バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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Integrity

 今日も朝起きて、ララの裸体を不本意ながら見てしまって僕の朝は始まる。そして全裸で下に来たララに美柑は溜息をついてタオルを渡した。

 

「アキ、服を買ってあげたら?」

「だね……ララ、今日予定空けといて。服買いに行くよ」

「ほんと!?やったー!」

「まぁ今日半日だしすぐ終わる。午前中にでも終わるさ」

 

 そう言いながらフライパンに油を引いて朝ご飯の準備に取り掛かる。

 

「あ、そうだ明久」

 

 すると突然、ララに声をかけられて目を離さず応える。

 

「何?」

「西連寺と姫路って人誰?」

 

 ふと、作業をしていた手が止まった。

 

「……なんで?」

「いや、昨日逃げてる時に言われてたからね……『西連寺と姫路というものがありながら』って」

「うん?西連寺さんと姫路さんはアキの小学校の時のお友達だよ」

 

 美柑が答えた。そう。色々あって昔は仲が良かった。だけど今はそんなでもない。会話もほんと少なくなってしまった。まぁ僕の環境が環境だし仕方ないね。

 

「ふーん?じゃ明久ってモテるんだー」

「ないない、告白されたのもララが初めてだし」

「ほんと?」

「こんな事で嘘ついてどうするのさ……ほら、ご飯出来たよ」

「わーい!いただきまーす」

「頂きます」

 

 美柑以外の誰かと朝ご飯を食べるのは久しぶりな気がする。姉さんも早い段階で留学してるし。

 

「あ、そうだ!明久!下着も買って!」

「……美柑、頼むよ」

 

 流石に下着は男の僕が行ったら即死だ。K.E.N.Z.E.Nな僕がそんなところに行ってみろ。黒に白に水色。色とりどりの下着が一瞬で汚い赤一色になってしまう。

 

「何言ってるの?下着も洋服のうちだよ?責任持ってアキが買ってよね」

「……マジで?」

「ほらほら!早く学校行くよー!」

「……はいはい。じゃ美柑、悪いけど戸締まり宜しく」

「はーい」

 

 こうして家を出た。だが問題が無いわけがなくて。

 

「……離れてくれないかな」

「ふふーん、嫌だよ」

 

 ララが腕に抱きつくせいで僕は絶賛注目の的だ。それだけじゃない。恨みを持ったFクラスの暴徒が僕を追いかけまくる。よってララを抱えて逃げるしかなかった。

 

「吉井!貴様そうやってまたァ!」

「殺せェッ!あのリア充を殺せェッ!!」

「彼女を通り越して婚約者は死あるのみだぁ!」

「ちがぁう!そうじゃないッ!何度言えば分かるんだ!」

 

 地獄の鬼ごっこを乗り越えて教室に辿り着く。ダメだ、前より大変な事になってる気がする。

 

「おっす、大変だなお前も」

「黙れ雄二、見てないで助けろ」

「すまん、俺はただ見てることだけしか出来ないんだ」

「……はぁ……」

 

 バカ共を振り切って僕は雄二達と話す。

 

「試召戦争は諦める」

「……へ?どうして?あんなにやりたがってたのに?」

 

 そう。雄二は元々試召戦争の為にFクラスに入ったのだ。それがいきなりこんなになるなんてこれこそ天変地異の前触れというものだろう。

 

「まだその時期じゃねぇんだ。俺は機を見計らってる。つまりはチャンスの時にしか殴らねぇって事だ」

「それは普通だと思うけど……雄二的にはどうなの?」

「今挑んだら確実に負ける。あと一つ、何でもいい。勝てる要素が欲しい」

「え?ララがいるじゃん」

「え?なになに?私ー?」

「あぁ。それで俺の考えていた勝てる要素の3つある内の2つは埋まった。あと一つ足りねぇんだ」

 

 案外考えてて真剣にならざるを得なかった。でもあと一つ……なんだろう?

 

「人員的?それとも環境的な何か?」

「前者だな。少なくとも人員的にはこれでいけるが……あとは何か確実な戦力が欲しい」

「試召戦争の話?」

「まぁな。そうだ、お前も力貸してくれるか?」

「いいよー、楽しそうだし」

「お、助かる。あと一つ……何か探しておく。まぁまだじゃない。あと一つはまだ現れないと思うし現れてからだな」

 

 雄二との話を終え、僕らは授業を受ける。受けている間、ララの方をチラ見。こうして見ると本当に美人だ。いつもの騒がしい印象はどこにもなく、あるのはただ静かに黒板を眺める美少女。

 

 ……でも、彼女は籠の中の鳥だった。だから自由を求めて羽ばたき続けた。……まぁ、そうだとしたら僕に出来るのはたった一つしかない。

 

 そう考えながら残りの授業も適当に流しつつ聞き続けた。

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 授業も終わって、ララとの買い物に行こうとしたところだった。

 

「吉井、雑用を頼みたい」

「へぇ!?用事があったのに……!」

「すぐ終わる。それに貴様は観察処分者。文句は言えまい?」

「くそぉ……ララ、少し待っててくれるかな」

「良いよ!」

 

 こうして職員室に向かった僕は、プリントを手渡された。

 

