仮面ライダー龍騎&魔法少女まどか☆マギカ FOOLS,GAME 作:ホシボシ
これが編集するときも目が疲れないんで、楽なんですよね(´・ω・)
ナイフを人に向けるのは何故か? 考えられる理由は一つしかない。その人を傷つける為だ。
まどかは悲鳴を上げて、さやかは仁美の名を叫びながら走り出す。
どうして美穂が仁美にナイフを向けているのかなんて、もうどうだっていい。
問題は美穂が既にナイフを仁美に向けて振り上げていると言う事だ。
あれをどうする? そんなの決まっている、振り下ろすのだ。
「くそッ! なんで!!」
さやかは青い宝石の様な物を取り出して、意識を集中する。
何かの冗談だと思う心がまだどこかにはあった。唐突すぎる展開にまどかはまだ立ち尽くしている。
何がなんだか分からない。理解できない。まさか――、さやかは一瞬その考えを持ってしまう。
まさか一連の殺人は美穂が……?
「ッ! 仁美ちゃんッッ!!」
ようやく意識が戻ったまどか。
だが、もう既に美穂はナイフを振り下ろ――
「うぉぉおおおおおおッッッ!!!」
「「!!」」
間に合わない、それを覚悟した瞬間だった。一人の青年が飛び出してきた。
青年は美穂に飛び掛り、仁美との距離を大きく離した。 しめたものだ、その間にさやかとまどかは仁美を抱えて距離をあける。
一方、青年は美穂ともみ合いになっているようで、なんとか美穂が持っていたナイフを弾く事に成功した。
ふと、青年に視線を向けるまどか達。
「あれッ? あの人たしか――」
そう、二人は一度『彼』に会っている。
「美穂ッ! 何やってんだよお前ッ!!」
"城戸真司"は、フラフラと歩いている美穂を見つけた。
声をかけようと思ったが、そこでさらにまどか達を見つけたのだ。だからこそ気配を消してコソコソ後をつけてきたが、とんでもない状況にいても立ってもいられなくなったワケである。
「おい美穂! お前ッ、どうしちゃったんだよ!!」
美穂は何も答えない。目が死んでいる。まるで人形の様だ。
明らかに正常ではない。真司は怯み、どうしていいか分からずに沈黙する。
「そうか! そう言う事だったんだ!!」
「ッ?」
だが同じくして答えにたどりついた者達もいる。
さやかは指を鳴らして美穂の方へ駆け寄った。そこでさやかは美穂の首に謎の紋章を見つける。
「やっぱり、あったッ! 霧島先生さんは操られてたんだ!!」
「え?」
何が? そう目で訴える真司。
さやかは誰に答える訳でもなく、呟くようにその言葉を口にする。それが
「魔女の、口づけッ!!」
空間に亀裂が走った。
まさに一瞬だった。周囲の光景が全く違うものへと変化する。
「ッッ!!」
つい先ほどまで真司たちは路地裏にいた。
だが今はもう違う。まるで写真をバラバラに刻んで無茶苦茶に貼り付けたような背景。コラージュ画像の様に強引に繋げた風景。
『異常』、まさにその言葉が似合う世界だった。
「こ、この世界って……」
真司は脳裏にフラッシュバックする光景。毛玉の化け物に襲われたときもこんな世界だった。
不気味で気持ち悪い世界だ。全てが滅茶苦茶に見えて、かろうじてここが『薔薇庭園』だと言うことくらいしか分からない。
「まどか、いける?」
「うん、大丈夫」
まどかとさやかは怯むことなく、真司たちを守るように立つ。
その様子に真司は確信を持った。やはり、まどか達はただの人間ではない。
「キミ達ッ、いったい……ッ!」
「気をつけてっ、来ますッッ!!」
「え?」
真司は一歩も動いていないのに世界が加速していくのを見た。背景が動いているのだ。
次々に扉は、真司達の前までくると独りでに開き、真司達を中へを通す。
扉の向こうにはまた扉、そのまま五枚くらい扉を通った時、再び世界は変わった。
「魔女ッッ!!」
「ッ!」
薔薇庭園、最深部。
背景は狂気に溢れているが、美しい薔薇だけはハッキリと理解できた。
その薔薇の周りには、いつか見た毛玉の化け物がいるではないか。
「そこから動かないでくださいッ!」
「!?」
気づけば、まどかとさやかの服装が変わっている。
前に真司が見たのと同じ、綺麗なドレス、魔法少女たる服装だった。
そして、真司達の周りには桃色のバリアが張られている。
さすがの真司も理解していた。まどか達は魔法少女、そしてココは敵の空間。
倒すべきは『魔女』と呼ばれる存在なのだろう。
「――ッッ!」
魔女。真司のイメージでは、大きな帽子を被って、箒に跨る鷲鼻の老婆。そんな風貌だった。
