バカとToLOVEる!   作:抹茶スイーツはお好きですか?

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ここからくっそ長いデート編です。簡単に4人の話を纏めて1話2話構成にしたいと思っています。


Dating partⅠ

「明久君、こっちよ」

 

 最初のデートが先生だとはなぁ……先生が僕なんかをねぇ……有り得ないと思いながらも先生の隣を歩き始める。女の人と歩く時の注意とかはモモから常日頃教えられているので何とかなっているはずだ。

 

「どこ行くんです?てか先生僕を連れて歩いても面白くないですよ?」

「何言ってるのよ、そんな事言ってるとこの前Bクラスの生徒にラキスケしかけたのを皆にバラしても良いのよ?」

「勘弁してください」

「とは言っても、私自身が貴方に興味あるから。……まぁね、いつもは医者と患者の立場だけど、たまにはこういう男と女の関係ってのもいいんじゃないかしら?明久君は大人のお姉さん好きだと聞いたけど?」

「別に、僕は必要としてくれるならそれに応じるだけです」

「誰にでも同じ態度を取る辺り明久君って女の子に興味ないって思うのよね。誤解されるから喜びなさい」

「……僕みたいな奴が綺麗な女の人ばかりを侍らせていいのかって疑問が絶えなくて。結局僕のしてきた事と言えばラキスケと身体張る位ですし」

 

 それであんなに女の子が居るのはどう考えてもおかしいのだ。僕自身、それはどうなのだろうと思うわけでして。そう考えていると抱きしめられた。身長は先生の方が低い為、僕が姿勢を低くする必要があるが……ほぼ無理矢理だった気がする。

 

「女と言うのは案外ちょろいと思うけど、そうさせるだけの事を貴方がしてきただけよ。確かに貴方はそれしかしてないのかもしれない。だけど女の子達からしたら心が温かくなるような行動かもしれない。……私から見ても明久君はかっこいいもの。胸を張りなさい」

「……はい」

「ほら、行くわよ」

 

 そう言って引っ張られて向かった先は……なんと家具店である。

 

「明久君の家の隣が今度空くでしょう?だからそこに引っ越すつもりなんだけど、その際に家具を新しくしようと思って」

 

 聞けば土地を買って無理矢理家を転移させると言う。宇宙の科学力なら何とかできるって……何言ってるんだこの人は……まぁいつもララの無茶苦茶な発明品があるから大抵の事じゃ驚かないが……

 

「さてと、まずはベッドね。明久君もお世話になるかもしれないから選ぶのよ」

 

 確かに。病人用のベッドにはかなりお世話になった。病気の際、怪我の際にも。故に僕が無茶をした時とかにも使われるかもしれないし、先生の元を訪れた患者さんが良い雰囲気になる為にも僕のセンスの見せどころである。

 

「これなんてどうですか?」

「えぇ?些か地味じゃない?」

「え?派手なのがいいんですか?患者さん達がどう思うか……」

「何言ってるの?今選んでるのは個人で使うものよ?病人用のベッドは普通に今あるのを使うわよ」

「……先生……その発言はどうかと思いますけど」

「良いじゃない。それとも選べない?」

「……一人用でいいですよね」

「出来れば三人くらい乗っても問題ない奴を選びたいわね。女の子ってベッドの上でよく話をするのよ」

 

 ……確かにララ達も僕のベッドの上でよく西連寺さん達と話をしてたような。モモやナナも部屋で姉妹でよくベッドの上でゲームしたり漫画読んでたりしているし、やはりそういうものなのだろうて。

 

「でも僕は派手なのよりシンプルの方が好きですよ」

「なるほどね。じゃあこのシンプルのにしましょう」

 

 本気で買うつもりだったんだこの人。……店員に後で郵送してくれなんて言ってるし。

 

「次は机ね。今あるデスクは2つなんだけどそれでも足りないの。……診察の時の机と自室の机ね。それじゃ足らないからご飯食べる時用の机を買いたいのよ。何かオススメある?」

「ふぅむ、でしたらこれとかどうですか。結構シンプルかつお客さん来た時とか対応出来ますよ」

「良いわね、色も落ち着いてて……分かったわ、これにする。後はこれに合う椅子とか買って……」

 

