仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME 作:ホシボシ
人 を守 た にライダーに を守っ もい い!
を る 俺のせいだ
許せ! ん!!!
でも もう ない
ぬなよ ん
すこし……
「―――!!」
なんか、いろいろ……。
「―――ぃ!」
景色が、変わっていって……。
「――んじ!」
俺、何してたんだっけ?
「真司ッ!!」
「むにゃ……?」
あれ? ここって――
「まあいいか。寝よ」
「何がいいかだ! さっさと起きろ馬鹿ッッ!!」
「いっ!!」
頭部に衝撃を感じて、トビウオの様に跳ね上がる。
視界に飛び込んできたのは、トンボみたいな化け物がウジャウジャ見える場所ではなく。変な連中に囲まれてなにやら危険な状況になってる景色でもなく。ただパソコンだのホワイトボードだのが置かれている場所だった。
「あ、あれ? ここって……! ど、どこ!?」
「真司くぅんッッ! 会社に寝泊りさせてもらってる分際でそれはないんじゃないかなぁ? んんんッ? 編集長パンチくらいたいのかなぁ?」
「い、いやッ、いいです! へへへ、やだな編集長。顔が怖いですよ。ね? 顔が。はは……!」
引きつった笑みを浮べて
寝ぼけていたから一瞬自分がどこにいるか分からなかった。
そうだ、昨日家に帰れなかったから会社で寝てたんじゃないか。変な夢を見たせいでおかしな気分だ。
城戸真司。彼はモバイルニュース配信会社『BOKUジャーナル』の記者、見習いである。
あまり大きくない会社だが、いずれは大手企業になるだろうと夢を抱いて、真司は今日もスクープを求めていく。
今日特に、自信に満ち溢れていた。なにせ、とっておきのスクープを手に入れたのだから。
それは、たまたま真司が昨日発見した奇跡的な産物だった。この革命的な情報をいち早く皆様にお伝えしたい。いやッ、しなければならない。
それがジャーナリストの道に身をおく自分の使命だと――
「編集長! 面白いネタがあるんですよ!! すげぇネタが!」
「ほう、まあ言ってみろ」
「プリンに醤油をかけるとウニの味に――」
殴られた。酷い。
自信作が没となってしまい、真司は涙目になりながらスクープを求めにいく。
なにやら最近は物騒な事件も多い気がする。事件が多ければそれだけ人は真実に興味を示すというもの。
真実を求める人たちの為に、戦え城戸真司!
「うッしゃあ! やるぞぉぉおおッッ!!」
「で? どうだった訳?」
「いや、それが……ッ」
その後、17時30分。喫茶店のテラスで真司はうな垂れていた。
向かい側に座っている女性はストローを噛んでブラブラ弄びながらニヤついている。
同じくコーヒーを持ってきた店員もバカにしたように笑っていた。
「成果なしかよ。ダメダメじゃん」
「うッ」
確かに今日、この見滝原市をスクーターで駆け回ったものの、スクープらしいスクープは一つも見当たらなかった。
まあ、それだけこの街が平和なのだから、その点は喜ぶべきなのだろうが、やはりこんな状況が続くと焦ってしまうのも事実である。
何も無いと言うことは、同時に仕事が無いと言うこと。ただでさえ大きくない会社なのにそんな状況が続けばどうなるのか。
「フッ、廃業の日も近いか?」
「おいおい、冗談止めてくれよッ!」
真司の脳裏に『無職』の文字が浮かび、震え上がってしまう。
いくら見滝原が平和と言えど、就職状況は平和ってワケでももない。
「あのな、コネで働いてるお前にはな! 新しい職につくのがどれだけ大変なのか分からないんだよ!」
真司は不満げな表情で、
高校時代からの友人で、蓮は今、知り合いのコネでこの喫茶店『アトリ』のウエイターをやっている。
喫茶店と言ってもそれなりに大きいもので、繁盛している様だ。
あまりそう言う話はしないが中々高収入とも聞く。噂に聞けば、"スライス秋山"なんて異名すらあるらしい。
どう言う異名だよ、なんて思ったが正直なんかカッコいい。
真司としてもも二つ名が欲しい物である。例えば『シャッター城戸』とか、『ゴールデンキャンサー真司』とか、『ミルキーボーイ城戸』とか。『パイナポーしんちゃん』とか。
