バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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suffering

「明久!起きて!」

 

 ララの言葉で目が覚めた。なんだろう…

 

「…今日は休みじゃんか」

「だーめ!早く起きるの!」

「な、何するのさ…あと5分…」

「明久とはまたデート行くの!」

「うぅ、休みの日くらい良いじゃんかぁ…」

 

 やめてくれ。まだ眠いし、昨日の事が頭から抜けてないし…それに、休みの日なのにゆっくりしていたいのに…

 

「明久のお姉ちゃんが家に来るんだよ!」

 

 その一言で覚醒した。眠気は吹っ飛び、布団から飛び起きて僕は着替える。

 

「ララ!間違いないの?!」

「ミカンが電話してたの!」

「くっそ!あの姉が来たら…ララ!モモやナナ、セリーヌを連れて自分の部屋に隠れてて!頼むから!」

「い、いいけど…」

「クソ!よりによってこんな日に来るなんて!美柑!」

「お姉ちゃん来るよ!」

「何時!?」

「もうすぐ!」

「クソ!今は…10時!?くそぉ!」

 

 片付けされているか点検をしている最中に、インターホンが鳴る。

 

「はーい、今出ますね」

「だ、ダメだ!モモ!開けるなー!」

「えっ?あっ…」

 

 扉が開いた。そこには…

 

「おや、アキ君?女の子を連れ込むなんて…お仕置きですね?」

 

 僕の天敵である吉井玲…実の姉が立っていた。バスローブ姿で。

 

「なんて格好してんだ!その格好でここまで来たの!?」

「何を馬鹿な。途中からですよ。今日は暑かったので公園でバスローブに着替えてきました」

「ばかぁぁぁぁ!何してんのさぁぁぁぁ!!」

 

 この通り変態なのだ。そう。弟に「お嫁に行けなくなるようなチュウをします」とか言ってたり。それを断ったら今まで折檻という名の暴力を食らっていたが今はなんとかなるだろう。

 

「すみません、明久さんのお姉さんでしたか。お初にお目にかかります。私はモモ・ベリア・デビルークと申します。…家出している最中、明久さんには保護してもらっている身なのです」

「あら、ご丁寧にありがとうございます。私は吉井玲。美柑ちゃんとアキ君の姉です」

「あ!明久のお姉ちゃんだ!わお、おっきいね!」

「おや、モモちゃんの姉妹ですか?」

「はい!ララ・サタリン・デビルーク!明久のお嫁さんです!」

「だぁぁぁぁぁぁッ!」

 

 取り敢えず無理矢理姉さんをリビングに連れて行き、僕の今までの事を話した。

 

「…ほう、アキ君がですか…あの女の子が嫌だとか軽い女性恐怖症のアキ君がですねぇ…」

「明久はカッコイイんだよ!体を張って守ってくれたりとか!」

「相談に乗ってくれたり、優しいしな」

「明久さんの優しさで皆が救われてたりするんですよ」

「そうだよお姉ちゃん。アキの優しいところはお姉ちゃんにだってわかるでしょう?」

「まぁ、優しいところは認めます。…ですが女たらしは認めません」

「これは保護だから、女たらしではない…」

「まうー!」

 

 セリーヌが起きたのか姉さんにジャンプして姉さんの胸を掴んでいる。姉さんの顔が如何にもやばいふうな顔をしている。

 

「…アキ君、少しお話をしなければなりませんね」

「ち、違う!僕はまだパパになったつもりはない!ララ!」

 

 ララが説明する。これで少しはまともな解釈を…

 

「そうですか、アキ君はララちゃんに子供を作らせた上に自分が親になるクズだったんですね」

 

 …ダメだ。全く進歩なし。

 

「違う!この子は植物なの!それをララが女の子にしただけ!」

「そうですか、なら最初からそう言ってください」

「言ってるだろがぁぁぁぁぁ!!」

 

 もうやだこの姉。僕の休みを奪うし…!疲れる…!

