朝早くに目が覚めてしまって、寒いので二度寝を決めた僕。次に目が覚めたらリビングに居た。
今は朝の九時前。何故か簀巻きにされて、僕は皆から笑顔の中に隠された殺意の視線を浴びている。この光景は朝一番としては非常に宜しくない。
「ねぇ、どういう事かな?どうしてヤミちゃんとベッドインしてたの?」
「僕は何も知らない!ヤミが勝手に入って来たんだ!」
間違った事は言ってない。ヤミに『一緒に寝たいです』と言われて何も言わなかったから。多方、この中の誰かが起こしに来て、ヤミと寝てたからこういう行動に出たのだろう。……全く、僕の安眠をなんだと思って……
「……でもアンタの部屋行った時にアンタがヤミちぃに覆い被さって……ヤミちぃも顔真っ赤にして息荒くしてるんだもの。事後かと思ったよ」
「うっ……!」
言われた通りである。一度目に起きてみればヤミに覆い被さって……ヤミが色っぽい声を出して悶えていたのだ。誤解しないわけない。……なんであの時の僕は退かなかったのだろう。恨むぞ……
「明久は悪くありません……!私がワガママ言っただけです……!」
「や、ヤミ……!」
君だけは庇ってくれるんだね……と思ったけど発端この子のせいだからそうでもない。……こんな事考えたくないけど彼女が悪いから仕方ないのだ。僕は悪くない。
「……あの姿勢も私がやりました、寝てる間に一度覆い被さってもらった後に髪をトランスさせて明久を動かして……」
おい待て。一度は僕が自分からやったと言うのか?……あの、皆様方その視線やめてくれません?痛過ぎます。ヤミに対しては『なんで先越すんだ』という視線と『羨ましい』と言う妬みと羨望の眼差しがフィフティーフィフティー。
「あのねヤミちゃん?明久を好きでいてくれるのはありがたいけれど、流石に溺愛し過ぎでは無いかしら?」
仕事から帰ってきた母さんが眠たそうにヤミに言う。……それここにいる全員に当てはまるだろう。
「……明久のお母さん、私は自分の気持ちに嘘はつきたくありません。それを明久から教わりました」
「ヤミちゃん……」
……ここまで成長してくれて嬉しいよ、ヤミ……君が自分で決めた上でそこまで思ってくれているのなら僕は許してあげようかn……
「だから明久とベッドインする事も疚しくありません」
前言撤回。疚し過ぎるんだよなぁ……自分の行いをなんか良さげな事を言って正当化させるのは大変宜しくありません。今回は10-0でヤミが悪い。反省しなさい。
「そんな事言ったら私達だって明久大好きだから一緒に寝たいよ!」
「そ、そうです!」
「待って瑞希、アンタは皆が羨む事をしたでしょう?明久の上で寝て……何そのボーナス?許せないんだけど?」
「そうよ瑞希ちゃん。よって今日はアキ君と私が一緒に寝るから……」
「そんなの通るわけないでしょう!」
ワーワーギャーギャーと騒ぎ始めてしまった。僕はヤミの変形させた髪の毛によって縄を切ってもらった。どうしようかと考えていたら手を叩いた母さんが静かに口を開く。
「騒ぐのはダメよ?」
「「「「は、はい……」」」」
「皆頭を使いなさいな、私は明久と寝る事は禁止してないはずよ」
……は?何を言ってるんだ?
「そりゃ貴方達の気持ちも分かるもの。だから明久と寝る事は問題ありません。……でも我が家でのいざこざは明久も禁止していたはずでしょう?上手くやりなさい。そうすれば明久もOKせざるを得ないのだから」
「何言ってるのさ!?」
「私はまだ寝足りないから寝るけど……五月蝿くしないでね?」
「あ、大丈夫だよ明久のママ!私がこの家を防音にしといたから!例え隣の家が工事してても何も聞こえないよ!」
「あらほんと?嬉しい事してくれるじゃない……ほんっと、バカな息子には勿体ないわ」
「えへへ」
試しに母さんの部屋の前で実験。母さんの部屋の前で色々叫んでみたが、部屋の中に居たら何も聞こえないとのこと。ララが有能過ぎる。
「じゃ、好きにやりなさい。家を防音仕様にしてくれたんでしょう?なら多少騒ぐのも許すわ。明久、アンタが意固地になったり、頭が固いからこの子達も苦労してるのよ。ちゃんとある程度は許容する姿勢とかも大事だからね」
「だからデートとかはある程度は何してもいいみたいに言ってるよ」
「宜しい。アンタの人生だから親がグチグチ言うつもりは無いけど、如何せんハーレムだからね。……誰か一人でも泣かしたらアンタを吉井家から追放するから」
……もう里紗泣かしちゃったんだよなぁ……黙っておこう、言わぬが仏。触らぬ神に祟りなしである。
「にしてもヤミちゃんは本当に明久が好きなのね……」
「明久以外の男には興味ありません」
