バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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imprinting

 根暗でバカで、何をしてもダメな僕。そんな僕は今、交際(?)を申し込まれていた。

 

「明久、私と結婚してよ!」

「いやいやいやいや」

 

 待て……!まだ何か踏むだろ……!もっと……!段階を……!踏むべき……何かを……!と、取り敢えず理由を聞こう……

 

「……なんで?」

「一目惚れしたの」

「は?誰が誰に?」

「私が明久に」

 

 …………おかしい。一目惚れされる要素全く無い。自分で言うのもなんだが顔は底辺中の底辺。性格も根暗。何を取っても悲しいくらいマイナスなのに。

 

「あぁやって助けてくれた人、今まで1人も居なかったんだ。……嬉しかったんだよ?」

「……君じゃなくても助けてたけど?」

「分かってる。……それでもその勇気と優しさに私は惚れちゃったみたい」

「……お見合いの中に僕よりいい人居るかもよ」

「嫌!明久と結婚するまで私は明久から離れないッ!」

「なんでそうなるっ!?」

 

 ダメだ。話が全く通る気がしない。でもこのまま僕の名前を騒がれるのは非常に宜しくない。不本意ではあるけど……

 

「……取り敢えず、また家においでよ。……さっきの奴等……まぁ君の星の人達が来てもすぐバレるけど……取り敢えずは君を外に放り出しておくわけにはいかない」

「ありがと!じゃあ帰ってお風呂入ろう?」

「……僕は入らないよ」

「えぇー!つまんなーい!」

 

 そんなこんなで家へ帰ると美柑がドン引きした顔でこちらを見ていた。

 

「……アキ、なんで女の子を家に連れ込んでるの」

「違う!いや違わないけど!これには理由があるんだ!」

「ふーん?どんな?」

「……この子、追われてるんだ」

「えっ……」

「……追われてる人を、見放したくないんだ。……ララ、僕の妹だよ」

「初めましてー!私ララって言うの!宜しくね!」

「よ、吉井美柑……です」

 

 ララがこの場に居なかったらどうなっていたか。取り敢えずは彼女をリビングまで連れてきて話し合う。

 

「……で、なんで追われてるの?」

「後継者を探すとかなんとかでお見合いばっかりさせられてるらしいよ」

「……あー、それは嫌だなぁ」

「だからね!私は明久と結婚するの!」

 

 次の瞬間、美柑の持ってたコップが手から落ちた。水が零れ、床のシーツを濡らしてしまう。

 

「だ、大丈夫!?」

「う、うん……平気……でもララさん、アキと結婚って……本気?」

「当たり前だよ!もう他にお見合いに誰か連れてこられても私は明久しか選ばないよ!」

「……洗脳?」

「……僕がそんな風に見えるのかな」

「見えないけど……アキならやりかねないから」

「……さいですか」

 

 そう思われても仕方ない……か。そう思われても仕方の無いことをしたからな……

 

「とにかく!まだそういうのは早いと思います!」

「そ、そうだよ!僕はまだ大人じゃないし、稼げないし!」

「金銭面とかの問題なら問題ないよ!パパが何とかしてくれると思う!」

 

 なんか嫌だなぁ……結婚相手の父親に金銭面どうにかしてもらうってそれヒモと同じくらいクズだよね……

 

 取り敢えず誤魔化すために咳払いしてララに向き直る。

 

「……とにかく、僕は……」

 

 そう言おうとした時に、インターホンが鳴り響いた。

 

「誰だ?こんな時間に……」

 

 扉を開けると、赤毛の良く見知っている男が立っていた。

 

「よっ」

「……雄二?何しにここに?」

「ガイダンスの資料なくしちまってさ。コピらせてくれよ」

「あぁ、そういう事ね……いい……よ……」

 

 コピー機は確か……リビング……リビングには……

 

「うわぁぁぁ!待って!今ちょっと無理!少し待って!」

「か、構わんが……」

 