 

「で?アキ君、最近どうですか?」

「…別に、いつも通りさ」

「…本当ですか?」

「…ッ!?」

 

 見抜かれている…!?で、でも…悩んでいるとかまではわからないだろう…黙っておこう。

 

「なんにもないよ。…で?なんで来たのさ」

「母さんにあなた達の様子を見てくるようにと。…そして、美柑ちゃんを連れ帰ってくるように言われたのです」

「えっ…」

 

 美柑の血の気が引いていく。

 

「…なんで?」

「どうもこうもないです。…美柑ちゃんはまだ4年生。それなのに親から離れて生活するのは私達もダメだったんです」

「…美柑は僕のせいで家事も料理もできるようになったんだ。…だから今度は美柑の面倒は僕が見る。…それに、姉さんは大事な事を忘れている」

「なんですか?」

「…美柑の気持ちだよ。…美柑がどうしたいのかを聞きなよ」

「…美柑ちゃん、どうしたいですか?」

「私…は…」

 

 美柑は4年生。…父親と母親から離れて生活しているのは周りの環境と比べてうちは特殊過ぎる。…美柑は寂しいだろうけど、さっきの反応を見る限り…

 

「…帰りたく、ないよ。…この生活も、気に入ってるから」

「…決まりだね。姉さん達が引いてくれよ。…僕は美柑の意思を尊重したいし」

「そうだよ!美柑は毎日頑張ってるもん!好きにしてあげて!」

「恐れ多いですが、美柑さんも一人で暮らせるくらいのスキルは持っていますし…」

「…でも、まだ小学生の子が親から離れて暮らすのは後々にも響くと言われています。中学生までは戻りましょう?」

「…どうしても、なの?」

「母さんが言ってました」

「…連絡してくる、一度は了承した癖に今度は手のひらを返すように帰ってこいなんてそんな態度に腹立つ」

 

 そう言って電話を取る。母さんの元へ連絡を入れる。

 

『もしもし?明久?』

「…母さん、美柑の事で話がある」

『あぁ、帰ってこいって言った事?』

「そうだよ、どうして帰ってこいなんて言ったのさ」

『うーん…顔が見たくなったし…美柑も寂しいかなと思って。…家にはアンタみたいな根暗しか居ないんだから』

「…」

 

 あぁ、ララとかもいるの知らないんだ。…この事はばらさないでおこう…

 

「とにかく!美柑は居たいって自分の口から言ったんだ!そんなに顔が見たかったら少しくらいは帰ってこいこのバカヤロー!」

 

 そう言って電話を切る。姉さんは溜息を吐きながら僕を見た。

 

「あなたと言う人は…」

「責任は僕が持つよ。…病気になったら病院へ行かせるし、三者面談も僕が行く。…あのバカ親は頭の中が仕事ばっかだからたまには帰ってこいってんだ」

「明久凄いね、パパとママに逆らってる」

「嫌だって言ってる事を強制させるのはおかしいんだよ。おかしい事はおかしいと言わないと後で後悔するし」

「アキ…」

「じゃ、姉さんは用済みだよね?」

「私暫くここに居ますから」

「…は?」

 

 待て。なんで?Why?ありかよ!反則だ!

 

「それとも私に居られたら何か不味い事でも?」

「い、いや?」

 

 そんな時にインターホンが鳴る。

 

「はい、どちら様」

 

 そう言って出ると、里紗や姫路さん、西連寺さんも。

 

「おーっす、遊びに来たよー」

「…ごめん、今日は無理なんだ…」

「えー?何か用事あるのー?」

「そ、それは…」

「アキ君、どちら様ですか?」

 

 姉さんを見た3人はわなわなと震え始める。

 

「うわぁ、ボンキュッボンのお姉さんだぁ…」

「あ、明久君…ど、どちら様なんですか…?」

「…僕の姉です」

「「「えぇー!?」」」

 

 姉さんが3人を部屋に入れて話し始める。

 

「それにしてもアキ君にねぇ…まだ居たりするんですか?」

「はい!ヤミちゃんとメアちゃんとルンちゃんとティアーユ先生と天条院先輩とぉ…」

「…アキ君はハーレムでも作るんですか?」

「…わかんない、気付いたらそうなってたんだよ」

 

 ほんと、僕にもわからない。昨日か一昨日くらいからそれで悩んでるんだし。

 

