ!」

 

 

デッキをセット。

すると鏡像が現われ、重なり、ナイトへと変身する。

 

 

「仮面ライダーナイト」

 

 

ナイトは、ダークバイザーを構えた。

 

 

「ッ!」

 

 

左手でデッキを突き出す真司。Vバックルが装備される。

右手を斜め左上に強く、強く、それは強く突き伸ばした。

 

 

「変身ッ!」

 

 

デッキをセット。

鏡像が重なり、龍騎に変身。複眼が一瞬だけ光り輝いた。

 

 

「仮面ライダー龍騎! ッシャア!」

 

 

中央にRXを置き、左からまどか、龍騎、RX、ナイト、かずみの順で並びたつ。

戸惑うダークプルートを、RXが強く指差す。

 

 

「バッドエンドギアの頂点にして絶望の具現、ダークプルート! 人々の想いを踏みにじり無限の絶望を与えようとするお前の悪は、俺が、俺達が絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛ッッ!」

 

「愚かな……! ならば私自らの手で地獄に送ってやる!!」

 

 

そこでエンジン音。

 

 

「仮面ライダーよ! 世界を駆けろ!」

 

「なに……?」

 

 

ダークプルートがふと視線を移動させると、丘の上にライドロンが停車する。

そしてガチャリとドアが開くと、なんか――、増えた。

 

 

「仮面ライダー! ブラァアアッッ!!」

 

 

仮面ライダーブラック。追加。

 

 

「俺は悲しみと炎の王子! RX! ロボライダー!」

 

 

仮面ライダーブラックRXロボライダー。追加。

 

 

「俺は怒りの王子! RX! バイオ! ライダーッ!」

 

 

仮面ライダーブラックRXバイオライダー。追加。

 

 

「え?」

 

 

ダークプルートは動きを止めた。

ライドロンには時間を超える力がある。異なる時間軸から光太郎を連れてきたのだ。

 

 

「そんなの――、ありか?」

 

「あ゛り゛だ!!」

 

 

光のオーロラが生まれた。

煌く稲妻を身に受け、龍騎、まどか、ナイト、かずみ、ブラック、RX、ロボライダー、バイオライダーたちは走り出す。

 

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

爆発が巻き起こる。

ダークプルートは手を足をバタつかせて地面に倒れた。

 

 

「ば、馬鹿なッ! ありえん! ありえんぞォオオ!!」

 

 

禍々しい剣を出現させ、ダークプルートは走り出す。

だがしかし残念ッ! そこにはロボライダー。

 

 

「あぁあ!」

 

 

バキンッ! と音がして振り下ろされた剣が粉々に砕ける。

 

 

「ロボパンチッッ!」

 

「ぐあぁあああ!」

 

 

鉄拳を受けて吹き飛ぶダークプルート。するとロボライダーの複眼が光った。

 

 

「に゛がさ゛ん゛」

 

 

吹き飛ばしたのはロボライダーなのだが、まあよしとしよう。

 

 

「ボルティックシューター!」

 

 

光線がダークプルートを空に打ち上げる。

 

 

「なめるなよォオオオ!!」

 

 

無数の光弾を発射するダークプルート。

だが無念。そこにバイオライダー。

 

 

「攻撃が全く当たらないぞ!!」

 

「バイオアタック!!」

 

「ぐあぁあああ!」

 

 

悲痛な叫びが響いた。

ダークプルートが行うありとあらゆる攻撃がゲルを通り抜けていく。

ゲルに巻き込まれボコボコにされているダークプルートを睨んでいたのはブラック。拳をギリギリと音が出るほどに握り締める。

 

 

「許さんッ! 絶対に許さん!!」

 

 

そして地面を蹴った。

 

 

「ライダァアア! パ゛ァンチッッ!!」

 

「ぐあぁぁああぁあ!」

 

 

旋回しながら吹き飛ぶダークプルート。

いけない、すぐに立ち上がるが、眼前には発光する足。

 

 

「ライダァアア! ケィェ゛ア゛ッック!」

 

「グェアァアァア!!」

 

 

煙を上げて後方へ吹き飛ぶダークプルート。

墜落地点には既にまどかが先回り。光の翼を広げて高速旋回、翼でダークプルートを打ちながら空に巻き上がる。

その中でまどかは詠唱を行っており、ある程度上空に巻き上がったところで弓を引き絞る。

 

