バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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「先生、今日はありがとうございます」

 

 あれから3日、ティアーユ先生と御門先生が了承してくれて僕らは家の前に集まっていた。

 

 集まったのは雄二、秀吉、康太、ララ、モモ、ナナ、ヤミ、メア、里紗、西連寺さん、姫路さん、古手川さん、霧島さん、優子さん、沙姫ちゃん、九条先輩、ルンさん。セリーヌや美柑も含めてかなりの数だ。ネメシスは僕の身体に憑依してまだ心臓や身体を修復してくれている。

 

 旅行に関しては一昨日から皆で念入りに計画を練り、何処にするかなどを決めた上で決定した。金銭面も問題は無い。

 

「良いのよ、ティアなんて明久君に頼られたって喜んでたもの」

「ミカド!そんなこと言わなくていいから!」

 

 …喜んでいた…か。それはそれで嬉しい。…そんなことって言われたのは悲しいけど。

 

「さて、メンツ分けだが」

「くじ作ってきたよ、これで御門先生かティアーユ先生の車か決めよう」

「よーし!」

 

 引いた結果…

 

 ティアーユ先生組=僕、秀吉、里紗、ヤミ、西連寺さん、ララ、ナナ、美柑&セリーヌ、沙姫ちゃん。

 

 御門先生組=雄二、康太、モモ、メア、ルンさん、霧島さん、優子さん、九条先輩、姫路さん、古手川さんに工藤さんとなった。

 

「さて、乗り込んでー」

「じゃあ何かあったら言ってね。…私達は小型マイクで通信してるから一応意思疎通は出来るけど」

「はーい」

 

 車に乗り込む。僕は助手席に乗る事になった。

 

「先生、お願いします」

「うん、任せて」

 

 先に発進することになった僕らは後ろで遊んでいるのを見て微笑ましくなる。

 

「秀吉、セリーヌと遊んでくれてありがと」

「造作もない。ほれ、高いのじゃ〜」

「まう〜!」

 

 あいつ、手慣れているな!?手慣れていないとあんなに赤ん坊をあやすなんて無理だ!

 

「明久ー!向こう着いたら何するー?」

「うーんとね、基本的には自由行動かな…でも皆で集まって遊んだりはするから」

「ねー明久ー?最近先生と仲良いみたいだけどさ〜」

 

 里紗の一言で皆の注目が僕へと向く。

 

「な、なんだよ急に…」

「そうじゃぞ、最近良く先生と二人で出掛けるのを見るぞい」

「ち、違うの!明久君は…そう!主婦歴が私より先輩だから!」

「…明久、ティアにも手を出すの?」

「…な、なんのことですか…?」

 

 急に丁寧口調になってしまう。

 

「明久は私達じゃ足らないんだ〜」

「ケダモノ!どうしてお前はー!」

「ち、違う!僕は決して!」

「アキ君、そこまで女の子に飢えてたの?こんなに侍らせておいて?」

 

 あぁ、どんどん誤解が…いや、侍らせてるのは誤解ではないけれど…

 

「次は狙われるのはミカンかもね!」

「えっ!」

「な、何を言ってるんだ!」

 

 なんて事を言うんだララは!?実の妹に手を出せというのか?!

 

「明久君、後でお話があるの」

「待って先生!僕は無実だ!」

「健全なお付き合いを考えて…」

 

 なんか運転しながら説教が始まる。何故だ…!僕は悪くないぞ…!

 

「そういう先生は好きな人とか居ないのー?」

 

 なんで里紗は恋愛に積極的なんだろうか。最近結構、他人の恋愛事情に興味を向け始めている。…全く、そんなに知って得するのだろうか。

 

「わ、私は…その…」

 

 そう言ってこちらをチラチラと見る先生。いやほんと、手が震えてるのが怖い。

 

「先生、脇見運転は危ないです」

「そ、そうよね!籾岡さん!そういう話題は禁止で!」

「ちぇー」

「全く、リサもヘンタイだぞ」

「ほう、ナナちぃも言うねぇ?」

「ひゃん!やめ、やめろぉ!」

 

 ナナってあんな声出るんだなぁ…てかほんと里紗は胸を触るのが好きだなぁ…男でも憑依してんの?

