仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME   作:ホシボシ

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大人向けのVバックルが発売されるみたいですね。
ライダーって変身アイテム出す時がトップクラスにカッコいいんですよね。
たとえばドライバー系をカチャって出したり、変身アイテムの小物を両手で構えたり。

龍騎だとデッキを懐出すのがメチャクソかっこいいですよね。


(´・ω・)やるんか? おお? やんのんか?
( ^ω^ )ワイも持ってるでデッキ。ほな……、やりましょか?


みたいな(適当)


第32話 双樹アルカ カルア樹双 話23第

 

 

 

ルカは眼前の地面を凍らせ、まるでスケートを滑るように龍騎達に向かっていく。

その中でほむらを睨みつけていた。凍てつくような殺気が解き放たれる。

 

 

「暁美ほむら。大切なあやせを傷つけ、さらに愛する淳を殴りつけた罪は償ってもらうぞ」

 

「貴方も芝浦の最低な考えに同意しているのね」

 

 

ほむらは盾を確認する。完全に凍り付いており、砂時計のギミックは起動できない。

それだけではなく、武器をストックしている部分も厚い氷で覆われており、手を入れる事はできなかった。

 

だからほむらは地面に落としていた日本刀を蹴り上げ、手に取る。

刹那、ほむらの刀とルカのサーベルがぶつかり合った。刃と刃を押し合えて、二人は睨み合う。

 

 

「同意? 当然でしょう? でなければあやせとの共存など不可能!」

 

 

古風な雰囲気が示す通りなのか、ルカの剣技はほむらのソレを圧倒していた。

もともと近接武器の一つとしてしか使用していなかったほむらに比べれば、やはりサーベルをメインとしているルカではレベルが違うと言う事か。

押し合ったのは最初の数秒で、以後はルカのターンとなる。

 

 

「おやおや、どうしました? 貴女の剣からは迷いが感じられる」

 

「ッ?」

 

 

ルカはあやせの中にいた訳だが、その間にも意識はハッキリとしていたらしい。

だからこそ観察していた。ほむらの中にある渦巻く感情を。

 

 

「パートナーやお仲間は戦いを止めたいと必死の様だが、肝心の貴女からはその必死さが伝わってこない!」

 

「!」

 

「パートナーと心を通わせなければ私たちの力には限界が見えますよ!」

 

 

ライアと龍騎は未だにガイへ説得の言葉を投げ掛けている。

しかし相手はもちろん聞く耳など持たぬ。大剣を振り回して龍騎とライアを傷つけようと存分に力を振るっていた。

確かに、ほむらは完全に無駄なことだと思っていた。

さっさと芝浦とルカを殺すことがベストであり、ベターだとも思っている。

しかしそれはまどかの意思を無視することであり――

 

 

「私達は淳を守る盾となり!」

 

 

その時、ルカはサーベルがほむらの持っていた刀を弾き飛ばした。

旋回しながら跳んでいく武器。拾いに行くのは無理だ。

ほむらは地面を蹴って大きく後ろへ跳んだ。

 

 

「私達は淳の敵を切り裂く刃!」

 

 

ルカは地面に手をついてカーゾフレッドを発動。

ほむらの着地地点に無数の氷の棘を出現させる。

このままならば着地したほむらは串刺しだが、ほむらは念のために装備していたベルト型のホルダーから手榴弾を取り出して棘へと投げた。

 

 

「そして、私達は淳を永遠に愛す!!」

 

 

爆発で棘は吹き飛んだが、着地と同時にルカはサーベルで切りかかってくる。

ほむらは凍りついた盾でソレを防ぎ、再び競り合いを始める。

 

 

「そうね。確かに私は戦いを止めようとする彼らの想いを疑問視しているわ」

 

 

そこまでする価値がコイツらにあるのか?

手塚は何故そこまでして傷つけあう事を嫌がるのだろう?

仕方ない事もあるのに、それを受け入れなければならないのに。

本人もそこまでは分かっているのに、何故最後の一歩を踏み出せないのか。

 

 

「ウッッ!!」

 

 

ほむらはホルダーからハンドガンを引き抜いてルカの腹部に突き入れる。

そこからゼロ距離での射撃、ルカは苦痛の声を漏らして後退していった。

残りの弾丸は盾の穴に打ち込んで見せる。先ほど、ルカの剣を受けた際にヒビが入ったのか、銃弾は氷を破壊して、なんとか武器を取り出せるだけの『穴』ができた。

ほむらは早速盾からもう一つハンドガンを引き抜くと、二丁拳銃の構えとなる。

 

 

「だから私は、私の理由で戦うわ。大切な者を守る為に」

 

「ッ」

 

 

弾丸を放つ。しかしルカは自らの体に氷の層を作る事でダメージを軽減していった。

ルカはそこで、ほむらの瞳に輝く光を見た。

成る程、パートナーとは違う理由だが信念は持っていると。

 

 

「質問してもいいかしら」

 

「……答えられる事であれば」

 

 

ほむらはルカに問う。

何故最初に『盾』を狙ったのかと言う事だ。

時間停止に関するキーアイテムが盾という事に気がついたのだろうか? それもこの短時間で。

なるべく盾を操作する素振りは隠す様にしていたのにも関わらず、ルカはピンポイントで狙ってきた。

そこに強烈な違和感を感じたのだ。

 

 

「ある参加者が、盾が武器の魔法少女を見たなら真っ先にそれを凍らせろとアドバイスをくれました」

 

「――……ッ」

 

 

間違いない、ユウリだ。

しかしそうすると、ユウリは何故ほむらの力を知っているのかと言うループになる。

ほむらはユウリと言う魔法少女を知らなかった。

やはり何か能力を使ったとみるのが普通だろう。

 

 

「私も詳しくは知らない。そもそも奴は胡散臭いのです」

 

 

どうやらルカもユウリを毛嫌いしていた様だ。

 

 

「あと一つだけ」

 

「いいでしょう、どうぞ」

 

 

ほむらはガイを見る。

 

 

「あなたは何故、アイツの為にそこまで戦えるの?」

 

 

もっと違う質問だと思ったのだろう。

ルカは目を丸くして、直後ため息まじりに苦笑した。

 

 

「貴女には、理解できない」

 

「ええ。したくもないわ」

 

「何……ッ?」

 

 

ルカは苛立ちを隠さず全力で睨みつける。

だがほむらにとっては本当に理解できない事だった。

偉そうな事を言える立場では無いかもしれないが、命を軽視して弄ぶ最低な奴という認識しかない。

しかしルカは今の言葉にカチンと来たようで、サーベルを構えて走り出していた。

 

 

「淳を馬鹿にする事は! 私とあやせが許しませんッ!」

 

 

ルカの一振りを、ほむらハンドガンを交差する事で受け止める。

さらに軽い身のこなしでバク転を一回。その際、振り上げた足でルカの顎を蹴り上げる。

しかしルカは素早く顔を引いたため、蹴りは不発に終わった。

しかしほむらは回転しながらハンドガンの引き金を引いている。迫る二重の弾丸が、ルカに牙を剥いた。

 

 

「魔法少女は、やがて絶望の化身となる存在!」

 

「……っ?」

 

 

ルカは弾丸を剣で弾きながら、すり足で前進していく。

 

 

「魔法少女の多くは”望”と引き換えに己の願いを叶えた!」

 

 

叶えなければならない状況だった者。

大きな覚悟を抱えて願った者。私利私欲の為に祈った者。

人を超えた存在となった魔法少女は、以後絶望の果てと背中を合わせて生きる事になる。

 

 

「しかし魔法少女になるべくしてなった我等は、元から誰よりも絶望を恐れていたのでは?」

 

「!」

 

「絶望と背中を突き合わせていたのは魔法少女になった故ではなく、元より自分達は絶望の中にあったのでは無いか!」

 

 

それは私利私欲であったとしても同じだ、

窮屈な時間が来ることを他の誰よりも恐れていた。

故に自分の望む時間が永遠に続くことを願ったのだ。

 

 

「絶望から逃げる為に、目を反らす為に、願いに手を出した!」

 

 

ほむらが放つ銃弾をルカは体を旋回させてかわした。

同時に繰り出す回し蹴り、ほむらはハイキックでそれを受け止める。

黒い脚が重なり、クロスの文字を作り出した。

 

 

「本当はもう、絶望していたのに」

 

「……何が言いたいの?」

 

「魔法少女は、絶望の延期でしかない。魔法少女になる前から私達は魔女だったのです」

 

 

魔女は異端として裁かれた。

最初から自分達は異端の者だった。ルカの蹴りとほむらの蹴りは互いを弾きあい、少し距離を空ける。

 

 

「しかし今現在、私達は絶望していない。この身がその証明です」

 

 

絶望を抱えて絶望に向かって歩いている魔法少女達が、まだこの場に立っているのは何故だ?

 

 

「我らには淳がいた!」

 

「!!」

 

 

ルカが指を鳴らすと、ほむらの周り三百六十度に氷の剣が出現していく。

浮遊する剣の刃は、全てがほむらを捉えており、どんな攻撃が来るのか容易に想像ができた。

その中で言葉を続けるルカ。今も尚絶望していないのは、縋るべき希望がソコにあったからだ。

 

 

「淳は双樹の希望。故に我等は芝浦淳を愛したのです!」

 

「!」

 

「貴女も、縋る物があったからこそココに立っている筈!」

 

 

ニヤリと笑って指を鳴らすルカ。

すると浮遊していた剣が一勢にほむらに向かって飛来する。

 

 

「消えろ! スポウザージ・フィナーレ!!」

 

 

氷の剣が一気に収束していった。

だが直後、巻き起こる大爆発。爆風がルカを襲い、ドレスを大きくなびかせる。

 

 

「剣を防ぐために爆弾を使ったか」

 

 

しかし距離を考えても爆弾を使用したほむら自身にダメージが直撃する筈だが――?