「こらぁ!そうやってまた明久独占して!」
「今までのヤミさんはどこ……?別人だよ?」
「そうなの?」
「最初の頃はまだアキに対して『近寄らないでください』とか結構毛嫌いしていたんだけどね……何が起こるかわかんないよほんと」
「ヤミちぃは堕ちないと思ってたのにね……」
「洗脳……?」
「するわけないだろ。ヤミがコロッと変わっちゃったんだよ。僕だって驚いた」
「ヤミお姉ちゃんはずっとせんぱい好きだったんだよ?素直になれないクールな女の子だったから……今じゃそんなの微塵も感じないけど」
メアが教えてくれた。それに対しヤミが知りませんという顔をして言った。
「前の私がどうかしていたのです」
「話はそれくらいにしておいて!早く出掛けましょう。今日は私からよ」
「じゃあ私達は明久の部屋で寝床セッティングしておこーっと」
「手伝います」
不穏な言葉を聞き流し、僕は沙姫ちゃんを連れて外へ出始める。少し歩いてから尋ねてみた。
「さてと、どこか行きたいところある?」
「そうね……今日は思い出の場所に行くわよ」
そう言って腕を引っ張られる。思い出の場所?何処だろうと着いていくと段々思い出してくる。彼女が嫌だと泣いていたのに無理矢理連れて行って僕が消える事の無い怪我を負った場所。その麓に来た所で完全に思い出した。
「懐かしいわね、アキ君に惚れていたのに再度惚れ直しちゃった場所よ」
「……自業自得だろ僕の……辞めとこうって言ったのを聞けば良かったと思っているよ」
「でも私は楽しかったわ。泣いたりもしたけれどね。……まだ全然変わってないわね」
山の中だった。この山は頂上に辿り着くとそこから見下ろす景色が凄い綺麗だから連れて行きたかったのを今でも覚えている。
「……今度は君を連れてくよ。……一度は連れてけなくて諦めたけど、今度は大丈夫だから」
「えぇ。さぁ!エスコートなさい!」
「いつものお嬢様モードだね」
「たまにはね、早く!」
「分かりましたよ、お嬢様」
腕を組むとニコニコしながら着いて来る。あの時は運悪く狼が迷い込んだからあぁなったけども、今回は問題なかろう。居ても問題ないが、そもそも狼なんてもう居ないだろう。居たとしても今なら何とか出来そうだし。……とまぁこんな心配は全て杞憂に終わる。何にもなく連れて来れた。
そこから見える景色も変わらない。彼女と共に大きな木の下に座り、文月の町を眺める。
「凄い綺麗ね……こんな所があったなんて」
「……あの時はこの景色を見せたかったんだ。父さんと2人で来たこの景色を見せたくて……でも、あの時は入るなって言われてたのに入って君を心配させて……離れ離れになって……でも、ようやく見せてあげられた。約束を果たせた……遅くなってごめん」
「……いいの。ありがとう、アキ君」
それから頂上で思い出話とかして、下山して三時間が経ったアラームが鳴る。
「行きなさい、アキ君。皆を幸せに出来るのはあなたしかいない。だから全部デート終わったらまた私と二人きりで出かけたりしましょうね」
「勿論。約束しよう……ほら、昔みたいに指切りげんまん」
「良いわね、あの頃に戻ったみたい」
指切りげんまんをしてから沙姫ちゃんは僕の家へと戻っていった。ここからだったら自分の家の方が近いのに。次は……ティアーユ先生か……うーむ、何をしたいのだろう?よく分からないな……取り敢えず電話をかけてみよう。
『もしもし!明久君?』
「はい、先生の番ですよ」
『じゃ、じゃあ!駅前の喫茶店に来てくれるかしら!お店の前に居るわ!』
「分かりました」
ダッシュで駅前へ。女性を待たせるのは宜しくないとFFF団の数少ない良い所を踏襲し、その教えを守る。駅前に行くと縦セーターを着た金髪の巨乳眼鏡お姉さんがスマホを見ながら立っていた。……何あれ?行き交う男達の視線を集めてませんかね?まぁこのままだと声掛けられそうなので先手必勝。
「お待たせしました」
「あ!明久君!来てくれてありがとう!」
こちらに気付くなりその二つのメロンを揺らしながらこちらにやって来る先生は言っては悪いけど男が寄って来ないわけが無い。だって今僕の顔を見て舌打ちしたり恨めしそうな顔をして見ている輩が沢山いるんだもの。
「今日は先生のしたい事をする日です。三時間の間僕に可能な限りしたい事を言ってください。大抵は断りません」
「では行きましょうか」
眼鏡を外した先生。あれ?マジで大人バージョンのヤミじゃないか。腕に抱き着いて……てか身長差あまり無いんだな僕と先生って。
「あれ?吉井じゃん」
そんな時、後ろから声がかかる。声の主は……げぇ!須川君に近藤君!?