 

「スターライトアローッ!」

 

「グオォォオォオ!!」

 

 

射手座が発射。巨大な光の矢を腹部に受け、ダークプルートは地面に墜落していく。

 

 

「かずみちゃん!」

 

「任せてまどか!」

 

 

異端審問。

地中から無数の十字架が伸び、落ちてきたダークプルートを刺し捉える。

 

 

「撃ち込むよ! ありったけ!」

 

 

停止したギアを双剣で切りまくるかずみ。

さらに地面を蹴って跳躍。十字架型の二丁拳銃でダークプルートを蜂の巣にする。

 

 

「ガガガガアガガ!!」

 

 

まだ終わらない。着地と同時に空に浮かび上がるかずみ。

その周りには十字架の小型支援ビットが無数に展開し、手裏剣のように高速回転しながらダークプルートを切裂いていく。

そして空に浮かび上がったかずみは十字架から大剣を伸ばすと、思い切り振り下ろした。

 

 

「グアアアアアアアアアア!!」

 

 

そして振り上げ、空に浮いたダークプルートに向けて――

 

 

「リーミティ・エステールニ!」

 

「ギャアアアアア!!」

 

「真司さんッ!」

 

「ああ! 任せろ!」

 

 

空に打ち上げられたダークプルートを、空中から降って来た龍騎がドラグクローで押さえつけ、そのまま地面に叩き落とす。

さらにドラグクローでダークプルートに噛み付き、捕まえると、そのまま叫び声をあげて大きく振るい、投げ飛ばす!

 

 

「蓮ッ!」

 

「ああ!」

 

 

空中に放られたダークプルートをナイトが高速で切り刻む。

連続で切り抜けるなか、大量の火花とダークプルートの悲鳴が響いた。

 

 

「終わりだ! 決めるぞ!」

 

 

剣を振るい、ダークプルートを地面に叩きつけるナイト。

すると皆が同時に地面蹴った。

 

 

「ダアアアアアアアアアア!」

 

 

龍騎。

 

 

「ハァアアアアア!」

 

 

まどか。

 

 

「ヤァアアア!!」

 

 

かずみ。

 

 

「タアアアアアア!!」

 

 

ナイトが飛び蹴りを、立ち上がろうとしたダークプルートに直撃させる。

 

 

「ォオオォォ! ごぉぉおぉぉ!!」

 

 

四方向からの衝撃。

ダークプルートは悲鳴を上げてその場に立ち尽くす。

一方で飛んでくる黒。

 

 

「リボルケインッ! トゥアッ!」

 

 

衝撃に立ち尽くすダークプルートへ、RXはリボルケインを突き刺した。

 

 

「う――ッ! オゴォォオ!!」

 

 

まだ終わらない。

龍騎はドラグセイバーを、ナイトはダークバイザーを。

まどかは蟹座の力で出したハサミを。かずみは十字架をダークプルートに突き刺した。

 

 

「ェァア゛ゥ! おぉおおお゛! オオオオオオ!!」

 

 

四方から突き入った刃。ダークプルートの中にあるエネルギーが暴走を開始する。

目からスパークが散った。それを確認すると、RXは、龍騎は、まどかは、ナイトは、かずみは刃を引き抜き、ポーズを決める。

 

 

「オォォォォ! オォォォォオオ!」

 

 

全身から火花をシャワーのように噴出しながら、ダークプルートは両腕を広げた。

 

 

「そんな――、そんな馬鹿な――ッ!」

 

 

そして、ダークプルートは地面に倒れた。

 

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

大爆発。

あたりの地形を吹き飛ばすほどの衝撃が走った。

爆風はまどかがしっかりと結界でガード。

 

 

「やっ――」

 

 

●――――【【【絶 望 連 鎖】】】――――●

 

 

「!」

 

 

●●●●●【【【狂・気・融・合】】】●●●●●

 

 

「認めるカァアアアアアアアア!!」

 

「!」

 

 

切り札であるキングストーンのレプリカが全く通用しなかった。

なぜだ? なぜ、なぜッ! なぜ!?