 

 

 

 

 

「グッッ!!」

 

 

一方のガイと龍騎達もまた、互角の勝負を繰り広げていた。

戦いを止めるために手加減をしている部分はあるが、それでもガイは一人で龍騎たちを圧倒していた。

 

まずはその防御力だ。

ガイの装甲は厚く、ライアや龍騎の拳を受けても仰け反るリアクションを見せない。

そして攻撃力。ガイは遠距離攻撃に乏しいデッキ構成だが、反面接近武器の多くが高い攻撃力を秘めている。

 

 

「うらッ!!」

 

「チッ!!」

 

 

メタルセイバーとメタルホーンを同時に装備して振り回すガイ。

動きはそれほど素早くは無いが、リーチの高い攻撃でそれをカバーしていた。

何よりも自身のカードには遠距離攻撃が無いものの、パートナースキルが加われば別である。

 

 

「にげんなよー!」『シュートベント』

 

 

距離を取る龍騎達。

ガイはメタルセイバーを地面に突き刺して、カードを発動する。

認識音声が流れると同時に、ガイは掌を前に向けた。するとソコから剣の形をした炎が放たれる。

"フレイムソード"、あやせの魔法が授けた力である。

 

 

「ぐぅう!」「うわああああああ!!」

 

 

何とか交わしたライアと龍騎だが、剣がそこで爆発を起こし、衝撃で吹き飛んでいく。

そのまま近くの壁に叩きつけられて地面に落ちた龍騎たちを見て、ガイはケラケラと笑っていた。

 

 

「強いでしょ、おれってさ」

 

 

まるでゲームの様だ。

華奢な芝浦もゲームの中では屈強なプレイヤーと変わる。

まさに『ガイ』は芝浦淳と言う人間のアバターに相応しい姿と言えよう。

 

 

「やっぱ楽しいなーコレ!」

 

「……ッ! 楽しいだと」

 

「楽しいよ! 毎朝毎朝駅とかで他の奴等見てみろよ! ほんッッと、つまらなそうな顔してるんだ」

 

 

饒舌に語り始めるガイ。

 

 

「いつの間にか社会のプログラムの一部になってさ――」

 

 

毎日毎日金稼ぐためにヘコヘコヘコヘコ目上の奴に頭下げる毎日。

一方で自分は社会の歯車にならないとか言ってる奴も、おれからしてみりゃ同じだね

結局はどんだけ偉そうな事言ってもさ、限界ある毎日に落ち着いて。おれは他人とは違うんだって弱い言い訳を続けてる。

偉くなったらなったでさ、他人を見下して自分の地位を再確認するクソみたいな楽しみしかなくなるわけ。

 

 

「この世界はさ、退屈な奴が作った下らない連中ばかりの"バグ"なんだよ」

 

 

クソゲーなんだよなぁ!

ガイはイライラした様にジェスチャーを行い、この世界が未完成である事を告げる。

だからガイペアはゲームに勝ち残り、世界を自分の望む形へアップデートするのだ。

 

 

「クソゲーが神ゲーになれば最高じゃん」

 

「……そのゲームは、お前だけが楽しむものだろう?」

 

「それでいいんだよ。それが正しい世界なんだから」

 

 

当たり前の様に言った。

ガイは自分が間違っているなんて欠片とて思っていない。

全てはガイがルール。ゲームマスターは自分なのだから自分が全て。それが芝浦のゲーム。

 

 

「お前……! 本当に何も思わないのかよ!!」

 

「しつけーな。マジで、何回目だよそれ」

 

「何回だって言ってやるよ!」

 

 

何度言われてもガイには龍騎の考えが理解できなかった。

人よりも優れた力を与えられながら人の枠で満足しようと言う無欲さ。

何故、人を超えようとしない?

何故、他者に見下される毎日を選ぶ!?

 

 

「なんで? 意味不明だわ」

 

「決まってるだろ! 俺たちが人間だからだよ!!」

 

 

父親と母親がいて、友達と一緒に学校に行って。

そりゃその中で不満に思う事や嫌な事だってあった。

真司だって芝浦の言いたい事が全く理解できない訳でもない。

それでも人として生まれてきた以上――

 

 

「絶対に超えちゃいけない線ってヤツがあるだろ!!」

 

「違う! パパはおれをデータサンプルとして育てた!」

 

 

芝浦の父は万人向けのゲームを作った偉大な人物として受け継がれている。

芝浦も父親にいろいろなゲームをさせてもらった。それこそゲームに育てられたと言ってもいいくらいに。

父はそんな芝浦のリアクションを研究し、誰しもが楽しめるゲームを作ったのだが――

 

 

「おれが喜んだゲームは他の連中も面白いと思ったのか、ゲームはヒットする」

 

 

みんなプログラムが用意した接待にハマって金を落とす。

そうやって父は会社を大きくしていった。

 

 

「パパは理解したんだ、他人を喜ばせるプログラムを! 誰しもがソレをプレイすれば面白いと言うデータを完成させた!」

 

 

そしてソコに潜む本当の意味、そこにガイは目を置いた。

 

 

「分かるだろ、ゲームも現実も同じなんだよ。皆プログラムの感情で構成されたアバターだ」

 

 

行動もまた同じ。ゲームに勝ちたいと言う一心で、他の弱いプレイヤーを探す。

自分が優れた存在だと言う事を証明する為に弱者を傷つける。そんな連中ばかりではないか。

 

 

「クソゲーにはクソみたいなプレイヤーしか現れない」

 

 

皆そういったプログラムで構成されてる。

芝浦の父はそれを理解した、そう言う事なんだとガイは笑う。

 

 

「おれは今まで全てのゲームに勝ち続けてきた。昔も今も、そしてこれからもだ!」

 

 

ガイがFOOLS,GAMEにプレイヤーとして選ばれたのは必然だ。

そして必然の中に生まれたプログラムは勝利。ガイはこのゲームで自分が勝つことを信じて疑わない。

 

 

「芝浦、お前にとって現実はどこだ」

 

 

ライアが問うと、ガイはまた声を出して笑う。

 

 

「どこにも無いよ、だからおれが創る。お前等っていうエネミーを倒してさ」

 

「やれやれ、どうやら玩具を取り上げる必要があるな。お前からは」

 

 

そこで起きる爆発、先ほどのルカとほむらの勝負が故だった。

氷の剣に串刺しにされる事を拒んだほむらは、爆弾を頭上で爆発させると言う賭けにでた。

爆風で氷の剣は消し飛ぶが、炎の中に消えたほむらは大丈夫なのだろうか?

直後聞こえる銃声。及び小さく悲鳴をあげるルカ。

 

 

「ぐッ! 成る程ぉ……、面妖な――ッッ!!」

 

 

ルカは弾丸が撃ち込まれた肩を押さえて膝をつく。

丁度爆煙が晴れ、右手にライフルを構えたほむらが見えた。

さらに左手では機動隊が使用する盾を構えており、魔力で防御力を増加させて何とか爆発を防いだのだ。

 

しかし盾はボロボロ。

ほむら自身もダメージを受けたのか、少し服が焦げており、所々が破れていた。

一方で、ほむらの魔法である"キャンセラー"によって銃の反動は軽減されている。

同時に銃弾の威力と命中率は上昇させている。だからほむらは爆発の衝撃の中で、片手にも関わらずルカを狙う事ができたのだ。

 

 

「………」

 

「………」

 

 

無言でにらみ合う両者、それを見てガイは小さなため息をついた。

 

 

「おれはゲームで負けたことが無い」

 

「!」

 

「何で分かるか?」

 

 

ガイは仮面で顔を隠している為、誰を見ているのか分からない。

誰もが無言の中、ガイは言葉を続ける。

 

 

「強いからだよ。おれはどんなゲームでも頂点に立てた」

 

 

ガイはルカを見た。ルカは頷く。

ほむらは何か嫌な予感を覚え、ルカの額に向けてライフルを放つ。

しかしルカは手を前にかざして、氷の壁を生み出した。

魔法の氷は銃弾をしっかりと受け止め、無効化する。

 

 

「まだ下に参加者いるんだろ? だったらもういいやお前等」

 

「ッ!」

 

「おれはどんなゲームでも勝って来たんだ。F・Gも同じだよ。負ける理由が無い」

 

 

だから勝つ、おれは負けない。

ガイの心にあるのは絶対の自信だった。

そして幸か不幸か、その自信を抱かせるだけに相応しい実力がある。

ルカは『その言葉』の意味を理解した。つまり本気で龍騎達を潰す。

 

 

「ふふ♪」

 

 

穏やかな表情に戻るルカ。あやせに変わったのだ。

そして取り出すのは自らのソウルジェムと、ルカのソウルジェム。

二つのソウルジェムを握り締めると、光が迸る。

 

 

「フフ♪ わたし達の本気――」

 

 

魔力の異常増幅を感じてすぐに射撃を行うほむらとライア

しかし既に遅かった。ほむらの銃弾とライアのビームをかき消すのは、紅と蒼の奔流。

絶対零度のベールと、紅蓮業火のベールだ。

 

 

「なっ!」

 

「くそ! 冗談だろ……!!」

 

 

凄まじい衝撃が走り、思わずよろける龍騎とライア。

同じくほむらは髪をなびかせて倒れまいと力を込める。

一方で不動のガイと、降り立つあやせ。

 

 

「フッ! 遊びは終わりだな、参加者よ!」

 

 

ではなくルカ?