「あれ?その人……」
ヤバい。こいつら平気でバラすから『先生と生徒でデートへ行った』とFFF団にバラしかねない。そこから学園に伝わり、僕とティアーユ先生は学園を去る事になる。ヤバい、なんとかしないと……そ、そうだ!
「この人はね、ヤミのお姉さんなんだ。ヤミって分かるだろ?金髪で髪の毛が変わる子」
「あぁ、お前の親戚の子だったか?」
そういう設定なの忘れてた。まぁいいか。演技を続けないといけないね、僕と先生の未来の為に。
「ヤミのお姉さんなんだ。田舎から出てきて右も左も分からないから色々教えてあげてるところ」
「なんだ、ティアーユ先生かと思ったよ」
「あ、あぁ!ティアーユは私の双子のお姉さんなの!よく似てるって言われるわ。声も似てるから結構悪戯とか出来るのよ」
おぉ……!演技してくれるか!ちゃんと危機的状況だとわかっているからな。先生は聡明だ。
「そうなんですか……また吉井にハーレムが増えたと思ったよ」
「あぁ、今日は装備ないから勘弁してやるけど学校行った時覚えてろよ」
「分かった、Bクラスの岩下さんと菊入さんを紹介するから何も見なかったことにしてくれ」
「「お前と友であった事を心から感謝する」」
この掌返しである。流石に相手を潰すより自分の幸せを取るか。それもそうだ。彼女欲しい組に手に入れる事の出来る可能性を与えてやれば大人しくなる。
「じゃあ何も見てないね?」
「あぁ、吉井は1人で買い物していた。これでいいだろ?」
「助かる。じゃあ二人には連絡しておくから。ちゃんと下心剥き出しにせず真摯に対応するんだぞ」
「「ありがとう吉井大明神様!」」
そう言って何も言わないのを約束して帰っていった。岩下さんと菊入さんは彼氏募集中だったと聞く。なんとかなるだろうよ。
「にしてもよくバレなかったわね……」
「アイツら察し悪いですし。では気を取り直して……何処へ?」
「カフェでお話しましょう。色々と話したい事もあるし」
そう言われて緊張する中、腕を組んでカフェへと入っていく。中には人は多くは無かったがやはり知り合いが居るのは避けたいところ。まずはカウンターにて注文を済ませなければ。
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
「ブレンドのLサイズ、ホットで」
「隣のお客様は?」
「え、えっと……そ、その……こ、これ……」
指差したのはカフェオレのLサイズ。なら僕が頼んであげよう。
「カフェオレのLサイズで」
「畏まりました、お席にお持ちします」
席に向かうと先生は肩を竦めてしまう。聞けば教師モードではない時はアガってしまって緊張し、上手く話せなくなるとの事。
「ごめんね明久君……」
「少しずつ慣れればいいんです。僕もあんな時期がありました。皆と居たらすぐ治りますよ」
「そ、そうかしら」
「僕も何かあればお力添えしますから。ね?」
「ありがとう……そうだ!明久君にいつもお世話になってるから私に出来ることがあればなんでも言って欲しいの!明久君のお願いを聞く……かしら?とにかく、お礼がしたくて。明久君はそんなのいいと言うけれど私の気が済まないから。何かないかしら?」
「そう言われても……」
いきなり言われて『はい、これやって下さい』なんて言えない。なんかあったかな……勉強面は問題ない。家事も特には……
「そんなに難しく考えなくていいのよ?何かこれしてほしいーとか……」
「先生が楽しく地球での生活を満喫してくれるなら僕はそれで満足ですよ」
「……そんなの狡いでしょう……反則よ……」
「狡い男で申し訳ない」
「……そんなんだから皆好きになるのよ?分かってるの?」
「でも優しくするのは当然でしょう?優しくせずに厳しくなんて僕にはできない」
そう言うとあからさまに頬を膨らませる。なんだ今の、可愛過ぎやしないか?ヤミもたまにこういうのを見せてくれるが、ティアーユ先生がやるとまた違った魅力がある。
「でも……ヤミちゃんが変わった理由もよく分かったわ。あなたの優しさのお陰ね」
「そう言えばイヴって呼び名から変えたんですね」
「あの子が皆からヤミちゃんって呼ばれてるからね。……もうイヴはあの頃のイヴじゃない。もう変わったのよ。だから私も変えていかないと」
「そうですね……ヤミももう変わりました……初めて会った時の事は衝撃的過ぎてまだ覚えてます。……そして今とのギャップも……今でも同一人物か疑う事ありますし」
「あの子は不器用だから許してあげて欲しいの」
「……えぇ、よく分かります。……変なとこで律儀で……不器用で……だから放っておけなかった」
