翌日
「おはよう、沙姫ちゃん。今日はこの家で寛いでてね」
「ありがと、アキ君。はい。お弁当と朝ご飯作ったからこれ食べて勝ってね」
「おぉ、こんなに……ありがとう、沙姫ちゃん」
「……そ、その……頭、撫でて欲しいの」
「良いよ。ありがとね」
そんな光景を後ろの皆に見られる。皆起きるタイミング同じなのか?もしくは狙ったとか?僕が何か不祥事やらかすのを見張ってるのか?
「……沙姫ちゃん先輩とイチャラブしてる……」
「ふふっ、イチャイチャして悪いかしら?」
……なんで張り合うかのように火に油を注ぐんですかね?
「こらぁー!抜け駆けですよ!て言うか協定結びましたよね!?」
「それは明久君のハーレムが正式に決まってからでしょう?まだ明久君の口からハーレムを認めると聞いてないから」
「ぐぬぬ……!全員明久に突っ込めー!」
沙姫ちゃんが焚き付けるから女子全員に抱きつかれる。……朝から女の子の身体が襲いかかってくるなんて。あまりされたくないのだが……なんとか女子達を振り払って何とか朝食に。
「て言うか沙姫ちゃんご飯作ってくれたんだから……」
「わぁぁぁ!美味しそうですね!」
「いただきまーす!」
「ふふっ、召し上がれ」
和風も洋風もどちらもある。和洋折衷ってやつだな。にしてもバランスが良い上に美味しそうだ。朝からこんな豪勢な食事が出来るなんて。味付けもなんと僕好みである。これは胃袋掴まれる……!
「料理スキルいつの間についたんだね」
「アキ君に教えてもらってから御屋敷で皆と一緒に料理をしてるからね。御屋敷で色々お手伝いとかしてるから主婦スキルとか上がったのよ」
「うーんこの全能キャラ」
「沙姫ちゃん先輩に全て持ってかれるよ?やばくない?」
「でも凄いですよね……」
「私は何も凄くないわ。アキ君にしてあげるまでにいっぱい失敗したもの」
「明久モテモテー!」
「喧しい……さてと、そろそろ行くか。ヤミ達もどう?」
(問題ありません。寧ろ完全に馴染んでいます)
(うんうん!流石せんぱいの身体!素敵っ)
(さて、まず我々が下僕の身体を使うに当たっての注意事項を話す)
皆にも聞こえるようにネメシスが出てきて話をしてくれる。
まず、身体の乗っ取りは楽に出来るようで、僕は乗っ取られている間は寝ているかのような感覚に陥り、本当に身体が起きてて意識は寝ているというレム睡眠のような感じになることができる。後遺症とかの問題は無いらしく、終われば何事も無かったかのような、まるで朝起きた時のように覚醒するらしい。また、いつものネメシスのように意識は起きていて、身体が別に乗っ取られているあの感覚にもできるらしい。あれでちょこちょこ様子を見るのがいいかな?
