仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME   作:ホシボシ

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遅れてすまぬ(´・ω・)

地震大丈夫でしたか皆さん。
なんかこういうのって触れていいのか悪いのか曖昧なところですよね。
とりあえず普通に更新していこうと思います。


第33話 十字星 星字十 話33第

 

 

退却した織莉子達は屋敷にてダメージを回復させていた。

しかし三人の空気は重い。涼しい顔をして紅茶を飲んでいる織莉子はともかく、ソファに体育座りでいるキリカは不機嫌そうに頬を膨らませている。

上条も濁った目で窓の外をジッと見ていた。

 

 

「フフ、二人とも元気がないみたい」

 

 

織莉子の言葉に反応して、上条は傍に座る。

 

 

「見苦しい所を見せてしまったね」

 

「冷静さは戦いにおいて必須とされる物ですよ」

 

「分かっているつもりだった」

 

 

織莉子に軽く特訓をしてもらい、戦いの技術や、瞬間移動を基調とする戦い方を身につけたつもりだった。

しかしいざ杏子や王蛇を目にすると憎悪の炎が心に湧き上がり冷静さを失ってしまう。

結果、オーディンのスペックを無駄にするような動きを多発してしまった。

 

 

「あの槍が、あの拳が、あの女の言葉が、さやかを傷つけたかと思うと虫唾が走る……!」

 

「殺意は心を獣に変えます。何も考えずただ剣を振るうだけの獣に」

 

「意地になってしまう。どうにも具合が悪い」

 

「落ち着いて。貴方には佐倉杏子や浅倉威を殺すだけの力がある。焦る必要はありません。時間はまだあります」

 

 

そこでキリカが唸り声を上げる。

どうやらタイガに自分の魔法をバラされたのが相当悔しいらしい。

本当は織莉子がピンチに時に颯爽と現れて敵が戸惑っている間にネタバレを~などと色々プランがあったのに、全て台無しだもの。

 

 

「ねー織莉子ぉ、東條の奴をブチ殺してしまおうよー!」

 

「こらキリカ、言葉が汚いわ」

 

「いいじゃん、いいじゃないか! いいじゃないですか!!」

 

 

キリカはソファから立ち上がると頭を掻き毟って再びバタリと大げさに倒れてみせる。

そして手足をジタバタと動かして殺せ殺せと喚き始めた。

ため息をつく織莉子と、首を振る上条。

 

 

「止めなさいキリカ、東條君は素晴らしい人よ」

 

「どこが!? あんな英雄ジャンキー、車にでも轢かれて死んでしまえばいいんだーッッ!!」

 

「仕方ないわね」

 

 

織莉子は立ち上がると、綺麗に結んだサイドテールの髪を揺らしてキリカに近づいていく。

そして喚き散らすキリカの頭を抑えると、そっと前髪をかき上げて唇を押し当てた。

 

 

「静かにしなさい、キリカ」

 

「!!」

 

 

目を見開くキリカ。

 

 

「デコチューきたぁあああああああああああああああああ!!」

 

 

キリカは頬を上気させて跳ね上がる。

 

 

「すぐ寝よう! キミの唇の! ハァハァ! 感触を確かめながら! そしたらきっと良い夢が見れる筈だーッッ!! やったーッッ!!」

 

 

キリカは前転でソファから転げ落ちると、そのまま気絶するようにイビキをかき始めた。

 

 

「凄いな彼女は……」

 

「明るい彼女にはいつも助けられてます」

 

「明るいと言うか――、いや、ごめん。なんでもない」

 

「話を続けましょう。今回の戦いで一つ、面白いことが分かりました」

 

「面白い?」

 

「ええ。立花かずみ……、でしたか。彼女の事は?」

 

「知ってるよ。十字を持ってる黒い魔法少女だろ? 最近転校してきた」

 

「私は彼女が最も怪しいと思っています」

 

「ッ!」

 

「彼女は確実に何かある。異質な存在です」

 

「理由を聞いても?」

 

「私は今まで色々な未来を視てきました。ですが常にその中で立花かずみがボヤけて映るんです」

 

 

ノイズ掛かっているような、砂嵐を見ているような感覚だった。

 

 

「そんな事が起きるのは彼女だけです」

 

「なるほど……」

 

「まるで"彼女だけ"、私達とは違う生き物みたい」

 

「つまり、究極の絶望である可能性が高いと言うことか」

 

「あくまでもその一点だけですから。ただいずれにせよ、マークはしておいた方がいいでしょう」

 

 

今回の戦いである程度、究極の絶望に目星はついた。

後は確信を持つだけ。しかし踏み込めば、絶望がトリガーとなり魔女になる。

そうすれば終わりだ。慎重にゆっくりと少しずつ剣を刺さなければ、黒ひげが飛び出す確立は高くなる。

 

 

「覚醒させずにトドメを刺す。くれぐれも気をつけてください。ましてや佐倉杏子が究極の絶望であると言う可能性もゼロではありません」

 

「……分かっている」

 

「そしてあと一つ。東條くん」

 

 

織莉子はキリカに視線を移すと、小さく笑った。

 

 

「彼は、使えます」

 

「………」

 

 

上条もまたキリカに視線を移し、唇を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北岡秀一は天才だった。

若干22歳と言う年齢で弁護士資格を手にし、尚且つ裁判は全て勝利と言う結果に終わる。

だが北岡が天才的だったのは頭脳もあるが、何よりも立ち回りだった。

 

彼の勝利には独特のやり方が関わってくる。

文字通り、どんな事をしても勝つ方法を選んできたのだ。

金さえ払えばどんな悪党も白にする、それが北岡のやり方だった。

それを成功させるには、ソレ相応のやり方が必要だったのだ。

 

ある日北岡は、政治家の息子が起こした事件を受け持った。

断ると言う選択肢はなかった。向こうは裏組織とも繋がりがある事を事前に話していた。

北岡としてもヤクザと揉めるのは避けたい。

 

尤も、これはハイリスクでありハイリターンだ。

それなりの大金を積まれた北岡は当然彼を白にするべく行動を開始する。

やり方は簡単だった。よく使う方法の一つだ。近くに住んでいた浅倉威と言う男に全ての罪をなすりつけたのだ。

 

もともと浅倉は乱暴で危険な少年として評判だった。

それに暴力団も協力してくれたし、事は思いのほかスムーズに終わった。

警察にも息がかかっていたのか、浅倉はすぐに逮捕された。

後は簡単だ。浅倉のアリバイを徹底的に潰していき、時には金を握らせた。

そして『真犯人逮捕』を武器に無罪を主張する。依頼の達成はいつもよりもずっと楽に終わった。

 

それから少し時が経ったある日、浅倉が北岡の事務所に殴りこんできたのだ。

容姿端麗。さらに若くして自分も事務所まで持つ北岡はちょっとネットで検索すれば一発だ。

探そうと思えば簡単に見つかる。浅倉も罪を擦り付けられた復讐をする為に、行き着いたのだろう。

 

だが当時、北岡には優秀なボディガードがついていた。『由良吾郎』と言う秘書だ。

当時の浅倉では五郎に勝てず、組み伏せられるのがオチである。

 

 

「悪いね、わざわざ来てもらったのに。まあでも未成年なんだし良いだろ? 名前は出ない」

 

「お前ェ……!」

 

