仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME 作:ホシボシ
に れる よね?
こ な終わり ならな ように、歴 を変 られ って、言っ たよ
に騙さ 前のバ な私 けてあげ ないかな
私、 にはな たく い。
嫌な も、悲しい もあったけど、守りたいものだって――
たくさん、この世界にはあったから。
………。
ただの概念に成り果ててしまった少女が一人。
可哀想? どうだろう? 理解はできない。
だって心が、感情が無いから。
『しかし、本当にあの結果にはびっくりしたよ』
「………」
沈黙する。
『ただの人間がまさか――』
語り始める白。
『全く、人間と言う生き物はよく分からないね。ボクの予想を遥かに超えてくる』
「………」
男、だろうか? 尚、沈黙する。
『でも、おかげでおいしい話にありつけたってモンよ! なあ、先輩!』
『そうだね、協力を感謝するよ――』
男は――
「いえ、こちらこそご協力感謝します」
確かに笑った。
その日の朝に時間はさかのぼる。見滝原にある、大きな窓が特徴的な家。
そこに彼女と、彼女の家族は住んでいた。
「はぁ……。夢オチぃ?」
ムクリと起き上がったまどかは、ぬいぐるみを抱いてため息を一つ。
ずいぶんとおかしな夢を見た。自分が神様になったなんて友達に話したらどんな顔をされるだろう?
彼女はまだ少し眠い目を擦りながら、自分の部屋から父親がいる庭へと向う。
今日は天気がいい、楽しい一日になりそうだ。まどかは微笑みながら足を進めた。
「おはよう、まどか」
「うん、おはようパパ。ママは?」
小鳥のさえずりが心地いい。空を見上げれば快晴。
まどかは家庭菜園の様子を観察していた父に、朝の挨拶を交わす。
「ママは……、まだ寝てるみたいだね」
「もう、仕方ないなぁ」
まどかは呆れたように笑い、そのまま母親を起こしに行く事にした。
その姿を優しく見つめる父。幸せに満ちた家庭の形ではないか。
まどかの家は父親が主婦をしていて、母親が働いていると言う。一般からしてみれば少々変わっているもの。
だが家族仲はとても良好だ。大切なのは絆であって、それはまどかもよく理解していた。
そうこうしている間に部屋につく。
母親の部屋では、すでに三歳になる弟のタツヤが奮闘しているところだった。
タツヤは母親を必死に呼びながら布団を叩いている。だが非力な彼の力ではどうする事もできない。
「よし!」
まどかは気合を入れて、まずカーテンを開く。
明るい光が部屋中を満たし、朝の訪れを告げる。次は布団を引き剥がし本体を露出させるのだ!
「起きろーっ!!」
「ぎょへぇえええええうぇええええぃぃい!!」
「あ、おきたぁー!」
こうして鹿目まどかの一日が始まる。
今日もいい事があるといいな。そんな事を思いながら、まどかは笑った。
「おはようございますサキさん!」
「ああ、おはよう。まどか」
まどかが学校に行く際、一番最初に浅海サキと合流するのは、サキの家がまどか家のすぐ近くにあるからだろう。
サキは三年生。まどかは二年生。関係としては先輩後輩になるのだが、家が近いと言う事もあって昔からよく遊んでもらった。
つまりところの幼馴染である。
「ほう。今日は赤色のリボンか」
「あはは、本当は黄色にしようと思ってたんですけど……、ママが凄く赤を推すから」
その事を説明するとサキはクスクスと笑った。
サキもまどかの母親はよく知っている。どちらかと言うとおっとりと大人しい性格のまどかとは違い、昔から豪快と言うか男らしい性格なのだ。
「いいじゃないか。うらやましいよ、私もあんなカッコいい女性になりたいね」
「そ、それは……」
まどかも母親を尊敬はしているが、改めて言われると照れくさい。
