ヤミちゃんこと金色の闇に命を狙われて捕まれば死ぬみたいなリアル鬼ごっこ的な事件から16時間が経った。
昨日の予期せぬ運動のお陰でぐっすり眠れた。目覚ましきっかりに起きれる。だがなんだろう、普段より身体が重い。そんな気がする。
始めはまずリビングに向かい、美柑と話す。
「おはよう、美柑」
「うん、おはよう。ア、キ…どちら様ですか?」
…えっ?何?新たないじめ?
「ははは!嫌だなぁ美柑ったら!僕の顔を忘れたってまじ?」
「えっ?だって…私の知り合いに年上の女の人いないです」
「は?」
女の人?…何か嫌な予感がすると思ってリビングの鏡を覗く。そこにはなんと。
豊満な胸。スラッとした足。白く透き通る肌。
誰もが認めるような美少女が立っていた。
「こ、これが僕!?」
「う、嘘…本当にアキなの?」
「ララああああああああああああ!!」
名前を叫ぶとすぐに昨日買ったパジャマを着たララが寝惚けて歩いてくる。
「あ、明久おはよう〜うわぉ!女の子だぁ!」
「…これをしたのは君だろ…!」
「うぅーん、なんだろう。女の子になるはずがないのになぁ…調整間違えたかな?」
「どういう事か説明してくれるよね?」
ララは一つ一つ丁寧に説明し始めた。
ララが発明の『ぱいぱいロケットくん』という小学生が思いつきそうなネーミングのロケットをミスってボタンを押してしまい、僕に当たってしまったとのこと。聞けばホルモンバランスを調整して女の人の胸を大きくする作用があるらしい。…男には効果がないと言っていたが…
「効果出てるよね?僕女の子になってるんだよ!?」
「うーむ…元に戻すロケット作るから許して欲しいな。…でも時間かかるのはごめんね?」
「はぁ…学校は休むか…」
学校に電話を入れる。すると親と勘違いしてくれたのかすぐにでもOKが出されて僕は1日どうするか考える事になった。
「…ララ、効果が自然に消えるのはいつ?」
「うーん、計測してないんだよね。元々ホルモンバランスを調整してしまってるからもう男性ホルモンが女性ホルモンになってる時点で明久の女の子化は終わってる。故に自然に男に戻れる方法は無いの」
「…ララのロケット開発待ちか」
「でも明久って女の子化したら美人さんね〜」
「家は女の人皆美人って父さん言ってたからね…確かに皆綺麗だとは思うけど…性格…うっ、頭が…美柑、間違っても姉さんや母さんのようにはなってはいけないよ…優しい子に育っておくれ…」
どうかあんなサディストの様にはならないで…ッ!
「?何言ってるの…それよりブラとかしないの?」
「えぇ?男の僕が?ブラ?」
「今は女の子でしょ?…それにその元男にあるまじき巨乳…まるでお姉ちゃんの様だよ」
「どれどれ…えぇ!?90!?」
「な、ななに言ってるのさ!?」
ララがいつの間にかメジャーを出して測っている。90って事は…Gカップ!?康太に測り方習っててよかった…だけど解せない!なんで女のララより大きいんだ!
「そうなったらほんとダメだよ…男の人達がアキを襲うよ?」
「お兄ちゃん負けないから大丈夫!」
「そうだよ!男性ホルモンが女性ホルモンに変わっただけで身体能力とかに差はないから!てなわけでアキちゃんの身体測定タイム!あ、ミカンは学校は?」
「いけない!アキ!ちゃんと家で大人しくしててよね!」
「わかってるよ!」
美柑を送り出し、僕らはリビングで身体測定を行う事になった。
「はい、身長測るよ〜」
「うわ、ララの道具ってこんなのにもなるんだね」
出したのは身体測定でよく見る身長と体重、座高を測る器具。
「身長…170.2cm…体重は53kg…座高は80cmかぁ…凄い、美脚美人!」
「はぁ…つまり元より少し低いくらいか」
「スリーサイズ測るよー!…バスト90、ウエスト54、ヒップ89…わぉ、セクシー!」
「…ほんと男の僕にあるまじき体型だよ…だって、こんな、もの…」
自分で自分の胸を撫でてみる。確かに触れられる。だがまだ信じられない。『ふむふむ』と呟きながら僕は自分の胸を揉んでいた。
「明久っておっぱい好きだね〜」
「なっ!違うよ!これは夢か現実か確かめてるところだったんだ!」
「そうなんだ?じゃ明久!私の下着入るか試してみようよ!」
「…い、いいよ…流石にそこまでは…普通に男物でいいし…」
「そう?じゃなんかして遊ぼう?」
「…こういう時、ララのお気楽さには救われるよ…あれ?ララのせいだから…あれ?」