 

 

「フフフ♪ ハハハハハハ!!」

 

 

いや、どれも違う。

あやせ達はポニーテールだったが、今の彼女はツインテールになっている。

そしてどちらかの肩を露出していたのも、今は両肩を露出している。

そしてドレスは丁度中心を境に右が赤、左が白色に別れている。

 

 

「二つの人格を統合させたのか……!」

 

「ふふ♪ ご明察だ!」

 

 

左手にはフランベルジェ、右手にはアルマス。あやせとルカは互いの力を一つにした。

 

 

「人格連結。双樹アルカ」

 

 

二つのソウルジェムを同時に使用する、最強形態だ。

 

 

「あやせとルカの力があれば、誰にも負けないもん♪」

 

 

彼女は二人で一人の魔法少女、『双樹』なのだ。

 

 

「ほらほら、何ボーッとしてんだよ」

 

「!」

 

「エンジョイプレイは終わりなんだよ。こっからはガチの時間って訳」

 

 

ガイがメタルホーンを突き出すと、前方に現れるメタルゲラス。

さらにアルカから炎が発生してそれがガイのメタルホーンと、メタルゲラス双方の角に収束していく。

 

 

「俺に任せろ!」

 

 

龍騎はストライクベントを発動。ドラグクローを装備して前に出た。

 

 

「ハァァァァアアアア……ッッ!!」

 

 

ドラグクローを構えて腰を落とす龍騎。

同時に咆哮を上げながらドラグレッダーが出現し、龍騎の周りを旋回する。

昇竜突破の予備動作だった、龍騎とガイはそのままお互いに炎の力を溜めていく。

 

 

「ハァアッッ!!」

 

「ヤアアアアアアアッッ!!」

 

 

ガイがメタルホーンを突き出すと同時に、メタルゲラスが炎となって猛スピードで宙を駆ける。

"スパイラルフレア"、それは全てを貫く赤き疾走。

同時に放たれるは巨大な炎弾。昇竜突破はスパイラルフレアを真正面から受け止めるのだが――

 

 

「!!」

 

 

轟々と燃える一角獣は、巨大な炎をかき消すと龍騎に向かって突進していく。

 

 

「う、打ち破られた!?」

 

 

それを理解した時には既に着弾と爆発が起こっているところだった。

炎はライアと龍騎を飲み込んで燃え盛る。

が、ガイのリアクションは薄い。既にほむらが消えていたのを確認していたからだ。

 

 

「うお!」

 

 

直後ガイのデッキから爆発が起こる。

アルカになった事で、ルカが掛けた魔法が一旦解除されたのだろう。

盾の凍結が解除された為、ほむらはスパイラルフレアがライア達に着弾する前に時間停止を発動した。

そして龍騎とライアを救出し、尚且つガイのデッキに爆弾を貼り付けたのだ。

 

 

「あーあ、でも残念」

 

「フフフ!」

 

「ッ!!」

 

 

しかしガイのデッキは壊れない。

時間が戻り、爆弾が爆発するほんの一瞬の間、デッキと爆弾の間に厚い氷の装甲が発生して衝撃とダメージを軽減したのだ。

それだけじゃなく爆発した衝撃と熱エネルギーが全てアルカの方へと収束してしまう。

 

 

「まさか……ッ!」

 

 

ほむらの額に汗が見える。

再び時間停止を発動して、アルカとガイの周りに大量の爆弾を仕掛けた。

そして二人から十分距離を取った所で、盾のギミックを使い、時間の流れを元に戻した。

 

 

「!」

 

 

大爆発が起こり、爆炎の中に消えるガイ達。

しかしすぐに炎が吸収される様にしてアルカに集まっていく。

それを見ていたライアも、意味を理解して声をあげた。

 

 

「炎を吸収しているのか!」

 

「うん! 申し訳ないが今の私は、炎のエネルギーを吸収できるんだよ☆」

 

「……だったらッッ!!」

 

 

ほむらは時間を止めて盾からマシンガンを取り出した。

そしてありったけの銃弾をアルカに向ける。そして動き出す時間、弾丸のシャワーが次々にアルカに命中していくのだが――

 

 

「フフフ♪ 無駄と知れ!!」

 

「そんな……!」

 

 

ほむらは気づいた。アルカの体が薄いオレンジ色に包まれている。

それはまさに熱のベールだ。アルカへ向かう弾丸は肌に触れる前に、まずこの熱ベールに触れる事になる。

するとどうだ、鉛球はその熱に耐え切れず、一瞬で蒸発するように融解した。

結果、全ての弾丸はアルカへダメージを与える事なく無効化されていく。

 

 

「そ、そんな……! そんな馬鹿な!」

 

 

ほむらは再び時間を停止させて、今度はマシンガンよりも比にならない程大型のガトリングガンを取り出した。

そこから放たれる無数の破壊の弾丸。それらはアルカとガイを巻き込んでいくのだが――

 

 

「フフ! 浅いな暁美ほむら! 人が作った玩具を強化したところで、限界がそこにはある!」

 

「あはは。おーい、当たってないぞー!」

 

 

ガトリングの弾も全て融解していく。

加えてガイには氷の鎧がタイムラグ無しに現れて弾丸を防いでいった。

もちろんただの氷ではない。氷はガトリングの弾をしっかりと弾く防御力を見せていた。

 

 

(そんな、そんなそんなそんな――ッ!!)

 

 

ほむらは焦りのままに能力を発動。

チェーンソーを引き抜いてエンジンを入れる。

 

 

(時間停止が通用しない――っ!?)

 

 

無機質で殺意を込めたエンジン音。さらに刃が回る音が聞こえる。

ほむらは、そのまま走り出して直接アルカに切りかかる。

もしもこの攻撃が通用すればアルカは確実に死ぬ事を理解しているのだろうか?

 

いや、逆を言えばほむらは無意識に一つの答えを出してしまっている。

この攻撃が、通用しないと言う答えを。

 

 

「……そんな」

 

「ふふ♪ ご・め・ん・ね☆」

 

 

ペロリと舌を出して悪戯に笑うアルカ。

ほむらは刃が溶けて無くなったチェーンソーを力なく見つめていた。

 

 

「ソウルジェムは力の源だよ♪ 貴様は一つ、我らは二つ!」

 

 

アルカは既にサーベルを振るっていた。

いつまでもほむらのお遊びに付き合う程暇ではないのだ。

 

 

「魔力の量も質も違う! レベルが違うの☆」

 

「――ぁ」

 

 

ほむらが気づいた時には既に目の前にサーベルがあった。

 

 

「危ない!!」

 

「!」

 

 

しかし衝撃と共にほむらの体がサーベルから大きく離される。

ほむらを抱きかかえ跳んだのは龍騎だ。二人はアルカの攻撃をギリギリで回避すると、地面に倒れた。

それを守る様に現れたのはエビルダイバーに乗ったライア。

ありったけの電撃をガイ達に向けて放つ。

 

 

「!」

 

 

そうだ、熱と塊系が駄目だとしてもまだ雷があった。

ほむらは時間停止を発動して、盾から高圧電流が流れるケーブルを取り出す。

バチバチと青白い光を迸りながら、ほむらとライアはガイ達を狙った。

 

 

「「!?」」

 

 

しかしエビルダイバーの電撃も、ほむらの電撃も、ガイ達には効果を示さなかった。

ほむらなんて直接ケーブルをガイに当てたにも関わらず、電流はガイを伝う様に移動していき一点に集中していく。

仮面で表情は見えなかったが、ガイがニヤニヤと笑っているのが分かった。

彼は先程、ほむらがチェーンソーでアルカを攻撃している時点でカードを発動していた。

 

 

『チャージベント』

 

 

見ればメタルゲラスの角に全ての電撃が集中しているのが分かる。

まるで避雷針だ。アルカの同属性を吸収する能力が、ガイに同じ力を与えたのだ。

 

ガイが吸収できるのは雷のエネルギーだ。

ある程度集まっていくと、チャージベントがメタルバイザーから排出される。

見れば絵柄が変わっているじゃないか。ガイは再びそれを放り投げ、効果を発動させる。

 

 

『ブラストベント』

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

三つの悲鳴が重なる。

メタルゲラスは溜めた電撃を一気に解放。

広範囲に拡散する電撃は、龍騎達をしっかりと捉えていた。

ほむらは龍騎が庇ってくれたおかげでダメージを抑える事ができたが、決してソレは軽く無い。

 

 

(このままなら負ける!!)