だが今、視界に捉えているのが『魔女』ならば、甘かったと言わざるを得ない。
「あ、あれが……、魔女!?」
『――――』
それは声なのか、それとも何か別の物が発生させている音なのかは分からない。
だが魔女『
驚くべきはその容姿だ。
魔女と名はついているが、その姿を見て『彼女』が『女性』とは誰も思わないだろう。
まして彼女は人の形すら保っていない。顔なのかどうかすら分からないが頭はヘドロの様な粘液で形成されており、そこに無数の薔薇がついている。
目も鼻も耳も、何も分からない程グチャグチャの顔。
同じく人とはかけ離れた胴体がついており、足も手も無いそこからは禍々しい蝶の羽が生えているだけ。
下部には足の代わりに無数の触手という、魔女からはとてもじゃないが想像できない程の醜悪さ。
「グロ……! ふぅ、緊張するな!」
「大丈夫だよ、さっきキュゥべぇに助けを呼んでもらったから。でも、それまではわたし達が何とか時間を稼がなきゃ……」
さやかとまどかも多少は怯んでいるようだ。引きつった表情で一歩前に踏み出す。
するとゲルトルートや、魔女の使い魔、毛玉の化け物『アントニー』が一斉にまどか達へ視線を移した。
ゲルトルートにとっては、この薔薇庭園こそが聖域。そこに足を踏み入れられるのは何とも腹立たしい事なのだろう。
「来るッ!!」
一瞬だった。
ゲルトルートは自分が座っていた椅子を掴み、まどか達に向って投げ飛ばしたのだ。
「あ、危ない!」
真司が叫んだが、問題はない様だ。
さやかはまどかを横抱きにすると、マントを翻して上に跳んだ。
その跳躍力は凄まじく、迫る椅子を簡単に飛び越えてみせる。
「お、重くない? さやかちゃん……」
「あはは、大丈夫だっての!」
上空を見上げるゲルトルート。そこへ、まどかが放つ光の弓矢が次々に着弾していく。
桃色の閃光が爆発を巻き起こし、ゲルトルートは唸りながら後退していく。
いい調子だ。魔女が怯んでいる間に、さやかは着地を決める。
だが魔女にばかり気を取られてもいけない。気づけば周囲からは、無数の使い魔が迫ってくるじゃないか。
「いける! さやかちゃん!?」
「余裕だね! あたしにお任せあれ!」
さやかは抱きかかえていたまどかを降ろすと、一度ターン。白いマントが大きく靡くと、そこから無数のサーベルが射出され、地面に突き刺さった。
さやかの周囲に立つ剣は、それ自体が相手をけん制する障害物になる。
刃に当たらぬようにスピードを緩める使い魔たち。
一方でさやかは地面に刺さっていた剣を抜き取ると、二刀流にして使い魔たちを切りつけていく。
さやかは素早く、大きく、剣を振るって使い魔達をなぎ倒す。
だが、しばらく攻撃を続けていると、使い魔達が集まってゲルトルートを守る盾になった。
その隙にゲルトルートは触手を伸ばして、再び椅子を掴む。
どうやらまた投擲武器に使うらしい。ならばとまどかは光の矢を放ち、椅子を狙ってみるが――
「あッ!」
光の矢は、ゲルトルートが抱え上げた椅子に命中するが、そこで終わりだった。
それなりに耐久力があるらしい。まどかの矢では椅子を破壊することができない。
ましてや、さやかもスピードタイプだ。パワーには自信がなかった。
「まずいね、あの椅子、なんとかしなくちゃ……!」
「マミさんがいてくれたら……ッ!」
今の自分たちに、あの巨大な椅子を破壊する術がない。
魔力をこめれば、なんとか破壊できるかもしれないが、その為には魔力を多めに消費してしまう。
何があるか分からない以上、もう少しだけ様子を見たいところだ。
「椅子の軌道は完全に読めるから。どんなスピードでも避けられる」
さやかはそう言って、まどかに微笑みかけた。
だがその時だ。離れた所にいる真司が大声を上げたのは。
「危ないッ! 下だ!!」
「え?」
まどか達は、自分の立っている地面が盛り上がっている事に気づけなかった。それが戦況を一気に変える事になる。
「きゃ!」
「しまっ!」
地面からゲルトルートの使い魔である『アーデルベルト』が姿を見せた。
ゲル状に見える体に目が貼り付けられている様な彼ら。
姿は小さいが、彼らは連結する事によって強靭な触手に変わる。
まどかとさやかは素早く彼らを振り払おうとしたが、既に遅いらしい。
「これっ! やばいかもッ!!」
「さ、さやかちゃん!!」
がんじがらめになり、動けなくなった。
見れば、既にゲルトルートが椅子を持ち上げている所ではないか!