こんな事言ってるけど結局は自分の自己満足である。女の子が殺し屋なんてやってるのは嫌だと言う自分のワガママが起こした行動。それでヤミは変化したから僕は良いと思っているが、まさかここまでなるとは思ってなかった。前までは『近寄らないでください』とか『あなたと話すのは不快です』といった態度なのに今では名前を呼んでこっちに来て抱きついたり一緒に寝ようと言ってベッドに入ってきたり。これで同一人物かどうかと言われれば僕は頭の中がクエスチョンマークで埋め尽くされ、きっと訳の分からない事をされて宇宙が見えている猫のようになってしまうだろう。
「先生は僕になにかさて欲しい事とかありますか?今なら大抵の事はあと一時間は出来ますよ」
「本当?じゃあ……そ、その……私恋愛とか生まれてこの方した事がなくて……同じく恋愛にはからっきしだったはずのミカドに弄られてばっかで……恋愛小説で見た事を実践させて欲しいの……だめ?」
「い、いいですけど……何するんですか?」
「えぇとね……腕組んでお散歩は良くしてるし……その……一個のドリンクを二つのストローで飲む……とか?」
……それコーヒーでやる意味とは。それってあれだろ?カップル専用のドリンクについてくる二本のストローでハートの形を作っておりそれを一緒に飲むってやつだろ?……あれ街中で見かけるけど凄いよね、人前でよくできると思う。
「そ、それは良いですけど……その、誰かいたら困るので僕の部屋でお願いします」
「そ、そうよね!」
「それに僕と先生が学校の誰かにこんな事してるって知られたら僕も先生もきっと居場所を失うんでね……申し訳ない。家とか人の居ない場所ならなんでもいいですから」
「本当?じゃあまずはコーヒー飲んでここを出ましょう」
やけに元気になった先生を見ながらコーヒーをイッキして喫茶店を出る。腕を組みながら周りをやけに警戒する先生が向かったのは家の近くの公園だった。この時間は人も居ない。たまにお年寄りの人が公園を通るくらいで今は普通の学校は授業があるのだ。
「ここまで来たら良いか……こほん。明久君にお願いがあります」
「はぁ」
改まってどうしたんだろうと見てみると、何故か自分の頬を叩いた先生。そして……
「私と、キスして下さい!」
「……え?」
「そ、その……チューです!接吻です!」
「そ、そこまで言わなくても分かりますけど……先生はいいんですか?」
「あ、明久君以外になんてしないわよ……だめ?」
「良いですけど……どうぞ、お好きに」
「そ、そう?じゃあ……」
先生の顔が近づいてくる。なんか最近お風呂にシャンプー増えてるけど僕の使ってない奴を使ってると思うのだが、やはりいい匂いがする。シャンプーだけではない、きっと先生自体が良い匂いするんだろう。こんな変態紛いな事言ってるけど本当に良い匂いがするのだ。唇が近づいてきて……
おでこ同士でぶつかった。
「痛い……あうぅ……」
「ご、こめんね……?緊張したら……そ、その……変に震えちゃって……」
仕方ない。経験者がリードしてやるしかない。先生、悪く思わないでください。そう心の中で伝えて先生の手を引っ張って唇を奪った。……元の僕なら絶対にしそうに無い事だが、今ならば出来る。唇同士の触れ合いを辞めて離れると先生の顔が林檎より赤くなっていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「は、ふぁい……」
「……先生良い匂いするから緊張しました……いきなりこめんなさい、こう言うのは男がグイグイいくものだと思ってたので……」
「い、いや!良かったわ!ほんと!これがキスするって事なのね……!キャー!」
なんかテンションがおかしい。まぁ、喜んでるならそれでいいか。持っていたお茶の入ったペットボトルを渡してお茶を飲ませて落ち着かせる。
数分後、落ち着いたのか空を見て深呼吸をし始めた。その後、眩しい笑顔で僕を見る。
「ありがとう、明久君……ミカドやヤミちゃん共々宜しくね」
「……えぇ」
「じゃあ私は家に戻るわね。後はネメシスに美柑ちゃんに西連寺さんにララさん……私は明久君がちゃんと皆を笑顔にできると信じてるから!」
そう言って走っていってしまう。次はネメシスか……そんな事を考えていると後ろから声がかかる。
「先程の熱いキスは良かったぞ?」
「……監視禁止って言ったはずだけど?」
ネメシスだ。こちらをいつものようにSに振る舞いながら僕を見下ろす。
「仕方ないではないか。散歩してて通ったんだから。……こんな不特定多数が利用する場所でキスするのはどうなんだ?ありなのか?」
「……これ以上言及するなら君とはどこも行かないよ」
「お前私には冷たくないか?」
「何もしなければ別に冷たくする事もないよ。……もう君も普通の女の子なんだからさ……」
「……私が……普通の女の子……」
そう言うと俯いてモジモジし始める。……なんだ?可愛くないか?