 

 

歯を食い縛るほむら。

本気を出したい所ではあるが、室内では彼女の能力を100パーセントは引き出せない。

悔しいが、ここは一旦引くのが賢い判断だろう。

ほむらは時間停止を発動してライア達をつれて逃げる事に。

ほむらが龍騎に触れ、ライアはタイムベントの力で移動を開始する。

 

 

「芝浦……! あんなに強いなんて――ッ!」

 

 

脚を引きずるように歩く龍騎。

 

 

「ごめんなさい、何度か庇われたわね」

 

「すまん、暁美。俺もフォーチュンを使ったんだが――ッ」

 

 

フォーチュンベントはライアのカードの一つだ。

相手が次に使うアドベントカードの三枚まで名前で知る事ができる。

欠点は名前だけで効果が分からない事。そして、いつ使うのかが分からない事だ。

チャージとブラストは予見していたが、まさか雷を吸収するとは思わなかった。

なによりも一枚のカードが、絵柄が変わって違う効果になる事も分からなかった。

 

そして次にガイが使うカードはファイナルベントと出た。

ここは逃げるしかない。不利な状態で大技を食らえば命の危険がある。

 

 

「何よりも強力なのは――、双樹あやせ」

 

 

しかし考えてみれば当然か。

本人も言っていたが、魔法少女の魔力はソウルジェムが源となる。

それが二つ。つまり双樹の魔力は他の魔法少女の二倍、スペックで見れば最強と言っても過言ではない。

悔しいがガイ達の実力は本物。

ただのビックマウスではなく、彼らは本当にゲーム勝てるだけの力を持っている。

 

 

「ッッ?」

 

 

ほむらは気づいた。いつの間にか校長室の扉が閉まっている。

先程あやせのソウルジェムを投げた時は開いていたのに。

ましてや、扉を開こうとしてもビクともしない、ライア達も力を込めるがビクともしない。

 

 

「なんだ? なぜ開かない」

 

「まさか――ッ」

 

 

時間停止を解除する。

すると扉に浮かび上がる『雪の結晶』を模した魔法陣。

それを見てほむらは全てを悟った。アルカは既に退避ルートを読んでいたのだ。

だからこそ戦いの中でしっかりと対策を取っていた。

 

 

「扉は凍結してあるよ、魔法の氷は硬いからな」

 

「!」

 

「ククク、絶対零度の檻にて眠るが良い!!」

 

 

魔法陣から冷気が放出されていき、扉を完全に氷で覆いこんだ。

それだけじゃない。氷はどんどん広がって数十秒で校長室全体を氷の檻で包み込む。

すぐに氷を破壊しようと弾丸を放つほむらだが、分厚い氷の壁は何をしても砕ける事はなかった。

強力なエネルギーを加えれば壊れるだろうが、熱エネルギーは全てアルカに吸われてしまう。

早い話が、閉じ込められたのだ。

 

 

「意味分かるか、おれ達を倒さないとお前等は出られないんだよ」

 

「フフフ! あははは☆」

 

 

そして遂に動き出すガイとアルカ。

まず前に出たのはアルカだった。サーベルをクロスさせ、氷の力と炎の力を解放させる。

揺らめく陽炎と、霞みを見せる冷たい空気が剣を纏い、二つの力は一つとなった。

そのままクロスさせたサーベルを、龍騎達三人の方へと向ける。

 

 

「ピッチ!」

 

「――ッ!!」

 

 

まずい、氷の影響で滑る足場。

こんな状態で大技を発射されるのは非常に危険だった。

だからほむらは時間を止めて必死に抵抗の道を探す。

 

火炎放射で扉を炙ろうか?

駄目だ、魔法の氷は簡単には解けない。そんな事をしている時間はない。

 

銃を使って妨害は――、先程の通り熱のベールで溶けて終わりだ。

本気を出せばライア達が爆風に巻き込まれる。ましてや爆風は『熱』だ、アルカが吸収してしまう。

 

毒ガスはどうだろう?

魔法少女はソウルジェムの使い方で色々な応用が利くものだ、たとえばそれは水中で息をする事でさえ可能としてしまう。

だからソウルジェムの仕組みを知っているアルカには効かないだろうし。

 

そもそも騎士にも効くのか分からない。

ましてや龍騎とライアが毒を食らい、ガイが平気なんて事にでもなったら最悪だった。

ここで無駄なリスクは背負えない。

 

 

(何も出来ない……ッッ!!)

 

 

時間停止は強力な魔法だが、選択肢の無い状況が弱点ではある。

自分の持っている武器が無効化されるとは思っていなかっただけに、用意がない。

魔女にだって普通に通用していた武器なのに、アルカにとっては効果が欠片とてみられない。

完全に予想外。時間停止に甘えていたのが悪いのか――?

 

 

「っ」

 

 

時間を止め続けるのは、ほむらとしてもマズイ状態だった。

魔力の無駄遣いは何よりもソウルジェムを濁らせる要因となる。

しかも焦りが高まる今、心も不安定な状態となり濁る速度が速くなっている。

予備のグリーフシードは半分の容量が一つだけ。

後は何よりも砂が無くなってしまうのは、本当に避けたい状況だった。

 

 

(何か……、何か!!)

 

 

そうだ!

ほむらは盾からある物を引っ張り出して、時間の流れを元に戻す。

直後ライア達の前に広がる壁。

 

 

「な、何だコレ?」

 

 

ガイ達も驚いたのか、一旦攻撃を中止して壁を凝視した。

壁というよりはガイ達を取り囲む鉄の塊だ。ライア達とガイ達を隔てる大きな鉄がそこにある。

 

 

「暁美、これはどういう事だ?」

 

「軍が開発していた個人用のシェルターよ。核爆発でも耐えられるらしいわ」

 

「そ、そんなものまで持ってるのか……」

 

 

ガイ達をその中に閉じ込めたと言うわけだ。

ライアの占いのカード通りにガイはファイナルベントを発動して壁を打ち破ろうと試みたがどうやら無駄だったらしい。

大きな衝撃がコチラに伝わってきたが、それだけに終わる。

もちろんこのシェルターもほむらの魔力で強化されているのだ。

ちょっとやそっとじゃ壊れないようだ。

 

 

「フォーチュンの効果が切れた。次は何をしてくるか予想もつかないな」

 

「ど、どうする!?」

 

「今のうちに氷の壁を破る方法を考えましょう」

 

『コンファインベント』

 

 

鏡が割れる音が聞こえた。

 

 

「え?」

 

 

ほむらが振り向くと、そこには粉々に散ったシェルターが。

 

 

「な、なんで……!」

 

「甘い」

 

 

指を振るガイ。

コンファインベントは相手が直前に行った攻撃を無効化できる。

 

 

「こういうのも無力化できるんだよねー」

 

 

壁が壊れた事でアルカの攻撃が続行された。

クロスした炎と氷は相反する力によってエネルギーを暴走的に膨れ上がらせていくのだ。

 

 

「ピッチ! ジェネラーティ!!」

 

 

そして剣を払い、アルカはそのエネルギーを解き放つ!!

 

 

「くっ!」『ガードベント』

 

「うオオオオオ!!」『ガードベント』

 

 

ライアと龍騎がほむらの前に立ち、エネルギーを真っ向から受け止めた。

二対に構えたドラグシールドとフラッシュシールド。

防御力は何の申し分も無いものだったが――

 

 

「!!」

 

 

悲鳴を上げて吹き飛んでいくライアと龍騎。

ドラグシールドは粉々に砕け散り、二人は大きく吹き飛び壁に叩きつけられる。

 

 

「なんて威力だ……!」

 

「つえぇぇえ……ッッ!!」

 

 

もう道は一つしかない。ライアはよろよろと立ち上がりガイ達を見る。

 

 

「やはりヤツらを倒すしか方法が無い!」

 

 

龍騎とほむらも頷き、もう一度ガイ達めがけて走り出す。

同時にガイ達も武器を構えて前に出る。相変わらず余裕の笑みは崩さずに。

 

 

「ガイは双樹の魔法に守られている! 先に倒すのはアルカだ!」

 

「ええ!」

 

 

ライアが射程に入ったと見るや、アルカはサーベルを振るう。

しかしライアはスライディングで刃を回避し、同時に切り替えて脚を狙った。

鉄を蹴った様な感触だが、蹴りはアルカに直撃する。

 

アルカが纏っていた熱のベールはあくまでも魔法で構成されている物のようで。

例えば意図していないカウンターを防ぐため、生命が触れても問題はないらしい。

つまり無機物たる武器での攻撃には反応するが、拳や蹴りに大しては効力が無効化されるのだ。

 

だから、ほむらも飛び回し蹴りでアルカの肩を狙う。

しかし一瞬でアルカの肩を覆うように氷が生まれた。それは装甲となってほむらの攻撃を防ぐだけではなく、ほむらの脚を氷で覆ってみせた。

 

 

「うッ!」

 

 

脚が重くなる。

そこへ躊躇無く伸びてくる炎の刃。

しかしこれはチャンスでもあった。ほむらは氷に覆われた脚を盾にして刃を受け止める。

そこで時間停止。氷は炎の力で完全に溶けて、ほむらは自由の身に。

そのままアルカの背後に回ると、時間を元に戻す。

 

打撃ならば通る。

ほむらは脚払いでアルカを狙うが――

 

 

「見えていますよ」

 

「ッ!」

 

 

氷のサーベルが蹴りの軌道に置かれる。

そのまま脚を振るっていたら、刃に当たって逆にダメージを受けるだろう。

ほむらは攻撃を中断すると、後ろへ跳んだ。

 

 

「フッ!」『スイングベント』

 

 

ほむらをアシストするため、ライアは鞭を伸ばす。

だが鞭は例外なくアルカの体に触れる前に融解していった。

とは言え、気を引く事はできたようで、ほむらは再び時間を止めてアルカの頭上に現れた。

そのまま脳天に踵落としを仕掛けようとするが。

 

 

「無駄だよ♪」

 

「!」

 

 

今度は凄まじい吹雪が発生してほむらを吹き飛ばす。

それだけじゃなく倒れた後、体が床に凍り付いて立ち上がれない。

 

 

「クッ!」

 

 

このままではマズイ。ライアはアルカにタックルを決め、腰に掴みかかった。

しかしアルカはビクともせず、かつサーベルの柄でライアの背中を強打して呼吸を止める。

 

 

「私に触れていいのは淳くんだけなの!」

 

 

怯んだライアの腹部に叩き込む膝蹴り。

起き上がったライアへそのままサーベルを振り下ろす。

 

 

「ぐァアアアアアアアッッ!!」

 

 

ライアから炎と氷の傷が刻まれ、火花が散る。

さらにアルカはそのまま剣をクロスさせて必殺技を放った。

 

 

「ピッチ・ジェネラーティ!!」

 

「!!」

 

 

エネルギーを受けて吹き飛ぶライア。

壁に叩きつけられると爆発が起こり、地面に倒れた後は動かなくなる。

 

 

「手塚!」

 

 