よく分からない事に頭をこんがらがっている所で僕は食器などを洗い始めた。
――――――
「えぇ、吉井は風邪の為休み。デビルークは吉井の看病らしい」
『『『『『『抹殺セヨ』』』』』』
クラスが殺意に満ちた。その後移動教室のため、歩きながら明久について話していた。
「あいつが風邪?珍しいな」
「昨日はそうでもなかったのじゃが…」
「…仮病」
「その可能性はある。調べに行くか」
「おっ、明久の家行くの?」
そこに声をかけられた雄二。声の主は籾岡だ。
「おぉ、籾岡。気になるのか?」
「うん。明久が休みだって聞いてね〜仕方なく見舞いに行こうってね。ついでに2人も連れて」
雄二が西連寺と姫路を見て雄二は考えた。『アイツって結構モテるんだな』と。
「よし、放課後アイツの家に行こう」
こうして結束された約束。雄二達は授業を適当に受ける。
――――――
そして迎えた放課後。
雄二を筆頭に明久の家の前に着いた一行。インターホンを鳴らすと、ララの声が。
『どちら様ですか!』
「おう、俺だ。坂本。後は明久の友達を連れてきた。…あいつが風邪と聞いていたもんでな。…まぁそれも嘘だと思うが…開けてくれよ」
『うーん少し待っててね!』
少し待つとララが扉を開けて迎え入れてくれた。
「いらっしゃーい!明久は何故か会いたがってるわけではなさそうだけど上がってね!」
「?お邪魔します」
「明久ー、何処だー?」
「…ん?リビングに居るみたいだ」
康太が指差すと、人影が見えた。雄二はニヤリと笑って扉のノブに手を掛ける。
「明久、サボリは良くない…ぞ…?」
「そうじゃぞ明ひ……さ……?」
「2人とも固まってどうした…むっ!?」
「えっ、男性陣どうしちゃった?」
雄二達が固まってる中、里沙や春菜、瑞希がリビングの中を覗く。そのリビングには身長170cmの美人がいるではないか。
「…いらっしゃい、皆」
「明久……なのか……!?」
「…残念ながら…ね」
「嘘!明久って女の子だったの!?」
里沙が明久を見て驚愕する。それを見た明久も驚愕。
「り、里沙!?何でいるのさ!」
「遊びに来たんだよ…2人も連れてね」
「「お、お邪魔します」」
明久は2人を見るなり頭を抱えた。
「西連寺さんに…姫路さん…マジかぁ…」
「それよりその身体はどういう事だ」
「…ララの発明でね。女の子になったんだよ」
「…明久、自分の身体の事はもう把握したのか」
康太が目をギラつかせている。あれはダメなやつと確信した明久だがため息を吐いて答えた。
「…身長170cm、体重53kg、バスト90、ウエスト54、ヒップ89」
「…バスト90…Gカップ…だと…!?」
「…私達より大きいですね…」
「うん、90ってすごい…」
「見ないで!そんな羨望の眼差しをお願いだから向けないで!」
――――――
「…とにかく遊びに来るなら言ってほしいよ…ごめん、こんなものしかないけど」
と言ってお茶を出す。
「悪いな」
皆はソファーに座ったりテレビを付けたりと人様の家で勝手をしまくっている。少しは西連寺さんと姫路さんを見習えよ!
「で?これからどうすんだお前…学校は」
「…このまま行ってやる、男子制服着て」
「…正気かお前」
「正気もクソもあるかぁ!女の子にされて正気の奴なんか居るか!」
いたら目の前に出せ!どういう神経してるんだって怒鳴らせてくれぇ!
「まぁでもいいじゃん、こんなに似合ってるし…ほれ、こんなに大きいし」
そう言っていつの間にか僕の背後に立っていた里沙。その手は僕の胸を鷲掴みにしていた。掴まれた瞬間、電気が走ったように僕の身体の中を何かが駆け巡った。
「ひぃっ────!?」
「ほうほう?なかなか可愛い反応するじゃん?」
「や、やめ…!な、何見てるの雄二っ…!ひゃっ」
「あ、すまん」
「謝るな!虚しくなる!そしてなんで赤くなってる!霧島さぁぁぁん!助けてぇぇぇー!」
「や、やめろ!あいつの名を呼ぶのは反則だぞ!」
「ほれほれ〜」
「や、やめんかぁぁぁぁぁ!!」
反撃で里沙の胸を掴み、そのままソファーに座らせた。
「全く…魑魅魍魎も恥じらう乙女に何してくれてるのさ」
「明久がそんなんだったら私達は阿修羅も恥じらうと思うねぇ」
ふんっ、知ったことかっ。…てかその前に…
「…で?康太?その隠しカメラのデータ消してくれない?」
「な、何のことだ」
凄いビクってしましたけど???