 

「これはモモちぃよりも有望かぁ?少し小ぶりだけど触りがいあるよ〜」

「ち、小さいって言うなぁ!!」

「こら、やめなさい」

 

 カバーに入るけど里紗おじさんにはもう次のターゲットが絞られていたらしく。

 

「ん〜、ヤミちぃも良いねぇ」

「「なぁっ!?」」

 

 僕とティアーユ先生が驚く。ヤミが揉まれているだと!?

 

「…や、やめてください」

「むぅ、明久以外には触られたくないと」

「違う、そう言ってんじゃないよいいから辞めろ」

「なーんか必死だねぇ明久」

「秀吉もなんか言ってやれよ」

「ほーれセリーヌ、今度はこうじゃ〜」

「キャッキャッ」

 

 …完全に優しい父親と化していた。

 

「秀吉さん上手〜」

「はは、小さい子供は好きなのでな。結構あやすの勉強したり何をしたら喜ぶとか研究してるのじゃ」

「おっ、木下はパパになってるねぇ、優子に送ろっと」

「辞めてくれ籾岡、ワシの安息を奪うでない」

「そう言えばアキ君、部屋割りはどうするの?」

 

 沙姫ちゃんに言われて気づいた。まだ決めてなかった…!

 

 

 

 

 

 ―――

 

 

 

 御門先生達の車内

 

「すまんな。西連寺に姫路、明久いなくて」

「い、いえ!楽しいですよ!」

「…なんだ、明久が居ないから暇だと思っていたぞ」

「まぁお二人では仕方ないかもしれませんね」

「「モモちゃん!!」」

 

 顔を真っ赤にしてハモリながら叫ぶ。

 

「はは、あいつもモテるなぁ」

「…破廉恥過ぎるわ、女子をあんなに侍らせて」

「ハレンチ先輩はそういうのに興味ないのー?」

 

 メアが古手川に聞いた。

 

「ハレンチ先輩って私の事…?」

「うん!ハレンチばっか言ってるから」

「違うわ!私は破廉恥じゃない!破廉恥なのは男共よ!」

「まぁ待て古手川。俺らはアイツほどじゃないだろ」

「撤回を要求する」

「ふんっ、どうだかっ」

「まぁまぁそう言わず…おっ、秀吉の写真が送られてきたぞ…おぉ、完全にパパだなアイツ」

 

 雄二がスマホを出して写真を開くと秀吉がセリーヌを抱えている姿が。

 

「見せて坂本君…へぇ、あのバカ子供が好きだと言うけど懐かれてるわね」

「セリーヌちゃんは人懐っこいですけど今回は特に懐いてますね」

「…木下君が父親……簡単には想像できないけれど…」

「でも裏を返せばそれだけ子供好きなんだよ!」

 

 ルンが必死に擁護するがそれも虚しく散ってしまう。

 

「まぁ、のんびり行こうぜ」

「あっちは相当慌ただしいようですけど…」

 

 いきなり蛇行走行を始めた前のティアーユ達の車を見てため息をつく。

 

「あぁ、きっとあれはティアが好きな人の事を聞かれて動揺してるのよ」

「先生の好きな人?」

「明久君に決まってるじゃない」

「ほ、本当ですか!?」

「な、なんで!?」

 

 雄二と康太はたいして驚いていないが、他の女子が驚いている。

 

「あら、何も不思議な事は無いわよ。自分の家を探すのにも彼に手伝って貰ったしご飯たまに作ってもらってるし歳下だけど構わないよねって言ってるくらいだからあれは本気よ」

「…アイツやべーだろ」

「…あいつのハーレムが何処までいくのか見てみたい気もする」

「アキ君はほんと女の子を引き寄せる魔力でもあるのかな?」

「お前はそれに惹かれたんだろ」

「そだよ」

「…気楽な奴だ」

「ふふっ、着いたら起こすから適当に寛いでてね」

 

 

 こちらは比較的平和だった。

 

 

 ―――

 

 お腹が痛い思いをして幾星霜…は言い過ぎだが、なんとか目的地に着いた。雄二達とも合流を果たす。

 

「さーて、着いたわけですけども」

「お前、どういう状況だ」

「…さ、さぁ?」

 

 ヤミとナナに抱き着かれたまま離れてくれない。

 