叫ぶ龍騎だが、彼もガイとの戦いに苦戦を強いられていた。

攻撃は当てられるのだが、氷の鎧が瞬時に出現してダメージを無効化していくじゃないか。

 

 

「クソッ!」

 

「悪いね何か。でもRPGでもあるでしょ? コレはお前らにとって絶対に負けるイベントなんだよ」

 

 

だってレベルも装備も違う、経験そのものが違うのだから。

ガイは龍騎の攻撃を受け止めた後、肩についているメタルバイザーの角を向けてタックルを浴びせた。

 

 

「うわあああああ!!」

 

 

そもそも本気で殴っていない龍騎に勝ち目なんて無い。

龍騎は床を滑っていき、大きな隙が生まれる。

 

 

「ねえ、もう殺しちゃおうよ淳くん!」『ユニオン』『ファイナルベント』

 

「んー、そうだな。もうコイツ等いいや」『ファイナルベント』

 

 

ガイ達が睨んだのは――、暁美ほむら。

なんとか氷を引き剥がし立ち上がっていたが、そこでアルカが腕を広げ、二対のサーベルを振り下ろした。

 

すると氷と炎の衝撃波が発生して、地面を伝っていく。

衝撃波はまさにカーテン状の壁だ。ほむらが右を見れば炎の壁、左を見れば氷の壁が存在し。完全に閉じ込められてしまった。

しかも壁の高さはしっかりと天井まで届いており、飛び越えると言う選択肢が封じられる。

 

 

「――っ!」

 

 

直線上にはニヤリと笑うアルカ。その後ろにガイ。さらにその後ろにメタルゲラスが並び立っていた。何が来るのか予想したほむらは、ダメージ覚悟で炎の壁に飛び込んだが、炎の壁は凄まじい抵抗感を持っていた。

結果としてほむら内側に弾かれ、脱出できない。

 

 

「無駄だよ♪ 逃げられはしない、諦めろ暁美ほむら!」

 

「ぐッ!!」

 

 

しかも氷の壁から発生される冷気で、再び盾が凍りついた。

時間は止められない。上は天井、左右は炎と氷の壁。後ろは凍りついた出口。

ほむらは持っていた銃を使うが、アルカの熱のベールによって全て無効化されていく。

 

 

「ハッ!」

 

 

飛び上がるガイ。ヘビープレッシャーの発動であった。

さらにアルカもメタルゲラスの背に乗ると、身を乗り出して二本のサーベルの刃先をメタルホーンの角先に合わせた。

 

アルカとガイを乗せて走り出すメタルゲラス。

逃げ場を失った標的に、全てのエネルギーを込めた強化ヘビープレッシャーを当てる。

これが二人の複合ファイナルベントである『トリプルビークス』だった。

 

 

「ほむらちゃん!!」

 

 

倒れている龍騎は、ほむらに向かって手を伸ばすが全てが遅かった。

 

 

「―――ァ」

 

「!!」

 

 

ほむらは、ガイとアルカの武器に貫かれて壁に磔となった。

二つの武器はしっかりとほむらの胴体を貫通しており、ほむらの目も虚ろになっていく。

叫ぶ龍騎、またなのか? また守れなかったのか!?

 

 

「……?」

 

 

しかし首を傾げるガイ。

感触はあるものの、ほむらからは一滴の血も流れない。

どういう事だ? メタルホーンは確かに彼女を貫通しているのに。

 

 

『ユニオン』『トリックベント』

 

「!?」

 

 

ほむらの体が粉々になり、メタルホーンに先にあるのはトランプのジョーカーだった。

 

 

「何だコレ?」

 

 

すると、ライアと龍騎の隣にほむらが現れる。

 

 

「助かったわ手塚、あなたのカードが無ければ死んでいた……!」

 

「ああ。一瞬本気で焦ったぞ」

 

「え? ええ!?」

 

 

ほむらはファイナルベントを受ける寸前にユニオンでライアのトリックベントを使用していた。

トークベントで効果を教えてもらったほむらは、攻撃を無効化してライアの隣にワープしたわけだ。

 

 

「ハッ! 一回避けたくらいでなんだよ!」

 

「その通り☆ 意味などは無い!」

 

 

確かにガイ達の攻撃をかわしただけだ。劣勢なのは変わらない。

ガイもしぶとく粘ってくる龍騎達に苛立ちはじめたのか、声を荒げていた。

 

 

「いい加減諦めろ! おれに勝ちたいなら本気でゲームに乗ってる奴を連れて来い!!」

 

 

その言葉に沈黙する三人。

しかしその時、扉の向こうから声が聞こえてきた。

 

 

「だったら、俺が相手になってやる」

 

「!」

 

「リーミティ・エステールニ!」

 

 

扉が輝き、直後凄まじい光が溢れて氷の壁を消し飛ばす。

それは熱でもない氷でもない雷でもない、『光』と言う破壊の力だ。

円形状に開いた部分から足音を立てて歩いてきたのは二つのシルエットだった。

 

 

「蓮!」

 

「立花……!」

 

 

校長室にやって来たのはナイトとかずみ。

膝をつく龍騎達を通り過ぎると、ガイとアルカに向けてダークバイザーを向ける。

かずみも同じだ。十字架をガイに向けて強く睨みつける。

 

 

「何? お前、そいつ等の仲間?」

 

「こいつ等の? 違うな」

 

「じゃあ何?」

 

「俺はお前等を殺しに来たゲーム参加者だ」

 

「お、おい蓮! お前なに言ってんだよ!」

 

 

龍騎は声をあげるが、ソレをライアが止める。

 

 

「ふーん。ま、いいよ、遊んであげる」

 

「口だけじゃない事を祈るばかりですね」

 

 

対峙するナイトペアとガイペア。

二組の武器が交差するまで、それほど時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 

 

しかし何故下で戦っていたナイト達がココにやって来る事になったのか。

少し時間を巻き戻す。龍騎達がいなくなった後もホールでは戦いが続いていた、しかも芝浦が呼んだのかカエルの魔女である『ガブリエラ』までも姿を現す。

 

魔女と参加者を交えての戦い。

しかも破壊される事を恐れないのか、王蛇はベノスネーカーとベノダイバーを長時間召喚させていた。

 

 

「くそッッ! ウザッてぇ!!」

 

 

猛スピードで杏子を少しずつ切り刻んでいくオーディン。

杏子も抵抗を示すが、フィールドを猛スピードで飛び回るオラクルが動きを制限していく。

かと思えばあたりに張り巡らされる杏子の鎖、場はかなり混雑している。

 

 

「攻撃がまるで当たらねぇ!!」

 

 

槍を振り回すがオーディンはワープ。

そしてキリカや織莉子は速いというレベルを超えた動きを見せている。

 

 

「何がどうなっている!」

 

 

イラつくように叫ぶナイト。

するとその言葉に反応してタイガがキリカを指差した。

 

 

「キリカの魔法は"時間操作"なんだ」

 

「何?」

 

「キリカが張った魔法陣の中にいる相手は減速する。だんだんスローになっていくんだよ」

 

 

会話と言う『概念』は通常に行えるが、それ以外は全て徐々にスピードが抑えられていくのだ。

 

 

「わあああああああああああ!!」

 

「!」

 

 

そこで叫ぶキリカ。地団太を踏んで悔しそうにタイガを見る。

その異常なまでの怒りっぷりに思わず停止する一同。

キリカはボロボロと涙を零し、悔しそうにタイガを指差していた。

 

 

「どーッして私の魔法言っちゃうんだよォオオオッッ!!」

 

「え、だって皆困ってるじゃない」

 

「もっと隠しておきたかった! もっとカッコいい感じで皆に披露したかった!! ゲームとかでよくある最後の最後で分かるとかそういう展開を妄想していたのに全部ココでお前にネタバレされた!!!」

 

「……ごめんなさい」

 

「うわあああああん! 馬鹿馬鹿馬鹿!!」

 

 

大切に取っていた秘密をあっさりと言われた事が相当ショックだったのか、その後もキリカは何度もタイガに罵声を浴びせていく。

そもそも魔法少女にとって己の魔法形態を知られるのは、戦いにおいて不利となる可能性が高い。

ましてキリカの様にこっそりと仕掛けておくタイプならば尚更だ。

 

 

「そんなに馬鹿って言わないでくれるかな。キミが悪いんだよ、キミが僕の気持ちをちっとも分かってくれないから」

 

「それはコッチの台詞だバカー! どーして織莉子の言う事が分からないんだよ!! どうして私に協力してくれないんだよーッッ!!」

 

 

もっと優しくて強くて頼りになるパートナーの方が良かったと、キリカは泣き喚く。

拳を握り締めるタイガ。彼もキリカの言っている事が理解できない。

もっと英雄に相応しい人がいた筈なのにどうしてジュゥべえ達は自分達をパートナーにしたんだろう?

