バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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preparations

「おい明久、あれはどうかと思うぞ」

 

僕が雄二から言われた一言。それは、今朝の出来事だったのだ。

 

エロ教頭が僕に向かってきたのだ。

 

『むほぉぉぉぉ!如月ちゃん発見ですぞー!』

 

飛び込んできたから回し蹴りで教頭を蹴り飛ばした。…だがそこからが悪かった。飛んで行った場所が悪く、窓ガラスと一緒に3階から落ちてしまった。

 

『…ま、セクハラが防げるからいいでしょ』

 

…僕は何一つ悪いことはしていない。

 

「セクハラがいけないんだよ?私、乙女ですし」

「…中身男だろ」

「霧s…」

「すまんかった、許せ」

 

雄二が僕の口を塞ぐ。

 

「あはは!流石の雄二も霧島さんには勝てないか!」

「それもあるがな…お前に手を挙げたらお前を慕う奴らから消されるからな」

「…待て、今なんて言った」

 

なんか不穏な言葉が聞こえた気がする。

 

「知らねぇのか?『如月明奈』という謎の美女。…男子の人気は勿論、女子からも彼氏じゃなくてもいいから一緒に居たいと言う声が続出中だぞ」

「なんだよそれ!」

 

何!?男なんて眼中になくなった!?

 

「オメーが何も悪くない女子達を変な道に引きずり込んだんだぞ」

「知るか、僕の美貌が悪い」

「自分で言うなや」

 

確かに。

 

「…でも女子に対してはお前は…あ、あの発言が悪かったか」

「え?なんか言ったっけ僕」

「ほら、言っただろ?女にしか興味ないって」

「…え?それだけで?僕男だから言ったんだよ?」

「見た目は女だろーが。それで女子達が『イケメンみたいな美女になら…』と恍惚な表情を見せてたのはわかるぞ」

「いやん!お嫁に行けない!」

「むしろ嫁候補いっぱい居るだろ」

「黙ってろ」

 

ホント許せねぇ!僕は今から怒るぜ!

 

「冗談はここら辺にして…で?今日なんで呼ばれたんだっけ?」

「勉強合宿だろ」

「あ、そっか」

 

もうそろそろ勉強合宿。嫌な匂いしかしない。

 

「さて、全員揃ってるな。…お前達も早く帰りたいだろうし手早に済ませるぞ」

 

流石鉄人!他の先生とは違って生徒を分かっている!そこに痺れる憧れるゥッ!

 

「これが栞だ。無くすなよ」

 

そう言って配られる。基本的なプログラムなど書かれており、特にいう事や聞きたいこともない。

 

「さて、行く方法だがお前達は現地集合でな」

「…は?」

 

げんち、しゅう…????えっ????

 

「せんせー!何言ってるかわかりませーん!」

「それはだな如月。…お前達自身で考えて辿り着いてもらう…学園長がそう言ってたぞ」

「ババアー!!活かして返さねぇ!野郎共!あのババアを捉えて血祭りにしろぉぉぉぉ!」

「「「「「「yes!!明奈様のお心のままに!」」」」」」

「やめんか!」

 

そして一喝を受けた。ヒェッ、腰が抜けた…立てないよぉ…

 

「…そして今回の合宿はAクラスと合同でやる。その時にまた説明はするが、それだけは頭に入れてほしい。…そして班わけだが…理由があって如月とデビルークのみの部屋と、あとはそれ以外で分けておいた」

「やったー!同じ部屋だね!」

「うん、良かった」

 

まぁ教師陣としても流石に女子と男子を同じ部屋にするわけにはいかないんだろう。…だが鉄人には僕がララと婚約するという誤解がある為、僕とララを同じ部屋にした…クソ、いつか誤解を晴らして釘バットを持って桜の木の下で待っててやるからな!