「お前の親もお前がやったんだろうって疑わなかったしさ。ホント、お前って信用ないんだなぁ」

 

 

ヘラヘラと笑いながら警察に連絡を入れる北岡。

 

 

「もうすぐ少年院に逆戻りだ」

 

 

浅倉を見下しながら笑う。

 

 

「悪いなぁ、俺も仕事だったんだよ。お前が丁度いいスケープゴートだったってワケ」

 

「ッッ!」

 

「でもさぁ、考えれば考えるほど悪いのは俺じゃなくてお前だと思うよ」

 

 

普段からまともな人生送っていれば、周りも浅倉が犯人ではないと言うのが普通だろう。

にも関わらず誰もが浅倉を疑い、殺人を犯すのは当然の事だと納得してみせる。

 

 

「普段の行いが悪いんだよな、浅倉さんは!」

 

 

外から聞こえるサイレンの音。

 

 

「お帰りだ。お前みたいな屑は、せいぜい俺に利用されるのがお似合いなんだ」

 

「北岡ァ、いつか殺すぜ? お前……!」

 

 

浅倉も浅倉でニヤリと笑って北岡を見る。

蛇が獲物を捕らえた様な眼光だった、北岡も怯まずに笑みを返すと二人はソコで別れる。

 

その後北岡はいろいろあって事務所を見滝原に移動。

浅倉は浅倉で家に火をつけて家族を殺したとかで再び少年院。

さらに特殊な施設に送られたとかで、いつしか記憶から消えていた。

 

 

「でも、まさかこんな所で会うなんてなぁ。浅倉って名前にピンときたんだ」

 

 

そして今。

ゾルダはマグナバイザーを連射して王蛇を狙う。

王蛇も多少は防御していたが面倒になったのか、銃弾を構わず身に受けながらゾルダとの距離を詰めていった。

 

 

「今も思うよ。お前はやっぱり檻の中が一番似合うってな」

 

「ハハハ! お前は墓の中が一番似合いそうだ」

 

 

王蛇の剣を回避するゾルダ。

射撃特化とはいえ、接近戦もある程度こなせる。

王蛇の乱暴な拳を受け止めて弾くと、カウンターに拳や銃弾を与えていく。

 

 

「戦いは良い! 魔女や参加者を殺す時はイライラがすっかり消える」

 

「じゃあ一生イライラしてろ!!」『バーストベント』

 

 

マグナバイザーの銃弾を炸裂弾に変えるカードを発動する。

炸裂弾は文字通り撃った瞬間に爆発する物で、近距離の武器に変えるものだった。

引き金を何度も引くと、爆発は多重に巻き起こり、攻撃範囲も拡大する。

 

 

「グッ!!」

 

 

王蛇は煙を上げながら後退していく。

すると背中に感触があった。背後を見ると、ちょうど同じように後退してきた杏子と目が合う。

 

 

「丁度いい。槍を貸せ」

 

「あ? いいけど、代わりにベノスネーカー貰うぞ」

 

「好きにしろ」『アドベント』

 

「サンキュー」『ユニオン』『アドベント』

 

 

王蛇の元に飛来するベノダイバー。

杏子の背後に出現するベノスネーカー。

二人はさらに同じ力を発動する。その名も――

 

 

『ユニオン』『ユナイトベント』

 

 

合成のカード、ユナイト。特定の存在を融合させる力だ。

王蛇は槍とベノダイバーを。杏子は槍とベノスネーカーを合成させる。

 

王蛇の手に宿るのは大鎌だ。柄の先がエイを模した刃になっている。

そして杏子の手に宿るのは、複合ファイナルベントの時に使用する巨大な棍棒だった。

さやかを殺した武器でもある。ゾルダは無言でカードを抜くと、すぐにマグナバイザーにセットする。

 

 

『シュートベント』

 

 

肩にかける二対のバズーカ砲・『ギガキャノン』を装備すると、向かってくる王蛇に巨大な弾丸を発射していく。

そも、北岡は苛立っていた。

容姿には自信があった。才能には自信があった。自分は恵まれていると思っていた。

だからこそ、その人生は優雅なものでなければならない。一切の障害があってはならないのだ。

事実そうなってきた。途中までは。

 

 

「――ッ!!」

 

 

弾丸を回避しながら近づいてくる王蛇を見てつくづく思う。

なぜ自分がこんなサバイバルゲームに巻き込まれなければならないのか。

なぜ王蛇のような低レベルのヤツと肩を並べて戦わなければならないのか。

なぜ、なぜ、なぜ。なぜはちっとも終わる気配を見せない。

北岡は苛立っていた。だからこそもう一度、弾丸を放ったのだ。

 

 

「そらそらッッ!!」

 

「クッ!!」

 

 

杏子は巨大な棍棒を軽々と振り回していた。

だがサキも脚力を成長魔法によって強化させ、的確に回避を成功させていく。

杏子は舌打ちを行い、口からは罵詈雑言が漏れ始めた。

 

 

「うるさいな、もっと上品に戦えないのかキミは」

 

「うッせぇ! さっさと当たれってのッ!!」

 

 

杏子は脚を上げ、その場を踏みつける様なアクションを取った。

するとサキの真下から槍が生えてくる。『異端審問』、お得意とする攻撃だ。

不意打ちにサキは対応できず、身を切り裂かれる。

槍が肉体を貫通しないのは魔法少女の防御力があるからこそであって、生身の人ならば一撃で串刺しだろう。

 

 

「はい、もーらい!」

 

「ウグッ!!」

 

 

振り下ろされる棍棒。

サキは避けられないと踏んで、魔法で腕力を異常成長させて受け止める手段をとった。

ズドンと重い衝撃がサキの体を包み、歯を食い縛る。

対して杏子は笑いながら力を強めていく。そんな状況の中、ふいにサキは口を開いた。

 

 

「……私の友人である魔法少女が、過去に別の魔法少女とチームを組んでいたらしい!」

 

「それが何?」

 

「友人の名は巴マミッ」

 

「………!」

 

 

杏子の表情が変わったのを、サキは見逃さなかった。

マミはあまり詳しく口にする事は無かったが、パートナーだった魔法少女の事をガサツや乱暴な部分もあるけど『優しくて正義感のある少女』だと言っていたのも覚えている。

 

 

「そして、イメージカラーは赤だとも!」

 

「………」

 

「有り得ないと最初は思っていたが――! お前なんだろう!」

 

「ああ、そうだよ」

 

 

一瞬だった。杏子の表情が鬼のようなものに変わる。

 

 

「つうか、アイツの名前を出すな。耳が腐る!」

 

 

杏子が後ろに跳ぶと、着地地点から巨大な槍が出現した。

例外なく蛇腹状に変わり、それはまさに『大蛇』のようにも見える。

 

 

「"最後の審判"って技だ。かっこいいだろ?」

 

「マミは、キミを優しい人だと言った……!」

 

「ッ?」

 

「私はマミを信じている。佐倉杏子、同じマミの友人として、もう一度協力の意思を示したい!」

 

「ハァ。一つ良いこと教えてやるよ」

 

 

杏子は強大化した槍の上に乗り、サキを見下す。

 

 

「マミの知っている佐倉杏子は死んだんだ。もう随分と前に」

 

「なに……!?」

 

「今ココにいるのは新しいアタシだ! 誰も知らない、浅倉とアタシだけが知っている佐倉杏子なんだ!!