「ただし性格やら戦い方はそれぞれ三人に準拠するから文句言うな」
「ネメちゃんにメアちゃんにヤミちゃん……うーん……」
「サディスト、わんぱく……寡黙、ですか?」
「その認識で問題ない。ただし、メアも同じくサドのような気はするが……」
「失礼な!私はせんぱいの前ならマゾだけど!?」
それを誇っていいのか?てか他ならサドじゃないか。
「にしてもサディストな明久かぁ……うーん新しい可能性が芽生えそう……?」
「黙らっしゃい……さて、僕は行くよ」
「え?もう行くの?」
「ご飯も食べたし……時間やばくない?」
「「「「「あーっ!!」」」」」
皆が急いでご飯を食べ始める。そんな中、沙姫ちゃんはおっとりとした表情でソファーに座り始める。
「サボりなんて久しぶり」
「うわぁ、した事あるんだ」
「一回だけよ?……でも、戦わなくて良かったって思う」
「ナナ、モモ。彼女を頼むよ」
「任せろっての」
「お任せ下さい!」
「行ってらっしゃい」
皆に任せて学校へ赴く。2年生はAクラスに集合だったか。よし、面白いから既にネメシスに代わってもらうか。身体を明け渡して……よし。様子を見よう。
中へ入るともう既に沢山の生徒が居た。これが二年生全員なのか?そこに雄二がやって来る。
「遅せぇよ明久」
「ほう?貴様は私に対してそういう口が聞ける御身分なのか……そうかそうか……」
いきなり何言ってんだこの子は。そう考えていると雄二は呆れ始める。
「……お前ネメシスだろ」
「む?なんでバレた?」
「バレバレだろ!明久はそんなに高圧的かつサドでもねぇよ!あいつはマゾだろ!」
……失礼な。僕はノーマルだ。それくらいネメシスもわかって……
「下僕は両刀だ、覚えておけ」
……なんて事を言うんだこの子は。僕がサドもマゾもいけると申すか。ふざけた事を言いやがって。
「世界一要らない情報だな……まぁいい。作戦を説明する」
作戦は取り敢えず編隊を四つ組んで一番強いデルタチームは切り札用。残りは強さ順にと言う作戦。弱い方からアルファ、ベータ、ガンマ……と言った感じ。それでまずは相手の出方を見るとのこと。
「長く苦しい戦いになるが、勝つぞ」
……え?作戦それだけ?……まぁいいや。僕は知った事じゃない。
「そう言えばネメシス」
「明久と呼ばんか馬鹿者」
「……明久、召喚獣の扱いは大丈夫なのか?」
「うむ。相手の召喚獣を調教すればいいのだろう?」
召喚獣を調教ってなんだよ。パワーワード過ぎて訳分からないんだけど?
「……待て、お前そんな事したら明久が後1年半この学園でサディストとしか見られなくなる」
「案ずるな。女子にしかやらん」
「余計タチが悪くねぇか?」
……そんな事をして何になると言うのだ。ヤミに変わればよかったかな……?
「因みに戦闘能力が一番高いのは?」
「ヤミだな。変わるか?」
「やってみてくれ」
雄二に言われてヤミが僕の人格に変化する。……今思えば人格を使い分けるって凄いな。本物の多重人格ってこんな感じなのか?いや、多重人格はせめぎ合っているからか満足に自分の望んだ人格を出せるとは思えない。
「……呼びましたか」
「おぉ、腐った目をしていた明久のような……いや待て、明らかに目に殺意と言うか必ず殺るという力がある」
「私は今日は明久の代理として身体を借りています。ならば貴方の作戦に従い、敵を殲滅するのが役目」
「頼む。何かあった時は明久が切り札だからな」
「了解、待機しておきます」
……一気に変わったなぁ……この会話が誰にも見られたり聞かれなくて助かったよ本当に。
「……雄二、もうそろそろ開戦」
「だな。よし!代表は残れ!後は持ち場につけ!」
僕は暫く眠っていようかな。今ならばヤミ達に任せて良さそうだし。
『お?寝るのか下僕よ。ならば安らかに眠っておけ。お前の眠っている間に終わらせておこう』
『安心してね!補習室とかに送られないように頑張るから!』
それなら安心だ。そう思って僕は意識を手放した。
◆
そこから十分後、開戦して暫くすると、三年生の尖兵としてEクラスやFクラスから何人かが出撃したとの報告を受けた。
「……来たか……」
「……坂本さん」