 そんなこんなで買い物に振り回され、あっという間の3時間が経過した。色々買ったなぁ、本当に……

 

「ありがとう、明久君。一人で買い物とかつまらないしティアとは違った楽しさがあったわ」

「もう、からかうのは辞めてくださいね」

「仕方ないじゃない、好きな異性には意地悪したくなるものなのよ、女って言うのはね」

 

 そう言って投げキッスされる。……まさかこの人も本気で?そんな事を考えながら何とか家に送り届けて家に帰ってくる。もうこの時点で疲れているが……まだだ。次は確かナナだっけか。

 

 一番最近になって変わったのがナナだ。ドッキリでモモと一緒にナナに冷たくするという心が痛むような事を計画し、ナナのツンツンした態度に冷たい態度で接し続けたら急変してしまったのだ。

 

 ☆

 

『バカ!何また姉上にデレデレしてんだよ!ほんっとそういう事するの嫌いだって毎回言ってるだろ!』

『そうだよね。僕も嫌いだよ』

『えっ……』

『だって僕の事嫌いだもんね?いっつもバカバカ言ってくるし……普通に僕も傷つくんだけど?』

『そ、それは……』

『僕は出てけとは言わない。だけどナナも嫌いな奴とは話したくないだろうし僕も話したくないからこれからは距離を置こうね、じゃ』

『……』

『なんちゃって!実はドッキリなのです……あれ?』

『やだぁ……!そんなのやだぁ……!』

『あ、あの……ナナさん?』

『アキとお話できなくなるのやだぁ……!ごめんなさい……!ごめんなさい……!』

『あ、あの……』

『何でも言う事聞くからぁ……!アキに嫌われたくないよぉ……!うぇぇぇぇん……!』

『すみませんでしたぁーッ!』

 

 ☆

 

 なんて事があってからデレ度が異常値を記録している。人格変わった?ってくらいナナもツンツンしなくなってもはや別人である。そのせいで『明久本当に調教したの?』とか聞かれる羽目になったし。

 

「アキお帰り!次は私の番だな!」

「うん。どこか行きたいところとか何かしたいこととかあれば言ってね」

「良いの!?じゃあ行きたかったところ行こ!」

 

 ……ほんとツンツンしなくなった彼女は可愛い以外の何物でもない。もはや可愛さに特化したという感じか。天真爛漫な長女、ツンツン次女、小悪魔三女なのがデレデレ次女になってしまうじゃあないか。

 

 そんな事を考えていると、ナナが腕を組んでくる。

 

「ねぇ、聞いてもいい?」

「なに?」

「どうしてツンツンしなくなったの?ツンツンしてた理由とか聞いても?」

「……ツンツンしたらアキに無視されちゃうから……そんなのやだ……好きな人と話が出来ないと辛いし……あの時本当に苦しかったから……」

 

 ……後でモモにも謝らせるか。

 

「ごめんね、モモと一緒に計画していたんだ……ちょっとドッキリ仕掛けようって」

「……でも良いんだ。自分に素直になれたし、アキの事好きだから」

「……いつからそんな……」

「いつの間にかだよ。頼りになるし相談に乗ってくれるし……こんなチョロい女じゃ嫌?」

「別に。僕はどっちのナナも好きだったから」

「……あんな私でも……?だってアキのことバカっていっぱい言ったし……内心嫌われてると思ってた……」

「あの程度で嫌うわけないだろ。そんなんだったらとっくに追い出してたり口聞いてたりしなかったさ。安心しなよ」

 

 頭を撫でるとニコニコしながら腕に抱きついてくる。ツンデレと言うのは反動がデカいと聞いた事があるが本当だったとは。

 

 連れて行かれた先は動物園。まぁデートの定番だし、ナナは動物達が何を考えてるかわかるから面白いかも。入園料を払い、ゲートを通って入って行く。人は多かったけれど、やはりデートをしている人達や子供連れ等が沢山だ。

 

「地球の動物は好き、皆可愛いから。アキは何が好き?」

「んー……あれかな」

 

 そう言って指さしたのはパンダである。笹食ってる時とか可愛過ぎだろ。テレビで見た時とか普通に可愛い言っちゃうし……

 