いや、やっぱりなんでもない。
「ざけんなよ! テメェもコネ入社だろうが!」
ふと、真司の向かいに座ってる女性がおしぼりを投げてきた。
なんでも保健室の先生になるべく、いろいろやっているらしい。若いし、美人と言う事で生徒からはそれなりに人気もあるようだ。
とは言え、この口調のとおり中身はかなりガサツである。
美穂の言うとおり、真司も高校の先輩である『大久保編集長』に誘われたのが原因でBOKUジャーナルにいるわけだ。
「さて、と」
真司を弄る事に飽きたのか、蓮は二人に別れを告げる。
時計を見て、小さくため息を漏らす。これから蓮は病院に行くのだろう。
蓮はいつも――。いや、『毎日』病院へ行くのだ。
「まだ、恵理ちゃんは?」
「……うん」
本当なら、今日だって四人揃ってここにいる筈だった。
そうだ。いつも四人は揃っていた。卒業しても離れる事は無いと誓った。
現に、まだ卒業して数年しか経ってないが、真司達はほぼ毎日顔を合わせているじゃないか。
だけど、彼女だけは違う。
だがある日、交通事故で意識不明の重体となり――、一命こそ取り留めたが、意識が戻る事は無かった。
医者からもどうなるか分からないと言われ、一生このままの可能性もあるとの事だった。
だが、それで蓮や真司達が納得するのかは別だ。必ずまた四人で笑い会える日がくると皆信じていた。
美穂の姉も、美穂が中学生のときに事故で亡くなっている。だからこそ恵理の事はより深く考えてしまう。
真司だってそうだ、何もできない事があんなに悔しいなんて思わなかった。
しかし結局と真司たちは弱い人間。何かをしたいと思えど、それを叶える力が無い。
とにかく今は一刻も早く恵理が目覚めてくれることを願うだけだ。
後は、そう、彼女が目覚めた時に笑われない様にしっかりと生きるだけか。
「もうこんな時間か。そろそろ帰るかな」
「迷子になるなよ真司」
「なるわけないだろ!」
そうやって段々と日が落ちてくる。
真司と美穂はふざけあいながら、それぞれの帰路につくのだった。
「ん?」
真司は立ち止まる。
帰る途中、道にゴミが落ちているのを見つけた。
幸い近くにゴミ箱もある。
「ったく、ゴミくらいちゃんと捨てろよな」
なにやら四角いケースの様な物だ。特に気にする事なく、ゴミ箱にそれを放り投げる。
これでよし。真司はそう思って踵を返した。
「……あれ?」
おかしい。同じ所にまたゴミが置いてある。しかもさっきのゴミと形が同じに見える。
もう一つあったのか? 真司はまた同じ様にゴミ箱にそれを捨てた。
そして――
「……え?」
踵を返した真司。また同じ場所に、同じゴミがある。
おかしい。さすがに違和感を感じた。
もしかしてドッキリだろうか? この様子を近くの人が撮影している? いろいろ思い浮かぶが、いずれにせよ良い思いはしない。
「き、気持ちわるいな!!」
少し怖くなって真司はそのゴミをしっかりと掴み、ゴミ箱に入れる。
コレで最後にしよう。そう思ってそのゴミ、なにやらケースのような物がゴミ箱に入っていくのを見届ける。
「ん?」
そして気がついた。
おかしいのだ、ゴミ箱のどこを見ても捨てた筈の二つのケースがない。
いやいや、それだけじゃない。たった今捨てた筈のケースすらなかった。
ゴミ箱の中は空っぽ。他に何のゴミも入っていないおかげで、より空虚さが溢れてくる。
「ッ!?!??!」
パニックになる。つまりゴミがゴミ箱から出て行った。
いやいや、そんなホラーな事ありえる訳がない。真司は大きく首を振るとゴミ箱から逃げるように走り出した。
「ハァ……ッ ハァ……ッッ!!」
アパートにつくと鍵を閉めて、真司はそのままベッドに飛び込んだ。
「お、おちつけ俺っ。そうだ、きっと疲れてたからだよ。最近あんまり寝てなかったし……。ややッ、もしかしたら蓮が黙って水に酒を混ぜたとか――」
カラン、と音がした。
「嘘……、だろ!?」
ポケットから落ちたのか。それとも初めからそこにあったのか。
それは分からない。だけど一つだけ分かる事があるなら、それは黒くて四角いケースが部屋の床にあった事だ。