 

 

杏子は審判の槍を発射する。

サキは仕方ないと首を振って、迫る刃を睨みつけた。

 

 

「どこで道を間違えたのかは知らない、どんな理由があったのかは知らない」

 

 

しかし佐倉杏子と言う人間はもはや人でない、魔法少女でもない。

 

 

「お前はただの獣だ!!」

 

「!」

 

「イル・フラース!!」

 

 

巨大な雷の翼がサキの背中に付与される。

杏子が理解したのはそこまでだった。次の瞬間、サキが消えたかと思ったら視界が真っ暗になる。

拳だ。サキの拳が顔面に抉りこんでいる。

 

 

「どわあああああああああッッ!!」

 

 

杏子は地面に叩きつけられてバウンドした所で状況を理解した。

だから空中で体勢を整え、着地を成功させる。

口の中は違和感だらけだ。適当に吐き出すと、いくつかの歯と血の塊が出てきた。

 

 

「……獣ねぇ、いいじゃんカッコよくて! って言うかそもそも、何回同じ会話を繰り返すんだよアタシ達は」

 

「何?」

 

「コッチは協力する気なんてサラサラ無いのにしつこいんだよ! あと何回繰り返す? アタシは何回否定すれば分かってもらえるんだい?」

 

 

杏子は手で顔を覆い、治癒に魔力を集中させる。

砕けた骨が修復され、飛び出した眼球が正しい位置に移動を開始していく。

 

 

「お前もさっさとアタシを殺す方を選んだ方が楽じゃん」

 

「……ああ、だから選ばない」

 

「は?」

 

「戦う事は楽かもしれない。だから選んでしまいそうになる」

 

 

しかし厳しい道だとしても、選ぶのは協力の道だ。

 

 

「お前が拒んでも、私達は何度でも手を差し伸べ、声を掛ける」

 

 

たとえ今が駄目でも未来と言う希望を信じて。

今の杏子は獣だが、きっとまた分かり合える時が来る。

時間が、人の想いがソレを可能にさせる。杏子は恐らく大きな絶望に包まれた、故に変わってしまった。

ならば再び大きな希望に触れる事ができたならば以前の様に――

 

 

「だったら、こっちはアンタの手を切り落としてやるよ」

 

 

そうすれば手を差し伸べることはできなくなる。

すっかり元通りになった杏子は、歯を見せて笑うと武器を構えて走り出した。

 

 

「させはしないさ、私が――! 必ずッ!」

 

 

人は愚かな生き物だ。故に自らの考えを貫き通せない。

しかしそれは決して悪い意味だけではない。杏子の様な意見を持っていたとしても、心変わりのスイッチは案外簡単な物だったりするものだ。

サキが、そうであった様に。

 

 

「人は必ず闇に堕ちても変わる事はできる。その罪を背負ったとしても、必ず光を目指す事はできる! 何故か分かるか!」

 

「くだらねぇ、ポエムの時間か? 勘弁してくれよ」

 

「私達がッ! 私達の根本がどこまで行っても人だからだ! コルポ・マグネティカ!!」

 

 

サキが鞭を振るうと、帯電した淡い光の弾丸が放たれる。

しかし杏子は怯む事なく、むしろ加速して弾丸を切り裂こうと槍を振るった。

 

 

「ハッ!」

 

 

当然切り裂けると思っていたが、弾丸は杏子を包むようにして包み込み瞬時消滅した。

 

 

「は? なんだこれ?」

 

 

痛みも衝撃も無い。つまりコレは初めから攻撃の魔法ではない?

 

 

「私はマミを殺そうと思っていた」

 

「!!」

 

 

家族を失った悲しみを、マミに押し付ける事で救いを求めた。

しかし、マミと関わっているうちに信頼が生まれ、友として想うまでになった。

それは初めて会った時のサキでは考えられなかった変化だ。

 

 

「私はマミを失い、心の底から悲しむ事ができた。キミもいずれ――」

 

「何言って――ッて! な、なんだ!?」

 

 

杏子はサキを黙らせようと走り出すが、凄まじい抵抗感を感じた。

誰かに引っ張られている気がして、気がつけば体が浮いている。

 

 

「どわあああああ!!」

 

「コルポ・マグネティカは相手に磁力を付与させる魔法だ」

 

 

つまり文字通り杏子は『磁石』と変わらぬ体となった。

物凄い勢いで引き寄せられると言う事は、鉄の塊があると言うことだ。

 

 

「鉄? そんな物この部屋にあったか!?」

 

 

杏子は重い首を動かして、何とかその正体を探ろうとする。

だがその前に凄まじい衝撃。そして背中に感じた壁。

 

 

「フッ!!」

 

 

サキは翼を広げて跳躍、杏子に仕掛けた魔法と同じ物を王蛇に向かって放つ。

ゾルダはそれに気がつくと、王蛇を強引に掴んで弾丸を当てる様に仕掛けた。

鎌を肩に受けながらも、ゾルダは決して手を離そうとしない。

 

 

「悪いな、最初からお前と一対一なんて考えてなかったんだよ!」

 

「ッ!?」

 

 

王蛇に命中するコルポ・マグネティカ。

すると例外なく磁石になり、杏子と同じ鉄の塊に磔にされる。

しかしこの部屋には鉄の塊など存在しなかったはず、ではその正体とは何なのか。

答えはゾルダが呼び寄せたミラーモンスター・マグナギガ。別名は鋼の巨人、鉄である。

その体に王蛇と杏子は貼り付けられたのだ。

 

 

「ぐオォオォッッ!!」

 

 

力を込めるが、体はビクともしない。

しかしここで杏子がピンと来た。

 

「あ! そうだ、リリースベントを――」

 

 

拘束解除のカードを使おうとしたが、もう遅い。

サキは動けなくなった二人に、電磁砲を発射していた。

光と雷のレーザー砲が着弾する瞬間に、ゾルダはマグナギガを消滅させる。

 

 

「――――ッッッ!!」

 

 

光に包まれる王蛇ペア。

そのまま魔女結界を破壊していくまで飛んでいき、二人はホールから強制退場だ。

ゾルダは思わず唸る。サキの電磁砲は、さしずめトールハンマーとでも言えば良いか。

いくら魔法とは言え、もはや神話級だ。

 

 

「殺したのか?」

 

「いや、それだけの威力は出していない」

 

「あれで? 恐ろしいねぇ。ただ、まあ――」

 

 

ゾルダは王蛇たちが飛んでいった方向を睨む。

 

 

「アレは殺しておくべきだ」

 

「そう……、だろうか?」

 

「甘いなお前。それも最悪な甘さだ。あいつ等を生かせば、また誰か死ぬぞ」

 

「それでも、信じたいんだ……」

 

 

他者を犠牲にしてしまうかもしれないと言う事は分かっていた。

しかし、どうしてだろうか? やはりマミの元パートナーと言う事が引っ掛かったのか。

 

 

「私は、諦めたくない。希望は、絶対に死なないんだから――!」

 

「希望があるとしても、アイツ等に求めるのは間違いだって」

 

 

複雑な表情を浮かべるサキ。

何も言えず話題を変えるしかなかった。

 

 

「貴方はどうする? 私と戦うか?」

 

 

二人はホール入り口前で出会い、そして王蛇達を倒すと言う利害一致の上に協力をしていた。

だがもう、王蛇達は場外へ飛んで行ってしまった。

ホールにいるのは気絶しているタイガを除いて自分達だけだ。

 

 

「いや、いいや。俺もう疲れたし」

 

「……感謝する」

 

「たとえガキでも、女と戦うのは趣味じゃない」

 

 

そう言ってゾルダはフラフラとホールを後にしていく。

サキはそれを見つめ大きなため息をついた。

自分の辿る道について迷いはもう欠片とて無いが、やはりそれがうまくいかないジレンマは強く感じてしまう。

 

絶対に皆が協力する道は無いと思いつつ、心のどこかで必ずできると期待している。

だってそうだろ? 自分達は絶望に限りなく近い存在、だからこそ希望と言う物を諦めたくは無い。

誰も皆、絶望するために生まれてきたわけじゃない。

手と手を取り合う事が一番じゃないか。

 

 

「マミ……、君ならこんな時、どうしていたんだろうな?」

 

 

もっと事態を丸く収める事ができたのだろうか?

