バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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結構すっ飛ばします。


Perseverance

あれからララとの買い物を済ませた後で僕は家に帰ろうとしていた。そんな時だった。

 

「…」

 

不思議な格好の、金髪の少女を見つけた。

 

皆が見ているのに、誰も声を掛けない。…皆見て見ぬ振りだ。

 

僕はそれが気に食わなかったのか、はたまた僕の中の何かが彼女に会話をしようと突き動かした。

 

「…どうしたの?迷子?」

「明久どうしたのー?」

「明久…つまり、貴方は吉井明久ですね」

「ん?そうだけど…名乗ったっけ?」

「…すみません」

「…えっ」

 

瞬間、彼女の髪の毛が変化した。鋭利な刃物のような形となり、僕の前で空を薙ぐ。あと一瞬、判断が遅れれば…

 

「…吉井明久。貴方を抹殺します」

「なっ────!」

 

その一言を聞いた瞬間、ララの手を引いて僕は走り出した。買い物袋もあるのに…!クソ!なんで僕がこんな目に合わなければいけない!?そう考えても理由は思いつかない。仕方なく逃げることに。

 

「どうしたの!?何で走ってるの!?」

「知るか!僕はただ殺されるわけにはいかないんだ!」

 

そして走った先。行き止まりだった。完全にしくじった。…と言うか、恐怖に駆られている時は方向感覚を失い、まともな思考が出来ないというのは正しかったな…!

 

「…鬼ごっこは終わりです」

「じゃあ、僕が死ぬ前に一つだけ聞かせて欲しい」

「…なんでしょうか」

「…どうして僕の命を?…それが分かるまでは死ねない」

 

まぁ、わかったところで死ぬつもりはサラサラないけど。

 

「…依頼されたんです」

「…は?依頼?」

 

待てよ?じゃあ彼女は自分の意志じゃない…?

 

「…じゃ、死ぬのはゴメンだな」

「えっ…」

「…自分で決めた事でもないのにそういう事を引き受ける子なんかに僕は負けない」

「…そうですか」

 

再度髪の毛が変化するのが見えた。僕はララに小さく呟く。

 

「…ゴメン、これ頼むよ」

「えっ?えぇっ!?」

 

僕は目の前の少女に真っ直ぐ突っ込んだ。

 

「な、何を…!」

「そんなくだらない事で!死んでたまるかーッ!」

 

漫画のように壁を蹴り、なんとか表の通りに出ることが出来た。

 

「ごめんララ!家にそれ持って帰って!それまでは耐える!」

「逃がさない!」

 

まだ追ってくる少女。きっと彼女は普通の人間じゃない。ララと同じだろう。取り敢えず走る。何も考えずに。そうだ。いつもFクラスの連中に追いかけ回されて鍛えた足とスタミナをここで使ってやる!

 

だが相手がずるかった。浮いてる!なんで!?そんな涼しい顔で追ってこられても困惑するだけだから!と、とにかく話さないと何も変わらない!

 

「いい加減にしろ!なんで自分で決めた事でもないのに!」

「それが私の存在する理由ですから」

「誰かを殺す存在理由があっていいわけが無い!幾ら容姿が良いからって何でもしていいって思ったら大間違いだぞ!」

「何を言ってるのかわかりません…」

 

分からないか。なら仕方ない。…じゃなくて!!

 

「とにかく!その依頼したって奴に会わせろ!そうじゃないと何も始まらない!」

「依頼者との契約は絶対、守秘義務があります」

「妙に変な所で律儀だな君は!?」

 

正体不明の宇宙人と鬼ごっこを始めて1時間ちょっと。遂に神社までやってきた僕は追い詰められてしまった。

 

「…くそッ、空を飛ぶなんて卑怯だぞ」

「…仕事ですから。これで終わりです」

「万事休す…ここまでか…いや!違う!」

「?あなたには何もできません」

「…僕は。殺されたくない」

「…そうですか」

 

ここまで来たら命乞いだ。相手の目を…目の奥の奥まで覗いて言えばいい。

 

「…武器を下ろしてほしい」

「…お断り、します」

「…こんな事は間違ってる」

「…それ、で、も…」

 

効果はあるか?動きが鈍くなった気がする。少し手も震えている気がする。

 

「…とにかく。私は依頼を完遂させるのが仕事です。抹殺します。お覚悟を」

「…そうか。…あぁ、世界って残酷だなぁ。どうして僕ばかりこんな目に遭わなければならないんだろう?」

「…」

 

彼女は何も言わない。

 

「あぁ、神様。憐れな私をお救い下さい」

「…神なんて、居ません」

「…そうかな?」

「えっ?」

「ほら、女神様が来たよ」

「とるとるハンドくーん!」

「っ!」

 

いきなり何かを掴むみたいな(?)ものが伸びて彼女の元へ追尾して掴もうとしている。

 

その間に登場したララ。いや、本当に狙ったみたいにベストタイミングだったよ!

