バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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「皆さん、今日は集まっていただきありがとう」

 

 沙姫ちゃんのお屋敷に雄二、秀吉、康太を拾って皆で向かうと、メイドや執事さんに出迎えられて中へと入る。因みに霧島さんや優子さん、西連寺さんや姫路さん、工藤さん達はAクラスの打ち上げに呼ばれたらしい。

 

 待っていた沙姫ちゃんの格好はドレスだった。なんとまぁ。絢爛たるその容姿は見ていてドキドキする。

 

「アキ君、昨日はお疲れ様」

「ありがとう…でもここまでする必要あった?」

「ふふ、皆来てくれるんだもの。こうもするわ」

「それでも凄いですよ…」

「そう?まぁとにかく上がって」

 

 執事とメイドさん達に男子と女子で分けられ、それぞれ案内される。案内された部屋ではタキシードらしき服が置いてあった。

 

「明久様、皆様と共にこのお服に着替えてもらいます」

「ぼ、僕が?…似合いませんよ」

「いいえ、沙姫お嬢様のお申し付けです」

「沙姫ちゃんが?」

 

 了承して着替えを手伝ってもらい服を着こなす。執事さんと同じ服だ。案内された場所へ行くと、雄二や康太、秀吉が僕と同じ服を着ていて待っていた。

 

「…皆まで?」

「先輩の申し付けって聞いたが…」

「どうせだから皆もこういう服がいいなと思ったの。嫌だったら素直に言って欲しいわ」

「いいや、ワシはこういう服を着てみたかったのじゃ」

「…人生は何事も経験」

「そう言って貰えると助かるわ。ほら、女の子組も来たわ」

 

 そう言って指さした方向を見ると、皆が皆メイド服を着ていた。

 

「明久ー!どお?似合う!?」

「うん、似合ってるよ。…でもよくこんなにメイド服や執事服あるね」

「えぇ。色んなサイズがあるから。ではこちらに」

 

 案内されて奥の部屋へ行く。そこには思いも寄らぬ人物がいた。

 

「や、ヤミ!?」

「…沙姫に頼まれて来ました」

「そうなの。…で、昨日も言ったんだけど…掃除を手伝ってもらいたくて」

「あぁ、そんな事か。僕でいいならやるけど」

「もちろんタダでとは言わないわ」

「いいや、タダでやる。…お屋敷呼んでもらっておいて何かを貰うってのは烏滸がましいからな」

「そうだよ!サキと私達の仲じゃーん!」

「さて!始めるのじゃ!」

 

 手分けして掃除を始めるのだが、僕はヤミと二人で手分けして居間にあたる部分の部屋の掃除をしていた。

 

「…なんで私があなたと掃除しなきゃいけないんですか」

「ご、ごめんなさい」

 

 …嫌われてる…どうしよ、本当に距離を近めないと…てかトランス便利だなぁ…

 

「ヤミは良いの?」

「何がですか」

「…こんなお休みの日にタダで掃除なんて」

「私はたい焼き代のお小遣いくれる約束してたので」

「なぁんだ、たい焼き代なら僕に言えばあげたのに」

「あなたには貰いません、えっちぃことされるので」

「しないよ!」

 

 どうしたら距離を縮められるんだろう…信用してもらうことが大切なんだけど…信用してもらう方法がわからない。…どうすればいい…

 

「終わりました、次行きましょう」

 

 気付けばヤミが部屋の掃除を終わらせていた。…あれ?僕必要ない?こうなる事なら僕もスキル高めておけば良かった…

 

「何してるんですか、早く行きますよ」

「ご、ごめん」

 

 書斎の方へ行く途中で九条先輩と出会った。

 

「先輩、何してるんです?」

「あぁ、先程届いたお嬢様のお父上のコレクションを運ぼうと思って」

「僕運びますよ?」

「いいや、大丈夫。そんなに重くないから。…君は書斎を頼むよ」

「これから行こうとしてました。分かりました。頑張ってください」

 

 書斎に向かってヤミと掃除をする。こうして見ていると、本当に可愛らしい女の子なんだよなぁ…兵器だ兵器だ言う割には女の子らしいところが沢山あるから別に気にならないしなぁ…

 

「なんですか?ジロジロとこちらを見て」

「いや、どうしてそんなに可愛いのかなって」

「か、かわっ!?ま、全く!あなたはなんなんですか!こんな時に!」

「き、気に障ったなら謝るよ!でもさ…どうして兵器だからと言って自信なくしてるのかなって…勿体ないよ」

「…勿体ない…ですか?」

「…ヤミだったら、兵器なことを含めてもそれを受け入れられると思うんだ。…僕だって別に君が兵器なのも気にしてないし。…だからさ、その…なんだ…」

 

 モップで床を掃除しながら口を開く。

 

「…ねぇ、前から考えてたんだけどさ。…学校行ってみない?」

「学校…私がですか?」

「うん。…授業も大変だけど…きっと、役に立つよ」

「…あなたは、私に行って欲しいと思ってるんですか?」

「…うん。学年は違うと思うけど、一緒に学園生活送りたいとは思う。…例え君が僕の事を信用してなくても、これは僕の嘘偽りない気持ちだよ」

「…学校…ですか」

 

 掃除もある程度進んでいたその時。隣の部屋の壁が大きな音を立てて崩れる。

 

「なっ!?伏せて!」

「な、何を!」

 

 ヤミと共に床に伏せ、崩れる床の瓦礫を凌ぐ。そこから出てきたのは、目からハイライトが消え、黒い剣を持った九条先輩だった。

 

「九条先輩…!?」

「血を…寄越せ…」

「なっ…!来る…!ヤミッ!」

「なんですかッ!」

 

 ヤミが応戦している。彼女を戦わせる訳には…!