頬を染める彼女に、またサキは笑う。そんな事を考えていると、向こうに三人、友人達の姿が見えた。
まどかは手を振って彼女達に駆け寄っていく。
「おーい!」
「あぁ、まどかさん。浅海先輩、おはようございます」
「まみしゃぁん! もっと補給させてぇ!」
「ちょ、きゃあ! 美樹さん! やめっ!」
礼儀正しく朝の挨拶を返したのは
その隣ではサキの友人で、同じクラスの
さやかはマミに憧れを抱いているらしく、必ず一日の始まりには『今日のマミさん成分』なる物を補給しなければいけないらしい。
とはいえマミは困り顔なのだが、本人も満更ではない様子だ。そんなさやか達もまた、まどか達に気がつくと挨拶を交わした。
「へぇ、まどか。かわいいリボンじゃん!」
「えへへ、そうかな? 派手すぎない? どう思いますかマミさん」
「うん。素敵だわ。よく似合ってるわよ」
まどか達はいつもこの五人で登校していた。
仁美は習い事で忙しかったりするが、放課後や休みもこのメンバーで遊んでいる。
性格はバラバラだが、馬が合うとでも言えばいいのか。
五人は毎日毎日飽きることも無くじゃれあいながら楽しく過ごしていた。
願わくば、この幸せな日々がいつまでも続きますように。まどかはいつだったか、そんな事を思った事もある。
「じゃあ、私達は――」
「はい、また放課後ぉ~!」
学校へ到着すると、マミとサキが別れる。
まどか達も自分達の教室へと向かい――、その途中に"彼女"を発見した。
「あ! ほむらちゃんおはよう!」
「……ええ、おはよう。鹿目…さん」
黒髪のロングヘア。クールな印象を持った少女、
まどかはほむらを見つけると駆け寄って挨拶をかわす。しかし当の本人は軽く受け流すと、さっさとどこかへ行ってしまうのだった。
「おーおー、相変わらずクールだねぇ」
さやかはソレを冷めた目で見ていた。
ほむらは最近この見滝原中学校にやってきたのだが、どうにも『自分を見せない』と言うか、冷めた印象の娘だ。
クラスの誰しもが、ほむらの事を嫌いとは言わないが、好きと言う人もいない。
まどかは純粋に仲良くなりたい。仲良くなれると思っているが、それは難しいのかもしれない。
さやかは特にそれをつくづく感じていた。さやかとて最初は親しげに話しかけていたものだが、冷めた返しを連続されるものだから、さすがにもう仲良くなる事は諦めたようだ。
「きっとまだ転校してきて学校に慣れてないだけだよ。早く仲良くなれるといいなぁ」
「あ、でも彼氏はいるみたいですわよ」
「え゛ッッ!! マジ!?」
さやかは思わず目を見開いて肩をあげる。
なんでも仁美が言うには、塾の帰りによくほむらが同じ男性と一緒にいる所を見ているのだ。
「ど、どんな人?」
「制服を着てましたわ。確か見滝原高校のものだったと思います」
「つまり年上って事か……!」
一度くらいなら勘違いと言う可能性もあるが、仁美の他にも目撃情報は多いらしい。
極めつけは、ほむらの家からその少年が出てきた事もあるらしいのだ。
少年の方もよく言えば落ち着いた。悪く言えば冷めた雰囲気らしい。どことなく雰囲気が二人は似ているという。
「へぇ! そうなんだ。凄いねほむらちゃん!」
「まあ美人だしねー、彼氏の前じゃ笑顔みせたりとかすんのかな?」
さやかは少し羨ましそうに呟いた。
彼女にも想い人はいる。憧れがあるようだ。
「やあ。おはよう、さやか」
「!」
噂をすればと言う事なのか。その想い人に話しかけられた。
いきなりだったため、さやかは頬を桜色に染めて曖昧に笑う。
「きょ、恭介……! うん、おはよぅ」
もごもごと。いつもの元気な様子ではなく、大人しい印象に変わる。
さやかに話しかけたのは
しかし、なかなか関係は進展する事はなく。
やはり幼馴染と言う関係で定着してしまっているのだろうか?