「明久ぁ、私もぉ」

「黙れ!元はと言えば君が変な事するから…!」

「秀吉はまだパパやってんのか」

「ふんっ、もうセリーヌだけがワシの味方なのじゃ」

「まうー!」

「おぉ、よしよし…お主はワシの味方じゃぁ〜」

 

 秀吉がセリーヌを離そうとしない。そうか、秀吉の守備範囲は自分と同い年から0歳までか。…広いなぁ。

 

「さて、部屋割り決めようか」

「…雄二、こっち」

「お、お前ら!助けろ!」

 

 助けろ?なんで?あんなにラブラブなのに??

 

「やだなぁ雄二、霧島さんとラブラブじゃないか」

「…邪魔する訳にはいかない」

「霧島も、雄二と楽しく過ごすのじゃ」

「…三人は優しい」

「お前ら覚えとけよォォォォ!!」

 

 バカは放っておいて…部屋割りを決めようとしたところで先生達が。

 

「あー、明久君は貰っていくわね」

 

 …へ?

 

「なぁ!?」

「ダメです!いくら先生でもそれは!」

「良いじゃない、いつも貴方達は明久君の家でイチャイチャしてるでしょうに」

「くぅ…!」

 

 女子達が押し黙ってしまう。…部屋分けと言っても案外早く決着が着きそうだ。…てかなんで僕は先生側?監視?それともハーレムだからってハメを外すと思われてる?

 

「それに、明久君があなた達といたら風紀が乱れるし、かと言って男子だけってのもねぇ?学校の修学旅行じゃあるまいし」

「そんなぁ…」

「ま、まぁただ寝るだけだし…てかヤミ、お願いだから抱きつくのやめてくれないかな」

 

 さっきからヤミが子が親に縋るかのように抱き着いたまま離れない。

 

「…嫌です、離れたくありません」

「イヴ、お願いだから…ね?」

「ティアの願いでも引けません」

 

 完全に駄々を捏ねてる。むすーっと頬を膨らませながら僕のシャツの裾を離そうとしない。

 

「じゃあこうしよう、後でお願いを1つ聞いてあげるから」

 

 僕がそう言うと目を光らせてこちらを見る。

 

「…なんでもいいですか」

「…僕に出来る範囲で」

「…分かりました」

 

 そう言って離れてくれた。だがここから問題が。

 

「明久がヤミちゃんにだけ贔屓してるー!」

「な、そ、そんな事…!」

「ずるいずるいー!」

 

 なんとララや里紗どころか西連寺さん達まで駄々を捏ね始めた。なんなんだ全く…!

 

「明久君、覚悟を決めなさい?」

 

 先生にも言われてやるしかなくなり、首を縦に振って皆の機嫌を直してもらい、なんとかホテルへ。

 

「予約してた御門です」

「はい、かなり多いですね?」

「えぇ、まぁ。部屋は?」

「失礼しました、直ぐにご案内致します」

 

 部屋割りは以下の通り。

 

 僕、御門先生、ティアーユ先生。

 

 ララ、西連寺さん、姫路さんに里紗、ルンさん。

 

 ナナ、モモ、ヤミ、ネメシス、メア。

 

 雄二、霧島さん。

 

 秀吉、優子さんに古手川さん。

 

 ムッツリーニに工藤さん。

 

 沙姫ちゃんに九条先輩。

 

 なんと7部屋借りる事になった。お金は問題ないのだが、大世帯ってのも結構なもんだ。ちなみにセリーヌは僕の所にいるが、多分秀吉が持って行ってしまうだろう。

 

「各自部屋に荷物を置いたら自由時間だから」

「OK」

 

 皆で部屋の中へ。先生に挟まれて寝るなんて僕は今日眠れないだろう。

 

「ごめんね明久君。ティアがどうしてもって言うから」

「そうなんですか。僕で良い事は何一つないかもですけど」

「いいえ、ティアはあなたと居ると楽しそうだから」

「ミカド!」

 

 顔を真っ赤にして口を抑えるティアーユ先生。そっか。

 

「僕もティアーユ先生といると楽しいですよ」

「ふぇっ!?そ、そう…?」

「さぁ風呂行きましょうか。明久君、背中流してもらえる?」

「エッッッッッ!!」

 

 背中を流せ?僕が?な、何を言ってるんだ…?