想いを引き継ぐつもりだったが、気がつけば助けを求めている。

こんな姿を見たらマミは情けないと笑うだろうか?

 

 

「だが、私は絶対に諦めないぞ」

 

 

たとえ上手くいかない道だったとしても、絶対に諦めたりはしない。

必ず叶えてみせる。

 

 

「君の為に、美幸の為に、そして――」

 

 

残された者のためにも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

校長室。

最大出力のピッチジェネラーティが放たれた後、フィールドは煙で覆われていた。

入り口の向こうで様子を確認していた龍騎は、助けに走ろうとはしていたが、ライアに引き止められた。

 

 

「行くな。今のお前じゃ、確実に死ぬ」

 

「……ッ」

 

 

煙が晴れてきた。

見えたのは勝利を確信したように笑っていたアルカと、ガイ。

 

 

「お!」

 

 

ガイが声をあげる。

視線の先にはボロボロになって倒れているかずみと、辛うじて防御に成功したと言う様子のナイトだった。

 

 

「勝負ありだな。終わらせるぞアルカ」

 

「うん……♪」

 

 

ガイ達も無傷ではない。

ましてや本気モードのアルカは二つのソウルジェムをフルに使用するため、それだけ汚れのスピードも速い。さらに言えばピッチジェネラーティは協力だが、これもまた二つの力を使うために消費魔力は大きい。

グリーフシードの予備はあるが、そろそろ決着はつけておきたかった。

 

 

「おい! 大丈夫か?」

 

「………」

 

 

やはり防御力は騎士の方が高いようだ。

ナイトはフラフラになりながらも、かずみに声をかける。

しかし逆に言えば、ナイトがボロボロだと言うのに、かずみに耐えられる筈は無い。

かずみはうつ伏せで倒れたまま動かなかった。防御に使ったマントも焼け焦げて、残ってない。

 

 

「お……、ん」

 

「ッ、なんだ?」

 

 

かずみが弱弱しく言葉を放つ。

対してアルカは、腕を前にかざす。するとナイト達の周りに出現する炎と氷の剣。

ガイもメタルホーンを装備し、腰を落とす。

 

 

「死ねよ、ざーこ」

 

「消えて☆ 永遠にな!!」

 

 

放たれる炎の一角獣。そして降り注ぐ紅と蒼の剣。

ナイトはマントを再び広げて自分とかずみを守ろうとするが、受けきれる自信は無かった。

瞬時、かずみがハッキリと言葉を放つ。

 

 

「止める時は、名前を呼んでね」

 

「は?」

 

 

その時、かずみのピアスが揺れる。

両耳にある鈴型のソウルジェムが美しい音を鳴らした。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「!?」

 

 

轟音が校長室を包む。

咆哮だ。その叫びは周囲にあった無数の剣や、炎の獣を消し飛ばす。

叫び声をあげたのは――、かずみだ。彼女は既にアクションを起こしていた。

 

 

「あ」

 

 

イルフラースとクロックアップを同時に発動。

音速でアルカの前にやって来ると、巨大な『手』で頭部を鷲掴みにする。

 

 

「な、なに? なんだ!?」

 

 

腕が黒い。かずみはキリカの武器をコピーしていたのだ。

鋭利な爪がアルカの頭に食い込み、血が垂れていた。ましてや顔を掴まれているため真っ黒な視界が恐怖心を煽る。

 

 

「いたいいたいッ! 痛いよ!!」

 

 

アルカは叫ぶが、かずみは何も答えない。

返事の代わりか、掴んだアルカの頭部を思い切り地面に叩きつけた。

 

 

「きゃあぁぁあッッ!」

 

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 

力が掛かり、地面がへこむ。

気づけば、かずみの容姿がみるみる変化していく。

髪が伸び、体にはなにやら複雑な模様が刻まれていく。瞳は出目金のように飛び出し、縦にジクザグな線が走っていた。

 

何よりも足が変化して闇の線になった。それが一つに束ねられ、蛇の様に一本へ変わる。

それは神話に登場する下半身が蛇の化け物、ラミアを思わせる。

なんと禍々しいものか。とてもじゃないが、きらびやかな魔法少女の影はどこにもない。

 

 

「あぐっ! ぐぅつ!!」

 

 

姿こそ変われど、かずみは相変わらずアルカの頭を何度も何度も地面へ打ち付けていく。

しかしルカの方が反応したのか、ハリネズミのように背中に氷柱をいくつも生やして、かずみを怯ませる事に成功した。

 

 

「な、なんだよアイツ!」

 

「この気配は――、魔女!? いやでも違うッ! な、何なの!?」

 

 

呆気に取られるガイペア。

かずみから魔女の気配を感じるというが、グリーフシードは生まれていない。

かずみの耳にはまだ確かにソウルジェムが確認できる。

そして考える暇を与える事なく、かずみは再び移動を開始した。

 

 

「グガァァアアアアァアアァアアッッ!!」

 

「こ、こないで!!」

 

 

アルカは強力な冷気を発射して、かずみを止めようと試みる。

一方でかずみは腕を盾にするだけで構わず突進してくる。

当然体中が凍っていき、盾にした左腕が一番最初に凍りついた。

 

 

「ぎぃイイイイイイイイイ!!」

 

 

しかし怯まない。

かずみ右手で左腕を掴むと、躊躇無く凍った腕を引きちぎる。

 

 

「ひッ!」

 

「まじか……!」

 

 

それだけならばまだしも。かずみは引きちぎった自分の腕を、牙で貪り始める。

黒く濁った血が零れるなかで、ジャクジャクとシャーベットを食べるように己の腕を食っていた。

異常な光景だった。生理的嫌悪、アルカは言葉を失う。それはガイやナイトも同じだ。

 

 

「ギシャアアラアアアアアアア!」

 

「!」

 

 

左腕を食い尽くすると、更新されるように新しい左腕が一瞬で生えてきた。

どうやら食った腕を吸収して再構築したのだろう。

かずみは高速で辺りを駆け、闇の脚でまずはガイを吹き飛ばす。

 

 

「ぐはッッ!!」

 

 

巨体が吹き飛ばされる。

イルフラースにより、パワーもスピードも以前と比べ物にならないほど強化されている。

電光石火、黒が迫る。アルカは首に焼け付くような痛みを感じた。

 

 

「ぎゃあ、痛いッッ!!」

 