その関係が恋仲になってくれれば良いのだが……
「この前貸してもらったCDなんだけど、もう少し借りてもいいかな? 気に入っちゃってさ」
「あ! う、うん! いいよ。なんならあげよっか?」
「あはは、ありがとう。でもいいよ、悪いし」
そんな他愛も無い会話を繰り返し、上条は友達のところへ行ってしまう。
さやかはゆっくりとため息をつくと、手でパタパタと自分を仰ぎ始めた。
「でも本当に治ってよかったですわ上条さん」
「うん、そうだね……」
上条は将来有望といわれたヴァイオリニストだった。
しかし事故でその未来を奪われたのだ。指が動かなくなり、演奏をする事ができず、現代医療では治す事は不可能とまで言われた。
彼は自暴自棄になり、生きる事に絶望していたが――
最近になって『奇跡的』な回復を見せ、今はこうして歩く事ができる様になっている。
もう少し体が慣れれば、再びヴァイオリンを演奏する事も可能らしい。
今の彼はまさに、希望に満ちているのだ。
「ホント……、輝いてるよアイツは」
さやかは、そんな上条の後ろ姿を見ながら静かに呟いた。
一方、まどか達と別れたマミとサキ。
二人は談笑しながら自分たちの教室へと向かうのだが、その途中で『ソイツ』を見かけた。
「な、なにアレ」
「ッ! 止まれ不審者!!」
怯える生徒達。その視線の先には帽子にサングラスにマスクを着用した男がいた。
明らかに怪しい、と言うか怪しすぎる。サキはすぐに男を呼び止めて対峙する事に。
不審者はビクっと肩を震わせると、サキのほうへ体を曲げた。なにやら指で自分を指し示している。え? 何? 俺が不審者なの? そんな事を訴えている様だ。
「お前だお前! むしろお前しかいないッ! この学校に何の様だッ?」
「お、俺は、そう! この学校に今度新任で入ってくる先生で……ッ」
「嘘だ」
「………」
気まずい沈黙が流れる。
見れば不審者からダラダラと汗が流れているではないか。どうやら何を言っても危険と判断したのだろうか、沈黙を決め込むようだ。
「おい! なんとか言ったら――」
「あ、ああああッ! ごめん浅海さん! ソイツ――ッ、じゃなくて! その人は私の知り合いなんだ!」
「ッ!?」
不審者を庇うように立ったのは霧島美穂だ。
「ッ、先生……」
既に面識はあるのか、怯んだように固まるサキ。
一方で美穂は適当な理由を並べてさっさと不審者を連れて保健室へと向っていった。
実習中とは言え学校関係者が不審者じゃないと言っている以上、もうサキは何も言えない。
するとマミが肩を叩いてきた。
「サキ。なんでも噛み付くのはいけないわ。今みたいに普通の人かもしれないじゃない、後で謝りに行った方がいいわね」
「ぐッ! そ、そうだな……。だがマミ! アレはどう見ても不審者だ!!」
サキは悔しそうに歯軋りをしていたが、ふと急に足を止める。
何かを考えるように手を口元に当てて、ジッと押し黙る。
「どうしたの?」
「……ぁ、いや。悪いが先に教室へ行ってくれ。少しトイレに行って来る」
「そ、そう。じゃあ後でね」
サキは一人でどこかへ行ってしまう。
マミは首を傾げるものの、言われたとおり教室へ向かう事にした。
「あっぶねぇ……! いやー、助かった。サンキュー美穂」
「ったく、気をつけなよ! もうちょっとで警察呼ばれてたぞ!」
美穂は保健室のベッドに腰を下ろし、真司を呆れた目で見ていた。
変質者がいると言われてヒヤヒヤしながら向ったが、まさか知り合いだったとは。
「とり合えずそのバレバレの変装やめな。時間と共にアホになっていくよ」
「……分かったよ。外すよ。ちぇ、なんだよ、いい感じだと思ったのにな」
さらけ出される真司。美穂はもう一度深いため息をついた。
「で、アンタなんでここにいるの? デッキの事?」
「ああ、美穂。実は――」
とり合えず、真司はまずデッキの事を美穂に説明することに。
事前にメールで軽くやり取りはしていたので、美穂も真司がデッキを持っている事は知っていた。
「キモいわよね。何で捨てても戻ってくるんだろ? アンタといつも一緒にいるから、私も頭がパーになっちゃたのかな」
「失礼だろ! でもな美穂、俺もっと凄いこと知ってるんだよ」
「え?」
「俺なッ、魔法少女に会ったんだよ!」