このまま椅子を投げつけられたら……? 二人の心に恐怖が宿る。
「オオオオオオオオオオオッッッ!!」
「「!!」」
再び咆哮を上げながら真司は二人のところに駆け寄っていく。
美穂が持っていたナイフ片手に、おそいかかるアントニーを振り払う真司。
「あ! えっ! ちょ!! お兄さん!?」
「危険だからこないでください!」
「は、はは……! 大丈夫だって! 俺ッ、こう見えて逃げ足は速いからさ!」
真司としては、戻ってくれと言われて、素直に戻れるわけも無かった。
自分より幼い女の子が危険な目にあっているのだ。ここで引き下がったら、大切なモノが自分の中から消える気がして退けなかった。
もちろん自分の存在が足手まといになる事は分かっている。だからせめて、拘束だけを何とかしようと試みる。
「くそっ、切れないッ!!」
ナイフで触手を削ってみるが、どうにも切れる気がしない。
後ろをみれば魔女が椅子を持って近づいてくる。確実に殺す為に、『投げる』のではなく『殴る』つもりなのだ。
恐怖が迫る。真司も思わず足が震える。
「あぐぁッッ!!」
肩に激痛が走る。思わず苦痛の声が漏れる。
見れば、アントニーが肩に噛み付いているではないか。そのまますぐに足、膝、腰に同じ様な激痛が走る。
「もう、駄目! 早く逃げてッッ!!」
「だ、大丈夫ッッ! 大丈夫だから――ッッ!!」
そうは言うものの、とてもじゃないが大丈夫な状況ではなかった。
真司の視線の先に、新たなる使い魔が現れる。『クラウチマン』、役割は伐採、薔薇庭園を整えるゲルトルートの執事だ。
真司と同じ位の背丈で人型をしている。どうやら毛玉のアントニーが合体した姿らしい。
腕が鋭利なブレードになっており、クラウチマンは気絶している美穂と仁美の方へ歩いていく。
そこにはまどかの結界があるのだが、クラウチマンは構わず刃を振り下ろした。
硬い音が響き、結界がゆらめく。あのまま刃を打ち当てられたら、いずれ結界が壊れることは真司にもよく分かった。
「クソッ!!」
詰み。真司はまさに詰んでいたのだ。
まどか達の拘束は解けず、結界にはクラウチマン。
唯一まともに動ける真司も、ただの弱い人間。魔女はおろか、使い魔にも勝てない。
(何も……ッ、できないのかよ!)
真司は歯を食いしばり、目を見開く。
まどか達は必死に何かを言っているようだが、それはもう耳には入ってこなかった。
ただひたすらに悔しかった。そうしていると背後にゲルトルートが迫る。
魔女は椅子を思い切り振り上げた。
とは言え、まどか達はまだ逃げられないし、真司も動けない。
(死ぬのか。何も、できずに……!)
ずっと燻っていた。何もできない自分にだ。
恵理が事故にあって、美穂のお姉さんが亡くなって――
何か力になりたいと思っていた。でも何もできなかった。
今もそうだ。何もできない。誰も守れない。誰も救えない。
(結局、俺は――ッッ!!)
『悔しいか? なら、変われよ』
「ッ!」
またあの声だ。脳内に響く謎の声。そしてスローに変わる世界。
(変わる? 何に? どうやって!?)
声にはしていない。ただ頭の中で言葉を並べただけだ。
けれども、脳内に響く声の主には伝わったようだ。
『そりゃオメェ、凄い存在に変わるんだよ。お前にはその資格がある。オイラが与えた資格がよ』
(資格? 資格って何だ?)
『ごちゃごちゃ言うな。とにかく念じればいいだけさ。お前の心にある感情に反応して、お前は変われるんだから』
(心?)
駄目だ。間に合わない。椅子が振り下ろされ――
「ティロ――ッッ!」
『!』
「フィナーレ!!」
巨大な光。銃弾が椅子に着弾して爆発。
粉々になる椅子と、大きく仰け反るゲルトルート。
すぐに追撃の光弾が着弾して、大きく吹き飛ばした。さらにもう一つ、今度は"電子音"の様な音声が聞こえる。
『アドベント』
「!?」
真司の前に、突如現れた化け物。
また敵なのか? 焦る真司だったが、謎の化け物は真司に食いついていたアントニー達を引き剥がし、その手にある"ハサミ"で切断していく。
ハサミ。そう、現れた化け物を一言で表すなら『蟹』が適切だろうか。
目を丸くする真司と、表情が一気に明るくなるまどか達。
蟹は、まどかとさやかを拘束していた触手を簡単に切り裂くと、次はクラウチマンの方に向かって走っていった。
「もう、大丈夫よ鹿目さん! 美樹さん!」
「「マミさぁん!」」
皆の前に颯爽と現れたのは、巴マミ。自由になったまどか達は、涙目になりながらマミへ飛びついていく。
さやかなんて思い切りマミの胸に顔を埋めているが、状況が状況だ、マミも呆れたように笑うだけで引き剥がす事はなかった。
マミはそのまま真司に視線を移す。
「あなたも大丈夫だったかしら? 二人の為に頑張ってくれたみたいですね、どうもありがとうございます」
「あ! え!? あ! ああ! 俺は大丈夫!」
「それは、よかった」
「!」
今度は背後から男の声が聞こえて、真司は反射的に振り向いた。
「わわっ! 化け物ぉッ!!」
「ば、化け物ですか!?」
腰を抜かして倒れる真司と、対照的に吹き出すマミ。
だが無理もない。真司はてっきり人間に話しかけられたと思っていたが、いざ視界に飛び込んできたのは先ほどの蟹の化け物ではないか。
いや、いや、違う。よく見れば違う。
蟹の化け物に似ているが、もっと人に近い者だ。
よくよく見れば、それは化け物ではなく、『騎士』に見えた。
「安心していいわ。彼は化け物ではなくて、味方だから」
「え? え? えぇ!?」
混乱する真司に差し出される手。
「立てますか?」
「え? あッ。は、はい……」
真司は戸惑いながらも、騎士の手を取り立ち上がった。
冷静になる。騎士が敵ではなく味方ならば、物凄い失礼な事を言ってしまったんじゃなかろうか。