分からない。忘れよう。この敗北は、忘却だ。ギアはイツトリを取り込み、巨大な歯車に変わる。

そして次元の亀裂の奥へ入り、そのまま龍騎たちから逃走した。

 

 

「力は失うことになるが、別世界に逃げ込み――! 新たな絶望を!!」

 

これは全て何かの間違いだ。

あれだけ圧倒していた参加者が、なぜこんな急に力を。

 

 

「私が負ける理由など――ッ、ある筈がない!」

 

「ギア、お前はまだ自分が負けた理由が分からないのかよ!」

 

「なにっ!?」

 

 

不思議な事ではない。龍騎はギアを指差し、叫ぶ。

 

 

「正義がッ、悪に負けるわけないだろ!!」【サバイブ】

 

 

激しい炎が龍騎を包み、直後、空間が弾け飛ぶ。

そこから姿を見せたのは龍騎サバイブ。

さらにそれに続くように、まどか達も力を解放する。

 

 

【サバイブ】

 

 

風が鎧を青く染める。

ナイトサバイブはマントを翻し、嵐の中から姿を現した。

 

 

「ハァアア!!」「ハァアア!」【アライブ】【アライブ】

 

 

まどかとかずみも叫び、魔力を増幅させる。

概念体、究極(アルティメット)なる女神の姿となったまどか。

さらにかずみもアライブ体へ。服装が紫がかった白いドレスになり、ショートカットの髪がロングに変わる。頭には小さな魔女帽子。

さらに杖は十字架ではなく、十字架を中心から貫いたような杖に変わった。

 

 

「スカーラ・ア・パラディーゾ!」

 

 

かずみが叫ぶと、虹色に輝く道が伸びる。

それは亀裂の中に入り、仮面ライダーと魔法少女をギアと繋げる。

 

 

「行こッ、みんな!」

 

 

かずみの言葉に頷く一同。

ふと、龍騎とRXは目を合わせ、頷きあう。

 

 

「ココはキミが決めろ、龍騎! 俺の力を!」

 

「はいッ! 頼りにしてますよ、大先輩!」【ストレンジベント】

 

 

ストレンジベント。使ってみないと何が起こるか分からないカード――、との説明であるが、実際はその場に一番適応したカードに変わるという代物だ。

絵柄が変わり、ストレンジベントは特定の物を合体させるユナイトベントへと変わる。

 

 

【ユナイトベント】

 

 

するとどうだ。その場にいたRX、ブラック、ロボライダー、バイオライダー。

さらにアクロバッターとライドロンが光となり、出現したドラグランザーに吸い込まれた。

すると変形。ドラグランザーは、仮面ライダー達の力を集結させた、『RXランザー』へと姿を変える。

 

 

「FOOLS,GAMEを終わらせる!!」【ホイールベント】

 

 

変形するRXランザー。バイクモードとなり、そこへ龍騎が飛び乗る。

 

 

「行くぞ皆!」

 

 

龍騎に続き、ナイトもダークレイダーをバイクに変えて飛び乗った。

さらに翼を広げるまどか。かずみも魔法で浮遊し、さらに加えて魔法を発動。

 

 

「メテオーラ・フィナーレ!」

 

 

そして龍騎たちは最後のカードを。

 

【ファイナルベント】【ファイナルベント】

 

 

一同は集まり、一気にスタートする。

 

 

「!」

 

 

後ろを振り返るギア。

するとそこにはリボルケインの光を纏い、突進してくる仮面ライダーと魔法少女が見えた。

 

 

「馬鹿な! 馬鹿なッッ! そんな馬鹿なァアッッ!!」

 

 

いや、おかしな事ではない。

不思議な事でもない。

これは必然である。

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

自由のために戦う仮面ライダーが――!

 

愛のために戦う魔法少女が――!

 

正義のため、平和のために戦うヒーローが、ヒロインが!

 

人を傷つけようとする悪党なんかに負けるわけがない。

 

 

「アァッ! ウガァァアァアァアアァア!!」

 

 

も は や 魔 獣 な ど、龍 騎 達 の 敵 で は な か っ た !