 

「皆にこの事を知らせてきて!被害が他に出たら不味い!」

「あなたはどうするんですか!」

「僕?…なんとかして、先輩を止めるよ」

「…!5分持ちこたえてください…!」

 

 そう言って部屋から出て行った。…さて、どうする。…家を出る前、ザスティンからとある魔剣の話を聞いた。多分その魔剣と一致する。取り敢えず何か武器になるものは…!?辺りを見渡してなにか探す。九条先輩との距離は本当に近く、もう目と鼻の先だ。

 

「血を寄越せ」

「申し訳ないけど寄越す血なんか無くてね!」

 

 魔剣が振り下ろされる。それを躱した後、書斎が崩れるほどの斬撃が。

 

「クソッ!このままだと沙姫ちゃんの家が!」

「明久!無事か!?」

「明久さん!」

「なっ!?バカ!来るな!死ぬよ!」

 

 しまった!彼女達に向かって行く…!?

 

「間に合え!」

「血を…!」

 

 ナナとモモに剣が振り下ろされる。間に合わなかった。目の前で転んでしまう。だが、ナナとモモの悲鳴とかそういうのは聞こえない。…目を開けて見てみると、ナナとモモは無事だった。…だけど、姿がアウトだった。

 

 何故か知らないが、二人は裸なのだ。

 

「な、なぁっ!?」

「ば、バカぁっ!見るな明久!」

「み、見てない!見てないから!」

「明久さん!危ない!」

 

 モモの声でなんとか回避が間に合う。ナナに上着を渡して、逃げまくる。

 

「とにかく離れて!僕が注意を惹き付ける!」

「そ、そうだ!明久さん!これ!」

 

 そう言って投げられた木刀。それを手に取り、構える。

 

「サンキューモモ!」

「明久!無事か!?」

「雄二か!皆も!」

「なっ!?凛!?どういう事!?」

「説明は後!…ヤミ!皆を連れて離れて!」

「…あなたは…まさか…」

「…彼女の動きを封じる」

「せんぱいっ、お手伝いするよ」

 

 そこにやってきたのはヤミの妹の黒咲芽亜ちゃん。

 

「黒咲さん!?」

「やだなぁ、メアでいいよ。…あれって確か魔剣ブラディクスだよね」

「…気付いてましたか」

「魔剣ブラディクスって…!呪いの剣!?」

「ザスティンの言った通りか…!来るっ!」

 

 真横から薙ぎ払われる剣を木刀で受止める。剣道やっててよかったと常々思ったり。

 

「でもあれって寄生型知的金属だよね?2000年ぐらい前にどっかの銀河で作られた実験兵器だっけ」

「えぇ。血をエネルギー源として憑りついた人間を死ぬまで戦わせる魔剣。あれもまた銀河大戦の負の遺産」

 

 クソッ!なんだよそれ…!あっ!?弾かれた!?

 

「ぐぁっ!」

「明久!えっ!?」

 

 女子達の方へ一瞬で距離を詰める九条先輩の身体。確か身体能力は高かったんだっけか…!

 

 そして悲鳴と共に彼女達の服が跡形もなく消えていく。あぁ、皆大きいんだなぁ…じゃなくて!

 

「あ、アキ君!」

「あーん!服切られたぁー!」

「とにかく家の中に!クソッ!どうする…!」

 

 皆が家の中に避難していく中、僕は考える。そんな時、ヤミが何かを呟いていた。

 

「これだけ攻撃しても剣を弾き飛ばせない…だとしたら剣の支配から取り戻す方法は破壊するしかない…」

「それはやめたほうがいいよお姉ちゃん。あの剣が九条先輩を操ってるのは私のやり方に多分近いものだと思うの」

「メア…君は何を言って…」

「あぁ、先輩だけに教えるね?私、ヤミお姉ちゃんの妹って言ったけど…それはヤミお姉ちゃんと同じだからだよ」

「同じ…まさか、トランス…!?」

 

 そう言うと、彼女は頷いた。

 

「そう。話を戻すけど…サイコダイブの応用、ボディジャック。相手と融合し体の支配権を奪う力。剣を破壊すればシンクロしてる九条先輩の心も一緒に壊すことになる」

「ど、どうなるの…?」

「…壊れた心は戻らない。ずっと意識が戻らないままになる」

 そんな…こんな事で…ずっと眠りっぱなしになるのか…?ふざけるな…!そんな事!あっていいはずがない!