「す、すいません……」
「構いませんよ。この姿なら勘違いしても仕方ありません」
そこでマミは真司に、自らの『パートナー』である騎士の名前を告げた。
「彼はシザースです」
シザース。そして騎士。
その単語に大きなものを感じて、真司は息を呑んだ。
同じくしてマミが地面を蹴った。大量の銃を召喚しながら、使い魔や魔女に向かっていく。
敵はマミが引き付けてくれている。一方で真司の前に立つシザース。するとどうだ、その装甲がガラスや鏡のように音を立てて砕け散ったではないか。
「!?」
驚く真司。そこにいたのはごく普通の青年だった。
「これで私が化け物ではないと、信じてもらえましたか?」
「え? あ、あぁ、はい」
「あまり時間がないので詳しい説明は後にしましょう。私は
「けっ、刑事さん!?」
須藤は頷くと、懐からソレを取り出した。
それを見た瞬間、真司の体に走る電流。間違いない、あの『カードデッキ』だった。
真司の物とは少し違うが、それは中心に紋章の様なものが描かれている点のみ。
それに先ほどアドベントと言う音声が聞こえた。そうだ、アドベントならば真司も持っているじゃないか。
「さて」
須藤はコートを翻すと、デッキを正面に突き出した。
すると須藤の腰部分に、何かベルトの様な物が出現する。
名前は『Vバックル』。須藤はそのまま素早く腕を動かし、ポーズを決めてみせる。
そしてたった一言。
「変身ッ!」
須藤はそのままデッキをVバックルへと、装填する。
するとデッキが光り輝き、騎士の鏡像が二体、須藤の左右に現れた。
鏡像はそのまま回転しながら須藤の方へと収束していく。
そして鏡像と須藤が重なり合った時、真司の前にいるのはメタリックオレンジの輝きを持った『騎士』だった。
そう、変身。姿が騎士へと変わったのだ。
「キミは隠れていてください」
「えッ!? あッ、はい!」
シザースは構え、走り出す。
その前方ではクラウチマンが腕の刃を振るい、シザースに似た蟹の化け物・『ボルキャンサー』を切りつけていく。
だが、ボルキャンサーの装甲は硬い。
刃の攻撃を物ともせず、自身はハサミを振るっていく。
しかし、それほどダメージを受けていない筈だが、突如ボルキャンサーの体が粒子化していく。
「ご苦労様です、ボルキャンサー」
どうやらボルキャンサーの活動には制限時間があったようだ。
消え去るモンスターと、入れ替わりでやってくるシザース。彼はすぐに拳を振るい、クラウチマンと交戦を開始した。
腕と刃が交差する。シザースもまた、ボルキャンサー同じく高い防御力を持っているようだ。振るわれた刃を身に受けたとしても怯まず、逆にクラウチマンの刃がボロボロになっていく。
「さて、そろそろ決めますか」
シザースは蹴りでクラウチマンを大きく突き放すと、デッキから一枚のカードを引き抜いた。そしてそれを腕に装備されている『カードバイザー』に装填した。
シザースのバイザーは蟹のハサミを模したガントレット。騎士のカードを発動させる重要なアイテムであり、今まさにバイザーからは電子音が流れてシザースに力を与えていく。
『シュート・ベント』
光が迸り、シザースの手にマスケット銃が握られた。
狙いを定める途中、シザースの周囲にも銃が召喚される。
そのまま引き金を引くと、持っていた銃と、近くに浮遊していた無数のマスケット銃から水流弾が発射されて、クラウチマンへ着弾していった。
水とは言えど、凄まじいスピードでぶつかれば、かなりの衝撃がある。
その証拠に、クラウチマンは腕をバタつかせながら地面に倒れた。
同時に、シザースは最後のカードをバイザーへ装填させる。
『ファイナルベント』
地面が光り輝き、また鏡の割れる音が聞こえた。
その音と共に現れたのは、先ほど消滅したボルキャンサーだった。
どうやらカードの力で再び召喚されたらしい。シザースはクラウチマンに狙いを定めると、勢い良く跳び上がる。
そして、背後に立っていたボルキャンサーがさらにシザースをトスで上に弾き飛ばした。
ボルキャンサーのアシストを受けて、シザースは空中で体を丸めた。
そのまま高速回転しながらクラウチマンに突撃していく。
これが必殺技、"シザースアタック"だ。
思わず球体に見える程の回転力、そして突破力。
突進を受けたクラウチマンは見事に吹き飛び、地面に墜落した。
合体が解除され、無数のアントニーとなった後は、次々に爆散して消えていく。
「いったれマミさんッ!!」
「気をつけてマミさんッ!」
「ええ、わかってるわ!!」
マミの方もまたゲルトルートと戦いを繰り広げていた。
彼女の武器はマスケット銃。次々に大量のマスケット銃を練成し、それを交互に撃ち続けゲルトルートの進行を止める。
なすすべなく爆炎に呑まれていくゲルトルート。
その間にシザースも駆けつけ、二人は戦いを終わらせる一撃を行使する。
「行きましょうか須藤さん!」
「わかりました、サポートをお願いします!」
『ユニオン』『ファイナルベント』
マミの体が光り、一瞬だけシザースの紋章が浮かび上がる。
そのまま腕を天に向けてかざすと、背後から巨大な大砲が出現した。
大砲はその巨大な砲口をゲルトルートにピッタリと合わせる。どこへ逃げようが、その砲口はしっかりとターゲットを捉えるだろう。
シザースは、再びボルキャンサーを召喚。そしてもう一度シザースアタックと行なう。
だが、先ほどと決定的に違っている点がある。それはシザースがゲルトルートではなく、マミが出現させた大砲の砲口へと飛び込んだ事だ。
シザースが装填された事で、大砲に備えられているオレンジ色の宝石たちが輝き始める。
そして、そのままマミは大砲を操り――
「さあ、終わりにしようかしらッッ! 放て! 勝利の一撃――ッッ!!」
シザースを発射する!