 

「もう、やめなさいよミカド!明久君だって嫌がってるでしょ!?」

 

 はっ、数秒考えてしまった。そして。

 

「冗談よ。あ、でも明久君が流してくれるのなら私達は全然OKよ?だってここ混浴あるし」

「…what?」

 

 混浴?なんだそれ?僕には先生達が何を言ってるかわからない。

 

「ほら、ミカドが変な事を言うから明久君クラッシュしちゃった…大丈夫?」

「イ、イエー、ナンノモンダイモナイデース」

「こりゃダメね」

 

 正気に戻ったのはいいが、今先生達と入ると僕は過ちを犯してしまいそうだ。なんとか断わって男風呂へ。

 

「よぉ、良く耐えたな」

「…もう僕疲れた…」

「気苦労が多いやつじゃな」

「…女に囲まれるのも考えもの」

「はぁ…」

 

 なんとか風呂にありつけた。まだ人は居ない。と言ってもほぼ貸切のような状態だから居ても少数だろう。まぁそんな事僕が気にしても仕方ないわけで。

 

「ふぅ、落ち着くよ」

「だよな」

「…所でお前達、知ってるか」

「あ?」

「…隣、女風呂だぞ」

 

 その一言で、僕らは戦慄し始める。そして。

 

『わー!大きいねー!』

 

 隣からザワザワと声が聞こえてきた。あの壁の隙間を越えたら女風呂?バカな。人でも余裕で通れるぞ?あの隙間じゃまるで『見に来てくれ』と言ってるようなものだ。

 

「…雄二」

「耐えろ、今の俺らは紳士だ」

「…耳栓無いのかな」

「…心を無にしよう、そうすれば…」

『やっほー!聞こえてるー?』

 

 やめろ!声を掛けるな!4人で視線を交わし、『喋るな』とアイコンタクト。4人でいつも行動してるから出来る芸当だ。無論、無言を突き通す。

 

『あれー、明久達出ちゃったのかな』

『そんな事ないと思うよ、さっきまで話声聞こえてた』

『…私、隣行ってきます』

『ダメだよヤミちゃん!ほら!ティアーユ先生も!』

『そ、そうよ!イヴ、ダメよ?』

 

 な、何故だ…!何故ヤミがこうなった…!?

 

 雄二が視線を送ってくる。『お前はあの子に何をした』…と。

 

(何もしてない!助けてくれ!)

(この状況では、どうにもならんだろ)

(くそぉ…!)

 

 だが次のヤミの一言で、空気が一変する。

 

『…いつもなら嫌がらないのに』

『いつも?…え?それってまさか…』

『…いつも、一緒に入って背中を流してるんです』

『えぇー!?』

 

 その会話を聞いてる僕はスススッと逃げようとするが、水面下で足と手を掴まれ逃げることが出来なくなる。

 

(…話を聞こうか、エロ野郎)

(待て!女の子の時の話をしている!僕は悪くない)

(…今まで俺らに同調しておきながら本当は俺らを見下していたのかこのエロ野郎)

(ゲスの極みじゃな)

(ち、違う!弁明を…!)

『明久説教しながらも私達入るの許してくれるもんね!』

『羨ま…羨ましいよ!』

『そうだよ!抗議するよ!』

 

 つ、ツッコミたい…!心の声ダダ漏れなのと…!何故西連寺さんがそう言うのか…!ルンさんは何に対して誰に抗議するのか…!

 

『むぅ、仕方ありません。今度アキ君は私のお屋敷に呼んで入浴することにしましょう』

『サキずるーい!』

『心配しないで、あなた達も呼ぶから』

『やったぁー!』

 

 やめろ…!話を飛躍させるな…!そして見つけた露天風呂。そこに向かおうと雄二達に目配せして、音を立てないように外へ向かう。

 

「…お前…」

「何も言うな、僕は悪くない」

「…お前のハーレムを見て今日から俺はハーレムが嫌になった」

「…珈琲牛乳、奢ってやるぞい」

「うぅ…」

 

 それからは男4人で景色を眺めながらララ達が居なくなるまで露天風呂でのんびりと寛いでいた。


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