昼休みの時間もなく、手と足を動かし続ける。
「沙姫ちゃん休憩いいよ」
「いいえ、まだやれる!」
「…案外負けず嫌いなんだねぇ」
客の足が止まることは無い。焼きそばとか色々作ったりしたけど結構繁盛してるなぁ。アルファチームも中々材料調達で忙しそうだ。
因みにアルファチームが材料調達、人数カウントだったり厨房手伝いなどがベータチームで、クレーマー排除とか問題があった客を『なるべく』穏便に対処するのがデルタチームだ。え?次はガンマだろって?五月蝿いよ!
「さて、2回戦の相手は雄二が確認しに行った…敵の査察でも行ってこようかな」
「今はそんなでもないから行ってきてもいいぞ」
「じゃあ須川君に横溝君、頼むよ。…近藤君はどこ?」
「おう、どうした?」
「暇だからついてきてくれる?」
「あぁ、構わんけど」
近藤君を引き連れていざAクラス。やっぱりいつ見ても高級ホテルのエントランスにしか見えない。さて、メイド喫茶と言うからどんなもんかな…
「「「「「おかえりなさいませ!ご主人様!」」」」」
僕らを出迎えたのは8人ほどのメイドさん。…いやいや、強化され過ぎじゃない?古手川さんまでやってるとか…
「おぉ、これは圧巻だな」
「おや、明久と近藤ね…これはまた珍しい組み合わせね」
「近藤君なら何かあった時の為に暗殺を心得てるから」
「土屋に習ってて良かったぜ…てかお前ら本格的だなぁ」
近藤君が辺りを見渡して言うが本当にその通り。お金持ちの家の一室を思わせる空間には大勢の客がいた。
「設備も全て用意したのよ。あ、代表」
「…吉井、近藤…いらっしゃい」
「雄二にも見せてあげたいくらいだよ、ね」
「あぁ、坂本なら鼻血出して喜ぶだろ」
「…お上手…さて、お席にご案内」
案内された先はカウンター。メニューを渡され見てみると、ケーキセットやご飯などなんでも置いている。…ぐぬぬ、これは強敵だぞ…!
「おーい明久!2回戦始まるぞ!」
「マジ!?」
そんな事を呟いていると田中君を率いてきた雄二が。
「坂本?どうしたんだよ?さっき時間まで余裕あるって聞いたんだが」
「あまりにも1回戦目が早く終わってな…てか翔子!お前らも出てたのかよ!?」
「…うん、如月グランドパークのチケット、欲しかった」
求めるものは同じか…取り敢えず…
「田中、明久の代わりに近藤と査察を頼む」
「任せとけ」
「雄二、この格好どう?」
「あぁ?今そんなこと気にしてる場合じゃねぇ!行くぞ明久!」
「う、うん…」
悲しそうな霧島さんの顔を見たのは気の所為じゃないはずだ。…少し叱っとくか。
「ダメじゃないか雄二。あんな風に言っちゃ。…霧島さんだって雄二に似合ってるって言われたいと思ってるよ」
「あのなぁ?俺らはそんな事を気にしてる暇があると思うのか?」
「それは…」
「…それにな、あいつに似合うと言うのはもう言いまくったから他にかける言葉を探してんだよ。…元々、似合ってるとは思うしな」
「…ならいいや!」
「あぁ?どういう意味で…おい!」
その言葉を聞いてから走るペースを上げる。
――――――
後ろで追っていた翔子と里紗。男子組の会話を聞いて、立ち止まった。
「良かったじゃん翔子…て言うか坂本が翔子に似合ってるって思ってるのは周知の事実なんだからさ」
「…雄二の口から聞きたい」
「全く、わがままって怒られちゃうよ?」
「…分かってるけど、そう求めるのは間違いではないはず」
「じゃ、後で倒してお灸を据えますか」
「うん」
――――――
2回戦の相手。見てみると、嫌な予感が的中してしまった。
「雄二、お説教の時間」
「明久、私達の為にやられてよね」
「んだよ、お前らかよ…」
「…それは、出来ない。…君と僕じゃ勝ちたいっていう思いが天と地ほどの差がある」
『科目は現文!では勝負始め!』
「「「「サモン!」」」」
現文
二年A組 霧島翔子=397点
二年A組 籾岡里紗=386点
二年F組 立花結姫=305点
二年F組 如月明奈=401点
「な、なんでそんな高いのさ!?」
「俺だって勉強してるからな…ほら!行くぞ!」
「二人とも厄介…連携して…」
「させるかッ!」
「!?」
僕が霧島さん、雄二が里紗に向かって突撃。刀同士の鍔迫り合いが起きる。
「吉井が相手は辛い…!」
「今は明奈ちゃんだって!」
何度も刀の衝突。流石に腕を上げてきているか…!なら少し本気出すかな…!
「強い…!」
「…ごめんね」
刀をわざと大振りにし、霧島さんの刀と鍔迫り合いを起こさせ、怯ませたところに左側の刀を懐に突き刺す。
「あっ…!?」
「負けたくないのはわかる…僕らも、同じ思いだから」
刀を引き抜き、壁まで蹴り飛ばす。次は里紗だ…!
「翔子がやられた…!でも!」
「くっ!悪い!やられちまった!」
「代表で頭張ってばっかじゃなくて練習しとけっての!」
「明久、覚悟!」
「やるかよッ!」
里紗のパルチザンを拳で受け止めた。
「なっ!?そんな事したらフィードバックが…あ、あれ?!ダメージがない!?」
「はは、なんとか間に合ったみたいだな…」
雄二のガントレットを装備していた。そのままパルチザンを弾き、相手をうしろ方向に仰け反らせ…
「これで終わりだぁぁぁッ!」
そのまま左ストレート。相手の点数が無くなる。
『し、勝者!立花如月チーム!』
「もっと練習しとくんだね」
「うっせーな、わーってるよ」
「負けたぁー!」
「…残念」
明らかに霧島さんが悲しそうだ。…雄二とグランドパークに行きたかったんだろう。
「…慰めてきなよ」
「はぁ?なんでだよ」
「そりゃ、霧島さんが大会に出た理由が君にあるからさ」
「訳わかんねぇ…まぁ、後で行ってくるわ」
「じゃ、僕は店に戻るよ」
走って店まで戻る。まだまだ忙しくなる。休む暇も息をつく暇も与えちゃくれないんだ…!
――――――
「翔子」
雄二は翔子が一人になったのを見計らって声を掛けた。
「…どうしたの?」
「悪かったな、その…俺らにも負けられない理由があったんだよ」
「…うぅん、気にしてない」
「…あとな…その、服…似合ってるぞ」
「!」
「そ、その…なんだ。俺が素直じゃないのは知ってるだろ!だから察してくれ!」
「…雄二の口から聞きたかった。だから、嬉しい」
「…そうかよ」
「…うん」
しばし二人は飲み物を呑みながら熱気に包まれた会場を眺めていたのであった―――
次回は長くかけるよう頑張ります。