「「アルティマ・シュート!!」」
マミとシザース。二人の声が重なり合い、大砲からシザースが発射された。
光と纏ったシザースは、超高速で回転、そのままゲルトルートをぶち抜き、断末魔さえ上げさせる事なく爆散させる。
「やったぁ! マミさんに須藤さんってば、さっすがぁ!」
「わあ! やりましたねマミさん! 須藤さん!」
まどか達は勝利した二人のもとへ駆け寄る。
そして、相変わらず目を丸くして腰を抜かしている真司。
人間大砲で魔女を倒すなんて、もはや魔法の欠片もない。いや、そもそも銃だの剣だの、もはや城戸真司の脳みそでは、この状況を理解することは不可能だった。
「さあ、もう安心してください。気絶した二人も怪我はないみたいだ」
シザースは再び真司に手を差し伸べる。
とり合えず確実なのは、戦いは終わったようだ。真司はシザースの手を取って、立ちあがろうと――
「ちょっと待って!」
「えッ?」
マミは目を細め、辺りを見回す。
敵らしき影は一つも無いが、その表情はかなり強張っていた。
額に汗を浮かべ、しきりに周りを気にしている。その異変にまどか達も気がついたのか、マミに言葉をかけた。
「どうしたんですか?」
「………おかしいと思わない?」
「え?」
まどか達は動きを止め、もう一度辺りを見回す。
そんな中、サキとキュゥべぇが合流してくる。先ほどまどかがキュゥべぇを通して助けをよんでもらったからだ。
「皆ッ! 大丈夫か!」
「ええ、なんとか。ただサキッ、あなたが着た時に使い魔はいたかしら?」
「い、いや……、私が来たときには何も居なかったが?」
それは、つまりゲルトルートを倒したのに魔女空間が消えていないと言う事。
通常、この異様な空間は魔女が死ねば消滅する。
だが、消えないという事は――?
「みんなっ!」
マミはすぐに銃を出現させ、両手に構えた。
「魔女はまだ死んでないわッ!!」
その時だ。薔薇庭園の草むらから無数の蝶が現れたのは。
禍々しい蝶の大群は、まどか達の視界を奪いながら飛び回る。
悲鳴があがり、逃げ惑う魔法少女たち。
この蝶も魔女の使い魔なのだろうが、何かがおかしい。
そしてそのまま数十秒は経っただろうか? 蝶は上空へと収束していき、『何か』に集まっていった。
その何かは一瞬だった為、確認できなかったが、なにやら『種』の様に見えた。
そして蝶が弾けたとき現れたのは、新しい『化け物』だった。
「なんだアイツはッ!! あれも魔女なのか!!?」
「ど、どうなの? キュゥべぇ!」
一同の前に現れたのは、美しい青い蝶だった。
しかし、その両羽には切り絵の様に貼り付けた人間の目。
そして蝶の本体部分には、人間の形をした異形が存在していた。
目も鼻も無い人影。
服と言う概念がないのか、ただ人の形をしたマネキンにペンキで様々な色をぐちゃぐちゃに塗りたくった。
その異形、名を『ミルシー』と呼称する。
『あれは魔女……ではないね』
「何ッ!? じゃあ何なんだ!」
キュゥべぇはジッとミルシーを見る。魔女に限りなく近いが魔女ではない。
『まるで、"魔女もどき"だ』
「魔女もどき……ッ!?」
「ッ! 巴さん! 危ないッ!!」
シザースはマミを突き飛ばし自分の体を盾にする。
そこに降りかかる鱗粉。
「ぐあぁぁあああッッ!!」
「須藤さん!!」
鱗粉がシザースの体に触れた瞬間、小規模の爆発が巻き起こる。
鎧に粒子が触れた瞬間、爆発を起こすようだ。きらめく鱗粉の中で次々にシザースの体が爆発していく。
須藤の名を呼ぶまどか達、サキはすぐに結界を真司や美穂達の周りに出現させるが、そんな暇をミルシーが与えてくれるわけも無い。
次は魔法少女達に鱗粉が着弾していった。
「きゃぁぁあああああああああぁぁあああッッ!!」
吹き飛ぶ魔法少女達。
シザースもダメージが大きいのかその場に膝を着いて動かなくなった。
荒い呼吸音だけが聞こえ、それもまた新たなる爆発に呑まれていく。
「ッ!!」
真司は爆発に消えていく少女達を見て拳を握り締めた。
なんとかしなければならない。しかし、何ができる? 武器はないし、肉弾戦で勝てる相手ではない。
(何もできない……ッッ!!)