「数えただけでも10人以上…これははっきり言って普通じゃありません。誰よりも普通を望んでいたアキ君がそうなるのはなにか訳がある!」

「…だから違うってば…」

 

 もうやだ。こんな誤解を続けられるの辛い。

 

「でも明久、それだけ好意を持たれるくらい助けたり、親身になって物事を考えてくれるからね」

「そうだよ!明久は優しいんだよ!」

「確かに、優しさは誰にも負けませんね」

「うん、そう言うのは誰にも真似出来ないと思う」

「明久さんが結果的にハーレムになったのも明久さんがほんのひと握りかもしれない優しさをずっと握りしめて居たからですよ」

「…別に、そんなつもりは無いね…てかハーレムを認めたわけじゃないよ」

 

 そう言って立ち上がる。

 

「おや、お出掛けですか?」

「ただの買い物だよ。今日の夜ご飯は何にしようかな…」

「明久、手伝おうか?」

「じゃあお願いしようかな。ララ、お留守番お願い」

「あーい」

「じゃ、行ってくる」

「「行ってらっしゃい」」

 

 皆に見送られて里紗と買物に出かけ始める。

 

「今日何すんの?私も食べたい」

「はぁ、じゃあ多めに買っていくかぁ」

 

 そんな事を話してると、商店街に着く。商店街の入口のベンチでネメシスがぼーっとしていた。

 

「やぁ、元気?」

「む、下僕か…隣の女は?下僕が女を侍らすとはいい度胸ではないか」

「明久の彼女だよっ」

「違うよ、ただの荷物運びさ」

「それは普通そっちでしょ!?」

 

 あれ?そうだっけ?まぁ、いいや。

 

「で、ネメシスは?」

「暇なのでぼーっとしていた。…そうだ下僕、暇だから身体を貸せ」

「はぁ?何を言ってんの?」

「お前の身体に私が取り憑く。トランス能力の上位と言うのはそういうことも出来る」

「ほーん、つまりヤミちぃとメアちぃの親戚みたいなもんね」

 

 トランスと聞いた里紗は鋭い考察で指摘した。

 

「親戚は違うな…親…でもないし…マスターってどんな立ち位置?」

「命令してるだけだからな。わからぬ」

「ふーん、明久の身体使って何するのー?」

「うむ、こやつの事を知りたい。…はよ貸さんか」

「全く…良いよ、ほら」

 

 そう言うと、身体の中に確かに何か入った気がするような感覚。ネメシスが入ってきたのか?

 

(ほれ、どうだ?)

「あ、頭の中に声が…!」

(お前の脳に直接語りかけている。お前も頭に考えるだけで私と話が出来る)

(…こういうこと?)

(そうそう。よくできたな。ほうほう、他の人より身体能力は優れているな。私の無茶にも応えてくれそう度)

(はぁ…)

「明久?どうしたの?」

「なんでもない。ご飯の材料買いに行くよ。今日はパエリアにする」

「マジ?十八番じゃない!やったー!」

「お父さんとお母さんはいいの?」

 

 そう言うと里紗は珍しく顔を俯けて口を開く。

 

「…お父さんもお母さんも仕事ばっかりで居ないよ。…帰ってきたとしても疲れ切ってて私に構ってくれないし」

「…そっか、同じだね」

「えっ?」

「僕も父さんと母さん仕事ばっかでさ。…子供の事は放っておきっぱなしなんだ。だからさっきも少し不満をね」

「はは、私も言ってやりたいよ」

 

 スーパーに着いて材料を買っていく。ネメシスとも話しながら里紗と話す。これはなかなか至難の業だが、慣れていけばスムーズに行けそうだ。

 

 夕焼け空の中、家に戻ってくると、やけにワイワイしている。…え?

