「今日で合宿も終わりだねぇ」
食堂に集まった僕らはご飯を食べながら話し合っていた。
「色んなこと、あったよなぁ」
「確かに」
「…でも明久が女じゃなかったら今頃どうなっていたか」
「さぁ?女子風呂に突っ込んで犯人探してたと思うよ?」
「俺ららしいな」
「でも無事終わってよかったのじゃ」
男だけで食べていたが、途中から女子も合流し始めた。
「おはよう」
「皆おはよう」
「明久、後で確認に行くよ!昨日のアレ!」
「そうだった、確認に行かないとね」
「あぁ、幽霊がどうとかのアレか」
「…ほれ」
康太からカメラが渡される。
「なにこれ」
「…写真納めてきてくれ、お前らの分の荷物を持っとくから」
「お前ら?」
隣を見るとララが腕を組んでいる。へ?
「私も行くよ!」
「まぁ、ララっち居たら百人力だよね」
「じゃ、頼んだぜ」
「はいはい…里紗の乗るバスまでの時間もあるし食ったらすぐ行こうか」
「「おぉー!」」
ご飯を食べ終えて着替えてからララと里紗を連れて宿を出る。
「どうやって行ったんだっけ」
「任せろ」
記憶通りに歩いて行くと、昨日の夜に見た木で出来た小屋が。
「本当にあったね!じゃあ写真撮ろうか」
「うん、あの幽霊もどきも居ないっぽいし」
「で、でも早く帰ろう…?なんかやな予感するよ…」
「分かってるよ〜」
ララが写真を撮りに撮っている中、里紗は涙目で怯えながら僕から離れてくれない。写真も撮って、帰ろうとした時。
「おや、またお会いしましたね」
「ヒィッ…!」
「あんた、幽霊なの?」
「さぁ?どうでしょうね?」
なんで普通に会話してるんだろう。
「そうだ、じゃああんたが幽霊が証明する為に身体触らせてください」
「…」
俯いてから何も喋らない。…ん?
「…里紗、ララ…少しずつ下がるんだ…そして一気に逃げるよ…へっ?」
ララが写真を撮り始めた。…な、何してるのこの娘!?
「あれ、足とか映らないね…じゃあ幽霊だよこの人」
「な、何してるのさ!?と、とにかく逃げろぉ!」
例の如く逃げ始める。だが幽霊も追って来る。てか足が透けてるのを見て判断すりゃよかったよ!とにかく逃げる!宿まではそんなに距離は無かったはずだ!
「み、見えてきた!幽霊は!?」
振り返ってみると居なかった。その時、肩を叩かれる。
「?何さ里紗」
「え?私何もしてないよ?」
「へ?じゃあララ?」
「いや、何もしてないけど…」
不気味になって振り返ってみる。
「ッ!?きゃあああああああ!!」
目の前に先程の幽霊が立っていたのだ。怖過ぎる…ッ!
「お、お前ら戻ってきたのか」
ゆ、雄二!?君がカッコよく見えるよ!
「あぁ、この女が幽霊って言ってた…ふーん、足も透けてるし確かに幽霊だが亡霊には見えねぇなぁ…ほれ、元の居場所帰れ、こんな女装野郎に絡んでも得はないぞ」
そう言った瞬間幽霊は消えた。ちょっと!僕女の子になってるんですけど!?女装じゃないんですけどぉ!?
「…助かったよ、ありがとう」
「おう、別に幽霊より翔子の方が怖えからな」
「…何か言った?」
「げぇ!何でもねぇぞ翔子!なんでも…ぎゃああああああッ!」
突然現れた霧島さんにやられてしまった雄二。そんなこんなで宿に戻って康太にカメラを返した。
「…確かに幽霊だが…エロくないな」
「…エロ幽霊なんていないの!」
「…つまらん」
こうして幽霊関連の騒動は幕を閉じた。里紗や霧島さんをAクラスのバスに連れていく。
「じゃ、お先帰るよ」
「うん、またね」
「…アキちゃん、雄二を宜しく」
「アキちゃん言わないで?」
先に帰る為にバスに乗り込んで行く。バスは行ってしまった。
「さて、ワシらも帰るかのう?」
「だね。あぁ、美柑はちゃんとお留守番出来てるかな?」
「お前じゃないんだからできてるだろ」
「小学5年生なんですけど!?美柑は!?」
「そういやそうか…お前の方が弟に見えるなぁ」
「そりゃそうだけどさぁ…仕方ないじゃんかぁ」
僕らも荷物を纏め始める。そこに鉄人が。
「…吉井」
「なんですか?」
「…俺は間違った事をしてしまった。…お前達がただ問題児というだけで疑ってしまった。…すまない」
「もう終わったんですし、水に流しましょう」
「そうだぜ鉄人、俺らはもう気にしちゃいない」
「いつまでも引き摺ってて、いい事は何も無いのじゃ」
「…(コクコク)」
「すまなかったな、ではまた学校で会おう」
そう言って鉄人は1人山を降りて行った。僕らもララを回収して、少し経ってから山を降りていく。
「これから忙しくなるぞ?」
「文化祭とかねぇ」
「お前とララにはバリバリ働いてもらうぞ?」
「嫌だよ、疲れるし給料は出ないし」
「唐揚げ10個」
「甘い、20個だ」
「…こいつらと割り勘で食わせてやるよ」
「交渉成立だな」
「なんて強欲な女なんだ」
「…流石に明久と言えども唐揚げ20個欲する女は見ないのじゃ」
「ははは、そうだろそうだろ?…でもなんか色々ありすぎて疲れたよ」
「だな。さっさと帰ろうぜ?」
「…今度こそ置いてくなよ明久」
「は、はは…なんの事かなー?」
そう言って僕は走り出す。
「待ってよー!」
「待てや外道ー!」
「逃がさないのじゃ!」
「…逃亡は死罪…!」
こうして、僕らの勉強合宿は幕を下ろした。
――――――
「…そう言えば」
「うん?どうしたの里紗?」
「…うぅん…なんか明久が怒ってたじゃん?明久が幾ら人を疑うのが嫌いだからって…あれだけ怒ると思う?」
「怒るんじゃないの?」
「…里紗ちゃんは他に何か理由があると?」
「うん…それに、明久が召喚獣を使う時も…」
里紗の頭の中ではずっと引っ掛かっていた。あれだけ力に固執した明久の戦いを。力によってねじ伏せようとしていた。それは何故か?
「…私、調べてみる」
「良いの?」
「良いも悪いもないよ。…明久はもっと、別の事で苦しんでるのかもしれない」
「それは…」
「皆がやらないなら…私がやる…私一人でも…何とかする」
こうして里紗一人、立ち上がろうとしていた。だが、もっと大きな問題に巻き込まれていくことになる────