バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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Rotten Apple

 僕、吉井明久は憤慨している。

 

 言うはずもない言葉をネメシスが僕の身体で言ったせいで、僕がドのつくほどのサディストだという噂が立っている。なんだと言うのだ。ネメシスは僕に恨みでもあるのか?何が『興奮させてくれる』だの『怯えた顔を見せてくれ』だよ。僕は優しいんだぞ。そんな事言わねぇぞ。

 

(許してあげて、ネメちゃんはせんぱいと一緒で嬉しいんだよ)

(……ネメシスは役に立ちたいけどドSなのも忘れたくないだけです。代わりに謝罪しますから)

 

 ……仕方ない、か。まぁネメシスには世話になってるし別に噂なんて75日だ。許してやろう。……でもあの林檎どっから取り出したの?

 

(下僕と私が力を合わせればなんでも出来るからな。私好みの攻撃方法を使わせてもらった)

 

 ……それがあのエグい攻撃って訳か。

 

 酷いものだった。林檎が5種類に分かれ、齧った後に投げ、そこから色が変わるのだが、変わらない場合はそのまま赤い林檎のまま、緑、銀、金、腐敗色のどれかに変わり、相手に攻撃するのだが……うーん、酷い。

 

 銀や緑、赤はまだまともだ。林檎が剣となり突撃するといったものだが、金と腐敗色はやばい。腐敗色は空間が歪んでその中に召喚獣引っ張られていって、絶叫の中点数だけが減っていくと言うもの。もう僕がこんな攻撃してるとなったらもう普通に過ごせない。周りからヤベー奴という認識をされる。

 

 金は見た事ないが、ネメシスが言うには金の林檎は林檎が輝き、全てが消えると言う事だが……うーん……どうしてチート紛いな、若しくはド派手なのが好きなのか。

 

 ……まぁ、いいや。取り敢えず戻るよ。ネメシス、ありがとう。

 

(……怒ってないのか?)

 

 ……君を怒って僕が得をするなら怒るけどそんな事ないだろ。

 

(……そういうとこだ、お前は)

 

 上擦った声を聴きながら、僕は現実世界に引き戻されていく。

 

 

 ◆

 

 復帰した後、僕を待っていたのは好奇の目だった。

 

「お、ドSマンが来たぞ」

「やかましい」

「お前の嫁共の他女子達がお前に対して見る目を変えてるからな」

「は?」

 

 そう言われて周りを見渡す。周りからは顔を赤らめてこちらを見る女子生徒達。男子からは師匠などと言われたり……ドSって凄いなぁ……

 

「それにあの戦闘のおかげで三年の女子はお前に攻撃できない。良かったな」

「……本気で学園中の女という女を籠絡する気だ」

「しねぇよ!……秀吉の演技の教えの賜物かなー」

「んなっ!?お主!なんて言った!」

「実はこのサディスティックも秀吉が教えてくれたんだ。男らしく見せたいという秀吉と僕の願いがねぇ」

「……秀吉、あなた……」

「待つのじゃ姉上!明久、話があるんじゃが良いかの」

「断る。試召戦争中だから後にしてくれ」

「……そんな事言うならワシとキスした事をばらす」

 

 ……は?

 

「え?吉井君秀吉とキスしたの?」

「し、してない!何をそんなに……」

 

 この時、秀吉に対象を絞ったのは僕のミスだと本気で後悔した。

 

「酷いのじゃ明久は……女子が多く欲が溜まるからお前が晴らさせろと言ってワシのファーストキスを……」

「僕男に興味はないんで」

「嘘じゃっ、そう言って隠れてワシを押し倒したのを忘れたとは言わせんぞ」

 

 涙目の秀吉。コイツ……!泣けるのか……!?咄嗟の咄嗟で……!?