「ギィイイイイィィイィ!!」

 

 

振り払おうとするアルカだが、かずみは食いついて離れない。

闇の脚でアルカに絡みつくと、顎の力をさらに強める。

アルカが炎を発しても冷気を発しても、コピーした吸収魔法で全て無効化していった。

 

 

「痛い痛いッ! は、離して!! 落ち着けあやせ! む、無理だよルカ! 助けて!!」

 

 

アルカの中で分離が起こる。

どうやらルカには耐えられる痛みでも、あやせには厳しい物らしい。

さらにかずみの異常性も相まって通常よりも大きな恐怖があやせに襲い掛かっていた。

目の前にいるのは魔法少女でも人間でもない、得体の知れない野獣なのだ。

 

 

「――ッ」

 

 

その時、首の肉を食いちぎる生々しい音が耳に入った。

吹き出る血、ルカの心が大きく揺れる。体に傷が残る? 血が出てる、痛い。

パニックを起こしていくあやせ。ルカは落ち着けと何度も連呼するが、ソレをかき消すようにかずみの咆哮が割り込んでくる。

 

もちろん、ただの咆哮じゃない。ファンタズマビスビーリオにて弱ったあやせの心を侵食していく。

痛みは鋭敏になり、それは心の痛みも同じだ。

あやせの心をこじ開け、痛みを引き出していく。思い出したくないことや、嫌悪する存在をフラッシュバックさせていく。

幻影。まるであやせの全身に闇の蛭がビッチリと張り付き、血を啜っていく感覚。

 

 

「いやアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ギィイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

 

「クッ! 仕方な――」

 

 

ガイは立ち上がると、すぐにアルカを助けようと動く。

だがその時、周りに無数の十字砲台が出現していった。

ガイはガードベントを発動しようとデッキに手を伸ばすが、遅すぎる。

それよりも早く砲口からは様々な弾丸が発射されていった。

例えばティロフィナーレ。例えばリーミティエステールニ。例えばピッチジェネラーティ。

 

 

「――ぅ、あ」

 

 

砲撃を受けたガイは、煙を上げながら膝をつく。想像以上に高威力だ。手加減も感じない。

かずみは動きが止まったガイを見る事も無く、再びアルカを狙う。

次は両手の爪を瞳の前に移動させていた。

 

 

(まさか、目を潰す気か!?)

 

 

アルカの中にいたルカは次の攻撃を予想して舌打ちを行った。

しかし『ルカ』の考える事は即ち『アルカ』の考える事。

つまりもう一人の共有者にも伝わるのだ。

 

 

「嫌……ッ! いやああああああああああ!!」

 

 

両目を潰される痛みと姿を想像し、あやせの心が崩壊していく。

幸か不幸か、あやせと言う少女は今まで苦戦を知らなかった。

そりゃあ少しは痛い思いをした事はあるが、ルカがいる事もあってそこまで大きなダメージを受ける事はなかった。

そんな中で突きつけられる痛みと恐怖。それは心を大きく破戒していくには十分だった。

 

 

「や、やだッ! いやいや! お願い止めて! 何でもするから止めてよォ!!」

 

 

だが、今のかずみにその言葉は届かない。

 

 

「やだあああッ! 助けて淳くんッッ!!」

 

必死に目を閉じるが、かずみは強引にこじ開け、眼球に爪を突き刺そうと迫る。

ガイは舌打ちを零し、再び走り出した。

だが間に合う距離ではない。

 

 

「止めろ! かずみッッ!!」

 

「―――」

 

 

校長室にナイトの叫び声が響き渡る。

目を見開いたかずみは、爪を停止させた。

かずみはナイトを見ると、困ったような表情を浮かべる。

 

まるで彼の指示を待つような様子だった。

ナイトは震える声で、ゆっくりとかずみに攻撃を中止する様に言った。

 

 

「止めろ」

 

 

理由は言わない。

ただ一言、止めろとだけ。

 

 

「………」

 

 

今のかずみが、ナイトの言葉一つで元に戻るのかは疑問に思うところでもあった。

しかしナイトとしても今の状態は少し引っかかる物がある。

確かにあのままかずみを放置しておけば、状況は有利な物に変わった筈だ。

しかし今の状態は――、どうにも気分が悪い。

ナイトには、かずみが苦しんでいる様にしか見えなかった。

 

 

「……ッ! グガアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

かずみが苦しそうに咆哮を上げる。

だが同じくして、その姿が元に戻っていくではないか。

"止めるならば名前を呼んで欲しい"と事前に言ったのは、コレを意味していたのだろう。

 

 

「ウラッ!!」

 

「あぐっ!!」

 

 

しかし動きを止めてくれたおかげで、ガイがタックルでかずみを吹き飛ばす。

かずみは苦痛の声をあげてナイトの方へと転がる。ナイトはすぐに駆け寄り、かずみの無事を確かめた。

既に姿は元通りに。呼吸は荒げているが、会話も可能だった。

 

 

「おい! 大丈夫か?」

 

「う、うん。止めたんだね蓮さん……! でも、あのまま放っておいてくれたら勝てたのに」

 

 

かずみは苦笑交じりに立ち上がる。

ナイトは少し沈黙したものの、口を開けばすんなり理由を説明し始めた。

 

 

「お前は俺の惚れた女に似ている。手を汚すのは、俺だけで良い」

 

「……な、なにそれ」

 

 

そうだ。そうなのだ。

かずみは恵里に似ていた。顔は――、微妙だが、なんとなく雰囲気に通ずるものを見た。

だからナイトとしては、かずみが苦しんでいるのはどうにも気分が悪いのだ。

 

 

「ソレに、ガキらしくない」

 

「へ?」

 

「お前みたいな間抜けそうなヤツは、バカみたいに遊んでいた方がらしい」

 

「ぶぅ! 酷いぞ!!」

 

 

やはりナイトもどこかで、かずみを巻き込んでいる事に若干の罪悪感を覚えている様だ。

 

 

「……でも、あはは! 大丈夫大丈夫、手伝うのはわたしの意志だから」

 

 

かずみは笑う。

ナイトも、これ以上は何も言えなかった。戦いはそこにあるのだから。

 

 

「それより蓮さん、お喋りは終わりしたほうが良いかも」

 

 

視線の先にはガイとアルカが見えた。

アルカは恐怖に青ざめつつも、コチラを鋭く睨んでくる。

 

 

「も、もう嫌ッ! あの娘、殺して終わらせる!」

 

 

炎と氷の刃が交差する。

どうやらもう一度ピッチジェネラーティを放つつもりらしい。

さらにガイのスパイラルフレアも加わり、決着をつけると。

 

 

「流石にもう一度受ければ負けるよ。蓮さん」

 

「分かっている。だから、俺達も対抗するぞ」

 

 

かずみは既にアルカの魔法をコピーしている。

だからこそ、ピッチジェネラーティは発動できる。

 

 

「でもオリジナルよりは威力が落ちるから」

 

「大丈夫だ。方法はある」

 

 

 

ピッチジェネラーティは炎と氷、二つの属性を合わせる事でエネルギーを増幅させていく。

ならばコチラは『もう一つ』属性を加える事で、三つのエネルギーを合わせるのだと。

 

 

「消えてよ! ピッチ・ジェネラーティ!!」

 

「ハァアアアアアアアアアッッ!!」

 

 