「後は犬とか猫とか……兎も好きだな」

「結構好きなの多いんだ」

「まぁ、小学校の時飼育係だったし……兎死んじゃった時は辛かったけど」

「……そうなんだ……でも、仕方ない事だよ。命は必ず終わりが来るんだから。……その子も寿命だったか、早かっただけ。兎ってデリケートだしな」

「……しかもその時一緒に世話してたのが姫路さんなんだ」

「嘘!?ミズキと!?」

「……うん……まぁ、でも動物は飼いたくない。……死んだ時、家族が死んだと同じくらい悲しくなるから」

「……その考え方がちょうどいいよ。世話もせずに飼えなくなったから捨てるとか言う奴らより全然いい」

「だねぇ……あ、あのパンダ寝転がってる……暇なのかな」

 

 一際面倒くさそうに寝転がっているパンダを指差す。どれどれとナナが見てみると……

 

「うわ、あのパンダ性格悪いな」

「え?なんて?」

「『今日も暇な人間共が見に来たな』ってお山の大将気分になってる」

 

 ……今まで見下されてたってマジ?

 

 そんなこんなで色々とナナを連れ回しては動物の気持ちを聞いたりだとか、アイスを一緒に食べたりと充実したお出掛けを楽しみ、動物園を後にする。

 

「凄く楽しかったよ。ありがと、ナナ」

「お礼を言うのはこっちだよ。ありがとう、アキ。私も楽しかった。……ねぇ、ちょっと屈んで」

「こう?……へ?」

 

 ナナの顔が迫ってきて、いつかのララや里紗のような……顔が離れると、顔を赤くしたナナが眩しい笑顔で言った。

 

「お前になら出来るよ、ハーレム!私も応援するから一緒に頑張ろう!」

「……ありがとう」

 

 それからは言葉を交わさなかったものの、家に帰るまでずっと手を握っていた。家に戻ると、モモに出迎えられる。

 

「お帰りなさい!……えっ、な、ナナ……どうしたのあなた……」

「お前のハーレムとやらに私も賛成してやる、だから協力してやるよ」

「え、えぇ!?あなた反対してたじゃない!」

「長いものには巻かれるって事だよ。で?アキと一緒にドッキリ仕掛けようとした事について話があるから来い」

「えっ、えぇ!やぁぁぁ!明久さん助けてー!」

「ごめん、僕は里紗の所に行かなきゃ」

 

 そう言ってモモを見捨てて里紗の家へ。ここに来るのも何度目だろう。そう思って開けようとすると……

 

『五月蝿い!私の事なんてどうでもいいんでしょ!もうほっといてよ!』

 

 そんな声が聞こえてくる。中からは男の人と女の人が出て来た。

 

「里紗!……全く……ん、君は?」

「彼女と出かける予定で……吉井明久と申します」

「あぁ、君が吉井君か。私達は里紗の両親でね。上がって欲しい。話があるんだ」

 

 仕方なく上がる事に。リビングに連れてこられたが、先に確認しておかねば。

 

「里紗は放っておいていいんですか?」

「あぁなったあの子の行動は予測不能でね。……話をしよう。吉井君。……本当に勝手なお願いで申し訳ないが聞いてくれるかな」

「……はい」

「あの子に私達は理想を押し付け過ぎた。故にあの子は私達に反発して……」

「……あなた達の所に戻れと説得を?」

「いやいや、違う。私達が頼みたいのは……あの子を頼みたいという事だ……あの子から君の話を聞いた時にはどういう男なんだと思ったけれど、聞けば里紗の事を守ってあげていたそうな」

「守るってそんな……僕はできる事をしただけです」

「だが君は結果としてあの子が笑っていられるようになるまで成長させてくれた。知ってるかい?元々あんな性格じゃないのだよ。内気で、内向的で……」

「……友達を作ろうとしなかった……」

「あぁ」

「……過去の僕と同じです。僕だって彼女と出会う前、出会ってからも彼女と同じだった。だけど里紗は……僕がドジって問題を起こした時、独りにならないようにしてくれたんです。……たまにちょっとウザったらしい所もあるけど、明るくて優しい……そんな子なんです」