 

「よく考えてみろ、お前は男だと僕は認識している。何故こんなに女の子を侍らせてる僕が君にキスしなきゃいけないのかを説明してくれ」

「可愛ければ良いと言ったのはお主じゃろ」

「流石だよ秀吉……相手を落とすと決めたらプライドも粉々に砕いて責めてくる……まさに文字通り身を粉にしている……君は良く頑張ったが絶対条件が欠けている」

「なんじゃと?」

「お前みたいな腹筋割れてる顔が可愛いだけの男に誰がキスするかバーカ」

 

 真顔で言うと顔を赤くしながらこちらに詰め寄ってくる。

 

「んなっ……!ワシは女の子と言われたくないから鍛えたのじゃ!」

「そうだろう?では何故僕にキスをせがまれたなんて言う?そもそも僕がそういう事をするはずの無い人間だと君も他の人間も周知している」

「ぐぬぬ……!」

「……お前の負けだ、秀吉……諦めろ」

「うぉぉぉぉぉ!明久に負けるなんてぇぇぇぇぇ!」

「優子さんも。ちゃんと手網引いとかないとこうやって男なのに顔が可愛いからって男に詰め寄るバカになっちゃうよ」

「今回ばかりはあなたの言う通りね……でもドSなんてコイツが出来るわけないじゃない。演技だとしてもコイツには罵声なんて出来ないもの。どうせネメシスの仕業だって皆わかってるわよ」

「助かる。んじゃ秀吉は好きにしちゃっていいよ。お姉ちゃんと一緒じゃないと寝れないとも言ってたし」

 

 そう言うと血の涙を流しながら秀吉が『お前だけは許さん』と言う顔をしていたがニコニコした優子さんに連れて行かれてしまう。ざまあみろ、男を惑わす魔性の秀吉を退治出来た。

 

「で?作戦はどうなってる?」

「さぁな。奴らは大半の戦力を失った。ならばここらが責め時だろうからな。補給が終わり次第突っ込むぞ。……明久には別の仕事を頼む」

「はぁ……また?」

「そう言うなよエース。任せたぞ」

「……しゃーない。口車に乗ってやるか」

 

 この試召戦争が終わった後の予定を少しだけ決めた。これが終わったら、それを実行しよう。その為に僕は今を頑張る。誰かに言われた事がある。今日を頑張ったものに明日が来るのだと。だから今を頑張ろう。

 

「さてと。補給を待つ訳にもいかないでしょ。先遣隊を出せば?」

「わかった。Aクラスの奴らは適当に戦力を増強して突っ込め!こうなりゃヤケだ!」

「ほ、本気か坂本!?」

「突っ込めばいいのね」

「あ、あぁ……そのつもりだったが……でもいいのか?連戦で」

「関係ない。奴らを倒せば連休に入る。ならやってやるさ。じゃ、行ってくる」

「待って!私も行くー!」

「後で俺らも行く!先に数を減らしてくれるか!?」

「いいよー!じゃ、行くか。先生も頼みます」

 

 先生と里紗を連れて先に出陣。だが途中で里紗が先生に質問した所から色々と始まってしまった。

 

「先生最近明久とくっついてますね」

「まぁね、私は明久君に頼られる女だもの」

「……アンタ押し倒した時に間違いを……」

「起こすものか。……全く、僕がどういう人間か知ってる癖にそう言うのやめてくれ」

「そうよ籾岡さん。そんな事を言ってるといくら優しい明久君も怒るわよ」

「私は明久にもうちょっと思い切りが良くなって欲しいだけですっ」

「なんだお前は、僕の母親か」

「いつも私が押してなかったら動かなかった癖に」

「けっ、なんだい、いつもダル絡みしてきた癖に」

 

 三年生と戦う前に何やってんだ僕はと思っていると、微笑ましいといった様子でこちらを見てくる。

 

「仲良いわね、確か中学校の時から一緒なんだっけ?」

「はい!明久ったら私居なかったらぼっちだったのでぇ〜」

「喧しい、こっち来んな言っても着いてくるようなお邪魔虫め」

「なによぅ、そこまで嫌がらなかった癖にぃ」

「……君明日から来なくていいよ」

「そこを何卒、社長!」

 

 ……こういうノリの良さと突き放そうとしてもなんだかんだ言って構ってくれるところは評価できる。だけど……

 

「……にしてもヤミちぃは先生の遺伝子を使ってると聞いたのに重要な部分遺伝しなかったんだねぇ」

「ひゃあっ」

 

 ……このすぐエロいことに手を出すところだよなぁ……

 

「……ヤミも見てるんだよ?」

「ヤミちぃ揉ませてくれないからティアーユ先生揉んじゃうもんね」

「……里紗、貴方はどうして女の子の胸を触るのです」

 

 ヤミが出てくる。不思議で仕方がないらしい。

 