「これをAクラスとFクラスに持って行ってくれ」

「へいへい」

「ところで吉井、デビルークと仲が良いんだな」

「ん?嫉妬ですか?」

「馬鹿言え。……本当に親しい奴以外とは仲良くしようとしなかった貴様がいきなりと思ってな」

「……別に、関係ないでしょう」

「確かにな。だが貴様には何かやらかすのではないかと疑念がある」

 

 どうせそう言うと思ったよ。僕は所詮観察処分者ですからね!べーっ!心の中で舌を出した。だが次の言葉でそれもなくなった。

 

「……だが観察処分者とは言えお前も俺の生徒だ。……生徒を心配しない教師などいるまい?」

「……っ……失礼します」

「その仕事が終われば帰っていいからな」

 

 鉄人の言うことを耳に留めておき僕はAクラスへと向かった。

 

「……入りたくないなぁ……失礼します」

「ん、あれ?明久じゃん。どうしたの?」

「げぇ、里紗」

 

 このギャル臭が半端ない彼女は僕の知り合い。籾岡里紗。色々あって女子の中では普通に名前で呼び合うくらい仲が良い……と周りが言ってたような。

 

「あはは!観察処分者の仕事?」

「そうだよ……先生の机どこ?」

「あっ、私置いとくよ?」

「……何か企んでるな」

「何も企んでないって」

「嘘つけ、中3の最後プリント届けたから買い物付き合えって言われて大変だったの覚えてるんだぞ」

「あれは仕方ないじゃん?ほら、プリント貸す!」

 

 半ば無理矢理プリントを奪われ、里紗は教員用の机にプリントを置いた。

 

「……ありがとう」

「序に聞きたかったんだけど、ついこの前の転入生、明久のお嫁さんってほんと?」

「はぁ?違うよ……ララの事でしょ?」

「ふーん……?でも満更でもない?」

「……そう言うの僕が1番似合わないって君がよく知ってるはずでしょ……」

「まぁね。でも今の明久変わろうとしてるし、満更でもなさそうって私にはそう見えるよ」

 

 ……ダメだ、適う気がしない。実際何度も助けられてるし、僕なんかではきっと、いや、確実に適わない。

 

「……もう帰っていい?」

「あれ、春菜と瑞希とは話していかないの?」

「今いないみたいだけど」

 

 そう言って辺りを見渡す里紗。本当にさっきまでは居たらしく、あたふたとし始める。

 

「おりょ?ほんとだ……どこ行ったんだろう」

「じゃ、僕は帰るから〜」

「あっ、ちょっと!」

 

 こうして僕はFクラスに戻ってきて、プリントを置いてからララの元へ向かう。

 

「ごめん、待たせた」

「良いって!お仕事だったんでしょ?お疲れ様!」

「ありがと……さて、買い物行くか」

「おー!」

 

 生徒が居ない昇降口にララの声が木霊し、僕は溜息を吐きながら靴に手を伸ばした。

 

 

 

 ――――――

 

「でね?昨日のドラマが……」

「あ、それ見ました。楽しかったですよね」

 

 教室に戻ってきた紺色の髪とピンク色の髪をした2人の少女。名を西連寺春菜と姫路瑞希と言う。

 

 彼女達が購買でパンを買いに行ったのと明久がプリントを届けに来たのと入れ違いで帰ってきた。

 

「お、春菜に瑞希!一足遅かったねぇ」

「え?何かあったの?」

「明久がさっき来てたんだよ」

「吉井君が?なんで!?」

「里紗ちゃん、どういう事ですか!?」

 

 明久の話になるなり2人は明らかに動揺を隠せない。

 

「うん、観察処分者の仕事だって。購買行ってたの?出掛けるのなら言っといてくれれば明久を留めておくことは出来たのに」

「べ、別にいいよ」

「そう言えば里紗ちゃんは吉井君と仲良いんですね」

「まぁ、3年間中学同じだしねぇ」

「えぇ!?……思えばそうかも……」

「てかそっちこそ奇跡だよ、2人して3年間同じってさ」

 

 呆れて言う里紗に対して春菜が質問を投げかける。

 

「まぁそれは置いといて……じゃ吉井君が引き篭っちゃった時の事見てたの?」

「まぁね。……でも勘違いもいい所だよね、ただ明久は花壇の花に水やりしてただけなのにさ」

「……でも、問題は解決されたんですよね?」

「まぁ、明久が来なくなって3日後位にね。花が綺麗になってるのを見て勘違いだって気付いたらしいんだけどまぁ明久がスカート下ろしてやらかしちゃったからねぇ」

「……で、どうして里紗ちゃんは吉井君とそんなに?」

「プリント届けに行ってやったりとね。まぁ3年間の好で仲は良い方だったからねぇ。一応買い物で荷物運びの条件付きでさ」

 

 懐かしそうに言う里紗の顔は心做しか嬉しそうだった。

 

「小学校の時はそうでもなかったのにね」

「ん?そうなの?」

「優しくて頭も良くて人当たりも良かった完璧って言える感じだったよ」

「ふーん、あの明久がねぇ……そうだ、今度家行ってみようよ」

「ほ、本気!?」

「本気も本気、大マジよ」

「えぇ……興味はありますけど……」

「嫌なら来なくていいのよ?」

「「行きますッ!」」

 

 里紗は2人の覇気に圧倒されつつもスマホの電源を入れ明久宛にメールを打つのだった。

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