 

「…ララ、ありがとう…皮一枚ってとこだった」

「ふふふ!そうでしょそうでしょ!でも明久を狙う理由は何?依頼されてたって言ってたけど」

「…お教え出来ません。プリンセスララ、邪魔をするなら排除します」

「私を排除?面白い事言うね!」

『コラー!お前の相手はララたんじゃ無いはずだ!金色の闇!』

「な、なんだ!?ぅぁっ!」

 

突然突風が境内を襲う。現れたのはUFOだ。光に照らされ何かが降りてくる。

 

「じゃーん!ラコスポ参上ー!」

「ラコスポ!?」

 

ララの知り合いなのかな?…待てよ?金色の闇…つまりあの子を知っていた…てことは…

 

「お前が彼女に僕の暗殺を命じてたのか!?」

「黙れ地球人!僕ちんのララたんを唆してぇッ!」

「……は?」

「え?唆す?何のことラコスポ」

「えっ、それはあの…」

「…ターゲットの情報は、正確に申し上げるよう約束した筈ですが」

 

金色の闇と呼ばれた女の子の冷たい眼差し。…そんなのはどうでもいい。

 

「…おい」

「ヒィッ!?な、なんだ地球人!」

「まさかお前はララが僕に取られたと勘違いしてわざわざこんな子に暗殺を命じて高みの見物か…?」

「…そ、そんなところだな!はは、はははははは!」

 

そんなくだらない事で?彼女を利用したのか?そんなくだらない事で…僕は…殺されかけたのか…?

 

「…お前のそんな下らない行動のせいであんな事をしなくちゃいけなくなる子も居ると考えろ」

「はっ!どうせ殺し屋!殺すのが仕事だ!それをただのそんな小さな感情で押し止められると…へっ?」

 

はぁ。やりたくはなかったけど…やるしかない。

 

「もういいよ、喋らなくて」

「ひっ…た、助けて金色の闇…!」

「…申し訳ありませんが貴方は虚偽の情報を教えた為契約は破棄です」

「そ、そんな!」

「歯を食いしばれこのチンチクリンがぁぁぁぁ!」

 

そして僕の輝く右ストレートがラコスポの顔面にクリーンヒット。ラコスポは木まで吹っ飛んで叩き付けられ、根元にた倒れ込むとそのまま気絶してしまった。

 

「ねえ、聞こえてるんだろう?このどうしようもない奴を早く連れ帰ってくれ。僕はもうこれ以上何もしない。…その意味、わかるでしょ」

 

その脅しが効いたのか、中から2人の男の人が出てきてラコスポを引き摺ってUFOの中へ。その後はワープでもしたのか帰ってしまった。

 

さて、残りの問題を片付けないと。

 

「…君はどうするの?もう終わったみたいだけど」

「…私は自分のポリシーには従います。…契約者は居ませんが、まだ吉井明久…貴方を殺す事自体は終わってません」

「…そうか」

「待ってよヤミちゃん!明久を殺すのはもういいでしょ!?」

 

うっわ、金色の闇だからヤミちゃん?いいじゃないか。僕もこれからヤミと呼ぶようにしよう。うん。

 

「…でも気が変わりました。私はもう少しこの地球に滞在します。…用が済んだら、その時に貴方を殺すことにします」

「…わかった。でもその前に1つ」

 

僕は彼女に歩み寄ってジャージのポケットの中から後で食べようと思っていたたい焼きを手に取って彼女に渡した。

 

「…これは?」

「たい焼きさ。美味しいから食ってみなよ。あの時、僕を殺そうとしたのを躊躇ってくれたお礼さ。…さぁて、お腹も減った!ララ、帰ってご飯にするよー」

「わーい!今日のご飯は!?」

「さっき買ったものから作るよ!」

「やったー!じゃあさっさと帰って早く作ろう?ザスティンもお腹空いたって駄々こね始めるから!」

「はぁ、あの人も結局居候してるからなぁ…」

 

そんな会話をして後ろをチラリと向くと、もうヤミは居なくなっていた。でもきっとまた会えるだろう。その時にたい焼きの感想を聞くとしよう。そんな思いを抱き僕はララと薄暗い道を共に歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

「地球人…よく、分かりません」

 

金色の闇ことヤミはあれから神社の屋根の上でずっと空を眺めていた。そして思い出した。先程殺そうとした吉井明久との会話。

 

『君は間違ってる』

「…殺されるかもしれないのに自分ではなく相手の心配をする…どうしてそんな事が出来るのでしょうか」

 

その問に答える者は居ない。静かな闇を誤魔化すかのように先程貰ったたい焼きに目を落とす。包み紙を開けて1口食べてみた。

 

「…美味しい」

 

そしてこの瞬間、ヤミの好物はたい焼きに認定され、同時に弱点認定されることになるのであった────




なんかもう色々飛ばしましたけどご安心下さい!

先にヤミちゃんとの出会いを終わらせてから他の人物との絡みを書いていくという方針です。
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