 

 

「あああ! うッぜぇな! つまりコレを消し飛ばせばいいんだろ!?」『ユニオン』『リリースベント』

 

 

ホールの下に刻まれていた紋章。

最初は元々あった『模様』かと思っていたが、どうやらキリカが仕掛けた罠だった様だ。

杏子は解除の力を込めた槍でそれを思い切り突き、キリカの減速魔法の魔法陣を破壊する。

 

 

「もらった!」

 

「!」

 

 

しかしその瞬間、杏子の目の前に現れるオーディン。

既にゴルトセイバーは振り上げており、脳天を狙っている。

 

 

「ヤバイ!」

 

 

杏子は瞬時に腕をクロスさせてガードの構えを取るが、受けきれるかは怪しい所だった。

 

 

「ウラァッ!!」

 

「!!」

 

 

うずくまった杏子の背後から跳んで来たのは王蛇。

捻りを加えたドロップキックでオーディンの胴体を捉えると、キリカを巻き込んで吹き飛ばす。

どうやらオーディンもオーディンで、杏子達に対する殺意が強すぎて冷静さを失っている様だ。

 

 

「サンキュー浅倉! で、後ろだろ!」

 

「……チッ!!」

 

 

ワープのルートも単調である。

とりあえず攻撃を当てようと背後に回る事が多い。よって杏子は槍でゴルトセイバーを受け止める。

さらにワープも連続で行えば疲労が溜まるのか、だんだんと回数も少なくなって来ている。

 

 

「キリカ!」

 

 

地面を転がっているキリカを助けに向かった織莉子。

同時にオラクルを王蛇と杏子に向かわせ、オーディンをアシストしようと試みる。

しかしその時、タイガがバイザーにカードをセットしていた。

 

すると無数にあったオラクルがその場で急停止。

以後どれだけ織莉子が力を込めても、オラクルたちが動く事は無かった。

 

 

「これは……!」

 

「ボクの力だよ織莉子さん」

 

 

"フリーズベント"。特定の物を凍らせたように停止させるタイガのカードだった。

織莉子は瞬時に能力を発動させて未来を視る。

まだ何かが変わる素振りはない、そして絶望の欠片を捉える事もできない。

 

 

「織莉子さん。こんなやり方はやっぱり間違ってるんじゃないかな?」

 

「と言うと?」

 

「やっぱり僕、人は傷つけちゃいけないと思う」

 

 

ガブリエラと戦っているナイト達。

キリカ達と戦う王蛇達。周りを見れば戦いばかりだ。

人を傷つける行為は英雄らしくないとタイガは言う。

英雄は皆に尊敬される存在なのだから戦いを止める事が正しいはず。

 

 

「キミが悪い人だとは思えないんだ。だから止めてくれないかな」

 

「………」

 

「織莉子さんは、信用できる人なのかな?」

 

 

問い掛ける様に言うタイガ。

織莉子は金色の眼でタイガをジッと見つめる。眼を細めて、何かを見透かしている様だった。

しばらく沈黙したままの織莉子は、少し眉を動かすと唇を吊り上げた。

まるで何かを企んだように。何か面白いものを視た様に。

 

 

「そうですか。では信用の証に、今日は退きましょう」

 

「!」「!」

 

 

織莉子の言葉に、キリカとオーディンの様子が変わる。

 

 

「織莉子……ッ!」

 

「オーディン。今はまだその時ではありません」

 

 

オーディンは不満げに拳を握り締めるが、ワープでキリカのもとへ移動。

彼女を掴んで黄金の羽を大量に発射する。

 

 

「逃がすか!」

 

 

杏子と王蛇はすぐに走るが、黄金の羽は触れた瞬間に爆発を起こす武器だ。

二人が爆発に怯んでいる間に、織莉子もまたオーディンの所へ移動して三人は光に包まれて姿を消した。

 

 

「あああああ! クソ!! 本当に面倒くさいな!」

 

「最高にイラつくぜ……!」

 

 

奇しくも、その行動がパートナー同士の心をリンクさせたのか、王蛇のデッキに淡い輝きが生まれた。

どんな理由であれ、今の王蛇ペアは互いに『苛立ち』と言う感情を共有している。

それが結果として新しいカードを生んでいく。善悪の差は問わず、パートナーと歪な形で心を通わせていく。

 

 

「アイツら戦う気はあるのかい? ああもうッ、本当にムカつくぜ!」

 

「アアアアアア!!」

 

 

イライラが収まらない二人。王蛇はベノスネーカーをナイト達に向かわせた。

現在ナイト達はカエルの魔女と戦っており、その巨大な魔女の頭にベノスネーカーは勢い良く噛み付いていく。

 

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

誰でも良いから殺したいと言う王蛇の想いを汲み取ったのか、まずナイト達よりも先に目についたガブリエラに牙を食い込ませる。

突然の痛みに悲鳴を上げる魔女。しかし『蛇に睨まれた蛙』という言葉がある様に、これは自然の摂理だ。

 

 

『ゲロロロロロロ!!!』

 

 

蛙の鳴き声にノイズを混ぜたようなガブリエラの声。

魔女はベノスネーカーに投げ飛ばされると、王蛇と杏子の目の前に叩きつけられる。

さらに噛まれた際に毒を注入されたのか、ガブリエラは血の涙を流しながら呻いていた。

ともあれ、何とか抵抗しようと、長い舌を使って杏子の体を縛り付ける。

 

 

「うお!」

 

 

そのまま思い切り舌を引き戻す。

杏子は宙を舞いながら、魔女の大口の中へ引き込まれていった。

 

 

「おおおおおおおおおおおお!?」

 

 

バクン☆ ゴックン☆

などとファンシーな音を立ててガブリエラは杏子を丸呑みに。

 

 

「止めておけ。ソイツはマズイぞ」『ソードベント』

 

 

パートナーが食われたと言うのに、王蛇は特に焦る様子を見せなかった。

ベノサーベルを構え、ゆっくりと首を回しながらガブリエラに近づいていく。

 

 

『ギピィイイイイイイイイ!!』

 

 

その時、大きく反り返る魔女。一本の槍が腹を突き破って現れた。

いや一本ではない。体中から次々と槍が出現し、腹から突き出た槍は移動を開始して魔女の腹を縦に裂いていく。

血が噴水の様に吹き出ていき、同時に王蛇は魔女のつぶらな瞳にベノサーベルを突き刺した。

 

断末魔をあげながら、のた打ち回る魔女。

腹を裂いて出てきたのは笑みを浮かべている杏子だ。

しかし笑みを浮かべているとは言え、今の彼女は非常にイライラしている。

ほむらから爆弾を受けて服はボロボロ。かと思えば良く分からない魔女に唾液まみれにされるしで。

 

 

「くそがァアアアアアアア!!」

 

 

槍を巨大化されて振るう杏子。それは魔女の頭部を一撃で潰し絶命させる。

少しスッキリしたようで、笑みを浮かべる杏子だが、王蛇は間髪入れずにガブリエラの死体を持ち上げて少し高めに掲げた。

 

 

「ん? 何やってんのさ?」

 

 

杏子が問い掛けたまさにその直後、激しい衝撃と爆発が二人に襲い掛かる。

 

 

「どわわわわわ! な、なんだ!?」

 

 

頭を抑えて屈みこむ。

数秒後に爆発と衝撃は収まり、王蛇は炭になったガブリエラの死体を放り投げた。

 

 

「ま、マジなんなんだよ!」

 

 

杏子が辺りを見回すと、ホール入り口に巨大な牛の姿が見えた。

 

 

「はあはあ、成る程」

 

 

杏子は頷いて今起こった事を悟った。

 

 

「よく気づいたね。まあでも助かったよ」

 

「ハッ! アイツの事は覚えてる。そう、それに――」

 

 

ホールに現れたのは牛の化け物だ。

つまり騎士・ゾルダ。開幕のファイナルベントを発動したという訳だ。

その際に発生する電子音を、王蛇は聞き取ったのである。だからガブリエラの死体を盾にした。

 

 

「おーおー、結構派手にやってるねぇ」

 

 

エンドオブワールドは広範囲を焼き尽くす強力な攻撃だが、貫通力に関して言えばソレほど高い物ではない。

ガブリエラの死体を炭には変えたが、貫く事は無かった様だ。

尤もゾルダも多少の手加減はしたらしい。もう少し威力と時間があったのなら、死体を焼き尽くして裏にいた王者達も焼き尽していただろうが。

 

 

「お前も参加者か」

 

 

爆発が少し遠かったために、逃げる事ができたナイトペア。

しかしもしも王蛇と近い位置にいたなら、二人もエンドオブワールドを受けていただろう。

 

 

「んー、微妙な所だな俺は」

 

「何?」

 

「あ、見て! 蓮さん!!」

 

 

かずみが指差した方向には、倒れているタイガが見えた。

どうやら爆風に巻き込まれてしまったらしい。

 

 

「助けに行かないと!」

 

 

走るかずみ。

ナイトは不満げながらも彼女を追う事に。

 

 

「………」

 

 

そもそも、なぜ乗り気でないゾルダがココにやってきたのか?

理由はいろいろあったが、その一つが王蛇である。

北岡は他人に関心がないが、そんな彼でも王蛇の雰囲気と声には覚えがあった。

 

 

「やっと思い出したよ、お前。浅倉だな」

 

「ハッ、俺もだぜェ、北岡ァ」

 

 

ねっとりと王蛇は言い放つ。二人の間に流れる異様な空気。

少なくとも友人などと言う関係では無いだろうが、杏子にしてみればまさか浅倉を知っている人物が孤児院関係以外でいたとは驚きである。

 

 

「紹介してくれよ浅倉。アイツ誰?」

 

「俺の中で一番殺したいと思ってた奴だ。まさかゲームにいるとはな」

 

「コッチの台詞だよ。俺、二度とお前とは会いたくないって思ってたんだけど」

 

 

うめき声を上げながら首を回す王蛇。

何だかんだ言って北岡には感謝しなければいけないかもしれない。

憎悪で今までのイライラが全て吹き飛んだ、そして同時に殺したい相手がゲームに参加してくれていたと言う幸運。

これを喜ぶなと言う方が難しい。

 

 

「北岡ァアアアアアアアアアアアア!!」

 

「やれやれ、でも俺としても丁度良いって言えばそうなんだよね」

 

 

走る王蛇。銃を構えるゾルダ。

ゾルダとしても王蛇が生きているのは都合が悪い。

何故ならば浅倉は北岡にとって都合のいいスケープゴートでなければならない。

 

 