「だって、自分より綺麗な形の胸を見るのはなんだか腹が立つから?」

「そ、そんな理由で……」

「それに女の子が恥ずかしがるのは可愛いしね……私が恥ずかしがってもあれだけど」

「やっぱ男憑依してるわあれ」

「……ティアの胸を触るのは結構ですが……貴方は少しやり過ぎです、女なら見境がないように見えます」

「失敬な!明久の女にしか手を出してないよ!」

「……貴方と言う人は……そこまで性的欲求が溜まっているのですか」

「当たり前じゃん!ヤミちぃだって溜まってるでしょ!」

 

 そう言うとヤミの顔が一気に赤くなった。

 

「そ、そんな……大声で言う事では……あぅぅ……」

 

 僕の身体の中に帰っていった。なんて奴だ。あのヤミをここまで気圧すとは……

 

「でも明久は誰でもガツガツ行くタイプじゃないのは知ってる。だからこそ周りのハーレムの女の子の胸を揉むのだ」

「結局僕のせいかよ……まぁいい。そこら辺は女性達で話し合ってて。来るよ」

『戦闘を開始します。次は私の番です』

「いいや、サポートお願い。もう僕も戦うよ。三人に任せてばかりじゃ申し訳ないし」

『分かりました。では緊急時のみ私も操作します。それ以外はアナウンス程度で』

「頼む……来るか!」

 

 女子生徒達が何人か来て、僕を見るなり顔を真っ赤にしている。ティアーユ先生が物理のフィールドを貼ってくれたは良いが、どうしよう?

 

「あ、あなた!吉井明久ね!」

「はぁ、そうですけど」

「聞いたわよ!佳奈達……友達を陵辱したって!」

 

 何が陵辱だ!

 

「そこまではしてねぇよ!」

「キャー!私達嫐られて命令されて奴隷にされちゃうー!」

「お嫁に行けなくされるわ!挙句の果てには孕めオラァ!とか言われるのよ!」

「にっくき女の敵!ここで死になさい!」

「ヤバい!このままだと僕が社会的に殺される!やるしかない……!里紗!援護しろ!」

「え?私が?」

 

 ……じゃあなんで着いてきたんだよ!

 

「つっかえないなぁ!本当にこれから家に入れないぞ!」

「や、やだぁ!やりますから!」

「み、見なさい!あぁやって女の子を篭絡させて……!先生まで堕としたと聞いたわ!」

「このままだと私達も堕とされかねない!若い女の子なら誰だっていいのよ!」

「いや、若い綺麗な女の子しか侍らせてないから綺麗も入れなさい!……てかなんで学園のアイドル的な立ち位置の人達が……!」

「すまない、少し良いか」

 

 そう言って群衆をかき分けてやって来たのは九条先輩だった。

 

「ようやくまともに話を聞いてくれる人が……」

「あぁ、話は聞いてやろう。貴様を倒した後で」

「はぁ!?どうして!」

「沙姫お嬢様が朝から行方不明なのだ。貴様!どこへやった!」

「は、はぁ!?僕知りませんよ!」

「嘘をつくなぁ!」

 

 ……はい。嘘ついてごめんなさい。でも彼女は戦いたくないと言っていた……!

 

「……貴方は……!彼女がどんな思いでいたか知らない癖に!」

「なんだと……!」

「彼女は戦いたくないと言った!だから僕は行かなくていいよう裏から手を回した!あぁそうさ!どこ行ったか知ってますよ!そんなに知りたければ僕を倒して聞けばいい!」

「貴様ぁー!」

「彼女の気持ちに気付けない癖に護衛などと……!寝言を言うなぁー!」

 

 物理

 

 三年Aクラス 九条 凛=364点

 

 VS

 

 二年Fクラス 吉井 明久=375点

 

「ま、負けてる!?」

「観察処分者だからって……見下してんじゃねぇーッ!!」

 

 もうこうなったらヤケだ。最後まで駆け抜けてやる。九条先輩、申し訳ない。ここで補習になれ!

 

 三年Aクラス 九条 凛=0点

 

「戦死者は補習ー!」

「バカな……!やられた……!?くっ!無念……!」

 

 九条先輩が連れて行かれた後、僕の中の何かがはち切れ、ありったけの声で叫んだ。

 

「退けッ!(自主規制)されたくなかったらさっさと退けってんだよ!わかったかぁッ!」

「ヒィィィィィ!あの子本当に……!?」

「で、でも男らしい……カッコイイ……」

「よ、よく見れば可愛い顔してるし……」

 

 ……あ、あれ?なんか方向性がおかしい……?関係ない!