 

「凄いね、多人数いそう」

「…嫌な予感しかしないよ」

 

 家の中に入ると靴がいくつも並んでいる。リビングに行くと、見事な女子ばかり。

 

「あら、アキ君お帰りなさい」

「アキ君…私以外にもそう呼ぶ人居たんですね」

「…吉井明久、遅いですよ」

「せんぱい!ご飯食べさせてくれるって聞いて来ちゃった!」

「…アキ君は女の子に好かれる体質なのでしょうかね」

「やめろ、僕は何も悪くない…ご飯作るから座ってて」

「手伝う?」

「いや、いい。一人でやるさ」

 

 キッチンに籠って一人でいそいそと下準備やら終わらせていく。女子達が遊んでいるのを眺めながらパエリア用の鍋を取り出した。

 

「凄いですね明久さん、見渡す限りの美少女だらけ」

「全く、皆してどういう神経してんだか…あれ、菜箸何処だ…?」

「明久さん、まだ悩んでるんですか?ハーレム計画のこと」

「…僕は本当にそれでいいのか分からないし、僕は全員を幸せになんて出来るとは思えない。もう悩むのも嫌だし…誰かが傷つくのも嫌だ…どうしろって言うんだ…」

「ほう、面白い事を聞いた」

 

 そこに現れたネメシス。モモが顔を引き攣らせてネメシスを見た。

 

「ネメシス!?明久さんの身体から!?」

「下僕の身体を借りていてな。…こやつの身体は中々のものだぞ」

「何故!?」

「ネメシスも一人でつまらなさそうにしていたから。…一人って寂しいし、誰かと一緒にいれば悪さなんてしないよ」

「それは…」

「下僕も中々人が出来ているな。そこらの蛆虫のように湧いた人間よりかは至極まともな人間だ。そんな人間がその計画を聞き、それを決断させる…モモ姫よ、そんな下僕の気持ちを考えたことはあるか?」

「くぅっ…!」

 

 モモは歯を食いしばっている。

 

「喧嘩はダメだよ。いがみ合ってたら、仲良くなんて出来ないし」

「で、ですが!ネメシスは何かを企んでるんですよ!?」

「…させないよ。…その時は、僕の命と引き換えに止めてみせるよ」

「…これを本気で言ってるあたり、お前も相当狂っているな?下僕」

「…狂ってなきゃやってらんないさ」

「益々気に入った。私は貴様が敵対するのも面倒くさくなる故、まだ誰にも手を出さないでいてやろう」

「ありがとう、ネメシス」

「むっ、主の頭を撫でるとは…だが、これはこれで悪くない…もっと続けよ」

「ごめんね、ご飯作ってからね」

「むぅ、ではあちらに加わってくるとしよう」

 

 そう言ってネメシスはキッチンから出ていった。モモは俯いていた。…ネメシスに言われたのが気になってるのかな。

 

「…モモ、大丈夫?」

「…私は、皆が幸せになるのはこれしかないと思ったんです。…他に方法もないし。明久さんにアイデアがあるなら勿論それも尊重します。…でも、私は明久さんの気持ちを考えてませんでした。…ごめんなさい」

「…一つだけいいかな?なんで僕がハーレム計画に適してると思ったの?こんな、女の子の事を嫌い…とまではいかないけど一緒にいることすら辛いと思っていた僕を」

「…お姉様です」

「ララが?」

「いえ、言われてとかではなく…男の人と恋をしないお姉様があんな風に明久さんに恋をするなんて思ってもいなかったので」

「…僕に恋を…ねぇ…」

「…それに、実際に会ってみてわかったんです。誰よりも優しく、誰よりも強い明久さんが他の人より多くの女性を引き寄せていること。自分の事を考えずに常に誰かの幸せを願う明久さんこそハーレムの長に相応しいと」

「…買い被り過ぎだよ」

「いいえ、周りの人がそう思ってくれています。…明久さんがやってきたこと、誰かのために為そうとした事…全部無駄じゃないんです。してくれた人は心に残ってるんですよ」

「…」

 

 心に残っている…か。僕の正しいと思ったことは無駄じゃなかったんだな。それだけ分かれば十分か。

 

「…でも、無駄だよ。皆が皆その結果を望んでるわけじゃない」

「まぁ、そこは私めにお任せを」

 

 そう言って笑ったモモの顔は本当に美人だと思った。

 

 そしてご飯が出来る。食卓に持っていくと、大勢の女の子達が机を囲む。

 

「お手伝いする事は?」

「皆大事なお客さんだから一人でやるさ」

「下僕、不味かったらひっくり返すからな」

「大丈夫だよマスター、せんぱいのご飯美味しいよ?」

「そうか、ならいい」

 