「そう言う訳でさ、死ねよお前」

 

「やってみろ! 俺が先に殺す!」

 

 

とは言え、ヒートアップする王蛇を杏子を寂しそうな眼で見つめていた。

 

 

「おいおい、なんだか知らないけど盛り上がっちゃって……。アタシだけ置いてけぼりかよ」

 

 

一方で、かずみ達はタイガを抱きかかえていた。

爆風で吹き飛ばされたようだが、弾丸は直撃していないのでダメージは薄いようだ。

 

 

「東條さん大丈夫!?」

 

「ぼ、僕はいいから……。キミ達は校長室に行ってよ」

 

 

その言葉を聞いて視線を移すナイト。

上では先に向かった龍騎達がガイと戦っている筈だ。

しかしナイトは――、蓮は知っている。真司の性格上、絶対にガイには勝てない。

 

正しくは勝たないのだ。故に今は劣勢の筈だ。

手塚やほむらがどうかは知らないが、龍騎が足を引っ張っている可能性も考えられる。

 

 

「れ、蓮さんどうしよう?」

 

「………」

 

 

沈黙するナイト、そこへ杏子が笑いながら近づいてくる。

 

 

「行かせる訳ないだろ。せめて魔法少女は残れ。アタシの獲物がいなくなる」

 

 

とも思えば、杏子の周りに舞い散る電撃。

 

 

「チッ! 何だよ次々から次に!」

 

 

気だるそうに向かってきた雷撃を振り払う。

しかしこの雷には覚えがあった。杏子はオクタヴィア戦を思い出し、ニヤリと笑う。

 

 

「お前の相手は私だ」

 

「……よ、久しぶり」

 

 

ホール入り口から現れたのは浅海サキだ。

一旦保健室の様子を見に行った彼女は、再びコチラに戻ってきたと言う事だ。

生徒達はまどかや美穂が見ていてくれている。

 

 

「かずみ、秋山さん。貴方達は芝浦の所へ行ってくれ」

 

「………」

 

 

無言のナイト。

だが、かずみに『来い』と合図を出して走り出す。

かずみは少し慌てた様子でタイガをホールの隅に移動させて、ナイトに続く。

杏子は一瞬かずみ達を見たが、すぐにサキに視線を戻す。

 

 

「大丈夫? ホールん時は弱すぎてどうしようかと思ったけど」

 

「フッ、少なくとも前回よりはキミの期待に応えられる自信があるよ」

 

「そりゃあいい」

 

 

杏子は槍を右手と左手に持ち、腰を落とした。

サキは威嚇の意を込めてバチバチと雷を鳴らす。

前回は不安定な精神状態が原因で敗北したが、今回はそうはいかない。

そして一つの勝算もあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は現在に戻る。

 

 

「ハッ!」「ウラァア!」

 

 

校長室。

メタルホーンとウイングランサーがぶつかり合い、ナイトとガイは互いを弾き合って地面を擦る。

ビリビリとした衝撃で怯む二人。となればサポートするのはパートナーだ。

かずみはナイトの肩を蹴って跳躍。アルカは優雅に立ち振る舞い、ガイを庇う様に立った。

 

 

「えい! そら!! ほいさ!!!」

 

 

かずみは空中で器用に旋回しながらマスケット銃を撃っていく。

しかし結局は先程と同じだ。魔力で構成された銃弾でさえ、アルカに触れる前に一瞬で熱融解して消滅する。

 

だったらと十字架をかざす。

するとガイの真下から黒い槍が無数に出現していった。

杏子の攻撃をコピーしたのだが、これもまたアルカの防御魔法がガイを守る。

次々と氷の装甲が現れて、ガイへ掛かるダメージを最小限に抑えていった。

 

 

「むむむ……ッ!」

 

 

着地と同時に、かずみは大きな本を片手に構える。

対してアルカは必殺技であるピッチジェネラーティを発射した。

赤と青の奔流が、一直線にかずみへ向かっていく。

 

 

「蓮さん!」

 

「ああ」

 

 

まどかの守護魔法をコピーしていたかずみは、目の前に無数の盾を出現させていく。

しかしそんな抵抗をあざ笑うかの様に、アルカの魔法は盾を突き破り二人へ向かう。

 

 

「あれ?」

 

 

しかし既にナイト達は走り、魔法のルートからは回避している。

 

 

「なかなか素早いね……!」

 

 

目を細めるアルカ。

そもそも最初から盾で防げない事を分かっていたような素振りである。

では何のために壁を張ったのか。

 

 

「!」

 

 

盾が全て壊れ、魔法の着弾点にあったのは先程かずみが呼び出した『本』だった。

敵の攻撃を受けた場合、相手の情報を記載するイクス・フィーレだ。盾はソレを隠す為に張られた囮のようなもの。

当然ピッチ・ジェネラーティは本に命中し、一撃で全ての情報を刻み込む。

リボンを伸ばして本を引き寄せるかずみ。彼女は一瞬でそれを読み抜くと、十字架を振るった。

 

 

「!」

 

 

現在アルカを纏うのは紅のベール。そしてガイは蒼いベールが纏わりついている。

そしてナイトとかずみを包むのは『黒のベール』。かずみは十字架を振るい、頭上に大砲を生み出した。

 

 

「ティロ・フィナーレ!」

 

 

十字砲から放たれた巨大な弾丸。

しかしアルカに焦りはない。少し大きくなったくらいで所詮は無機物。

ノーガードでそれを受け止めようと胸を張ったが、直後弾丸はアルカの体にしっかりと命中して爆発を起こした。

 

 

「あぐぁああ!!」

 

 

衝撃で仰向けに倒れる。

煙が上がる中、アルカは目を丸くして間抜けな声をあげた。

 

 

「は!?」

 

 

ガイもこれには驚いたのか、戸惑いの声をあげている。

 

 

「ど、どうして防げなかった?」

 

「貴女の魔法、わたしがコピーしたよ!」

 

「!?」

 

「えっへん!」

 

 

かずみはアルカの防御魔法を解析、コピーすると、それを混ぜ合わせた物を生み出したのだ。

かずみとナイトの攻撃には以後アルカが発動したベールと同質の物が付与され、結果混ざり合う形で進入を許すのだ。

 

簡単に言えば、かずみはアルカの魔法を解析して、抗体を生み出した。

外敵から身を守るアルカのベールは、かずみ達のベールを自分の魔法だと認識して効果を発揮しない訳だ。

 

 

「わたしの魔法は破戒、あなたの防御を壊しちゃうよ!!」

 

「喋りすぎだ」

 

「あ、ごめん!!」

 

 

ナイトに叱られ、やってしまったと恥ずかしそうに笑う。

 

 

「な、なによそれぇ!」

 

 

歯を食い縛るアルカ。

よく分からない理由で突破されたが、まだ慌てることは無い。

ただ防御魔法が無効化されただけではないか。攻撃面で勝てば何の問題もない。

 

 

「フッ! ハッッ!!」『シュートベント』

 

「やああああああああああッッ!!」

 

 

ナイトは斬撃を。かずみはマスケット銃を乱射して距離を詰めていく。

しかしアルカは腕を前にかざし、そこに氷の盾を出現させる。

さらにアルカの背後について走るガイ。強引に弾丸を無視して走っていく。

 

互いの距離がすぐそこまでに迫った。

サーベルを振るうアルカ。舞い散る火の粉と雪の結晶。紅と蒼の軌跡が何とも幻想的だった。

しかし見惚れていたなら待っているのは死だ。かずみとナイトは攻撃をギリギリで回避すると、すぐに反撃の突きを同時に繰り出した。

 

 

「淳くん!」

 

「分かってるって!」

 

 

既に剣を振るった反動でアルカは後ろに跳ぶ。

入れ替わりで前に出ていたガイは十字架とダークバイザーを掴み取ると、そこで踏みとどまる。

 

 

「そこだね♪」「串刺しになれ!」

 

 

空中にいたアルカは炎をナイトに。

ガイは反撃のショルダータックルを繰り出し、かずみに赤い角を向ける。

 

 

「甘い!」

 

 

しかしかずみはマントを広げてメタルバイザーの角を受け止めた。

さらにアルカが放った炎は、ナイトを纏う黒いベールに吸収されていく。。

 

 

「そこまでコピーして……! でもッ、甘いのはあなた! ジュディツィオ・コメット!!」

 

 

アルカは炎の塊となってかずみに突撃する。

かずみは始めマントでそれを受け止めたが、すぐに苦悶の表情を浮かべて押し出されていく。

コピーした魔法や武器は性能を限りなく本物に近づける事はできるものの、劣化している部分はどこかで出てきてしまう。

 

今回の場合は吸収できる炎に限界があると言う事だ。

無尽蔵に吸収し続けるアルカとは違う。炎の塊となったアルカはかずみを押し出し、ついには壁に叩きつけていく。

 

 

「きゃあああ!!」

 

 

かずみは苦痛の声をあげる。

しかし既にナイトが動いていた。アルカに狙われなかったおかげで、一枚のカードをダークバイザーに装填する事ができたのだ。

ガイはそれに気づいて妨害しようと試みるが、ナイトはダークバイザーで攻撃を受け流すと、そのままカードを発動させる。

 

 

『ナスティベント』

 

 

空間が割れ、ダークウイングが姿を見せる。

強力な音波攻撃を発動。ガイもアルカもコレは吸収できず、頭を抑えて苦痛の叫びをあげていた。

 

 

「えいッ!」

 

「ぎゃ!!」

 

 

その隙にかずみはアルカの肩を踏んでジャンプ、十字架の先に光を集中させていく。

苦しむアルカはそれに気づく素振りもない。

 

 

「もらった!」

 

 