「………」
「………」
「「………」」
「もしもし? 警察ですか? 学校に不審者が――」
「おわぁああああああ!! ヤメロヤメロ!!」
真司は急いで美穂の手から携帯電話を奪い取ると、先日の件、化け物に襲われて魔法少女達に助けられた事を話した。
「真司……、アンタあまりにも彼女ができないから遂に女の子の幻影を……」
「違う違う」
「大丈夫。皆まで言わずとも分かるさ。そんなに飢えてるなら美穂様が付き合ってやろうか? 一日一万円でいいよ」
「結構だ!! って言うか本当なんだって!!」
「えー」
美穂は少し怪訝そうな目で真司を見ていたが、非現実の象徴であるデッキの件がある。
この世界に魔法少女が存在しないとはどうにも言えないのだ。
まあ、信じてもらえるかどうかは置いといて。真司はとにかく『まどか』と『さやか』がこの学校にいるのかどうか知りたかった。
「うーん、つっても個人情報……」
一瞬ためらったが、美穂としても摩訶不思議体験を一秒でも早く終わらせたいところだ。
情報を提供するのは少し躊躇われたが、ここは一つ真司を信用してみることに。
「いるよ。真司の探してる鹿目まどかちゃんは、この学校にいる」
「ほ、本当か!?」
「うん。まどかちゃんはクラスの保健委員だからな。何度かクラスメイト連れて来たよ」
「まさか、本当にここにいたとは……」
ちょっと秘密にするには甘すぎないか? 見つけておいてなんだけど。
そんな事も考えたが、とにかく会って話しを聞きたいところだ。
とは言え、どうやって話しを聞くかだ問題は。直接会うのもアリだが、もしも――
『は? 違いますけど。え? 魔法少女? なに言ってるんですか? キモ……』
なんて言われたらもうその時点で終わってしまう。いろんな意味で。
だからまずは少しだけ確証が欲しい。
「美穂、お願いがあるん――ッて、どうした?」
「……いやッ」
真司は美穂の様子がいつもと違う事に気がついた。
デッキを見て黙っている彼女は、弱々しい子犬の様だ。
正直いつもは猛犬みたいなのに――……。
「やっぱ、少し怖いかなって」
美穂はそう言ってデッキを窓に向って放り投げる。
窓は閉めてあるので、当然デッキはガラスにぶつかって地面に落ちる。
しかし、ガラスにぶつかっても音一つたてないのだ。そんなモノがいつまでも自分に付きまとってくるのかと思うと、気が滅入ってくる。
「あー……、えっと」
「?」
真司は少し迷いながらも、美穂の肩を叩く。
「な、なんかあったらよぉ、ま……、守ってやるから。だから元気だせって……!」
「………」
真司は恥ずかしそうに美穂から目を反らす。
反面、目を丸くする美穂。だがしかし――
「ぶっ!!」
「!?」
「ぶひゃははははは! なんだよそれ! にあわねー! ぎゃはははダッセー!!」
「なっ! なんだよお前!! 人がせっかく心配してやってんのに!! も、もう知らないからな!!」
「ぎひひ! キモチワリー!! うひひひははは!!」
尚も笑い転げる美穂と、完全に赤面して吠える真司。
美穂はゲラゲラ笑いながら、まどか達に魔法少女の事をそれとなく聞いておく事を了解して、保健室を出て行ってしまった。
真司は真っ赤になって悔しそうにしていたが、いつまでもこんな場所にはいられない。
本当に通報されてしまったら終わりなので、とっとと出ていく事にした。
「………」
美穂は窓から真司が出て行くのを確認すると、安心したように笑う。
本当に馬鹿なヤツだ、そう小さく。しかし言葉とは裏腹に、その顔はとても赤く染まっている。
「あー、びっくりした……!」
そう言って美穂は歩いて行く。それをジッと見つめるのは――
(あの二人、間違いない)
浅海サキは鋭い眼光を光らせて美穂を見ていた。
その手には一冊の本があるが、その題名は分からない。
学校は問題なく終わった。
放課後、このまま真っ直ぐ帰るのもつまらないものだ。なので、まどか達はファーストフードか、各々の家にいく事が多かった。
今日も例外ではない。これからマミの家でお茶会でもしようと言う話になる。
「これからマミさんのお家に行くんだけど、ほむらちゃんもどう?」
「ありがとう鹿目さん。だけど、ごめんなさい。今日はちょっと用事があって――」