「……君は複数の女性と付き合ってるとあの子から聞いた。……何か特別な事情でもあるのかい?」

「……別に、僕はただ困ってる子を見捨てられなかっただけで……気付いたらこうなってたんです。本当は誰とも付き合わずにいたかった。一人でいたかったんです。元々他人の気持ちも考えられないような奴だから」

 

 二人は何も言わない。だから僕は続けた。

 

「……勿論彼女もその中に含まれてる。誰かと付き合って誰かがダメージを負うなら全員傷つけば皆平等でいられると思ったんです。……だけどそれは許されなかった。皆も人間だからって……僕はどうすればいいのかわからなくて……そのまま引き摺ってしまった。……だから僕は最低なんです。……何を言われても何も言えません」

「……一つ尋ねたい。もし複数が認容されたとしよう。……あの子を幸せにしてやれるかい?」

「……分かりません……僕はそこまで出来た人間ではありませんし。……でも努力はします。……だって、こんな僕を好きだと言ってくれた皆の為だから。彼女にも励まされました。だからここまで来れた」

「……そうか。じゃあ私達は何も言わない。……あの子が幸せならなんでもいいんだ。あの子はただ、昔から慌ただしかったりしたからこちらから何かとしてやらないと不安だったんだ」

「なら、そう伝えてきますよ」

「え?どこに行ったかわかるのかい?」

「伊達に三年以上腐れ縁してませんよ」

 

 そう言って外に出てひとっ走り始めた。その前に電話だ。

 

『もしもし?明久君ですか?』

「ごめんね姫路さん、里紗の家で一悶着あってデートはまだ先になりそう。夜時間空いてる?」

『全然大丈夫ですよ!それにちょっとこちらもトラブルがあってちょうど良かったです』

「わかった、時間になったら家まで迎えに行くよ。じゃ、切るね」

 

 走ること15分。着いたのは橋の下。……モモとナナと出会った時も橋の下だったな……とは言っても別の橋の下なんだけど。

 

「やっぱここに居たか」

「……明久……?どうして……」

「嫌なことあった時はいつもここに来てたろ?……君のお父さんとお母さんと話をしてきた。……帰ろう、君もお父さんとお母さんの話も聞かずにただ突っ撥ねてたらどうにもならないよ。……僕みたいになって欲しくない。……それに君のお父さんもお母さんも僕を認めてくれたんだ」

「……嘘だよ!そんなの嘘!」

「……君のお父さんもお母さんも君が心配で小言を言ったりするんだ。その気持ちは今の僕ならわかるよ。……だから帰るんだ。……こんな所で意固地になって何になる?……それにまだ君とのデートも控えてる。……君には元気出してもらわないと困る」

「……無理だよ!もうわかんない!お父さんもお母さんも嫌い!どうして……!私の話を聞いてくれないの……!」

「聞いてるさ、だからこそ僕を認めてくれたんだ」

「……私の話は聞いてくれないよ」

「じゃあ確かめに行こう。……とにかくここで地団駄踏んでも何にもならないだろ。……行くんだよ!ほら!」

「放っておいてよ!」

「放っておけないからここまで来たんだよ!ワガママも大概にしろ!」

「……どうして明久までお母さんみたいな事言うの……!」

「話を聞いてないのは君の方だ!君のお父さんとお母さんがどんな思いで君の元を離れてまで……!わかってるのかよ!本当は好きで好きで仕方がないんだ!だけど君のご両親はそれでも!娘の為にと休まずに汗水垂らして海外まで働きに行った!それなのに……!最愛の娘の為に頑張ってるのにその娘が嫌いだとか言われたらどうなる!昔から慌ただしくていつも不安だったご両親の気持ちを考えた事はあるのかよ!……辛くても、苦しくても……!それでも君の為に頑張ってるご両親の事を嫌いだなんて言えるのかよ!……僕がこんな事を言えた立場じゃないのはわかってる!だけど僕みたいになって欲しくないんだよ!誰かに諭されてようやく家族としてやり直せるなんて情けないにも程がある!」

「……なんで明久がそんな事を言うの……明久には関係ない事でしょ」

「はぁ?」

「明久には私の家なんて関係ないでしょ……口出ししないでよ」

「……本気で言ってるのか……!?」

「関係ないでしょ!もういいよ……!私なんて……!」

 