 

 

「魔獣がッ! 私が負けるッ!?」

 

 

龍騎たちは光に包まれ、ギアを貫いた。

歯車が爆発し、粉々になった破片に塗れてギアがさらけ出される。

ふと――、前を見る。

そこには、バイクから飛び降りた龍騎が目の前にいた。

 

 

「忘れ物だぜ!」

 

「ヒッ!」

 

 

左手でギアの肩を掴む龍騎。その右手にはランザークロウが。

 

 

「言ったよな! 一発殴らないと気がすまないって」

 

「ま、待て! 落ち着け龍騎! 話し合おう! そうだ! 世界の半分をお前にくれて――」

 

「うるせぇえ! コレで終わりだァアアアアアアア!!」

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 

龍騎の全てを込めた拳がギアの顔面のど真ん中を捉え、文字通り消し飛ばした。

連鎖するようにギアの体も木っ端微塵に吹き飛ぶ。空間が元に戻り、龍騎たちは採石場に舞い戻る。

さらにギアが死んだ事で内蔵されていたカードが解放され、ほむら達は次々に元の姿に戻っていった。

 

 

「あれ? 私はどうなって……」

 

「ほむらぢゃーんッッ!!」

 

「わ!」

 

 

衝撃、ほむらが横をみると、まどかが涙目で抱きついてきていた。

 

 

「やっだよぉ! わだじがんばっだよぉ!!」

 

「お、落ち着いてまどか。何がどうなって――」

 

 

一方でかずみも同じようにサキとニコに飛びついている。

 

 

「ぼべべーっ! ばんばっばらぼめべーッッ!!」

 

「お、落ち着けかずみ、何を言っているか分からんぞ!」

 

「は、鼻水を私で拭くな! ばっちいぞ! かず――ッ、ぎゃあああ!」

 

 

正直ほむら達からしてみればなんのこっちゃではある。なんだかよく分からないうちに全てが終わっていたというか。

 

 

「どうなってるんだ、秋山」

 

「俺にもよく分からん」

 

「は?」

 

「ただ――」

 

 

手塚と蓮は真司を見た。

美穂に押し倒されて手足をバタつかせている。

 

 

「頑張ったな真司ー。よく分かんないけど頑張ったなー!」

 

「おい美穂! お前どこ触ってんだよ! おいッ! おいて! アッー!」

 

 

間抜けに吼える真司を見て、蓮は小さく笑った。

 

 

「悪くない。この力も」

 

 

そして、蓮はRXを見る。

RXは全てを察したように、ゆっくりと頷いた。

 

 

『まだ終わってないよ』

 

「!」

 

 

しかしそこで白いのと黒いのが。

 

 

『クヒヒハハ! いい感じだぜぇ! テメェらのパワー!』

 

『ああ、まさか魔獣を倒すとはね。そしてその際に見えたエネルギー。あれはボクたちにとってとても興味深いものだ』

 

 

これを有効利用しない手はない。

キュゥべえは赤い目を光らせて一同を見る。

 

 

『どうだろう? 魔獣が死んでもゲームはできるよね。そこでインキュベーター管理下のもと、新しいFOOLS,GAMEを――』

 

「キングストーンッ! フラッシュ!」

 

『うわああああああああ! なんだこの温かく優しいまろやかな光はぁあッ!? 宇宙のエネルギーが無限に満たされていくぅーーッッ! 全部僕が間違っていたぁあああッ、魔法少女の体は全部治したよぉお! 戦いで犠牲になった人たちも皆蘇生させたよぉ、ついでに破壊されたモノも全部戻しておいたよぉ。ついでに北岡の病気も治しておいたよぉ。蓮の恋人もパッチリだよぉ。なんかあとは他のヤツもいい感じになるようにしておいたよぉ。今後も争い起きないようにみんなの精神状態もなんかこういい感じになってとにかくもう乱暴が起こらないようにしたよぉ。もうしないよぉ、みんな友達だよぉ、ありがとう仮面ライダーブラックアールエッくすぅうぅぁぁあああああああああああああああ!』

 

『ボランティアーーーーーーーーッッ!!』

 

 

RXが放つ光に包まれて蒸発するようにキュゥべえとジュゥべえは消えていった。

これにて――! イ ン キ ュ ベ ー タ ー 完 全 消 滅 ☆ !