 

「さて、今日はこれで終わりだ。2日間休みだが、3日後忘れるなよ」

 

鉄人は出ていき、僕らは集まって話をする事に。

 

「で?どうするよ」

「…鉄人は血も涙もない」

「だよね…現地集合なんてさ」

「つまり案内なしに行けってことー?」

「そういう事じゃ。…でもやるしかあるまい?」

「わかってるよ…」

 

ため息をついてる中、Aクラスメンツがやってきた。

 

「…雄二、遊びに来た」

「そうか…なんで?」

「…雄二の躾」

「アホか!帰れ!」

「…悲しい」

 

その中には西連寺さん、姫路さん、里紗まで。

 

「あ、明奈ちゃんになってる」

「…ララにやられたんだよ…まぁ、この姿気に入ってるからいいけど」

「美少女だからのう」

「…自分の胸を揉みたい放題」

「しないよそんな事…」

 

…前にやってたなんて言えない。これが本当の胸なのかと興味津々に自分のを揉みしだいていたなんて口が裂けても言えない。

 

「とにかくだ。俺らは経路なりなんなり立てておく必要がある。…Aクラス連中はあっち行ってな」

「…雄二、差別は良くない」

「うるせぇ!リムジンバスで行く癖によ!」

「は?何その待遇の差は」

「…バカはこの程度で十分という意味が半端ない」

「…ほんと革命でも起こさない限りこの狂った頭共が支配する学園は変わらないんだなって」

「じゃあ勉強すればよかったんじゃないの?」

 

里紗の正論。そりゃそうだけど!

 

「うるせぇ!そんな正論口にしたら戦争だろうが!」

「そうだぞ!本当に馬鹿な奴に失礼だろ!」

「明久とかの!」

「待て、僕はそんな馬鹿じゃない!あの時証明してみせたろ!」

「あぁ、日本史500点くらいのやつか」

「…流石に私もあれだけは取れない」

 

霧島さんのお墨付き!これは強い!

 

「まぁ、点数取らなくても勝てそうではあるよな」

「…そういう点では明久はぶっ壊れ」

「そう言えばその姿だと召喚獣扱う時どうなるんですか?」

 

姫路さんの一言で皆が考え込んでしまう。確かにそうだ。どうなるんだろう。

 

「目から血を垂れ流す女の子って貞子とか呪怨だよね」

「…やめろ、夜眠れなくなるだろう」

 

康太が震えている。…でもどうせ…

 

「じゃあ幽霊が露出してきたら?」

「…全力でカメラに納める」

 

鼻血を垂れ流しながらカメラを構える。やっぱり!女なら生きてても死んでもいいというのね此奴は!

 

「そんなエロ幽霊いるわけないだろ」

「わかんないよ?欲求不満で亡くなられた未練タラタラの三十路美女とかいるかもしれないよ」

「うわぁ、流石にどう生きてたらそんな発想になるのかよく分からないね」

「…吉井君、そんな事考えてたんだ」

 

ララと西連寺さんが憐れむような目でこちらを見る。や、やめろ!その視線をやめてくれ!

 

「…船〇先生とか?」

「バカやめろ翔子!お前のはマジで冗談に聞こえない!」

「そうだよ霧島さん!ココ最近生徒に手を出そうとしているという噂もあるし!雄二を盗られるかもしれないんだよ!?」

「な、なんてこと言いやがる!?」

「…問題ない、相手が教師でも…」

「ヒィッ」

 

そう言って霧島さんがスカートのポケットの中からチラチラと見え隠れしている銀の柄が。…え?マジ?

 

「…嘘でしょ霧島さん?流石にそれはないよね?」

「…雄二を奪うなんてことがなければ別」

「愛されてるね坂本」

「…こいつはマジでヤバイ、本気で洒落にならない」

 

雄二ですら震えるくらい霧島さんが怖いという事だ。

 

「あっ」

 

霧島さんがドジでそれを落としてしまった。よく見るとスプーンだった。

 

「「「…………」」」

「…護身用」

「なわけあるかぁぁぁぁ!」

「やっぱ霧島さんはお茶目だよねぇ」

「…やめろ、冷や冷やする」

「とにかく、ワシらはルート建てないといけないじゃろ?」

「そうだった…ったく、あっち行ってろー」

「ちぇ、つまんないのー」

 

そう言ってAクラス連中は帰っていく。…あれ?