そうしていると、ミルシーが吼えた。
震動を感じたかと思えば、真司達がいた場所の地面が盛り上がる。
真司はその意味を理解し、美穂達を抱えて逃げようと試みる。
だがもう遅かった。地面から無数の蝶が噴射され、真司は大きく吹き飛ばされてしまう。
「ぐガッ!!」
背中から地面に叩きつけられた真司。痛みと衝撃で呼吸が止まるし、視界もボヤける。
だが、痛みより先にその事実を理解した。結界から外に出てしまった。つまり美穂と仁美が危ないのだ。
鈍い痛みを無視して、真司は体を起こすと、倒れている美穂たちへ駆け寄る。
だが、再び蝶が現れると、真司の体にまとわりついた。
「ぐッ! なんだよコレ!!」
腕を必死に振るって蝶を吹き飛ばす。
視界がクリアになったとき、気づいた。美穂たちの姿が消えているじゃないか。
急いで探すと、蝶の群れが美穂と仁美を持ち上げ、空へ舞い上がっていくのが見えた。
「させない!」
まどかは弓を放つが、次々と現れる蝶がそれを塞き止める。
マミも銃を抜くが、鱗粉が視界を埋め尽くし、標準を合わせられない。適当に撃ってしまえば、美穂たちに当たる可能性がある。故に動けないでいた。
そのまま仁美と美穂はミルシーの眼前まで運ばれ、そこで止まる。
「仁美ちゃんッ!!」
「美穂ッッ!!」
まどかと真司は互いに立ち上がり、再び走り出す。
だが、ミルシーはもう一度その羽を大きく羽ばたかせ、鱗粉を二人にむけて放った。
「クッ!!」
着弾。だが、崩れ落ちたのはまどかと真司ではないあ。
さやかとマミがまどかを庇い、サキとシザースが真司を庇ったのだ。
この一撃が決定打となったか、それぞれはその場に倒れて立ち上がる事ができなくなってしまった。
「さやかちゃん! マミさんっ!!」
「す、須藤さん! さ、サキちゃん!」
『まどか! アレを見て!!』
まどかは倒れた仲間に駆け寄ろうとしたが、キュゥべぇ言われ、ミルシーに視線を戻した。
そこには、大きく裂けたミルシーの顔。
瞬時に悟った、アレは口だ。ミルシーは美穂と仁美を食うつもりなのだ。
「ふッッざけんなぁぁぁあッッ!!」
真司は怒号を上げて走り出す。
どうしようかなんて考えちゃいないが、とにかくこのまま美穂たちを胃袋の中に入れることだけは止めなければならない。
真司はがむしゃらに、ただひたすらに、ノープランでミルシーに向かっていく。
だが、所詮それだけ。
ミルシーは同じ様に鱗粉を発生させて真司を狙う。
それでも尚、真司は足を止めなかった。たとえ手足が吹き飛んでもいい。たとえどんな傷を負っても構わない。
(美穂を、あの女の子を死なせるわけにはいかないんだ!!)
鱗粉が着弾、爆発の光が真司を包みこむ。
ギュッと目を瞑る。しかし痛みはない。どういうことだ? 真司が目を開くと、そこには自分を庇っているまどかの姿があった。
「あ……!だ、大丈夫かッ!!」
この時、真司は自分がとった行動がいかに無謀で、いかに愚かだったのかを思い知る。
周りには傷つき倒れる少女達。須藤も何とか立ちあがろうとしているが、足がふらついてうまくいかないようだった。
そうしているとまどかも倒れ、動かなくなる。
「俺ッッ!! ごめんっ!!」
そして仁美と美穂はミルシーの目の前だ。
真司は悔しさで頭がおかしくなりそうだった。
何もできない自分を悔やんだ。それなりに変わろうと努力してきたつもりだった。
だけど、結局無理なのか。
こんな夢みたいな事、だけど現実。
美穂も、あの仁美って娘も、下手すればここにいる全員が死ぬ。
そんなのふざけてる。自分より小さな、それも女の子が傷ついて死ぬ。
(そんなのってあんまりだろッッ!!)
神様が笑っている気がした。
馬鹿なヤツらと石を投げられている気がした。
そりゃあ誰だってうだつが上がらない時や、うまくいかない時はある。これはきっとそういう当たり前の事なんだろう。人は死ぬし、人間が化け物に勝てるわけがないし、弱い男は何もできないし、そういうのは当たり前なんだろう。
だが、真司はそれがどうしても許せなかった。
(認めない。俺は認めないッッ!!)