 本気でムカついている。こんな里紗を見たくなかったと言うのもあるし、泣き言を言っていればどうにかなると思っているのだ。もうすぐ僕らは大人になる。だからこそ、そんな考えを捨て去って欲しくて里紗の両親は里紗に伝えたかったんだ。

 

「……いい加減にしろ!」

「えっ……」

「なんで僕がここまでしてやってると思ってんだよ!どうして泣いてる君を追いかけてきてここまで説教してると思ってんだよ!好きだからに決まってるだろ!好きでもない奴にここまでしない!君が大切だから!君が間違ってるから正しい道に戻そうとしてんだよ!」

「……」

「もう我慢ならない!無理矢理にでも連れてってやるからな!この甘ったれ!」

 

 そう言って無理矢理座っている里紗の手を掴んで引っ張る。里紗は何も言わないでただ着いてきていた。

 

 言葉を交わさずに元来た道を引き返す。周りの視線なんてどうでもいい。あそこに居たらもっと酷い事になっているから。

 

 公園にやってきて少し休憩する為にベンチに座る。項垂れている里紗にスポーツドリンクを投げると少し変化があった。

 

「……嫌いになったでしょ、私の事」

「は?」

 

 口を開くなりそんな事を言い始めた。何言ってんだコイツは?

 

「……これが本当の私。……明久にも見せなかった本当の、仮面を外した私。駄々っ子で、甘えん坊でどうしようもないろくでなし。……明久にまで心配かけて……こんな私が嫌だった。だから誰に対してもいつものような仮面を着けた……『明るい籾岡里紗』ならこんな内気で暗い自分をいつの日か自身で殺せると思った。……だけど無理だった。……現実から目を逸らす度に私はこうなる。だから、初めて明久と出会った時……私と明久は似てると思った。だから話しやすかったし、一人にしていたら私を見ているようで辛かった。……だからあんたにずっとだる絡みしてた。……要はあんたを利用してたの。……最低でしょ?」

「だからなんだよ」

「えっ」

 

 ベンチに座って僕も考えを述べ始めた。

 

「利用してたかどうかなんて知った事じゃない。現に僕は独りではなかった。君が話しかけ続けてくれたお陰で……腐れ縁のお陰で崩壊せずに済んだ。同情して欲しいなら他の奴に言うんだな。僕はしない。そんな事して何にもならないのを知ってるからだ」

「……そう」

「嫌いになったなら君にここまでしてねぇよ。……ったく、どうして怒ってるかわかってる?……くだらない考えに取り憑かれて周りに迷惑かけて……産んでくれた人に嫌いなんて抜かしたからだ。……僕は確かに父さんと母さんは苦手ではあった。だけど嫌いなんて一度も言ったことはない。……自分の為に言ってくれるお父さんとお母さんに対して嫌いとか言う奴を僕は絶対に許さない」

「……」

「だから謝りに行くんだよ。僕も頭下げてやる」

「えっ、いいの……?」

「……その代わりちゃんと反省すること。親と色々ちゃんと話すこと。前にも言っただろ。一度伝えただけでその人の考えは変えられない。だけど伝え続ける事は無駄じゃないって。……今日のデートは後日に繰り越しだ。……全く、つまらん事で中止しやがって……ツケはちゃんと払ってもらうから覚悟しとけよ、里紗」

「……うぅ……ごめんなさい……!ごめんなさぁい……!」

 

 僕の膝で声を上げて泣き出す里紗。……全く、こんなんだから世話が焼けるし、放っておけないのだ。

 

 里紗が泣き止んだ後、里紗の家へと戻る。

 

「……お父さん、お母さん……ごめんなさい」

「……里紗……」

「私が間違ってた。……私の為に言ってくれたのも分からずに……本当にごめんなさい」

「……良いんだ。何も告げずにただ置き手紙をして海外へ行った私達も悪いから。……明久君、君にはなんとお礼をしたら良いか」

「……別に、お礼を言われるほどの事はしてません。じゃあ僕は帰りますから家族水入らずでどうぞ」

「ありがとう、明久君」

 

 そう言って出て行くと、里紗がこちらにやって来た。

 