 

「やばい!タイムセールの時間だ!雄二!この件、明日でいいかい?!」

「か、構わねぇけど…」

「僕帰るから!ララ、着いてきて!」

「はいはーい!」

 

全力ダッシュ。女の子の割には足が速い。それもそうだ。ただ外見が女の子になっただけで身体能力とかは男のままなのだ。…ただ胸の付け根が痛いけど。故に、手で抑えて走る。こんな事するのアニメの中だと思ってた。

 

「ごめんそこ退いてー!」

「え?うわっ!?何!?」

「ごめん!急いでるのー!」

「…吉井にデビルーク?」

 

霧島さん達の横を縫うように走る。タイムセールにだけは遅れたくない…!

 

――――――

 

女子side

 

「ララちゃんもいるけど…足速くない?」

「明久って女の子になっても足速いんだ〜」

「…おっぱいを抑えながら走ってた」

「ブラとかしてないんでしょうか…」

「そりゃそうさ、明久はしないって言ってたからねー」

「…それって結構痛いし…した方がいいんじゃ…」

「ま、そう思うけどねぇ」

「…無理矢理させるのは?」

「いいねぇ面白い!下着は子供っぽいのか大人っぽいのかどっちがいいかな〜?」

「…ランジェリー」

「し、翔子ちゃん!なんて事を!」

「さ、流石にそれはレベル高いんじゃ…」

「いいや、吉井君なら似合うと思う」

「…うん、吉井は大人の女って感じがする」

「そうだけどさぁ…」

「よぉし!取り敢えずは合宿後に連れて行きましょー!」

「…楽しみ」

「楽しそうですね!」

 

 

――――――

 

「…!?」

 

何やら悪寒を感じ取った僕はスーパーに来ていた。ララと2人で目当ての商品を買っていく。

 

「よぉし、なんとか乗り切ったな」

「明久、はい!」

「ありがとう、頼りになるよ」

「えへへ、じゃ帰ろうか!」

「うん…おっ?」

 

僕は商店街の通りで一人の少女を見つけた。その少女には、前自分が持っていたコートが。

 

「やぁ、ヤミ」

「…吉井明久ですか、何か用ですか?」

「いいや、特にないな」

「やっほー!ヤミちゃーん!」

「プリンセスララ…」

 

未だ警戒してるんだろうけど、取り敢えずは心を少しずつ…ほんの少しずつ開いてきてくれているのはわかる気がする。

 

「そのコート、着てくれてるんだ」

「…勘違いしないでください、使わないともったいないと思ったただけです」

 

顔を赤くして目を逸らした。…その顔を見て自然と笑みが零れてしまう。

 

「そうかい。…でも使ってくれて嬉しいよ。…そうだ、家来る?」

「…家、ですか?」

「うん。君に頼みがあってね」

「…なんですか」

 

我ながら完璧な案が思いついたんだ。

 

「僕ら三日後に三日間帰らない日があるんだ。…その間、美柑っていう妹が一人でいるのは心配で仕方なくてね。…ヤミが嫌じゃなければ家に居てくれない?」

「…貴方には貸しがいくつかあります…その貸しをこれでチャラにしてくれるなら」

「いいよ、その条件を呑もう」

「わかりました。その提案を受けます」

「よし、じゃあ家に案内するよー」

 

ヤミを連れて家へと行く。

 

「お帰りー」

「ただいま。美柑、ヤミって言うんだ。彼女が僕らが勉強合宿へ行く間この家に居てくれるよ」

「えぇ…また見ず知らずの女の子を侍らかしたの?」

「待て、またじゃない。今回は僕の知り合いだから。…ここだけの話、彼女も宇宙人だから教えてあげて」

「アキは宇宙人にモテるねぇ」

「黙らっしゃい」

「じゃヤミさん!こっちだよ!」

「あ…」

 

手を引っ張られ行ってしまう。…我ながら完璧。ヤミも地球に慣れる。美柑も寂しくならない!完璧!

 

「良かったね明久!ヤミちゃんもニッコリだよ!」

「うんうん、さて。ご飯作るか」

 

そしてリビングへ。そこでは…

 

「ヤミさんはアキとどういう関係なの?」

「私は吉井明久を抹殺する為に地球に来ました、ターゲットとハンター…と言えば分かりますか」

「へぇ、そうなんだ!」

 

…なんで妹に兄を殺しますみたいなこと言ってんのこの子??