「あ、うん。いいよ大丈夫。また今度誘うね!」
「……ごめんなさい」
いつもほむらを誘っているが、彼女がソレに応えた事はなかった。
とはいえ事情があるなら仕方ない。塾だの習い事だのあるかもしれないし。仁美だってそうだ、今日は習い事があるらしく、先に帰った。
そんなこんなで今日はマミの家に集まることに。マミが淹れる紅茶はとてもおいしく、四人も楽しそうに談笑している。
「ほむらちゃんも来れるといいなぁ」
「まあいきなり皆でって言うのもね。まずは鹿目さんと二人きりでどこかに行ってみたらどうかしら」
そんな会話が続く中で、ふと空気が変わる。
仁美とほむらがいないからこそ、できる話もある。
「そう言えば、ココ最近物騒な事件が起きているようだが……」
「ええ、『まるで何かに食い散らかされた様な死体』の話でしょ?」
実はココ最近、見滝原周辺で猟奇的な殺人が発生しているとの事だった。
あまりにも凄惨な現場であるにも関わらず、未だ目撃情報の一つさえ無いと言う現状である。さすがに警察もこれにはまいっているようで、捜査は一向に進展する気配がない。
普通の人間ならば恐怖に震え、自分が住んでいるの地域の心配でもするのだろう。
だが、まどか達が話す内容は『普通の人間』とは少し違っていた。
「やっぱり魔女の仕業、ですか?」
「もしくは使い魔だな」
そう、まどか達は『普通の人間』ではない。『魔法少女』と言われる立派な戦士なのだ。
誰も信じないだろうが、彼女達は『妖精』と契約を結びこの力を手に入れた。
そして、人々の生活を脅かす『魔女』。そしてその『使い魔』と日々、命がけの戦いを繰り広げている。
「キュゥべぇ! いるか?」
『どうしたんだい? サキ』
その言葉と共に、窓から小さい生き物が入ってくる。
白い体で、目は赤い。犬の様な猫の様な――、とにかく不思議な生き物だった。
彼の名は"キュゥべぇ"。性別は無いが、一応『彼』と言う事で通っている。
まどか達は、キュゥべえと契約を結び魔法少女になったのだ。
以後は彼女達のサポート役に回っている。マスコットキャラと言えば分かりやすいだろうか。
「使い魔や魔女が死体を現実世界に残す事はあるのか?」
『最近の魔女はそう言ったタイプの物もいるみたいだね』
彼女達の敵である魔女や使い魔は現実世界で直接的に人を襲うことは無い。
普段は様々な方法で間接的に人間を襲う。もしくは『魔女空間』と言う場所に人間を引きずりこんで殺す。
「でも、魔女の仕業って決め付けるのもどうなんですかね?」
「どう言う事ださやか?」
「案外、人間の仕業だったり……」
「こ、怖いことを言ってくれる」
サキは曖昧に笑う。
たしかに、その可能性も十分に考えられる。
「とにかく警察も動いてくれているわ。私達は私達にできる事をしましょう」
マミの言葉に誰もが頷いた。
『………』
「………」
マミのマンションから少し離れたビル。その屋上に暁美ほむらはいた。
美しい黒髪が風になびく画はとても様になっている。ほむらは何も言わず、何も表情を変えず、マミのマンション。
正確には、窓の向こうにある部屋を見ていた。
「どう言う事なの……ッッ!」
ふと漏れる言葉。
あれは何? あれは誰? どうしてもう?
(私は、もう間に合わなかったの――ッ!?)
表情が歪む。
「あまり気を張りすぎるな。体を壊すぞ」
「………」
ほむらの隣には、落ち着いた雰囲気の少年が座っていた。心配してるのか、声をかけるが返ってくる言葉はない。
先ほどからずっとそうだ。何を話してもほむらは二つ返事か無視。会話レベルのやりとりはサッパリである。
今もほら、ほむらはむしろ『話しかけるな』と言わんばかりのオーラを全開にしていらっしゃる。
「羨ましいなら混ぜてもらえばいいじゃないか。鹿目ってヤツからは頻繁に誘われているんだろ?」
「………」
また無視である。
いや、視線が返ってきた。『黙れ』、鋭い目が語っている。
少年は複雑そうに眉をひそめる。年下とは言え、女性から睨まれれば傷つくものだ。気を遣っているのに理不尽ではないか。
「黙ってくれないかしら。気が散るわ」
「……ああ」
ダメ押しが飛んできた。
少年はもうそこから何も喋らなかった。最近勉強しているタロットや、手相占いの本を開いて読み始めた。