「……そうか、明久から見たら私は普通の女の子なんだな……」
「あの、急にただの萌えキャラになるの辞めてくれないかな?ギャップが凄まじ過ぎて耐えられない」
「……ふふ、そう思われてるなら私は良い。……先程は失礼したな。忘れてくれ。私ともデート、してくれるか?」
「勿論だよ、約束しただろ」
そう言うといつもの意地悪そうな顔とは全くかけ離れた優しそうな笑顔を作った。その顔は流石にドキドキする。
「……お前は本当に狡い奴だ。皆も口を揃えて言う。……かっこいいとか優しいとか……今ようやくわかったよ。……お前は本当にそこらの有象無象よりできた人間だ。……そんなお前とするデートはそうさな……今までのお前の事を知りたい……故にどこか落ち着いた場所に行って二人で話をしよう。そうさな、二人きりになれてかつ静かな場所……ふむ、あそこがいい。では目を瞑れ、明久」
言われた通りに目を瞑る。何をする気なんだろうか……
「もういいぞ」
「……えっ」
目を開けるとそこはなんもない部屋。四畳半くらいの綺麗な部屋。
「私とメアが住んでいた場所だ。今は廃屋みたいな扱いになっているが部屋の中は綺麗でな。……たまに出入りしたりする」
「……凄いな」
「では話してくれ。今までどんな生活を送っていたのか……どんな思いをしてきたか、包み隠さず」
そう言われて、何故だか不思議となんの抵抗もなく口から言葉が出た。今までどんな事が起きたか、どう思っていたか。それらを話しているうちにネメシスは膝枕をして頭を撫でてくれた。
「辛かっただろう……でも、お前は強い。……そんな事があって尚、私達を兵器から人間にしてしまったのだからな」
「……別に、自分のような思いをする人が他に居て欲しくないだけだよ。……ヤミにメアにネメシス……皆辛い事だって嫌だろうし……僕も一つ、聞いていい?」
「何?」
「……どうしてネメシスは、ダークネスになったヤミに刺された時……僕を助けてくれたの?」
「……あれか?……あの時の私は……お前に死なれたくなかったんだ。……初めてだったんだ。対等な目線で話してくれたのは。それに、お前は私の下僕だぞ?主人より先に死ぬ下僕があるか」
「……ありがとう」
「……そうだぞ。もっとありがたみを持つべきだ。てなわけで二つほど要求する。まず一つ。恋愛小説で読んだ事なのだが……私の身体を抱き締めろ、力強くな」
言われるがままにネメシスの小さな身体を抱き締めてみる。すると手を背中に回して抱き締め返される。
「……温かいな……そうか、お前の言いたい事とかようやく分かった……これが無いと辛いからな」
そう言って今度は顔を近づけて唇を塞いでくる。……さて、もうこれで10回はキスした事になる。……僕の口って臭くないだろうか?そればかり考えてしまう。
「ふふっ、安心しろ。ちゃんとお前は手入れをしている……故に臭わない」
「……そうか」
「……私はここで終わりだ。お前を家の前に帰す。……ふふっ、デートは終わるが、私の好奇心のままにお前を動かす。……お前を食べたくなった時は……遠慮なく私はお前を動けなくし、食べてしまうからな」
「……物好きだな、君も」
「こんな良い男を放っておくバカがあるか。……でも、お前はそれを望まないだろう。……だから待ってやる。……ちゃんと迎えに来い。それが約束だ。人間はこうやって約束するのだろう?」
ネメシスは小指を出してくる。指切りげんまんの事を言いたいのだろう。僕も差し出し、指を絡めて約束を交わす。……迎えに行く、か。
「……お前と出会えて変われた。私は前の私より今の方が気に入っている。お前を下僕と言ったがたった今それを破棄、お前とは対等だ。良いな?」
「……僕だって、君がいたから無茶出来たんだ。ありがとう、ネメシス」
「……ちゃんと全員デートを終わらせてこい」
その一言の後、気付けば家の前に居た。最後は……美柑か。デートって訳にもいかないんだよな……血の繋がった兄妹だし。
「アキ、帰ってたの?」
後ろから声がかかる。後ろには庭の掃除の終わりなのか、頭にタオルを巻いている美柑。
「ごめん、掃除してたの?手伝うよ」
「違うよ、ちょっと物置の整理をね。……アキと出掛けるなんて久々だなぁ……待っててね、すぐ用意するから」
美柑を待つ事五分。何やらオシャレして出て来た。
「さぁ、行こう」
「うん」
美柑と歩き出す。現在お昼過ぎ。西連寺さんも今日やるとして……最終日がララとはなんて運命なんだろうか。……にしても美柑が一緒に出掛けたいだなんて言うのはどれくらいぶりだろう?子供の時以来な気がする。