 

「美柑、風呂入ってきな」

「はーい、ヤミさん行こ」

「え、私は…」

「いいからいいから!」

 

そうしてヤミを連れて行った美柑。グッジョブ!

 

「明久!私ね、自分の研究室作ったんだ!」

「い、いつの間に…」

 

家を改造…ていうか新たに部屋ひとつ作られてるのか…

 

「明久と一緒に寝てると尻尾とか触られてもう私快眠出来ないからねー」

「僕のせいなのそれ」

「だから後で遊びに来てね!」

「うん、行くよ」

 

ご飯を適当に作ったあとは2人が風呂を出るのを待った。

 

「明久、勉強合宿楽しみだね!」

「うん。何も起こらないといいけど」

「その時は私が明久…もとい明奈ちゃんは私といましたってアリバイ証明したげる!」

「あはは、そりゃいい。ララを頼ろうかね」

「えへへ、ドーンと頼ってよ!…あ、出たね!」

 

ララが言うと美柑とヤミがやって来た。

 

「見てアキ!ほら!」

 

僕が振り返るとパジャマ姿のヤミが。おぉ、似合ってる…ていうか美柑サイズでぴったりなのね…

 

「…そんなにジロジロと見ないでください」

「ジロジロとは見てないよ!…それに、似合ってるよ」

「…あ、ありがとうございます」

「…さて!ご飯食べようか!ほら、ヤミも。たい焼きばっか食べてたら体に悪いしお腹空くよ?」

「…私はあれで十分です」

「ダメ!許しません!てなわけでちゃんと食べて!ちゃんと食べられるようにはしてあるから」

「…なんだかヤミさんには甘くない?」

「え?そう?」

 

美柑に指摘されても全くそんな風にした覚えはない。

 

「ララにも甘いよ?」

「明久はたまに甘くなるんだよねぇ」

「飴と鞭ってやつだよ…ほら、いただきまーす」

「い、いただきます」

「「いただきまーす!」」

 

なんだろう、1人加わるだけでこんなに楽しいものなの?…あれ?楽しい?…ララが来た時も思ったけど…楽しんで、いるのか…?

 

「どう?美味しい?」

 

ヤミに聞くと、顔を赤くしたまま答えた。

 

「…食べられなくはありません」

「そっか」

「明久!おかわりー!」

「早っ!?…しゃーない、よそってくるから」

 

そんな楽しい食事の時間は過ぎて、美柑は寝てしまった。

 

ララの部屋に赴こうとした時、ヤミと廊下でばったりと出会った。

 

「…少し、話しませんか」

「…いいよ」

 

庭に出て話を始める。

 

「…で?話って何?」

「…貴方はどうして、私に殺されると知っているのにこんなに優しくするのですか」

「え?嫌?」

「…質問に答えてください」

 

ふーむ、どうして優しくするのか…

 

「…人が人に優しくするのに理由なんかいる?」

「…答えになってません」

「いいや、これが答えだ。…少なくとも殺し屋なんて辞めて普通の女の子と同じように生活する権利は君にはある」

「…そんなもの、私には…」

「…じゃあ僕を殺してもう終わりにしようか」

「えっ…」

「…君が僕を殺せば、もう誰かを殺す必要も無くなるだろう?…ヤミには美柑を頼みたいし…美柑、最近忙しそうに…」

「…わからない」

「ん?」

「わかりませんっ!どうして…!どう、して…そんな風に…考えられるんですか…」

 

ヤミが怒鳴るのを初めて見た気がする。…まぁ、仕方ないか。そういう子でもないし。

 

「…君は僕に似てるから」

「…えっ…?」

「…僕も最近、誰かの役に立ちたいって思って皆がやらなさそうにしていた事をしてたんだ。…でもそれは、皆に誤解されて…で、僕は問題を起こして…誰からも話かけられなくなってね。…寂しかったよ。…誰からも話しかけられない。話しかけても誰も答えてくれない…そんな生活はね」