対して、尚も一点を見つめ続けるほむら。
その内に、お茶会が終わったのか、まどか達も解散となり各々の帰路についていく。
ほむらはソレを確認すると、腰を上げて立ち上がった。
「やっと帰れるのか」
少年もため息をついて立ち上がる。しかし、ほむらは家とは逆の方向に歩き出した。
「おい、どこに行く。帰るんじゃないのか」
「あなたには関係ないわ」
(この女……)
少年はうんざりしたように目線を落とした。しかし黙って少女の後をついて行く道を選ぶ。
どうやらほむらは、まどかの後をついていくらしい。まどかはサキと話しており、尾行に気づく素振りはない。
「はぁ、不安だなぁ」
「なにがだい?」
「怖いですよ。新型の魔女かもしれないんですから……!」
「そんなに緊張しなくても、私達四人がいればどんな魔女にだって勝てるさ」
「サキさん……」
ふと、サキは顔を赤らめて視線を逸らす。
「そ、それより、『さん』づけは止めてくれないか。昔を知っている私としてはどうも気恥ずかしい物がある」
目を丸くするまどか、そして意味を理解する。
マミたちの前で"昔の様な振る舞いは"恥ずかしいのではないか"と気を遣っていたが、サキにとってそれが違和感を感じさせてしまっていたらしい。
"まどかとサキとは幼馴染"だ。だからまどかは、昔と同じようにサキに接する事にした。
「うん、わかった。お姉ちゃん!」
「……はは」
違和感こそ消えたが恥ずかしかったかもしれない。サキはますます赤面して歩いていく。
結局、そのまま、まどか達は談笑しながら帰路についた。それを少し離れたところで観察しているほむら。
まどかが家に入った後も、ほむらはあちこちに移動。
結局ほむらが帰ると口にしたのは夜の十二時を過ぎてである。
一緒についていった少年も学校に通っている身だ。
これから課題や身支度をしなければならないと思うと頭が痛くなってくる。
しかし一応ほむらは中学生の女の子。少年はバイクでほむらを自宅の前まで送ることに。ちなみに制服姿で二人乗りはいろいろアウトだが、少年はそういうところには不真面目な性格らしい。
ともあれ、何事もなくバイクはほむらの家の前に停車する。
もちろん彼女から返ってきた言葉は純粋なお礼などではなく――
「ありがとう。でも、もう今日から送ってくれなくていいわ」
「は?」
「面倒な噂を流されるのは不愉快なの。じゃあね、さようなら」
そう言ってほむらはさっさと自分の家に入って、清清しいくらいの速さで扉を閉めた。
ガチャリと無慈悲なるロックの音が聞こえてきた。お茶の一つも出す気がない鉄の意思を感じる。
まあ尤も、別にそんなものはいらないが。
少年は何も言わずに俯く。いらない、いらないが、なんと言うか、こう、もっとなにか接し方と言うか。
(なんてヤツがパートナーになったんだ……)
神は残酷な運命を仕掛けてくる。
明日も疲れそうだ、早く帰りたい。少年はバイクを発進させて夜の闇へと消えていくのだった。
「キュゥべぇ!」
一方、ほむらは家に入るなり大声を上げる。クールなほむらには不釣合いなほどの怒号だ。
「いるなら出てきて! キュゥべぇ!!」
だが答える者はいない。ほむらは舌打ちをして唇を強く噛んだ。
(いつもは呼んでいないのに現れるクセに……ッ!!)
苛立ちのあまり少し乱暴に椅子に座る。
考えれば考えるほどイライラしてきた。分からない事が多すぎるのだ。
(どうしてもう既にまどかが? サキ? そんな名前、まどかの友達にはいなかった筈なのにッッ!)
爪を噛む。
ほむらはつい先ほどまで会話をしていた少年を思い浮かべる。
その上でもう一度、改めて自分に言い聞かせるように呟く。
「私は、誰にも頼らない――ッッ!!」
ほむらは複雑に絡み合う心を押し殺して、『彼女』の姿を思い浮かべる。
たとえ何を犠牲にしようとも彼女だけは救ってみせる。そう何を犠牲にしようとも――、必ずだ。
「もう契約が終わっているなら無駄なのね。ならせめて、一体何が起きるのかを見届けてから――」
ブツブツと呟いていく。
それは、愛情。それは、友愛。
交わした誓いの為、全てを賭して大切な人を守ると誓う。
だがそこにある一片の狂気に、ほむらは気づいているのだろうか?