 

 

「まどかーッ!」

 

「まどかさん!」

 

 

さやかと仁美はまどかに抱きつくと、涙を出して笑顔を浮かべる。

 

 

「ソウルジェム! 出ない!」

 

「じゃあ!」

 

「はい! そういう事ですわ!!」

 

「!」

 

 

太陽のような笑顔を浮かべて、まどかは皆と抱きしめあった。

気づいているだろうか。

そこに、RXの姿はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

南光太郎は喜びを胸に、アクロバッターを走らせていた。

こうして、仮面ライダーと魔法少女の活躍により、また一つの世界が救われた。

 

光太郎一人では、ギアには勝てなかっただろう。それは真司も、まどかにも言えることである。

 

騎士は魔法少女を守り、魔法少女は騎士の心を守る。

 

二つの存在はお互いを支える、まさに最高の仲間なのだ。

 

人は弱い。

だからこそ補いあい、助け合う。

 

他者を思いやる優しさ、そして愛こそが人がもつ最大の武器なのだ。

 

 

しかし、助けを求める世界は他にもある。

運命の戦士を待つ者達はまだいるのだ。

 

戦え! 南光太郎! 救え、ぼくらの仮面ライダーRX!

 

 

「俺は、仮面ライダー!」

 

 

次の世界も――ッ、ぶっちぎるぜ!!

 

 

 

 

                                       おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME End Number『12』 END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女はムクリとベッドから起きると、しばらく抱きしめていたクマちゃんのぬいぐるみをボケっと見つめていた。

 

 

「……夢落ちぃ?」

 

 

しかし、目を見開き、にんまりと笑う。

 

 

「――じゃ、ないよね!」

 

 

少女はドタドタと階段を降りてリビングに向かう。

 

 

「おはよう! グッドモーニング! お母さんッ!」

 

「おはよう、ご飯食べる?」

 

「うん! パンちょうだい!」

 

『フルーラ! 今日はご主人様のために宇宙の藻屑となった生命体をサルベージするよ!』

『まあ、楽しそうねゼノン! 黒いのと白いのを探せばいいのね!』

『ああ! 広い砂浜の中でゴマを探す作業と思ってもらえばいいよ!』

『最悪ね! うちの主人は闇よりも真っ黒だわ!』

 

 

テレビの中ではカラフルな髪をしたアニメキャラがはしゃいでいる。

あれはフィクションだが、もしかしたら本当にどこかの世界であの主人公とヒロインが存在しているパラレルワールドがあるかもしれない。

だから、あのアニメは現実かもしれない。そう思うと、少女はますます笑顔になる。

だって、そしたら、あの夢は――

 

 

「遊びに行ってくるね!」

 

「もう、パン咥えたままで。もうすぐ中学二年生なんだから、もっと落ち着かないと駄目よ?」

 

「えへへ、気をつけまーす!」

 

 

少女は家を飛び出し、友達のところへ。

 

 

「アヤちゃーん! 遊びにきたよー!」

 

「あ、おはよう! 待ってて、今準備するね」

 

 

今日は映画を見に行く約束だ。

二人は並んで町を歩き、もう一人の友達を迎えにいく。

その途中、アヤはニコニコしている少女に気づいた。

 

 

未来(みらい)ちゃん。今日はなんだか嬉しそうだね」

 

「うん! 夢を見たの。とっても幸せな夢!」

 

「本当? 最近悪夢を良く見るって言ってたから心配してたんだ」

 

「そうなんだよぅ。でもね、大丈夫! もう大丈夫なんだよ!」

 

「どうして?」

 

「みんな幸せそうに笑ってた。みんな楽しそうに笑ってた。今度一緒にイチゴリゾット食べに行くって言ってたんだ!」

 

「イチゴ? お、美味しいのかな?」

 

「わかんない! でもね、みんな笑顔で食べればきっと美味しいよね!」

 

「うん! だね! あ、でもあの人は? 夢で怖いトンボのお化けに襲われてるときに、助けてくれた人!」

 

「うん! 笑ってたよ!」

 

 

満面の笑みで、未来は言った。

 

 

「一番楽しそうにまどかちゃんと笑ってた。だからね、もう大丈夫だね!」

 

 

笑い合い、歩いていく未来とアヤ。

それを――、門矢士は見ていた。

 

 

「……フッ」

 

 

 

小さく笑うと、士はシャッターを切る。

満面の笑顔を浮かべている未来の背中をカメラに収めると、士はマシンディケイダーを走らせ、次の世界に向かうのだった。

 

 

 

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