 そこに電話が入る。僕は料理のお皿を姉さんに任せて電話に出た。

 

「はい、吉井です」

『おぉ、ちゃんと居るさね。外出中でなくてよかった』

「学園長?なんですか?」

 

 場の空気が静まり返る。

 

『お前さんに頼みたい事がある。明日の朝来な』

「そんな!明日は休みですよ!?」

『お礼は弾むさね。…それにお前さんは観察処分者だろう?』

「…内容だけ教えてください」

『一言では言い難い、見てもらった方がわかりやすいからね。…では、明日の9時。学園長室で待ってるさね』

 

 電話が切れた。ため息をついて机に向かう。

 

「ごめんね、食べようか」

「学園長からー?なんだったの?」

「仕事さ。…はぁ、めんどいなぁ」

「何さ、休みなのに?」

「そうだよ…」

「ふむ、下僕。私も連れて行け」

 

 ネメシスが名乗りを上げた。

 

「ネメシスを?」

「うむ。お前の力になってやらんでもないぞ?」

「マジで?頼むよ」

「じゃあ私達も着いて行くよ、何か出来ることあるでしょ」

「私も行く!お姉ちゃんは?」

「…行ってみたい気もします」

「じゃあ皆で行こうか。学園長も了承してくれると思う」

「お仕事ってなんです?」

「明久ね!観察処分者だからねー!」

「バカ!言うなララ!」

「あっ」

「…何の事ですか?話してくれますよね?」

 

 僕の置かれている状況を話した。すると呆れながらもその行いをよしとしてくれた。

 

「…あなたはあなたの成すべきと思った事を出来てるなら、私はそれでいいです」

「お姉ちゃん…」

「アキ君は強いですからね。…私は信じてます」

「そっか」

「じゃあお風呂行くー!」

「下僕、背中を流せ」

「他の子にしてもらって。僕は洗い物するから」

「…手伝います」

 

 ヤミが名乗りを上げる。僕は首を横に振った。

 

「いいや、ヤミもお風呂行っておいで」

「…私が手伝いたい…んです」

 

 少なからず驚いた。ヤミがそんな事を言うなんて。…いや、僕を手伝いたいなんて。

 

「…じゃ、じゃあお願いするよ」

「…すみません、名乗り出てあれなんですけど…やり方を教えてください」

「良いよ。ほら」

 

 ヤミにお皿の洗い方を教えながら、一つ一つお皿を洗っていく。

 

 

 

 ☆

 

 

「ヤミちゃんは積極的ですね?」

「いいや、金色の闇…ヤミがあんな風になるのは珍しいのだ」

 

 玲とネメシスが話していた。

 

「アキ君の事、ありがとうございます」

「ふふ、下僕の面倒を見るのは主の務め。奴は恵まれているからな」

「そう…ですか。で、さっき言っていた珍しい…とは?」

「本来、表に感情を出すことをしないんだ。…それに、奴は下僕を殺そうとしているからな」

「…へぇ、あの子を」

「あ、せんぱいの話?お姉ちゃんがまともな女の子として生きていけるならせんぱいはお姉ちゃんに命をあげるんだって」

「…しかも奴の意思は本物だ。…奴は本気で自分が死んででも、私達のような兵器を助けるなど…奴の魂胆が分からぬ。…奴に憑依して確かめようとしたが…奴は…特殊だ。…他の人間とは訳が違う」

「…あの子は、虐められていて…一人ぼっちだったんです。…だから、ヤミちゃんが一人ぼっちだったのを見抜いて、放っておけなかったんでしょう」

「…それだけでか?」

「…あの子は誰よりも一人になる事の悲しさと苦しさを知っています。だから、あの子も放っておけなかった。…それだけであの子は済ませるでしょうね」

 

 そう話していると、お風呂に入っていたララ達が戻ってくる。

 

「あー!ヤミちゃんと明久がイチャイチャしてるぅー!」

「なんだとぉー!捕らえろー!」

「今日は明久のベッドで添い寝だから!本人捕まえて縛るよ!」

「な、なにすん…!ぎゃあああああッ!」

 

 その様子を見ていた玲は笑って呟いた。

 

「…良かったですね、アキ君。…今まで苦労してきて」

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