 扉を閉めてリビングへ。ララの手を掴む。

 

「ララ!少し僕の部屋にいて!お願いだから!」

「えぇ〜?なんでよ?美柑とお話してたのにー!」

「頼む!この通り!」

 

 合掌して頭を下げる。

 

「じゃ、結婚してくれる?」

「どうしてそこに結びつける!?それも兼ねて後で話すから!」

「はぁい」

 

 ララは何とか部屋に行ってくれた。幸いガイダンスの資料はリビングに置きっぱなし。いける。

 

「い、いいよ入って」

「おう、邪魔するぞ」

「あ、坂本さん」

「おう、悪いなこんな夜中に」

「いいえ、平気です。それより何故ここに?」

「ドジってガイダンスの資料無くしちまってさ。明久にコピーを貰うんだ」

 

 雄二が僕の椅子に座る。いつもの3人は家によく遊びに来るので僕の席とか色々把握している。

 

「あぁ、そういうことですか」

「結構ページあるな……ん?雄二、その袋は?」

「ん?あぁ、2人に差し入れだ。タダでコピーもらう訳にもいかんからな。お袋が渡してくれと」

 

 中に入っていたのはアイスクリームだった。

 

「いいよ悪いし……」

「いや、貰ってくれよ。持って帰っても食わないしさ」

「そうそう!貰った方がいいと思うよ!」

「そうだ、そこの女の……ん?誰だお前」

 

 ……ん?振り向くとそこには、部屋に待機して貰おうと思っていたララが。

 

「な、なんでいるのさ!?部屋で待っててって言ったでしょ!?」

「喉乾いたんだもん、仕方ないじゃーん」

 

 ……当然雄二と会話したようなものなので、バレている。

 

「……明久、誰だ?」

「私はね、ララ!明久のお嫁さんだよ!」

「……は?」

「……」

 

 言ったー!包み隠そうとしたこと全部言ったー!雄二は数秒後、意味を理解したのか僕の肩を優しく叩いて言った。

 

「……お前……」

「……何も言わないで頼むから、しかもお嫁さんじゃないから」

「俺は何も言わないさ。……お前に幸せになれとだけ伝える」

「おい、何を勘違いしている」

 

 ダメだ、これはぶん殴らないと聞いてもらえないか……

 

「明久はね!追われてる私を匿ってくれてるんだよ!」

「へぇ?案外……でもねぇか、お前ならやりそうだからな」

「女の子を連れ込む事が?」

「違う、困ってる人を助けることさ……美柑ちゃんは知らないだろうがお前の兄貴は困ってる人の為なら何でもできる凄いやつなんだぜ?」

「雄二……」

「そうだよ!美柑は分かってない!明久は私を助けるために足に傷まで負っちゃってるんだから!」

「げっ、バレてたのか」

 

 確かに、度重なる裸足での走行に加えて小石を踏んだりして石がくい込んだり足の裏が切れたりしてしまっているのだ。

 

「……ま、美柑ちゃんがこのバカをどう思うかは自由だがそれらは真実だってのを忘れないでもらいたい。……誰かが泣かないようにするためなら自ら罪を背負う事も出来るんだからな」

「……」

「……ほれ、コピー終わったよ」

「サンキューな。……じゃララとやら。……こいつの事をよろしく頼むぜ」

「まっかせてよ!」

「だから違うって言ってるだろ!」

 

 雄二はニシシと笑いながら暗闇の中へと走り去って行った。

 

「ごめんね美柑。こんなドタバタしちゃって……もう寝る時間だよ」

「……本当は分かってた」

「えっ?」

「……アキが誰かの為なら自分の身を投げ出す人だってことは……そして、アキがクラスの女の子を押し倒したって言うのも何かの間違いだって事も」

 

 ……心が締め付けられる。痛い。まだ小学生なのにこんな……

 