「ふーん?抵抗するんだ?」
「な、何をするつもりだ…」
「いや別に?とある商会を一つ潰そうって思ってね」
「…消しました」
「流石、僕ら友達だもんね!」
「クソッ…」
危ない危ない。このまま僕と里沙の胸の揉み合いシーンなんか康太の経営している『ムッツリ商会』に挙げられたら僕は自宅特定され男がハエのように集ってしまう。それは避けたかった。
「あ、あの…」
そこに姫路さんが手を挙げた。
「ん?何かな」
「吉井君が学校へ行くのは良いんですが、先生方にはどう説明するんですか…?」
「「「「「「あっ」」」」」」
言われて気付いた。クソ!教師になんて説明する!?ましてや鉄人に!てか皆して忘れてたとか馬鹿なの!?
「…偽名使うか…?」
「アキちゃんに確定だな」
「手抜き良くないと思いまーす」
『ただいまー』
名前について話していると美柑が帰ってきた。もうそんな時間か。
「お帰りー」
「お、美柑ちゃん帰ってきたな」
「うわ、結構な人数…すみません、何もなくて…」
「気にするでない。急に押しかけたこちらが悪いのじゃからな」
秀吉がカバーしてる時に雄二が指をパチンと鳴らした。
「じゃあこうしよう。今まで男装しないと気持ち悪くなっていたので隠していたのですが本当は女の子なんですということで」
「表へ出ろ、霧島さん呼んだ後フルボッコにしてやる」
「…お前ほんと翔子呼ばんとどうすることもできんのか」
「だって霧島さん雄二に対する特攻ダメージ10倍でしょ?利用しない手はない。それに…」
そりゃ雄二を完封出来るのは霧島さんだけって皆知ってるから。
「それに?」
「今の僕って女の子だし?さて問題です。僕と君どっちが信用あるだろうね?」
「はっ!笑わせやがって、俺が本気出せば翔子なんざ…」
「…私が何?」
「なん、ざ…わぁぁぁぁ!?何でいるんだよ!」
「…雄二が女の子を虐めていると風の噂で」
「助かったよ霧島さん!ありがとう!」
「…本当に吉井?」
「うん、こうなっちゃったんだ…えっ」
「…大きい」
霧島さんまで!?なんで!?女の子は毎日こんな事を!?
「ほら瑞希に春菜!2人も揉まないと後悔するよ!明久の胸はバストアップの御利益がある!」
「「ほ、ほんとですか!?」」
「ない!無いから!や、やめ!そこはダメだから!」
「ごめんなさい吉井君…!でも吉井君は胸が大きな子が好きだと聞いたから…!」
「待って!それ誰からの情報なの!?だ、だからそこはやめて!ほんと!」
なんで5人から胸を揉まれてるんだろう。男達はヌクヌクと美柑と話してるし!おい!助けてよ!
「た、助けて!う、うわぁぁぁぁーッ!」
―10分後―
「うぅ、もうお嫁に行けないよ…」
「…大丈夫、吉井は可愛いから…でも雄二を誑かすのはやめて欲しい」
「あのゴリラを?僕が?笑わせないでよ霧島さん。雄二には霧島さんしかいないからさ」
「…ありがとう、吉井…さぁ雄二、帰る」
「ま、待て!俺はまだ美柑ちゃんに勉強教えててイダッ!イダダダダ!引っ張るな!耳が千切れる!辞めろって!おぁぁぁぁ!」
雄二は無事帰っていった。良かった良かった。
「アキ、お姉ちゃんに言わなくていいの?」
「やめろ!今度こそ僕はもうお婿にもお嫁にも行けなくなる!」
ダメだ、姉に過ちを犯される未来しか見えない。僕がテーブルでため息を吐いてる中、ララの様子をちらりと伺う。あの二人とも仲良くなったみたいだ。良かった良かった。
「で?明久どうすんの?」
「どうって…いつも通りさ。普通に着替えて普通に学校へ行く。それだけだよ」
「これを本気で言ってるもんねぇ…」
「何さ、なんか文句でも?」
「アンタが男物の下着を着て何れなんかポロリしたら不味いんじゃない?」
「そうは言っても…それはやばいかも…でも下着はまだ少し遠慮させてください」
本気で男に戻った時が危ない。
「ま、アンタが決めたならそれでいいよ。じゃ私達もお暇しようかね。瑞希、春菜行くよー」
「あ、もうこんな時間…ララちゃん、吉井君。お邪魔しました」
「また来てもいいですか?」
「うん。歓迎するよ」
皆帰っていく。秀吉と康太も続いて帰っていった。
「で?アキは明日学校行くと?」
「うん…取り敢えず制服入るかなぁ」
そう思い掛けてあった制服を手に取り着てみる。だが…
「く、苦しい!主に胸の部分!」
「うっわぁ…ボタンはち切れそう…」
「…なんとか誤魔化すのに頑張らないと…取り敢えずご飯作るね…」
明日からどうしようと胸に不安を抱きながら僕は夜ご飯の準備に取り掛かった。
これで前座が揃いました。後は色んなキャラ出してヤミちゃんデレさせてバカテスの日常を送らせて、終わり!(適当)