そこで真司は気づいた。そのケースの中、見れば数枚のカードが入っているじゃないか。
つまりそれは『カードデッキ』。そのデッキがここにあると言う事なのだ。
「編集長! スクープッッ!! スクゥゥゥプゥゥゥ!!」
「うるせぇ! なんだよ、どうした?」
翌日。真司は昨日あった事を編集長に打ち明けた。
あれから何度実験してみてもデッキは自分の所へ戻ってきたのだ。
捨てても、どこぞにしまっても。気がつけば自分の手元にある。
最初は恐怖でおかしくなりそうだった。
と言うか、既におかしくなっていたのかもしれない。
電子レンジでデッキをほかほかに温めてから、マヨネーズとソースと青海苔をかけた所でハッとした時は、本格的にヤバイと思った。
あのままだったら手に持っていた鰹節をかけておいしく頂くつもりだったのだろう。
「とにかく、そんなこんなで一日冷静に考えてみたんです!」
「ふーん」
「これはもしかして神様が俺に与えてくれたチャンスじゃないのかって!」
「おーん」
「よく考えてみればですよ! どんなに捨てても戻ってくるデッキなんて相当なスクープ、話のネタじゃないっすか編集長! そう、これはきっとホラーなんかじゃなくて神さまが日々毎日を必死に生きている俺に下さったチャンスなんだ!!」
「すごーい」
編集長は全く信じていない様子だったが、まあ現物を見せれば掌を返した様になるだろう。
真司は半ばドヤ顔で編集長にデッキを叩きつけた。
「これがッ! そのデッキ!!」
「………」
無言。
なんか、嫌な空気が流れている様な気がするのだが――。
「あ、あの……」
「どこだ」
「へ?」
「そのデッキはどこにあるんだって聞いてんだよ……」
「な、何言って―― そ、そこにあるじゃ――ッ!」
そこ。編集長は、真司が指差した場所を見る。
確かにそこにはデッキが置いてあり、どんな人間でも気づくはずだ。
『ソレ、お前以外の人間には見えないぜ』
「へっ!?」
急に声が聞こえた。
だが、変だ。普通に話しかけられたのではなく、頭の中に話しかけられた様な気分だった。
音を耳で拾うのではなく、脳で聴くような不思議な感覚だ。
「ってか、俺以外の人間に見えないって――?」
「真司くぅぅん――ッッ! ついに頭がおかしくッッ! なったのかなぁぁぁッ!?」
「え? あッ、いやッ! 違ッッ!! ほら! これッッ!!」
そんなまさか。だが仕方ない。
真司はデッキを掴んで。それをそのまま編集長に投げつけた。痛いだろうがデッキの存在を確認してもらうにはコレしかない。
デッキは回転しながら編集長の眉間にぶち当たる。
やりすぎたか? そう心配する真司だったが――
「んな事してる暇があったらさっさと街中駆け回ってこぃぃぃいぃッッ!!」
「ごッッ! ごめんなさいぃぃい!!」
どうやら、感覚すら感じられないらしい。
あんなにクリーンヒットしたのに編集長は眉毛一つ動かさず怒鳴り声を上げるのだ。
もう無理。真司は確信すると逃げるようにBOKUジャーナルを飛び出していくのだった。
「はぁッ、今日は散々だった」
帰り道。
真司はスクーターを走らせながらぼんやりと考えていた。
明らかに普通じゃない事に巻き込まれたのは確かだ。こういうのはやはり個人で解決しようとするのは良くない。
「明日警察にでも行ってみようかな……」
真司は不安と恐怖が混じったため息をもらす。
仕事は最近うまくいってないし。変な事には巻き込まれるし。
恵里の事だってある。明日見舞いに行こうかな? 美穂だって――
「ん?」
違和感。スクーターを走らせるのは、通いなれた道だ。
景色はもう完全に記憶しているし、道を間違える事なんて絶対にありえない。
しかしどうだ、今は。
「あれ!?」
スクーターを止めて辺りを見回した。
お洒落な街灯、石畳の道。バラに埋め尽くされた草の壁達。そして変な文字が羅列した看板やら建物やらが見える。
いつの間にか真司は全く知らない場所に来ていたのだ。
「ど、どこだよここッ!?」
いつもの道を走っていたのに、どうして全く知らない場所に出るんだろうか。
真司の脳が完全にパニック状態となる。これもデッキを拾った事と関係があるのだろうか?