翌日の学校。まどか達はいつもの様に過ごしていた。
近未来都市見滝原、ガラス張りの教室が特徴的である。しかしその中で行われている会話は、なんだか前時代的である。
「はい! と言うワケで皆さん! ゆで卵は半熟派ですか? それとも固ゆで派ですか? 中沢くんッッ!!」
「え゛!? あ、えっと……! ど、どちらでもいいかと」
「はい! そうですね、どちらでもいいんです! では次の質問ですッッ!!」
まどか達の担任である『早乙女先生』は新しい彼氏の愚痴を生徒にこぼしている様だ。
生徒達はそれを苦笑しながら聞いている。こういう光景は特別珍しいものではなかった。
まあ、それにしたって今日の先生は一段とご機嫌ナナメである。先ほどから適当に名指しされた中沢くんが、適当な言葉のマシンガンを受けている。
「は? それは違いますッ! 酢豚にはパイナップルなのです! と言う訳で中沢くん減点ッッ!!」
「そんなぁ」
それにしても中沢君が可哀想である。
結局、最後の授業は先生の愚痴でほぼ全てが終わった。
「っしゃ! ラッキー!」
チャイムが鳴り、ガッツポーズで立ち上がるさやか。
そそくさと帰り支度を初め、机の中にあった漫画やおかしを放り込んでいる。
「さやかさん駄目ですわ、そんなにはしゃいで……。中沢さんに悪いですわ……」
「そうだね、抜け殻みたいになっちゃてるね」
搾り取られたようにげっそりしていた中沢くんだけは不憫なものだ。
減点点数はマイナスを超えて絶望的な数値に。たとえ次のテストで100点を取ろうが、彼の成績がゼロを超える事はないだろう。
「中沢は何を頼んでも断らないからね」
「あはは、かわいそーに!」
上条の言葉に笑うさやか。ふと、さやかの視線が泳ぐ。
「あ、あのさ、恭介」
「うん?」
「――いやッ、やっぱりなんでもない! ごめんごめん。あはは」
さやかは頬を赤くして首を振る。
どうやら一緒に帰りたかったようだが、上条は全く気づいていない。
結局さやかの勇気ができずに、話を切ってしまった。
「か、帰ろっか。まどか、仁美」
「うん!」「ええ」
まどかはさやかを温かい目で。仁美は少し微笑んで見ていた。
だが気のせいだろうか? 仁美の目が全く笑っていなかった気がするが……。
まあとにかく一日いろいろあったが、これで学校は終わりだ。一同が玄関に行こうとした途中、美穂が現れる。
「まどかちゃん。ちょっと保健委員の事で話があるの。悪いけど付き合ってもらえるかな」
「あッ、はい。わかりました!」
まどかはさやか達に先に帰るように告げると、美穂に連れられて保健室に入っていった。
「悪いね、友達と一緒に帰りたかったでしょ」
「いえ、いいんです。それよりどうかしたんですか?」
「ん、ああ。ちょっと湿布と包帯が見当たらなくて。どこにあったっけ」
「えーっと。それならここに……。あれ? ない」
いつもの場所に湿布と包帯がない。それもそうだ、美穂が隠したのだから。
これは呼び出す建前のようなものでしかない。一分くらい探したところで、美穂は『自演』を止める。
「お! あったあった。なんだよ、棚の裏に落ちてた。誰かが使った後で落としたんだな」
「よかった。見つかって安心ですね」
「んん。サンキューまどかちゃん。本当に助かったよ」
「いえ。また困った事があったら何でも言ってください。じゃあわたしは――」
まどかは笑顔で保健室を出て行こうとする。その時、すかさず美穂が口を開いた。
「ねえ、まどかちゃん」
「はい?」
「魔法少女って……、知ってる?」
「えっ!!」
まどかは驚いてつい声を上げてしまった。
美穂から目をそらし、曖昧な笑みを浮かべる。
「な、なんですかッ、それぇ」
「なんか見滝原にそういう集団が出るって噂を聞いてさ」
「あ、あははは。どうなんでしょうね。いたら素敵だな……、えへへ」
言えない。自分がそうですなんて言えるわけが無い。
まどかはなるべく冷静を意識して美穂の話に相槌をうっていた。そしてそのまま逃げるように帰っていくのだった。
「………」
残された美穂。
正直半信半疑ではあったが、魔法少女の話題を振った時のまどかの慌て様は明らかにおかしい。
「魔法少女? おいおい、マジかよ……、って、ん?」