「……美柑……」

「……でも、私が認めたくなかった。……私の知ってるアキ……お兄ちゃんは誰よりもかっこいいって思ってるから」

「……!」

「……ごめんね、今まで突っぱねちゃって……アキが私の為に沢山頑張ってくれてるのに」

「……謝るのは僕さ。……とにかく今日はもうおやすみ。明日も早いだろう?」

「……うん」

「……ララ、リビングで待っててくれる?」

「うん、良いよ!」

 

 美柑を部屋まで連れて行ってベッドに入れる。

 

「……明日からは、昔みたいにいっぱい話そう」

「!うんっ、お休みっ」

 

 美柑の顔が心做しか良くなった気がする。まぁ蟠りが消えたのは良かった。取り敢えずはリビングに向かう。

 

「ミカンの様子どう?」

「お陰様で。昔みたいに戻れそうで良かった。……ありがとうね」

「じゃ明久!お話の続きしようよ!」

「……結婚がどうとか……その話か」

「……明久は私と結婚するのは嫌?」

「……嫌じゃないよ。……はっきり言って君は可愛いし。……でも、肝心の僕にその自信も資格もないんだ」

「……どういう事?」

 

 昔の思い出の紐を解きながら少しずつ掻い摘んで話し始めた。

 

「……昔さ。とある女の子に心の傷を負わせてしまったんだ」

 

 中学校の時。花壇の花に水やりしている時に花壇荒らしと間違われてしまって、それを訂正しようと女の子を追いかけ回して、その後に女の子のスカートを転んでしまって脱がせてしまったという事件を起こしてしまった。

 

 まぁ、引きこもりに関してもこれが関係していて、進学が決まった瞬間、逃げるように僕は自分の部屋に籠るようになった。それからかな。美柑との会話も少なくなって……

 

「何それ!?明久は何も悪くないじゃん!」

「……理由はどうあれそれをしてしまったから、僕が悪いよ」

「……明久はそれで……」

「……この先、誰かを傷つけかねない。誰かを怖がらせてしまったり、涙を流させてしまうかもしれない。だから僕は……」

「女の子と付き合うのはやめよう……と?」

「そうなるね」

「……じゃ、私ならいいよ!」

「……はぁ?」

 

 私ならいい?何が?

 

「明久になら私は何されてもいいよ!だって好きだもん!」

「……そんなの……ダメだよ……大体、君を助けたら君が一目惚れしたって……」

「おかしい?……まぁ、そう思われるのも仕方ないよね。……私のお見合い相手、全員明久の様に自分を犠牲にして私を守ろうなんてしなかった。明久だけなの。あんな状況になっても、私の手を引いて、逃げてくれた人は。……それがたまらなく嬉しかった。……私の勘違いでもいい。……私の為に共に逃げてくれる……それは明久しかいなかったの」

「……」

 

 ララの目は真剣だった。僕にでもわかる。さっきまでの態度はどこにも無く、自分の思いをただ真剣に打ち明けるララ。

 

「……それでも、僕はまだ何も知らないんだ……恋愛とか、そういうのを知って初めてこういう事に発展するんだと思うんだ」

「恋、愛……?何それ?」

 

 な、なんですとぉ!?……でもあれ、なんて答えればいいんだろう?

 

「……分かんないや」

「あはは、変なのー」

「……一つだけ確かにわかるのは……恋愛って言うのは自分が、誰かを好きになった時に生じるものだと思っているよ」

「じゃあ私が明久を好きなのも恋愛なの?」

「そうだけどさぁ……どうしてそんな恥ずかしい事を平気で言うのかな……」

「?あ、そうだ!明久の家に泊まっていい?」

「え?なんで?」

「宇宙船壊れちゃったし。……お願い!」

「……まぁ、美柑との蟠りも消えたし……良いよ」

「やったー!ありがと明久〜!」

 

 ……ひょんな事からこんな綺麗な女の子に告白され、しかも同棲までしてしまう。この先どうなるかと考えただけでお腹が痛いよ……




次回から学校です。原作と微々たる所が違います。
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