自分の状況が分からず、しばらく辺りをウロウロと歩いていたが、やがて笑い声の様な物が聞こえてきた。
「なッッ!!」
最初、真司はそれを生き物だとは思わなかった。
ゴミや、袋が地面に落ちているのだとばかり思っていたが、どうやら違うらしい。
「なんだよアレッッ!!」
本能が危険を感じ、真司はすぐにスクーターに戻り、走らせる。
見えたのは毛玉に髭が生えた『化け物』だった。城戸真司と言う人間が今まで生きてきて、あんな生き物が存在するなんて情報は持った事が無い。
ならばアレは普通じゃないものだ。
それが何かは分からないが、『関わるな』と全身が警告していた。
真司はスクーターのスピードを最大にして、やって来た道をひたすらに戻っていく。
だが、どんなに走っても走っても何も変わらない。
この異質な空間から逃げられない! ランニングマシーンにでも乗っているのかのように、同じような景色だけが連続で続いていくだけ。
「うッ! うわぁッッ!!」
そのうちに後ろだけでなく、四方から毛玉の化け物がやってくる。
真司に襲い掛かる恐怖の感情、思わず助けてと叫んだ。
まさか死ぬ? 訳も分からないまま? そんな事が脳裏によぎった時、ふと声が聞こえた。
『死にたくないだろ? んじゃ変われよ』
「!」
何? 変わる? それって――
「そこまでよッ!!」
「!」
瞬間、まさにそれを言い表すなら『爆雷』。
眩い光と共に、美しい色を持った雷が毛玉の化け物に降りそそいでいく。
いやそれだけではない。帯電しながら悶え苦しむ化け物達に待っていたのは、無数の光弾だった。
「うっ! うわぁあああ!!」
光が化け物に触れると、物凄い爆発を起こして対象を塵に変えていく。
次々に起こる爆発も爆発。真司も爆風に呑まれて吹き飛ばされてしまう。
「なんだよもう、好きにしろ!」
半ばやけくそで叫ぶ。
了解と言わんばかりに爆発が背後で起こった。視界がグチャグチャになって、どこを向いているのかも分からない。
「おっ! おおおおぉぉおぉぉおッ!!」
真司は空中に放り出されていた。
そうなると地面に落下するのだが、何故かそうはならない。
真司は宙を華麗に舞っていたのだ。いや、正確には真司を『掴んだ人間』が舞っていたと言うだけの話。
誰に掴まれているかなんて今の真司に考える余裕はないが。
「こらマミ! 加減をしろ! 加減を!!」
「あはは! そうだって、マミさんてばやりすぎぃ!」
間違いない、これは完全に女の子の声だ。怒涛の勢いでグルグルと変わる状況。
その中でも必死に理解しようとすれば、少しは状況が見えてきた。
つまりなんだ。化け物に襲われた真司を助けてくれたのは――、『謎の女の子たち』と言うことだ。
「ごめんなさい! 大丈夫だったかしら!」
「どう? お兄さん大丈夫?」
「え? あっ! だ! 大丈夫!!」
反射的に答える。
気づけば、真司は地面にへたり込んでいた。
「じゃあまどか、お願いね!」
「うん! 分かったよさやかちゃん」
真司の目に飛び込んできたのは、『さやか』と呼ばれた青い髪の少女と、『まどか』と呼ばれた桃色の髪の少女。
なにやら洋風の装束に身をつつんでおり、日曜日の朝にやっている女の子向けのアニメに出てきそうな風貌だった。
コスプレ? 一瞬そう考えるものの、どう考えても先ほど真司を掴んでいた、さやかの腕力はフィクションじゃない。
(なら本物って事なのか?)
考えれば考えるほど分からない。
そうしていると、まどかの手が、真司の肩に優しく触れた。
「ッ!」
「今日見た事は、内緒にしててください」
桃色の光が真司の周りに展開し、円形の
「……ッ」
結界の中は甘い香りがして、とても落ち着く。
それだけじゃない、なんだか凄く眠くなってきた。
真司は薄れいく意識をなんとか保ちつつ、少女達を見る。
これは真実なのか? それとも夢?