「……ありがとう、明久……やっぱり明久しか私には居ない。……これからも迷惑かけるけど、かけないようには頑張るから……だから、好きでいていい?」

「バカな質問をするんじゃない。……ったく、どうして……んっ」

 

 悪態をつこうとした瞬間、里紗が抱きついて顔を近づけてくる。……里紗とのキスは何度目だろうか。……二度目だったかな?一度目は勉強合宿の時だった気がする。

 

「……ありがとう、大好き」

「……やれやれ……ほら、お父さんとお母さんの所に行ってきな。ちゃんと元気出すんだよ」

「うん!」

 

 笑顔で家の中へと入っていった。頭を掻きながら姫路さんに『里紗とは別の日になったから今から迎えに行く』とメールをして家へ向かう。うろ覚えだったからあれだけど表札とか見ればわかるだろう。

 

 そうこうしている間に小さな可愛らしい家の前に着く。表札には『姫路』と書かれているので多分ここだろう。インターホンを鳴らしてみる。

 

「ごめんください、姫路瑞希さんのお宅はこちらでお間違いありませんでしょうか」

『あ、はーい!暫くお待ち下さい!瑞希ちゃん、明久君が来たわ』

『わかったー!』

 

 敬語じゃない姫路さんは新鮮な気がする。一分も経たないうちに可愛らしい服に身を纏って現れた姫路さん。

 

「おぉ、可愛い」

「そうですか?ありがとうございます」

「瑞希ちゃん、ファイト!」

「うぅ……!お母さん!茶化さないでよ!」

「嘘!?お母さん!?姫路さんそっくりだし……えぇ……!?若過ぎるでしょ……」

「あら、嬉しいわねぇ……でももうオバサンよ?」

「見えませんて、姫路さんそっくりですもん」

「おほほ、今度お家にいらっしゃい。サービスするわよ」

「もう!行ってくるからね!」

「楽しんでね〜」

 

 姫路さんの家を後にして僕はぶらりと歩き始める。

 

「……そう言えばさ、昔僕ら飼育係だったじゃん?その時の事を思い出したんだ。ナナと出掛けてる時に」

「……あの時は自分の知識の無さを恨みました……もうあんな事が無いようにしようと誓って私は勉強を沢山したんです」

 

 五年生の時になる。彼女と僕は飼育係で、ウサギの世話をしていた。ある日、ウサギが死んでしまって、彼女はそれを気に病み、元々体が弱かったのもあって入院してしまって……その時にお見舞いに行ったのだ。……ずっと木の上に登って彼女の病室の前で待つというストーカーみたいな方法で。

 

「そしたらいつの間にか明久君とは逆転してました……勉強を教えてくれた明久君がおバカになって、私が教えるなんて」

「皆信じないだろうね」

「そういえばなんで昔は春菜ちゃんも私も名前呼びだったのに今は名字呼びなんですか?」

「深い意味は無い」

「じゃあ昔のように瑞希ちゃんって呼んでください、若しくは瑞希って」

「瑞希」

「……はいっ」

 

 凄い嬉しそう。頭を撫でながら何処へ行きたいかを問う。今の話を聞いて『小学校』と出たので僕らが卒業した小学校へと足を運ぶ。

 

 着いた途端に目に入ってきたのは懐かしの校舎。今も変わっていないのか、外見はそのまま。内装はどうだろうか……取り敢えずインターホンを鳴らしてみて……

 

『どちら様?』

「あぁ、ここの卒業生で。見学したいんですけど宜しいですか?」

『卒業生?少しお待ちを』

 

 そうして出てきた一人のおじさん。……僕はこの先生をよく知っている。いや、忘れるはずもない。

 

「栗松先生?」

「おや、どうして私の名前を……ん?君達は……もしかして吉井君と姫路さんか?」

「はい!お久しぶりです」

「なんと……ここまで成長して……」

 

 栗松先生。科目は社会を担当していた。僕らの担任だった先生で、優しく厳しい先生だったのを覚えている。こんなに老けちゃって……4年か5年前になるのか?それくらい経つのに覚えてくれていて嬉しい。

 

「そう言えば西連寺さんはどうした?君達いつも三人でいただろ?」

「今日は都合が合わないらしくて。なので二人で来ました」

「なるほどな。上がりなさい。教室とかタイムカプセルとか見てくといい」

 

 タイムカプセル。何を埋めたんだっけ?もう忘れてしまったな……

 

「校長先生は変わってしまったがね、まだ君達の頃にいた先生達も居るよ。例えば……原田先生は覚えているかい?」

「はい!美術の先生ですよね」

「そうだ。未だに現役でバリバリ働いているよ。後は……野茂先生とかかな」

「算数の先生だ!」

「そうだよ。まだ学校にもいると思うよ」

「栗松先生!……あれ、どちら様です?」

 

 若い女の先生が。多分新人の人とか?