「どこ行くの?」
「どこでもいい。散歩して、昔みたいにお出かけ出来れば」
「わかった。行くよ」
美柑を連れて商店街の方へ。二人で来るのは随分と久しぶりだった気がする。
「お、明久君!今日は美柑ちゃんも一緒かい?」
「魚屋のあんちゃん、そうだよ」
「こんにちは」
「おう、随分久々に見たな、二人で行動するのは……明久君がいつも違う女の子と歩き回ってるからか?」
「そこまで?」
「そりゃそうさ。アキ坊は昔からモテるからねぇ」
「や、八百屋のおばちゃん!」
皆昔馴染みの顔触れである。昔からよくここで買い物する為、僕の事は知られているのだ。
「にしても今日は何を買うんだい?安くしとくよ」
「じゃあ……鱈頂戴」
「あいよ!」
「おばちゃん、白菜とほうれん草と春菊と人参、大根頂戴」
「もしかしてアキ坊鍋かい?」
「うん、人数多いから一番楽なんだ」
「アキ坊も大変ねぇ……何人だっけ?」
「20近くかな」
「仕方ないねぇ、安くしとくよ」
「ありがとうおばちゃん。安心して、僕ここ以外で野菜買わないから」
「ヒヒッ、上手だねぇ」
「待ちなアキ坊、鍋なら肉も必要じゃないかい?」
後ろから声がかかる。この人も知り合いと言うか目当てのお店の店員さん。
「肉屋の姐さん!」
「アンタも大変だねぇ、美柑ちゃん。モテモテな兄貴が居たら」
「えぇ、苦労してます」
「美柑ちゃんに免じて安くしとくよ。その代わりウチ以外で買ったらただじゃおかないよ」
「僕がここら以外で食材買うのは滅多にないよ。……とにかくありがとう」
「ありがとうございます」
「おう、また来いよな!」
食材をあらかた買って、美柑と散歩。にしても……
「色々変わったね、この街も」
「うん。前まで公園だった所が埋め立てられたりとか……橋が無くなったりとか」
「……今まで見ていた景色とまるで違う見え方だよ。……一時期、本当に居なくなりたかった。……でも、皆が居てくれた。……一番最初は美柑が支えていてくれたから引き篭るだけで自ら命を絶つなんて事はなかった。……そのお礼を言えてなかった。……ありがと、美柑」
「……アキが元気ならそれでいいよ。……アキ……お兄ちゃんが元気なら私はそれで嬉しいから」
「……本当にありがとう。……さて。今ならなんでもしてあげるよ?お兄ちゃんに任せなさい」
「ほんと?なんでもいいの?」
「まぁね」
「じゃあさ、頭撫でて」
そんな事でいいのか?と確認を取りつつも頭を撫でる。……最近そういや頭撫でてなかった……仕方ない。今日は特別大サービスという事で……美柑の持っていた荷物を強引に受け取り、美柑に背中に乗るように合図を送る。
「昔やったでしょ、おんぶ。荷物持ってても出来るから乗りなよ」
「う、うん……わかった」
美柑が覆い被さったのを確認すると、立ち上がっておんぶしながら歩き出す。
「美柑軽過ぎじゃない?ちゃんと食べてる?」
「そ、そんなに?」
「もっと重いかと思ってたのにこんなに軽いなんて不安になるよ」
「そ、そうかなぁ……ちゃんと食べてるけど……」
「いっぱい食べていっぱい運動して、いっぱい寝てれば大きなお姉さんになれるよ。……と思ったけど美柑の18歳の姿の時の見ちゃったからちゃんと今のまま育てばあぁなれるか。美柑はモテるだろうからね、ちゃんと気をつけなよ」
「……アキは、心配?」
「当たり前だろ?妹なんだから」
「妹……か」
そう言う美柑の声はとても悲しそうに聞こえた。帰りの河川敷で美柑と荷物を下ろして坂になっている場所に座って話をしてみよう。
「何か悩みでもあるなら話してごらん?楽になると思うよ」
「……良いよ。だって私の悩みは……永遠に解決することはないから」
「大袈裟な……何とかなるかもしれないよ?」
「……本当に、そう思う?」
「……僕が悩んでいた時より美柑の方がずっと大きいと思うけど、僕だって治るわけないと思ってたもん、自分の根暗な性格……でも治った。皆が居たからね。だからなんとかなると思うんだ。嫌ならいいけど、美柑の力になりたい」
少し悩んだ後、顔を赤くして質問を投げてきた。
「……アキは、叶わぬ恋があったらどうする?」
「叶わぬ恋……か。素直に諦める……なんて事も無いだろうしな……やるだけやってダメなら諦める……かな。例え分が悪かったとしても、諦めたくないし」
「……そっか。……次の質問。私の言う事、気持ち悪がらずに聞いてくれる?」
「まぁ、聞くよ。約束だし」
「……わかった、話すね。……私、恋をしてるの」
「……恋……だと……」