雄二の元に明久(inヤミ)が歩み寄る。
「おい、今のお前は明久だって事を自覚しろ」
「そうでした……雄二、頼みが」
「なんだ?」
「……私を一度出させてください。……身体と適合しているとはいえ、試運転をしないと」
「……良いのか?お前がやられたらおじゃんだが」
「……私は元は戦闘に関してはプロです。……任せて下さい」
その会話を聞いていたBクラスの生徒が質問を投げかける。
『んぁ?吉井が一人で行くのか?』
『応援は?』
「まずは一人で様子見させる。ウォーミングアップしたいって言ってるしな。何人いる!?」
『ざっと確認すると15はいるぞ!』
「問題ありません」
「ならばまずはそいつらの殲滅だな。……頼めるか?」
「……任務了解しました。出撃します」
「……お前明久っぽく喋れないのかよ……」
「……明久は明久、私は私ですから。私は明久にはなれません……私はただ身体を借りてるだけですし」
「そっか、野暮な事を聞いたな」
「いいえ。……敵戦力の迎撃を開始します」
静かに出て行った明久は教室の前に立つ。
(さて、ヤミお姉ちゃんの実力を拝見しようかなっ)
(まぁ問題ないだろう。有象無象程度なら)
「……相手が誰であろうと油断はしません。一寸の虫にも五分の魂、窮鼠猫を噛むと言います」
明久を見た三年生達は戸惑いながらも突進を辞めない。
『見つけたぞ!一人だ!』
『あれは……吉井じゃないか!?』
『俺達は一人で十分ってか!?かかれ!』
『科目は化学で行く!』
「……今ならば補習室に行く必要もありません。……退きなさい」
「はっ!一人で何が出来るっての!」
「……あくまでその選択を取りますか……良いでしょう。戦闘を開始します。サモン」
「「「「サモン!!」」」」
相手の召喚獣を見据え、静かに目を瞑る明久。それを不審に思った布施先生が声をかける。
「吉井君?どうしました?」
「いえ、ただ戦って勝つのも味気ないし、何よりそこの人達も勝つ望みを与えてあげないと可哀想ですから」
「なんだとぉー!」
「かかれー!」
一斉に飛びかかる15の召喚獣。目を瞑ったままでも明久は感覚だけで召喚獣を捉えていた。襲いかかる召喚獣の動きを見ているかのように正確に躱し、脳天から刀を突き刺し、手が塞ぎ混んだ場合は蹴りで対応。刀を抜いた後は的確に首を切り裂き、15人の敵を1分と10秒で倒してしまう。
「……私もだいぶ鈍りました。……ですが、分かったでしょう。……貴方達では勝てない。……終わりです」
「戦死者は補習ー!」
連れて行かれるのを見ながら明久は静かに呟いた。
「……やはり、明久のお陰で鈍ってるんですね。戦う事が」
(そうなるねぇ……ねぇ!次は私やらせてよ!)
「分かりました。……私、メア、ネメシスの順でローテーションしていきましょう」
そして静かに目を閉じた後、すぐに明久の人格が入れ替わり、メアの人格として明久は教室へ入っていく。
「全員倒してきたよ!」
明久が元気に笑って言う姿を見た雄二は再度溜息。
「……メアか。頼む、お前を見て明久の奴が多重人格に思われるから何とかしてくれ。俺はそんな明久は見た事がない」
「ご勘弁だよ。ヤミお姉ちゃんから聞いたでしょ?私は私だもの。せんぱいが教えてくれたから」
「……まぁ、俺には関係ないからいいけどよ……どうする?お前も試運転するか?」
「別にー?ヤミお姉ちゃんでもやれたんだから私もやれると思うし」
「ならいい。三年生の戦力を少し削ってくれたしな。ここからは様子見だ!今のうちに英気を養っとけよ!」
雄二がそう言った瞬間だった。康太と連絡を取っている生徒が雄二に報告をし始める。
『土屋から伝令!敵に動きあり!』
「なんだと?数と状況はわかるか?」
『暫しお待ちを……出ました!5人の編隊を3つ……4つほど出した模様!』
「なるほどな……まぁいい!アルファチーム!行け!くれぐれも忘れるな!生き残る事を優先しろ!」
こうして出て行ったアルファチーム。明久はいつもの嫁メンツに囲まれていた。
「メアちゃん、ですよね?」
「うん!せんぱいの身体凄いよ!思った通りに動いてくれるし」
そう言うとバク宙なり月面宙返りなどをやってみせるメア。全力でやれると確信し、嬉しそうに伸びをしていた。