「…それ、は…」

「君も、一人なんだろう?…僕は、見過ごせないよ。…君みたいな女の子が…どうして殺し屋なんかして生きていかなきゃいけないって。…そんなの間違ってる」

「…私は、そうなるべくして生まれたんです…」

「…いいや、違うね。…君だって愛されて生まれてきたんだ。君の事をどんなに知らなくてもそれだけは分かる」

「…」

「それにね、もう疲れたんだ」

「疲れた…?」

「引きこもってた時も、皆に迷惑をかけて…こんな自分なんかいなくなればいい、こんな場所からいなくなりたいって考えてた。…それで君は、僕を殺してくれるんだろう?」

「…私、は…」

「君の選択肢は2つ。…僕を生かしてくれるなら普通の女の子と全く同じような生活を送れるようにする。…もう1つは…僕を殺して殺し屋から足を洗うか」

「…どちらにせよ未来は同じと見ました。…貴方自身が死ぬかもしれないんですよ?」

「いいから決めなよ。…僕の事なんてどうでもいいだろう?…今の君に必要なのは自分で決める事だ。…自分がどうしたいかを自分で決めな」

 

そう言うとヤミは考え始めた。…風が吹かないこの空の下、月明かりが照らされている。そしてヤミは静かに呟いた。

 

「…私は元より、貴方を殺す以外考えてはいません。…ですが、まだ私はこの地球でやりたい事があるので。…故に私は3つ目の選択肢、『吉井明久を殺すのは保留』を取ります」

「…ま、君が選んだならそれでいいや。でも殺すのは早めにしてよね。…そんなに生かしておいたってメリットはないんだからさ」

「…自分が殺されるかもしれないのにその考え…狂ってますね」

「…こんな世の中じゃ、狂ってでもないとやってらんないよ」

 

そう言って窓を開けた。

 

「ほら、早く入りな。…喉乾いたけどお茶でも飲む?」

「…いただきます」

 

手を伸ばし、引っ張りあげた時に身体を触ってしまった。…腰とかならまだいい。…触ってしまったのはお尻だ。

 

「…えっちぃのは嫌いです」

 

…トランスした髪の毛で殴られた。地味に痛い…!

 

「…いや、僕だってエッチなのはそんな好きじゃないよ?」

「…でもお尻触りましたよね」

「…僕の場合体質なんだよ、ラッキースケベが起きやすいってやつ」

 

説明したら更に殴られた。なんで…

 

「…ララのラボに行かなきゃ」

 

そう言って地図に書いてある通りに行くと…

 

「あ、明久!いらっしゃい!」

 

物凄い広い部屋が。リビングより広いのでは?

 

「…あらら、ヤミちゃんにやられたの?」

「…聞いてたな」

「明久とヤミちゃんが話をするって外行ったあとに鈍い音聞こえてくればそりゃ推察できるよね」

 

そう言ってララは救急箱を取り出した。

 

「…手当てしてくれるの?」

「勿論!」

「…ありがとう」

 

手当てをしてもらって、2人で椅子に座って話し合う。

 

「…明久、死ぬのはダメだからね」

「…やっぱ聞いてたか…問題無いよ。ヤミを抑えるために…」

「嘘かどうか、私にだってわかるよ」

「…じゃあ誰がヤミの呪縛を解き放ってあげられる?…誰がヤミを救える?…僕の命で彼女が助かるならその道を僕は取るよ」

「…そうじゃない道を選べる筈だよ」

「…方法は分かってないんだよ?」

「探せばいいんだよ!明久になら出来る!なんてったって私のお婿さんだもん!」

「…ララ…」

 

お婿さんは余計…と言えなかった。…そこまで否定していない。何故だろう。受け入れつつあるのか?

 

「…大丈夫。死なないから…じゃ、僕は寝るよ」

「おやすみなさい、あなた♡」

「…普通に名前でいいなよ…」

 

自分の部屋に戻ってきて、僕は布団に入る。ララの言ってくれた別の道。…何が僕に出来るかはわからないけど…諦めたらおしまいだ。…明日から模索していこう。そう思いつつ僕は布団の中で意識が落ちていった…




ヤミちゃん落ちるのはメアちゃん搭乗前くらいですかね…

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