攻撃を行うガイペア。

ガイが放ったスパイラルフレアにより、炎のサイが発射された。

その角にアルカが撃ったピッチジェネラーティが集中していく。

赤と青の螺旋がナイト達に迫る。

 

 

「行くよ蓮さん! ピッチ・ジェネラーティ!!」『ユニオン』『ファイナルベント』

 

「ああ、しっかり合わせろ!!」『ファイナルベント』

 

 

かずみも同じく赤と青の魔法を放つ。

さらにナイトはファイナルベントのカードを取り出してバイザーへセットした。

同じくかずみもその力を共有する。

炎と氷と、そして風のエネルギーを追加しようと言うのだ。

 

 

「はいはい、お疲れお疲れ~」

 

 

しかしガイはソレを読んでいた。

既に一番はじめに使ったコンファインベントのカードは再生成が完了している。

だからこそ余裕だった。カードはデッキからコンファインベントのカードを引き抜き、バイザーへ放り投げる。

後は自動でセットされ、蓋を閉じれば終わりだった。

 

ナイト達のファイナルベントは無効化され、消し炭になる。

少し焦った場面もあったが、やはり今回のゲーム勝ち――

 

 

『エラー』

 

「は?」

 

 

電子音が告げた情報。ガイは間抜けな声をあげた。

エラー? つまりコンファインベントが失敗に終わったと。発動できなかったと。

 

 

「な、何だ? どうなってる!?」

 

 

ガイはすぐにメタルバイザーからカードを排出させて絵柄を見た。

ソレは紛れも無いコンファインベントの絵柄ではないか。

 

 

「なっ! はぁああああッッ!?」

 

 

だが鏡が割れる音がして、コンファインのカードが砕け散った。

代わりに現れたのはトランプのジョーカーを模したカードだ。

コレは見たことがある。ガイはすぐに校長室入り口の方へ顔を向けた。

やはりソコにはライアが立っていたではないか。

 

 

「悪いな、まあ今までのお返しだと思ってくれ」

 

「ふッざけんなよお前ぇエエエエエエ!!」

 

 

ずっと様子を見ていたライア達が遂に動いたのだ。

彼はずっとこの場面が来る事を予測していた。トリックベントのスケイプジョーカーは相手の攻撃だけでなく、使うカードも無効化できる。

いずれ使うだろうコンファインベント、ソレを無効化するタイミングをずっと伺ってきたのだ。

 

 

「じゅ、淳!」

 

「!?」

 

 

ガイはアルカの声で再びナイト達を見る。

無効化できなかったのだから、ナイト達の複合ファイナルベントが来るのだ。

 

まず現れたのはダークウイング。

超音波を発射してガイ達の動きを止める。

さらに大きな翼で羽ばたいて、ナイトとかずみの武器に風の力を纏わせた。

 

 

「疾風!」

 

 

ナイトが叫び、剣を思い切り縦に振るう。

すると巨大な風の斬撃が発射されて、アルカのピッチジェネラーティと押し合いを始めた。

かずみは飛び上がると、同じく思い切り十字架を振りかぶった。

 

 

「十字星ッッ!!」

 

 

かずみは十字架を思い切り『横』に振るう。

放たれるのは同じく巨大な斬撃だ。

二つの鎌鼬は一つになり、文字通り巨大な十字架(クロス)を形成した。

 

複合ファイナルベント。疾風(しっぷう)十字星(じゅうじせい)

クロスの斬撃はかずみのピッチジェネラーティと合わさる事で強大なエネルギーとなり、エネルギーを増幅させていく。

炎はより激しく燃え上がり、氷は吹雪となって勢いを上げる。

 

 

「そ、そんな!!」

 

「!!」

 

 

十字架は三属性の斬撃となり、アルカ達の攻撃を打ち破った。

 

 

「くそ!」

 

「あ!」

 

 

ガイは舌打ちを行うと。アルカを掴み乱暴に背後へ突き飛ばす。

倒れるアルカを確認すると、ガイは両手を広げて後ろを向く。

そうしている内に疾風の十字架はガイに着弾し、巨大な爆発を起こした。

 

 

「うがぁぁアア……ッッ!!」

 

「きゃあああああああ!!」

 

 

爆炎と吹雪に揉まれ、吹き飛ぶガイとアルカ。

既にナイトは走っていた。ガイに距離をつめ、デッキを一突きに粉砕してみせた。

芝浦となった後も、彼は衝撃で転がり、しばらくして動きを止める。

かずみもアルカに追撃を行っていたか。アルカも力なく倒れて動かなくなった。

 

 

「勝負あったな、芝浦」

 

「クソォオオッッ!!」

 

 

ダークバイザーを喉元に突きつける。

かずみも十字架をアルカに突き出していた。

変身にも魔力を使用していたか、アルカはルカに戻ると悔しそうにかずみを睨んでいた。

 

 

「あーあ、負けちゃった」

 

「さっさとココを元に戻せ」

 

 

芝浦はニヤリと笑って頷いた。

劣勢にも関わらず、未だに余裕の笑みを浮かべている。

 

 

「学校を元に戻す一番簡単な方法がある」

 

「なんだ?」

 

「おれを、殺せば良い」

 

「………」

 

 

ナイト達だけでなく、ライア達も沈黙する。

 

 

「何で黙ってんの? どうせこのゲームは勝者が敗者を殺してのし上がるルールだろ。だったら負けたヤツに生きている資格はない。さっさと殺せよ」

 

 

芝浦は笑いながら言った。同じく笑い始めるルカ。

 

 

「ふははは! 見事だ。殺せ、私をな!」

 

「………」

 

 

かずみは無表情で十字架を握り締める。

戦いの終わりに待っているのはコレだと理解はしていた筈だ。

そもそも、いずれはナイトペアも勝利を目指す存在になるかもしれないのだ。

殺せと言っている者が目の前にいるのなら。

 

 

「………」「………」

 

 

二人は武器を握り締め、そして――

 

 

「駄目だよ! かずみちゃん!!」

 

「止めろ蓮ッッ!!」

 

「!!」「!?」

 

 

ライアの脇を抜けて走ってきたのは龍騎とまどかだった。

まどかは守護魔法を発動して、一気にかずみとルカの間に入って十字架を受ける。

呆気に取られ、ナイトは剣を止めた。それを突き飛ばしたのは龍騎だ。

芝浦たちが目を丸くしている中で、ナイトは地面に倒れる。

 

 

「何をする!」

 

「何をするって、蓮! 誰も殺さないって約束したろうが!!」

 

「約束はしてない! 第一、コイツの言う事には一理ある」

 

 

それがルールなのだから。ナイトはそう言うが、龍騎は納得できなかった。

 

 

「何だよ! ルールで決められてるからって殺しても良いのか? おかしいだろそんな事!!」

 

「お前は芝浦に負けただろ! 都合の良い時だけ出てくるな!」

 

 

ナイトは立ち上がって龍騎の肩を打つが、龍騎は踏みとどまる。

 

 

「いーや引き下がれないね、ココだけは!!」

 

 

もみ合う二人。それを見て芝浦はダルそうに立ち上がり、首を振る。

 

 

「何やってんだよ。おれ、こんな間抜けに負けたのか……」

 

「間抜けって何だよ! お前だって死にたくないだろ!!」

 

「べっつに、何か死んだら死んだで面白そうだし。殺せば解決するんだからさっさと殺せよ」

 