窓を見たら、なにやらシミのようなものが見えた。
目を細めて確認。それはシミではなく――、ただのキスマーク。
「みんな! 待っててくれたの!? ありがとう!」
先に帰ってくれと言っていたが、さやか達は玄関近くで待っていてくれた。
今日は仁美も習い事がないので、皆で帰ることに。
とは言え、マミの姿だけはない。
『マミさんは警察ですか?』
『ああ、"あの人"に会いにな。最近見滝原市の周りで起こっている事件があるでしょう? あの情報を集めにね』
魔法少女はテレパシーで脳内会話ができる。
仁美には聞かせられない。まどかとサキは言葉を口にすることなく、会話を続けた。
どうやらマミは、ここ最近見滝原周辺で起きている、"人が何かに食い散らかされた様に死んでいる事件"を調べているようだ。
『まちがいなく、魔女だろうが……』
『ですよね。あ、その事なんですけど――』
まどかは先ほどの美穂とのやり取りを明かす。
『ほう、霧島先生が』
『はい、わたしびっくりしちゃって……』
魔法少女が噂になっていると言う事。
それはいい事なのだろうか? それとも悪い事なのだろうか? サキはうんざりしたようにため息を漏らす。
『マミのせいだ。あんな派手に動いていれば、それは噂にもなる!』
愚痴りはじめたサキ。
まどかは困ったようにさかやを見る。
『さ、さやかちゃんはどう思う?』
『影に忍ぶ正義の味方。魔法少女さやかちゃんってかぁ? くぁー! いいじゃんいいじゃん!』
『もうっ、真面目な話なんだよ!』
『大丈夫だって! 噂は噂、みんな本気になんてしてないから』
さやかは舌を出して笑う。なんだかんだ悪い気はしていないようだ。
ヒーロー気分は気持ちがいい。まどかとて、そりゃ少しは嬉しくもある。
「あら、何のお話をなさってますの?」
「え? あ……、あー?」
ふと、仁美が首をかしげた。
まどかとさやかは、いまひとつテレパシーに慣れていない。口を閉じて頭の中で会話する。そうすると当然お互い無言になるわけだ。
サキはそれを分かっているからこそ、頭で会話しながらも口では別の言葉を投げていた。
だが、まどかとさやかは脳内会話に夢中になり、口は閉じたまま。つまり何も知らない人間から見れば、まどかとさやかは見詰め合ってニヤニヤしている光景になる。
「や、やっぱり、カモフラージュだったんですのね……!」
「はい? な、なにが?」
「上条くんは――ッ、スケープゴート。花園を隠すッ、ペルソナ……!」
「ぺ、ぺる?」
仁美はプルプルと震えて、まどか達から距離を空ける。
何か、よからぬ勘違いをしているのだろう。ちょいちょい仁美はよからぬ勘違いをされていしまう。
「見つめあい、悪戯に微笑むッ。そこに会話はなくとも、お互いの気持ちが――ッ!!」
「もしもーし! 仁美ちゃーん!?」
「大丈夫ですわッ、私には言えないような秘め事なのですね……! 重々承知しておりますわ!
「え? ひ、仁美?」
「お二人で……ッ、秘密を共有なんて……っっ!」
「ひ、仁美ちゃん?」
「でもッ、だけど! お二人は……! 女の子同士なのにッッ!!」
「ひと――」
「不純ですわぁぁぁあぁあああああッッ!!」
「「ちょ!!」」
踵を返してパタパタと走り出す仁美。
「あぁ、またか……」
サキはうな垂れて眉根を揉む。
とは言え、仕方ない。仁美がああなったのはサキにも責任がある。
(やはりドロドロのガールズラブ小説を貸したのがマズかったか……)
尤も、まどか達には内緒である。
とにかく一同は仁美を追いかけることに。
しかし走ると、道が二手に分かれていた。話し合いの結果、サキは左の道、まどかとさやかは右の道を行くことに。
「あ、見つけた!」
どうやら正解は右の道だったようだ。
まどかとさやかは仁美の後ろ姿を発見する。
発見するのだが――、おかしい。とても不自然だ。
まず、仁美が路地に入っていくのが見えた。
だからまどかとさやかも路地に入っていくのだが、視界に入ってきたのは"地面に倒れている仁美の姿"だった。
そして、そのすぐ横には"霧島美穂"が立っているではないか。どうして美穂がここに? それにどうして仁美は倒れているんだ?
ましてや、なぜ、美穂はナイフを持っているのだろうか?
マミさんかわええよな(´・ω・)