「じゃあ打ち合わせ通りやりましょう」
「オッケー! マミさん、いっちょやったりましょー!」
「なっ! 本当にアレをやるのかッ!! ま、まどかも何か言ってくれ!」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいかなぁ……! なんて。えへへ」
「もう! こう言うのは形が大切なのよ! さ! いくわよぉ!」
四人いる。真司はぼんやりと四つの影を見つめた。
少女達の姿がもうよく見えないが、彼女達は一列に並ぶと一気にポーズを決めていた。
「あなたの悪事は私が潰す! 魔法少女マミ!」
「蒼き閃光、無敵の剣! 魔法少女さやか!」
「せ、正義の雷! 魔法少女サキ!」
「も、桃色ぴんきゅ! 魔法少女まろきゃ!」(かんじゃったぁ……)
「「「「我ら! マジカルガールズ4!!」」」」ドカーン☆
カラフルな爆発が見えた。気がする。
(マジ……、カル――。本当にいたんだ、魔法少女って……)
そこで真司の意識は完全に途切れた。
「はッッ!」
飛び起きる。
真司が目を覚ましたとき、そこは自分の部屋だった。
「朝になってる」
スクーターも駐輪場に止めてあり、先ほどのアレは夢だったのではないかと一瞬思ってしまった。
しかし夢じゃない事の証拠がある。着ている服だったり。さやかに掴まれた感触、まどかの結界。
爆風、爆雷、そしてあの化け物に囲まれた時の恐怖。あれら全てを『夢』で終わらせるなんてできない。
「お、おちつけ俺……」
頭をかく。真司にとってあの体験は悪いものではなかった。
カードデッキから始まり、化け物に魔法少女。現実や常識は一気に死んでいくが、これでもジャーナリストとしての探究心がある。
こんな事じゃ、へこたれていられない。
「多分ッ、デッキと彼女達は何か関係がある筈だ」
気づく。今の今までデッキの中身。つまりカードを見ていなかった。
急いでデッキからカードを出して並べてみると、合計五枚のカードが真司の前に並んだ。
子供達が夢中になっているトレーディングカードの様に見えるが、絵柄が何も描かれていない物なんてのもある。
「なになに? そ、そわぁど……、あッ、ソードベントウ……。弁当?」
剣が描かれているカードが一枚。これでゲームをするのだろうか? だとしたらこれは攻撃のカード?
調べる。ググる。助けて中学生の時に買ってもらった英語辞典。
「ソードベントか。じゃあコッチはガードベントだ」
盾が描いてある物。防御に使うのだろうか?
「んで、ス、スト……、ラ…イク……、ベント!」
何故か何も描いていない物。
「アド……、ベント」
これも何も描いていない。
「最後はファイナルベントか」
コレも無地。
だがファイナルとついている辺り、大切なカードなんだろう。
これで全てである。真司はそれらを再びデッキにしまうと、ゴロンと寝転んで天井を見た。
一応ネットで、該当するカードゲームが無いか探してみたが、どれもこれもヒットせず。
なにより思い出すのは、まどかの一言。
『今日見た事は、内緒にしててください』
「……内緒に、か」
やっぱり彼女達にも何か事情があるのかもしれない。
それを無闇に暴くのは褒められた事じゃない。だけど、せめてデッキの事は知りたかった。
魔法少女をスクープのネタにするのは止める。
「だけど、もう一度だけ彼女達に会ってデッキの事だけは確かめないと……」
これは真司も関与している問題だ。決意を胸に、彼はアパートの扉を開けて飛び出していった。
「ああ、俺も持ってるぞ。そのデッキ」
「ま、まじかよッ!!」
喫茶店アトリ。
とりあえず蓮に相談してみたらば、彼もデッキを拾ったと言うのだ。
最初は適当にあしらわれて馬鹿にされると身構えていただけに、これは予想外だった。
とは言え、蓮はさっきから動じる様子もなしにテーブルを拭いているのだが。
「しかし、お前も見て触れられるみたいだな。これは驚いた」
そう言って蓮は真司にデッキを投げつけた。真司はそれをしっかりと掴みとる。
間違いない、同じだ。真司の拾ったデッキと同等のもの。
念のため、中身も確認してみるが、入っていたカードもまた同じだった。
「ど、どうするッ、蓮」
「気味が悪いのは確かだが、特に害もないからな。何かあったらその時にどうするか考える事にした」
「すごいなお前……」
「それにお前みたいに五月蝿いやつがいてな。文句を聞いてたら、なんだかどうでもよくなってきた」
「え?」
「霧島は警察にデッキを持って行ったぞ。でも、お前も知ってる通り、これは一般のヤツには見えない。おかげで俺もアイツも変人扱いだ」
どうやらデッキを持っている人間同士ならその存在を確認できるのか。
フムフムと、真司はメモに情報を書き留めていく。
「……は?」
「?」
「はああッ! 美穂のヤツもデッキ持ってんのか!?」
「お前も本当にうるさいな。そう言ってるだろ」
「ちょっと待て、情報が多すぎて……ッ!!