 

すると龍騎は変身を解除。

真司はそのまま芝浦の胸ぐらを掴んで声を荒げる。

 

 

「そんな無責任なこと言うなよお前! 一体どれだけの事をしたのか分かってるのか!?」

 

「ッ」

 

 

その迫力に芝浦も少し怯んだ。

ガイと言うアバターを失った以上、力は無い。ただの中学生のガキに変わってしまったのだから。

しかし芝浦はすぐに笑った。

 

 

「罪滅ぼし? じゃあやっぱり死ねばいいじゃん。おれは死刑になるんだよ」

 

「違う! 死ねば終わりなんて、間違ってる!!」

 

「それはアンタの考え方だろ! おれはそうは思わない!」

 

 

芝浦は真司を蹴るが、やはりまだ食いついてきた。

 

 

「人の命はな、ソイツだけのものじゃないんだよ!」

 

 

受け売りだが、本当にそう思う。マミの死でも強く実感した事だ。

残された人もまた深い悲しみに包まれる。それが理不尽な死であれば尚更だ。

真司はこのF・Gによって齎される死は、最もな理不尽だと思っている。

 

 

「あやせちゃんもルカちゃんも、お前が好きなんだろ!? 二人の為にも、お前は生きろよ!」

 

 

そしてこの騒動で死なせた生徒達の為にも絶対に生きなければならない。

生きて罪を償わなければならない。飽きたから死ぬなんて都合のいい逃げ道は許されない。

真司は必死に芝浦を説得するため、声を荒げた。

生きる事を誤解してはいけない、死ぬ事を美化してはいけない。

 

 

「はッ、コイツ等なんてどうでもいいよ。おれもコイツら死んでも別に何とも思わないし」

 

 

芝浦は膝を着くルカを見て言い放った。

しかしここで合流するライアとほむら。ライアは変身を解除して、芝浦をジッと見つめる。

 

 

「なんだよ、見んなよ」

 

「お前、嘘をついてるな」

 

「は?」

 

 

手塚は見ていた。疾風十字星が着弾する際、ガイは確かにアルカを庇っていた。

無意識にせよ、意図したものにせよ、ガイはルカとあやせをしっかりと守っていたじゃないか。

 

 

「それは――」

 

 

芝浦の言葉が止まった。笑みも消える。

だからルカが助け舟を出した。

 

 

「ハッ! 淳が死ねば私も死ぬ! それでいい! それが私達だ!!」

 

 

ルカの言葉に首を振る真司。

 

 

「じゃあだったら、あやせちゃんはソレで良いのかよ?」

 

「何ッ?」

 

 

何も知らずに駆けつけたまどかは、ルカの秘密を知らない。

現在下の階層では、美穂とサキが残った生徒達を脱出させている所だった。

 

だからまどかはココに来れたのだ。

ほむらはまどかに駆け寄ると、あやせとルカの秘密を説明し始める。

そして真司は話を続けた。ルカと芝浦の気持ちは分かった。だがまだあやせの本音を聞いてない。

 

 

「どうなんだよ、あやせちゃんは。芝浦が死んでもいいのかよ。その後を追って死ねれば、本当にそれでいいのかよ!」

 

「………」

 

 

ルカは力を失ったように俯く。

 

 

「俺はあの世があるかなんて知らないけどさ、本当に楽しい場所なんて限らないだろ?」

 

 

ましてやそこで芝浦とあやせ達が再会できる保証も無い。

だったら、もっとこの世で二人の思い出を作りたいんじゃないのか。

一緒に映画を見たり、一緒に食事をしたり。二人で色々な場所に行って遊びたい筈だ。

 

 

「口では何とでも言えるけど、本当のところ、どうなんだよ」

 

「……い」

 

「え?」

 

 

ポタリと、一滴の涙がルカの手の甲を濡らした。

顔を上げて涙に濡れた顔を見せる。それはルカではなく、あやせだった。

 

 

「死にたくないよ! わたし、淳くんともっといっぱい楽しい事したい!!」

 

「………」

 

 

悲痛に叫ぶあやせだが、ほむらは随分と冷めた目でソレを見つめていた。

楽しい事? それがこの凄惨な状況を生んだのに、何をいけしゃあしゃあと。

本当は今すぐに芝浦とあやせをぶん殴って銃弾を眉間に撃ち込みたい。

しかし、それは今自分が行う行動でもない。だからほむらは腕を組んで沈黙していた。

 

 

「この結界を解くには、学校にいる魔女を全部倒せばいいの!」

 

「お、おい!」

 

 

あやせは結界の全てが魔女によって構成されている事を告げる。

芝浦達はあくまでもイーブルナッツによって魔女を孵化させただけにしか過ぎない。

魔女結界は魔女が死ねば消える。そのルールは同じだった。

 

 

「残りの魔女は校庭にいるから。それで最後」

 

「な、なんでバラしてんだよ! おいおい!」

 

「………」

 

「だって、そしたら淳君とルカちゃんは死ななくていいんでしょ!?」

 

「……ッ!」

 

 

それを聞くと、ライアは下にいるサキ達に連絡を入れに向かった。

半ばヤケになっているのか、あやせは次々と言葉を吐き出していく。

家族も友達もいない。自分には芝浦しかいないんだと声を震わせていた。そこにいたのは先ほどまでのあやせではない。ただの弱い少女だ。

 

 

 

「淳くんが死ぬなんて嫌! でも、わたしも……、死にたくない!!」

 

 

それはワガママ? あやせは頭を抱えて涙を流す。

死にたくない。その言葉が一同に突き刺さる。

同時に、今までの戦いを軽視していたとしか思えない発言であった。

 

 

「魔女に殺されちゃった人も……、きっと死にたくないって思ってたよ」

 

「……!」

 

 

まどかが声を放つ。

彼女もあやせ達の行動には当然怒りを感じているようだ。

理不尽に生徒達の命を奪ったのは紛れもない事実なのだから。

しかし、まどかは移動すると、へたり込むあやせの前に膝を着いた。

 

 

「え?」

 

「………」

 

 

まどかは視線をあやせと同じ高さに変えると、そのまま抱きしめる。

悲しげな表情を浮かべて沈黙するまどか。あやせも動きを止めて、優しい香りだけを感じていた。

 

 

「な、なに?」

 

「わたし、貴女達がした事は本当に酷い事だと思う」

 

 

まどかは複雑な表情で、あやせと芝浦を見た。

ゲームと名がついただけの殺戮。どれだけの生徒達が犠牲になったのか?

そしてコレからどれだけの生徒達が心に傷を負っていくのか想像もつかない。

しかし、まどかは全ての責任が芝浦達にあるとは思えなかった。

 

当然コレを仕組んだのも、行ったのも全て芝浦達の意思である事には変わりない。

だがその背景には何がある?

 

 

「本当に悪いのは……、フールズゲームだからっ」

 

 

まどかも、人の心には『他人を傷つけたい』と言う悪の種がある事は理解している。

しかしそれを解き放つのは外部からの様々な影響だ。

そして最もたるはF・Gと、齎された力だろう。

それが何よりも悲しい、こんな悲劇を生むために自分達の魔法はあったのか?

 

 

「違うよ。誰だって……、幸せになりたいもん」

 

 

だからと言って他人を犠牲にしてもいいのか?