真司は、まどか達が放つ、声のない叫びを聞いて強く願った。
真司は、強く思った。誰だって死にたくはないし、自分だってそうだ。
まして、化け物に食われたいなんて思うはずがない。
「ッッッ!!!!!!」
脳にスパーク。
思い出す。須藤は『デッキ』を使って騎士に変身していた。
(そうか! 何で気がつかなかったんだッ!)
自分も、その資格を持っているじゃないか!!
「ッッ!!」
そうだ。そうか! そうだったッッ!
パニックになって大切な事を忘れていた。
「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」
「あ、あれはッ!」
シザースは驚きに目を見開き、声をあげた。
真司がポケットから取り出したのは、同じカードデッキではないか。
「――オォォオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」
真司は強く、強く、気高く叫ぶ。
今まで何もできなかった時間に終わりを告げろ。このままふざけた未来がくる事を許すな!
真司は、自分の弱さを殺すため全ての感情を込めて叫んだ。
そして、その時。デッキに光が宿る。
「!!」
無地のデッキに、刻まれていく紋章。
強く、熱い光りと共に、デッキへその紋章が叩き込まれた。
その紋章が何をイメージしているのかは、誰が見てもこう言うだろう。
それは――『龍』
真司は、デッキを握り締めたままその手を突き出す。
須藤の真似事だが来る筈だ。その力、彼女達を守れるだけの力が。
「来い、来いッッ!!」
真司は強く願う。
何度か頭の中に話しかけてきた声は言っていた。
変われと、悔しいなら変わって見せろと。その時、その瞬間、真司は目の前に赤き龍のシルエットを視た。
「来たッ!」
真司の腰に装着されるVバックル。
もう迷う必要は無い。頭の中に入ってきた構え。右腕を斜め左につき伸ばすポーズを取りながら、祈りと望みを託して、デッキをバックルに装填させる。
「変――ッッ」
変われ、そして自分が壊すんだ。弱い自分を。そしてこの悪夢を!
「――身ッッ!!」
変身。
「うぉオオオオオオオオオオオッッ!!」
血が、体内が、体が燃える様に熱い。
驚きに目を見開いている少女達。そして真司は自分の掌を見て理解した。
「変われた……ッ!! ッッッしゃあああああッ!」
顔を触って確かめる。
須藤とは全くデザインが違う様だが、間違いなく騎士に変わっていた。
そこには紛れもない、仮面があったのだ。
新たなる騎士の誕生。その名も――、『
「!」
だが、余韻に浸る時間はない。ミルシー同時に動き出していた。
戦いだ。拳を握り締めた龍騎。その時、シザースの声が聞こえる。
「デッキからカードを引く時、望みさえすれば狙ったカードが引けますッ!!」
「ッ!」
龍騎はシザースの戦いを思い出し、一枚のカードを念じてデッキに手をかけた。
そして、カードを引き抜く。確かに絵柄は望んだものだった。龍騎は左腕に装備されていたバイザーにカードをセットする。
『アドベント』
『―――ッ!』
瞬間、ミルシーの体が大きく吹き飛ばされる。
何故? そう、それは突如現れたモンスターの仕業だった。
その性質は”勇気”。無双龍・ドラグレッダー。赤いドラゴンは龍騎の周りを旋回して、咆哮を上げる。
その背中には美穂と仁美が倒れ掛かっており、真司は二人を優しく地面へとおろした。
『オォォオオオォオオォッッッ!!』
禍々しい咆哮を上げてミルシーも立ち上がる。
アシストを行うように無数の蝶が龍騎の周りに集中していく。
「グオオォオオォォォオオッッ!!」
だが、甘い。
ドラグレッダーの口から火炎放射が放たれ、蝶は一瞬で燃え尽き、灰になった。
そして再び吼えた。龍の雄たけびが、敵を怯ませ、動きを鈍らせる。
それでもミルシーは羽を揺らし、鱗粉を発射した。
一方で口を開くドラグレッダー、そこから炎弾が発射され、鱗粉を簡単に貫くとミルシーへ着弾する。
墜落するミルシー。龍騎は、シザースの戦いを再度思い出し、一枚のカードを引き抜いた。
最初見たときは無地だったが、今は自身の紋章が描かれているカードだ。
それをドラグレッダーの頭部を模したガントレット。ドラグバイザーに装填する。
カードを装填すると音声が流れ、ドラグバイザーの目が光を放つ。
『ファイナルベント』
「フッ! ハァァァァ――………ッ」
龍騎は両腕を前へと突き出した。
左手を上に、右手を下に。それはまるで鏡合わせの様。
そして一度手を引き戻したかと思うと、舞う様に手を旋回させる。
それに呼応する様に、龍騎の動きに合わせながら彼の周りをドラグレッダーが飛翔し、うねる。
中腰に構える龍騎と、獲物を睨みつけるドラグレッダー。
龍騎は地面を蹴り、ドラグレッダーと共に上空へ舞い上がった。
ミルシーは、危険と悟ったか鱗粉の嵐を巻き起こすが――!