 

「あぁ、ここの卒業生でね。そうだ。吉井君、姫路さん。この人はね……なんと音楽の加藤先生の孫だよ」

「「えぇぇぇぇ!?」」

「祖母を知ってるのですか?」

「僕がリコーダーを吹けるようになるまで何度も教えてくれてお世話になりました……」

「私も同じです」

 

 あのおばあちゃん先生は何度も僕に手取り足取り教えてくれた優しい先生だった。僕は普通にお婆ちゃんと接する感じで好きだったし、あの加藤先生に対しては悪ガキですら手を貸したりと皆から愛されていた先生だったのである。

 

「なるほど……孫の清美です。宜しく」

「「よろしくお願いします」」

「そう言えばどうしたんだい?私に何か用事でもあったかのような雰囲気だったが」

「いえ、見知らぬ二人を連れていたので……卒業生だったんですね?何期生です?」

「えぇと、確か今高二だったかな?」

「はい」

「55期生だ、結構うちも長い事やってるからね」

「そうですか……これで帰りだったんです。失礼します」

「あぁ、お疲れ様」

「二人のことをお婆ちゃんに聞いてみます。きっと驚くかもしれません」

「そう言えばここから近いのだろう?連れてきてはどうかね?きっと喜ぶ」

「お婆ちゃんに聞いてみます。後で電話しますね」

 

 そう言って加藤清美先生は帰っていく。僕らは校庭へと赴いた。懐かしいな。ここで運動会だとか体育だとかを行い、夜遅くまで皆でここでサッカーをしたものだ。

 

「タイムカプセル、どこに埋めたか覚えているかい?」

「忘れる訳ありません。あの銅像の下ですよね」

 

 そう言って体育館の手前の銅像を指差す。

 

「正解だ。5年後とかに設定していたから君達はちゃんと約束を果たしに来た。……他の子達はもう忘れてるのかもしれないがね」

「堀りに行ってみていいですか?」

「あぁ。ただ元に戻しておくれよ」

 

 そう言われて僕はスコップを借りて銅像の元へ行き、地面を掘り始める。花壇になっているが、花は咲いていない。ここにはタイムカプセルが埋めてあるのを皆に伝えているのだろう。

 

 記憶を頼りに掘ってみると、何人か覚えている名前のカプセルが。それは開けずに掘っていく。そうすると……

 

「あった!僕の名前と……西連寺さんと瑞希の!」

「ほんとです……何入れたか覚えてません……」

「きっと驚くと思うよ、ほい」

 

 瑞希に西連寺さんと彼女の分を渡し、僕は僕の名前が書かれたカプセルを開けた。そこには……

 

「……そうか……通りでないわけだよ……ずっと探してたのに……そうか、過去の僕はこれをこの中に入れたのか……」

 

 中から出てきたのはお父さんとお母さんから初めて買ってもらった小さな玩具だった。……これを思い出として僕はこれにしまったんだ……

 

「……私もそう言えるようなものが出てきました、これ、お母さんから貰った小さなお人形です」

「帰ったらこれは部屋に飾るよ。僕はね」

「私も飾ります」

「おぉ、本当に見間違えたねぇ……吉井君に姫路さん」

 

 お婆さんの声が聞こえてくる。振り返ってみると、忘れもしない加藤清美先生のお婆さんである加藤和代先生が。

 

「お久しぶりです!またお会い出来るとは……本当にありがたい……」

「お久しぶりです、先生……また会えて嬉しいです」

「私も嬉しいよ。そうね……もう5年も前だものね……」

「先生はもう退職なさったので?」

「えぇ。今は余生を過ごしていますよ。吉井君達はどう?楽しい?」

「辛い事もありましたけど、今はとても楽しいです。……先生がいつも笑顔でいなさいと教えてくれたお陰で、僕もここまで来れた」

「本当にあの頃のあどけなさとかも無くなってるものね……それに大きな壁を乗り越えたと見えますよ」

「えぇ」

 