 

「退かないなら本気で補習室送りにするってんだ!今なら見逃してやるって言ってるからさっさと退け!本当に(自主規制)するぞ!」

 

 そう言うとモーセが海を割ったように群衆が割れていく。僕は一人走り出した。

 

『待って明久君!』

『待ってよぉー!』

 

 さっさと終わらせて帰るんだ……もう疲れたんだぁ……!

 

(不味いな、下僕が壊れつつある)

(もう何もかも吹っ切れてあんな事言うなんてねぇ……)

(……多分色々あったからだと思います……主に私達がそれを引き起こしたから)

 

 何か言ってるけど気にしない。三年Aクラスの前に立ち、ドアを蹴飛ばして入室。おーおー、ぞろぞろといっぱいいる!

 

「よ、吉井君!?あ、あなたは……はっ!?」

「死ねぇぇぇぇぇ!」

「代表危ない!サモン!」

 

 近衛兵の分際で……!

 

「邪魔をするな……!この(自主規制)野郎共ぉッ!」

「ヒィッ!?なんだコイツ!?」

「代表は逃げてくれ!俺らが死守する!」

「すみません、ここは引きます」

「逃がすかって言ってんだゴラァ!」

「明久!無事か!」

 

 雄二達が来てくれた。助かる!

 

「雄二!ここの雑魚共を頼む!僕は逃げたホモをぶっ殺しに行く!」

「あ、あぁ……良いか明久。その前によく聞け」

「え?」

「……さっきから罵倒とか垂れ流してるけど……お前全部放送室からダダ漏れだぞ」

 

 ……は?

 

「常夏コンビがお前に細工したんだろうよ」

「……あの……」

「あ?」

「あんの腐れモヒカンハゲがぁーー!!」

 

 もう社会的に生きていけない!仕方ない!最後の命を散らすしかない!

 

「任せたからな!」

「あぁ!お前もそっちを頼む!」

「キッチリぶっ殺して終わりにしてやる!」

 

 ここから高城が逃げる場所と言えば屋上のみ。ならばさっさと向かうしかない。だが、階段前には僕の仇敵、モヒカンとハゲ。

 

「よぉ吉井、リベンジを……え?」

「センパァイ……アイタカッタデスヨォ……」

「な、なんだコイツ!?やべぇ!」

「ブッコロシテヤルゥ……」

「お、俺らが何かしたってのか!?何もしてねぇだろ!」

「……え?」

 

 怯えから察するに本当に何もしてない様子。……頭が落ち着いてきたけど……まぁいいや。やる事は変わらない。

 

「ま、いいや」

「うわぁぁぁ!?急に冷静になるな!?」

「どうでもいいですよ。どうせここで貴方達やられるんだし、それに……」

「「それに?」」

「ストレス発散になれやボケェッ!!」

 

 こいつらを生かすつもりは無い。だって死んでいいやつだし?さっさと補習室で鉄人達と補習してこいや。

 

「それはこちらのセリフだよ!サモン!」

「サモン!」

 

 総合

 

 三年Aクラス 常村 勇作=4000点

 三年Aクラス 夏川 俊平=4185点

 

 VS

 

 二年Fクラス 吉井 明久=5000点

 

「クソっ、奴の方が高いか」

「何呑気な事言ってるんです?常夏ハゲ」

「は?」

「もう僕が林檎を齧った瞬間に全て終わってるんですよ」

 

 齧った林檎は色素が無くなっていき、腐敗し、しなしなとなった林檎となる。そこからはブラックホールのようなものが出来、二人の召喚獣が吸い込まれていった。そのブラックホールのようなものの中からは召喚獣の悲鳴が聞こえる。

 

「な、なんだ!?何が起きてる!?」

「わかんねぇけど点数だけがすげぇ引かれる!」

「こちとら疲れたんだ。さっさと退かないとフィードバックを付けますよ」

「クソォッ!」

 

 そうこう言ってる間にもう二人の点数はない。鉄人に連れて行かれる……所で鉄人がこちらを見て、般若のような形相で言った。

 

「……吉井、職員室に後で来い」

 

 ……もう僕この学校辞めようかな。そう考えた瞬間だった。

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