殺された生徒達の人生は芝浦達を楽しませる為にあったんじゃない。

自分の幸福を掴む為にあったんだ。

 

そして当然、それは芝浦達にも言える事だ。

だからこそ今回の行動は絶対に間違っているし、簡単には許せない。

 

 

「芝浦くんも、双樹さんも……、コレが本当の幸せなの?」

 

「ああそうだよ。邪魔な奴等、ウザイ奴らをぶっ殺して成り立つ。それがおれの幸せさ!!」

 

 

まどかは苦しそうに目を閉じる。そして首を振った。

 

 

「わたしには、それが不幸にしか思えないよ……!」

 

「はぁ?」

 

 

誰もが生きていく中で嫌だと思う事や、そう言った人物に出会う事はある。

そしてその邪魔だと思う者が消えたなら、または消すことができたなら、一時的な高揚が身を包むのは当然だろう。

何故ならば自らを不快にさせる、恐怖させる存在がいなくなったのだから。

 

しかしソレはあくまでも一時的なものでしかない。

そこに快楽や喜びを覚える事は麻薬に手を出す事と同じだ。

次なる快楽を求めて無意識に敵を作る。過剰に人の動きを確かめる。

そして新たな敵が出てきたらばソレを消さなければならない。

 

そうやって最後には何も残らなくなる。悲しみと虚空以外には。

何故ならばその快楽は尽きる事の無い負の連鎖によって成り立つものだから。

悲しみや絶望の上に成り立つ幸福など、次の悲劇を引き立たせるスパイスでしかないのだから。

 

 

「見下してんなよ……、お前!!」

 

 

芝浦はバッサリとまどかの言い分を切り捨てる。

自分の幸せが不幸などと、つまらないと、可哀想だと言うのか!

 

その言葉に首を振るまどか。

そうだとは言わない。しかし少なくとも他者を殺す事を喜びと言うのならば、幸せだと思うのなら――

 

 

「それは、絶対に間違ってる!!」

 

「なんだと!!」

 

「じゃないと悲しすぎるでしょ。殺された人も、殺した人も……!」

 

 

まどかはソコで始めてあやせに笑みを向けた。

少し悲しみを含んだものだが、彼女はしっかりと微笑んだ。

 

 

「だから、わたしは芝浦くんと、双樹さんとお友達になれたならいいなって」

 

「は?」

 

「……っ?」

 

 

いきなり何を? 二人だけでなく、かずみ達も呆気に取られた表情でまどかを見た。

一瞬聞き間違いなのではないかと思う様な言葉だ。

友達になりたい? あやせは無意識に復唱し、まどかもう一度頷いた。。

 

 

「それで、わたしが幸せだと思う事を二人に知ってもらいたい」

 

 

もしかしたらソレはあやせ達にとっては何も面白く無い物なのかもしれない。

でも、だったら次はあやせ達の幸せを教えて欲しい。もちろん人を傷つける事以外の物で。

もしそれがまどかに理解できない物ならば、今度は皆が共通して幸福を感じられる事を探したい。

 

 

「ハッ! 面倒なヤツ。そんなのできる訳ないだろ」

 

「できるよ、だって――」

 

 

切り捨てようとした芝浦へ、まどかは自分の想いを重ねる。

 

 

「だって、わたし達は同じ人なんだから」

 

「………」

 

 

その言葉と共に学校が元に戻っていく。

どうやら情報は本当だったらしい。最後の魔女をサキ達が倒した事で、魔女結界が崩壊した様だ。

生徒達のこともある、まどか達はサキの方へ向かう事を決めた。

 

問題は芝浦達をどうするか、だ。

 

不殺をまどか達が望む以上、その想いを無視して芝浦達を殺すと言う事はできない。

本音を言えば、蓮やほむらとしてはココで芝浦を殺しておきたかった。

 

芝浦達をココで見逃す事は再戦もありえる。

なにより二人の性格を考えて、必ずリベンジを挑んでくる筈。

それを真司とまどかは分かっているのだろうか?

 

 

「もしも、また俺たちと戦おうって言うなら――」

 

 

途端、真司が口を開いた。

その強い眼差しを受けてあやせは目を反らし、芝浦は悔しそうに歯を食い縛る。

 

 

「今度は、俺も本気で戦う」

 

「なんだよ、あれが本気だったくせに」

 

 

龍騎達もココで芝浦を見逃す事の意味は理解している様だ。

しかしあえて二人を見逃すしかない。それがF・Gに勝つと言う事なのだから。

そうだ、自分達の敵はプレイヤーではない。FOOLS,GAMEなのだ。

ワルプルギスの夜を倒すまで、誰も殺してはいけない。

 

 

「おれは必ずお前を殺すぞ」

 

 

芝浦はまどかを睨む。

 

 

「だったら、もっと強くなる。魔女を倒して、貴方達に勝てる様に」

 

「魔女を倒して強くなるか、随分だな。元々は同じ魔法少女だったくせに」

 

「……えっ?」

 

 

まどかと真司の表情が変わった。

 

 

「なんだよ、まさか気づいてなかったのか?」

 

 

ほむらが動く。

まどかの前に立つと、芝浦を睨みつけた。

 

 

「ほむらちゃ――」

 

「行きましょう。志筑さんの様子を一度見に行かないと」

 

「え? ま、待って。ねえ、ほむらちゃん!」

 

 

ほむらは強引にまどかと龍騎を引っ張っていく。

 

 

「だっせぇ」

 

 

芝浦は最後までヘラヘラと笑っていた。

さて、戦いは終わった。もうココにいる必要はない。

蓮達も校長室を後にする事を決める。芝浦達は迷ったが放置しかない。危険性を考慮するのであれば、どこかに閉じ込めておくと言うのも有りだが、まどか達が言う協力はそういう意味では無いことくらい分かる。

 

 

「もしも、また俺の前に敵として現れるなら――」

 

 

蓮は、冷たく二人を見下す。

 

 

「殺すぞ」

 

「………」

 

 

そう言って蓮とかずみも校長室を出て行った。

脱力したようにへたり込む芝浦とあやせ。結局何ともアッサリと見逃された訳だが、二人の心には大きな穴が開いていた。

まどかの言葉が、屈辱と虚無感を生み出し続ける。

 

 

「くそっ!」

 

 

芝浦はイライラを隠せず、床を軽く殴る。

 

 

「とりあえずココから出て、次に備えるぞ」

 

「ねえ……、淳くん」

 

「?」

 

 

あやせが弱弱しく口を開いた。ずっと一点を見つめている。

 

 

「まどかちゃんと、お友達になれるのかな?」

 

「おい……! 本気で言っちゃってんの!?」

 

「う、ううん! 違うの! 違うんだけど……」

 

 

可能性の一つとして、ソレもあり得るのかが気になった。

もしも罪を償えたのならば、その時はまどかと一緒に――

 

 

「そしたら、わたし。皆と一緒が……」

 

「………」

 

 

芝浦が口を開こうとした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「困るんだよねぇ、やる気の無い殺人役(マーダー)にこれ以上生き残られて・て・も」

 

 

 

 




ブリーチのオフショット凄かったですね。
あの三人好きなんですよ、特オタにはたまらんでぇ(´・ω・)


ツイッターで調べれば出てくると思うんで、また見てない人は是非。
あの三人好きなんですよね(´・ω・)
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