 加藤先生と栗松先生と応接室にて話をすること一時間半。

 

「あらま、もうこんな時間。今度機会を改めてまたお話しましょうね」

「是非お願いします」

「はい、先生とのお話はやはり楽しいですし」

「おほほ、嬉しい事言ってくれるわねぇ」

「栗松先生も、今日はありがとうございます」

「また来なさい、歓迎するよ」

 

 そうして見送られながら学校を出る。あと一時間半。何をしようか。

 

「……楽しかったですね」

「あぁ……昔に戻ったみたいだった」

「……明久君、聞いて欲しい事があるんです」

「何かな」

「……私、ちゃんと明久君に伝えたくて。この気持ちを」

 

 ……いつの日か……そう、皆で旅行に行った時はララの機械で無理矢理本心を言わせたけど、遂に来たのか……

 

「明久君が好きです。……本当はララちゃんや里紗ちゃん、ヤミちゃんとかライバルが多くて諦めかけました。……モモちゃんがハーレム計画を教えてくれるまでは……明久君、私は何番でも構いません、あなたの中の最下位でもいい……私はあなたが好きです、だからずっとそばに居たいんです」

「……うん、僕も嬉しいよ。そう言ってくれること」

「じゃあ……!」

「……誰か一人を選べないようなこんなクズで良ければ……」

「明久君は優しいんです。皆に傷を負わせまいと頑張っていたんですから。お母さんもハーレムには賛成してるんです、瑞希ちゃんの好きにしなさいって」

「そっか」

「恨むなら私を虜にした明久君自身を恨んでください。皆も明久君が好きなのは分かってます。ですから私だって負けません」

 

 そう言ってキスをしてくる。……今日で三人の女の子とキスをした訳だが……やはり良心が痛む。

 

「……やっと言えた……やっとキスもできた……ここまで、長かったです……ずっと引っ込み思案で……臆病だったんですけど……やっと、言えました……」

「……ありがとう、瑞希……僕の為に」

「はいっ」

 

 残りの時間はゆっくりと、彼女とお話をしたりして時間を過ごし、彼女を家まで送り届けて一日目が終わる。得る物が多かった。明日はモモ、メア、ヤミ、ルンさん。なんとも濃い宇宙人メンツ。……だが全員満足させるまで止まらんと決めたのだ。最後までやり抜いてみせる。そう考えながら家へと歩いていった。

 

 

 ◆

 

「もしもし春菜ちゃん?」

『どうしたの瑞希、明久君とのデート終わった?』

「うん、伝えてきたよ。ちゃんと気持ちを」

『そう、私も頑張らなきゃね』

「そうだ、今日デートで思い出の小学校に行ってね、タイムカプセル取ったり先生達に会って来たの」

『ほんと!?』

「勝手だけど春菜ちゃんのも持ってきたよ。開けてないから安心して、今度渡すね」

『ありがとう、タイムカプセルかぁ……にしても先生元気だった?』

「加藤先生とか元気だったよ」

『嘘!?私も会いたいな……』

「またおいでと言われたから今度は三人で行こうね」

『うん!あ、そうだ、名前呼びされた?』

「うん。明久君にお願いしたら呼んでくれたよ」

『よーし、私もその作戦で行こう!ありがとね瑞希!』

 

 電話が切れる。自分からキスした時、頭がふわっとした。幸せな気持ちで満たされていったのを感じた。……誰かを好きになると言うのがこんなに嬉しい事だなんて。しかもハーレムだから誰も傷つかない。私は明久君に出会えて良かったと思っている。それに……

 

「瑞希ちゃん、お風呂沸いたよ……あら?それって……」

「お母さん、いつもありがとう!」

 

 私を産んでくれたお父さんとお母さんに感謝しつつ、私はお母さんと一緒に下へと降りていった。




えー、十数人分デート内容を書くのが難しく、アドリブを効かせた上で短めに書いています。適当な文章である事をお詫び申し上げます(n回目)
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