「でも凄いですね……私達も出来るんですか?」
「出来ますよ。まぁ身体を明け渡すという事が出来ればの話ですが」
「明久君はそれを簡単にやってみせたんですね……」
「せんぱいはねぇ、私達に心を開いてちゃんと一人の女の子として接してくれるから明け渡すのも簡単だったんだと思うよ。実際、普通の人ならどこかしらで無意識に拒むものだし……後はネメちゃんに身体を憑依させていた時期が長いというのもあるかな」
すると片目の色が変わり、口調も変化する。
「まぁ、下僕の身体もたまに使うからな。シンクロ率は高いさ……だがヤミもメアもシンクロするのが早い」
ネメシス曰く、同調率は元は低かったと言う。何をするにも干渉が働き、ろくに動かせやしないと。だが、少しずつ動けるようになっていき、ヤミが明久を刺した際、心臓を修復した辺りから完璧に動かせるようになったと。
「今や私は下僕の身体の一部。下僕は私が居ないと死んでしまう。元々私はヤミやメアより遥かにジャックするのは容易いのだが、この下僕には制御が掛かっていてな」
「なるほど……」
「時間をかければお前達とも同調出来るが……まぁ私はこの身体が気に入っているのでな。無茶が効く」
「バカ、明久の身体は皆のものだからふざけた事言わないでよね」
「まぁそう言うな。私が操ってる間に既成事実なんてのもある」
ネメシスの発言に全員が顔を赤らめ考え始める。
「明久本人の意思で押し倒してもらいたいから身体だけ明久でも……いや、あり?」
「そこは揺らいじゃダメだよリサ!明久に押し倒されてもらわなきゃ何とするの!」
「そ、そうだった!卑怯なりネメちゃん!」
「……明久の気持ちを蔑ろにすると言うのならば誰であろうと容赦はしない」
ヤミに代わり呟く。ヤミに変わる時は目の色は赤、メアの時は青、ネメシスの時は金色に変わる。右目はネメシス、左目はヤミの色である。
「なんだ、気持ちと言うのは大切なのか?」
「勿論だよ!ネメシスには明久が好きって気持ちあるでしょ?」
「私が?下僕を?」
「じゃあ聞くよ。明久と接している時楽しいでしょ?良い玩具だと思ってるんじゃない。兵器と呼ばれるような貴方でも女の子だもの!楽しいし嬉しいでしょ?素直になっていいから聞かせて欲しい」
「……まぁ、悪くないとは思うが」
「明久と一緒にお料理したと言ってたけど、その時も楽しかったでしょ?ネメシスは明久の事が好きなんだよ。それのどこが悪いの?いい事じゃない」
「だが下僕を好きになるとは……うーん」
「……その、悪い事では無いと思います。ネメシスももっと素直になっても良いと思います」
里紗や瑞希に言われ、真顔で考えるネメシス。ネメシスの中で、自分が下僕を好きだと思う節は何度かあった。
だがネメシスは自分が兵器だと思っているのでそういう気持ちに疎かっただけである。人と接するのをメアに任せているのだから尚更だ。
だがネメシスも兵器である前に女である。優しくされればコロッと落ちてしまうのは女のサガ。明久に優しくされ、いつの日か明久の身体の中に入り浸り、明久を独占したいという欲すらはみ出していたのだ。
「もう確定じゃない。……ネメシス、貴方も明久君が好きならその気持ちを大切にしないとダメだよ」
「……ふむ。なるほど。肉体より精神を大切にするという考えに否定はしない。寧ろ好印象すら持てる。……所でハルナ。一つ聞く」
「なにかな」
「好きとはなんだ?私にはわからん」
「好きって……そうだ!それに答える為にいくつか質問しても?」
「構わん」
その一言に頷いた春菜は順繰りに質問をし始める。
「ネメシスは明久君と話す時どう?ドキドキしない?」
「しないな……いや、たまにするか?」
「そのする時って優しくされたり笑顔を向けられたりとかじゃない?」
「……なぜそれがわかるのだ」
「最後。明久君を独り占めしたいーって時ある?」
「て言うかコイツは私の下僕だぞ、独り占めしたいも何も」
「それだよ!独占欲強め!明久君が好きな証拠だよ!」
「私が下僕を……ねぇ」
「いいじゃないの。ネメちゃんも素直になりなって」
「むぅ……下僕はどう思うか」