「メアッ!」

「わっ、びっくりした…どうしたの?」

「頼みがあるんだ。…僕と九条先輩の心を繋いで欲しい。僕があの剣から先輩を取り戻す!」

 

僕がそう言うと訝しむような目でこちらを見た。

 

「…本気?先輩の心も引き裂かれる可能性があるんだよ?」

「だからなんだ!それに怯えて何もしないなんてもっと嫌だ!それで彼女の心が壊れるなんて…そんな事あっていいはずがないんだ!」

「…先輩…ふふっ、やっぱり先輩って面白いし…素敵」

「…じゃあ」

「いいよ。…見せてよね。…先輩がどこまでやれるか」

「あぁ、頑張る。彼女の心を救う為に僕は戦うよ」

 

 今はヤミが足止めしてくれている。今なら不意を突けるか…!?

 

「うぉぉぉぉッ!」

「…!」

 

 ヤミも離れた。今だ!

 

「メア!」

「いっけぇぇぇぇッ!」

 

 激しい光の中、僕は胸に決意を抱いた。絶対に助けてみせる。

 

 ☆

 

 暗い。ここが先輩の心の中?

 

 少し進むと、先輩が触手のような何かで縛られている。

 

「先輩!」

「よ、吉井か…!?な、なんだこれは…!」

「今解きますから!」

『あぁ?なんだテメェは?俺様以外に生体の意識にアクセスできるのがいるってのか?』

 

 目がぎょろりと僕の方を見つめる。こいつが…魔剣の本性…!

 

『ムカつくぜぇ…せっかく抑え込んだ女の意識を戻しやがって…ただでさえ布きれしか斬れなくてイライラしてんのによぉ!…しょうがねぇからお前ごと支配してやるよ!後悔すんだな!お前のような人間ごときが俺様の所有物に手を出したことになぁ!』

「ふざけるな!先輩の心は…!誰のものでもない先輩のものだろ!僕は知ってる…!先輩には大切な人達が待ってる人がいることを!だから…!その心を支配して自分の物みたいに扱おうなんて絶対にさせないッ!させてたまるかぁーッ!!」

『ぐっ!?コイツ…!なんて力を…!』

「ふざけんなこのエロ魔剣がぁぁぁぁ!」

 

 触手を引きちぎって彼女を救出したら、そのまま剣から離れる。

 

『上出来だよ先輩。やっぱり凄いね』

 

 そう言って現れたのはメア。そのメアを剣が支配しようとした。

 

『無駄だよ。私を支配するなんて』

 

 僕は見てしまった。支配しようとした剣を逆に支配してしまうメアを。…彼女もまた、ヤミと同じ…

 

 光の果てに、僕は心の中から帰ってきた。九条先輩も気絶したまま動かない。

 

「大丈夫!?しっかりしてください!」

「安心して、魔剣ブラディクスの支配から抜けたんだし、時期に目が覚めるよ」

「…ありがとう、メア…助かった」

「ふふっ、じゃあ後でぺろぺろしてね?」

「えっ、なにそれは…」

 

 そんなふざけた茶番をしていると、服を着た皆がやってきた。

 

『クソッ!ならばコイツだけでもッ!』

 

 魔剣ブラディクスの存在を忘れていた。メアに突き刺そうとしたのを見た僕は彼女を突き飛ばした。

 

「きゃっ!な、何を!あっ!?」

『へっ!バカが!』

 

 剣が僕の右手に刺さる。痛い…!コイツ衣服しか切れないんじゃないのか…!?

 

「ぐっ!うぅ…!ヤミ…!僕ごとこいつを…!」

「…で、でも…!」

「早くッ!これ以上騒ぎを広げる訳にはいかない!」

「…無事でいて下さい…!」

 

 彼女の一撃が剣を粉砕した。だが、殴った時、その衝撃が剣をつたわって刺さった僕の腕に痛みが走る。耐えろ…彼女達はもっと痛い思いをしてるんだぞ…!

 

「…ふぅ…なんとか…終わった」

「あ、アキ君!だ、大丈夫!?」

「うん。平気だよ…うっ」

「お前…!」

「このくらい無茶しないと、人の心は救えないよ」

「…凛は大丈夫なの?」

「うん。先輩は寝てるだけだから意識はちゃんとあるよ」

「よかった…ヤミちゃんと…その…」

「黒咲芽亜!天条院先輩は怪我はなかった?」

「えぇ。ありがとう、メアちゃん」

「問題ないよ。…じゃ。私帰るね」

 

 そう言って帰っていくメアを見送る。僕はと言うと、ヤミに手を掴まれた。

 

「いだぁっ!?」

「…治療しなさい。…どうしてあんな無茶をしたんですか」

「確実に倒すため?」

「…ほんっとヒヤヒヤさせますねあなたという人は」

「…ごめんなさい」

「…謝って欲しい訳では無いです」

 

 顔を赤くしてムスッとしたヤミが見られただけ良しとしよう。そう思いながら僕は沙姫ちゃんのお父さんの書斎を治すため、手の治療を受けるのであった。




時系列などあやふやですがちゃあんと収束させまーす
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