「……うん。好きな人がいるの。……でも、その人とは絶対に結ばれない。……だって、兄妹だもの」
「……兄妹……え?もしかして……僕?」
そう聞き返すと、顔を赤くしたまま首を縦に振った。
「……ごめんね……気持ち悪いよね、お兄ちゃんに恋するなんて……でも、他の男なんかより、一生懸命頑張って……誰かの為に頑張るアキを見てたら……それに、私の作ってくれた料理は美味しいって言っていっぱい食べてくれるし……そんな何気ない優しさを沢山向けてくれるアキを好きになっていたの。……だから私はアキと兄妹である事がたまに恨めしく思う事もある……こんな関係じゃなかったら、私は好きな人に告白できたのにって」
……どうしよう。こんな僕を好きになってしまった妹。だから叶わぬ恋……か。僕はどうするべきだ?思いに応えようものなら犯罪になってしまう。だからこそ僕は慎重に選ばねばならない。美柑の心を傷つけるわけにもいかないのだ。
「……美柑、保留にさせて欲しい。……今ここで結論を出すのは早計だからだ。……ちゃんと答えは出すよ。考えて、僕なりに考えて。……美柑を傷つけたくない。……最善の選択はある筈だから。それを探す。……それまで、こんなバカな僕を待っていてくれないかな」
「……わかった。アキ、私はハーレムでもいいから……何番でもいいから。……アキの、傍に居たい……その為に、ずっと……告白とか断ってきたの……」
モテてるのに恋人が一人も居ないのはそれが理由なのか。取り敢えず帰ってきて部屋に寝転がる。どうしたらいいんだ……わかんねぇ……
「明久、話が……何してんの?」
「……母さんか、何」
「デートももうすぐ終わりに近づいて来てお金足らなくなっただろうなって思って。どうしたの?元気無いけど」
「……鍵閉めて、真面目に話がしたい」
そう言うと母さんは部屋の鍵を閉めてくれた。身体を起こして母さんの方へ向く。
「……美柑と買い物に行ってきた帰りにさ。……美柑が僕の事好きだって」
「そうね、美柑はあなたの事好きでしょうね」
「兄妹としてじゃない……男女として」
「……そう……恐れていた事が起きたのね……予想はしていたけど」
「……美柑を傷つけずにどうすればいい?僕には分からない。傷つけないようにするならOKをするしかないけど犯罪になってしまう。断って拒めば、美柑が傷つく……僕のせいで美柑の心に傷を負わせるのは嫌だ」
「……あの子もアンタが引き篭ってた時にどうすればいいか相談してくる事が多かったのよ。ぶっきらぼうだったかもしれないけど、アンタが復帰するのを願って頑張っていたわ。……それはあの子があなたの事を兄以上として見ているからだと私は推測出来たけど……やはりどうすればいいのか分からないわね。私は応援してあげたい。……でも、やっぱり世間の目よね」
そこにノックが聞こえてくる。
『明久さん、相談があって……今大丈夫ですか?』
「聞いてあげなさい」
「いいよー」
鍵を開けるとモモがこちらの雰囲気を察して先に話を聞いてくれる様子。事の顛末を話すと「やっぱりね」と言ってこう言った。
「問題ないですよ、とある惑星じゃ姉と弟が結婚したりとか姉と妹がラブラブしてるなんて普通にありますし」
「宇宙って凄いわね」
「だからハーレムに入れてあげるんです、一応兄離れ出来ない妹として表面はやり過ごさないといけませんけどね」
「……そっか。美柑に話してこなきゃ」
「……良いの?あなたはそれで」
母さんに言われるけど、仕方ない。
「……誰も傷つかずに終わる方法がこれしかないならそれを選ぶよ。……皆が笑ってられるなら、罪を背負う事だってする。……カッコつけた言い方だけど、結局誰かが泣いてたりするのは嫌だからさ」
「……そう。私は何も言わないわ。あなたの決めた道ならね」
「……ごめんね、親不孝で」
「私はあなたに謝られる理由はないわ。むしろ私はついこの間まで親としてダメだった所があったもの。……それでおあいこよ」
「……モモ、ありがとう。相談って?」
「お話終わったらでいいですよ、部屋で待ってます」
礼を告げて美柑の部屋へ。扉を叩くと美柑が出てきてくれた。
「……答え、出たの?」
頷いてモモに言われた通りに話した。美柑の顔を見る事が出来ない。……クズな兄貴でごめん、とずっと心の中で謝っていた。
「良かった。……ごめんね、私がアキに辛い選択を強いてしまって」
「……お兄ちゃん、だからさ」
「……ありがとう」
抱きつかれて、仕方ないなと頭を撫でること三分程。美柑も元気になった事だし三時間も経つ前にモモに話を聞きに部屋へ戻る。
「さてと。相談って?」