真司は落ち着くために蓮の周りをグルグルと回っていく。
邪魔だの、どけだの言われているみたいだが、気にしない。
「ちょ、ちょっと待てよ! それよりっ、美穂と一緒に警察行ったのか!」
「フッ」
「オイちょっと待て、何で笑った! おい! 蓮!!」
蓮は全てのテーブルを拭き終わり、ふきんを綺麗に折りたたむ。
意味深な笑みを浮べているのが真司にはどうにも引っかかったが、蓮は携帯を取り出すとそのメールを真司に見せた。
『馬鹿に電話したけど、アイツ電源切ってる。ッてな訳で一緒に警察いこーぜ☆』
「あぁ……、取材中は電源切るからな俺」
「良かったな。俺はお前の代わりだ」
「は、はぁ?」
「それより、これで分かっただろ。お前のせいで俺は警察から不審者扱いだ。謝れ」
「なんでだよ!」
蓮は床の掃除に取り掛かる。執拗にモップで真司の足元を拭いて行く様に見えるが、気のせいだと信じたい。
一方で真司は必死に考察中である。蓮、美穂、そして自分。これは偶然か? それとも意図されたものだとでも言うのか?
「今のところ特に異変らしい異変が起こった事はないしなぁ。って、おい! なんか足もとがビチョビチョなんだけど! お前もしかしてわざと俺付近を掃除してないか?」
「分かってるならさっさと帰れ。仕事の邪魔だ」
「ちぇ、分かったよ。あ、そうだ蓮、お前魔法少女に会った事あるか?」
「………」
「………」
「「………」」
蓮はそのまま店の奥のほうへ――
「ちょちょちょ! ちょっと待てよ蓮ッ! なんで無視するんだよ!!」
「城戸。俺は別に他人の趣味をとやかく言うつもりはない。だが、押し付けるのは止めろ」
「いやいやいや、違う違う違うって!!」
「残念だがな、魔法があってもお前の頭は治らない。それをまずは――」
「ああああ! もう分かった分かった! 俺は帰る! じゃあな!」
とりあえず真司はその足で美穂のところへ向かうことにする。
なんだかよく分からないが、見滝原中学校で保健室の先生になるべく実習中らしい。
今はまだ授業中。学校に入るわけにもいかない。しばらく時間をつぶすことに。
「……終わったのかな?」
そうやってチャイムが鳴ると、言い方は悪いが、中学生たちがワラワラと校門からやってくる。
一日の授業が終わり、部活をする者や、帰宅する者。
これから皆、各々の時間を過ごすのだろう。
「そう言えば、あの娘達も中学生くらいだったような――」
真司の心に淡い期待がよぎる。
昨日助けてくれた魔法少女たち。この学校にいるって事はないだろうか?
彼女達だって子供だ。勉強や生活がある以上、義務教育は受けなきゃいけないだろうし……。
「ま、いいか。こういうのは悩む前に行動だな。うん」
真司は一旦退避する事を決める。
美穂に直接話を聞く手もあったが、自分の目で確かめたいと言う思いがあった。
とりあえずそのままホームセンターに向かい、『明日の準備物』を買いに行くのだった。
翌日。
真司は大胆にも変装して見滝原中学校に潜入する事を決めた。
たとえどんな場所だろうと、ジャーナリストは自らの足で真実を追究するのだと……、なんかの本で見た気がする。
と言う事で真司は校門をくぐり、玄関を通り過ぎる。
(おお、すんなりいけたな。やっぱ俺って才能あるんだよなぁ。うはは!)
違う。違っていたのだ。真司は変装と言う物を熟知していたつもりだった。テレビや漫画を見て研究に研究を重ねたつもりだった。
だが真司が見ていた漫画はいかんせん対象年齢が低めのもの。だからサングラスにマスク、そして帽子と言う超絶NG三連撃を決めて浮かれていた。
他の生徒は真司が怖いから声をかけないだけであって、完全に生徒じゃないヤバイ奴が紛れ込んでいる事は分かっていたのである。
「止まれ不審者!!」
「へ?」
凛とした声が聞こえて真司は後ろに振り返る。
そこにいたのは泣きぼくろがある、眼鏡をかけたショートヘアの女の子。
龍騎も、まどかもとっても面白い作品なので、是非見てみてください(´・ω・)b
特にまどかはね、今、マギレコやってますんで。
みなさんも是非プレイして、富豪の方はジャブジャブ課金して、もっとまどか先輩をヌルヌル動くようにしてください。
ブレイブフロンティアの例もありますからね。
もしかしたら鎧武の新作も作られるかもしれませんな(適当)