「分からないよー?案外キョドるかもしれないね」
「……やってみるか、この試召戦争が終わった後にでも」
それで話が解決した中、狙ったかのように女子生徒が入ってくる。
「報告!アルファチームが全滅しました!」
「なんだと!?相手は!」
「編隊の中にAクラスを混じらせていた模様!」
その一言に顎に指を当てて色々と考え始めた雄二。数秒考えた後、入ってきた女子に問いた。
「……なるほどな。粋な事をしてくれる……編成を組みなおす。Aクラスのメンツも何人か入れる。その後に人数を再調整。教師の確保は?」
「えぇと、堀越先生と竹中先生は確保しています!」
「数学と古典……遠藤先生か大島先生を引き入れてくれるか?」
「英語と保健体育……わかりました!やってみます!」
「ねぇ雄二」
メアはトテトテと雄二の元に歩いて行く。明久を見て丁度いいと言わんばかりに頷く。
「お、丁度いい。お前も試運転がてら相手の数を減らしに行ってくれ。嫁共は……最終防衛ラインに配置させてもらう。全員点数が高いからな。防御は少数精鋭でしっかりとやらせてもらう。……翔子、防衛の指揮は任せる」
「……わかった」
「え?なになに?私も戦っていいの?うーん、素敵っ」
「まぁな。行ってこい」
「はーい、じゃあ皆、宜しくね」
ベータチームに配属された明奈は編隊で動きながら徐々に前進を始める。
「さて。まずは死なない事!雄二も言ってたからね。次に……点数が危なくなったら誰かに伝えて補給に行く事!別に補給に行っても怒らないから!」
「それはありがたいんだが……吉井は一人で大丈夫なのか?」
「大丈夫!私は伊達じゃないことくらい分かるでしょ」
「そ、そうだな!」
「来ました!三年生です!」
やってくる3年を見るなり舌なめずりをして微笑むメア。
「面白そうだねぇ、さてと!科目は?」
「えーと……げぇ!長谷川!数学だ!」
メアはそう言われると身体の中のヤミに問い掛ける。
(……ヤミお姉ちゃん、せんぱいの点数何点だっけ?)
(腕輪が使える位にはとってあると聞いてます。思いっきりやっちゃいなさい)
(わかったよ!)
「よーし!作戦は命大事にガンガン行こうぜね!」
「どっちなんだよそりゃ!」
「両方こなせって言いたいのよ!やるわよ!」
「おう!」
こうして決死の作戦が始まりを告げる────筈だった。
「すっごく楽しい!そこっ!」
「な、なんだよアイツ……!やべぇ奴だ!」
「敵の首を刈り取りながら無邪気に笑うその姿は間違いなくサイコパス……!」
「あ、あんなのと戦わなきゃいけないとか聞いてねぇよ!」
三年生の士気が下がり始めたその時。
「おいテメェら!何弱音吐いてやがる!」
「あれ?あのモヒカンとハゲって確か……あー!常夏ハゲ!」
「ちげーよ!俺は禿げてねぇし!」
「お前それよりも吉井か!?さっき見た時と性格が違うが……」
「そんな事気にしてて良いのかな?……早く召喚獣を出しなよ?死んじゃうよ?」
「けっ!あの時の恨み!ここで晴らす!サモン!」
数学
常村勇作=398点
夏川俊平=401点
「今の私の点数は……っと」
吉井明久=432点
「あはっ、まだ全然やれるっ」
「隊長!人数が減り始めた!」
「えぇっ!?じゃあ補給行ってきて!殿務めるから!」
「す、すまねぇ!」
「逃がすな!ここで全員仕留めろ!」
「出来るものならやってみなって!」
メアのアクロバティックかつ正確な動きとそこから繰り出される攻撃力は破格のもので、三年生達の点数がどんどん削れていく。
「まだ悪足掻きをする?今なら見逃してあげなくもないよ?」
「チッ!撤退する!」
その一言でそそくさと撤退を始める三年生達。
(メア。貴方は甘い)
(でもただいたぶるのも面白くないからさ。ネメちゃんもご馳走は残しておいて欲しいでしょ?)
(まぁな。その点に関しては感謝せざるを得ない)
「吉井!あれ?耐えたのか!?」
「うん!そっちは?」
「被害は少なくないが……補充もかなり行えている。ありがとう、助かった」
「いいの!ほら、教室帰ろう?」
メアも教室へと帰り始める。だがこの2回の戦闘はまだまだ序盤だと言うことを忘れる事はなかった。