「お姉様が何やらデートで『物凄い事をするのだ』と張り切ってまして。何かあったら連絡くださいね」
「張り切ってるから許してあげなよ……とにかく、僕は西連寺さんとのデート行ってくるから」
「行ってらっしゃいー」
現在の時刻、19時。22時までできるか電話で尋ねたらOK貰えたので迎えに行く。行きたい所が決まってるらしいから取り敢えず待ち合わせ場所の駅へ。
「あ、明久君」
「ごめん、待たせたね」
「今来たばっかだから」
その返しは無理があるとツッコミを入れたかったがそれも野暮なのでしない。
「どこ行くの?」
「如月グランドパークだよ」
ほう、あの少し前に隣町にできた遊園地。そうと決まれば電車に乗りこみ隣町へ。
「ずっとデートしてたの?」
「まぁね……傍から見たら女の子取っかえ引っ変えしてる屑だよ僕は」
「周りの目なんて気にしなくていいと思うよ。私達は私達だし」
「て言うか変わってるね、君達も……これを認容してるってのと……僕なんかを好きになるって……皆頭のネジ外れてないか心配になるよ」
「そう言う明久君は私達の事好きじゃないの?」
「……好きか嫌いかで問われれば前者だけど……いや、2年生の中で人気投票したじゃん?ベスト8に入ってる人多いよ?」
姫路さんやララ、西連寺さんはベスト8に入るほど人気がある。そんな美少女達が僕なんかに……どうしてこうなったのか、僕ですら未だに理解が追いついていない。
「仕方ないよ。明久君の行動が皆を惹き付けていったんだもの。私はもう小学生の時からそうだった。だって、私にとってヒーローだったから」
旅行に行った時に素直になる装置で言われたけど……僕は別に彼女だから助けた訳じゃない。他の子でも余程のことがない限りそうしていたつもりだ。そう伝えると知っていると返ってきた。
「明久君は誰にでも優しいって知ってるから。でもその優しさが私達を引き寄せていったって事は覚えておいて欲しいな」
「後悔しても知らないよ僕は」
「後悔するくらいなら最初からこんな事してないよ。……全部自分で決めた事。明久君も言ったよね?自分で決めたなら僕は何も言わないって」
確かに言った。自分の言葉が足枷になる……本当に良くない事だ。
「だから明久君に否定権はないよ」
「……分かってる。……最後の確認をしたかっただけ」
「明久君は最後までおバカだねぇ……私達は自分の信じた事をするだけ。それが最善の結果になるって事もわかってるから」
「……そうかい」
如月グランドパークに着いて、アトラクションを時間内に回り切ると言う作戦に出た。作戦自体は余裕で遂行できてしまう。メリーゴーランドなり、ジェットコースターなり。これだけ楽しんだのにまだ時間が残っている。
「どうする?時間余ったけど」
「帰ろう?今日は家泊まってもいい?」
「ララの部屋でいいならね。じゃ、帰るか」
「……待って、最後に……して欲しい事があるの」
「なんでしょう、今日の僕は大抵のお願いは断りません」
「ほんと!?……じゃ、じゃあ……き、キスを……し、して欲しい……か、かなぁ……えぇい!キスさせてください!」
思い切りが良過ぎる件。何も言わず頷くと、顔を赤くしながら木の下まで連れて来られ、いきなり頭を掴まれたかと思いきや、口が凄い勢いで塞がれる。あと少しで頭ぶつける所だった。
「……これが、キスなんだね……皆ともうしたんだよね」
何も言わない。無言は肯定であるという事を知っているからか、彼女はそっかと言って手を引いてくる。
「……明久君、ありがとう。初恋は実らないなんて思ってたけど、私はこれで良かったと思う。……明久君がハーレムを認容してくれたから、皆幸せになれると思うの」
「……僕は何もしてない」
「いいの。ほら、急いで帰ってご飯食べよう?」
「……そうだね。乗りなよ」
彼女をおぶって家へ帰り始める。明日で最後。色々とあったデートも……楽しかったデートも……
「……どうしたの?」
「……色々あったなって。この数日で……でも、楽しかった」
「ならまた行こうよ。……今度は3時間と言わず明久君をいっぱい連れ出すからね」
「……あぁ、連れて行ってくれ」
「最後のお願いしていい?」
「なに?」
「名前で呼んで欲しい、西連寺じゃなくて」
「……春菜ちゃん?」
「それは昔。今はちゃん付けないでしょ?瑞希ちゃんにもそうしてるって聞いたよ」
「春菜……でいい?」
名前で呼ぶとニコニコしながらOKを貰った。自分が変わったからこんな事まで出来る。過去の自分と、周りの人達に感謝しながら春菜との会話を楽しむのであった。