「ダァアアアアアアアアッッッ!!」
ドラグレッダーが放つ炎を纏い、龍騎の飛び蹴りが放たれる。
必殺技、『ドラゴンライダーキック』。それは襲いかかる鱗粉を焼き焦がしながらミルシーに直撃した。
悲鳴を上げて爆散するミルシー、それと同時に粉々に砕ける魔女空間。
ふと気がつけば、元いた裏路地に龍騎達は立っていたのだった。
「勝った……! のか……!?」
龍騎はすぐにまどか達に駆け寄る。
美穂達も怪我はない様だが、まどか達は少なからずダメージを負ってしまった。病院に連れて行った方がいいだろう。
「君も……、デッキを持っていたんですね」
「あ、はい。よく分からないけど……」
変身を解除した須藤は、龍騎の肩を借りて立ち上がる。
話を聞きたいのは山々だが、とにかく今は事情うんぬんよりまどか達を病院に運ぶことが大切だろう。
龍騎と須藤は頷いて、まどか達に手をかける。
「いてて、ごめんなさい……!」
申し訳なさそうに俯くまどか。
だが彼女が謝らなければならない理由はない。
「あ、いいって! それよりごめん。俺のせいで――ッて。え!?」
「!?」
龍騎とまどかの手が触れ合った瞬間だった。
まどかの体が光り輝いたかと思うと、そのまま眩い光に包まれていく。
混乱する龍騎だが、そのまま何もなく光りは晴れる。一体なんだと言うんだ? ポカンと呆ける二人だったが、マミが目を輝かせて叫ぶ。
「あら! 彼が鹿目さんの騎士なのね!」
「え?」「へ?」
マミは微笑み、自分の胸元にある紋章を指し示す。
魔法少女の衣装に光り輝いているのは、シザースの紋章。
最初見たときはそう言うバッジなのかと思ったが、どうやら『絆の証』らしいのだ。
それを見てまどかはハッとしたように自分の体を見回す。
そして、見つけた。何も起きていないと思っていたが、一つだけ変わった事がある。魔法少女のドレス、スカートの一部に龍騎の紋章が追加されていた。
しかしこれがどういう意味を持つのか? 混乱していると、脳内に声が響く。
『まあ、つまりお前と鹿目まどかはパートナーって事だな』
「!」
その声はまどか達にも聞こえたのか。視線が一転に集中する。
そこに立っていたのは――
『無事に変われたようで安心したぜ城戸真司ぃ、オイラはジュゥべえ。まあよろしくな!』
「………」
『あん?』
「うわああああ!! 猫が喋ったぁあああああああああああッッ!?」
これまた、おかしな生き物だった。
「あーあ、失敗したか……」
そんな龍騎達の様子を遠くで見つめる影が一つ。
どうやらまどか達と、さほど歳の変わらない少女の様だ。
彼女の手には、なにやら『種』の様な物が握られている。それを二、三回手の上で転がした時、『種』はカードに変わった。
「まあいいか。見合う物は手に入ったわけだし。前菜としては十分」
魔女もどきとは言え、十分に戦えるじゃないか。その結果に少女は成る程と漏らし、まどか達から視線を外す。
その手には、紋章が刻まれたデッキが握られていた。
「次は『お菓子』で行こうか? あぁ、でもメインディッシュの前にはもう少しお腹に入れておきたいキ・ブ・ン!」
少女はクスクスと笑いながら街の方へ消えていくのだった。
まどか達を見つめる影はもう一つ。
「彼が、まどかの……」
「どうやら、パートナーと出会った騎士達は少なくはない様だな」
暁美ほむらと、彼女についてきた少年は、離れた所からまどか達を観測していた。
相変わらずほむらは一人で何か考え込んでいるようで、少年が話しかけても生返事のみと言うものだ。
「パートナーって、何なのよ……ッ」
まどかのドレスには初めて見る龍の紋章がある。
そして、似た物はほむらにも。
「……あなたは、何が条件でパートナーが決まると思う?」
「さあな。少なくとも友好や信頼、相性関係じゃない事だけは確かだろう」
皮肉めいた少年の言葉を受け、ほむらは自分の腕にある『紋章』をなぞってみせる。
その紋章は龍でも蟹でもない。しいて言うならば――、『エイ』だろうか。
「今日は疲れる。占いどおりだ」
「また占い? あなたも好きなのね、
「俺の占いは当たる。運命の道を観測するのも悪くないだろう?」
ほむらはまどかから視線を外さずに、『パートナー』の名前を呼んだ。
運命の輪は少しずつ、そして確実に動き出したのだ。彼等はソレに、どう立ち向っていくのだろうか?
初変身に3話使うところに当時の甘さを感じますな。
ごめんやで(´・ω・)
まあこんな感じで投稿していこうと思います。
基本的には誤字と文字化けを直して、あとちょっと修正するくらいなので、内容は全然変わってません。
ただその誤字がめちゃくちゃ多いんで、なるべく早くしたいと思いますが、投稿にはある程度の時間が掛かると思います。
まあいろいろアレですが、よろしくお願いしますぞ。
次は17、18くらいに予定します。