かずみはリーミティエステールにを発動しようとするが、そこでガイがカードを発動する。

 

 

「ッざけんなよぉ!!」『ブラストベント』

 

「!」

 

 

何度目か分からないメタルゲラスの登場。

どうやらまだ電気は残っていたようだ。角が発光すると、スパークが発生。

電撃が迸り、空にいたダークウイングに命中する。

 

 

「ギィイイイイイイイイイイ!!」

 

 

ダメージから音波攻撃が中断した。

そこで我に返るアルカ。ルカの反射神経が活きたか、すぐに空にいるかずみを見つけて必殺技を発動した。

 

 

「リーミティ・エステールニ!」

 

「ピッチ・ジェネラーティ!!」

 

 

破戒の光と反作用のエネルギーがぶつかり合う。

競り合いはない。勝負は一瞬だった。

 

「え!?」

 

「ふふ♪」

 

 

アルカの魔法は、かずみの魔法を簡単に打ち破り進んでいく。

戸惑いを隠せないかずみだが、待っていたのは魔法の直撃だ。

それを見たナイトは舌打ち混じりにカードを発動する。

 

 

「終わらせてやる!」『ファイナルベント』

 

 

飛翔斬を発動し、アルカに向かって――

 

 

「はいはい」『コンファインベント』

 

「!」

 

 

ガイはもう一枚ストックがあったコンファインのカードでナイトのファイナルベント無効化。

地面に着地するナイトの背後にタックルの強力な一撃を叩き込んだ。

火花を散らして仰け反るナイト。ダークウイングを戻しつつ、素早く地面を転がって体勢を立て直す。

 

ダメージは受けれども狙いは変わらずアルカにある。

再びソードベントを発動するとダークバイザーとの二刀流でアルカの剣技をいなしていった。

 

 

「かずみ! 起きろ!!」

 

 

アルカの動きを封じている内に、と言う事だろう。

 

 

「う、うん! ごめんね蓮さん!!」

 

 

飛び起きるかずみ。

焦げている部分や凍り付いている所は見られるものの、本人は平気だと鼻息を荒げる。

しかしソードベントを発動させて走るガイ。メタルサーベルで起き上がったばかりのかずみに切りかかった。

 

 

「ふんしょ! こんの!!」

 

「お、マジで?」

 

 

貧弱な十字架など相手では無いとガイは思っていたが、十字架が変形。魔法の刃が出現して、あっと言う間にメタルセイバーに負けない程の大剣が握られる。

攻撃力もまた非常に高く、かずみはガイの攻撃をしっかりと受け止めていく。

 

 

「グオオオオオオオオオオ!!」

 

「いだっ!!」

 

 

ガイはまだメタルゲラスを残していた。

待機させておいたミラーモンスターをかずみに向けて突進させる。

マントを盾にした為に直撃と言う訳ではないが、衝撃は凄まじい。かずみは地面を何度も転がり後退していく。

だが反撃の魔法もしっかりと発動していた。まずは――

 

 

「ラ・ベスティア!!」

 

 

その言葉を言い放つと十字架から光が発生。それをメタルゲラスが確認した途端――

 

 

「グオオオオオオオ!!」

 

「は?」

 

 

踵を返したメタルゲラス。あろう事か主人であるガイに向かって攻撃を仕掛ける。

使い魔を支配して操る魔法はミラーモンスターにも効果を齎してくれた様だ。

そしてもう一つは織莉子の武器をコピーした『シビュラ』。

小型の十字架たちは旋回しながらアルカに向かって飛んで行く。

 

 

「いたたっ!」

 

 

無数の十字架はアルカの動きを鈍らせて隙を生ませる。

そこへ叩き込むナイトの剣。さらにガードベントを発動。

肘撃ちでアルカを怯ませると首を掴み、マントを翼に変えて空に舞い上がった。

 

 

「女の子の扱いが雑! あなたモテないでしょ!!」

 

「知るか!」

 

 

空中でアルカを放り投げる。

彼女に翼はない。落下するまでは無防備だ。

ナイトは急降下で飛び蹴りを仕掛け、アルカの腹部に足裏を沈める。

 

 

「ぐへッッ!!」

 

 

墜落するアルカ。

しかしすぐに手を伸ばすと、無数の氷柱を発射していく。

 

 

「串刺しになれ!!」

 

「チッ!!」

 

 

ナイトは飛行し、逃げる。

 

 

「まずい! 蓮さん待ってて、今行くよ!」

 

 

かずみは後退しながらリーミティエステールニを発動。

ガイとメタルゲラスをまとめて光の中に放り込む。

 

 

「淳くん! 待ってて、今助けるね!」

 

 

一方のアルカもガイのもとへ向かおうとするが、その時かずみは大きく息を吸った。

 

 

「コッチ見ろ!!」

 

「!?」

 

 

反射的に視線を移すアルカ。

するとソコには十字架を向けているかずみが。

 

 

「ファンタズマ・ビスビーリオ!!」

 

「――!」

 

 

強い風がアルカを通り抜ける。すると瞳から光が消えた。

虚ろな瞳になったアルカは、フラフラと視線をリーミティエステールニを受けたガイ達に向ける。

ガイはその防御力で必殺技を耐え抜き、メタルゲラスを消滅させていた所。

 

 

「いってぇ! おい! 反撃に出るぞ!!」

 

「………」

 

 

アルカは何も答えない、そして唐突にニヤリと笑う。

 

 

「?」

 

「ごめんね、ちょっと借りるよ!!」

 

「なに!?」

 

 

アルカの口調があやせともルカとも似つかない物に。

そしてガイは『近い話し方』の人物に視線を移した。

それは間違いなく、かずみだ。

 

 

「お前っ! まさか!」

 

「もう遅い!! ピッチ・ジェネラーティ!!」

 

 

かずみが発動させた『ファンタズマ・ビスビーリオ』とは即ち洗脳魔法。

メタルゲラスを操った『ラ・ベスティア』とは違う部分は、操るのがモンスターか、人かと言う点だ。

 

 

「くっ!!」

 

 

素早くデッキに手を伸ばす芝浦だが遅い。

かずみに意思を乗っ取られたアルカは、必殺技をガイに向けて発射。

ガイもアルカから攻撃を受けるとは思っていなかった。

 

しかもルールの一つにパートナー間での戦いは禁じられている。

だが洗脳状態にあるアルカはかずみとしてカウントされる為、そのルールは無効化されるのだ。

結果、高威力の必殺技が直撃する。

かずみは最初からこのタイミングを見計らっていたのだ。

 

 

「ぐあッ! ガアアアアアアアアアアア!」

 

 

爆発に呑まれて消えるガイ。

できればコレで決着がついて欲しいが――、段々と爆煙が晴れていく。

舌打ち交じりの声を出すナイト。見たのは、未だに立っているガイの姿だった。

 

 

「ハァ……、ハァ…ッッ!!」

 

 

しかしガイも大きなダメージを受けたらしい。

鎧が所々破損していた、加えてメタルバイザーにある赤い角が折れている。

 

 

「しぶといヤツだ」

 

 

ナイトが呆れたように言う。

あの攻撃を至近距離で受けておきながら立っていられるだけの防御力を持っているとは。

とは言え、かずみは少し複雑そうに表情を歪めた。

 

 

「違うよ蓮さん。魔法少女だよ」

 

「なに?」

 

 

ピッチジェネラーティを放つ寸前に、かずみの洗脳が切られた。

相当強い意思が働いたと言う事だ。発射はしてしまったが、威力が抑えられてしまった。

つまり、芝浦を傷つけたくないと言う強い意志がそこにはあった。

双樹あやせと双樹ルカにとって、芝浦淳と言う人間は本当に大切な存在らしい。

 

 

「おのれぇぇぇええッッ!!」

 

 

だからこそ、アルカは憎悪の瞳でかずみを睨む。

 

 

「わたしの淳くんに何てことを……ッッ!!」

 

 

ソコですぐに不安げな表情に変わる。彼泣きそうになりながらガイに縋りつく。

 

 

「違う、違うの! 今のは操られていただけだから! わたし達は淳くんの為なら何だってやれるから――! だから嫌いにならないで!!」

 

「………」

 

 

ガイは無言だった。

そのままグリーフシードを一つ、投げわたす。

 

 

「許して欲しかったら、あいつ等を殺すぞ!」

 

「う、うん!!」

 

 

「一回分の浄化で回復する魔力を全てピッチジェネラーティにつぎ込め! 消し炭にするぞ!」

 

 

それは、マズイ。

ナイトとかずみは、アルカを止めるために走るが、ガイが許すはずもない。

 

 

「お前等は来んなよ! うっざいなッッ!!」『スタンベント』

 

 

ガイの前方に現れたメタルゲラスは、その場で大きく足踏みを行う。

すると発生する地震。大きな揺れはナイト達の動きを封じる。

さらに続けてフリーズベントを発動。氷の衝撃波を発生させて、ナイトペアの脚を凍らせる。

 

 

「う、動けないよ蓮さん! カチコチだよ!!」

 

「ぐッッ!!」

 

「ハァアアアアアアアアアア!!」

 

 

その隙に魔力を技に込めるアルカ。

轟々と燃える炎と、激しい冷気がクロスさせた剣にエネルギーを宿していく。

ナイトペアは逃げられないと踏み、それぞれ守護魔法や防御のマントで身を包む。

 

 

「そんな盾、全部壊しちゃう!!」

 

 

アルカは天高く剣をかざし――

 

 

「消えろ! ピッチジェネラーティ!!」

 

 

最大出力の必殺技を放った!

 

 

 

 

 






アルカは原作で言う本気モードです。
原作じゃルカしか使用してませんでしたが、今作は二つの人格を一緒にします。
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